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  • 特開-折畳み扉装置及び回転シール用部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087698
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】折畳み扉装置及び回転シール用部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/205 20060101AFI20230619BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
E06B7/205
E06B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202114
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000220929
【氏名又は名称】株式会社TOKO
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】清水 和幸
【テーマコード(参考)】
2E015
2E036
【Fターム(参考)】
2E015AA01
2E015AA07
2E015BA05
2E015FA01
2E036AA01
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036CA05
2E036DA02
2E036EB07
2E036FA10
2E036GA02
2E036HB31
2E036HC02
2E036HC07
(57)【要約】
【課題】 折畳み扉が伸長した際に、下枠との間に形成される隙間を塞いで外からの雨水が風の侵入を防止することが出来る回転シール用部材の提供。
【解決手段】 回転シール用部材1は下枠2に設けた軸部5に軸支されて回動し、起立した場合には一方の先端縁に取付けたシール材6が折畳み扉の表面に当接し、他方の先端は回転シール用部材1が倒れた際に収納される収納溝8の内面に近接し、上記軸部5から外表面までの距離は、両先端より小さくしてる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み扉が伸長した際に、下枠との間に形成される隙間を塞いで外からの雨水が風の侵入を防止することが出来る回転シール用部材において、該回転シール用部材は下枠に設けた軸部に軸支されて回動し、起立した場合には一方の先端縁に取付けたシール材が折畳み扉の表面に当接し、他方の先端は回転シール用部材が倒れた際に収納される収納溝の内面に近接し、上記軸部から外表面までの距離は、両先端より小さくしたことを特徴とする回転シール用部材。
【請求項2】
上記回転シール用部材は本体に表面カバー材を着脱可能に取付けた構造とした請求項1記載の回転シール用部材。
【請求項3】
上記回転シール用部材の断面形状を概略三角形とした請求項1、又は請求項2記載の回転シール用部材。
【請求項4】
上記回転シール用部材の断面形状を概略L形とした請求項1、又は請求項2記載の回転シール用部材。
【請求項5】
折畳み扉が伸長した際に、下枠との間に形成される隙間を塞いで外からの雨水が風の侵入を防止することが出来る回転シール用部材を下枠に取付けた折畳み扉装置において、該回転シール用部材は下枠に設けた軸部に軸支されて回動し、起立した場合には一方の先端縁に取付けたシール材が折畳み扉の表面に当接し、他方の先端は回転シール用部材が倒れた際に収納される収納溝の内面に近接し、上記軸部から外表面までの距離は、両先端より小さくしたことを特徴とする折畳み扉装置。








【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の扉を屈曲自在に連結した折畳み扉を枠体に配置し、上記折畳み扉を折畳んで開口させることにより枠体を開口することができる折畳み扉装置、及び折畳み扉装置に装着される回転シール用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折畳み扉は複数枚の扉が継手部を介して屈曲自在に連結し、主継手部の上端に設けた吊車は上レールを移動すると共に、主継手部の下端に下方へ延びるスライダーが下レールのガイド溝に遊嵌してガイドされている。
