(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087591
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】静電容量式タッチスイッチ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20230616BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230616BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G06F3/02 400
G06F3/02 F
G06F3/041 490
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202075
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 高士
(72)【発明者】
【氏名】小野 智
(72)【発明者】
【氏名】小島 康雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓史
【テーマコード(参考)】
5B020
5G046
【Fターム(参考)】
5B020CC11
5B020DD30
5G046AA11
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD02
5G046AD22
(57)【要約】
【課題】電極パターンの外周の輪郭を視認しにくくすることができる静電容量式タッチスイッチを提供すること。
【解決手段】透明基板10上に形成した透明な電極パターン20の静電容量の変化を検出してオンオフを行う静電容量式タッチスイッチ1-1である。透明基板10上に透明な電極パターン20を形成する。透明基板10の電極パターン20を形成した面を覆うように第1の透明絶縁層30を形成する。透明基板10の上方または下方から電極パターン20を投影した際の電極パターン20の上部を除く第1の透明絶縁層30の上面に透明なダミー電極パターン40を形成する。ダミー電極パターン40の上面に第2の透明絶縁層50を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に形成した透明な電極パターンの静電容量の変化を検出してオンオフを行う静電容量式タッチスイッチにおいて、
前記透明基板上に前記透明な電極パターンを形成し、
前記透明基板の前記電極パターンを形成した面を覆うように透明絶縁層を形成し、
さらに前記透明基板の上方または下方から前記電極パターンを投影した際の当該電極パターンの上部を除く前記透明絶縁層の上面に透明なダミー電極パターンを形成したことを特徴とする静電容量式タッチスイッチ。
【請求項2】
透明基板上に形成した透明な電極パターンの静電容量の変化を検出してオンオフを行う静電容量式タッチスイッチにおいて、
前記透明基板上に電極パターン用開口部を有するダミー電極パターンを形成し、
前記透明基板の前記ダミー電極パターンを形成した面を覆うように透明絶縁層を形成し、
さらに前記透明基板の上方または下方から前記ダミー電極パターンの電極パターン用開口部を投影した際の当該電極パターン用開口部に対向する前記透明絶縁層の上面に前記透明な電極パターンを形成したことを特徴とする静電容量式タッチスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電容量式タッチスイッチであって、
前記電極パターンと前記ダミー電極パターンは、同一材料で形成されていることを特徴とする静電容量式タッチスイッチ。
【請求項4】
請求項1又は2又は3に記載の静電容量式タッチスイッチであって、
前記電極パターンとダミー電極パターンは、当該電極パターンとダミー電極パターンを前記透明基板の上方または下方から投影した際に、互いの端辺が所定の寸法分重なり合った重畳部を有することを特徴とする静電容量式タッチスイッチ。
【請求項5】
請求項1又は2又は3に記載の静電容量式タッチスイッチであって、
前記電極パターンとダミー電極パターンは、当該電極パターンとダミー電極パターンを前記透明基板の上方または下方から投影した際に、互いの端辺間に所定の寸法分離れた隙間部を有することを特徴とする静電容量式タッチスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極パターン(スイッチパターン)に人体などが接近した際に静電容量が変化することを利用して作動する静電容量式タッチスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電極パターン(スイッチパターン)に人体(特に指など)が接近又は接触することで、電極パターンと大地間の静電容量が変化することを利用してスイッチのオンオフを検出する静電容量式タッチスイッチが利用されている。
【0003】
