(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087676
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】中継アダプタおよび挿入機器システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
A61B1/00 680
A61B1/00 640
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198024
(22)【出願日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】63/288,732
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/077,676
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邊 貴博
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 光治
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 健
(72)【発明者】
【氏名】小西 純
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耀至
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF06
4C161GG11
4C161MM07
4C161NN01
4C161QQ06
4C161RR02
4C161RR03
4C161RR22
4C161SS03
4C161TT12
(57)【要約】
【課題】プロセッサに中継アダプタが接続された後に、挿入機器が中継アダプタに接続されても、過剰な電流が挿入機器に供給されるのを防ぐことができる中継アダプタ等を提供する。
【解決手段】中継アダプタ5は、ビデオプロセッサ3と接続するコネクタ5aと、内視鏡2と接続するコネクタ受け5bとを備え、ビデオプロセッサ3と内視鏡2とを中継する。中継アダプタ5は、ビデオプロセッサ3から供給される電力を、内視鏡2に対応する電力に変換し、内視鏡2へ供給する電源回路54を備える。中継アダプタ5は、コネクタ5aとビデオプロセッサ3とが接続され、かつコネクタ受け5bと内視鏡2とが接続されていないとき、内視鏡2への電力の供給を電源回路54に遮断させる制御回路51aを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと挿入機器とを中継する中継アダプタであって、
前記プロセッサと接続する第1コネクタと、
前記挿入機器と接続する第2コネクタと、
前記プロセッサから供給される電力を、前記挿入機器に対応する電力に変換し、前記挿入機器へ供給する電源回路と、
前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されていないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させる切替回路と、
を備えることを特徴とする中継アダプタ。
【請求項2】
前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されているとき、前記切替回路は、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に行わせることを特徴とする請求項1に記載の中継アダプタ。
【請求項3】
前記挿入機器の機種に関連する判別信号を、前記挿入機器から受信する判別信号受信回路をさらに備え、
前記切替回路は、
前記判別信号受信回路が前記判別信号を受信しないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させ、
前記判別信号受信回路が前記判別信号を受信したとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に行わせることを特徴とする請求項2に記載の中継アダプタ。
【請求項4】
前記挿入機器が備えるイメージセンサから受信した映像信号を、前記プロセッサが処理可能な信号フォーマットの映像信号に変換し、前記プロセッサへ出力する映像信号処理回路をさらに備え、
前記判別信号受信回路は、前記挿入機器が備えるイメージセンサの種類に関連する第2の判別信号をさらに受信し、
前記映像信号処理回路は、前記第2の判別信号から判別される前記イメージセンサの種類に応じて、前記映像信号の信号フォーマットを変換することを特徴とする請求項3に記載の中継アダプタ。
【請求項5】
第1の抵抗器をさらに備え、
前記第1の抵抗器は、前記プロセッサに接続可能な他の挿入機器が備える他の抵抗器と抵抗値が同一であり、
前記第1の抵抗器は、前記第1コネクタを経由して、前記プロセッサが備える挿入機器判別回路に接続され、
前記電源回路は、前記第1の抵抗器の抵抗値に基づき前記挿入機器判別回路が判別した前記他の挿入機器に対応して前記プロセッサから供給される電力を、前記第2の判別信号から判別される前記イメージセンサの種類に応じた電力に変換して前記挿入機器へ供給することを特徴とする請求項4に記載の中継アダプタ。
【請求項6】
前記判別信号は、前記挿入機器の機種を示す信号であり、
前記第2の判別信号は、前記イメージセンサの種類を示す信号であり、
前記判別信号および前記第2の判別信号は、前記挿入機器が備えるメモリから受信されることを特徴とする請求項4に記載の中継アダプタ。
【請求項7】
前記判別信号は、前記挿入機器が備える第2の抵抗値の第2の抵抗器から受信され、
前記第2の判別信号は、前記挿入機器が備える第3の抵抗値の第3の抵抗器から受信され、
前記第2の抵抗値と前記挿入機器の機種との関連を示す第1の情報、および前記第3の抵抗値と前記イメージセンサの種類との関連を示す第2の情報を保持するメモリをさらに備え、
前記判別信号受信回路は、前記判別信号と前記第1の情報とに基づき前記挿入機器の機種を判別し、前記第2の判別信号と前記第2の情報とに基づき前記イメージセンサの種類を判別することを特徴とする請求項4に記載の中継アダプタ。
【請求項8】
第1の配線と、
第2の配線と、をさらに備え、
前記第1の配線の一端は、前記プロセッサが備える接続検知回路と前記第1コネクタを経由して接続し、
前記第1の配線の他端は、前記挿入機器が備える第3の配線の一端と前記第2コネクタを経由して接続し、
前記第2の配線の一端は、接地し、
前記第2の配線の他端は、前記挿入機器内においてループする前記第3の配線の他端と前記第2コネクタを経由して接続することを特徴とする請求項1に記載の中継アダプタ。
【請求項9】
前記プロセッサが備える光源から供給される照明光を、前記第1コネクタを経由して入光し、導光して、前記第2コネクタを経由して前記挿入機器へ出光するライトガイドをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の中継アダプタ。
【請求項10】
前記ライトガイドは、複数のガラス繊維を束ねたガラスファイババンドルを含むことを特徴とする請求項9に記載の中継アダプタ。
【請求項11】
被検体内に挿入される挿入機器と、
前記挿入機器へ電力を供給し、前記挿入機器から電気信号を受信するプロセッサと、
前記プロセッサと前記挿入機器とを中継する中継アダプタと、
を備え、
前記中継アダプタは、
前記プロセッサと接続する第1コネクタと、
前記挿入機器と接続する第2コネクタと、
前記プロセッサから供給される電力を、前記挿入機器に対応する電力に変換し、前記挿入機器へ供給する電源回路と、
前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されていないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させる切替回路と、
を備えることを特徴とする挿入機器システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、接続検知回路を備え、
前記中継アダプタは、第1の配線と、第2の配線と、をさらに備え、
前記挿入機器は、第3の配線を備え、
前記第1の配線の一端は、前記接続検知回路と前記第1コネクタを経由して接続し、
前記第1の配線の他端は、前記第3の配線の一端と前記第2コネクタを経由して接続し、
前記第2の配線の一端は、接地し、
前記第2の配線の他端は、前記挿入機器内においてループする前記第3の配線の他端と前記第2コネクタを経由して接続し、
前記接続検知回路が接地を検出したときに、前記プロセッサは前記中継アダプタへ電力を供給し、
前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されているとき、前記切替回路は、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に行わせることを特徴とする請求項11に記載の挿入機器システム。
【請求項13】
前記中継アダプタは、
前記挿入機器の機種に関連する判別信号を、前記挿入機器から受信する判別信号受信回路をさらに備え、
前記切替回路は、
前記判別信号受信回路が前記判別信号を受信しないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させ、
前記判別信号受信回路が前記判別信号を受信したとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に行わせることを特徴とする請求項12に記載の挿入機器システム。
【請求項14】
前記中継アダプタは、
第1の抵抗器をさらに備え、
前記第1の抵抗器は、前記プロセッサに接続可能な他の挿入機器が備える他の抵抗器と抵抗値が同一であり、
前記第1の抵抗器は、前記第1コネクタを経由して、前記プロセッサが備える挿入機器判別回路に接続され、
前記判別信号受信回路は、前記挿入機器が備えるイメージセンサの種類に関連する第2の判別信号をさらに受信し、
前記電源回路は、前記第1の抵抗器の抵抗値に基づき前記挿入機器判別回路が判別した前記他の挿入機器に対応して前記プロセッサから供給される電力を、前記第2の判別信号から判別される前記イメージセンサの種類に応じた電力に変換して前記挿入機器へ供給することを特徴とする請求項13に記載の挿入機器システム。
【請求項15】
前記中継アダプタの前記電源回路は、
前記プロセッサから供給される電力を、第1の長さのケーブルを有する標準挿入機器に対応する電力に変換して供給し、
前記挿入機器は、
前記第2コネクタを経由して供給される電力を伝送する第2の長さのケーブルと、
前記第2の長さと、前記第1の長さと、の違いによる電力の差分を調整する調整回路と、を備えることを特徴とする請求項13に記載の挿入機器システム。
【請求項16】
前記中継アダプタは、
前記プロセッサが備える光源から供給される照明光を、前記第1コネクタを経由して入光し、導光して、前記第2コネクタを経由して前記挿入機器へ出光するライトガイドをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の挿入機器システム。
【請求項17】
前記ライトガイドは、複数のガラス繊維を束ねたガラスファイババンドルを含み、
前記挿入機器は、前記ライトガイドから入光した前記照明光を導光する第2のライトガイドを備え、
前記第2のライトガイドは、複数の透明な樹脂繊維を束ねた樹脂ファイババンドルを含み、
