(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008758
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】樹脂成形容器及び樹脂成形容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20230112BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20230112BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D1/00 120
B65D43/08 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187554
(22)【出願日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2021111788
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596161569
【氏名又は名称】NASCO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛太郎
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA13
3E033CA19
3E033DD01
3E033DE20
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
3E033GA03
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC04
3E084GA02
3E084GB02
3E084GB08
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】使用前における密閉性に優れており、開封後においても、蓋体のトレイ本体への取り付け取り外しができるとともに、蓋体とトレイ本体との安定した脱着機能を提供できる樹脂成形容器、及びこの樹脂成形容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の樹脂成形容器は、蓋体縁部30には、リング状縁部20の方向に突出させた凸部31が形成され、リング状縁部20には、内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する破断線23が形成され、破断線23は、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭くしたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と側面とからなり前記側面の側面端部によってトレイ開口が形成されるトレイと、
前記側面端部から外方に延出して形成されるリング状縁部と、
前記リング状縁部の外周端部から立ち上げて形成される蓋体縁部と
が樹脂材によって一体に成形されており、
前記蓋体縁部によって形成される蓋体開口がトップフィルムで覆われ、
前記リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離することで、前記トレイと前記内周側縁部とがトレイ本体となり、前記蓋体縁部と前記外周側縁部と前記トップフィルムとが蓋体となって使用される樹脂成形容器であって、
前記蓋体縁部には、前記リング状縁部の方向に突出させた凸部が形成され、
前記リング状縁部には、前記内周側縁部と前記外周側縁部とに分離する破断線が形成され、
前記破断線は、前記凸部が形成されている位置では、前記凸部が形成されていない位置よりも前記内周側縁部の径方向幅を狭くした
ことを特徴とする樹脂成形容器。
【請求項2】
前記凸部を3つ以上形成し、
前記内周側縁部には、前記凸部が形成されている前記位置での幅狭部と、前記凸部が形成されていない前記位置での幅広部とが形成され、
前記トレイ本体に対して前記蓋体を回転させ、前記凸部と前記トップフィルムとの間に前記幅広部を位置させることで前記蓋体を前記トレイ本体に取り付け、
前記凸部を前記幅狭部に位置するように、前記トレイ本体に対して前記蓋体を回転させることで、前記蓋体を前記トレイ本体から取り外す
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形容器。
【請求項3】
前記凸部の凸部上面を、前記蓋体縁部の蓋体縁部上面より低くした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形容器。
【請求項4】
底面と側面とからなり前記側面の側面端部によってトレイ開口が形成されるトレイと、前記側面端部から外方に延出して形成されるリング状縁部と、前記リング状縁部の外周端部から立ち上げて形成される蓋体縁部とを樹脂材によって一体に成形する成形工程と、
前記蓋体縁部によって形成される蓋体開口にトップフィルムを配置するフィルム配置工程と、
前記リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離する分離工程と、
前記トップフィルムを前記蓋体縁部に貼り付けるシール工程と
を有し、
前記成形工程では、
前記蓋体縁部に、前記リング状縁部の方向に突出させた凸部を形成し、
前記リング状縁部を前記内周側縁部と前記外周側縁部とに分離する破断線を形成し、