静電容量式タッチスイッチは、例えば特許文献1の回路基板(40)がこれに相当し、透明な基板(41)の表面に透明なスイッチパターン(43)を形成して構成されている。この種の回路基板(40)は、特許文献1ではその下面側に光源(13)を設置し、その上面側に意匠板(80)を設置して使用しているが、その他の使用方法として、例えば、液晶画面の上面に上記透明な回路基板(40)のような静電容量式タッチスイッチを設置して使用することも行われている。
【0004】
液晶画面の上面に透明な静電容量式タッチスイッチを設置して使用するような場合は、液晶画面に表示される画像を透明な静電容量式タッチスイッチを介してその上面から視認でき、当該画像中の表示に従ってタッチスイッチを操作する構成とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、静電容量式タッチスイッチは、透明な基板上に透明な電極パターン(スイッチパターン)を形成して構成されるが、この静電容量式タッチスイッチをその下面側から照光した場合、透明基板上に電極パターンを形成した部分の屈折率と、透明基板の電極パターンを形成していない部分の屈折率の間には若干の差があるため、電極パターンの外周の輪郭が視認されてしまって見栄えが悪くなるという課題があった。
【0007】
また電極パターンを構成する透明導電樹脂材には、導電性を持たせるために僅かな色味がついている場合が多く、この点からも電極パターンの外周の輪郭が視認されてしまって見栄えが悪くなる虞があった。
【0008】
これらの課題は、特に静電容量式タッチスイッチが製品の表面に露出している場合に顕著である。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、電極パターンの外周の輪郭を視認しにくくすることができる静電容量式タッチスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、透明基板上に形成した透明な電極パターンの静電容量の変化を検出してオンオフを行う静電容量式タッチスイッチにおいて、前記透明基板上に前記透明な電極パターンを形成し、前記透明基板の前記電極パターンを形成した面を覆うように透明絶縁層を形成し、さらに前記透明基板の上方または下方から前記電極パターンを投影した際の当該電極パターンの上部を除く前記透明絶縁層の上面に透明なダミー電極パターンを形成したことを特徴としている。
本発明によれば、スイッチの機能には関与しない透明なダミー電極パターンを、透明な電極パターンの上部を除く透明絶縁層の上面部分に形成したので、透明基板上に電極パターンを形成した部分の屈折率と、透明基板上にダミー電極パターンを形成した電極パターンの周囲の部分の屈折率とを略同一にすることができる。このためこの静電容量式タッチスイッチを照光した際、電極パターンの外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。
【0011】
また本発明は、透明基板上に形成した透明な電極パターンの静電容量の変化を検出してオンオフを行う静電容量式タッチスイッチにおいて、前記透明基板上に電極パターン用開口部を有するダミー電極パターンを形成し、前記透明基板の前記ダミー電極パターンを形成した面を覆うように透明絶縁層を形成し、さらに前記透明基板の上方または下方から前記ダミー電極パターンの電極パターン用開口部を投影した際の当該電極パターン用開口部に対向する前記透明絶縁層の上面に前記透明な電極パターンを形成したことを特徴としている。
本発明によれば、スイッチの機能には関与しない透明なダミー電極パターンに設けた電極パターン用開口部に対向する部分に透明な電極パターンを形成したので、透明基板上に電極パターンを形成した部分の屈折率と、透明基板上にダミー電極パターンを形成した部分の屈折率とを略同一にすることができる。このためこの静電容量式タッチスイッチを照光した際、電極パターンの外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。
【0012】
また本発明は、上記特徴に加え、前記電極パターンと前記ダミー電極パターンは、同一材料で形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、透明基板上に電極パターンを形成した部分の屈折率と、透明基板上にダミー電極パターンを形成した部分の屈折率を同一にすることができる。このためこの静電容量式タッチスイッチを照光した際、電極パターンの外周の輪郭が視認されなくなり、見栄えが良くなる。また電極パターンとダミー電極パターンの材料を同一にしたので、これら電極パターンとダミー電極パターンの色味の調整が容易に行えるようになる。
【0013】
また本発明は、上記特徴に加え、前記電極パターンとダミー電極パターンは、当該電極パターンとダミー電極パターンを前記透明基板の上方または下方から投影した際に、互いの端辺が所定の寸法分重なり合った重畳部を有することを特徴としている。