前記ライトガイドの半径をr1、前記第2のライトガイドの半径をr2、前記第2のライトガイドの開口数をsinθ2、突き合わせた前記ライトガイドと前記第2のライトガイドとの偏心のばらつきをδ、突き合わせた前記ライトガイドと前記第2のライトガイドとの光軸方向の離間のばらつきの最大値をdとすると、
δ≦d×tan(θ2)-(r1-r2)
の関係が満たされることを特徴とする請求項16に記載の挿入機器システム。
【請求項18】
前記挿入機器は、前記第2コネクタに接続し、前記電力を含む電気信号を伝送する電気接点を有する第3コネクタを備え、
前記第3コネクタは、前記電気接点の周囲に、前記中継アダプタを経由して前記プロセッサの接地回路に接続される接地用接点を備えることを特徴とする請求項11に記載の挿入機器システム。
【請求項19】
前記挿入機器は内視鏡であることを特徴とする請求項11に記載の挿入機器システム。
【請求項20】
前記内視鏡は、単回使用後に処分されるシングルユース内視鏡であることを特徴とする請求項19に記載の挿入機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入機器をプロセッサへ接続可能とする中継アダプタおよび挿入機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡には、リプロセス処理を行うことで再利用されるリユース内視鏡(リユース用内視鏡ともいう)がある。また、内視鏡には、単回使用後に処分されるシングルユース内視鏡(シングルユース用内視鏡ともいう)がある。
【0003】
リユース内視鏡用のコネクタ(ワンタッチプラグ)は、内視鏡内の電気回路基板を実装している。電気回路基板は、信号フォーマットをビデオプロセッサ用に変換する。
【0004】
シングルユース内視鏡を、リユース内視鏡用のビデオプロセッサに接続する場合、ビデオプロセッサが処理できる信号フォーマットに変換する必要がある。
【0005】
シングルユース内視鏡を、リユース内視鏡用のビデオプロセッサに接続して使用できるようにする中継ケーブルが、従来から提案されている。
【0006】
例えば、日本国特開2021-183166号公報には、ビデオプロセッサと内視鏡装置とを接続する中継アダプタが記載されている。中継アダプタは、映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路を備える。撮像インタフェース回路は、制御部の指令に応答して、内視鏡装置のイメージセンサから受信した映像信号を、ビデオプロセッサが処理できる信号フォーマットに変換する。撮像インタフェース回路は、フォーマットを変換した信号を生成し、変換信号をビデオプロセッサへ出力する。
【0007】
中継アダプタが映像信号のフォーマットを変換することで、シングルユース内視鏡の回路規模を縮小し、コストを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、内視鏡などの挿入機器へは、プロセッサから電力が供給される。中継アダプタを用いる場合、挿入機器に中継アダプタを接続した後で、中継アダプタをプロセッサに接続することで、電源立ち上げシーケンスが実行され、プロセッサから中継アダプタを経由して挿入機器へ電力の供給が開始される。
【0010】
これに対し、中継アダプタを単体でプロセッサに接続すると、プロセッサから中継アダプタへ電力供給が開始されることがある。この状態で挿入機器を中継アダプタに接続すると、電力が供給されている中継アダプタから挿入機器へ、電源立ち上げシーケンスを経ることなく電力供給が開始されてしまう。すると、過剰な電流が挿入機器に供給される虞がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、プロセッサに中継アダプタが接続された後に、挿入機器が中継アダプタに接続されても、過剰な電流が挿入機器に供給されるのを防ぐことができる中継アダプタおよび挿入機器システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様による中継アダプタは、プロセッサと挿入機器とを中継し、前記プロセッサと接続する第1コネクタと、前記挿入機器と接続する第2コネクタと、前記プロセッサから供給される電力を、前記挿入機器に対応する電力に変換し、前記挿入機器へ供給する電源回路と、前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されていないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させる切替回路と、を備える。
【0013】
本発明の一態様による挿入機器システムは、被検体内に挿入される挿入機器と、前記挿入機器へ電力を供給し、前記挿入機器から電気信号を受信するプロセッサと、前記プロセッサと前記挿入機器とを中継する中継アダプタと、を備え、前記中継アダプタは、前記プロセッサと接続する第1コネクタと、前記挿入機器と接続する第2コネクタと、前記プロセッサから供給される電力を、前記挿入機器に対応する電力に変換し、前記挿入機器へ供給する電源回路と、前記第1コネクタと前記プロセッサとが接続され、かつ前記第2コネクタと前記挿入機器とが接続されていないとき、前記挿入機器への電力の供給を前記電源回路に遮断させる切替回路と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の中継アダプタおよび挿入機器システムによれば、プロセッサに中継アダプタが接続された後に、挿入機器が中継アダプタに接続されても、過剰な電流が挿入機器に供給されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態において、リユース内視鏡を用いて構成した内視鏡システムを示す斜視図である。
【
図2】上記第1の実施形態のリユース内視鏡を示す斜視図である。
【
図3】上記第1の実施形態において、リユース内視鏡に代えてシングルユースの内視鏡を用いて構成した内視鏡システムを示す斜視図である。
【
図4】上記第1の実施形態において、アダプタを経由して内視鏡とビデオプロセッサを接続する部分の構成を示す斜視図である。
【
図5】上記第1の実施形態における内視鏡、アダプタ、およびビデオプロセッサの電気的な構成の概要を示すブロック図である。
【
図6】上記第1の実施形態における内視鏡、アダプタ、およびビデオプロセッサの接続状態に応じた接続検知および電源投入の有無を示す図表である。
【
図7】上記第1の実施形態において、ビデオプロセッサが、リユース内視鏡の接続を検知するための、シングルユースの内視鏡およびアダプタの接続検知回路の構成例を示す図である。
【
図8】上記第1の実施形態において、シングルユースの内視鏡が接続されていないときの、ビデオプロセッサおよびアダプタの接続検知回路の構成例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態における内視鏡、アダプタ、およびビデオプロセッサの電気的な構成の概要を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態における内視鏡、アダプタ、およびビデオプロセッサの電気的な構成の概要を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態における内視鏡システムの構成例を示す図表である。
【
図12】本発明の第5の実施形態における内視鏡システムの構成例を示す図である。
【
図13】本発明の第6の実施形態における内視鏡システムの構成例を示す図である。
【
図14】本発明の第7の実施形態の内視鏡システムにおける内視鏡およびアダプタ内のライトガイドの構成を示す図表である。
【
図15】上記第7の実施形態におけるガラスLGおよびPLGの構成を示す図表である。
【
図16】上記第7の実施形態において、ガラスLGからPLGへの照明光の伝送効率のばらつきを抑制する構成を説明するための図表である。
【
図17】上記第7の実施形態において、ガラスLGおよびPLGの幾つかの実施例を説明するための図表である。
【
図18】上記第7の実施形態において、ガラスLGの光軸がPLGの光軸に対して傾いている場合の、照明光の伝送効率のばらつきを抑制する構成を説明するための図である。
【
図19】本発明の第8の実施形態における内視鏡のコネクタの内部構成を示す斜視図である。
【
図20】上記第8の実施形態における電気回路基板の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
なお、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜、同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、1つの図面内における、各要素の長さの関係、各要素の長さの比率、各要素の数量などは、説明を簡潔にするために現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、複数の図面の相互間においても、互いの長さの関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
[第1の実施形態]
【0018】
図1から
図8は本発明の第1の実施形態を示したものである。
図1は、第1の実施形態において、リユース内視鏡2Aを用いて構成した内視鏡システム1を示す斜視図である。
【0019】
内視鏡システム1は、例えば、リユース内視鏡2Aと、ビデオプロセッサ3(プロセッサ)と、モニタ4とを備える。ビデオプロセッサ3およびモニタ4は、
図1に示すように、カート9に載せられているか、またはカート9に固定されている。また、リユース内視鏡2Aは、非使用時にカート9のフックに掛けてもよい。内視鏡システム1は、例えば、被検体の検査や処置を行う検査室に配置される。
【0020】
ビデオプロセッサ3は、リユース内視鏡2Aへ電力を供給し、リユース内視鏡2Aから電気信号を受信する。
図1に示す例では、ビデオプロセッサ3が光源を内蔵するビデオプロセッサ(光源内蔵型のビデオプロセッサ)となっており、リユース内視鏡2Aへ照明光を供給する。ただし、後述する第4の実施形態で
図11を参照して説明するように、ビデオプロセッサ3は、光源装置と別体であっても構わない。
【0021】
図2は、第1の実施形態のリユース内視鏡2Aを示す斜視図である。
【0022】
リユース内視鏡2Aは、被検体内に挿入される部位を備える挿入機器である。リユース内視鏡2Aは、リプロセス処理を行うことで複数回使用可能である。リユース内視鏡2Aは、挿入部2Aaと、操作部2Abと、ユニバーサルケーブル2Acとを備える。リユース内視鏡2Aは、例えば、電子内視鏡として構成されている。
【0023】
挿入部2Aaは、被検体内に挿入される部位である。被検体は、例えば、人または動物などの生体の管腔を想定する。ただし、被検体は、機械や建築物等の非生体であっても構わない。挿入部2Aaは、先端側から基端側に向かって順に、先端部2Aa1、湾曲部2Aa2、可撓管部2Aa3を備える。
【0024】
先端部2Aa1には、撮像ユニット、ライトガイド(LG)の先端部、および処置具チャンネルの先端側開口などが配置されている。撮像ユニットは、撮像光学系およびイメージセンサを含む。撮像光学系は、被検体の光学像をイメージセンサ上に結像する。イメージセンサは、被検体の光学像を光電変換(撮像)して映像信号を生成する。
【0025】
操作部2Abは、挿入部2Aaの基端側に配置される。操作部2Abは、ユーザがリユース内視鏡2Aを操作するための部位である。