前記破断線を、前記凸部が形成されている位置では、前記凸部が形成されていない位置よりも前記内周側縁部の径方向幅を狭く形成し、
前記分離工程と前記シール工程とをシールプレートで押圧して行う
ことを特徴とする樹脂成形容器の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程の後に、前記トレイに内容物を収容する収容工程を有し、
前記分離工程と前記シール工程とを前記収容工程の後に行う
ことを特徴とする請求項4に記載の樹脂成形容器の製造方法。
【請求項6】
前記内容物を食品とし、
前記シール工程では、前記トップフィルムを前記蓋体縁部とともに前記内周側縁部に貼り付け、前記トップフィルムと前記内周側縁部との内周側シール強度を、前記トップフィルムと前記蓋体縁部との蓋体側シール強度よりも低くする
ことを特徴とする請求項5に記載の樹脂成形容器の製造方法。
【請求項7】
前記成形工程では、金型に樹脂シートを配置し、
前記樹脂シートの成形移動は、前記樹脂シートの一方の面からの加圧、及び前記樹脂シートの他方の面からの減圧の少なくともいずれかによって行なわれる
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂成形容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品などの内容物を収容できるトレイ本体と、トレイ開口を覆う蓋体の一部となる蓋体縁部とが一体に成形され、蓋体縁部によって形成される蓋体開口がトップフィルムで覆われ、トレイ本体と蓋体とが分離されて使用される樹脂成形容器、及びこの樹脂成形容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トレイ開口が形成されるトレイと、トレイ開口の外周に立ち上げて形成される蓋体縁部とが、破断線を介して一体に成形されており、蓋体縁部によって形成される開口をフィルムで覆い、破断線に沿って分離することでトレイ本体と蓋体とを形成する樹脂成形容器を開示している。
特許文献1で開示されている蓋体縁部には内側隆起を成形しており、破断線によりトレイ本体と蓋体とに分離した後には、この内側隆起をトレイ本体の外周縁に係止させることで蓋体をトレイ本体に取り付け(クランプ)することができる。
特許文献2から特許文献5には、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、蓋体をトレイ本体に対して取り付け取り外しができる容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6370809号公報
【特許文献2】特開平02-72059号公報
【特許文献3】特開2000-247348号公報
【特許文献4】特開2007-145354号公報
【特許文献5】特開2010-52831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている樹脂成形容器は、使用前における密閉性に優れており、開封後においても、蓋体のトレイ本体への取り付け取り外しができる利便性がある。
しかし、内側隆起を形成するためには、特許文献1で開示されているように、成形工程では樹脂シートを2つの異なる方向に成形移動させなくてはならず、そのために2つの異なる方向で樹脂シートに圧力差を加える必要がある。
また、蓋体のトレイ本体への取り付け及び取り外しは、トレイ本体の外周縁の弾性変形を利用しているため、製造誤差による脱着性能にばらつきが生じやすい。
なお、特許文献2から特許文献5で開示されている容器は、トレイ本体と蓋体とを別個に製造するものであり、内容物を収容できるトレイ本体と、トレイ開口を覆う蓋体の一部となる蓋体縁部とが一体に成形され、蓋体縁部によって形成される蓋体開口がトップフィルムで覆われ、トレイ本体と蓋体とが分離されて使用される容器ではない。
【0005】
そこで本発明は、使用前における密閉性に優れており、開封後においても、蓋体のトレイ本体への取り付け取り外しができるとともに、蓋体とトレイ本体との安定した脱着機能を提供できる樹脂成形容器、及びこの樹脂成形容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の樹脂成形容器は、底面11と側面12とからなり前記側面12の側面端部12aによってトレイ開口13が形成されるトレイ10と、前記側面端部12aから外方に延出して形成されるリング状縁部20と、前記リング状縁部20の外周端部20aから立ち上げて形成される蓋体縁部30とが樹脂材によって一体に成形されており、前記蓋体縁部30によって形成される蓋体開口33がトップフィルム40で覆われ、前記リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離することで、前記トレイ10と前記内周側縁部21とがトレイ本体1となり、前記蓋体縁部30と前記外周側縁部22と前記トップフィルム40とが蓋体2となって使用される樹脂成形容器であって、前記蓋体縁部30には、前記リング状縁部20の方向に突出させた凸部31が形成され、前記リング状縁部20には、前記内周側縁部21と前記外周側縁部22とに分離する破断線23が形成され、前記破断線23は、前記凸部31が形成されている位置では、前記凸部31が形成されていない位置よりも前記内周側縁部21の径方向幅を狭くしたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の樹脂成形容器において、前記凸部31を3つ以上形成し、前記内周側縁部21には、前記凸部31が形成されている前記位