(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008770
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】滑り抑制路面標示
(51)【国際特許分類】
E01F 9/518 20160101AFI20230112BHJP
E01C 11/24 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E01F9/518
E01C11/24
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209328
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2021112068の分割
【原出願日】2021-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
2D051
2D064
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AC01
2D051AD01
2D051AH01
2D064AA05
2D064AA22
2D064BA11
2D064DA08
2D064EA03
2D064HA27
(57)【要約】
【課題】表面凍結や表面湿潤に起因する滑りを抑制するのに好適な路面標示を提供する。
【解決手段】路面3上に路面標示材を塗布または配置することで形成されるドット2が、複数個集合してなるドット模様で表現される、路面標示とする。ドット模様で表現される路面標示では、路面標示部(ドット2)と非標示部(アスファルトやコンクリートなどの路面3)に、排水性の差があるため表面に残留する水分量が異なることや、熱的物性の差があるため凍結状態が異なることから、複数のドット2を含む範囲が均一に凍結することを抑制する効果が期待できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面(3)上に路面標示材を塗布または配置することで形成されるドット(2)が、複数個集合してなるドット模様で表現される、路面標示。
【請求項2】
請求項1の路面標示で標示される、横断歩道路面標示。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面凍結や表面湿潤に起因する滑りを抑制するのに好適な路面標示に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地では、路面標示が表面凍結により、非標示部分よりも著しく滑りやすくなる場合が有り、特に横断歩道で滑り転倒事故が頻発している。
【0003】
従来技術では、特許文献1において、路面標示の表面に凹凸を設けることにより滑り止めの効果をもたせる路面標示が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積雪寒冷地の道路では、車両の走行熱や日中の気温などにより積雪が融解し、この融解水が横断歩道などの路面標示の表面にたまったまま、気温の低下などにより、路面標示表面が凍結して滑りやすくなることが頻繁に発生している。また、非標示部分(アスファルトやコンクリート表面)が凍結していなくても路面標示部分のみ凍結していることも多い。さらに、路面標示部分はほとんどが白色なので、凍結状況がわかりにくいこともあり、特に横断歩道で滑り転倒事故が頻発している。
【0006】
本発明は、上記のような表面凍結や表面湿潤の状況において、滑りを抑制する路面標示を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ドット状の路面標示1とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における主要な効果は、路面標示をドット状にすることで、路面標示部(ドット2)と非標示部(アスファルトやコンクリートなどの路面3)の表面凍結条件の差を利用し、複数のドット2を含む範囲が均一に凍結することを抑制することにより、滑りの抑制効果を発現させるものである。
【0009】
ドット状の路面標示1では、路面標示部(ドット2)と非標示部(アスファルトやコンクリートなどの路面3)に、排水性の差があるため表面に残留する水分量が異なることや、熱的物性の差があるため凍結状態が異なることから、複数のドット2を含む範囲が均一に凍結することを抑制する効果が期待できる。
また、ドット状の路面標示1では、一つ一つのドット2の表面積が通常の路面標示と比較して小さいことにより、路面標示表面の水分が通常の路面標示と比較して非標示部へ排出されやすいため、路面標示表面が凍結しにくくなる効果も期待できる。
【0010】
参考文献1に開示される路面標示は、路面標示の表面にドット状などの凸部があるものの、凸部も凸部以外も同一の材質であり、凸部と凸部以外の排水性差や熱的物性差が本願発明と比較して小さいため、本願発明と比較して、路面標示表面が複数の凸部を含む範囲で均一に凍結することを抑制する効果は大きくない。
【0011】
ドット状の路面標示1では、複数のドット2を含む範囲が均一に凍結することを防止する効果だけでなく、厚みがあるドット2のエッジによる滑り抑制効果や、路面標示部よりも一般的に摩擦係数の高い非標示部にも車両タイヤや靴底の一部が接触することによる滑り抑制効果も期待できるため、表面湿潤においても滑り抑制効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ドット状の路面標示の実施例(横断歩道)の平面図である。
【
図3】ドット状の路面標示の施工方法例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ドット状の路面標示1とする。
【0014】
図2にドット状の路面標示1の実施例を示すが、ドット2の大きさ・厚み・形状・パターンを限定するものではなく、ドット2の大きさ・厚み・形状・パターンは限定しない。しかしながら、ドット2の大きさが大きすぎると1つのドット2上で滑ってしまうので滑り抑制効果が低下する、ドット2のパターン密度が疎すぎると路面標示としての視認性が低下する、ドット2の厚みが薄すぎると耐久性が低下する、ドット2のパターン密度が密すぎたりドット2の大きさが小さすぎると施工方法にもよるが施工性が低下する、ドット2の形状が矩形であれば下記施工方法による施工が可能となるなどドット2の形状は施工方法や施工性に影響する、等の要素を検討してドット2の大きさ・厚み・形状・パターンを決定すべきである。
【0015】
ドット状の路面標示1の施工方法例を下記に示すが、施工方法を限定するものではなく、ドット状の路面標示1の施工方法は限定しない。
施工方法例として、トッド状に穴のあいた型紙(紙に限らず鉄板、樹脂板などを含む)の上から通常施工し、型紙を撤去することにより、路面標示をドット状に残す方法がある。
別の施工方法例として、ドット2の形状が矩形に限られるが、路面標示施工機械の標示材吐出口4に複数のスリット5を設け、標示材吐出の出止を規則的に行うことによる方法がある(
図3)。また、標示材吐出の出止を施工機械の進行距離に応じて自動で行うものにすると施工はより容易になる。
【符号の説明】
【0016】
1 ドット状の路面標示
2 ドット
3 路面
4 標示材吐出口
5 スリット
6 吐出止シャッター
【手続補正書】
【提出日】2022-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面(3)上に路面標示ペイント材を塗布または配置することで形成されるドット(2)が、平面的な広がりをもって複数個集合し、かつ、前記複数個集合するドット(2)はそれぞれ互いに略同一形状であるドット模様で表現される、路面標示。
【請求項2】
請求項1の路面標示で標示される、横断歩道路面標示。