折畳み扉の先端(自由端)には持ち手が設けられ、上記持ち手を握って引くことで伸長し、逆に押圧することで折畳まれて間口を開閉することができる。
折畳み扉が折畳まれる場合には、吊車とスライダーを有していない副継手部は、枠体から外側に張り出すことが出来る。
【0003】
ところで、近年では人が建物の開口部を通って屋外のデッキやバルコニーに出たり、又はデッキやバルコニーから屋内に入るとき、段差や仕切りをなくし、移動し易くするバリアフリー構造が好まれている。このため、折畳み扉が装着される枠体の下枠上面と屋内側の床面と屋外側のデッキ面やバルコニーの床面とを略面一に連続するように設計されることが多くなってきている。
【0004】
ところが、折畳み扉が装着される枠体の下枠の上面と屋内側の床面と屋外側のデッキ面やバルコニーの床面とを同一面とした構造では、屋外側からの風雨が屋内に入り込むのを防止するのが難しい。
従来の折畳み扉の下枠は屋内側が高く、屋外側が低くなるように段差をつけた構造となっており、その為に折畳み扉が伸長して間口が閉じた際には、下枠の段差面に当接させることにより、屋内外の気密や水密は容易に確保することが出来る。
【0005】
このように、バリアフリー構造では、枠体の下枠の上面は略水平状態となるように構成されるが、折畳み扉と下枠との間には隙間がなければ該折畳み扉を折り畳むことができない。しかし、隙間があると、折畳み扉と下枠との間の気密、水密を保持することができないという問題が発生するのである。
そこで、折畳み扉が折畳まれて間口を開口した場合には、下枠周辺の床面はフラットになるが、折畳み扉が伸長して間口を閉じた際には上記下枠と床面とをシールするシール用部材が突出するような構造と成っている。
【0006】
折畳み扉装置の下枠にはシール用部材が取付けられ、折畳み扉に備えている作動棒(ロッド)が下方に押し下げられるならば、上記シール用部材が回転することが出来るように構成している。
特開2006-188908号に係る「折畳み扉装置における扉枠の下枠構造」は、扉枠の下枠1bの屋外側には折畳み扉を案内する案内溝6を形成し、案内溝6の屋内側には中間溝17を介して収納溝14を形成し、収納溝14の内部にシール用部材15を回動自在に支持し、シール用部材15の突縁部20をロック棒24で押し下げたときにシール用部材15が回動して折畳み扉の下部の屋内側面に当接して床面と折畳み扉とを連続させるようにした折畳み扉装置である。
【0007】
特開2006-118196号に係る「折畳み扉装置」は、バリアフリー構造であっても、外部との気密や水密を確保するとともに、内観の一体性も確保することが出来る。
すなわち、扉枠の下枠1bの屋内側に沿って収納溝25を形成し、この収納溝の内側に、回転により上記収納溝の上方に突出可能なシール用部材26を収納している。
【0008】
図6は回転シール用部材(イ)を装着した折畳み扉装置を表している。同図の回転シール用部材(イ)は、実線で示すように起立することで折畳み扉(ロ)と下枠(ハ)との間に形成される隙間を塞ぐことが出来、外からの雨水や風の侵入が防止される。回転シール用部材(イ)は外周面(ニ)が円弧状を成し、下枠(ハ)に設けている軸部(ホ)に軸支されて回転することが出来る。
折畳み扉(ロ)には上下動するロッド(図示なし)が取付けられ、該ロッドが降下するならば、押え片(ヘ)が押し下げられることで該回転シール用部材(イ)は回転して起立する。
【0009】
ところで、回転シール用部材(イ)の外周面(ニ)は軸部(ホ)を中心とした一体半径の滑らかな円弧状を成し、下枠(ハ)との間のコーナー隙間(ト)は小さく成っている。その為に、この隙間(ト)に小石(チ)が挟まるならば、回転シール用部材(イ)の回転動作を行うことが出来なくなる。
同図の(a)は隙間(ト)に小石(チ)が挟まっている場合であり、(b)は床材(リ)が矢印方向に移動して隙間(ト)をなくし、回転シール用部材(イ)の外周面(ニ)に接する場合を表している。
【特許文献1】特開2006-188908号に係る「折畳み扉装置における扉枠の下枠構造」