【0026】
ユニバーサルケーブル2Acは、操作部2Abの例えば基端側の側面から延出される。ユニバーサルケーブル2Acは、リユース内視鏡2Aをビデオプロセッサ3へ接続するための接続ケーブルである。
【0027】
リユース内視鏡2Aの、挿入部2Aa、操作部2Ab、およびユニバーサルケーブル2Acの内部には、ライトガイド、信号線、および送気送水チャンネルが配設されている。挿入部2Aaおよび操作部2Abの内部には、処置具チャンネルおよび湾曲操作ワイヤが配設されている。ユニバーサルケーブル2Acおよび操作部2Abの内部には、吸引チャンネルが配設されている。吸引チャンネルは、操作部2Ab内で処置具チャンネルに連通する。
【0028】
ユニバーサルケーブル2Acの延出端に設けられたコネクタ2Ac1(ワンタッチプラグ)は、ビデオプロセッサ3に接続される。コネクタ2Ac1は、イメージセンサからの映像信号のフォーマットを変換する内視鏡内の電気回路基板を実装している。
【0029】
例えば光源を内蔵するビデオプロセッサ3は、光源として、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザ光源、またはキセノン光源などの発光デバイスを備える。コネクタ2Ac1をビデオプロセッサ3に接続することで、光源からライトガイドへの照明光の伝送が可能となる。
【0030】
ビデオプロセッサ3からライトガイドの基端面に入射した照明光は、ライトガイドにより伝送(導光)される。伝送された照明光は、挿入部2Aaの先端部2Aa1に配置されたライトガイドの先端面から被検体へ向けて照射される。
【0031】
ビデオプロセッサ3は、イメージセンサを駆動するための駆動信号を、信号線を経由して送信する。イメージセンサから出力される映像信号は、信号線を経由して送信され、コネクタ2Ac1の電気回路基板により信号フォーマットを変換される。変換された映像信号は、信号線を経由して、コネクタ2Ac1からビデオプロセッサ3へ送信される。
【0032】
ビデオプロセッサ3は、イメージセンサにより取得された映像信号に画像処理を行い、表示可能な画像信号を生成する。ビデオプロセッサ3は、画像信号に、必要に応じて文字情報などを重畳してもよい。ビデオプロセッサ3は、画像信号をモニタ4へ出力する。
【0033】
モニタ4は、ビデオプロセッサ3からの画像信号を入力して、内視鏡画像を含む画像を表示する。
【0034】
図3は、第1の実施形態において、リユース内視鏡2Aに代えてシングルユースの内視鏡2を用いて構成した内視鏡システム1を示す斜視図である。
【0035】
図3に示す内視鏡システム1は、例えば、シングルユースの内視鏡2と、ビデオプロセッサ3(プロセッサ)と、モニタ4と、中継アダプタ5(以下では、アダプタ5という)と、吸引ポンプ6と、送水タンク7と、を備える。
【0036】
ビデオプロセッサ3およびモニタ4が、カート9に載せられているか、またはカート9に固定されているのは、上述の通りである。吸引ポンプ6は、カート9に載せられているか、またはカート9に固定されている。送水タンク7は、例えば、ビデオプロセッサ3の側面に取り付けられる。
【0037】
ビデオプロセッサ3、モニタ4、およびカート9は、
図1に示したものと同一である。すなわち、ビデオプロセッサ3は、リユース内視鏡2Aに対して用いられるリユース内視鏡用のプロセッサである。
【0038】
なお、
図1においては図示を省略したが、リユース内視鏡2Aを用いる内視鏡システム1においても、吸引ポンプ6および送水タンク7を備えて構わない。
【0039】
シングルユースの内視鏡2は、被検体内に挿入される部位を備える挿入機器である。シングルユースの内視鏡2は、単回使用後に処分、つまり一度の使用限りで廃棄または処理機関に回収される。シングルユースの内視鏡2(以下では適宜、内視鏡2という)は、1回のみ使用され、複数回使用すべきでない。
【0040】
内視鏡2は、挿入部2aと、操作部2bと、ユニバーサルケーブル2cとを備える。内視鏡2は、例えば、電子内視鏡として構成されている。
【0041】
挿入部2aは、被検体内に挿入される部位である。被検体は、上述したように、生体、非生体の何れでも構わない。挿入部2aは、先端側から基端側に向かって順に、先端部2a1と、湾曲部2a2と、可撓管部2a3とを備える。
【0042】
先端部2a1には、撮像ユニット、ライトガイドの先端部、および処置具チャンネルの先端側開口などが配置されている。撮像ユニットは、撮像光学系およびイメージセンサ21(
図5等参照)を含む。撮像光学系は、被検体の光学像をイメージセンサ21上に結像する。イメージセンサ21は、被検体の光学像を光電変換(撮像)して映像信号を生成する。
【0043】
イメージセンサ21の例は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであるが、これらに限定されない。
【0044】
湾曲部2a2は、例えば、2方向、または上下左右の4方向に湾曲可能な部位である。
【0045】
可撓管部2a3は、可撓性を有する管部である。なお、ここでは、内視鏡2が、可撓管部2a3を有する軟性内視鏡である例を挙げている。ただし、内視鏡2は、可撓管部2a3に対応する部分が硬性の形態の硬性内視鏡であっても構わない。
【0046】
操作部2bは、ユーザが内視鏡2を操作するための部位である。操作部2bは、挿入部2aの基端側に配設されている。操作部2bは、把持部2b1と、湾曲操作ノブ2b2と、複数の操作ボタン2b3と、処置具挿入口2b4とを備える。
【0047】
把持部2b1は、ユーザが掌で内視鏡2を把持する部位である。
【0048】
湾曲操作ノブ2b2は、湾曲部2a2の湾曲を操作するための操作デバイスである。湾曲操作ノブ2b2は、例えば、把持部2b1を把持した手の親指を用いて操作される。湾曲操作ノブ2b2を操作すると、湾曲操作ワイヤが牽引され、湾曲部2a2が湾曲される。
【0049】
湾曲部2a2が湾曲されると、先端部2a1の方向が変化する。すると、イメージセンサ21による撮像方向、およびライトガイドからの照明光の照射方向が変化する。また、湾曲部2a2は、被検体内における挿入部2aの挿入性を向上するためにも湾曲される。
【0050】
複数の操作ボタン2b3は、例えば、送気送水ボタン、吸引ボタン、撮像に関連するボタンを含む。送気送水ボタンは、先端部2a1において、撮像ユニットの先端面に設けられた観察窓へ送気送水する操作のためのボタンである。送液により観察窓が洗浄され、送気により洗浄後の液体が払拭される。送気および送水は、図示しない送気送水チャンネルを経由して行われる。
【0051】
吸引ボタンは、先端部2a1から被検体内を吸引する操作のためのボタンである。被検体内からの吸引は、例えば、吸引チャンネルを経由して行われる。吸引操作を行うと、被検体内から例えば液体や粘膜が吸引される。
【0052】
撮像に関連するボタンは、例えば、レリーズ操作のためのボタンスイッチである。
【0053】
処置具挿入口2b4は、処置具チャンネルの基端側の開口である。鉗子などの処置具が、処置具挿入口2b4から処置具チャンネル内へ挿入される。処置具の先端部は、処置具チャンネルの先端側の開口から突出する。突出された処置具の先端部により、被検体に対して各種の処置が行われる。
【0054】
ユニバーサルケーブル2cは、操作部2bの例えば基端側の側面から延出される。ユニバーサルケーブル2cの延出端には、コネクタ2c1(第3コネクタ)が設けられている。
【0055】
シングルユースの内視鏡2のコネクタ2c1は、例えば、リユース内視鏡2Aのコネクタ2Ac1と形状が異なる。さらに、コネクタ2c1は、コネクタ2Ac1と異なり、映像信号のフォーマットを変換する電気回路基板を備えていない。
【0056】
そこで、アダプタ5を経由して、シングルユースの内視鏡2を、ビデオプロセッサ3へ接続する。ビデオプロセッサ3は、アダプタ5を経由して、内視鏡2へ電力を供給し、内視鏡2から電気信号を受信する。つまり、アダプタ5は、ビデオプロセッサ3と内視鏡2とを中継する。アダプタ5は、後述するように、映像信号のフォーマットを変換する回路を備える。
【0057】
図4は、第1の実施形態において、アダプタ5を経由して内視鏡2とビデオプロセッサ3を接続する部分の構成を示す斜視図である。
【0058】
アダプタ5は、一端側に、シングルユースの内視鏡2のコネクタ2c1と接続されるコネクタ受け5b(第2コネクタ)を備える。アダプタ5は、他端側に、ビデオプロセッサ3のコネクタ受け3aと接続されるコネクタ5a(第1コネクタ)を備える。すなわち、コネクタ5a(第1コネクタ)は、リユース内視鏡2Aのコネクタ2Ac1と互換性がある構成となっている。
【0059】
内視鏡2の、挿入部2a、操作部2b、およびユニバーサルケーブル2cの内部には、ライトガイド、信号線、および送気送水チャンネルが配設されている。挿入部2aおよび操作部2bの内部には、処置具チャンネルおよび湾曲操作ワイヤが配設されている。ユニバーサルケーブル2cおよび操作部2bの内部には、吸引チャンネルが配設されている。吸引チャンネルは、操作部2b内で処置具チャンネルに連通する。
【0060】
例えば光源を内蔵するビデオプロセッサ3は、光源として、上述のように、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザ光源、またはキセノン光源などの発光デバイスを備える。アダプタ5は、ライトガイドおよび信号線を備える。コネクタ2c1を、アダプタ5を経由してビデオプロセッサ3に接続することで、内視鏡2への照明光の伝送が可能となる。
【0061】
ビデオプロセッサ3から、アダプタ5を経由して内視鏡2のライトガイドに照明光が入射する。入射した照明光は、ライトガイドにより内視鏡2の挿入部2aの先端部2a1へ伝送される。伝送された照明光は、先端部2a1に配置されたライトガイドの先端面から被検体へ照射される。
【0062】
ビデオプロセッサ3は、イメージセンサ21を駆動するための駆動信号を、アダプタ5の信号線、および内視鏡2の信号線を経由して送信する。イメージセンサ21から出力される映像信号は、内視鏡2の信号線を経由して、アダプタ5へ送信される。
【0063】
アダプタ5は、イメージセンサ21により取得された映像信号を信号処理して、ビデオプロセッサ3により処理可能なフォーマットの映像信号に変換する。アダプタ5は、変換した映像信号をビデオプロセッサ3へ送信する。
【0064】
ビデオプロセッサ3は、受信した映像信号に画像処理を行い、表示可能な画像信号を生成する。ビデオプロセッサ3は、画像信号に、必要に応じて文字情報などを重畳してもよい。ビデオプロセッサ3は、画像信号をモニタ4へ出力する。
【0065】
モニタ4は、ビデオプロセッサ3から出力された画像信号により、内視鏡画像を含む画像を表示する。
【0066】
図3に示すように、送水タンク7は、送気送水チューブ7aを用いて、シングルユースの内視鏡2のコネクタ2c1に接続される。コネクタ2c1は、送気送水チューブ7aを、内視鏡2内の送気送水チャンネルに接続する。
【0067】
送水タンク7は、生理食塩水などの液体を貯留するタンクである。ビデオプロセッサ3内の送気送水用のポンプから送水タンク7へ加圧した気体を送ることで、送水タンク7内の液体が送気送水チャンネルへ送水される。
【0068】
吸引ポンプ6は、吸引チューブ6aを用いて、コネクタ2c1に接続される。コネクタ2c1は、吸引チューブ6aを内視鏡2内の吸引チャンネルに接続する。吸引ポンプ6は、被検体から液体や粘膜などを吸引するために用いられる。
【0069】
