IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載装置 図1
  • 特開-車載装置 図2
  • 特開-車載装置 図3
  • 特開-車載装置 図4
  • 特開-車載装置 図5
  • 特開-車載装置 図6
  • 特開-車載装置 図7
  • 特開-車載装置 図8
  • 特開-車載装置 図9
  • 特開-車載装置 図10
  • 特開-車載装置 図11
  • 特開-車載装置 図12
  • 特開-車載装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087639
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20230616BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148385
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】63/288,743
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA02
3B084JA05
3B084JA08
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】 熱エネルギーを有効に活用することのできる車載装置を提供する。
【解決手段】 車両に搭載される車載装置403であって、本体411と、前記本体に着脱自在に構成され、且つ、熱エネルギーを蓄えることのできる蓄熱装置413とを備え、前記蓄熱装置は、相転移により、熱を潜熱として蓄熱可能な潜熱蓄熱材を含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
本体と、前記本体に着脱自在に構成され、且つ、熱エネルギーを蓄えることのできる蓄熱装置とを備え、
前記蓄熱装置は、相転移により、熱を潜熱として蓄熱可能な潜熱蓄熱材を含む車載装置。
【請求項2】
前記本体と前記蓄熱装置とは協働して、前記車両に搭載される車両用シートのアームレストを構成し、
前記本体は、基端において前記車両用シートのシートバックに支持され、
前記蓄熱装置は、前記本体の遊端に着脱可能に支持されている請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記本体及び前記蓄熱装置の一方には磁石が設けられ、他方に設けられた磁石に吸着する磁石又は金属が設けられている請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記本体と前記蓄熱装置とは協働して、前記車両に搭載される車両用シートを構成している請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車両用シートは、シートクッションと、前記シートクッションの後端に設けられたシートバックとを備え、
前記シートクッション及び前記シートバックにはそれぞれ、前記蓄熱装置を受容する受容凹部と、対応する前記受容凹部に接続され、互いに接続されたダクトとが設けられ、
前記蓄熱装置は、前記受容凹部にそれぞれ受容されている請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれ、前記受容凹部の底面に形成された溝と、前記溝の内部及び前記ダクトの内部を接続する貫通孔とを備え、
前記溝、前記貫通孔、及び、前記ダクトのいずれか1つに排気装置が設けられている請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記シートクッションに設けられた前記溝の内部の温度と、前記シートバックに設けられた前記溝の内部の温度とをそれぞれ検出する2つの温度センサと、前記温度センサによって検出される温度を取得し、前記排気装置の駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記温度センサによって検出される温度の一方が他方に比べて高い場合には、前記一方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部に、前記他方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部の空気を送り出すべく、前記排気装置を駆動させる請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記蓄熱装置は、ヒータと、前記潜熱蓄熱材を含む蓄熱部と、を有し、
前記蓄熱部は前記ヒータに接するように配置されている請求項2~請求項7のいずれか1つの項に記載の車載装置。
【請求項9】
前記蓄熱装置は、前記ヒータを支持する基材を更に有し、前記基材と前記蓄熱部との間には、前記基材と前記蓄熱部との間の温度差によって発電するペルチェ素子が設けられている請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
前記潜熱蓄熱材は固体間の相転移により熱を蓄熱可能な材料によって構成されている請求項1に記載の車載装置。
【請求項11】
前記潜熱蓄熱材は圧力の印加により、相転移が誘起される材料によって構成されている請求項1に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置の一つである車両用シートには、着座する乗員に快適な温度環境を提供するため、ヒータが設けられることがある。例えば、特許文献1は、アームレストにヒータが設けられたシートを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-4850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシートにおいて、ヒータが駆動すると、アームレストが昇温し、アームレストに熱エネルギーが蓄えられる。アームレストが温められた後、乗員が降車すると、アームレストに蓄えられた熱エネルギーは捨てられることになる。そのため、熱エネルギーが有効に活用されていないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、熱エネルギーを有効に活用することのできる車載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両に搭載される車載装置(403、451、531、551)であって、本体(411、459,493、542、554)と、前記本体に着脱自在に構成され、且つ、熱エネルギーを蓄えることのできる蓄熱装置(413、461,495、544、555)とを備え、前記蓄熱装置は、相転移により、熱を潜熱として蓄熱可能な潜熱蓄熱材を含む。
【0007】
この態様によれば、蓄熱装置が対象物から着脱自在である。そのため、乗員が蓄熱装置を必要に応じて運搬することで、熱エネルギーを要する場所で、熱エネルギーを有効に活用することができる。また、潜熱蓄熱材を含むため、蓄熱装置に高い蓄熱能力を持たせることができる。
【0008】
上記の態様において、好ましくは、前記本体(411)と前記蓄熱装置(413)とは協働して、前記車両に搭載される車両用シート(401)のアームレスト(403)を構成し、前記本体は、基端において前記車両用シートのシートバック(407)に支持され、前記蓄熱装置は、前記本体の遊端に着脱可能に支持されている。
【0009】
この態様によれば、蓄熱装置を着脱し易い位置に配置することができる。
【0010】
上記の態様において、好ましくは、前記本体及び前記蓄熱装置の一方には磁石(421)が設けられ、他方に設けられた磁石に吸着する磁石又は金属部材(441)が設けられている。
【0011】
この態様によれば、簡素な構成によって、蓄熱装置を本体に着脱自在に構成することができる。
【0012】
上記の態様において、好ましくは、前記本体と前記蓄熱装置とは協働して、前記車両に搭載される車両用シート(451、531)を構成している。
【0013】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーを乗員が着座する車両用シートに供給することができるため、熱エネルギーを有効に活用できる。
【0014】
