(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087619
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】外観選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20230616BHJP
B07C 5/04 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B07C5/342
B07C5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040831
(22)【出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021202093
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】中井 剛
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC21
3F079AC23
3F079CA21
3F079CA23
3F079CA41
3F079CA42
3F079CC05
3F079DA06
3F079DA13
(57)【要約】
【課題】能力を低下させることなく規格外の青果物を除去することができる選別装置を提供する。
【解決手段】本発明の選別装置1は、青果物Wを移動させる移動部10と、前記移動している青果物Wを撮像して、当該青果物Wの画像を生成する撮像部と、前記青果物Wの画像に基づいて、当該青果物Wの品質を判定する判定部30と、前記判定部30によって規格外と判定された前記青果物Wを排出する排出部50と、を備え、前記移動部10は、前記青果物Wを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送先に設けられたシュート12と、を含み、前記シュート12には、前記青果物Wを下方に排出可能な排出口124が設けられており、前記排出部50は、前記排出口124を開閉する開閉部を備え、前記規格外と判定された青果物Wが前記排出口124を通過するタイミングで、前記開閉部を閉状態から開状態へと制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送部と、
前記搬送部の下流に設けられ、前記ワークを落下排出するよう開閉するシュートと、
前記移動しているワークを撮像して、当該ワークの画像を生成する撮像部と、
前記ワークの画像に基づいて当該ワークの品質を判定する判定部と、
前記判定の結果に基づいて前記ワークを落下排出すべく前記シュートの開閉を制御する排出制御部と、
を備える、外観選別機。
【請求項2】
前記排出制御部は、前記落下排出すべきワークが前記シュートを通過するタイミングで、前記シュートの開閉を制御する、請求項1に記載の外観選別機。
【請求項3】
複数の前記ワークよりも幅広に形成された前記搬送部における当該ワークの位置を追跡する追跡部を備え、
前記シュートは前記搬送部の幅方向に配列された複数の開閉体を備え、
前記排出制御部は前記落下排出すべきワークの位置に対応する開閉体の開閉を制御する、請求項1または請求項2に記載の外観選別機。
【請求項4】
前記搬送部は、前記複数のワークを横一列に並べた状態で搬送可能である、請求項3に記載の外観選別機。
【請求項5】
前記判定部は、前記ワークの画像に基づいて、当該ワークのサイズを判定し、
前記排出制御部は、前記ワークのサイズに対応する数の開閉体を開閉させる、請求項3または請求項4に記載の外観選別機。
【請求項6】
前記判定部は機械学習に基づいて前記ワークの品質を判定することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の外観選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークの外観に基づいてワークを選別する外観選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、青果物の集出荷施設では、集荷した青果物をその外観や内部の品質に応じて選別する選別装置が用いられている。特許文献1の選別装置は、青果物を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される青果物に関するデータを取得するデータ取得手段と、データ取得手段の取得結果に基づいて、青果物の位置または青果物の品質のいずれかを含む個体情報を取得する個体情報取得手段と、個体情報に基づいて青果物を把持する把持手段と、把持手段を所定位置に移動させる移動機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献では、規格外の青果物を搬送手段から除去するために、把持手段として把持ロボットを用いているが、搬送手段によって移動している青果物を把持ロボットで把持するには、その位置調整を正確に行う必要がある。また、青果物は自然物であることからサイズや形状が不均一であるため、サイズや形状に対応した把持動作を慎重に行う必要がある。このため、把持ロボットによる除去効率に対応させて搬送手段の搬送速度を定める必要があり、除去効率が低い場合には搬送速度を緩める必要があり、選別装置全体の能力が低下する恐れがある。このような問題は、青果物の選別装置に限定されず、把持ロボットを用いてワークを取り出す工程を有する選別装置でも同様に生ずるものである。