置での幅狭部21nと、前記凸部31が形成されていない前記位置での幅広部21wとが形成され、前記トレイ本体1に対して前記蓋体2を回転させ、前記凸部31と前記トップフィルム40との間に前記幅広部21wを位置させることで前記蓋体2を前記トレイ本体1に取り付け、前記凸部31を前記幅狭部21nに位置するように、前記トレイ本体1に対して前記蓋体2を回転させることで、前記蓋体2を前記トレイ本体1から取り外すことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形容器において、前記凸部31の凸部上面31uを、前記蓋体縁部30の蓋体縁部上面30uより低くしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明の樹脂成形容器の製造方法は、底面11と側面12とからなり前記側面12の側面端部12aによってトレイ開口13が形成されるトレイ10と、前記側面端部12aから外方に延出して形成されるリング状縁部20と、前記リング状縁部20の外周端部20aから立ち上げて形成される蓋体縁部30とを樹脂材によって一体に成形する成形工程と、前記蓋体縁部30によって形成される蓋体開口33にトップフィルム40を配置するフィルム配置工程と、前記リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する分離工程と、前記トップフィルム40を前記蓋体縁部30に貼り付けるシール工程とを有し、前記成形工程では、前記蓋体縁部30に、前記リング状縁部20の方向に突出させた凸部31を形成し、前記リング状縁部20を前記内周側縁部21と前記外周側縁部22とに分離する破断線23を形成し、前記破断線23を、前記凸部31が形成されている位置では、前記凸部31が形成されていない位置よりも前記内周側縁部21の径方向幅を狭く形成し、前記分離工程と前記シール工程とをシールプレート60で押圧して行うことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の樹脂成形容器の製造方法において、前記成形工程の後に、前記トレイ10に内容物4を収容する収容工程を有し、前記分離工程と前記シール工程とを前記収容工程の後に行うことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の樹脂成形容器の製造方法において、前記内容物4を食品とし、前記シール工程では、前記トップフィルム40を前記蓋体縁部30とともに前記内周側縁部21に貼り付け、前記トップフィルム40と前記内周側縁部21との内周側シール強度を、前記トップフィルム40と前記蓋体縁部30との蓋体側シール強度よりも低くすることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂成形容器の製造方法において、前記成形工程では、金型50に樹脂シート3を配置し、前記樹脂シート3の成形移動は、前記樹脂シート3の一方の面からの加圧、及び前記樹脂シート3の他方の面からの減圧の少なくともいずれかによって行なわれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂成形容器によれば、蓋体縁部に凸部を形成し、リング状縁部に破断線を形成し、破断線を、凸部が形成されている位置では、凸部が形成されていない位置よりも内周側縁部の径方向幅を狭くしているため、リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離して使用される状態では、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が広く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体に取り付けることができるとともに、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が狭く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
また、本発明の樹脂成形容器の製造方法によれば、破断線の形成を成形工程で行い、分離工程とシール工程とをシールプレートで行うことで工程数を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による樹脂成形容器を示す図
【
図4】本発明の他の実施例による樹脂成形容器を示す図
【
図9】トレイ本体から蓋体が取り外し可能な状態を示す図
【
図10】トレイ本体に蓋体を取り付け途中の状態を示す図
【
図11】トレイ本体に蓋体を取り付けた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による樹脂成形容器は、底面と側面とからなり側面の側面端部によってトレイ開口が形成されるトレイと、側面端部から外方に延出して形成されるリング状縁部と、リング状縁部の外周端部から立ち上げて形成される蓋体縁部とが樹脂材によって一体に成形されており、蓋体縁部には、リング状縁部の方向に突出させた凸部が形成され、リング状縁部には、内周側縁部と外周側縁部とに分離する破断線が形成され、破断線は、凸部が形成されている位置では、凸部が形成されていない位置よりも内周側縁部の径方向幅を狭くしたものである。