上記の態様において、好ましくは、前記車両用シート(451、531)は、シートクッション(453)と、前記シートクッションの後端に設けられたシートバック(455)とを備え、前記シートクッション及び前記シートバックにはそれぞれ、前記蓄熱装置を受容する受容凹部(467、501)と、対応する前記受容凹部に接続され、互いに接続されたダクト(477,511)とが設けられ、前記蓄熱装置(461、495)は、前記受容凹部にそれぞれ受容されている。
【0015】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーをシートクッション及びシートバックの間で流通させることができる。
【0016】
上記の態様において、好ましくは、前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれ、前記受容凹部の底面に形成された溝(471、505)と、前記溝の内部及び前記ダクトの内部を接続する貫通孔(475、509)とを備え、前記溝、前記貫通孔、及び、前記ダクトのいずれか1つに排気装置(479、513)が設けられている。
【0017】
この態様によれば、ファンが駆動することによって、溝の内部の空気を流通させることができるため、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーをシートクッション及びシートバックの間で効率よく流通させることができる。
【0018】
上記の態様において、好ましくは、前記シートクッションに設けられた前記溝の内部の温度と、前記シートバックに設けられた前記溝の内部の温度とをそれぞれ検出する2つの温度センサ(481、515)と、前記温度センサによって検出される温度を取得し、前記排気装置の駆動を制御する制御装置(491)とを備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される温度の一方が他方に比べて高い場合には、前記一方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部に、前記他方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部の空気を送り出すべく、前記排気装置を駆動させる。
【0019】
この態様によれば、シートバックに設けられた溝の内部と、シートクッションに設けられた溝の内部との温度の均一化が図られる。
【0020】
上記の態様において、好ましくは、前記蓄熱装置は、ヒータ(429、487,521、547)と、前記潜熱蓄熱材を含む蓄熱部(431、483,517、548)と、を有し、前記蓄熱部は前記ヒータに接するように配置されている。
【0021】
この態様によれば、蓄熱部にヒータが発生する熱エネルギーを効率よく蓄えることができる。
【0022】
上記の態様において、好ましくは、前記蓄熱装置は、前記ヒータを支持する基材(423)を更に有し、前記基材と前記蓄熱部との間には、前記基材と前記蓄熱部との間の温度差によって発電するペルチェ素子(570)が設けられている。
【0023】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0024】
上記の態様において、好ましくは、前記潜熱蓄熱材は固体間の相転移により熱を蓄熱可能な材料によって構成されている。
【0025】
この態様によれば、潜熱蓄熱材が固液間の相転移による潜熱を蓄熱する材料によって構成されている場合に比べて封止する必要がないため、蓄熱装置の構成が簡素になる。
【0026】
上記の態様において、好ましくは、前記潜熱蓄熱材は圧力の印加により、相転移が誘起される材料によって構成されている。
【0027】
この態様によれば、潜熱蓄熱材を加圧することによって、熱エネルギーを取り出すことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のある態様は、車両に搭載される車載装置(403、451、531、551)であって、本体(411、459,493、542、554)と、前記本体に着脱自在に構成され、且つ、熱エネルギーを蓄えることのできる蓄熱装置(413、461,495、544、555)とを備え、前記蓄熱装置は、相転移により、熱を潜熱として蓄熱可能な潜熱蓄熱材を含む。
【0029】
この態様によれば、蓄熱装置が対象物から着脱自在である。そのため、乗員が蓄熱装置を必要に応じて運搬することで、熱エネルギーを要する場所で、熱エネルギーを有効に活用することができる。また、潜熱蓄熱材を含むため、蓄熱装置に高い蓄熱能力を持たせることができる。
【0030】
上記の態様において、好ましくは、前記本体(411)と前記蓄熱装置(413)とは協働して、前記車両に搭載される車両用シート(401)のアームレスト(403)を構成し、前記本体は、基端において前記車両用シートのシートバック(407)に支持され、前記蓄熱装置は、前記本体の遊端に着脱可能に支持されている。
【0031】
この態様によれば、蓄熱装置を着脱し易い位置に配置することができる。
【0032】
上記の態様において、好ましくは、前記本体及び前記蓄熱装置の一方には磁石(421)が設けられ、他方に設けられた磁石に吸着する磁石又は金属部材(441)が設けられている。
【0033】
この態様によれば、簡素な構成によって、蓄熱装置を本体に着脱自在に構成することができる。
【0034】
上記の態様において、好ましくは、前記本体と前記蓄熱装置とは協働して、前記車両に搭載される車両用シート(451、531)を構成している。
【0035】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーを乗員が着座する車両用シートに供給することができるため、熱エネルギーを有効に活用できる。
【0036】
上記の態様において、好ましくは、前記車両用シート(451、531)は、シートクッション(453)と、前記シートクッションの後端に設けられたシートバック(455)とを備え、前記シートクッション及び前記シートバックにはそれぞれ、前記蓄熱装置を受容する受容凹部(467、501)と、対応する前記受容凹部に接続され、互いに接続されたダクト(477,511)とが設けられ、前記蓄熱装置(461、495)は、前記受容凹部にそれぞれ受容されている。
【0037】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーをシートクッション及びシートバックの間で流通させることができる。
【0038】
上記の態様において、好ましくは、前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれ、前記受容凹部の底面に形成された溝(471、505)と、前記溝の内部及び前記ダクトの内部を接続する貫通孔(475、509)とを備え、前記溝、前記貫通孔、及び、前記ダクトのいずれか1つに排気装置(479、513)が設けられている。
【0039】
この態様によれば、ファンが駆動することによって、溝の内部の空気を流通させることができるため、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーをシートクッション及びシートバックの間で効率よく流通させることができる。
【0040】
上記の態様において、好ましくは、前記シートクッションに設けられた前記溝の内部の温度と、前記シートバックに設けられた前記溝の内部の温度とをそれぞれ検出する2つの温度センサ(481、515)と、前記温度センサによって検出される温度を取得し、前記ファンの駆動を制御する制御装置(491)とを備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される温度の一方が他方に比べて高い場合には、前記一方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部に、前記他方の前記温度センサが設けられた前記溝の内部の空気を送り出すべく、前記排気装置を駆動させる。
【0041】
この態様によれば、シートバックに設けられた溝の内部と、シートクッションに設けられた溝の内部との温度の均一化が図られる。
【0042】
上記の態様において、好ましくは、前記蓄熱装置は、ヒータ(429、487,521、547)と、前記潜熱蓄熱材を含む蓄熱部(431、483,517、548)と、を有し、前記蓄熱部は前記ヒータに接するように配置されている。
【0043】
この態様によれば、蓄熱部にヒータが発生する熱エネルギーを効率よく蓄えることができる。