透明基板上の電極パターンを形成した部分とその周囲の部分の屈折率を確実に同一にするには、電極パターンとダミー電極パターンの境界部分を完全に一致させればよい。しかし実際に両者の境界を完全に一致させることは困難で、重畳部分が生じたり、逆に隙間部分が生じたりする虞がある。境界部分に重畳部分と隙間部分が混在すると、異なる屈折率の部分が境界線上にランダムに2種類生じることとなり、その境界部分が視認され易くなる。そこで本発明では、電極パターンとダミー電極パターンの境界部分に積極的に重畳部を設けることで、当該境界部分に電極パターンとダミー電極パターンの重畳部分と隙間部分が混在しないようにした。電極パターンとダミー電極パターンの重畳部は、その周囲の部分に比べて屈折率が相違することにはなるが、その幅を狭くすることで、当該重畳部で重畳していることを十分目立たなくすることができる。この発明は、前記境界部分に隙間を設けるよりも重畳させた方が電極パターンの外周の輪郭が、これを照明する光の色などによって、より視認し難くなる場合などに用いてより好適である。
【0014】
また本発明は、上記特徴に加え、前記電極パターンとダミー電極パターンは、当該電極パターンとダミー電極パターンを前記透明基板の上方または下方から投影した際に、互いの端辺間に所定の寸法分離れた隙間部を有することを特徴としている。
電極パターンとダミー電極パターン間の隙間部は、その周囲の部分に比べて屈折率が相違することにはなるが、その幅を狭くすることで、当該隙間部に隙間があることを十分目立たなくすることができる。この発明は、前記境界部分を重畳させるよりも隙間部を設けた方が電極パターンの外周の輪郭が、これを照明する光の色などによって、より視認し難くなる場合などに用いてより好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極パターンの外周の輪郭を視認しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】静電容量式タッチスイッチ1-1を示す図である。
【
図3】静電容量式タッチスイッチ1-1の製造方法説明図である。
【
図4】静電容量式タッチスイッチ1-1の製造方法説明図である。
【
図5】静電容量式タッチスイッチ1-1の製造方法説明図である。
【
図6】静電容量式タッチスイッチ1-1の使用例説明図である。
【
図7】静電容量式タッチスイッチ1-2の一部拡大断面図である。
【
図8】静電容量式タッチスイッチ1-3の一部拡大断面図である。
【
図9】静電容量式タッチスイッチ1-4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-1を示す図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A断面矢視図である。また
図2は
図1(b)の一部拡大断面図である。これらの図に示すように、静電容量式タッチスイッチ1-1は、透明基板10の上面に透明な電極パターン20を形成し、透明基板10の電極パターン20を形成した面を覆うように第1の透明絶縁層30を形成し、さらに透明基板10を上方または下方から前記電極パターン20を投影した際の当該電極パターン20の上部を除く前記第1の透明絶縁層30の上面にダミー電極パターン40を形成し、さらにダミー電極パターン40の上面を覆うように第2の透明絶縁層50を形成して構成されている。
【0018】
なお以下の説明において、「上」とは透明基板10から電極パターン20を形成した面方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとするが、これは、静電容量式タッチスイッチ1-1を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。また
図1(b)や
図2では、説明の都合上、電極パターン20などの各層の厚みを厚く記載しているが、実際は非常に薄いものである。以下、静電容量式タッチスイッチ1-1の各構成要素を、静電容量式タッチスイッチ1-1の製造方法と共に説明する。
【0019】
図3乃至
図5は、静電容量式タッチスイッチ1-1の製造方法説明図であり、何れの図も(a)は
図1(a)に相当し、(b)は
図1(b)に相当する。静電容量式タッチスイッチ1-1を製造するには、まず透明基板10を用意する。透明基板10は、矩形状の可撓性を有する透明な合成樹脂フィルム、例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)で構成されている。なお実際には、図示する透明基板10の外周にスイッチ検出信号引出用の例えば帯状の引出部が一体に接続されている。
【0020】
そして前記透明基板10の上面の所定位置に、複数(この例では6つ)の矩形(円形などの他の形状でもよい)の電極パターン20を形成する。各電極パターン20は透明導電インクを印刷(スクリーン印刷など、以下同様)し乾燥することによって形成される。各電極パターン20には、図示はしないが配線パターンが接続され、透明基板10の前記図示しない引出部に引き出されている。これら配線パターンも各電極パターン20と同時に同一の透明導電インクを印刷し乾燥することによって形成される(但し、最終製品の外部に露出しない透明基板10の周囲の部分や引出部については、透明ではない通常の銀パターンなどによって配線パターンを形成してもよい)。
【0021】
次に
図4に示すように、透明基板10の前記電極パターン20を形成した側の面の全体を覆うように第1の透明絶縁層30を、透明絶縁性インクを印刷(スクリーン印刷など)し乾燥することによって形成する。