【0005】
そこで、本発明は、能力を低下させることなく搬送中のワークを取り除くことができる外観選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の外観選別機は、ワークを搬送する搬送部と、前記搬送部の下流に設けられ、前記ワークを落下排出するよう開閉するシュートと、前記移動しているワークを撮像して、当該ワークの画像を生成する撮像部と、前記ワークの画像に基づいて当該ワークの品質を判定する判定部と、前記判定の結果に基づいて前記ワークを落下排出すべく前記シュートの開閉を制御する排出制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記排出制御部は、前記落下排出すべきワークが前記シュートを通過するタイミングで、前記シュートの開閉を制御することを特徴とする。
【0008】
また、複数の前記ワークよりも幅広に形成された前記搬送部における当該ワークの位置を追跡する追跡部を備え、前記シュートは前記搬送部の幅方向に配列された複数の開閉体を備え、前記排出制御部は前記落下排出すべきワークの位置に対応する開閉体の開閉を制御することを特徴とする。
【0009】
さらに、前記搬送部は、前記複数のワークを横一列に並べた状態で搬送可能であることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、前記判定部は、前記ワークの画像に基づいて、当該ワークのサイズを判定し、
前記排出制御部は、前記ワークのサイズに対応する数の開閉体を開閉させることを特徴とする。
【0011】
また、判定部は機械学習に基づいて前記ワークの品質を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の選別装置は、能力を低下させることなく搬送中のワークを取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)本発明の第1実施形態に係る選別装置の概略平面図、(b)当該選別装置の概略側面図である。
【
図2】(a)上記選別装置のハードウェア構成図、(b)当該選別装置の機能ブロック図
【
図4】(a)本発明の第2実施形態に係る選別装置の概略平面図、(b)格外品の非排出時の概略側面図、(c)格外品の排出時の概略側面図
【
図6】(a)A-A線から見た図、(b)B-B線から見た図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、青果物の選別装置を例にして、図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
【0016】
第1実施形態の選別装置1は、青果物Wの集出荷施設に設けられており、生産者から搬入された青果物Wをその外観や内部の品質に応じて等階級別に選別する装置である。この選別装置1は、
図1に示すように、ワークである青果物Wを移動させる移動部10として機能する第1コンベヤ11、シュート12、及び第2コンベヤ13を備えている。
【0017】
第1コンベヤ11は、複数の青果物Wよりも幅広であり、青果物Wを回転搬送する搬送部として機能する。本実施形態では、連続して並べられた複数のローラ111を備え、ローラ111の各々が搬送方向へと駆動される駆動ローラコンベヤ110を用いている。当該駆動ローラコンベヤ110が備えるローラ111は、図示するように複数の青果物Wを横並びに載せることができる長さであるが、青果物Wを単列搬送する長さのローラ111であってもよい。また、ローラ111の各々は、搬送方向に移動しながら回転する。よって、当該ローラ111の移動と回転に伴って、ローラ111上に載せられた青果物Wが回転搬送されることとなる。なお、第1コンベヤ11は駆動ローラコンベヤ110に限定されず、青果物Wを回転搬送するコンベヤであればよい。第1コンベヤ11の下流端にはシュート12が設けられている。
【0018】
シュート12は、第1コンベヤ11から送り出された青果物Wを受け、その青果物Wを第2コンベヤ13へと移動させるものである。具体的には、シュート12は、第1コンベヤ11側を上流端121とし、当該上流端121から下方に向かって傾斜しており、第2コンベヤ13側を下流端122としている。当該第1コンベヤ11から送り出された青果物Wは、シュート12の傾斜面123上を転がりながら、第2コンベヤ13へと移動する。
【0019】
第2コンベヤ13は、シュート12上を移動してきた青果物Wを単列で搬送するV字状のベルトコンベヤである。当該第2コンベヤ13に載せられた青果物Wは、青果物Wの外部品質および内部品質の等階級を判定する判定装置へと運ばれ、青果物Wは判定された等階級ごとに振り分けられる。
【0020】