【0044】
上記の態様において、好ましくは、前記蓄熱装置は、前記ヒータを支持する基材(423)を更に有し、前記基材と前記蓄熱部との間には、前記基材と前記蓄熱部との間の温度差によって発電するペルチェ素子(570)が設けられている。
【0045】
この態様によれば、蓄熱装置に蓄えられた熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0046】
上記の態様において、好ましくは、前記潜熱蓄熱材は固体間の相転移により熱を蓄熱可能な材料によって構成されている。
【0047】
この態様によれば、潜熱蓄熱材が固液間の相転移による潜熱を蓄熱する材料によって構成されている場合に比べて封止する必要がないため、蓄熱装置の構成が簡素になる。
【0048】
上記の態様において、好ましくは、前記潜熱蓄熱材は圧力の印加により、相転移が誘起される材料によって構成されている。
【0049】
この態様によれば、潜熱蓄熱材を加圧することによって、熱エネルギーを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】第1実施形態に係る車両用シートの斜視図
図2図1のII-II断面図
図3】第1実施形態に係る車両用シートにおいて、蓄熱装置をアームレスト本体から取り外したときの様子を示す斜視図
図4】第2実施形態に係る蓄熱装置が設けられた車両用シートの断面図
図5】第2実施形態に係る車両用シートのシートクッションの分解斜視図
図6】第3実施形態に係る車両用シート及びその車両用シートが設けられた車両の車体の一部を示す断面図
図7】第4実施形態に係るドアトリムを示す斜視図
図8図7のVIII-VIII断面図
図9】第5実施形態に係るドアトリムを示す斜視図
図10図9のX-X断面図
図11】第1実施形態に係る蓄熱装置の第1変形例
図12】第1実施形態に係る蓄熱装置の第2変形例
図13】本発明に係る蓄熱装置が設置可能な場所を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照して、本発明に係る車載装置は自動車等の車両に搭載される。以下では、車載装置が自動車等の車両のシートの一部又は全体を構成する場合や、ドアトリムを構成する場合等を例示して説明を行う。
【0052】
<<第1実施形態>>
第1実施形態に係る車載装置は、車両用シート(以下、シート401という)のアームレスト403を構成する。以下の説明では、シート401に着座した乗員を基準として、上下、前後及び左右方向を定めるが、本発明はこの方向の記載に限定されない。
【0053】
図1に示すように、シート401は車室内に配置され、例えば、運転席や助手席を構成する。シート401は、車室のフロア上に設けられたシートクッション405と、シートクッション405の後部に結合されたシートバック407と、シートバック407の上側に設けられたヘッドレスト409とを有する。シートクッション405はシート401に着座した乗員の臀部を支持する。シートバック407はシート401に着座した乗員の後方に設けられ、シート401の背凭れとして機能する。
【0054】
シート401は更に、シートバック407の左右側面にそれぞれ回動可能に結合された一対のアームレスト403を備えている。アームレスト403は、シート401に着座した乗員の左右側方に設けられて、シート401の肘掛けとして機能する。
【0055】
図2に示すように、アームレスト403(車載装置の一例)は基端においてシートバック407に結合されたアームレスト本体411と、アームレスト本体411の遊端に着脱自在に結合された蓄熱装置413とを備えている。
【0056】
アームレスト本体411は基端においてシートバック407に回動可能に接続されている。アームレスト403の基端側にはシートバック407の内部からハーネス(不図示)が進入している。ハーネスは車両に搭載されたバッテリ(不図示)に接続されている。ハーネスはアームレスト403の内部を基端側から遊端側に延びている。アームレスト本体411の遊端側の端面にはそのハーネスに結合された給電コネクタ415が固定されている。
【0057】
給電コネクタ415は、アームレスト本体411の遊端側の端面に固定された樹脂製のハウジング417と、ハウジング417に固定された金属製の給電端子419と、ハウジング417に固定された磁石421とを備えている。
【0058】
給電端子419は給電コネクタ415に少なくとも一つ設けられていればよく、また複数の給電端子419が設けられていてもよい。給電端子419はアームレスト本体411の端面において突出している。本実施形態では、給電コネクタ415には2つの給電端子419が設けられ、その2つの給電端子419の間に磁石421が設けられている。
【0059】
蓄熱装置413は6つの側面を有する略直方体状をなしている。図3に示すように、蓄熱装置413は、その骨格を形成する基材423と、基材423に設けられたパッド部材425と、パッド部材425の外面を覆う表皮材427とを有している。
【0060】
基材423は所定方向に延びる略直方体状をなす部材であり、本実施形態では樹脂によって構成されている。
【0061】
パッド部材425は、基材423の延在方向一端側(以下、基端側)の端面を除く、5つの側面を覆うように設けられている。パッド部材425は通気性が良く、且つ、熱を伝えることのできる柔らかな材料によって構成されているとよい。本実施形態では、パッド部材425はウレタン等のクッション性を有する材料によって構成されている。蓄熱装置413に設けられるパッド部材425は、アームレスト本体411やシートバック407、シートクッション405に設けられるパッド部材425よりも柔らかい(弾性率の小さな)材料によって構成されていることが好ましい。
【0062】
表皮材427は合皮や革等の布製の部材によって構成されている。表皮材427はパッド部材425の外面を覆い、温熱部材の基端側の側面を除く他の5つの外側面を構成している。
【0063】
蓄熱装置413は基材423、パッド部材425及び表皮材427に加えて、更に、ヒータ429と、蓄熱部431とを備えている。
【0064】
ヒータ429は布状(シート状)をなすヒータ本体433と、受電コネクタ435とを有している。ヒータ本体433は、絶縁性を有するシート状部材と、シート状部材の表面に設けられた電熱線とを有している。シート状部材は布によって構成されていてもよく、また、ポリイミド樹脂等の樹脂によって構成されていてもよい。電熱線はシート状部材に接着された銅等の導電性を有する金属によって構成されている。受電コネクタ435はヒータ本体433の端部に設けられている。
【0065】
受電コネクタ435は、基材423の基端側の端面に固定された樹脂製のハウジング437と、ハウジング437に固定された金属製の受電端子(不図示)と、ハウジング437に固定された金属部材441とを備えている。
【0066】
本実施形態では受電コネクタ435のハウジング437には、給電端子419を受容する孔443が設けられ、その孔443に受電端子が設けられている。受電コネクタ435が給電コネクタ415に接続されると、給電端子419が孔443に挿入され、受電端子に接触する。これにより、給電端子419と受電端子とが電気的に接続される。このとき、蓄熱装置413はアームレスト本体411に固定され、蓄熱装置413はアームレスト本体411と協働して、車室内に設けられたシート401のアームレスト403を構成する。
【0067】
シート401には、ハーネスにバッテリから供給される電圧をオンオフするためのスイッチ445が適所に設けられている。スイッチ445をオンになると、バッテリからヒータ429に電力が供給される。
【0068】
金属部材441は給電コネクタ415に設けられた磁石421に吸着する金属製(本実施形態では、鉄製)の板部材によって構成されている。金属部材441は受電コネクタ435が給電コネクタ415に接続されたときに磁石421に近接する位置に設けられている。これにより、乗員が蓄熱装置413をアームレスト本体411に接続するときに、金属部材441が磁石421からの磁力に引き寄せられ、受電コネクタ435が給電コネクタ415に吸着される。よって、給電コネクタ415と受電コネクタ435とを容易に接続することができ、蓄熱装置413のアームレスト本体411への取り付けが容易になる。
【0069】