ビデオプロセッサ3は、内視鏡2、吸引ポンプ6、モニタ4などを含む内視鏡システム1全体を制御する。
【0070】
図5は、第1の実施形態における内視鏡2、アダプタ5、およびビデオプロセッサ3の電気的な構成の概要を示すブロック図である。
【0071】
アダプタ5は、ビデオプロセッサ3に接続されると、ビデオプロセッサ3から電力供給を受けて作動する。また、内視鏡2は、ビデオプロセッサ3に接続されたアダプタ5から電力供給を受けて作動する。
【0072】
内視鏡2は、イメージセンサ21と、ROM22(メモリ)と、を備える。
【0073】
イメージセンサ21は、イメージセンサ用電力の供給を受けて、イメージセンサ駆動信号により駆動される。イメージセンサ21が駆動されて撮像を行うと、映像信号をアダプタ5へ送信する。
【0074】
ROM22は、内視鏡2に関する判別情報を不揮発に記憶する。判別情報は、機種判別情報(挿入機器の機種に関連する情報)、およびセンサ判別情報(挿入機器が備えるイメージセンサの種類に関連する情報)を含む。具体的に、機種判別情報は内視鏡2の機種情報、センサ判別情報はイメージセンサ21の種類を示す情報である。ROM22は、判別情報をアダプタ5へ送信する。
【0075】
アダプタ5は、FPGA(Field Programmable Gate Array)51と、ROM52と、イメージセンサ用駆動回路53と、イメージセンサ用電源回路54(電源回路)と、映像受信回路55と、を備える。
【0076】
ROM52は、FPGA51を各種の回路として機能させる処理プログラムを不揮発に記憶する記憶装置(メモリ)である。ROM52は、さらに、処理に必要なパラメータやデータなども不揮発に記憶する。
【0077】
なお、ここでは、処理を実行するプロセッサとしてFPGA51を例に挙げたが、これに限らず、CPU(Central Processing Unit)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いても構わない。また、メモリは、ROM52に限らず、RAMなどをさらに備えてもよい。さらに、FPGA51内の各回路、またはアダプタ5内の各回路の少なくとも一部が、専用の電子回路として構成されていても構わない。
【0078】
FPGA51は、機能する各回路として、判別回路51c(判別信号受信回路)、制御回路51a、および映像信号処理回路51bを備える。
【0079】
判別回路51cは、内視鏡2内のROM22と通信を行って、判別情報を読み出す。判別回路51cは、内視鏡2の機種に関連する情報を含む信号(挿入機器の機種に関連する判別信号)を、ROM22から受信する。判別回路51cは、内視鏡2が備えるイメージセンサ21の種類に関連する情報を含む信号(挿入機器が備えるイメージセンサの種類に関連する第2の判別信号)を、ROM22からさらに受信する。そして、判別回路51cは、判別信号から内視鏡2の機種を判別し、第2の判別信号からイメージセンサ21の種類を判別する。
【0080】
このとき、制御回路51aは、判別回路51cから判別信号(機種判別情報)を受信しない場合、アダプタ5に内視鏡2が接続されていないと判別する。さらに精密に判別する場合、制御回路51aは、判別回路51cから判別信号(機種判別情報)および第2の判別信号(センサ判別情報)を受信しない場合、アダプタ5に内視鏡2が接続されていないと判別してもよい。
【0081】
コネクタ5aとビデオプロセッサ3とが接続され、かつコネクタ受け5bと内視鏡2とが接続されていないとき(判別回路51cが判別信号を受信しないとき)、制御回路51aは、切替回路として機能し、内視鏡2への電力の供給をイメージセンサ用電源回路54に遮断させる。従って、内視鏡2のイメージセンサ21へ向けた電力の供給が、コネクタ受け5bを経由して行われることはない。
【0082】
これにより、内視鏡2が未接続時に、ビデオプロセッサ3に接続されたアダプタ5のコネクタ受け5bに触れたとしても、電流が流れることはない。また、ビデオプロセッサ3にアダプタ5が接続された後に、内視鏡2がアダプタ5に接続されても、コネクタ受け5bは電力供給状態にない。このため、イメージセンサ21を含む内視鏡2に、電力の供給が不意に(つまり、一連の電源立ち上げシーケンスを経ることなく)開始されることがない。従って、イメージセンサ21を含む内視鏡2の、過剰な電流等による破損を防げる。
【0083】
また、制御回路51aは、判別回路51cから判別信号(機種判別情報)を受信すると、アダプタ5に内視鏡2が接続されていると判別する。このとき、制御回路51aは、さらに第2の判別信号(センサ判別情報)を受信して、イメージセンサ21の種類を判別する。
【0084】
コネクタ5aとビデオプロセッサ3とが接続され、かつコネクタ受け5bと内視鏡2とが接続されているとき(判別回路51cが判別信号を受信したとき)、制御回路51aは、内視鏡2への電力の供給をイメージセンサ用電源回路54に行わせる。
【0085】
制御回路51aは、センサ判別情報に基づき動作切替信号を生成する。制御回路51aは、動作切替信号を、イメージセンサ用電源回路54、イメージセンサ用駆動回路53、および映像信号処理回路51bへ送信する。
【0086】
イメージセンサ用電源回路54は、動作切替信号に応じて、ビデオプロセッサ3の電源回路32から供給される電力を、シングルユースの内視鏡2のイメージセンサ21に対応する電力(イメージセンサ用電力)に変換し、内視鏡2へ供給する。ここで、電源回路32から供給されるのは、リユース内視鏡2Aに対応する電力である。イメージセンサ用電源回路54は、変換した電力を内視鏡2のイメージセンサ21へ供給する。
【0087】
イメージセンサ用駆動回路53は、動作切替信号に応じて、イメージセンサ駆動信号(同期信号と駆動信号とを含む)を、イメージセンサ21に適合する駆動信号に切り替える。イメージセンサ用駆動回路53は、イメージセンサ駆動信号をイメージセンサ21へ出力して、イメージセンサ21を駆動する。これにより、イメージセンサ21から映像信号が出力される。
【0088】
映像受信回路55は、イメージセンサ21が駆動されているときに、イメージセンサ21から映像信号を受信する。映像受信回路55は、受信した映像信号を映像信号処理回路51bへ送信する。
【0089】
映像信号処理回路51bは、動作切替信号に応じて(つまり、第2の判別信号から判別されるイメージセンサ21の種類に応じて)、信号フォーマットの変換処理を切り替える。そして、映像信号処理回路51bは、映像信号を受信し、受信した映像信号をビデオプロセッサ3が処理可能な信号フォーマットの映像信号に変換し、ビデオプロセッサ3へ出力する。
【0090】
ROM52には、例えば、複数機種のシングルユースの内視鏡2の複数種類のイメージセンサ21と、ビデオプロセッサ3に接続可能な複数機種のリユース内視鏡2Aと、の組み合わせに応じた複数の信号フォーマットの変換処理プログラムが格納されている。映像信号処理回路51bは、動作切替信号に応じて信号フォーマットの変換処理プログラムを選択することで、処理の切り替えを行う。
【0091】
映像信号処理回路51bは、設定された変換処理により、映像信号のフォーマットを変換する。ここで変換されるフォーマットは、リユース内視鏡2Aから出力される映像信号のフォーマットと同一となる。映像信号処理回路51bは、フォーマットを変換した映像信号を、ビデオプロセッサ3の画像処理回路31へ送信する。画像処理回路31は、受信した映像信号に、リユース内視鏡2Aから受信した映像信号に対する画像処理と同様の処理を行う。
【0092】
上述したように、アダプタ5がビデオプロセッサ3と接続されていて、アダプタ5がビデオプロセッサ3から電力の供給を仮に受けている場合でも、制御回路51aは、アダプタ5に内視鏡2が接続されていない場合には、コネクタ受け5bを経由した内視鏡2へ電力の供給をイメージセンサ用電源回路54に遮断させる。このため、コネクタ受け5bが外部に露呈していても、コネクタ受け5bには電力が供給されない安全設計となっている。以下では、
図6~
図8を参照して、安全性をより一層高めるための好ましい構成について説明する。
【0093】
図6は、第1の実施形態における内視鏡2、アダプタ5、およびビデオプロセッサ3の接続状態に応じた接続検知および電源投入の有無を示す図表である。
【0094】
図6のA欄に示すように、ビデオプロセッサ3とアダプタ5が接続され、かつアダプタ5と内視鏡2が接続されている場合、アダプタ5はシングルユースの内視鏡2が接続されていることを検知する。さらに、ビデオプロセッサ3は、後述する
図7に示す構成により、リユース内視鏡2Aが接続されていると検知する。この場合、ビデオプロセッサ3は、電源回路32から電力を供給(電源投入)して、内視鏡の電源立ち上げシーケンスを実行する。
【0095】
図6のB欄に示すように、ビデオプロセッサ3とアダプタ5が接続され、かつアダプタ5と内視鏡2が接続されていない場合、アダプタ5はシングルユースの内視鏡2の接続を検知しない。さらに、ビデオプロセッサ3は、後述する
図8に示す構成により、リユース内視鏡2Aが接続されていないと検知する。この場合、ビデオプロセッサ3は、電源回路32から電力を供給(電源投入)せず、内視鏡の電源立ち上げシーケンスを実行しない。
【0096】
なお、アダプタ5と内視鏡2が接続されていても、ビデオプロセッサ3とアダプタ5が接続されていない場合は、ビデオプロセッサ3からアダプタ5(および内視鏡2)への電力供給が行われない。このため、アダプタ5は、内視鏡2の接続を検知できない。また、ビデオプロセッサ3も、当然にして、リユース内視鏡2Aが接続されていないと検知する。
【0097】
図7は、第1の実施形態において、ビデオプロセッサ3が、リユース内視鏡2Aの接続を検知するための、シングルユースの内視鏡2およびアダプタ5の接続検知回路の構成例を示す図である。
図8は、第1の実施形態において、シングルユースの内視鏡2が接続されていないときの、ビデオプロセッサ3およびアダプタ5の接続検知回路の構成例を示す図である。
【0098】
ビデオプロセッサ3は、
図5に示す構成に加えて、内視鏡接続検知回路33a(接続検知回路)と、内視鏡機種判別回路33b(挿入機器判別回路)とを備える。
【0099】
アダプタ5は、第1の配線L1と、第2の配線L2と、を備える。第1の配線L1の一端は、ビデオプロセッサ3が備える内視鏡接続検知回路33aとコネクタ5a(第1コネクタ)を経由して接続する。第1の配線L1の他端は、内視鏡2が備える第3の配線L3の一端と、コネクタ受け5b(第2コネクタ)を経由して接続する。
【0100】
第2の配線L2の一端は、接地されている。第2の配線L2の他端は、内視鏡2内においてループする第3の配線L3の他端とコネクタ受け5b(第2コネクタ)を経由して接続する。
【0101】
図7に示すように、内視鏡2、アダプタ5、およびビデオプロセッサ3が接続されていると、内視鏡接続検知回路33aは、第1の配線L1、第3の配線L3、および第2の配線L2を経由して接地される。
【0102】
内視鏡接続検知回路33aは、接続検知信号の電圧レベルを監視している。内視鏡接続検知回路33aは、接続検知信号の電圧レベルが接地のレベルであることを検知すると、内視鏡が接続されたと検知する。
【0103】
すると、内視鏡接続検知回路33aは、内視鏡機種判別回路33bに、下記に説明するように内視鏡の機種を判別させる。さらに、内視鏡接続検知回路33aは、内視鏡の機種に応じた電源立ち上げシーケンスを電源回路32に実行させる。こうして、内視鏡接続検知回路33aが接地を検出したときに、ビデオプロセッサ3はアダプタ5へ電力を供給する。
【0104】
