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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087651
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】魚餌組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/80 20160101AFI20230616BHJP
【FI】
A23K50/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179587
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】21214066
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522438965
【氏名又は名称】オアゼ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OASE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン ムック
【テーマコード(参考)】
2B005
【Fターム(参考)】
2B005GA03
2B005LA02
2B005LA05
2B005LB01
2B005LB02
2B005MA02
2B005MA03
2B005MB05
2B005MB06
2B005MB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】魚による摂取が高く、魚の発育を長期間支えるとともに、水質の改善を促進する、バランスの取れた、ヘルシーでコスト効果の高い魚餌を提供する。
【解決手段】40-70重量%の穀物粉と、15-30重量%の水生動物由来のミールと、10-20重量%の抽出ミールと、0.01-0.40重量%のコショウと、0.1-1.0重量%の遊離メチオニンと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚餌組成物であって、前記魚餌組成物の総重量に対して、
40-70重量%の穀物粉と、
15-30重量%の水生動物由来のミールと、
10-20重量%の抽出ミールと、
0.01-0.40重量%のコショウと、
0.1-1.0重量%の遊離メチオニンと、を含む、魚餌組成物。
【請求項2】
前記魚餌組成物の総重量に対して、
0.1-4.0重量%の藻類と、
0.1-2.5重量%の発酵米と、
0.01-0.10重量%のハーブと、
随意で1.0-5.0重量%の小麦麦芽と、をさらに含む、請求項1に記載の魚餌組成物。
【請求項3】
前記藻類は、スピルリナと、海藻と、それらの混合物と、から成る群から選択され、
随意で、前記ハーブは、タイムと、セージと、ローズマリーと、フェンネルと、アニスと、サボリーと、それらの混合物と、から成る群から選択される、請求項2に記載の魚餌組成物。
【請求項4】
前記穀物粉は、小麦粉と、コーンミールと、米粉と、それらの混合物と、から成る群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項5】
水生動物由来の前記ミールは、フィッシュミールと、オキアミミールと、エビミールと、それらの混合物と、から成る群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項6】
前記抽出ミールは、大豆抽出ミールであり、随意で、前記遊離メチオニンは、DL-メチオニンであり、さらに随意で、前記コショウは、黒コショウである、請求項1~5のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項7】
ビタミンと、酸化防止剤と、着色料と、塩化コリンと、イノシトールと、それらの混合物と、から成る群から選択される添加物をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項8】
前記ビタミンは、ビタミンAと、ビタミンDと、ビタミンEと、ビタミンCと、それらの混合物と、から成る群から選択され、