本実施形態では、受電コネクタ435に金属部材441が設けられているが、この態様には限定されない。受電コネクタ435には金属部材441に代えて、給電コネクタ415に設けられた磁石421に吸着可能な磁石421が設けられていてもよい。また、給電コネクタ415に金属部材441が設けられ、受電コネクタ435に磁石421が設けられていてもよい。その他、金属部材441の代わりに、磁石421に吸着可能な部材が用いられていてもよい。
【0070】
蓄熱部431は蓄熱材を有し、ヒータ429等の熱を蓄えることができる。本実施形態では、蓄熱部431は熱エネルギーを、物質が固体から液体、液体から固体への状態変化や、固体の相の間の変化(相転移)する際に吸収・放出する潜熱として蓄えることのできる材料、すなわち潜熱蓄熱材を有している。潜熱蓄熱材の相転移の転移温度(相転移点)は、人間が快適と感じる15~25℃に設定されていることが好ましい。
【0071】
蓄熱部431は液状やゲル状等の潜熱蓄熱材を含んでいてもよい。このとき、潜熱蓄熱材が袋の中に封入されているとよい。蓄熱部431は、潜熱蓄熱材を内包する潜熱蓄熱カプセルや粒状の潜熱蓄熱材がブレンドされたブレンド物によって構成されてもよい。蓄熱部431はその他、潜熱蓄熱カプセルや粒状の潜熱蓄熱材が練り込まれた樹脂や繊維によって構成されていてもよい。
【0072】
潜熱蓄熱材は、2つの固体の相の間の相転移により熱を蓄えることのできる材料によって構成されていることが好ましい。これにより、潜熱蓄熱材が固体と液体の間の相変化により熱を蓄えることのできる材料によって構成された場合に比べて、潜熱蓄熱材を封止する必要がない。そのため、蓄熱装置413の構成が簡素になる。
【0073】
このような液化しない潜熱蓄熱材として、例えば、結晶構造の異なる2つの固体相(例えば、単斜晶と正方晶との変態)の相転移を利用して熱を蓄えることのできる材料、例えば、二酸化バナジウムを用いることができる。潜熱蓄熱材として二酸化バナジウムセラミックスを用いた場合、蓄熱部431の熱伝導率が向上し、蓄熱部431において熱を迅速に蓄えることができる。その他、潜熱蓄熱材として二酸化バナジウムセラミックスを用いた場合、耐久性や機械加工性が向上するという利点もある。
【0074】
その他、潜熱蓄熱材は、他の結晶・非結晶間、結晶間の変態によって熱を蓄えることのできる材料であってもよい。
【0075】
本実施形態では、蓄熱部431は2つの固体の相の間の相転移による熱を潜熱として蓄える潜熱蓄熱材を含み、その潜熱蓄熱材が練り込まれた樹脂(ウレタン等)によって構成されている。
【0076】
図2に示すように、蓄熱部431は、ヒータ429と、パッド部材425との間において、ヒータ429の外面に沿うように配置されている。蓄熱部431は、ヒータ429とともに、基材423の基端側の側面、遊端側の側面以外の面を覆うように配置されている。
【0077】
次に、蓄熱装置413の製造方法について説明する。蓄熱装置413を製造する作業者は基材423を用意した後、その外面にヒータ429を固定する。その後、作業者は、ヒータ429の外面に沿って潜熱蓄熱材を含む蓄熱部431を配置する。更に、作業者が蓄熱部431の外面をパッド部材425によって覆い、その後、作業者がパッド部材425の外面に表皮材427を被せることによって、蓄熱装置413が完成する。
【0078】
次に、このように構成した車載装置(アームレスト403)の効果について説明する。
【0079】
乗員が着座し、スイッチ445をオンにするとヒータ429に電力が供給される。これにより、ヒータ429が発熱し、アームレスト403が温められる。
【0080】
蓄熱装置413はアームレスト本体411に着脱自在に構成されている。そのため、スイッチ445をオフにした後、乗員は蓄熱装置413をアームレスト本体411から取り外し、熱エネルギーを要する場所に蓄熱装置413を持ち運ぶことができる。これにより、例えば、乗員は蓄熱装置413を懐炉の代わりに利用し、自らの指先等を温めることができる。このように、蓄熱装置413を着脱自在に構成することによって、蓄熱装置413に蓄えられた熱エネルギーを効果的に且つ様々な場所で利用することができる。このように、シート401に設けられたアームレスト403は蓄熱可能に構成されるため、蓄熱アームレスト(サーマルアームレスト)と呼ぶことができる。
【0081】
蓄熱装置413はアームレスト403の前端に設けられている。そのため、シート401に着座する乗員が容易に蓄熱装置413を着脱することができる。また、金属部材441(又は、磁石421)を磁石421に吸着させることによって、アームレスト本体411に蓄熱装置413を取り付けることができる。よって、蓄熱装置413の着脱が容易であり、また、簡素な構成によって蓄熱装置413をアームレスト本体411に着脱自在に構成することができる。
【0082】
蓄熱装置413は潜熱蓄熱材を含む。そのため、相転移を用いない通常の蓄熱材に比べて、蓄熱装置413により高い蓄熱能力を持たせることができる。
【0083】
図2に示すように、蓄熱部431はヒータ429に接するように設けられている。そのため、蓄熱部431がヒータ429の熱を効率よく蓄熱することができる。本実施形態では、更に、蓄熱装置413がアームレスト403の前部に設けられているため、シート401に着座する乗員が容易に蓄熱装置413を着脱することができる。
【0084】
上記実施形態では、シート401に着座した乗員がスイッチ445をオンにすることによって、ヒータ429が発熱するように構成されていたが、この態様には限定されない。ヒータ429の発熱は制御装置447によって制御されてもよい。制御装置447は、プロセッサ、メモリ、記憶装置を備えたコンピュータによって構成されている。制御装置447は、シート401の下側に設けられていてもよく(図1参照)、また、車体のいずれかの位置に設けられていてもよい。制御装置447は、プロセッサがメモリや記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、ヒータ429の発熱制御を含む各種制御を実行する。制御装置447は、バッテリ等からの電力供給を制御することによって、ヒータ429の発熱制御を行うとよい。
【0085】
車両がバッテリからの電力により走行する電動車両であるときには、充電時にバッテリに供給される電力の一部がヒータ429に供給され、ヒータ429が発熱するように構成されてもよい。これにより、充電時にバッテリに供給される電力の一部によって、蓄熱装置413に熱エネルギーを蓄えることができる。
【0086】
その他、制御装置447は、車両の駆動に応じて、ヒータ429に通電するように構成されていてもよい。例えば、車両がスマートキー等の端末によって起動可能であるときには、制御装置447は、端末によって車両が起動したときに、ヒータ429を発熱させてもよい。これにより、車両が起動したときに、蓄熱装置413に熱エネルギーを蓄えることができる。
【0087】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る車載装置はシート451を構成する。図4に示すように、シート451は第1実施形態と同様に、シートクッション453、シートバック455及びヘッドレスト457を備えている。
【0088】
シートクッション453はクッション本体459と、クッション本体459に着脱自在に支持されるクッション側蓄熱装置461とを備えている。
【0089】
クッション本体459は、骨格を形成するクッションフレーム(不図示)と、クッションフレームに支持されたパッド部材463(クッションパッド部材)と、パッド部材463の上面を覆う表皮材465とを備えている。
【0090】
クッションフレームは上面視で四角枠型をなす。クッションフレームは、前後に延在する左右一対のサイドフレームと、左右に延びて、左右のサイドフレームの前部を接続するフロントフレームと、左右に延びて、左右のサイドフレームの後部を接続するリアフレームとを備えている。フロントフレームとリアフレームとの間には、前後方向に延びる板状のパンフレームが掛け渡されている。但し、この態様には限定されず、フロントフレームとリアフレームとの間にはパンフレームに代えて、パッド部材463を支持する複数のばね部材が掛け渡されていてもよい。
【0091】
パッド部材463はクッションフレームの上面に載置されている。パッド部材463は上面視で方形をなす直方体状をなしている。パッド部材463の上面にはクッション側蓄熱装置461を受容するべく、下方に凹む受容凹部467が設けられている。受容凹部467はクッション側蓄熱装置461が受容される受容空間469を画定している。
