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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087716
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】切断装置、及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/08 20060101AFI20230619BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20230619BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20230619BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20230619BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20230619BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20230619BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20230619BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B23Q3/08 A
H01L21/78 F
B24B27/06 J
B24B41/06 Z
B24B55/06
B28D7/04
B28D7/02
B28D1/24
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202147
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】井口 晴貴
(72)【発明者】
【氏名】細見 隆也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 凛
【テーマコード(参考)】
3C016
3C034
3C047
3C069
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C016DA01
3C034AA19
3C034BB73
3C047FF06
3C047FF19
3C047HH15
3C069AA01
3C069BA04
3C069CA06
3C069CB01
3C069DA06
3C069EA01
3C158AA03
3C158AB04
3C158AC05
3C158CB06
5F063AA24
5F063AA44
5F063BA17
5F063DD01
5F063FF04
5F063FF28
5F063FF35
(57)【要約】
【課題】ドライ式の真空ポンプを用いる切断装置、及び切断品の製造方法において、切断対象物の吸着を維持しつつ適切な排水を行なう。
【解決手段】切断装置は、テーブルと、切断機構と、保持機構と、水分離排出機構とを備える。テーブル又は保持機構は、吸引経路を通じてドライ式の真空ポンプに接続されている。水分離排出機構は、吸引経路上に位置し、排水経路を通じて水を排出する。水分離排出機構は、第1タンクと、第2タンクと、弁機構とを含む。第1タンクは、真空ポンプとの接続口が位置する領域と、テーブル又は保持機構との接続口が位置する領域とを仕切る仕切り板を含む。第1タンクにおいて、仕切り板の上方には隙間が形成されている。弁機構は、第1タンクから第2タンクへ流入した水が第2タンクに貯留される第1状態と、第1タンクに水が貯留され第2タンクに貯留された水が排出される第2状態とを変更する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を吸着することによって前記切断対象物を保持するテーブルと、
前記テーブル上の前記切断対象物を切断することによって前記切断対象物を個片化する切断機構と、
個片化された前記切断対象物を吸着することによって前記切断対象物を保持する保持機構とを備え、
前記テーブル又は前記保持機構は、吸引経路を通じてドライ式の真空ポンプに接続されており、
前記吸引経路上に位置し、排水経路を通じて水を排出する水分離排出機構をさらに備え、
前記水分離排出機構は、
第1タンクと、
前記排水経路において前記第1タンクよりも下流に位置する第2タンクとを含み、
前記第1タンクは、前記真空ポンプとの接続口が位置する領域と、前記テーブル又は前記保持機構との接続口が位置する領域とを仕切る仕切り板を含み、
前記第1タンクにおいて、前記仕切り板の上方には隙間が形成されており、
前記水分離排出機構は、前記第1タンクから前記第2タンクへ流入した水が前記第2タンクに貯留される第1状態と、前記第1タンクに水が貯留され前記第2タンクに貯留された水が排出される第2状態とを変更する弁機構をさらに含む、切断装置。
【請求項2】
1枚の前記切断対象物の処理毎に前記第1状態から前記第2状態へ変更するように前記弁機構を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記テーブル又は前記保持機構に前記切断対象物が吸着された状態における水を用いた最後の処理が前記切断対象物に施された後に前記第1状態から前記第2状態へ変更するように前記弁機構を制御する、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記吸引経路は、前記保持機構と前記真空ポンプとを接続し、
前記制御部は、前記保持機構に前記切断対象物が保持された状態で、前記切断対象物の切断面と反対の面における水を用いたクリーニングが終了した後に、前記第1状態から前記第2状態へ変更するように前記弁機構を制御する、請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記吸引経路は、前記テーブルと前記真空ポンプとを接続し、
前記制御部は、前記テーブルに前記切断対象物が保持された状態で、前記切断対象物の切断面における水を用いたクリーニングが終了した後に、前記第1状態から前記第2状態へ変更するように前記弁機構を制御する、請求項2に記載の切断装置。
【請求項5】