ここで、本実施形態では、第1コンベヤ11によって搬送される青果物Wについて規格外の有無を判定し、規格外と判定された青果物W(以下、格外品)については、シュート12を移動する際に、シュート12に設けられた排出口124を通じて取り除くこととしている。これは、例えば、腐敗した青果物Wが第2コンベヤ13やそれ以降の搬送手段に触れることで、第2コンベヤ13や他の搬送手段が汚れてしまい、当該汚れに起因する品質判定の精度低下や、他の青果物Wに付着してしまうことを防止するためである。なお、規格外の青果物Wには、腐敗した青果物Wだけでなく、サイズ・形状、色味などが規定の範囲から外れた青果物Wや、傷が多い青果物Wが含まれる。
【0021】
具体的には、第1コンベヤ11の上方には撮像部20として機能するカメラ21が設けられている。カメラ21は、第1コンベヤ11の下流部分を画角に含むように設けられており、所定のフレームレートで撮像し、生成した画像をコンピュータ31へと送信する。これにより、第1コンベヤ11の下流部分を回転搬送されている全ての青果物Wの画像がコンピュータ31に送信されることとなる。なお、当該カメラ21の撮像レートは、青果物が1回転する間に、当該青果物の全周が撮像されるよう設定される。
【0022】
コンピュータ31は、メモリとCPUを備えている。メモリにはプログラムが記憶されており、CPUがプログラムを実行することで、コンピュータ31は、第1コンベヤ11によって搬送される青果物Wの全周画像に基づいて、当該青果物Wが規格外か否かを判定する判定部30として機能する。また、コンピュータ31は、第1コンベヤ11における格外品の位置を追跡する追跡部40として機能する。さらに、コンピュータ31は、格外品を落下させて排出すべく、シュート12の排出口124に設けられた複数の開閉板51(開閉体)を開閉制御する排出制御部50として機能する。
【0023】
開閉板51は、シュート12の傾斜面123に設けられた排出口124を開閉する板である。シュート12の排出口124は、シュート12の上流部から中流部に渡って設けられた穴であり、穴の幅はシュート12の幅と同程度の長さであり、穴の長さは規格外(規格よりも大きいサイズ)の青果物Wが通過できる長さに形成されている。開閉板51の各々は短冊形に形成された板であり、その長手方向をシュート12の傾斜方向に向けて配置されている。また、複数の開閉板51は、シュート12の幅方向に沿って並列的に配置されている。これにより複数の開閉板51は排出口124を閉じるように設けられることとなる。
【0024】
各開閉板51の下端部は直動装置52に取り付けられている。直動装置52は、開閉板51をシュート12の傾斜方向に沿って直動させる装置であって、開閉板51に対して1対1で設けられている。直動装置52の各々は、コンピュータ31に電気的に接続されており、コンピュータ31から開信号が入力された場合に開閉板51を、傾斜面123に沿ってシュート12の下端122に向かって直動させる。コンピュータ31によって指定された開閉板51が直動することで、排出口124が開いた状態となり、排出口124から青果物Wが下方に落下することで排出されることとなる。このように、開閉板51および直動装置52は、シュート12に設けられた排出口124から格外品を落下排出させる排出部として機能している。
【0025】
以下、コンピュータ31の制御フローを説明する。コンピュータ31は、そのCPU(不図示)がメモリ(不図示)に記憶されているプログラムをロードして実行することで、
図3に示すように、取得処理(s10)、判定処理(s20)、追跡処理(s30)、及び排出処理(s40)を順に実行する。
【0026】
取得処理(s10)は、カメラ21から画像を取得する処理である。具体的には、カメラ21は、第1コンベヤ11の下流部分を撮像し画像を生成する。そして、カメラ21は、画像を生成する度に、コンピュータ31に対して画像を送信する。コンピュータ31は、カメラ21から画像が送信される度に画像を受信して、下記の判定処理(s20)、追跡処理(s30)、及び排出処理(s40)を実行する。すなわち、判定処理(s20)、追跡処理(s30)、及び排出処理(s40)は、カメラ21の撮像レートに同期して実行されることとなる。
【0027】
コンピュータ31はカメラ21から画像を受信すると判定処理(s20)を実行する。判定処理(s20)は、青果物Wが規格外であるか否かを判定する処理である。本実施形態では、予め規格外の青果物Wの画像を教師データとして準備しておき、当該教師データに基づいて機械学習を実施することで学習済みモデルを生成している。そして、上記取得処理(s10)において取得した画像に含まれている青果物Wの画像を抽出し、抽出した青果物Wの画像を学習済みモデルに入力することで規格外の有無を判定することとしている。コンピュータ31は、抽出した青果物Wの各々に対して識別番号を付与し、格外品と判断された青果物Wの識別番号には格外フラグをセットする。また、格外品と判定された青果物Wについては、その青果物Wの画像に基づいてサイズが測定され、その識別番号に対応付けてサイズが記憶される。
【0028】