一方、
図8に示すように、アダプタ5とビデオプロセッサ3が接続されているが、内視鏡2が接続されていない場合は、接続検知信号の電圧レベルは、接地のレベルと異なるオープンのレベルとなる。従って、内視鏡接続検知回路33aは、接地を検知せず、内視鏡が接続されていないと検知する。すると、内視鏡接続検知回路33aは、電源回路32に、電源立ち上げシーケンスを実行させない。従って、ビデオプロセッサ3はアダプタ5へ電力を供給しない。
【0105】
次に、内視鏡機種判別回路33bは、内視鏡の機種の判別を次のように行う。
【0106】
アダプタ5は、第1の抵抗器56をさらに備える。例えば
図7の構成では、第1の抵抗器56は、並列に接続された抵抗Ra,Rbを備える。
【0107】
第1の抵抗器56は、ビデオプロセッサ3に接続可能な複数機種のリユース内視鏡2Aの内の、1つの機種のリユース内視鏡2A(他の挿入機器)が備える他の抵抗器と抵抗値が同一である。
【0108】
第1の抵抗器56は、コネクタ5a(第1コネクタ)を経由して、ビデオプロセッサ3が備える内視鏡機種判別回路33bに接続される。
図7の例では、並列に接続された抵抗Ra,Rbが、それぞれ内視鏡機種判別回路33bに接続される。
【0109】
内視鏡機種判別回路33bは、第1の抵抗器56を検知すると、第1の抵抗器56の抵抗値により生じる電圧値等に基づき、ビデオプロセッサ3に接続されている内視鏡の機種を判別する。
図7の例では、抵抗Raの抵抗値により生じる電圧値等と、抵抗Rbの抵抗値により生じる電圧値等とに基づき、内視鏡機種判別回路33bが内視鏡の機種を判別する。
【0110】
上述のように、第1の抵抗器56の抵抗値は、リユース内視鏡2Aが備える他の抵抗器と抵抗値が同一である。従って、内視鏡機種判別回路33bは、実際には内視鏡2とアダプタ5との組み合わせが接続されているにもかかわらず、抵抗値により生じる電圧値等から判別される機種のリユース内視鏡2Aが接続されていると認識する。
【0111】
こうして、アダプタ5がリユース内視鏡2Aが備える他の抵抗器と抵抗値が同一の第1の抵抗器56を備えることで、ビデオプロセッサ3に、リユース内視鏡2Aが接続されているとエミュレーションしている。
【0112】
なお、リユース内視鏡2Aが接続されているとエミュレーションする信号は、第1の抵抗器56を用いて生成するものに限定されない。例えば、エミュレーションする信号を、ROM52から送信してもよいし、その他の任意の技術を用いてアダプタ5からビデオプロセッサ3へ送信しても構わない。
【0113】
ビデオプロセッサ3の電源回路32は、内視鏡機種判別回路33bにより判別された機種のリユース内視鏡2Aに対する電力を供給する。
【0114】
イメージセンサ用電源回路54は、ビデオプロセッサ3からリユース内視鏡2A用に供給される電力を、シングルユースの内視鏡2内のイメージセンサ21の種類(第2の判別信号から判別される種類)に応じた電力に変換する。イメージセンサ用電源回路54は、変換した電力を内視鏡2へ供給する。
【0115】
このような第1の実施形態によれば、映像信号のフォーマットを変換する回路を、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間に配置されるアダプタ5に設けた。従って、内視鏡2に、映像信号のフォーマットを変換する回路を設ける必要がない。このため、シングルユースの内視鏡2の製造コストを削減できる。また、アダプタ5はリユースできるため、運用コストも低減できる。
【0116】
ROM52に、例えば、複数機種のシングルユースの内視鏡2と、複数機種のリユース内視鏡2Aと、の組み合わせに応じた複数の信号フォーマットの変換処理プログラムを格納している。このため、1種類のアダプタ5を用いるだけで、複数機種のシングルユースの内視鏡2を、複数機種のリユース内視鏡2Aの何れに対応するビデオプロセッサ3に対しても、接続可能となる。
【0117】
また、アダプタ5が備える第1の抵抗器56は、リユース内視鏡2Aが備える他の抵抗器と抵抗値が同一である。すると、ビデオプロセッサ3は、接続されている内視鏡の機種が、既知の機種のリユース内視鏡2Aであると判別する。このため、ビデオプロセッサ3は、リユース内視鏡2Aが接続されたときの通常の動作シーケンス(電源立ち上げシーケンスを含む各種の動作シーケンス)を実行すればよい。従って、構成に変更を加える必要なく、リユース内視鏡2A用の既存のビデオプロセッサ3を、アダプタ5および内視鏡2の組み合わせに対して適用できる。
【0118】
アダプタ5は、ビデオプロセッサ3から供給されるリユース内視鏡2A用の電力を、シングルユースの内視鏡2用の電力に変換して供給する。このため、内視鏡2がリユース内視鏡2Aと異なる電力消費を行うタイプであっても、内視鏡2は通常の動作を行える。
【0119】
ビデオプロセッサ3の内視鏡機種判別回路33bは、コネクタ5aを経由してアダプタ5に接続されているが、内視鏡2には接続されていない。このため、内視鏡2とアダプタ5との間のインタフェースの信号ラインの本数を削減でき、内視鏡2のコネクタ2c1およびアダプタ5のコネクタ受け5bの構成を簡単にできる。このため、シングルユースの内視鏡2のコストを削減できる。
【0120】
アダプタ5に内視鏡2が接続されていないとき、制御回路51aは、切替回路として機能し、内視鏡2への電力の供給をイメージセンサ用電源回路54に遮断させる。従って、内視鏡2のイメージセンサ21へ向けた電力の供給が、コネクタ受け5bを経由して行われることはない。
【0121】
従って、ビデオプロセッサ3にアダプタ5が接続された後に、内視鏡2がアダプタ5に接続されても、過剰な電流が内視鏡2に供給される等がなく、イメージセンサ21を含む内視鏡2の破損を防げる。また、内視鏡2が未接続時に、ビデオプロセッサ3に接続されたアダプタ5のコネクタ受け5bに触れたとしても、電流が流れることはない。
【0122】
さらに、ビデオプロセッサ3の内視鏡接続検知回路33aが、アダプタ5の第1の配線L1、内視鏡2内においてループする第3の配線L3、アダプタ5の第2の配線L2を経由して、接地を検知する構成とした。このため、アダプタ5とビデオプロセッサ3が接続されているが、アダプタ5と内視鏡2が接続されていない場合、内視鏡接続検知回路33aは、内視鏡が接続されていないと検知する。これにより、ビデオプロセッサ3は、電源立ち上げシーケンスを実行せず、アダプタ5へ電力を供給しない。
【0123】
ここで仮に、ビデオプロセッサ3にアダプタ5だけが接続されたときに電力を供給する構成であると、実際には内視鏡2が接続されていないため、電力を供給したことに対する必要な応答が得られない。すると、ビデオプロセッサ3は過剰な電流を供給しようとしたり、電源立ち上げシーケンスが異常であると判断したりする可能性がある。
【0124】
これに対し、本実施形態によれば、ビデオプロセッサ3は、内視鏡の接続検知がされない場合、内視鏡の電源立ち上げシーケンスを実行せず、内視鏡へ電力を供給しない。これにより、ビデオプロセッサ3が、電源立ち上げシーケンスの異常を判断する状態にならずに済む。
[第2の実施形態]
【0125】
図9は、本発明の第2の実施形態における内視鏡2、アダプタ5、およびビデオプロセッサ3の電気的な構成の概要を示すブロック図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0126】
第1の実施形態は、ROM22に記憶された判別情報を読み出して、判別回路51cが、内視鏡2の機種、およびイメージセンサ21の種類などを判別した。これに対して、本実施形態は、ROM22に代えて抵抗器をシングルユースの内視鏡2に設け、抵抗値に基づき判別情報を取得するようにしている。
【0127】
アダプタ5のFPGA51は、判別回路51c(判別信号受信回路)の具体的な構成要素として、イメージセンサ判別回路51c1と、内視鏡機種判別回路51c2と、を備える。
【0128】
シングルユースの内視鏡2は、第2の抵抗値の第2の抵抗器22bと、第3の抵抗値の第3の抵抗器22aとを備える。第3の抵抗器22aは、一端が接地され、他端がイメージセンサ検知ラインを経由してイメージセンサ判別回路51c1に接続される。第2の抵抗器22bは、一端が接地され、他端が機種検知ラインを経由して内視鏡機種判別回路51c2に接続される。イメージセンサ検知ラインおよび機種検知ラインは、コネクタ受け5bを経由して、内視鏡2とアダプタ5とを接続する。
【0129】
例えば
図9の構成では、第2の抵抗器22bは、並列に接続された抵抗R1,R2を備える。並列に接続された抵抗R1,R2は、それぞれ内視鏡機種判別回路51c2に接続される。また、第3の抵抗器22aは、並列に接続された抵抗R3,R4を備える。並列に接続された抵抗R3,R4は、それぞれイメージセンサ判別回路51c1に接続される。
【0130】
アダプタ5のROM52は、第2の抵抗値と内視鏡2の機種との関連を示す第1の情報を保持するメモリである。ROM52は、さらに、第3の抵抗値とイメージセンサ21の種類との関連を示す第2の情報を保持する。第1の情報、および第2の情報は、例えばそれぞれのテーブルとして、ROM52に保持されている。
【0131】
内視鏡機種判別回路51c2は、例えば、第2の抵抗器22bの第2の抵抗値により生じる電圧値等を判別信号(機種判別情報)として受信する。内視鏡機種判別回路51c2は、判別信号(機種判別情報)とROM52の第1の情報とに基づき、内視鏡2の機種を判別する。この場合、第1の情報は、第2の抵抗値により生じる電圧値等と、内視鏡2の機種と、の関連を示す情報を含む。
【0132】
イメージセンサ判別回路51c1は、例えば、第3の抵抗器22aの第3の抵抗値により生じる電圧値等を第2の判別信号として受信する。イメージセンサ判別回路51c1は、第2の判別信号とROM52の第2の情報とに基づき、イメージセンサ21の種類を判別する。この場合、第2の情報は、第3の抵抗値により生じる電圧値等と、イメージセンサ21の種類と、の関連を示す情報を含む。
【0133】
このような第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0134】
また、第2の実施形態によれば、シングルユースの内視鏡2に、ROM22を設ける代わりに第2の抵抗器22bおよび第3の抵抗器22aを設ければ足りる。このため、部品コストや部品点数を削減して、シングルユースの内視鏡2の製造コストをより下げられる。
[第3の実施形態]
【0135】
図10は本発明の第3の実施形態における内視鏡2、アダプタ5、およびビデオプロセッサ3の電気的な構成の概要を示すブロック図である。第3の実施形態において、第1,2の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第3の実施形態では、第1,2の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0136】
第2の実施形態と同様に、判別回路51c(判別信号受信回路)は、イメージセンサ判別回路51c1と、内視鏡機種判別回路51c2と、を備える。
【0137】
内視鏡2は、ROM22と、第3の抵抗器22aとを備える。ROM22は、内視鏡機種判別回路51c2に接続される。ROM22は、判別情報として、機種判別情報(内視鏡2の機種情報)を含む。第3の抵抗器22aは、イメージセンサ判別回路51c1に接続される。第3の抵抗器22aは、上述したように、イメージセンサ21の種類を判別するための第3の抵抗値を有する。
【0138】