【0022】
次に
図5に示すように、前記第1の透明絶縁層30の上面にダミー電極パターン40を形成する。ダミー電極パターン40は、前記透明基板10の上方又は下方から前記電極パターン20を投影した際の当該電極パターン20の上部を除く第1の透明絶縁層30の上面に形成されている。ダミー電極パターン40は、前記電極パターン20と同一材料の透明導電インクを、前記電極パターン20と同一の厚みで印刷し乾燥することによって形成される。ダミー電極パターン40には、上記電極パターン20のような配線パターンは接続されておらず、電気回路には関与しないダミーの導電パターンである。
【0023】
ダミー電極パターン40についてさらに説明すると、ダミー電極パターン40を前記透明基板10の上方又は下方から投影した際に、前記各電極パターン20の上部に対向する部分には、それぞれ電極パターン用開口部41が形成されている。各電極パターン用開口部41は、各電極パターン20の外形形状に合わせて矩形状に形成され、且つ各電極パターン20の外周端辺20aと電極パターン用開口部41の内周端辺41aが、当該電極パターン20とダミー電極パターン40を透明基板10の上方または下方から投影した際に、互いに所定の寸法分重なり合うような寸法形状で形成されている。この重なり合った部分を重畳部C1という。重畳部C1は、各電極パターン20の周囲を囲むように四角形のリング状に形成される。重畳部C1の幅は、より狭い方が好ましいが、製造時の寸法誤差などにより重畳部C1が無くならない程度の寸法とする。具体的にこの例の場合、電極パターン20の横幅寸法を数cmとしたときに、重畳部C1の幅寸法を0.2mm以下とする。尚、重畳部C1の幅寸法を0.1mm以下にすれば、重畳部C1が、より視認されにくくなる。
【0024】
次に、
図1に示すように、透明基板10の前記ダミー電極パターン40を形成した側の面の全体を覆うように第2の透明絶縁層50を、透明絶縁性インクを印刷(スクリーン印刷など)し乾燥することによって形成する。この第2の透明絶縁層50は前記第1の透明絶縁層30と同一材料の透明絶縁性インクを使用し、前記第1の透明絶縁層30と同一の厚みで形成される。これによって静電容量式タッチスイッチ1-1が完成する。
【0025】
以上のように構成された静電容量式タッチスイッチ1-1は、例えば
図6に示すように、液晶パネル60の画面(表面)61上に、透明基板10側を画面61に向けて載置する。
【0026】
そして、液晶パネル60の画面61を明るく表示すれば、画面61から放射された光L(L1,L2,L3)は、透明な材料で構成した静電容量式タッチスイッチ1-1内を通過して、その表面側(第2の透明絶縁層50側)から外方(上方)に向けて放射される。画面61から放射された光の内、ダミー電極パターン40を通過する光L1,L3と、電極パターン20を通過する光L2は、何れも同一材質からなる第1,第2の透明絶縁層30,50を通過するが、これら第1,第2の透明絶縁層30,50を合計した厚み寸法は同一である。且つ光L1,L3が通過するダミー電極パターン40と、光L2が通過する電極パターン20は同一材質で同一の厚みである。このためこれら何れの光L1,L2,L3も同一角度だけ屈折される。即ち静電容量式タッチスイッチ1-1全体の屈折率が同一になる。従って、これを見る人の目には、電極パターン20の外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。さらに電極パターン20を構成する透明導電樹脂材に、導電性を持たせるために僅かな色味がついている場合でも、その周囲を覆うダミー電極パターン40にも同様の色味がついているため、この点からも電極パターン20の外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。なお、重畳部C1については他の部分に比べて幾分屈折率が変わることとなるが、その幅が小さく、また重畳部C1の両側の広い面が同一の屈折率、さらには同一の色味なので、これを見る人の目には重畳部C1がほとんど視認されず、見栄えが悪くなることはない。また、電極パターン20とダミー電極パターン40の材料を同一にしたので、色味の調整が容易に行えるようになる。
【0027】
そして、上記静電容量式タッチスイッチ1-1の何れかの電極パターン20の上部に、例えば人の指を接近(又は第2の透明絶縁層50に接触)させた場合は、当該電極パターン20の静電容量が変化し、これによって当該電極パターン20がオンされたことが電気的に認識される。
【0028】
なお上記例では、液晶パネル60の画面61上に、透明基板10側の面を載置した例を示したが、静電容量式タッチスイッチ1-1の第2の透明絶縁層50側の表面を画面61上に当接させるように構成しても、上記と同様の作用効果が生じる。
【0029】
ところで仮にダミー電極パターン40を第1の透明絶縁層30の上面全体に形成した場合は、電極パターン20を形成した部分の上面全体にダミー電極パターン40が重なって透明導電樹脂材の層が2重になるため、屈折率や色味の違いの上述した問題が生じ、さらに電極パターン20の上面を覆うようにダミー電極パターン40を位置させると、電極パターン20の上に指などを接近させた際に、ダミー電極パターン40が介在することによって、指などを接近させた電極パターン20以外の電極パターン20が誤動作してしまう虞も生じる。従って、電極パターン20とダミー電極パターン40は、重畳部C1を除いて重ね合わせないように構成している。