上記判定処理(s20)を実行すると、コンピュータ31は追跡処理(s30)を実行する。追跡処理(s30)は、格外品と判定された青果物Wの位置(画像における座標)を追跡する処理である。具体的には、コンピュータ31は、カメラ21から画像を取得する度に、当該画像に含まれている全ての青果物Wについて座標を特定する。特定した座標は、青果物Wの識別番号に対応付けて記憶される。ここで、上記判定処理(s20)において、格外品と判定された青果物Wについては格外フラグが設定されているので、格外品の位置(座標)を追跡することとなる。
【0029】
上記追跡処理(s30)を実行すると、コンピュータ31は排出処理(s40)を実行する。排出処理(s40)は、格外品を排出する処理である。具体的には、コンピュータ31は、各青果物Wの識別情報に対応する座標を抽出し、搬送方向の座標値であるX座標値が第1コンベヤ11の終端に相当するか否かを確認する。ここで、X座標値が第1コンベヤ11の終端に相当する青果物Wについては、格外フラグがセットされているか否かが確認される。格外フラグがセットされている場合には、Y座標値に対応する直動装置52に開信号を送信するとともに、当該青果物Wのサイズに対応するように当該直動装置52の左右に位置する直動装置52(青果物Wのサイズによっては更に左右に位置する直動装置52)に対しても開信号を送信する。これにより、格外品が排出口124を通過するタイミングで、青果物Wの位置(Y座標)とサイズに対応する数の開閉板51が開状態となり、格外品が排出口124を通じて落下排出されることとなる。
【0030】
上記のように、搬送部として機能する第1コンベヤ11、撮像部20として機能するカメラ21、判定部30、追跡部40、及び排出制御部50として機能するコンピュータ31、並びにシュート12によって外観選別機が構成されている。
【0031】
本実施形態の選別装置1は、外観選別機において、格外品がシュート12を通過する過程で、シュート12に設けられた排出口124から排出されることとなる。このように本実施形態では従来のように把持ロボットを用いることなく、開閉板51を開閉するだけでよいので、青果物Wの搬送速度を遅くする必要がない。よって、本実施形態の選別装置1は、外観選別機によって格外品を落下排出させることで、能力を落とすことなく格外品を除去することができる。
【0032】
また、第1コンベヤ11はローラコンベア110であるため、青果物Wは、各ローラ111の間に配された状態で搬送され、シュート12に対して排出される。よって、青果物Wは不規則なタイミングでシュート12に排出されるのではなく、第1コンベヤ11の搬送速度に合わせて排出されるので、開閉板51の開閉タイミングを容易に調節することができる。また、複数の青果物Wが各ローラ111の間に横一列に並んだ状態で搬送されるので、多くの青果物Wの排出制御を容易に調節することが可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
【0034】
図4に示すように、第2実施形態の選別装置1aは、外観選別機(第1コンベヤ11、カメラ21、及びコンピュータ31)および第2コンベヤ13を備え、外観選別機によって格外品の青果物Wを落下排出する点において第1実施形態と共通している。しかし、第2実施形態の選別装置1aは、外観選別機が備えるシュート12aの構成が第1実施形態とは異なっている。以下、当該シュート12aの構成を中心に説明することとする。
【0035】
本実施形態のシュート12aは、複数の揺動体53(複数の開閉体)を備えている。揺動体53の各々は、
図5に示すように、第1コンベヤ11から第2コンベヤ13に向かって下方に傾斜する傾斜部54を備えている。傾斜部54は、短冊板状に形成されており、その幅寸法が青果物Wの直径よりも狭く形成されている。また、傾斜部54の長手方向は、第1コンベヤ11から第2コンベヤ13に向かって延在するように配置されている。すなわち、傾斜部54の上流端部は、第1コンベヤ11から排出された青果物Wを受けることができるよう第1コンベヤ11の下流端近くに配置されており、傾斜部54の下流端部は、第2コンベヤ13に対して青果物Wを供給することができるよう第2コンベヤ13の上流端近くに配置されている。
【0036】
揺動体53は、更に、凸部55を備えている。凸部55は、上記傾斜部54の中間部分の下側に形成されており、傾斜部54の下流側に向かって厚みが漸増するように形成されていることで、その表面が傾斜面を形成している。このような複数の揺動体53は、
図4に示すように、並列的に設けられている。具体的には、複数の揺動体53は、第1コンベヤ11から第2コンベヤ13へと向かう青果物Wの移動経路に直交する方向に所定のすき間をあけて配列されている。
【0037】
上記揺動体53の各々は、
図5および
図6に示すように、その下流端部が揺動装置60に接続されている。揺動装置60は、揺動体53の下方に設けられたプル型のソレノイド61を備えている。ソレノイド61は、そのプランジャ61aが傾斜部54の傾斜方向に対して直交する方向に直動運動するように設けられている。当該プランジャ61aは、傾斜部54から下方に延出した延出部56に接続されている。当該プランジャ61aとの接続箇所の上流側には水平姿勢の揺動軸62が設けられている。当該揺動軸62は、その両端が保持体63に保持されている。保持体63は、L字の金具64を介してソレノイド61のケース61bに取り付けられている。揺動軸62の中間部分には傾斜部54から延出した延出部57が取り付けられている。また、揺動軸62の上流側にはバネ65が設けられている。当該バネ65の上端は揺動体53(傾斜部54)の下流端部に接続されており、バネ65の下端は保持体63に取り付けられている。このように揺動装置60は、ソレノイド61、揺動軸62、金具64、保持体63、及びバネ65により構成されている。そして、各揺動体53に対して設けられた揺動装置60は、シュート12aの幅方向に延在するベースプレート70に取り付けられている。