前記弁機構は、前記排水経路において前記第2タンクよりも下流に位置する排水用弁を含み、
前記排水用弁は、逆止弁である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切断装置を用いた、切断品の製造方法であって、
前記切断機構によって前記テーブル上の前記切断対象物を切断することにより前記切断対象物を個片化して前記切断品を製造するステップを含む、切断品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-202353号公報(特許文献1)は、被加工物を切削する切削装置を開示する。この切削装置においては、被加工物を吸引保持する吸着ユニットが設けられている。吸着ユニットはチャックテーブルを備え、被加工物がチャックテーブルによって吸引保持される。吸着ユニットには、吸引ポンプが接続されている。この切削装置においては、吸引ポンプとして、水を吸引しても吸引力が下がらない水封式真空ポンプが用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-202353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断対象物(例えば、基板)の吸着のために水封式真空ポンプが用いられる場合には、封水の温度上昇を抑制するために、真空ポンプ内への新しい水の供給が継続的に行なわれる。すなわち、水封式真空ポンプが用いられると、大量の水が消費される。このような問題を解決するために、水封式真空ポンプの代わりにドライ式真空ポンプを用いることが考えられる。この場合には、例えば、切断対象物に水を噴射する工程等における真空ポンプ内への水の浸入を抑制する必要がある。また、切断対象物の吸着は継続的に行なわれる必要がある。しかしながら、このような課題を解決するための手段は上記特許文献1に開示されていない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ドライ式の真空ポンプを用いる切断装置、及び切断品の製造方法において、切断対象物の吸着を維持しつつ真空ポンプ内への水の浸入を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断装置は、テーブルと、切断機構と、保持機構と、水分離排出機構とを備える。テーブルは、切断対象物を吸着することによって切断対象物を保持する。切断機構は、テーブル上の切断対象物を切断することによって切断対象物を個片化する。保持機構は、個片化された切断対象物を吸着することによって切断対象物を保持する。テーブル又は保持機構は、吸引経路を通じてドライ式の真空ポンプに接続されている。水分離排出機構は、吸引経路上に位置し、排水経路を通じて水を排出する。水分離排出機構は、第1タンクと、第2タンクとを含む。第2タンクは、排水経路において第1タンクよりも下流に位置する。第1タンクは、真空ポンプとの接続口が位置する領域と、テーブル又は保持機構との接続口が位置する領域とを仕切る仕切り板を含む。第1タンクにおいて、仕切り板の上方には隙間が形成されている。水分離排出機構は、弁機構をさらに含む。弁機構は、第1タンクから第2タンクへ流入した水が第2タンクに貯留される第1状態と、第1タンクに水が貯留され第2タンクに貯留された水が排出される第2状態とを変更する。
【0007】
本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断装置を用いる。この切断品の製造方法は、切断機構によってテーブル上の切断対象物を切断することにより切断対象物を個片化するステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライ式の真空ポンプを用いる切断装置、及び切断品の製造方法において、切断対象物の吸着を維持しつつ真空ポンプ内への水の浸入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】切断装置を模式的に示す平面図である。
図2】第1状態における第1水分離排出機構を模式的に示す図である。
図3】第2状態における第1水分離排出機構を模式的に示す図である。
図4】第1タンクの平面を模式的に示す図である。
図5図4のV-V断面を模式的に示す図である。
図6図4のVI-VI断面を模式的に示す図である。
図7】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
図8】第1水分離排出機構における排水手順の一例を示すフローチャートである。
図9】第2水分離排出機構における排水手順の一例を示すフローチャートである。
図10】第1水分離排出機構における排水不良時の動作手順の一例を示すフローチャートである。
図11】第1状態における第1水分離排出機構の他の例を模式的に示す図である。
図12】第2状態における第1水分離排出機構の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.構成]
<1-1.切断装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に従う切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、切断対象物(本実施の形態では、パッケージ基板)を切断することによって、該切断対象物を複数の切断品(切断対象物がパッケージ基板の場合、電子部品(パッケージ部品))に個片化するように構成されている。パッケージ基板においては、半導体チップが装着された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。
【0012】
切断対象物の一例としては基板が挙げられ、基板には樹脂封止されていない基板(ウエハを含む)及び樹脂封止された後の基板(パッケージ基板)が含まれる。パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板及びQFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0013】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1(不図示)に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。なお、切断対象物が樹脂封止されていない基板の場合、本実施の形態のボール/リード面は切断時に上を向いている面(切断面)に相当し、本実施の形態のモールド面は切断面の反対面に相当する。