【0030】
図7は本発明の第2実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-2の一部拡大断面図であり、前記
図2と同一部分を示している。同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-2において、前記
図1~
図6に示す実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し、各符号には添え字「-2」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図6に示す実施形態と同じである。
【0031】
同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-2において上記静電容量式タッチスイッチ1-1と相違する点は、電極パターン20-2の外周端辺20a-2と電極パターン用開口部41-2の内周端辺41a-2を、当該電極パターン20-2とダミー電極パターン40-2を透明基板10-2の上方または下方から投影した際に、互いの端辺20a-2,41a-2間に所定の寸法分離れた隙間部C2を設けた点である。隙間部C2の幅は、より狭い方が好ましいが、製造時の寸法誤差などにより隙間部C2が無くならない程度の寸法とする。具体的にこの例の場合、電極パターン20-2の横幅寸法を数cmとしたときに、隙間部C2の幅寸法を0.2mm以下とする。尚、隙間部C2の幅寸法を0.1mm以下にすれば、隙間部C2が、より視認されにくくなる。
【0032】
そして、図示しない液晶パネルの画面を明るく表示すれば、画面から放射される光は透明な材料で構成した静電容量式タッチスイッチ1-2内を通過して行き、その表面側(第2の透明絶縁層50-2側)から外方(上方)に向けて放射される。このとき上記第1実施形態の場合と同様、静電容量式タッチスイッチ1-2全体の屈折率(電極パターン20-2を通過していく光の屈折率と、ダミー電極パターン40-2を通過していく光の屈折率)が同一なので、見る人の目には、電極パターン20-2の外周の輪郭が視認しにくくなり、見栄えが良くなる。さらに電極パターン20-2を構成する透明導電樹脂材に、導電性を持たせるために僅かな色味がついている場合でも、その周囲を覆うダミー電極パターン40-2にも同様の色味がついているため、この点からも電極パターン20-2の外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。また、隙間部C2については他の部分に比べて幾分屈折率が変わることとなるが、その幅が小さく、また隙間部C2の両側の広い面が同一の屈折率、さらには同一の色味なので、これを見る人の目には隙間部C2がほとんど視認されず、見栄えが悪くなることはない。
【0033】
図8は本発明の第3実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-3の一部拡大断面図であり、前記
図2と同一部分を示している。同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-3において、前記
図1~
図6に示す実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し、各符号には添え字「-3」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図6に示す実施形態と同じである。
【0034】
同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-3において上記静電容量式タッチスイッチ1-1と相違する点は、電極パターン20-3の外周端辺20a-3と電極パターン用開口部41-3の内周端辺41a-3を、当該電極パターン20-3とダミー電極パターン40-3を透明基板10-3の上方または下方から投影した際に、重畳部や隙間部を設けないで正確に一致するように形成した点である。
【0035】
製造設備の精度を向上させることで、重畳部や隙間部を設けないで両者の端辺20a-3,41a-3を正確に一致するように構成できれば、上記静電容量式タッチスイッチ1-1の場合と同様に(それ以上に)、これを見る人の目には、電極パターン20-3の外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。
【0036】
以上のように、重畳部C1を設けるか、隙間部C2を設けるか、両者を設けないで正確に端辺を一致させるかは、液晶パネル60の色味によって、何れが最もその境界を視認されにくいかを基準にして選択しても良い。
【0037】
図9は本発明の第4実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-4を示す図であり、