【0038】
揺動装置60(ソレノイド61)の各々は、コンピュータ31に接続されており、コンピュータ31から入力された開信号に基づいて、プランジャ61aを吸引させる。当該プランジャ61aの動作によって、揺動体53は、揺動軸62を中心として上向きに回転し、垂直な姿勢となる(
図4(c))。また、コンピュータ31から閉信号が入力されると、プランジャ61aは初期位置へと戻され、揺動体53は初期の傾斜姿勢へと戻る(
図4(a))。この際、バネ65の弾性力が揺動体53に作用するので、初期姿勢の復帰が迅速になる。
【0039】
本実施形態の外観選別機は、第1実施形態と同様に、コンピュータ31によって、格外品が判定され、格外品の位置およびサイズに基づいて、作動させるべき揺動体53が選択される。そして、選択された揺動体53に対応する揺動装置60(ソレノイド61)に対して開信号が送信される。これにより、選択された揺動体53が垂直姿勢になることで、シュート12aが開口することとなり、当該開口を通じて格外品が下方に落下排出されることとなる。
【0040】
[変形例1]
上記実施形態では、第1コンベヤ11の上方に1つのカメラ21を備えているが、カメラ21は複数であっても構わない。例えば、複数のカメラ21は、第1コンベヤ11の直上に配置された直上カメラ21と、第1コンベヤ11の両側(左右)の上方に配置された2つの側方カメラ21であっても構わない。これら直上カメラ21および側方カメラ21は、上記実施形態と同様に、第1コンベヤ11の下流部分を搬送される青果物Wを撮像し、青果物Wの画像をコンピュータ31へと送信する。コンピュータ31は、直上カメラ21および側方カメラ21から受信した画像に基づいて判定処理(s20)を実行し、直上カメラ21から受信した画像に基づいて追跡処理(s30)を実行する。このように側方カメラ21から受信した画像も考慮して判定処理(s20)を実行することで、規格外の判定精度が向上する。
【0041】
[変形例2]
上記実施形態および変形例1において、波長の異なる複数の光源を備えても構わない。例えば、可視光線波長、近赤外線波長、および紫外線波長の光源を備えても構わない。このように、複数の光源を備える場合には、カメラ21の撮像フレームに同期させて光源の出力を切り替える。このように波長の異なる光で青果物Wを撮像することで、様々な原因による青果物Wの劣化を検出することが可能となる。
【0042】
[変形例3]
上記第1実施形態では、複数の開閉板51と、各開閉板51が取り付けられた複数の直動装置52と、が排出部50として機能しているが、複数の直動装置52に代えて、複数の回動装置を用いても構わない。回動装置は、開閉板51の上端側を回動軸(シュート12の幅方向に延在する水平軸)として、開閉板51を下方に向かって回動させる装置である。この回動装置は、直動装置52と同様に、コンピュータ31から開信号が入力されると回動軸周りに開閉板51を下方に回動させる。これにより、当該開閉板51が位置する排出口124の一部が開いた状態となる。また、回動装置は、コンピュータ31から閉信号が入力されると回動軸周りに開閉板51を上方に回動させる。これにより、開いた状態の排出口124の一部が閉じた状態となる。回動装置の回動方向は、当該態様に限られない。例えば、開閉板51の下端側を回動軸として、開閉板51を上方に向かって回動させても構わない。すなわち、回動装置は、コンピュータ31からの開信号に基づいて、開閉板51を上方に回動させ、コンピュータ31からの閉信号に基づいて、開閉板51を傾斜面123に沿うように下方に回動させる態様であっても構わない。
【0043】
[変形例4]
上記実施形態および変形例1では、カメラ21は第1コンベヤ11の下流部分を撮像しているが、第1コンベヤ11全体を撮像しても構わない。
【0044】
[変形例5]
上記実施形態および変形例では、排出部によって格外品を排出しているが、排出対象の青果物は格外品に限られない。例えば、所定の等階級の青果物を排出するものであっても構わない。
【0045】
[変形例6]
青果物の選別装置を例にして実施形態および変形例を説明したが、本発明は青果物の選別装置に限定されない。例えば、食料品の製造過程に設けられ、製造されてきた食料品を選別する選別装置として用いても構わない。他には、工業製品の製造過程に設けられ、製造されてきた工業製品を選別する選別装置として用いても構わない。
【符号の説明】
【0046】
1 選別装置
10 移動部
11 第1コンベヤ
12,12a シュート
20 撮像部
30 判定部
40 追跡部
50 排出制御部
51 開閉板(開閉体)
53 揺動体(開閉体)
124 排出口