【0014】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1(切断品)を製造するように構成されている。検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0015】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、切断テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。また、切断モジュールA1は、第2水分離排出機構42と、第3水分離排出機構43と、第1水分離排出機構41の一部と、真空ポンプD2,D3と、真空ポンプD1の一部とを含んでいる。
【0016】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0017】
位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1をレール部4a上に配置することによって、パッケージ基板P1の位置決めを行う。その後、位置決め部4は、位置決めされたパッケージ基板P1を切断テーブル5へ搬送する。
【0018】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板Pを保持する。この例においては、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が示されている。一方の切断テーブル5には吸引経路VR2を通じて真空ポンプD2が接続されており、他方の切断テーブル5には吸引経路VR3を通じて真空ポンプD3が接続されている。真空ポンプD2,D3の各々は、ドライ式の真空ポンプである。各切断テーブル5は、真空ポンプD2又は真空ポンプD3の吸引によりパッケージ基板P1を吸着する。吸引経路VR2には第2水分離排出機構42が設けられており、吸引経路VR3には第3水分離排出機構43が設けられている。第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々については、後程詳しく説明する。
【0019】
各切断テーブル5は、保持部材5aと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。保持部材5aは、位置決め部4によって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。回転機構5bは、保持部材5aを図のθ1方向に回転させることが可能である。移動機構5cは、保持部材5aを図のY軸に沿って移動させることが可能である。
【0020】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。この例においては、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成としてもよい。
【0021】
スピンドル部6は、ブレード6aと、回転軸6cとを含んでいる。ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、不図示の第1及び第2フランジにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1及び第2フランジは、ナット等の不図示の締結部材によって回転軸6cに固定される。第1フランジは奥フランジとも称され、第2フランジは外フランジとも称される。
【0022】
スピンドル部6には、切削水用ノズル、冷却水用ノズル及び洗浄水用ノズル(いずれも不図示)等が設けられる。切削水用ノズルは、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する。冷却水用ノズルは、冷却水を噴射する。洗浄水用ノズルは、切断屑等を洗浄する洗浄水を噴射する。
【0023】
再び図1を参照して、切断テーブル5上にパッケージ基板P1が載置されると、切断テーブル5はパッケージ基板P1を吸着する。その後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、アラインメントとも称される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認においては、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたマークの位置が確認される。該マークは、例えば、パッケージ基板P1の切断位置を示す。
【0024】
その後、切断テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。切断テーブル5がスピンドル部6の下方に移動した後、切断テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。この場合には、パッケージ基板P1のボール/リード面が上を向いているため、ボール/リード面が切断面となる。その後、必要に応じて第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認においては、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅が確認される。
【0025】
切断テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄(クリーニング)及び乾燥が行なわれる。なお、電子部品S1の洗浄においては、洗浄水が用いられる。
【0026】