図9(a)は平面図、
図9(b)は
図9(a)のB-B断面矢視図である。また
図10は
図9(b)の一部拡大断面図である。同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-4において、前記
図1~
図6に示す実施形態にかかる静電容量式タッチスイッチ1-1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し、各符号には添え字「-4」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1~
図6に示す実施形態と同じである。
【0038】
同図に示す静電容量式タッチスイッチ1-4において上記静電容量式タッチスイッチ1-1と相違する点は、電極パターン20-4とダミー電極パターン40-4の積層順序を逆にした点である。即ちこの静電容量式タッチスイッチ1-4においては、透明基板10-4上に電極パターン用開口部41-4を有するダミー電極パターン40-4を形成し、前記透明基板10-4の前記ダミー電極パターン40-4を形成した面を覆うように第1の透明絶縁層30-4を形成し、さらに前記透明基板10-4の上方または下方から前記ダミー電極パターン40-4の電極パターン用開口部41-4を投影した際の当該電極パターン用開口部41-4に対向する前記第1の透明絶縁層30-4の上面に透明な電極パターン20-4を形成し、さらに前記第1の透明絶縁層30-4の電極パターン20-4を形成した面を覆うように第2の透明絶縁層50-4を形成して構成されている。
【0039】
このとき、第1実施形態と同様に、各電極パターン20-4の外周端辺20a-4と電極パターン用開口部41-4の内周端辺41a-4が、当該電極パターン20-4とダミー電極パターン40-4を透明基板10-4の上方または下方から投影した際に、互いに所定の寸法分重なり合うような寸法形状で形成され、第1実施形態と同様の重畳部C1-4を形成している。
【0040】
そして、静電容量式タッチスイッチ1-4の下面側に設置した図示しない液晶パネルの画面を明るく表示すれば、画面から放射された光は透明な材料で構成された静電容量式タッチスイッチ1-4内を通過して行き、その表面側(第2の透明絶縁層50-4側)から外方(上方)に向けて放射される。このとき上記第1実施形態の場合と同様、静電容量式タッチスイッチ1-4全体の屈折率(電極パターン20-4を通過していく光の屈折率と、ダミー電極パターン40-4を通過していく光の屈折率)が同一なので、見る人の目には、電極パターン20-4の外周の輪郭が視認しにくくなり、見栄えが良くなる。さらに電極パターン20-4を構成する透明導電樹脂材に、導電性を持たせるために僅かな色味がついている場合でも、その周囲を覆うダミー電極パターン40-4にも同様の色味がついているため、この点からも電極パターン20-4の外周の輪郭が視認されにくくなり、見栄えが良くなる。また、重畳部C1-4については他の部分に比べて幾分屈折率が変わることとなるが、その幅が小さく、また重畳部C1-4の両側の広い面が同一の屈折率、さらには同一の色味なので、これを見る人の目には重畳部C1-4がほとんど視認されず、見栄えが悪くなることはない。
【0041】
また透明基板10-4を下側としてこの静電容量式タッチスイッチ1-4を液晶パネル60の画面61上に載置した場合、上記
図1に示す静電容量式タッチスイッチ1-1に比べて電極パターン20-4が操作側(最終製品の外側)に位置するので、指などを接近させた際の静電容量の変化の反応が良い。
【0042】
なお、この静電容量式タッチスイッチ1-4の場合は、電極パターン20-4の外周端辺20a-4と電極パターン用開口部41-4の内周端辺41a-4の部分に重畳部C1-4を設けたが、その代わりに、上記第2,第3実施形態のように、隙間部を設けたり、精度よく一致させるようにしたりしても良い。
【0043】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、透明基板の形状、電極パターンの形状や個数、ダミー電極パターンの形状、電極パターン用開口部の形状や個数、静電容量式タッチスイッチの使用方法などは、種々の変更が可能である。また上記例では、電極パターンとダミー電極パターンを同一材料、同一厚み、同一塗布方法で形成した例を示したが、場合によっては異なる材料、異なる厚み、異なる塗布方法で形成しても良い。また上記例では、第1の透明絶縁層と第2の透明絶縁層を同一材料、同一厚み、同一塗布方法で形成した例を示したが、場合によっては異なる材料、異なる厚み、異なる塗布方法で形成しても良い。また場合によっては第2の透明絶縁層は省略しても良い。
【0044】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1-1,1-2,1-3,1-4 静電容量式タッチスイッチ
10,10-2,3,4 透明基板
20,20-2,3,4 電極パターン
30,30-2,3,4 第1の透明絶縁層
40,40-2,3,4 ダミー電極パターン
50,50-2,3,4 第2の透明絶縁層
C1,C1-4 重畳部
C2 隙間部