随意で、前記着色料はカンタキサンチンであり、
さらに随意で、前記酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項7に記載の魚餌組成物。
【請求項9】
前記魚餌組成物の総重量に対して、
50-60重量%の小麦粉と、
20-25重量%のフィッシュミールと、
15-20重量%の大豆抽出ミールと、
2-3重量%の小麦麦芽と、
1.0-1.5重量%のスピルリナと、
0.1-1.0重量%のエビミールと、
0.1-1.0重量%のオキアミミールと、
0.1-1.0重量%の発酵米と、
0.1-1.0重量%の海藻と、
0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、
0.01-0.50重量%のコショウと、
0.01-0.10重量%のハーブと、
残部としての添加物と、から成る、請求項1~8のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項10】
前記魚餌組成物の総重量に対して、
45-55重量%のコーンミールと、
20-25重量%のフィッシュミールと、
15-20重量%の大豆抽出ミールと、
8-12重量%の小麦粉と、
0.1-1.0重量%のエビミールと、
0.1-1.0重量%のオキアミミールと、
0.1-1.0重量%の発酵米と、
0.1-1.0重量%の海藻と、
1.0-1.5重量%のスピルリナと、
0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、
0.01-0.50重量%のコショウと、
0.01-0.10重量%のハーブと、
残部としての添加物と、から成る、請求項1~8のいずれか一項に記載の魚餌組成物。
【請求項11】
観賞魚用の魚餌としての、請求項1~10のいずれか一項に記載の魚餌組成物の使用。
【請求項12】
前記観賞魚は、淡水魚である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記観賞魚は、鯉と、キンギョと、ミノウと、ヨーロッパタナゴと、サンブリーと、ゴールデンオルフェと、サンフィッシュと、から成る群から選択される、請求項11又は12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚餌組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の魚餌は、概ね、タンパク質と、脂肪と、炭水化物と、ミネラル成分と、コラーゲン及びビタミン等の添加物と、微量成分とから成る。例えば、特許文献1では、養魚におけるサケとマスの色素沈着のための餌添加物として水溶性アスタキサンチンを含む魚餌が記載されている。特許文献2には、サケを飼育するための魚餌が記載されている。
【0003】
魚餌におけるタンパク質の生理学上の有用性は、特にタンパク質の組成に依存する。炭水化物は(特に炭水化物の構造がより複雑になるほど)、魚における肥満の原因となる傾向がある。魚餌における脂肪に関しては、オメガ3脂肪酸の割合がより高く、オメガ6脂肪酸の割合がより低いことが望ましい。アミノ酸が魚餌の成分である場合、必須アミノ酸の割合は低すぎてはならない一方、必須アミノ酸対残りのアミノ酸の比が適当である必要がある。さもなければ、アミノ酸は魚によって新陳代謝されて、アンモニアへと変換され、それによって、水の汚染(特に排泄物が原因で)と、魚の内部中毒とを引き起こし得る。
【0004】
従来の魚餌は、多くの場合、魚の急速な成長のために設計される。そうした魚餌の主要な成分は、脂肪、炭水化物、及びアミノ酸である。その上、多くの異なる炭水化物及びタンパク質源がしばしば用いられるが、しかしながら、それによって魚の肥満が促進され得る。より大きい屠殺体重がより短い飼育時間(1-2年)で達成されるので、動物の寿命予測値は重要でない。
【0005】
それゆえに、魚による摂取が高く、魚の発育を長期間支えるとともに、水質の改善を促進する、バランスの取れた、ヘルシーでコスト効果の高い魚餌の開発の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004048949号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1346647号明細書