【0092】
本実施形態では、クッション側蓄熱装置461は略直方体状をなしている。受容凹部467もまたクッション側蓄熱装置461に整合する形状をなし、略直方体状の受容空間469を画定している。クッション側蓄熱装置461は受容凹部467に嵌め込まれて、受容凹部467に収容されている。
【0093】
受容凹部467の下面(底面)には下方に凹む筋状の溝部471が設けられている。本実施形態では、図5に示すように、溝部471は上面視でミアンダ状をなしている。溝部471を画定する壁面と、クッション側蓄熱装置461の下面とによって、シートクッション453には通路473が形成されている。
【0094】
パッド部材463には、溝部471の底面から下方に延びパッド部材463の下面に達する通気孔475が設けられている。通気孔475はパッド部材463を厚さ方向に貫通する貫通孔であって、パッド部材463を上下方向に貫通している。パッド部材463の下面には通気孔475に整合する位置に筒状のクッション側ダクト477が設けられている。
【0095】
溝部471の内部にはクッション側排気装置479が設けられている。クッション側排気装置479は通路473の内部の空気を通気孔475に排出する(すなわち、通路473を排気する)ことができる。本実施形態では、クッション側排気装置479は、通路473の内部に通気孔475の内部の空気を供給する(すなわち、通路473に給気する)ことができる。クッション側排気装置479は通気孔475の内部やクッション側ダクト477の内部に設けられてもよく、また、溝部471の内部に設けられていてもよい。本実施形態では、クッション側排気装置479は溝部471の内部であって、通気孔475の上側の開口部分に整合する位置に配置されている。
【0096】
溝部471の内部には更に、通路473の内部の空気の温度を検出するクッション側温度センサ481が設けられている。クッション側温度センサ481は、温度変化によって電気抵抗値が変化する、公知の測温抵抗体温度センサによって構成されているとよい。
【0097】
クッション側蓄熱装置461は第1実施形態と同様に蓄熱可能なクッション側蓄熱部483を備えている。クッション側蓄熱部483もまた、第1実施形態と同様の潜熱蓄熱材を含んでいる。
【0098】
本実施形態では、クッション側蓄熱装置461はクッション側蓄熱部483に加えて、その下部を構成する裏側パッド部材485と、裏側パッド部材485の表側(上側)に設けられたヒータ487と、ヒータ487の表側(上側)に設けられた表側パッド部材489とを有している。クッション側蓄熱部483は、ヒータ487の上面と、表側パッド部材489の下面との間に配置されている。表側パッド部材489と裏側パッド部材485とはそれぞれクッション性を有する材料、例えば、ウレタン等によって構成されているとよい。表側パッド部材489の上面には表皮材490が設けられているとよい。その他、クッション側蓄熱装置461には、裏側パッド部材485、ヒータ487、クッション側蓄熱部483、及び表側パッド部材489を貫通し、溝部471に接続する貫通孔461Aが設けられているとよい。貫通孔461A、溝部471、及び通気孔475によって、シートクッション453には、上面から下面に至る空気通路461Bが形成される。
【0099】
ヒータ487はシートクッション453のパッド部材463の内部に設けられたハーネス(不図示)に接続されている。ヒータ487にはハーネスを介して電力が供給される。ヒータ487に電力が供給されると、ヒータ487が発熱し、ヒータ487の上側に設けられたクッション側蓄熱部483に蓄熱される。本実施形態では、ヒータ487に供給される電力は、第1実施形態と同様のコンピュータによって構成された制御装置491によって制御される。
【0100】
制御装置491はヒータ487の他、クッション側温度センサ481に接続され、クッション側温度センサ481によって検出された通路473内の温度を取得可能に構成されている。更に、制御装置491は、クッション側排気装置479に接続され、クッション側排気装置479を制御可能に構成されている。制御装置491は、クッション側排気装置479を駆動し、空気通路461Bを介して、シート451に着座する乗員とシートクッション453と間を排気することができ、また、乗員に向けて送風することができる。
【0101】
シートバック455はバック本体493と、バック本体493に着脱自在に支持されるバック側蓄熱装置495とを備えている。
【0102】
バック本体493は、骨格を形成するバックフレーム(不図示)と、バックフレームに支持されたパッド部材497(バックパッド部材)と、パッド部材497の前面を覆う表皮材499とを備えている。
【0103】
バックフレームは前面視で四角枠型をなす。バックフレームは、上下に延在する左右一対のサイドフレームと、左右に延びて、左右のサイドフレームの上部を接続するアッパフレームと、左右に延びて、左右のサイドフレームの下部を接続するロアフレームとを備えている。左右のサイドフレームの間には、バックフレームに弾性的に支持され、乗員からの荷重を受ける受圧部材(ランバーサポート)が設けられていてもよい。
【0104】
パッド部材497はバックフレームの前面に載置されている。パッド部材497は正面視で方形をなす直方体状をなしている。パッド部材497の前面にはバック側蓄熱装置495を受容するべく、後方に凹む受容凹部501が設けられている。受容凹部501はバック側蓄熱装置495が受容される受容空間503を画定している。
【0105】
本実施形態では、バック側蓄熱装置495もまた略直方体状をなしている。受容凹部501もまたバック側蓄熱装置495に整合する形状をなし、略直方体状の受容空間503を画定している。バック側蓄熱装置495は受容凹部501に嵌め込まれて、受容凹部501に収容されている。
【0106】
受容凹部501の前面(底面)には後方に凹む溝部505が設けられている。溝部505は例えば、正面視でミアンダ状をなしている。溝部505を画定する壁面と、バック側蓄熱装置495の後面とによって、シートバック455にもまた通路507が形成されている。
【0107】
パッド部材497には、溝部505の底面から後方に延びパッド部材497の後面に達する通気孔509が設けられている。通気孔509はパッド部材497を厚さ方向に貫通孔であって、パッド部材497を前後方向に貫通している。パッド部材497の後面には通気孔509に整合する位置に筒状のバック側ダクト511が設けられている。
【0108】
クッション側ダクト477は一端側においてクッション本体459に結合され、貫通孔を介して、クッション本体459に設けられた受容凹部501に接続されている。バック側ダクト511は一端側においてバック本体493に接続され、通気孔509を介して、バック本体493に設けられた受容凹部501に接続されている。クッション側ダクト477及びバック側ダクト511は他端側において互いに接続されている。
【0109】
溝部505の内部にはバック側排気装置513が設けられている。バック側排気装置513は通路507の内部の空気を通気孔509に排出する(すなわち、通路507を排気する)ことができる。本実施形態では、バック側排気装置513は更に通路507の内部に通気孔509の内部の空気を供給する(すなわち、通路507に給気する)ことができる。通路507の内部の空気を通気孔509に排気するバック側排気装置513が設けられている。バック側排気装置513もまた通気孔509の内部やバック側ダクト511の内部に設けられてもよく、また、溝部505の内部に設けられていてもよい。本実施形態では、バック側排気装置513は溝部505の内部であって、通気孔509の前側の開口部分に整合する位置に配置されている。
【0110】
溝部505の内部には更に、通路507の内部の空気の温度を検出するバック側温度センサ515が設けられている。バック側温度センサ515は、温度変化によって電気抵抗値が変化する測温抵抗体(例えば、ニッケルや銅、白金等の測温抵抗体)を備えた公知の測温抵抗体温度センサによって構成されているとよい。
【0111】
バック側蓄熱装置495は第1実施形態と同様に蓄熱可能なバック側蓄熱部517を備えている。バック側蓄熱部517もまた、第1実施形態と同様に、潜熱蓄熱材を含んでいる。
【0112】