第1、第2の実施形態のアダプタ5は、ROM52をFPGA51の外に設けたが、本実施形態のアダプタ5は、ROM52をFPGA51内に設けている。
【0139】
また、第1、第2の実施形態のアダプタ5は、FPGA51の外に設けたイメージセンサ用駆動回路53によりイメージセンサ21を駆動していた。これに対し、本実施形態のアダプタ5は、イメージセンサ用駆動回路53に対応する駆動信号生成回路53aおよび同期信号生成回路53bを、FPGA51内に設けている。駆動信号生成回路53aは、駆動信号を生成して内視鏡2へ送信する。同期信号生成回路53bは、同期信号を生成して内視鏡2へ送信する。
【0140】
すなわち、本実施形態ではFPGA51がイメージセンサ21を駆動する構成となるため、FPGA51と別途に駆動回路を設ける必要がなく、アダプタ5の構成をより簡単にできる。
【0141】
アダプタ5のイメージセンサ用電源回路54は、ビデオプロセッサ3の電源回路32から供給される電力を、第1の長さのケーブルを有する標準内視鏡(標準挿入機器)に対応する電力に変換して供給する。ここで、標準内視鏡は、アダプタ5が対応可能な複数機種のシングルユースの内視鏡2の内の1つの機種の内視鏡2である。
【0142】
イメージセンサ用電源回路54は、第1電源生成回路54aと、第2電源生成回路54bと、第3電源生成回路54cとを備える。第1電源生成回路54a、第2電源生成回路54b、および第3電源生成回路54cは、それぞれ、例えばLDO(Low Drop Out)レギュレータとして構成されている。LDOレギュレータを用いることで、第1電源生成回路54a、第2電源生成回路54b、および第3電源生成回路54cは、入出力電圧差(Dropout)が小さくても所望の出力電圧を得られる。
【0143】
シングルユースの内視鏡2は、電圧調整回路23と、ケーブル損失模擬回路24と、撮像ケーブル25と、をさらに備える。
【0144】
電圧調整回路23は、第1電源生成回路54aと接続される第1電圧調整回路23aと、第2電源生成回路54bと接続される第2電圧調整回路23bと、第3電源生成回路54cと接続される第3電圧調整回路23cとを備える。
【0145】
第1電圧調整回路23aは、第1電源生成回路54aからの電力の電圧を調整して、イメージセンサ21側へ供給する。
【0146】
第2電圧調整回路23bは、第2電源生成回路54bからの電力の電圧を調整して、イメージセンサ21側へ供給する。
【0147】
第3電圧調整回路23cは、第3電源生成回路54cからの電力の電圧を調整して、イメージセンサ21側へ供給する。
【0148】
ケーブル損失模擬回路24は、駆動信号生成回路53aと、同期信号生成回路53bと、映像受信回路55と、電圧調整回路23と、に接続される。ケーブル損失模擬回路24は、さらに、撮像ケーブル25を経由してイメージセンサ21に接続される。
【0149】
撮像ケーブル25は、コネクタ受け5bを経由して供給され、電圧調整回路23により電圧を調整された電力を、イメージセンサ21へ伝送する。また、撮像ケーブル25は、駆動信号生成回路53aから送信された駆動信号、および同期信号生成回路53bから送信された同期信号を、イメージセンサ21へ伝送する。さらに、撮像ケーブル25は、イメージセンサ21から送信された映像信号を、映像受信回路55へ向けて伝送する。
【0150】
内視鏡2の撮像ケーブル25は、第2の長さであるものとする。内視鏡2の撮像ケーブル25の第2の長さは、標準内視鏡のケーブルの第1の長さとは一般に異なる。つまり、内視鏡2は、機種によって長さが異なり、搭載する撮像ケーブル25の長さが異なる。
【0151】
そこで、電圧調整回路23が、第2の長さと、第1の長さと、の違いによる電力の差分を調整する。
【0152】
また、撮像ケーブル25の長さが異なると、撮像ケーブル25による信号伝送損失が異なる。信号伝送損失が異なると、アダプタ5が備える回路では、全ての機種の内視鏡2を駆動できない可能性がある。そこで、内視鏡2にケーブル損失模擬回路24を設けることで、撮像ケーブル25の長さの違いによる信号伝送損失の違いを補償する。これにより、ケーブル損失模擬回路24は、電力、駆動信号、同期信号、および映像信号の伝送損失を補償する。
【0153】
このような第3の実施形態によれば、上述した第1,2の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0154】
また、第3の実施形態によれば、1種類のアダプタ5で、撮像ケーブル25の長さが大きく異なる複数の機種の内視鏡2を接続可能となる。従って、アダプタ5の汎用性が高まる。
[第4の実施形態]
【0155】
図11は本発明の第4の実施形態における内視鏡システム1の構成例を示す図表である。第4の実施形態において、第1~3の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第4の実施形態では、第1~3の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0156】
図11には、シングルユースの内視鏡2を用いて構成した内視鏡システム1の幾つかの構成例を示す。
【0157】
図11のA~C欄において、左方向の実線矢印は、クロック、同期信号、および制御通信を表す。また、右方向の実線矢印は、映像信号、および制御通信を表す。ただし、モニタ4に入る右方向の実線矢印は、画像信号を表す。また、左方向の1点鎖線矢印は、照明光を表す。
【0158】
図11のA欄に示す第1の構成例は、ビデオプロセッサ3が、上述した各実施形態で説明したような光源内蔵型となっている。シングルユースの内視鏡2は、アダプタ5を経由して、ビデオプロセッサ3に接続される。アダプタ5は、内視鏡2およびビデオプロセッサ3と電気信号を送受信する。ビデオプロセッサ3は、アダプタ5を経由して、内視鏡2へ照明光を供給する。アダプタ5は、内視鏡2から映像信号を受信し、映像信号処理回路51bで処理する。ビデオプロセッサ3は、アダプタ5からの映像信号を受信する。ビデオプロセッサ3は、アダプタ5から受信した映像信号を、画像処理回路31で処理して、モニタ4へ画像信号を出力する。
【0159】
図11のB欄に示す第2の構成例は、光源装置3Bとビデオプロセッサ3Aとを別体で設けている。シングルユースの内視鏡2は、アダプタ5を経由して、光源装置3Bとビデオプロセッサ3Aとに順に(直列に)接続される。光源装置3Bは、アダプタ5を経由して、内視鏡2へ照明光を供給する。光源装置3Bは、ビデオプロセッサ3Aからの電気信号を、電気接点を経由してアダプタ5へ中継する。また、光源装置3Bは、アダプタ5からの電気信号を、電気接点を経由してビデオプロセッサ3Aへ中継する。これによりビデオプロセッサ3Aは、光源装置3Bを経由して、アダプタ5からの映像信号を受信する。ビデオプロセッサ3Aは、アダプタ5から受信した映像信号を、画像処理回路31で処理して、モニタ4へ画像信号を出力する。
【0160】
図11のC欄に示す第3の構成例は、光源装置3Bとビデオプロセッサ3Aとを別体で設けている。アダプタ5は、光源装置3Bとビデオプロセッサ3Aとの両方に接続される。つまり、光源装置3Bおよびビデオプロセッサ3Aは、アダプタ5に対して並列に接続される。光源装置3Bは、アダプタ5を経由して、内視鏡2へ照明光を供給する。アダプタ5は、電気接点を経由してビデオプロセッサ3Aと電気信号を送受信する。例えば、アダプタ5は、ビデオプロセッサ3Aから電力の供給を受ける。また、ビデオプロセッサ3Aは、アダプタ5からの映像信号を受信する。ビデオプロセッサ3Aは、アダプタ5から受信した映像信号を、画像処理回路31で処理して、モニタ4へ画像信号を出力する。
【0161】
第1~第3の構成例の何れにおいても、アダプタ5は、照明光をビデオプロセッサ3内の光源、または光源装置3Bから受け取り、電気信号をビデオプロセッサ3から受信する。そして、アダプタ5は、内視鏡2へ照明光を供給し、電気信号により内視鏡2を駆動する。また、アダプタ5は、内視鏡2からの映像信号をビデオプロセッサ3,3Aへ送信する。従って、アダプタ5は、照明光を伝送する光路と、電気信号を伝送する信号線と、の両方を有する。
【0162】
なお、第1の構成例における光源内蔵型のビデオプロセッサ3は、内視鏡に関連する処理を行うプロセッサを構成する。また、第2の構成例および第3の構成例における、光源装置3Bとビデオプロセッサ3Aとの組み合わせも、内視鏡に関連する処理を行うプロセッサを構成する。
【0163】
このような第4の実施形態によれば、第1~第3の構成例の何れを採用しても、上述した第1~3の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
[第5の実施形態]
【0164】
図12は本発明の第5の実施形態における内視鏡システム1の構成例を示す図である。第5の実施形態において、第1~4の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第5の実施形態では、第1~4の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0165】
ビデオプロセッサ3は、例えば光源内蔵型であり、光源35を内蔵する。さらに、ビデオプロセッサ3は、明るさ検出回路34a、明るさ制御回路34b、およびユーザインタフェース36を備える。
【0166】
画像処理回路31は、映像信号処理回路51bから受信した映像信号、受信した映像信号に一部の画像処理を行った信号、または映像信号に画像処理を行った画像信号の何れかを、明るさ検出回路34aへ送信する。
【0167】
明るさ検出回路34aは、画像処理回路31から受信した信号に基づき、被検体の明るさを検出して、明るさ情報を生成する。明るさ検出回路34aは、生成した明るさ情報を、明るさ制御回路34bへ送信する。
【0168】
明るさ制御回路34bは、ユーザインタフェース36と接続されている。ユーザは、ビデオプロセッサ3のユーザインタフェース36を用いて、被検体の目標の明るさを設定する。また、ユーザインタフェース36は、内視鏡システム1に関するその他の設定を行うことも可能である。
【0169】
ユーザインタフェース36により設定された目標の明るさは、明るさ制御回路34bに入力される。明るさ制御回路34bは、被検体が目標の明るさになるような光源制御信号、および電子シャッタ制御信号を生成する。明るさ制御回路34bは、光源制御信号を光源35へ送信し、電子シャッタ制御信号をイメージセンサ21へ送信する。
【0170】
光源35は、明るさ制御回路34bから受信した光源制御信号に基づき、照明光の明るさを調整して、調整した照明光を発光する。発光された照明光は、アダプタ5を経由して、内視鏡2へ伝送される。
【0171】
イメージセンサ21は、明るさ制御回路34bから受信した電子シャッタ制御信号に基づき、露光時間を設定する。そして、イメージセンサ21は、照明光が照射された被検体の光学像を露光時間だけ光電変換して、映像信号を生成する。イメージセンサ21は、生成した映像信号を映像信号処理回路51bへ送信する。
【0172】
映像信号処理回路51bは、ROM22から読み出した判別情報に基づいて、映像信号のフォーマットを変換し、画像処理回路31へ送信する。
【0173】
なお、アダプタ5は、
図7および
図8等に例示して説明したように、リユース内視鏡2Aが接続されているとエミュレーションする信号をビデオプロセッサ3へ送信する。ただし、これに加えて、ROM22から読み出した判別情報を、アダプタ5がビデオプロセッサ3へ送信しても構わない。
【0174】