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明は、40-70重量%の穀物ミールと、15-30重量%の水生動物由来のミールと、10-20重量%の抽出ミールと、0.01-0.40重量%のコショウと、0.1-1.0重量%の遊離メチオニンと、を含む魚餌組成物を提供する。ここで、重量百分率は魚餌組成物の総重量に基づいている。発明者らは、本発明に従った魚餌組成物は、魚のバランスの取れた発育を促進することと、高い餌係数を有することと、タンパク質利用率及び消化性を改善することと、を発見するに至った。その上、その魚餌組成物は魚の肥満症を減少して、魚が飼われる水の汚染を最小限にする。加えて、異なるタンパク質及び炭水化物源の数が少ないことによって、価格は引き下げられ得る。
【0008】
更なる態様では、第1の態様に従った魚餌組成物の観賞魚用の魚餌としての使用が提供される。上記の効果及び利点は、観賞魚において特に顕著である。
本発明の更なる態様は、従属項及び詳細な説明に見られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
別に定義されない限り、本明細書で用いられる技術的な及び科学的な用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0010】
本発明の文脈における量は、別に指示のない限り又は文脈から明白でない限り、重量%を表す。
本発明の文脈では、用語「メチオニン(methionine)」は、特に限定されない。一般的に既知であるように、メチオニンは含硫黄α-アミノ酸である。一定の実施形態では、メチオニンはL-メチオニンとD-メチオニンとのラセミ混合物を含む。いくつかの実施形態によれば、メチオニンは、L-メチオニンを表す。
【0011】
用語「遊離メチオニン(free methionine)」は、特に限定されない。一般的に既知であるように、遊離アミノ酸は、タンパク質又は他の分子の構成要素として結合しておらず、遊離形態で存在する。従って、いくつかの実施形態に従った用語「遊離メチオニン」は、メチオニンの非結合形態を表す。特に、遊離メチオニンは、タンパク質の構成要素ではない。L-メチオニンは、例えば、生牛肉と、生鶏肉と、生サケと、鶏卵と、牛乳と、ゴマと、ブラジルナッツと、クルミと、全粒小麦粉と、全粒コーンミールと、米と、そば粉と、大豆と、エンドウと、に見られる。しかしながら、これらの食品全ては、タンパク質構成要素として実質的には排他的に化学的に結合するL-メチオニンを含むが、遊離L-メチオニンは含まない。
【0012】
用語「DL-メチオニン(DL-methionine)」は、特に限定されない。一般的に既知であるように、DL-メチオニンは、L-メチオニンとD-メチオニンとのラセミ混合物を表す。
【0013】
「水生動物(Aquatic animals)」は、本発明の文脈において特に限定されない。一般的に既知であるように、水生動物は、水に住む動物である。一定の実施形態では、水生動物は魚と、オキアミと、エビと、カニと、二枚貝と、を含む。
【0014】
用語「発酵米(fermented rice)」は、特に限定されない。一般的には、「発酵米」は、酵母及び/又はカビを用いた発酵によって、調理された白米から製造される赤発酵米を表す。
【0015】
本発明の文脈では、「抽出ミール(extraction meal)」は、特に限定されない。一般的に既知であるように、抽出ミールは油かすの形態である。それは、加熱圧搾工程又は抽出工程による植物油の抽出における副産物として生成される。係る工程では、抽出剤残渣は、水蒸気によって除去される。いくつかの実施形態によれば、「抽出ミール」は、大豆抽出ミールを表す。
【0016】
用語「酸化防止剤(antioxidant)」は、本発明の文脈において特に限定されない。一般的に既知であるように、酸化防止剤は他の物質の酸化を遅くする又は完全に防止する化合物である。本発明では、動物用餌産業及び特に魚餌産業において一般に用いられる酸化防止剤が用いられてよい。
【0017】