本実施形態では、バック側蓄熱装置495はバック側蓄熱部517に加えて、その後部を構成する裏側パッド部材519と、裏側パッド部材519の表側(前側)に設けられたヒータ521と、ヒータ521の表側(前側)に設けられた表側パッド部材523とを有している。バック側蓄熱部517は、ヒータ521の前面と、表側パッド部材523の後面との間に配置されている。表側パッド部材523と裏側パッド部材519とはそれぞれクッション性を有する材料、例えば、ウレタン等によって構成されているとよい。表側パッド部材523の前面には表皮材524が設けられているとよい。その他、バック側蓄熱装置495には、裏側パッド部材519、ヒータ521、バック側蓄熱部517、及び表側パッド部材523を貫通し、溝部505に接続する貫通孔495Aが設けられているとよい。貫通孔495A、溝部505、及び通気孔509によって、シートバック455には、前面から後面に至る空気通路495Bが形成される。
【0113】
ヒータ521はシートバック455のパッド部材497の内部に設けられたハーネス(不図示)に接続されている。ヒータ521にはハーネスを介して電力が供給される。ヒータ521に電力が供給されると、ヒータ521が発熱し、ヒータ521の表側に設けられたバック側蓄熱部517に蓄熱される。本実施形態では、バック側蓄熱装置495のヒータ521に供給される電力もまた、クッション側蓄熱装置461のヒータ521と同様に、制御装置491によって制御される。
【0114】
制御装置491は、バック側温度センサ515に接続され、バック側温度センサ515によって検出された通路507内の温度を取得可能に構成されている。更に、制御装置491は、バック側排気装置513に接続され、バック側排気装置513を制御可能に構成されている。例えば、制御装置491は、バック側排気装置513を駆動し、空気通路495Bを介して、シート451に着座する乗員とシートバック455と間を排気することができ、また、乗員に向けて送風することができる。
【0115】
制御装置491は、第1実施形態と同様に、スイッチ445への入力があったときには、クッション側蓄熱装置461のヒータ487と、バック側蓄熱装置495のヒータ521とに電力を供給し、ヒータ487、521をそれぞれ発熱させる。
【0116】
制御装置491は、クッション側温度センサ481及びバック側温度センサ515によって取得された温度の少なくとも一方が所定の閾値を越えると、両ヒータ487、521への電力の供給を停止する。これにより、クッション側蓄熱装置461のヒータ487、521の発熱と、バック側蓄熱装置495のヒータ521の発熱とがそれぞれ、停止される。
【0117】
その後、制御装置491は、クッション側温度センサ481によって取得される温度が、バック側温度センサ515によって取得される温度に比べて高い場合には、クッション側排気装置479を駆動する。これにより、シートクッション453の内部の通路473の内部の空気は排出されて、クッション側ダクト477及びバック側ダクト511を介して、シートバック455の内部の通路507に送り込まれる。
【0118】
制御装置491は、バック側温度センサ515によって取得される温度が、クッション側温度センサ481によって取得される温度に比べて高い場合には、バック側排気装置513を駆動する。これにより、シートバック455の内部の通路507の内部の空気は排出され、バック側ダクト511及びクッション側ダクト477を介して、シートクッション453の内部の通路473に送り込まれる。
【0119】
次に、このように構成したシート451の効果について説明する。
【0120】
クッション側蓄熱装置461のヒータ487の発熱によって、クッション側蓄熱装置461に熱エネルギーが蓄えられる。バック側蓄熱装置495のヒータ521の発熱によって、バック側蓄熱装置495に熱エネルギーが蓄えられる。
【0121】
蓄熱装置461、495はそれぞれ受容凹部467、501に着脱可能に構成されている。そのため、乗員は蓄熱装置461、495を取り外し、蓄えられた熱エネルギーを有効活用することができる。例えば、乗員は、車外において蓄熱装置461、495からの熱によって体を温めることができる。
【0122】
本実施形態では更に、シートクッション453の通路473内の温度及びシートバック455の通路507内の温度の少なくとも一方が閾値を越えると、2つのヒータ487、521の発熱が停止する。ヒータ487、521の発熱がそれぞれ停止した後、蓄熱装置461、495から放出される熱がそれぞれシートクッション453及びシートバック455に供給される。供給された熱によって、シートクッション453及びシートバック455が温められ、シートクッション453及びシートバック455それぞれの温度の低下を抑えることができる。
【0123】
しかしながら、蓄熱装置461、495から放出される熱量の違いや、クッション本体459、バック本体493の熱容量の違い等によって、シートクッション453の上面(座面)や、シートバック455の前面(背凭れ面)に温度差が生じることがある。
【0124】
本実施形態では、クッション側ダクト477とバック側ダクト511とが互いに接続され、これらのダクト477、511を介して、シートバック455内の通路507と、シートクッション453内の通路473とが接続されている。そのため、バック側蓄熱装置495と、クッション側蓄熱装置461とに蓄えられた熱エネルギーをシートクッション453及びシートバック455の間で流通させることができる。これにより、シートクッション453の上面(座面)と、シートバック455の前面(背凭れ面)との間に温度差が生じ難くなるため、シート451の快適性が高められる。
【0125】
本発明では、クッション側温度センサ481によって取得される温度と、バック側温度センサ515によって取得される温度とに温度差がある場合には、制御装置491は排気装置(クッション側排気装置479、バック側排気装置513)を駆動する。これにより、高温側の溝(溝部471、505の一方)内の空気が排気装置によって排気されて低温側の溝(溝部471、505の他方)内に送り込まれる。よって、熱エネルギーをシートクッション453及びシートバック455の間で効率よく流通させることができる。また、シートバック455に設けられた溝部505の内部と、シートクッション453に設けられた溝部471の内部との温度の均一化が図られ、座面と背凭れ面との温度差を抑えることができる。
【0126】
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係る車載装置もまた第2実施形態と同様にシート531を構成する。但し、図6に示すように、クッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495がそれぞれヒータ487を備えておらず、クッション側ダクト477及びバック側ダクト511はそれぞれフロアに設けられた1つのダクト(以下、フロアダクト533)に接続されている点が第2実施形態と異なる。他の構成については、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0127】
フロアダクト533は、フロアの上側と下側とを接続する。フロアの下側には、車両を走行させるためのバッテリ534が設けられている。バッテリ534はフロアに接続された支持プレート535上に載置されている。フロアと支持プレート535の間に、バッテリ534を収容するための収容空間536が形成されている。フロアの下側にはバッテリ534に向けて送風する送風ファン537が設けられている。
【0128】
送風ファン537によって送り出された空気はバッテリ534の周辺を通過して、フロアダクト533の内部に流入する。バッテリ534が充電されているときには、バッテリ534が発熱し、バッテリ534の周辺が温められる。そのため、フロアダクト533の内部に流入する空気はバッテリ534の熱によって昇温される。
【0129】
フロアダクト533の内部に流入した空気は、クッション側ダクト477とバック側ダクト511とに流入する。
【0130】
クッション側ダクト477に流入した空気は、シートクッション405の内部の通路473を通過して、クッション側蓄熱装置461に達する。これにより、クッション側蓄熱装置461が加熱されて、クッション側蓄熱装置461のクッション側蓄熱部483に熱エネルギーが蓄えられる。
【0131】