本実施の形態によれば、蓋体縁部に凸部を形成し、リング状縁部に破断線を形成し、破断線を、凸部が形成されている位置では、凸部が形成されていない位置よりも内周側縁部の径方向幅を狭くしているため、リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離して使用される状態では、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が広く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体に取り付けることができるとともに、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が狭く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による樹脂成形容器において、凸部を3つ以上形成し、内周側縁部には、凸部が形成されている位置での幅狭部と、凸部が形成されていない位置での幅広部とが形成され、トレイ本体に対して蓋体を回転させ、凸部とトップフィルムとの間に幅広部を位置させることで蓋体をトレイ本体に取り付け、凸部を幅狭部に位置するように、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、蓋体をトレイ本体から取り外すものである。
本実施の形態によれば、使用状態ではトレイ本体に対して蓋体を回転させることで、蓋体をトレイ本体に取り付け、蓋体をトレイ本体から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による樹脂成形容器において、凸部の凸部上面を、蓋体縁部の蓋体縁部上面より低くしたものである。
本実施の形態によれば、凸部上面を蓋体縁部上面より低くすることで、使用状態では凸部上面とトップフィルムとの間に空間が形成されるため、径方向幅が広く形成された内周側縁部を凸部にスムーズに位置させることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態による樹脂成形容器の製造方法は、底面と側面とからなり側面の側面端部によってトレイ開口が形成されるトレイと、側面端部から外方に延出して形成されるリング状縁部と、リング状縁部の外周端部から立ち上げて形成される蓋体縁部とを樹脂材によって一体に成形する成形工程と、蓋体縁部によって形成される蓋体開口にトップフィルムを配置するフィルム配置工程と、リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離する分離工程と、トップフィルムを蓋体縁部に貼り付けるシール工程とを有し、成形工程では、蓋体縁部に、リング状縁部の方向に突出させた凸部を形成し、リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離する破断線を形成し、破断線を、凸部が形成されている位置では、凸部が形成されていない位置よりも内周側縁部の径方向幅を狭く形成し、分離工程とシール工程とをシールプレートで押圧して行うものである。
本実施の形態によれば、蓋体縁部に凸部を形成し、リング状縁部に破断線を形成し、破断線を、凸部が形成されている位置では、凸部が形成されていない位置よりも内周側縁部の径方向幅を狭くしているため、リング状縁部を内周側縁部と外周側縁部とに分離して使用される状態では、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が広く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体に取り付けることができるとともに、トレイ本体に対して蓋体を回転させることで、凸部とトップフィルムとの間に、径方向幅が狭く形成された内周側縁部を位置させて、蓋体をトレイ本体から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
また本実施の形態によれば、破断線の形成を成形工程で行い、分離工程とシール工程とをシールプレートで行うことで工程数を少なくできる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による樹脂成形容器の製造方法において、成形工程の後に、トレイに内容物を収容する収容工程を有し、分離工程とシール工程とを収容工程の後に行うものである。
本実施の形態によれば、成形工程の後であって分離工程とシール工程との前段階で収容工程を行うことで、内容物を所定環境条件に維持した状態で密封できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による樹脂成形容器の製造方法において、内容物を食品とし、シール工程では、トップフィルムを蓋体縁部とともに内周側縁部に貼り付け、トップフィルムと内周側縁部との内周側シール強度を、トップフィルムと蓋体縁部との蓋体側シール強度よりも低くする
ものである。
本実施の形態によれば、トップフィルムを内周側縁部にも貼り付けることで、食品を収容したトレイ内の密封状態を維持でき、内周側シール強度を蓋体側シール強度よりも低くすることで、トップフィルムと内周側縁部との内周側シールを剥がして食品を取り出すことができるとともに、トップフィルムが貼られた状態での蓋体を、繰返しトレイ本体に取り付け取り外しができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第4から第6のいずれかの実施の形態による樹脂成形容器の製造方法において、成形工程では、金型に樹脂シートを配置し、樹脂シートの成形移動は、樹脂シートの一方の面からの加圧、及び樹脂シートの他方の面からの減圧の少なくともいずれかによって行なわれるものである。