本発明の文脈では、用語「着色料(colorant)」は、着色料が魚に適合性のあるものであるということを除いて、特に限定されない。
用語「観賞魚(ornamental fish/ornamental fishes)」は、特に限定されない。一般的に既知であるように、観賞魚は、水槽及び/又は池でその外観のために飼われる。いくつかの実施形態によれば、観賞魚は、水槽魚及び/又は池魚である。
【0018】
「淡水魚(Freshwater fish)」は、本発明の文脈において特に限定されない。淡水魚は、一般的に既知であるように、陸水、湖及び河川に居住する。一定の実施形態では、「淡水魚」は、水槽魚及び/又は池魚を表す。
【0019】
用語「餌係数(food coefficient)」は、特に限定されない。餌係数は、飼育動物の体重増加対給餌された餌の重量の比であることが、一般的に理解される。従って、餌係数は、餌利用率の基準である。一定の実施形態では、餌係数は飼育魚の体重増加対給餌された魚餌の量の比(例えば、キログラムで)に等しい。特に、餌係数は以下の式に従って計算される。
【0020】
餌係数[%]=魚の体重増加[kg]/給餌された魚餌の量[kg]
本発明の第1の態様は、40-70重量%、好ましくは55-60重量%の穀物ミールと、15-30重量%、好ましくは20-25重量%の水生動物由来のミールと、10-20重量%、好ましくは14-18重量%の抽出ミールと、0.01-0.40重量%、好ましくは0.05-0.2重量%のコショウと、0.1-1.0重量%、好ましくは0.2-0.5重量%の遊離メチオニンと、を含む魚餌組成物である。ここで、重量百分率は魚餌組成物の総重量に基づいている。いくつかの実施形態によれば、魚餌組成物は、観賞魚用の魚餌組成物である。本発明の文脈では、用語「魚餌組成物(fish food composition)」と、「魚餌(fish food)」とは、同意義に用いられてよい。
【0021】
本発明に従った魚餌組成物は、魚(特に観賞魚)による高い摂取を示す。魚が餌を食べる意欲は高い摂取によって表される。その上、本発明に従った魚餌組成物が給餌される魚が飼われている水は、窒素含有量及びリン含有量が低い。低い窒素含有量は、本発明に従った魚餌組成物に関して、硝酸アンモニウム及び亜硝酸アンモニウムの水負荷は特に増加しないことを示す。一方で、低いリン含有量は、低いリンの水負荷と、優れた餌利用率と、を示す。
【0022】
任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、前述の低い水質汚染は、魚餌組成物の高い有用性及び消化性によるものであることが仮定される。例えば、必須アミノ酸の不適当な割合と、必須アミノ酸対残りのアミノ酸の魚餌における不適当な比と、は、とりわけ、余分なアミノ酸のエネルギー代謝に起因し得る水のアンモニウム含有量を増加させる。その上、コショウと、遊離メチオニンとの組み合わせは、魚餌のタンパク質利用率及び消化性を促進するとともに、高い餌係数を助長すると思われる。明白な効果は、コショウ及び必須アミノ酸としてのメチオニンのプレバイオティクス効果に起因し得ると思われる。コショウは、ピペリンを放出する。そしてピペリンは、消化液のより大きな流れを動かして、次いで、餌パルプのより高い浸透をもたらして、栄養素の生体への浸透性及び拡散性輸送を促進する。一方でメチオニンは、タンパク質利用率の制限を除去してよい。リービッヒの最小律によると、餌パルプの必須栄養成分は、より良く取り出されて、次いで、栄養素の全体の有用性は改善される。
【0023】
コショウと遊離メチオニンとの有利な組み合わせに加えて、本発明に従った魚餌組成物は、炭水化物及びタンパク質源の数が少なく、脂肪含有量が低く、オメガ3脂肪酸含有量が高い。これは、魚のバランスの取れた成長及び健康的な発育を達成することが示されるに至った。特に、魚の肥満症は減少して、高い餌係数が達成される。従って、本発明に従った魚餌組成物は、魚の健康的で持続可能な飼育に特に適している。その上、魚餌組成物の価格は、異なる成分の数が少ないために引き下げられる。
【0024】