バック側ダクト511に流入した空気は、シートバック407の内部の通路507を通過して、バック側蓄熱装置495に達する。これにより、バック側蓄熱装置495が加熱されて、バック側蓄熱装置495のバック側蓄熱部517に熱エネルギーが蓄えられる。
【0132】
フロアダクト533にはフロアの下側から上側に流れる空気を遮断するためのシャッタ538と、シャッタ538を開閉するアクチュエータ(不図示)が設けられていてもよい。このとき、制御装置491はシャッタ538を開閉するアクチュエータを制御可能であるとよい。これにより、フロアダクト533内に流れ込む空気の温度が車室内の温度に比べて低く、クッション側蓄熱装置461やバック側蓄熱装置495に熱エネルギーを蓄えることができない場合に、制御装置491はシャッタ538を閉じることができる。
【0133】
フロアダクト533にはフロアの下側から空気をフロアダクト533の内部に送り込むファン539が設けられていてもよい。これにより、フロアの下側からクッション側ダクト477及びバック側ダクト511に流れ込む空気の流量が高まり、クッション側蓄熱装置461やバック側蓄熱装置495により迅速に熱エネルギーを蓄えることができる。
【0134】
次に、このように構成したシート401の効果について説明する。本実施形態では、バッテリ534の熱によって温められた空気によって、クッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495に熱エネルギーが蓄えられる。よって、バッテリ534充電時等に発生する熱エネルギーをクッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495に蓄えることができるため、捨てられていた熱エネルギーを有効に活用することができる。
【0135】
また、クッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495に蓄えられた熱エネルギーは、周辺温度の低下によって熱として放出されるため、ヒータ等の発熱装置を用いた場合に比べて、電力消費が抑えられる。
【0136】
本実施形態では、バッテリ534の熱によってクッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495に熱エネルギーを蓄えるように構成されていたが、その他、着座者の体温によってクッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495にそれぞれ、熱エネルギーを蓄えるように構成されていてもよい。その場合には、クッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495からの熱によってシート401の座面や背凭れ面が人の体温と同程度の温度となるように構成されているとよい。
【0137】
<<第4実施形態>>
第4実施形態に係る車載装置は車両のドアパネル540に設けられたドアトリム541を構成する。
【0138】
図7に示すように、ドアトリム541は、ドアパネル540の車内側の側面に取り付けられた樹脂製のトリム本体542を有している。
【0139】
トリム本体542には車内側の側面において車内側に膨出する膨出部543が形成されている。膨出部543はトリム本体542の上下方向略中央部に設けられ、前後方向に延びている。
【0140】
膨出部543の後部には、蓄熱装置544が設けられている。蓄熱装置544は膨出部543の前部に連続し、膨出部543と協働して車内側に突出するアームレスト545を構成している。
【0141】
図8に示すように、蓄熱装置544は、基体546と、布状(シート状)のヒータ547と、ヒータ547に接触するように配置された蓄熱部548と、表皮材549とを有している。
【0142】
基体546は膨出部543の後部に着脱自在に構成されている。本実施形態では、基体546は横断面が略コの字状をなす樹脂製の部材であり、車内側端部に膨出部543の後部に係脱可能な係止爪(不図示)を有している。
【0143】
ヒータ547が基体546の上面に固定されている。ヒータ547の上面には蓄熱部548が固定されている。蓄熱部548は第1実施形態と同様の潜熱蓄熱材を含み、熱エネルギーを蓄えることができる。表皮材549は基体546の車内側側面及び蓄熱部548の上面に結合され、蓄熱装置544の上面及び車内側側面を構成している。
【0144】
ヒータ547は、上記第1実施形態と同様に、車両がバッテリ534からの電力により走行する電動車両であるときには、充電時にバッテリ534に供給される電力の一部がヒータ547に供給され、ヒータ547が発熱するように構成されてもよい。
【0145】
次に、このように構成したドアトリム541の効果について説明する。蓄熱装置544は、トリム本体542に着脱可能に構成されている。そのため、第1実施形態と同様、乗員は蓄熱装置544に熱エネルギーを蓄えた後に取り外し、例えば、体を温めるために利用することができる。よって、蓄熱装置544に蓄えられた熱エネルギーを効果的に且つ様々な場所で利用することができる。
【0146】
本実施形態では、蓄熱装置544はドアトリム541の車内側の側面に設けられている。そのため、蓄熱装置544は車室内の暖まった空気によっても熱エネルギーを蓄熱することができる。また、車室内の温度が低下したときには、蓄熱装置544は車室内に熱を放出するため、蓄熱装置544によって、車室内を保温することができる。
【0147】
<<第5実施形態>>
第5実施形態に係る車載装置は第4実施形態と同様に、ドアトリム551を構成する。図9に示すように、ドアトリム551はドアパネル552に設けられたウィンドウ553の下側に配置される。
【0148】
図9に示すように、ドアトリム551は、トリム本体554と、蓄熱装置555と、カバー部材556(図10も参照)と、スイッチ557と、制御装置558と、を有している。蓄熱装置555はトリム本体554の上縁近傍に着脱可能に構成されている。蓄熱装置555は、トリム本体554に取り付けられたときに、ドアパネル552のウィンドウ553の下縁に沿う位置に配置されている。
【0149】
トリム本体554は車幅方向を向く面を有する略板状をなしている。トリム本体554は縁部においてドアパネル552の車内側の側面に固定されている。トリム本体554の上下方向略中央部には車内側に膨出し、肘掛けとして機能するアームレスト554Aが設けられている。
【0150】
図10に示すように、トリム本体554の上縁には下方に凹む収容凹部559が設けられている。収容凹部559の下部には押圧装置560が設けられている。
【0151】
押圧装置560は所定方向に伸長するアクチュエータ560Aを含む。アクチュエータ560Aは、空気圧や、ボールねじ等を用いた公知のリニアアクチュエータであってよい。アクチュエータ560Aは収容凹部559に上下方向に伸長するように配置され、下端(伸長方向一端)において収容凹部559の底面に固定されている。アクチュエータ560Aの上面(伸長方向他端)には磁石561が設けられている。アクチュエータ560Aの伸長によって、磁石561は上方に押し出される。
【0152】
蓄熱装置555は押圧装置560の上方に設けられている。蓄熱装置555は、平板状をなす樹脂製の基材562と、その表面に裏側において固定された蓄熱部563と、蓄熱部563の表側を覆う表皮材564とを備えている。基材562の裏面には磁石561に吸着する鉄製の板部材である金属部材565が設けられている。
【0153】
蓄熱部563は圧力が印加されると相転移(圧力誘起相転移)が誘起される潜熱蓄熱材を含んでいる。潜熱蓄熱材は圧力を加えることで結晶構造の異なる相に相転移する材料、例えば、ブロック型ラムダ五酸化三チタン等によって構成されているとよい。
【0154】
蓄熱装置555は基材562の表面が上側となり、且つ、前後方向に延在するように配置されて、トリム本体554に取り付けられている。蓄熱装置555がトリム本体554に取り付けられているときには、蓄熱装置555は押圧装置560を上側から覆っている。このとき、蓄熱装置555の裏側に設けられた金属部材565は磁石561に磁力によって吸着されている。
【0155】
カバー部材556は平板状をなす透明な樹脂によって構成されている。カバー部材556は蓄熱装置555の上側に設けられ、ドアトリム551の上縁を構成している。カバー部材556は前後方向に延在するように配置されて、その縁部においてトリム本体554に係止されている。