【特許文献2】特開2006-118196号に係る「折畳み扉装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、外周面が滑らかな円弧状をした回転シール用部材には上記のごとき問題がある。
本発明が解決しようとした課題はこの問題点であり、小石などが外周面と下枠のコーナー隙間に挟まることがなく、また、床材が移動して隙間をなくすことがないようにした回転シール用部材及び折畳み扉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る回転シール用部材は、外周面が一定半径の円弧状を成す概略扇形断面ではなく、回転シール用部材の先端と下枠の収納溝との間に形成されるコーナーに小石や砂などが挟まった場合でも回転シール用部材の回転が妨げられることはなく、回動することで挟まった小石などが収納溝に落下することが出来るようにしている。
例えば、概略三角形断面又は概略L形断面とすることで、回転する軸部からの距離は先端が大きく、その他の領域での距離はより小さく成っている。
【0012】
そして、回転シール用部材は下枠に設けた軸部に軸支されて回転し、倒れた状態では収納溝に収納されて床面とほぼ同一面を成し、起立するならば一方側の先端縁が折畳み扉の表面に当接して折畳み扉と下枠との間に形成される隙間が塞がれる。
ただし、折畳み扉の具体的な構造、及び下枠の具体的な断面形状は限定しない。
【0013】
従来の回転シール用部材と同じく押え片が設けられ、折畳み扉に取り付けたロッドが降下することで該押え片は押さえられ、収納溝に収納さえている回転シール用部材は回転起立することが出来る。
回転シール用部材の縁にはシール材が取付けられて、折畳み扉表面に隙間なく当接するように成っている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る回転シール用部材は、外周面が滑らかな円弧状ではなく、断面形状が概略三角形又は概略L形を成している。その為に外周面は直線状又は凹状面をしているが、起立した状態では先端縁に設けたシール材が折畳み扉表面に当接し、下枠と折畳み扉下端との間に形成される隙間が塞がれる。従来の円弧状断面をした回転シール用部材と同じ機能を呈することが出来る。
【0015】
そして、回転シール用部材の外表面と下枠との間に形成されるコーナー隙間に小石やゴミなどが挟まった場合、回転シール用部材の外表面は円弧面でないために支障なく回動して倒れ、収納溝に収納され、同時に小石やゴミなどは落下する。
勿論、倒れている回転シール用部材の上に小石やゴミなどが載っている場合には、何ら問題なく起立することが出来る。
また、床面が下枠側へ移動した場合であっても、回転シール用部材の回転運動が妨げられることはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る回転シール用部材を備えた折畳み扉装置の実施例。
図2】回転シール用部材の具体例。
図3】本発明に係る回転シール用部材を備えた折畳み扉装置を示す他の実施例。
図4】概略三角形断面をした回転シール用部材が回動して小石が収納溝底に落下する場合。
図5】概略L形断面をした回転シール用部材が回動して小石が収納溝底に落下する場合。
図6】従来の円弧面を形成した回転シール用部材の動作。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る回転シール用部材1を折畳み扉装置の下枠2に取付けた場合の断面を示す実施例である。
同図に示しているように、回転シール用部材1は概略三角形断面をした長尺材であり、樹脂又はアルミ材を用いて成形されている。回転シール用部材1の外表面3は平坦面をなし、三角形の頂点に形成している軸受け4が下枠2に設けている軸部5に嵌って支持され、回転シール用部材1は軸部5を中心として回動することが出来る。
【0018】
同図に示す回転シール用部材1は起立している状態であって、一方の先端縁に取付けているシール材6は折畳み扉7の表面に隙間なく当接し、他方の先端縁は下枠2に設けている収納溝8の内面17に近接している。
回転シール用部材1がこのように起立するならば、折畳み扉7の下側に形成される隙間9は塞がれ、内側に雨水や風が侵入することはない。
【0019】