一定の実施形態によれば、魚餌組成物は、魚餌組成物の総重量に対して、0.1-4.0重量%、好ましくは0.2-2.0重量%の藻類と、0.1-2.5重量%、好ましくは0.2-1.5重量%の発酵米と、0.01-0.10重量%、好ましくは0.03-0.08重量%のハーブと、をさらに含む。これらの原料は、要するに、魚餌組成物の摂取性をさらに増加することと、魚餌組成物の消化性をさらに改善することと、を示す。その上、魚餌組成物は、魚餌組成物の総重量に対して、1.0-5.0重量%、好ましくは2.0-3.0重量%の小麦麦芽を含んでよい。結果として、魚餌組成物の消化性及び摂取性は、さらに増加することが可能である。そして魚餌は、それぞれの魚種のニーズに、より適合することが可能である。
【0025】
いくつかの実施形態では、藻類は、スピルリナと、海藻と、それらの混合物と、から成る群から選択される。これによって、魚餌組成物の栄養素含有量はさらに増加してよい。一定の実施形態によれば、ハーブはタイムと、セージと、ローズマリーと、フェンネルと、アニスと、サボリーと、それらの混合物と、から成る群から選択される。好ましい実施形態では、ハーブはタイムと、セージと、ローズマリーと、フェンネルと、アニスと、サボリーと、のハーブ混合物である。前記ハーブによって、魚餌組成物の消化性がさらに改善して、魚餌組成物の摂取性がさらに増加する。
【0026】
一定の実施形態によれば、穀物粉は小麦粉と、コーンミールと、米粉と、それらの混合物と、から成る群から選択される。特に、小麦粉及び/又はコーンミールは、穀物粉の主要な原料を形成してよい。穀物粉の選択によって、魚餌組成物の炭水化物源がさらに減少する。それによって、魚が太ることがさらに最小限になる。いくつかの実施形態では、水生動物由来のミールは、フィッシュミールと、オキアミミールと、エビミールと、それらの混合物から成る群から選択される。これによって、魚餌組成物の消化性がさらに改善する。特に、フィッシュミールは、水生動物由来のミールの主要な原料であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明に従った魚餌組成物の抽出ミールは、大豆抽出ミールである。大豆抽出ミール(「大豆ミール(soybean meal)」としても表される)は、高いタンパク質含有量を有し、本発明に従った魚餌組成物のタンパク質源として非常に適している。メチオニンとコショウとの組み合わせにおける大豆抽出ミールの使用によって、魚餌組成物のタンパク質利用率及び消化性がさらに改善することが可能である。いくつかの実施形態によれば、遊離メチオニンは、DL-メチオニンである。タンパク質利用率及び消化性は、さらに強化されて、魚肥満症は、DL-メチオニンの使用によってさらに減少される。一定の実施形態では、コショウは黒コショウである。本発明に従った魚餌組成物における黒コショウの使用によって、魚餌組成物の摂取性及び消化性が増大する。それによって水質がさらに改善される。その上、黒コショウは変性がより少なく、ゆえに好ましい。特に、本魚餌組成物におけるコショウは、挽いた形態である。
【0028】
一定の実施形態によれば、本発明に従った魚餌組成物は、添加物を含む。添加物は、ビタミンと、酸化防止剤と、着色料と、塩化コリンと、イノシトールと、それらの混合物と、から成る群から選択されてよい。さらに、ビタミンはビタミンAと、ビタミンD3と、ビタミンEと、ビタミンCと、それらの混合物と、から成る群から選択されてよい。ビタミンの添加によって魚の発育が促進されて、健康的な栄養摂取が助長される。酸化防止剤によって、魚餌組成物の保存期間が延長される。ブチル化ヒドロキシトルエンは、本発明に従った魚餌組成物の適切な酸化防止剤として用いられてよい。その上、カンタキサンチンは、着色料として用いられてよい。そしてカンタキサンチンは、魚餌組成物及び/又は魚の外観を改善する。塩化コリンは、魚の肝障害を防止する。
【0029】