本実施の形態によれば、樹脂シートの一方の面からの加圧、及び樹脂シートの他方の面からの減圧の少なくともいずれかで樹脂シートを成形することができ、精度が高く安定した成形を行える。
【実施例0016】
以下本発明の一実施例による樹脂成形容器及び樹脂成形容器の製造方法について説明する。
【0017】
図1は本実施例による樹脂成形容器を示す図であり、
図1(a)は同樹脂成形容器の斜視図、
図1(b)は
図1(a)の要部拡大図、
図1(c)は
図1(b)のc-c線端面図、
図1(d)は
図1(b)のd-d線端面図である。
【0018】
本実施例による樹脂成形容器は、トレイ10とリング状縁部20と蓋体縁部30とが樹脂材によって一体に成形されている。
トレイ10は、底面11と側面12とからなり側面12の側面端部12aによってトレイ開口13が形成される。
リング状縁部20は、側面端部12aから外方に延出して形成される。
リング状縁部20には、内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する破断線23が形成されている。
蓋体縁部30は、リング状縁部20の外周端部20aから立ち上げて形成される。
蓋体縁部30には、リング状縁部20の方向に突出させた凸部31が形成されている。凸部31の凸部上面31uは、蓋体縁部30の蓋体縁部上面30uより低くしている。なお、蓋体縁部30には、蓋体縁部30の外周端部30aから下方に向けて延出させたスカート部32を設けているが、蓋体縁部30の強度が十分に高い場合には、スカート部32は無くてもよい。
【0019】
破断線23は、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭くしている。
すなわち、内周側縁部21には、凸部31が形成されている位置での幅狭部21nと、凸部31が形成されていない位置での幅広部21wとが形成される。
【0020】
図2は同樹脂成形容器の使用状態を示す図であり、
図2(a)は同樹脂成形容器の蓋体の斜視図、
図2(b)は同樹脂成形容器のトレイ本体の斜視図、
図2(c)は
図2(a)のc-c線端面図、
図2(d)は
図2(a)のd-d線端面図、
図2(e)は
図2(b)のe-e線端面図、
図2(f)は
図2(b)のf-f線端面図、
図2(g)は蓋体をトレイ本体に取り付けた状態の端面図、
図2(h)は蓋体をトレイ本体から取り外す状態の端面図である。
【0021】
本実施例による樹脂成形容器は、蓋体縁部30によって形成される蓋体開口33がトップフィルム40で覆われ、リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離することで、トレイ10と内周側縁部21とがトレイ本体1となり、蓋体縁部30と外周側縁部22とトップフィルム40とが蓋体2となって使用される。
【0022】
図2(g)は、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させ、凸部31とトップフィルム40との間に幅広部21wを位置させた状態を示しており、この状態で蓋体2をトレイ本体1に取り付けることができる。
図2(g)の状態は、
図2(c)に示す凸部31が形成されている位置に、
図2(f)に示す幅広部21wを位置させたものである。
図2(h)は、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させ、凸部31を幅狭部21nに位置させた状態を示しており、この状態で蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができる。
図2(h)の状態は、
図2(c)に示す凸部31が形成されている位置に、
図2(e)に示す幅狭部21nを位置させたものである。
【0023】
なお、本実施例では、10個の凸部31を等間隔に形成したものを示しているが、凸部31を少なくとも1つ、幅広部21wを少なくとも1つ形成することで、
図2(g)及び
図2(h)の状態とすることができ、蓋体2をトレイ本体1に取り付け、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができる。凸部31を3つ以上形成することで、確実に蓋体2をトレイ本体1に取り付けることができる。
また、特にトップフィルム40が弾性又は可撓性を備えている場合には、凸部上面31uは蓋体縁部上面30uと同じ高さであってもよい。
【0024】
このように本実施例によれば、使用状態ではトレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、蓋体2をトレイ本体1に取り付け、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。また、本実施例によれば、トレイ本体1に対して蓋体2をいずれの方向に回転させても、蓋体2をトレイ本体1に簡易固定でき、また、簡易固定位置から更に回転させることで簡易固定が解除され、更に回転させると再び簡易固定することができる。
また、本実施例のように、凸部上面31uを蓋体縁部上面30uより低くすることで、使用状態では凸部上面31uとトップフィルム40との間に空間が形成されるため、トップフィルム40が弾性又は可撓性を備えていなくても、径方向幅が広く形成された内周側縁部21を凸部31にスムーズに位置させることができる。
【0025】
図3は同樹脂成形容器の製造方法を示す図であり、
図3(a)は成形工程、
図3(b)はカット工程、
図3(c)は内容物収容工程、
図3(d)はトップフィルム配置工程、
図3(e)は分離工程、