折畳み扉7にはロッド(図示なし)が取付けられ、該折畳み扉7が伸長してロッドが降下して嵌入溝11に嵌るならば、軸受け4から延びている押え片10が押圧されて押下げられ、回転シール用部材1は起立することが出来る。
そして、伸長している折畳み扉7を折畳む際には、降下したロッドが上昇するならば、回転シール用部材1は回動して倒れる。
すなわち、軸受け4を中心とした重量のアンバランスによって回転シール用部材1は時計方向に回動して収納溝8に収納され、押え片10は嵌入溝11の入口を塞ぐようにほぼ水平となる。
【0020】
図2は回転シール用部材1を示す断面詳細図である。
回転シール用部材1は概略三角形断面をしているが、本体19に表面カバー材20を取付けた構造としている。勿論、両者を一体構造とすることは自由であるが、表面カバー材20を着脱可能な2ピース構造とすることで、表面カバー材20を交換するならば外表面3の形状を変更することが出来る。
例えば、同図に示すような平坦面ではなく、僅かに滑らかな凸状面としたり、逆に僅かに滑らかな凹状面とすることが可能で、外表面3に載った小石が落下し易くなる。
【0021】
図3は本発明に係る他の実施例を表している。
同図に示す回転シール用部材12は、概略L形断面をした長尺材であり、起立した状態を表している。
一方の先端縁にはシール材6が取付けられ、該シール材6は折畳み扉7の表面に当接し、他方の先端縁は下枠2に設けている収納溝8の内面に近接している。
概略L形断面をした回転シール用部材12の外表面13は凹状と成っている。
【0022】
本発明に係る回転シール用部材1,12は、小石などが挟まることなくスムーズに回動することが出来るように構成したものであり、図1図3に示す回転シール用部材1,12にあくまでも具体例を示している。
すなわち、回動して倒れる際に、収納溝8の内面17との間に形成される隙間が拡大するように外表面3,13を形成していて、従来の回転シール用部材のように軸部5を中心とした一定半径の円弧面ではない。
【0023】
図4(a)、(b)、(c)は図1に示した概略三角形断面の回転シール用部材1が回動する場合を表している。
(a)は回転シール用部材1が起立している場合であり、一方側の先端縁に取付けているシール材6は折畳み扉7の表面に当接している。そして、他方の先端は収納溝8の内面17に近接している。
このように、回転シール用部材1が起立している場合に、先端14と内面17の間に形成されるコーナー15に小石16が挟まったならば、外周面が軸部5を中心として一定半径の円弧面であるならば、回転シール用部材(イ)は回動出来なくなる場合が発生する。
【0024】
しかし、本発明のように概略三角形断面の回転シール用部材1であれば、(b)に示すようにスムーズに回動することが出来る。すなわち、回転シール用部材1が起立している状態のコーナー15の隙間が最も小さく、時計回りに回動するにしたがって隙間は拡大し、挟まった小石16が落下する。
(c)は小石16が回転シール用部材1の外表面3を滑り、収納溝8の底に落下した場合である。
【0025】
このように、回転シール用部材1が倒れるならば、収納溝8の上部開口は該回転シール用部材1によって塞がれ、また、嵌入溝11の上部開口は押え片10にて塞がれる。下枠2に形成している収納溝8と嵌入溝11が塞がれることで床面18とほぼ同一面が連続して形成される。
そして、倒れた回転シール用部材1の上に小石16が載った場合には、反時計方向に回動して起立する為に、回動は何ら支障なく行うことが出来る。
【0026】
図5は概略L形断面の回転シール用部材12の動きを示す実施例である。回転シール用部材12の先端14と収容溝8の内面17とのコーナー15に小石16が挟まっている。
しかし、(b)に示すように、回転シール用部材12が時計方向に回動する場合、先端14と内面17との隙間は拡大し、その為に、回転シール用部材12の回動が妨げられることはなく、小石16は落下し、収納溝8の底に落ちる。
【符号の説明】
【0027】
1 回転シール用部材
2 下枠
3 外表面
4 軸受け
5 軸部
6 シール材
7 折畳み扉
8 収納溝
9 隙間
10 押え片
11 嵌入溝
12 回転シール用部材
13 外表面
14 先端
15 コーナー
16 小石
17 内面
18 床面
19 本体
20 表面カバー材




図1
図2
図3
図4
図5
図6