【0156】
図9に示すように、スイッチ557は乗員からの操作入力を受け付けるために設けられる。本実施形態では、スイッチ557はトリム本体554の車内側の側面と、アームレスト554A前端とに設けられている。スイッチ557はメンブレンスイッチによって構成されていてもよい。また、トリム本体554の車内側の側面に設けられたタッチパネルが設けられているときには、スイッチ557はそのタッチパネルによって表示されるボタンによって構成されていてもよい。本実施形態では、スイッチ557は近接センサ及び/又はタッチセンサによって構成されている。
【0157】
スイッチ557への近接(又は、タッチ)が検出されると、制御装置558はアクチュエータ560Aを伸長させて、蓄熱装置555を押圧する。これにより、潜熱蓄熱材に圧力が加わり、熱エネルギーが放出される。
【0158】
トリム本体554には、潜熱蓄熱材から放熱された後に、ドアトリム551が適温となるように調整するための放熱ファン(不図示)が設けられていてもよい。
【0159】
制御装置558は乗員が保持するスマートフォン等の端末からの信号に基づいて、アクチュエータ560Aの駆動を制御し、蓄熱装置555から放熱させるように構成されていてもよい。これにより、乗員は乗車前に端末を操作することによって、蓄熱装置555から放熱させることができる。制御装置558は乗員の乗車時刻を学習した学習済モデルに基づいて、乗車時刻を予測し、その乗車時刻の少し前にアクチュエータ560Aを駆動させて、蓄熱装置555から放熱させるように構成されていてもよい。
【0160】
次に、このように構成したドアトリム551の効果について説明する。蓄熱装置555はウィンドウ553に近接するドアトリム551の上縁に設けられている。そのためウィンドウ553から差し込む太陽光がカバー部材556を透過して蓄熱装置555に到達し、蓄熱装置555が温められる。これにより、蓄熱装置555に太陽光からの熱エネルギーを蓄えられる。
【0161】
その後、乗員がスイッチ557を押すと、アクチュエータ560Aが駆動し、潜熱蓄熱材が加圧される。これにより、蓄熱装置555から放熱させ、蓄熱装置555に蓄えられた熱エネルギーを取り出すことができる。これにより、例えば、車両始動時に車室内の温度が低い場合には、乗員は車両に搭載されたバッテリからの電力を用いることなく、車室内の温度を高めることができる。
【0162】
乗員は、カバー部材556を取り外した後、磁石561と金属部材565との間の吸着力に抗する力を加えることによって、蓄熱装置555はトリム本体554から取り外すことができる。そのため、第1実施形態と同様、乗員は蓄熱装置555に熱エネルギーを蓄えた後に取り外し、必要に応じて、加圧することにより、熱エネルギーを取り出すことができる。
【0163】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0164】
上記第1実施形態では、基材423の外面にヒータ429が設けられ、ヒータ429の外面に蓄熱部431が設けられる例について記載したが、蓄熱部431がヒータ429に接触する態様であれば、いかなる態様であってもよい。図11に示すように、基材423の外面に蓄熱部431が設けられ、蓄熱部431の外面にヒータ429が設けられる態様であってもよい。このように、蓄熱部431とヒータ429とが接触するように構成されることで、蓄熱部431にヒータ429が発生する熱エネルギーを効率よく蓄えることができる。
【0165】
その他、図12に示すように、基材423(本体)と、蓄熱部431との間には、蓄熱部431と基材423との間の温度差によって発電するペルチェ素子570が設けられていてもよい。ペルチェ素子570は基材423と蓄熱部431の間であればいかなる位置に設けられていてもよく、図11に示すように、ペルチェ素子570はヒータ429の外面に接するように設けられていてもよく、また、ペルチェ素子570はヒータ429の裏面側において、基材423の外面に結合されていてもよい。ペルチェ素子570を設けることによって、蓄熱部431に蓄えられた熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電力として取り出すことができる。取り出された電力は、例えば、シート401に設けられた各種デバイスを駆動させるために用いることができる。このように、蓄熱部431の熱を電力に変換することで、蓄熱装置555に蓄えられた熱エネルギーを効果的に且つ様々な場所で利用することが可能となる。
【0166】
上記第1実施形態では、蓄熱部431は結晶構造の異なる2つの固体相の間で相転移して熱を蓄えることのできる潜熱蓄熱材によって構成されている例を記載したが、潜熱蓄熱材はこれには限定されない。潜熱蓄熱材は、絶縁体・金属相転移を利用して熱を蓄えることのできる材料、例えば、酸化バナジウムによって構成されていてもよい。
【0167】
蓄熱部431は電圧によって相転移(電圧誘起相転移)する潜熱蓄熱材を含んでいてもよい。これにより、蓄熱部431に電圧を印加することで相転移を誘起し、蓄積された熱エネルギーを熱として放出させることができる。また、蓄熱部431は光によって相転移(光誘起相転移)する材料を含んでいてもよい。これにより、蓄熱部431に光を照射することで相転移を誘起し、蓄積された熱エネルギーを熱として放出させることができる。
【0168】
上記第3実施形態では、クッション側蓄熱装置461及びバック側蓄熱装置495がそれぞれ、バッテリから放出される熱エネルギーを蓄えるように構成されていたが、この態様には限定されない。蓄熱装置461、495は、例えば、制御装置558等の電子機器からの熱を熱エネルギーとして蓄えるように構成されていてもよい。
【0169】
上記実施形態では、蓄熱装置413、461、495、544、555が車両に搭載されたシート401、451、531や、ドアトリム541、551に設けられた例について記載したが、本発明はこの態様には限定されない。潜熱蓄熱材を含む蓄熱装置571は様々な場所に設置可能である。
【0170】
図13には蓄熱装置571の設置に適した場所が着色されて示されている。図13に示すように、蓄熱装置571はシートクッション572や、シートバック573、ドアトリム574の他、車室の天井576や、フロア577、インスツルメントパネル578、ピラー579の車内側側面等の車室の内壁に着脱可能に設けられていてもよい。このように、蓄熱装置571を車室の内壁等に設けることによって、車室内の保温を図ることができる。その他、車両にサンルーフ581が設けられているときには、蓄熱装置413はサンルーフ581に着脱可能に設けられていてもよい。これにより、太陽光による熱を蓄熱装置571の蓄熱に有効に活用することができる。また、蓄熱装置571が設置される場所は車室内には限定されず、いかなる場所に設置が可能である。
【符号の説明】
【0171】
401 :シート
403 :アームレスト(車載装置の一例)
407 :シートバック
411 :アームレスト本体(本体の一例)
413 :蓄熱装置
421 :磁石
423 :基材
429 :ヒータ
431 :蓄熱部
441 :金属部材
451 :シート(車載装置の一例)
455 :シートバック
459 :クッション本体(本体の一例)
461 :クッション側蓄熱装置(蓄熱装置の一例)
467 :受容凹部
471 :溝部
475 :通気孔(貫通孔)
477 :クッション側ダクト(ダクト)
479 :クッション側排気装置(排気装置の一例)
481 :クッション側温度センサ(温度センサ)
483 :クッション側蓄熱部(蓄熱部の一例)
487 :ヒータ
491 :制御装置
493 :バック本体(本体の一例)
495 :バック側蓄熱装置(蓄熱装置の一例)
501 :受容凹部
505 :溝部
509 :通気孔(貫通孔)
511 :バック側ダクト(ダクト)
513 :バック側排気装置(排気装置の一例)
515 :バック側温度センサ(温度センサ)
517 :バック側蓄熱部(蓄熱部の一例)
521 :ヒータ
541 :ドアトリム(車載装置の一例)
542 :トリム本体(本体の一例)
544 :蓄熱装置
547 :ヒータ
548 :蓄熱部
551 :ドアトリム(車載装置の一例)
554 :トリム本体(本体の一例)
555 :蓄熱装置
570 :ペルチェ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13