図3(f)はシール工程を示している。
【0026】
図3(a)に示す成形工程では、金型50に樹脂シート3を配置し、樹脂シート3の一方の面から加圧することで、樹脂シート3を金型50に沿わせる。すなわち、樹脂シート3の成形移動は一方向である。なお、樹脂シート3の一方の面から加圧する代わりに、樹脂シート3の他方の面から減圧してもよく、樹脂シート3の一方の面から加圧するとともに樹脂シート3の他方の面から減圧してもよい。
なお、本実施例における成形工程は、ブロー成形を示すが、インジェクション成形であってもよい。
図3(a)に示す成形工程によって、底面11と側面12とからなり側面12の側面端部12aによってトレイ開口13が形成されるトレイ10と、側面端部12aから外方に延出して形成されるリング状縁部20と、リング状縁部20の外周端部20aから立ち上げて形成される蓋体縁部30とが一体に成形される。
この成形工程では、蓋体縁部30に、リング状縁部20の方向に突出させた凸部31を形成する。
成形工程によって、
図1に示す樹脂成形容器が成形される。
【0027】
図3(b)に示すカット工程では、打ち抜き刃物51を用いてリング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する破断線23を形成するとともに、蓋体縁部30の外周を切断する。破断線23を形成した後に、蓋体縁部30の外周を切断することが好ましい。蓋体縁部30の外周の切断は、トップフィルム配置工程までに行えばよい。
破断線23は、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭く形成している。内周側縁部21と外周側縁部22とは、破断線23に沿って部分的に接続されている。
【0028】
図3(c)に示す収容工程では、トレイ10に内容物4を収容する。内容物4としては、保管状態を所定環境条件に維持する必要があるもの、例えば食品、電子部品、又は精密機械部品などが適している。収容工程では、トレイ10を閉空間に配置し、この閉空間内を真空引きし、内容物4に応じて選択されるガスを封入する。
【0029】
図3(d)に示すトップフィルム配置工程では、蓋体縁部30によって形成される蓋体開口33にトップフィルム40を配置する。蓋体開口33はトップフィルム40で覆われる。
【0030】
図3(e)に示す分離工程では、シールプレート60でトップフィルム40の一方の面から蓋体縁部30を押圧することで、破断線23に沿ってリング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する。
この分離工程で蓋体縁部30の上面が内周側縁部21の上面と同程度の高さになると、シールプレート60でトップフィルム40の一方の面から内周側縁部21を押圧する。
【0031】
図3(f)に示すシール工程では、シールプレート60でトップフィルム40を加熱する。シールプレート60は、蓋体縁部30を押圧する第1シールプレート61と、内周側縁部21を押圧する第2シールプレート62とを備えていることが好ましい。第1シールプレート61と第2シールプレート62とを備えている場合には、第1シールプレート61によってトップフィルム40を蓋体縁部30に貼り付け、第2シールプレート62によってトップフィルム40を内周側縁部21に貼り付ける(シール工程)。シール工程では、ヒートシールが適している。
トップフィルム40と内周側縁部21との内周側シール強度は、トップフィルム40と蓋体縁部30との蓋体側シール強度よりも低くすることが好ましい。そのために、第1シールプレート61の加熱温度を第2シールプレート62の加熱温度よりも高くしている。
なお、第1シールプレート61と第2シールプレート62とは、凸部31を避けて、蓋体縁部20と内周側縁部21とにトップフィルム40を貼り付けることができれば、構造的には単一のプレートであってもよい。
トップフィルム40と内周側縁部21とを内周側シールすることで、製造後トレイ10内は、真空状態や封入されたガスで満たされた状態を保っている。製造後にトレイ本体1から蓋体2を最初に取り外されるときに、トップフィルム40は内周側縁部21から剥がされるが、トップフィルム40と蓋体縁部30との蓋体側シールは剥がれることなくシール状態を維持する。従って、一度トレイ本体1から蓋体2が取り外されると、トレイ10内には大気中の空気が流入するが、トップフィルム40で蓋体開口33が覆われた蓋体2でトレイ本体1を簡易封止できる。
【0032】
以上のように、本実施例によれば、蓋体縁部30に凸部31を形成し、リング状縁部20に破断線23を形成し、破断線23を、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭くしている。そのため、リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離して使用される状態では、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、凸部31とトップフィルム40との間に、径方向幅が広く形成された内周側縁部21を位置させて、蓋体2をトレイ本体1に取り付けることができるとともに、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、凸部31とトップフィルム40との間に、径方向幅が狭く形成された内周側縁部21を位置させて、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