いくつかの実施形態では、魚餌組成物は50-60重量%の小麦粉と、20-25重量%のフィッシュミールと、15-20重量%の大豆抽出ミールと、2-3重量%の小麦麦芽と、1.0-1.5重量%のスピルリナと、0.1-1.0重量%のエビミールと、0.1-1.0重量%のオキアミミールと、0.1-1.0重量%の発酵米と、0.1-1.0重量%の海藻と、0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、0.01-0.50重量%のコショウと、0.01-0.10重量%のハーブと、残部としての添加物と、を含む。重量百分率は、魚餌組成物の総重量を表し、添加物で合計100重量%になる。係る魚餌組成物によって、餌係数と、消化性と、タンパク質利用率と、水質とは、さらに改善されて、さらに魚餌の摂取性は増加して、魚の脂肪変性は減少する。その上、係る組成物は、炭水化物及びタンパク質源の数が少なく、脂肪含有量が低く、オメガ3脂肪酸含有量が高い。好ましい実施形態では、係る魚餌組成物は、日本の観賞用のコイ(特に、鯉(koi carp))用の魚餌組成物である。
【0030】
一定の実施形態によれば、魚餌組成物は、45-55重量%のコーンミールと、20-25重量%のフィッシュミールと、15-20重量%の大豆抽出ミールと、8-12重量%の小麦粉と、0.1-1.0重量%のエビミールと、0.1-1.0重量%のオキアミミールと、0.1-1.0重量%の発酵米と、0.1-1.0重量%の海藻と、1.0-1.5重量%のスピルリナと、0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、0.01-0.50重量%のコショウと、0.01-0.10重量%のハーブと、残部としての添加物と、を含む。重量百分率は、魚餌組成物の総重量を表し、添加物で合計100重量%になる。魚餌組成物は、餌係数と、消化性と、タンパク質利用率と、水質とを、さらに改善して、さらに魚餌の摂取性は増加して、魚の脂肪変性は減少する。その上、係る組成物は、炭水化物及びタンパク質源の数が少なく、脂肪含有量が低く、オメガ3脂肪酸含有量が高い。好ましい実施形態では、係る魚餌組成物は、庭池の観賞魚(特に、キンギョ、ミノウ、ヨーロッパタナゴ、サンブリー(sunbleak)、ゴールデンオルフェ、及びサンフィシュ)用の魚餌組成物である。
【0031】
本発明の第2の態様は、観賞魚用の魚餌としての第1の態様の魚餌組成物の使用に関する。本発明の第1の態様に関する説明のうち、本発明の第2の態様にも適用されるものは上記の説明を参照する。観賞魚では、健康的で持続可能な栄養摂取及びバランスの取れた発育は特に重要である。この点では、急速な体重増加は要求されていない。第1の態様の魚餌組成物は、上記に記載されるように、タンパク質利用率及び消化性を促進して、高い餌係数を有して、肥満症を減少するので、第1の態様の魚餌組成物は、観賞魚用の魚餌として特に適する。加えて、第1の態様の魚餌組成物は、水の汚染を低減する。そしてそれは、観賞魚を水槽及び/又は池で飼うときに特に有利である。この点では、前述の効果は、観賞魚が淡水魚であるときに特に顕著である。一定の実施形態では、観賞魚は、鯉と、キンギョと、ミノウと、ヨーロッパタナゴと、サンブリーと、ゴールデンオルフェと、サンフィッシュと、から成る群から選択される。第1の態様の魚餌組成物がこれらの観賞魚用の魚餌として用いられるとき、上記の効果は、特に顕著である。
【0032】
特定の実施形態では、魚餌組成物は、鯉用の魚餌として用いられ、前記魚餌組成物は、50-60重量%の小麦粉と、20-25重量%のフィッシュミールと、15-20重量%の大豆抽出ミールと、2-3重量%の小麦麦芽と、1.0-1.5重量%のスピルリナと、0.1-1.0重量%のエビミールと、0.1-1.0重量%のオキアミミールと、0.1-1.0重量%の発酵米と、0.1-1.0重量%の海藻と、0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、0.01-0.50重量%のコショウと、0.01-0.10重量%のハーブと、残部としての添加物と、を含む。重量百分率は、魚餌組成物の総重量を表し、添加物で合計100重量%になる。そうした魚餌組成物についての効果は、本発明の第1の態様の上記の説明に記載される。
【0033】