映像信号処理回路51bは、画像処理回路31へ送信するためのフォーマット変換とは別に、表示用の画像信号を生成する画像処理も行う。映像信号処理回路51bは、ビデオプロセッサ3を経由することなく、例えば外部のモニタ4'と接続可能となっている。映像信号処理回路51bは、生成した表示用の画像信号を、モニタ4'へ送信する。これにより、モニタ4'は、内視鏡画像を表示する。なお、モニタ4'は接続しなくても構わないため、
図12では点線で示している。
【0175】
また、画像処理回路31は、画像処理を行った画像信号をモニタ4へ出力する。これにより、モニタ4も内視鏡画像を表示する。
【0176】
なお、明るさ検出回路34aが検出した明るさ情報、およびユーザインタフェース36により設定された目標の明るさを、画像処理回路31へフィードバックしてもよい。この場合、明るさ情報および目標の明るさを、画像処理回路31が例えばインジケータとして内視鏡画像に重畳しても構わない。これにより、モニタ4に、内視鏡画像と共にインジケータが表示される。
【0177】
このような第5の実施形態によれば、上述した第1~4の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0178】
また、第5の実施形態によれば、アダプタ5がモニタ4'に表示可能な画像信号を出力する機能を備えるため、画像出力の選択肢が増える。そして、例えば別途の電源装置からアダプタ5へ電力を供給すれば、ビデオプロセッサ3がなくても内視鏡画像を観察可能となる。
【0179】
さらに、第5の実施形態によれば、ビデオプロセッサ3に設けられたユーザインタフェース36を用いることで、照明光の明るさ、ひいては被検体の明るさを、所望の明るさに調節できる。
なお、
図12にはユーザインタフェース36をビデオプロセッサ3に設ける例を示したが、これに限定されない。例えば、モニタ4にユーザインタフェース36としてのタッチパネルを設け、ユーザがタッチパネルを操作することで明るさ制御回路34bが照明光の明るさを調整してもよい。さらにその他の画像の調整、および内視鏡システム1に関するその他の設定を、タッチパネルの操作により行っても構わない。
[第6の実施形態]
【0180】
図13は本発明の第6の実施形態における内視鏡システム1の構成例を示す図である。第6の実施形態において、第1~5の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第6の実施形態では、第1~5の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0181】
図13に示す内視鏡システム1は、
図12に示した内視鏡システム1に、次のような構成を加えたものとなっている。
【0182】
内視鏡2は、光源としてのLED26を、挿入部2aの先端部2a1に備える。
【0183】
アダプタ5は、明るさ検出回路51d1と、明るさ制御回路51d2と、ユーザインタフェース57と、を備える。
【0184】
映像信号処理回路51bは、イメージセンサ21から受信した映像信号、受信した映像信号のフォーマットを変換した映像信号、または映像信号から表示用に生成した画像信号の何れかを、明るさ検出回路51d1へ送信する。
【0185】
明るさ検出回路51d1は、映像信号処理回路51bから受信した信号に基づき、被検体の明るさを検出して、明るさ情報を生成する。明るさ検出回路51d1は、生成した明るさ情報を、明るさ制御回路51d2へ送信する。
【0186】
明るさ制御回路51d2は、ユーザインタフェース57と接続されている。ユーザは、アダプタ5のユーザインタフェース57を用いて、被検体の目標の明るさを設定する。また、ユーザインタフェース57は、内視鏡システム1に関するその他の設定を行うことが可能であっても構わない。
【0187】
ユーザインタフェース57により設定された目標の明るさは、明るさ制御回路51d2に入力される。明るさ制御回路51d2は、被検体が目標の明るさになるようなLED26の駆動電流を、例えばパルス幅変調により調整する。さらに、明るさ制御回路51d2は、被検体が目標の明るさになるような電子シャッタ制御信号を生成する。明るさ制御回路51d2は、調整した駆動電流をLED26へ出力し、電子シャッタ制御信号をイメージセンサ21へ送信する。
【0188】
LED26は、駆動電流を受けて照明光を発光する。発光された照明光は、先端部2a1から被検体へ向けて照射される。
【0189】
イメージセンサ21は、明るさ制御回路51d2から受信した電子シャッタ制御信号に基づき、露光時間を設定する。そして、イメージセンサ21は、照明光が照射された被検体の光学像を露光時間だけ光電変換して、映像信号を生成する。イメージセンサ21は、生成した映像信号を映像信号処理回路51bへ送信する。
【0190】
本実施形態では照明光の調整は、内視鏡2およびアダプタ5により行われる。従って、ビデオプロセッサ3の明るさ検出回路34a,明るさ制御回路34b,光源35,ユーザインタフェース36は、照明光の調整に用いられないため、
図13において点線で示した。ただし、ユーザインタフェース36等を、照明光の調整以外の他の用途に用いても構わないことはいうまでもない。
【0191】
また、ビデオプロセッサ3が、内視鏡側の光源コネクタを検知することで照明光の供給を開始する構成の場合、アダプタ5のコネクタ5aにおける光源コネクタの長さを通常の長さと異ならせる(例えば、ビデオプロセッサ3が光源コネクタを検知できないように通常より短くする)ことで、ビデオプロセッサ3から照明光を出射させないようにするとよい。
【0192】
もしくは、アダプタ5に、ビデオプロセッサ3から入射する照明光を減光する機構を設けてもよい。減光機構により、アダプタ5内部における照明光による発熱、およびアダプタ5内部からの光漏れを防止するとよい。
【0193】
なお、明るさ検出回路51d1が検出した明るさ情報、およびユーザインタフェース57により設定された目標の明るさを、映像信号処理回路51bへフィードバックしてもよい。この場合、明るさ情報および目標の明るさを、映像信号処理回路51bがインジケータとして内視鏡画像に重畳しても構わない。これにより、モニタ4'に、内視鏡画像と共にインジケータが表示される。また、映像信号処理回路51bは、インジケータを重畳した映像信号を画像処理回路31へ送信して、モニタ4にもインジケータを表示させるようにしてもよい。
【0194】
図13では内視鏡2の先端部2a1にLED26を設ける構成例を示したが、先端部2a1に限らず、操作部2bまたはコネクタ2c1などにLED26を設けてライトガイドで先端部2a1へ伝送しても構わない。さらに、LED26などの光源をアダプタ5に設けて、アダプタ5から内視鏡2へ照明光を供給するように構成しても構わない。
【0195】
また、ユーザインタフェース57は、アダプタ5に設けるに限らず、内視鏡2に設けてもよい。
【0196】
このような第6の実施形態によれば、上述した第1~5の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0197】
また、第6の実施形態によれば、シングルユースの内視鏡2またはアダプタ5がLED26等の光源を備える場合にも、照明光の明るさ調整を行える。
[第7の実施形態]
【0198】
図14から
図18は本発明の第7の実施形態を示したものである。
図14は、第7の実施形態の内視鏡システム1における内視鏡2およびアダプタ5内のライトガイドの構成を示す図表である。第7の実施形態において、第1~6の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第7の実施形態では、第1~6の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0199】
図14のA欄に示すように、アダプタ5は、ビデオプロセッサ3の光源35により発光された照明光を内視鏡2へ中継するライトガイドとして、ガラス製ライトガイド(ガラスLG)11を備える。
【0200】
ガラスLG11は、ビデオプロセッサ3が備える光源35から供給される照明光を、コネクタ5aを経由して入光し、導光して、コネクタ受け5bを経由して内視鏡2へ出光する。ガラスLG11を用いることで、耐熱性を高めることができる。
【0201】
そして、ビデオプロセッサ3と内視鏡2との中間に配置されたアダプタ5にガラスLG11を用いるため、後述するように内視鏡2側に配置されるプラスチックライトガイド(PLG)81が、高出力の光源35から伝送される照明光の熱で溶融、焼け、変色、および変形するのを防止できる。
【0202】
ガラスLG11は、例えば、後述する
図17等に示すように、ガラス繊維で構成される複数本の素線11aを束ねたガラスファイババンドルを含む。ガラスLG11をガラスロッドにより構成せず、ガラスファイババンドルとして構成することで、アダプタ5内における部材配置の自由度が増す。これにより、アダプタ5の大型化を抑制できる。
【0203】
内視鏡2は、プラスチックライトガイド(PLG)81を備える。PLG81は、アダプタ5のガラスLG11から入光した照明光を、内視鏡2の例えば先端まで導光する第2のライトガイドである。
【0204】
図15は、第7の実施形態におけるガラスLG11およびPLG81の構成を示す図表である。
【0205】
図15のB欄に示すように、PLG81は、透明な樹脂繊維で構成される素線81aを、複数本(例えば、20本以下の本数)束ねた樹脂ファイババンドルを含む。素線81aは、例えば、直径が数100μmのプラスチック製のライトガイドである。これにより、ガラスLGを用いる場合よりも可撓性に優れ、内視鏡2内における配置の自由度が高い。また、素線81aよりも径が大きい1本の単線でPLG81を構成する場合よりも、可撓性に優れ、曲げ部分における光量低下を抑制できる。
【0206】
PLG81を、20本以下の素線81aで構成することで、数百~数千本のファイバを束ねたファイババンドルとして構成する場合のように減摩剤を塗布しなくてもよく、製造コストを低減できる。
【0207】
また、PLGはガラスLGよりも安価であるため、内視鏡2の製造コストを削減できる。このため、低コスト化が望ましいシングルユースの内視鏡2に適した構成となる。
【0208】
各素線81aは、融点が例えば85℃以上のプラスチック素材により形成されている。これにより、照明光による素線81aの溶融、焼け、変色、および変形などを防止できる。
【0209】
図14のB欄に示すように、内視鏡2のコネクタ2c1に設けられたライトガイドコネクタ82は、アダプタ5のコネクタ受け5bに設けられたライトガイド受け12と着脱可能である。これにより、複数機種の内視鏡2を同一のアダプタ5に接続可能となる。
【0210】
図15のC欄に示すように、ガラスLG11とPLG81とを突き合わせたときに、PLG81の光軸(中心軸)O1と、ガラスLG11の光軸(中心軸)O2とに偏心ばらつきδ(光軸ズレ)が生じることがある。すると、偏心ばらつきδにより照明光の伝送効率が低下することがある。こうした照明光の伝送効率の低下を抑制するための構成を、後で
図16~
図18を参照して説明する。
【0211】
図14のC欄に示すように、PLG81は、内視鏡2の先端部2a1において例えば側面方向に折り曲げられ、先端部2a1の側面に設けられた照明レンズ83から被検体へ向けて照明光を照射する。照明レンズ83は、例えば、1枚の凹レンズにより構成されている。照明レンズ83を1枚の凹レンズで構成することで、コストを削減し、重量を軽量化できる。
【0212】