また、本実施例によれば、破断線23の形成を成形工程で行い、分離工程とシール工程とをシールプレート60で行うことで工程数を少なくできる。
また、本実施例によれば、成形工程の後であって分離工程とシール工程との前段階で収容工程を行うことで、内容物4を所定環境条件に維持した状態で密封できる。
また、本実施例によれば、内容物4を食品とし、トップフィルム40を内周側縁部21にも貼り付けることで、食品を収容したトレイ10内の密封状態を維持できる。また、内周側シール強度を蓋体側シール強度よりも低くすることで、トップフィルム40と内周側縁部21との内周側シールを剥がして食品を取り出すことができるとともに、トップフィルム40が貼られた状態での蓋体2を、繰返しトレイ本体1に取り付け取り外しができる。
また、本実施例によれば、樹脂シート3の一方の面からの加圧、及び樹脂シート3の他方の面からの減圧の少なくともいずれかで樹脂シート3を成形することができ、精度が高く安定した成形を行える。
【0033】
図4から
図10に本発明の他の実施例による樹脂成形容器を示す。
【0034】
図4は本実施例による樹脂成形容器を示す図であり、
図4(a)は同樹脂成形容器の斜視図、
図4(b)は
図4(a)の要部拡大図である。また
図5は同樹脂成形容器の要部平面図、
図6は同樹脂成形容器の要部端面図であり、
図6(a)は
図4(a)のa-a線端面図、
図6(b)は
図4(a)のb-b線端面図、
図6(c)は
図4(a)のc-c線端面図、
図6(d)は
図4(a)のd-d線端面図である。
【0035】
図4に示すように、本実施例による樹脂成形容器は、トレイ10とリング状縁部20と蓋体縁部30とが樹脂材によって一体に成形されている。
トレイ10は、底面11と側面12とからなり側面12の側面端部12aによってトレイ開口13が形成される。
リング状縁部20は、側面端部12aから外方に延出して形成される。
リング状縁部20には、内周側縁部21と外周側縁部22とに分離する破断線23が形成されている。内周側縁部21には、溝によって形成される当接部24を設けている。また、内周側縁部21の内周側にはリング状の凸部25を設けている。
蓋体縁部30は、リング状縁部20の外周端部20aから立ち上げて形成される。
蓋体縁部30には、リング状縁部20の方向に突出させた凸部31が形成されている。
凸部31は、第1凸部31aと、第1凸部31aの一端に形成される第2凸部31bとからなる。
【0036】
図5を用いて凸部31と破断線23について説明する。図中の矢印Xは、破断線23によって内周側縁部21と外周側縁部22とを分離し、トレイ本体1と蓋体2として使用する際、蓋体2をトレイ本体1に簡易固定する場合に、トレイ本体1に対する蓋体2の回転方向を示している。
第2凸部31bの一端は、径方向Yに対して所定角度31αを持って形成されている。所定角度31αを持たせることで、第2凸部31bの一端は、内周端より外周端が矢印Xの方向に進んだ位置となっている。第2凸部31bの他端は第1凸部31aと連続している。
第1凸部31aの他端から他の凸部31を形成する第2凸部31bの一端の外周端までの蓋体内周端部34は、曲率半径を緩やかに大きくしている。
破断線23は、蓋体内周端部34に沿って、第1凸部31aの他端から他の凸部31を形成する第2凸部31bの一端に向けて徐々に曲率半径を大きくしており、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭くしている。
すなわち、内周側縁部21には、凸部31が形成されている位置での幅狭部21nと、凸部31が形成されていない位置での幅広部21wとが形成される。
当接部24は、径方向Yに対して所定角度24αを持って形成されている。当接部24の所定角度24αは、第2凸部31bの一端の所定角度31αよりも若干大きくしている。
第2凸部31bの一端を所定角度31αとし、当接部24を所定角度24αとすることで、蓋体2をトレイ本体1に対してX方向に回転させると、最初に第2凸部31bの内周端が当接部24の内側端に当接し、その後、第2凸部31bと当接部24との当接範囲が徐々に大きくなるため、蓋体2をトレイ本体1にスムーズに簡易固定することができる。
【0037】
図6(a)に示すように、第1凸部31aの第1凸部上面31auは、蓋体縁部30の蓋体縁部上面30uより低くしている。
また
図6(b)に示すように、第2凸部31bの第2凸部上面31buは、蓋体縁部30の蓋体縁部上面30uより低くし、内周端を外周端より低くしている。なお、第2凸部上面31buは、第1凸部31a側の他端を第1凸部上面31auと同じ高さとし、第2凸部上面31buの一端を、第2凸部上面31buの他端より低くすることで傾斜面としている。
図6(c)に示すように、当接部24は、内周側縁部21の幅広部21wに、内周側縁部21より低くなる溝によって形成されている。
また、幅狭部21n及び幅広部21wにはリング状の凸部25が形成されている。破断線23によって内周側縁部21と外周側縁部22とを分離し、トレイ本体1と蓋体2として使用する際には、内周側縁部21は、このリング状の凸部25によって十分な強度を保つことができる。
なお、蓋体縁部30には、蓋体縁部30の外周端部30aから下方に向けて延出させたスカート部32を設けているが、蓋体縁部30の強度が十分に高い場合には、スカート部32は無くてもよい。
【0038】
図7は同樹脂成形容器の使用状態を示す図であり、
図7(a)は同樹脂成形容器の蓋体の斜視図、
図7(b)は同樹脂成形容器のトレイ本体の斜視図である。また
図8(a)は
図7のa-a線端面図、
図8(b)は