搬送部7は、切断テーブル5に保持された電子部品S1を上方から吸着する。搬送部7には、吸引経路VR1を通じて真空ポンプD1が接続されている。真空ポンプD1は、ドライ式の真空ポンプである。搬送部7は、真空ポンプD1の吸引により電子部品S1を吸着する。吸引経路VR1には第1水分離排出機構41が設けられている。第1水分離排出機構41については、後程詳しく説明する。搬送部7は、電子部品S1を吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程においては、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。電子部品S1を吸着した搬送部7が図のZ軸方向において下降し、電子部品S1が第2クリーナ7aに近付いた状態で、電子部品S1の洗浄及び乾燥が行なわれる。電子部品S1の洗浄及び乾燥が終了すると、電子部品S1を吸着した搬送部7は図のZ軸方向において上昇する。なお、電子部品S1の洗浄においては、洗浄水が用いられる。
【0027】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。また、検査・収納モジュールB1は、第1水分離排出機構41の一部と、真空ポンプD1の一部とを含んでいる。第1水分離排出機構41及び真空ポンプD1は、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の両方に跨って存在している。
【0028】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材が設けられている。検査テーブル11には、吸引経路VR1を通じて真空ポンプD1が接続されている。検査テーブル11は、真空ポンプD1の吸引により電子部品S1を保持部材上に吸着する。
【0029】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1の両面(ボール/リード面及びモールド面)を撮像する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査が行なわれる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮像するように配置されている。
【0030】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮像する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材上に電子部品S1を載置する。保持部材が電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11が第2光学検査カメラ13の上方へ移動した後に、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮像される。
【0031】
配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14には、吸引経路VR1を通じて真空ポンプD1が接続されている。配置部14は、真空ポンプD1の吸引により検査済みの電子部品S1を吸着する。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0032】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0033】
切断装置1は、さらにコンピュータ50と、モニタ20と、音出力部25とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。音出力部25は、音を出力するように構成されている。音出力部25は、例えば、スピーカ、ブザー又はベル等の音出力デバイスで構成される。
【0034】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部を制御する。コンピュータ50は、例えば、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15、第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42、第3水分離排出機構43、真空ポンプD1,D2,D3、モニタ20及び音出力部25を制御する。
【0035】
<1-2.各水分離排出機構の構成>
上述のように、各切断テーブル5には真空ポンプD2又は真空ポンプD3が接続されており、搬送部7、検査テーブル11及び配置部14の各々には真空ポンプD1が接続されている。各切断テーブル5は、例えば、パッケージ基板P1の切断時に噴射される切削水、冷却水及び洗浄水、並びに、第1クリーナ5eによる電子部品S1の洗浄時に用いられる洗浄水に曝される。真空ポンプD2,D3の吸引により、例えば、これらの水が吸引経路VR2,VR3にそれぞれ浸入する。また、搬送部7は、例えば、第2クリーナ7aによる電子部品S1の洗浄時に用いられる洗浄水に曝される。真空ポンプD1の吸引により、例えば、この水が吸引経路VR1に浸入する。
【0036】
仮に真空ポンプD1,D2,D3の各々が水封式の真空ポンプである場合には、各真空ポンプに水が浸入しても問題が生じない。しかしながら、水封式の真空ポンプが用いられる場合には、封水の温度上昇を抑制するために、真空ポンプ内へ新しい水が継続的に供給される必要がある。すなわち、水封式の真空ポンプが用いられると、大量の水が消費される。このような問題を解決するために、本実施の形態に従う切断装置1においては、真空ポンプD1,D2,D3の各々に、ドライ式の真空ポンプが採用されている。
【0037】
ドライ式の真空ポンプD1,D2,D3の各々に水が浸入しないようにするために、吸引経路VR1,VR2,VR3上には第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43がそれぞれ配置されている。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、吸引経路に浸入した水を分離し、排水経路を通じて分離された水を切断装置1の外部へ排出するように構成されている。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々によって排水を行なうことにより、真空ポンプD1,D2,D3の各々への水の浸入が抑制される。
【0038】