特定の実施形態によれば、魚餌組成物は、キンギョ、ミノウ、ヨーロッパタナゴ、サンブリー、ゴールデンオルフェ、及びサンフィッシュ用の魚餌として用いられ、45-55重量%のコーンミールと、20-25重量%のフィッシュミールと、15-20重量%の大豆抽出ミールと、8-12重量%の小麦粉と、0.1-1.0重量%のエビミールと、0.1-1.0重量%のオキアミミールと、0.1-1.0重量%の発酵米と、0.1-1.0重量%の海藻と、1.0-1.5重量%のスピルリナと、0.1-0.5重量%の遊離DL-メチオニンと、0.01-0.50重量%のコショウと、0.01-0.10重量%のハーブと、残部としての添加物と、を含む。重量百分率は、魚餌組成物の総重量を表し、添加物で合計100重量%になる。そうした魚餌組成物についての効果は、本発明の第1の態様の上記の説明に記載される。
【0034】
本発明に従った魚餌組成物の製造工程は、特に限定されない。一般的に、既知の魚餌製造工程を用いることが可能である。いくつかの実施形態によれば、製造工程は、押出成形工程である。いくつかの実施形態では、魚餌組成物はローラー乾燥によって製造されてよい。
【0035】
一定の実施形態では、魚餌組成物は、魚餌組成物の個々の成分の重量によるそれらのそれぞれの割合で、計量するとともに混合する工程によって製造されてよい。次いで、混合物はふるい分けられて(例えば、630μm及び/又は1000μmのメッシュサイズで)、次いで、約90℃で押出成形されてよい。押出成形された混合物は、約60℃で20分間乾燥されて、本発明に従った例示的な魚餌組成物を得てよい。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、魚餌組成物は、魚餌組成物の個々の成分の重量によるそれらのそれぞれの割合で、計量するとともに混合する工程によって製造されてよい。混合物は、次いで、ローラー乾燥機を用いてフィルムへと圧延されて、約90℃で5分間乾燥されてよい。乾燥されたフィルムは、次いで、掻き取られて、本発明に従った例示的な魚餌組成物を提供してよい。
【0037】
実施例
本発明は、その様々な例に関して、さらに詳細に説明される。しかしながら、本発明はこれらの例に制限されない。
【0038】
実施例1:鯉用の魚餌組成物
鯉用の魚餌組成物は、ペレットの形態(直径3-4mm)に押出成形されることによって製造された。魚餌組成物は、以下の原料を有した(表1)。
【0039】
表1:鯉用の例示的な魚餌組成物の原料
【0040】
【表1】
魚餌組成物の分析成分は表2に示される。
【0041】
表2:鯉用の例示的な魚餌組成物の分析成分
【0042】
【表2】
表2に示されるように、例示的な魚餌組成物は、粗タンパク質含有量が高く、脂肪含有量が低かった。その上、例示的な魚餌組成物は、鯉に給餌したとき、高い摂取を示した。
【0043】
実施例2:庭池の観賞魚用の魚餌組成物
庭池の観賞魚用の魚餌組成物は、棒の形態の押出成形によって製造された。魚餌組成物は、以下の原料を有した(表3)。
【0044】
表3:庭池の観賞魚用の例示的な魚餌組成物の原料
【0045】
【表3】
魚餌組成物の分析成分は表4に示される。
【0046】
表4:庭池の観賞魚用の例示的な魚餌組成物の分析成分
【0047】
【表4】
表2に示されるように、例示的な魚餌組成物は、粗タンパク質含有量が高く、脂肪含有量が低かった。その上、例示的な魚餌組成物は、庭池の観賞魚に給餌したときのみならず、鯉に給餌したときも高い摂取を示した。
【0048】
比較例1:池魚A用の市販の魚餌組成物
コーンミールと、小麦粉と、サケ粉と、大豆粉と、米粉と、小麦麦芽と、エビ粉と、ホウレンソウと、スピルリナと、酵母エキスと、リンゴエキスと、野菜粉(green flour)と、から成る市販の魚餌組成物は、その分析成分が分析された。結果は表5に示される。
【0049】
表5:池魚A用の市販の魚餌組成物の分析成分
【0050】
【表5】
比較例2:池魚B用の市販の魚餌組成物
野菜副産物と、穀物と、植物性タンパク質エキスと、魚及び魚副産物と、油及び脂肪と、ミネラルと、藻類と、酵母と、から成る市販の魚餌組成物は、その分析成分が分析された。結果は表6に掲示される。
【0051】
表6:池魚B用の市販の魚餌組成物の分析成分
【0052】
【表6】
上記の実施形態、構成、及び実装は、有益ならば、望ましいように互いに結合されることが可能である。本発明の更なる可能な実施形態、構成、及び実装は、さらに、明示的に言及されていない本発明のあらかじめ記載した特徴の組み合わせを含む。特に、当業者は個々の態様を、改善又は追加として、本発明のそれぞれの基礎の形態にさらに加え得る。
【外国語明細書】