図15のA欄に示すPLG81の折り曲げ角度θxは、90°未満となっている。つまり、PLG81は、折り曲げ部分81cにおいて、90°よりも大きい角度で(つまり、側方よりもやや後方を向くように)折り曲げられている。
【0213】
そして、PLG81を90°よりも大きい角度で折り曲げ、かつ照明レンズ83として凹レンズを用いることで、側方よりも後方側を含む広い範囲に照明光を照射でき、周辺光量を不足させることなく、撮像視野範囲に届く照明光を増やせる。
【0214】
また、
図15のA欄に示すように、PLG81の折り曲げ部分81cを含む先端部分は、先端部2a1内のフレーム84に対して、接着剤85を用いて固定されている。このとき、接着剤85は、PLG81の直線部分に塗布されるが、折り曲げ部分81cには塗布されない。このような構成を採用することで、折り曲げ部分81cにおける照明光の漏れを抑制でき、照明レンズ83から出射される光量の低下を抑制できる。
【0215】
内視鏡2内に光源を配置する場合と比べて、ビデオプロセッサ3内に配置された光源35は大きさや電力などに対する制限が小さい。このため、光源35は、白色光源だけでなく、所望の特殊光源などを含み得る。こうして、ビデオプロセッサ3内に配置された光源35から発光された照明光を、アダプタ5のガラスLG11、および内視鏡2のPLG81により伝送する構成を採用することで、シングルユースの内視鏡2においても、被検体へ特殊光を照射して、特殊光観察を行うことが可能となる。
【0216】
図16は、第7の実施形態において、ガラスLG11からPLG81への照明光の伝送効率のばらつきを抑制する構成を説明するための図表である。
【0217】
ライトガイドコネクタ82とライトガイド受け12とを接続すると、ガラスLG11とPLG81とが突き合わされる。このときの、ガラスLG11の光軸O2とPLG81の光軸O1とに垂直な方向の偏心ばらつきは、上述したようにδである。さらに、ガラスLG11とPLG81の、光軸O1,O2方向の離間のばらつきの最大値をdとする。また、ガラスLG11の半径をr1、PLG81の半径をr2、PLG81の開口数をsinθ2とする。なお、開口数(NA:numerical aperture)は、正確にはsinθ2に媒質の屈折率nを乗算するが、媒質である空気の屈折率はほぼ1であるため、開口数を単にsinθ2と記載している。
【0218】
このとき、偏心ばらつきδによる、ガラスLG11からPLG81への照明光の伝送効率のばらつきを抑制するための条件式は、次の(1)となる。
δ≦d×tan(θ2)-(r1-r2) …(1)
【0219】
図16のA欄はr1≧r2の例を示している。この場合、(1)式の右辺第2項はマイナスとなり、偏心ばらつきδに対する制限が大きくなる。
【0220】
一方、
図16のB欄は、r1<r2の例を示している。この場合、(1)式の右辺第2項はプラスとなり、偏心ばらつきδに対する制限が緩和される。このように、r2を大きくすると照明光の伝送効率の向上を見込める。しかし、単にr2を大きくするとPLG81を太くすることになり、内視鏡2の挿入部2aの径が増大してしまう。従って、(1)式を満たすように各パラメータを適切に調整することで、PLG81の径r2をなるべく小さくすることが好ましい。
【0221】
図17は、第7の実施形態において、ガラスLG11およびPLG81の幾つかの実施例を説明するための図表である。
【0222】
図17のA欄は、第1の実施例を示している。第1の実施例は、PLG81を2本の素線81aにより構成した例である。第1の実施例の数値データは、以下の通りである。
ガラスLG11の素線11aの直径 0.03 mm
PLG81の素線81aの直径 0.5 mm
ガラスLG11の開口数 0.6
PLG81の開口数 0.5
ガラスLG11の素線11aの本数 1500 本
PLG81の素線81aの本数 2 本
r1 0.58 mm
r2 0.50 mm
d 0.3 mm
θ1 37 °
θ2 30 °
δ_max 0.1 mm
【0223】
図17のB欄は、第2の実施例を示している。第2の実施例は、PLG81を4本の素線81aにより構成した例である。第2の実施例の数値データは、以下の通りである。
ガラスLG11の素線11aの直径 0.03 mm
PLG81の素線81aの直径 0.5 mm
ガラスLG11の開口数 0.6
PLG81の開口数 0.5
ガラスLG11の素線11aの本数 1500 本
* PLG81の素線81aの本数 4 本
r1 0.58 mm
* r2 0.60 mm
d 0.3 mm
θ1 37 °
θ2 30 °
* δ_max 0.2 mm
【0224】
図17のC欄は、第3の実施例を示している。第3の実施例は、PLG81を7本の素線81aにより構成した例である。第3の実施例の数値データは、以下の通りである。
ガラスLG11の素線11aの直径 0.03 mm
PLG81の素線81aの直径 0.5 mm
ガラスLG11の開口数 0.6
PLG81の開口数 0.5
ガラスLG11の素線11aの本数 1500 本
* PLG81の素線81aの本数 7 本
r1 0.58 mm
* r2 0.75 mm
d 0.3 mm
θ1 37 °
θ2 30 °
* δ_max 0.3 mm
【0225】
各実施例を比較し易いように、第2、第3の実施例において第1の実施例と異なる部分に、記号「*」を付している。各実施例において、
図17のガラスLG11の構成は同一である。なお、ガラスLG11の開口数をsinθ1としている。
【0226】
図18は、第7の実施形態において、ガラスLG11の光軸O2がPLG81の光軸O1に対して傾いている場合の、照明光の伝送効率のばらつきを抑制する構成を説明するための図である。
【0227】
ライトガイドコネクタ82とライトガイド受け12とを接続したときの、光軸O1に対する光軸O2の傾き(チルト)の角度の最大値をθ0とする。次の(2)式
θ1>(θ2+θ0) …(2)
が満たされる場合、ガラスLG11とPLG81の光軸O1,O2方向の離間のばらつきの最大値d、および傾き(チルト)の角度の最大値θ0による、ガラスLG11からPLG81への照明光の伝送効率のばらつきを抑制するための条件式は、次の(3)となる。
r1>r2+d×tan(θ2+θ0) …(3)
【0228】
従って、(1)~(3)式を満たすように、ガラスLG11、PLG81、ライトガイドコネクタ82、およびライトガイド受け12などを設計するとよい。
【0229】
このような第7の実施形態によれば、上述した第1~6の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0230】
また、第7の実施形態によれば、ガラスLG11からPLG81への照明光の伝送効率のばらつきを抑制し、照明光の損失を低減できる。
[第8の実施形態]
【0231】
図19と
図20は本発明の第8の実施形態を示したものである。
図19は、第8の実施形態における内視鏡2のコネクタ2c1の内部構成を示す斜視図である。第8の実施形態において、第1~7の実施形態と同様である部分に同一の符号を付して説明を適宜省略する。第8の実施形態では、第1~7の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0232】
ユニバーサルケーブル2c内には、送気送水チャンネルの管路61、吸引チャンネルの管路62、信号線63、PLG81などが配設されている。
【0233】
内視鏡2のコネクタ2c1は、送気送水チャンネルの管路61、吸引チャンネルの管路62、信号線63、PLG81などが接続されるコネクタ本体41と、アダプタ5のコネクタ受け5bに着脱可能に接続するための機構を備えるコネクタカバーと、を備えている。コネクタカバーは、コネクタ本体41の先端側の周囲を覆う。
【0234】
コネクタカバーは、静電気保護用の避雷構造部品を備える。避雷構造部品は、コネクタ本体41の電気回路基板44を覆う位置に設けられる。コネクタ本体41の例えば下面側端部には、電気回路基板44が配置されている。
【0235】
図20は、第8の実施形態における電気回路基板44の構成を示す平面図である。
図20に示す電気回路基板44は、プリント配線が形成され、プリント配線に接続するように電気部品が実装されている(プリント配線、電気部品の図示は省略)。なお、上述したように、電気回路基板44には、映像信号のフォーマットを変換する回路は設けられていない。このため、電気回路基板44の小型化および低コスト化が可能となっている。
【0236】
電気回路基板44の一端側には、信号パッド44aが設けられている。信号パッド44aは、複数の電気接点が配列されている。複数の電気接点は、信号線63に接続され、電力を含む電気信号を伝送する。さらに、信号パッド44aの周囲に、つまり信号パッド44aの外周側の、電気回路基板44の辺縁を覆うように、グランドパッド44b(接地用接点)が設けられている。
【0237】
コネクタ本体41とコネクタカバーとが組み付けられた状態において、避雷構造部品は、グランドパッド44bと電気的に接続される。このとき、信号パッド44aは、コネクタ受け5bと接続される側の開口において、避雷構造部品およびグランドパッド44bにより取り囲まれる。コネクタ2c1の内部の奥側に信号パッド44aが配置され、外部に露呈する側にグランドパッド44bおよび避雷構造部品が配置される。
【0238】
避雷構造部品およびグランドパッド44bは、アダプタ5を経由して、ビデオプロセッサ3の接地回路に接続される。
【0239】
このような第8の実施形態によれば、上述した第1~7の実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0240】
また、第8の実施形態によれば、コネクタ2c1の内部の奥側に信号パッド44aを配置し、外部に露呈する側にグランドパッド44bおよび避雷構造部品を配置したため、静電気が信号パッド44aを経由してイメージセンサ21に影響を与えるのを防止できる。
【0241】
なお、上述では挿入機器として内視鏡、具体的に、リユース内視鏡2Aおよびシングルユースの内視鏡2を例に挙げたが、挿入機器はこれらに限定されない。挿入機器は、例えば、処置具や超音波プローブなどであっても構わない。
【0242】
また、上述では挿入機器システムとして、内視鏡を用いた内視鏡システム1を例に挙げたが、内視鏡以外の挿入機器を用いた挿入機器システムとしても構わない。
【0243】
さらに、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されない。本発明は、実施段階で、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせて、種々の発明の態様を形成できる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜に組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0244】
1…内視鏡システム
2…内視鏡
2A…リユース内視鏡
2a…挿入部
2b…操作部
2c…ユニバーサルケーブル
3,3A…ビデオプロセッサ
3B…光源装置
5…アダプタ
5a…コネクタ
5b…コネクタ受け
11…ガラスLG
21…イメージセンサ
22…ROM
23…電圧調整回路
31…画像処理回路
32…電源回路
33a…内視鏡接続検知回路
33b…内視鏡機種判別回路
51…FPGA
51a…制御回路
51b…映像信号処理回路
51c…判別回路
52…ROM
53…イメージセンサ用駆動回路
54…イメージセンサ用電源回路
55…映像受信回路
56…第1の抵抗器
57…ユーザインタフェース