上述のように、第1水分離排出機構41は、搬送部7、検査テーブル11及び配置部14の各々と真空ポンプD1との間の吸引経路VR1上に位置している。第2水分離排出機構42は、一方の切断テーブル5と真空ポンプD2との間の吸引経路VR2上に位置している。第3水分離排出機構43は、他方の切断テーブル5と真空ポンプD3との間の吸引経路VR3上に位置している。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、配置されている場所が互いに異なるが、実質的に同一の構成を有している。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、第1状態及び第2状態間で変化可能である。第1状態及び第2状態については後程説明する。以下では、代表的に、第1水分離排出機構41について説明する。
【0039】
図2は、第1状態における第1水分離排出機構41を模式的に示す図である。図3は、第2状態における第1水分離排出機構41を模式的に示す図である。図2及び図3に示されるように、第1水分離排出機構41は、第1タンク410と、第2タンク420と、液面レベルセンサ430と、バルブV1,V2,V3とを含んでいる。
【0040】
第1タンク410は、吸引経路VR1上に位置している。第1タンク410は、吸引経路VR1における上流に位置する搬送部7、検査テーブル11及び配置部14の各々と配管を通じて接続されている。第1タンク410は、吸引経路VR1を通じて流入した水を貯留するように構成されている。また、第1タンク410は、吸引経路VR1における下流に位置する真空ポンプD1と配管を通じて接続されている。また、第1タンク410は、排水経路DR1における下流に位置する第2タンク420と配管を通じて接続されている。第1タンク410は、貯留された水を第2タンク420へ排出するように構成されている。
【0041】
第1タンク410には、液面レベルセンサ430が取り付けられている。液面レベルセンサ430は、第1タンク410における液面(水面)の高さを検出するように構成されている。液面レベルセンサ430としては、水位計等の公知の種々のセンサを用いることができる。
【0042】
図4は、第1タンク410の平面を模式的に示す図である。図5は、図4のV-V断面を模式的に示す図である。図6は、図4のVI-VI断面を模式的に示す図である。図4図5及び図6に示されるように、第1タンク410は、第1タンク本体411と、接続口412,413,414と、仕切り板415とを含んでいる。
【0043】
第1タンク本体411は、例えば、金属製であり、円柱形状を有している。第1タンク本体411の上面には、接続口412が貫通している。接続口412には、搬送部7、検査テーブル11及び配置部14の各々に接続された配管が接続される。この配管は、吸引経路VR1の一部を構成する。なお、接続口412は、必ずしも第1タンク本体411の上面に設けられる必要はなく、例えば、第1タンク本体411の側面に設けられてもよい。また、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々においては、切断テーブル5に接続された配管が接続口412に接続される。
【0044】
第1タンク本体411の側面には、接続口413が貫通している。接続口413には、真空ポンプD1に接続された配管が接続される。この配管は、吸引経路VR1の一部を構成する。なお、接続口413は、必ずしも第1タンク本体411の側面に設けられる必要はなく、例えば、第1タンク本体411の上面に設けられてもよい。また、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43においては、真空ポンプD2に接続された配管及び真空ポンプD3に接続された配管がそれぞれ接続口413に接続される。
【0045】
第1タンク本体411の底面には、接続口414が貫通している。接続口414には、第2タンク420に接続された配管が接続される。この配管は、排水経路DR1の一部を構成する。第1タンク410は、接続口414を通じて第2タンク420へ排水する。
【0046】
仕切り板415は、例えば、金属製であり、矩形形状を有している。仕切り板415は、平面視における第1タンク本体411の中心を通る位置に立てられており、第1タンク本体411の底面から上方に向かって延びている。仕切り板415は、第1タンク本体411の内側側面及び内側底面の各々に複数の溶接部W1を介して接合されている。仕切り板415は、第1タンク410内において、接続口413が位置する領域と、接続口412が位置する領域とを仕切っている。すなわち、仕切り板415によって仕切られた一方の領域に接続口413が位置し、仕切り板415によって仕切られた他方の領域に接続口412が位置している。なお、互いに隣接する2つの溶接部W1の間には隙間が形成されているため、接続口412から浸入して下方に落下した水は、仕切り板415によって仕切られた2つの領域の両方に貯留される。
【0047】
第1タンク410において、仕切り板415の上方には隙間が形成されている。この例において、隙間の長さはX1である。仕切り板415の上方に隙間を形成することによって、真空ポンプD1の吸引によって生じる気流の経路が確保されている。また、接続口412の下端は、仕切り板415の上端よりも低い位置に存在している。この例において、接続口412の下端(側面に接続口412が設けられているときは、接続口412の先端の上端部分)は、仕切り板415の上端よりも長さX2低い位置に存在している。これにより、接続口412から浸入した水が接続口413に吸引されにくくなっている。
【0048】
再び図2及び図3を参照して、第2タンク420は、排水経路DR1において第1タンク410の下流に位置している。第2タンク420は、高さ方向(Z軸方向(図1))において第1タンク410よりも低い位置に配置されている。したがって、吸引経路VR1に流入した水は、第1タンク410から第2タンク420へ重力に従って流入する。第2タンク420は、第1タンク410から流入する水を貯留するように構成されている。
【0049】
排水経路DR1において、第1タンク410と第2タンク420との間にはバルブV1が設けられている。バルブV1は、開閉が可能である。バルブV1が開状態である場合には、第1タンク410に貯留された水が第2タンク420へ流入する。バルブV1が閉状態である場合には、第1タンク410に水が貯留され、第1タンク410から第2タンク420への水の流入が停止する。
【0050】