図7のb-b端面図、
図8(c)は
図7のc-c線端面図、
図8(d)は
図7のd-d線端面図である。
【0039】
本実施例による樹脂成形容器は、蓋体縁部30によって形成される蓋体開口33がトップフィルム40で覆われ、リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離することで、トレイ10と内周側縁部21とがトレイ本体1となり、蓋体縁部30と外周側縁部22とトップフィルム40とが蓋体2となって使用される。
【0040】
図9(a)はトレイ本体から蓋体が取り外し可能な状態を示す要部斜視図、
図9(b)は
図9(a)のa-a線断面図、
図9(c)は
図9(a)のb-b線断面図である。
図9は、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させ、凸部31を幅狭部21nに位置させた状態を示しており、この状態で蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができる。
【0041】
図10(a)はトレイ本体に蓋体を取り付け途中の状態を示す要部斜視図、
図10(b)は
図10(a)のc-c線断面図、
図10(c)は
図10(a)のd-d線断面図、
図10(d)は
図10(a)のe-e線断面図である。
図10は、
図9の状態からトレイ本体1に対して蓋体2をX方向に回転させ、凸部31とトップフィルム40との間に幅広部21wを位置させた状態を示している。この状態では、当接部24は未だ凸部31に当接していない。
【0042】
図11(a)はトレイ本体に蓋体を取り付けた状態を示す要部斜視図、
図11(b)は
図11(a)のf-f線断面図、
図11(c)は
図11(a)のg-g線断面図、
図11(d)は
図11(a)のh-h線断面図である。
図11は、
図10の状態からトレイ本体1に対して蓋体2を更にX方向に回転させ、蓋体2をトレイ本体1に取り付けた状態を示している。
この状態では、当接部24は凸部31に当接している。
図11では、当接部24を第1凸部31aの第1凸部上面31auに当接させているが、当接部24を第2凸部31bの第2凸部上面31buに当接させることで蓋体2のトレイ本体1への取り付けが完了してもよい。
【0043】
なお、本実施例では、5個の凸部31を等間隔に形成したものを示しているが、凸部31を少なくとも1つ、幅広部21wを少なくとも1つ形成することで、
図11の状態とすることができ、蓋体2をトレイ本体1に取り付け、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができる。凸部31を3つ以上形成することで、確実に蓋体2をトレイ本体1に取り付けることができる。
また、特にトップフィルム40が弾性又は可撓性を備えている場合には、凸部上面31uは蓋体縁部上面30uと同じ高さであってもよい。
また、本実施例による樹脂成形容器についても
図3に示す製造方法によって製造することができる。従って、トップフィルム40と内周側縁部21とを内周側シールすることで、製造後トレイ10内は、真空状態や封入されたガスで満たされた状態を保っている。製造後にトレイ本体1から蓋体2を最初に取り外されるときに、トップフィルム40は内周側縁部21から剥がされるが、トップフィルム40と蓋体縁部30との蓋体側シールは剥がれることなくシール状態を維持する。従って、一度トレイ本体1から蓋体2が取り外されると、トレイ10内には大気中の空気が流入するが、トップフィルム40で蓋体開口33が覆われた蓋体2でトレイ本体1を簡易封止できる。
【0044】
このように本実施例によれば、使用状態ではトレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、蓋体2をトレイ本体1に取り付け、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。また、本実施例によれば、当接部24が第1凸部31aに当接してロックされるため蓋体2をトレイ本体1に強固に簡易固定できる。
また、本実施例のように、凸部上面31uを蓋体縁部上面30uより低くすることで、使用状態では凸部上面31uとトップフィルム40との間に空間が形成されるため、トップフィルム40が弾性又は可撓性を備えていなくても、径方向幅が広く形成された内周側縁部21を凸部31にスムーズに位置させることができる。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、蓋体縁部30に凸部31を形成し、リング状縁部20に破断線23を形成し、破断線23を、凸部31が形成されている位置では、凸部31が形成されていない位置よりも内周側縁部21の径方向幅を狭くしている。そのため、リング状縁部20を内周側縁部21と外周側縁部22とに分離して使用される状態では、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、凸部31とトップフィルム40との間に、径方向幅が広く形成された内周側縁部21を位置させて、蓋体2をトレイ本体1に取り付けることができるとともに、トレイ本体1に対して蓋体2を回転させることで、凸部31とトップフィルム40との間に、径方向幅が狭く形成された内周側縁部21を位置させて、蓋体2をトレイ本体1から取り外すことができ、安定した脱着機能を提供できる。
本発明によれば、使用前における密閉性に優れており、蓋体とトレイ本体との安定した脱着機能を有することから、特に食品を内容物として用いられる樹脂成形容器に適している。