バルブV1と第2タンク420との間において、排水経路DR1は分岐している。分岐先は、バルブV2を介して大気につながっている。バルブV2は、開閉が可能である。バルブV2が開状態である場合には、排水経路DR1内の圧力が大気圧となる。排水経路DR1において、第2タンク420の下流には、バルブV3が設けられている。バルブV3は、排水用弁であり、逆止弁で構成される。
【0051】
例えば、バルブV1が開状態であり、かつ、バルブV2が閉状態である場合には、排水経路DR1、第2タンク420及びバルブV3を含む範囲Z1が真空状態となるため、バルブV3は自動的に閉状態になる。この場合には、吸引経路VR1に流入した水は、第1タンク410を通過して第2タンク420に貯留される。上述の第1状態とは、この状態のことをいい、バルブV1が開状態であり、かつ、バルブV2及びバルブV3が閉状態である状態のことをいう(図2参照)。
【0052】
一方、バルブV1が閉状態であり、かつ、バルブV2が開状態である場合には、排水経路DR1、第2タンク420及びバルブV3を含まない範囲Z2が真空状態となるため、バルブV3は自動的に開状態になる。この場合には、吸引経路VR1に流入した水は第1タンク410に貯留され、第2タンク420に貯留されていた水は水排出口を通じて切断装置1の外部に排出される。上述の第2状態とは、この状態のことをいい、バルブV1が閉状態であり、かつ、バルブV2及びバルブV3が開状態である状態のことをいう(図3参照)。
【0053】
上述のように、第1水分離排出機構41は、第1状態及び第2状態間で変化可能である。各バルブを制御することによる第1状態及び第2状態間の変更を適切なタイミングで行なうことによって、真空ポンプD1による電子部品S1の吸引を維持した状態で、排水を適切に行なうことができる。第1状態及び第2状態間の変更のタイミングについては後程説明する。
【0054】
<1-3.コンピュータのハードウェア構成>
図7は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。図7に示されるように、コンピュータ50は、制御部70と、入出力I/F(interface)90と、受付部95と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0055】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。制御部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0056】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。受付部95は、ユーザからの指示を受け付けるように構成されている。受付部95は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0057】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。制御プログラム81が制御部70によって実行されることにより、切断装置1における各種動作が実現される。制御部70が制御プログラム81を実行する場合に、制御プログラム81は、RAM74に展開される。そして、制御部70は、RAM74に展開された制御プログラム81をCPU72によって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0058】
[2.動作]
<2-1.第1水分離排出機構における排水動作>
図8は、第1水分離排出機構41における排水手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、第1水分離排出機構41が第2状態(図3)である場合にコンピュータ50の制御部70によって実行される。なお、このフローチャートに示される処理は、1枚のパッケージ基板P1の処理が完了する毎に行なわれる。
【0059】
図8を参照して、制御部70は、切断テーブル5に吸着された電子部品S1のボール/リード面の第1クリーナ5eによるクリーニング(洗浄)が完了したか否かを判定する(ステップS100)。ボール/リード面のクリーニングが完了していないと判定されると(ステップS100においてNO)、制御部70は、ボール/リード面のクリーニングが完了するまで待機する。
【0060】
一方、ボール/リード面のクリーニングが完了したと判定されると(ステップS100においてYES)、制御部70は、第1水分離排出機構41が第2状態から第1状態へ変化するようにバルブV1,V2の各々を制御する(ステップS110)。すなわち、制御部70は、閉状態から開状態へ切り替わるようにバルブV1を制御すると共に、開状態から閉状態へ切り替わるようにバルブV2を制御する。これにより、バルブV3は閉状態となり、第2クリーナ7aによるクリーニングによって搬送部7から吸引経路VR1に水が浸入する前に、真空ポンプD1による電子部品S1の吸引を維持した状態で、第1水分離排出機構41において貯留可能な水の量を増やすことができる。なお、バルブV1における状態の切替えとバルブV2における状態の切替えとは同時に行なわれる。
【0061】
その後、制御部70は、搬送部7に吸着された電子部品S1のモールド面(切断面と反対の面)の第2クリーナ7aによるクリーニングが完了し、搬送部7のZ軸(図1)方向における上昇が完了したか否かを判定する(ステップS120)。第2クリーナ7aによるクリーニング、及び、搬送部7の上昇が完了していないと判定されると(ステップS120においてNO)、制御部70は、第2クリーナ7aによるクリーニング、及び、搬送部7の上昇が完了するまで待機する。第2クリーナ7aによるクリーニング、及び、搬送部7の上昇が完了したタイミングは、第1水分離排出機構41において、第2タンク420に最も水が溜まっており、かつ、第1タンク410に水が溜まりにくいタイミングである。
【0062】
一方、第2クリーナ7aによるクリーニング、及び、搬送部7の上昇が完了したと判定されると(ステップS120においてYES)、制御部70は、第1水分離排出機構41が第1状態から第2状態へ変化するようにバルブV1,V2の各々を制御する(ステップS130)。すなわち、制御部70は、開状態から閉状態へ切り替わるようにバルブV1を制御すると共に、閉状態から開状態へ切り替わるようにバルブV2を制御する。これにより、バルブV3は開状態となり、搬送部7に吸着された状態における水を用いた最後の処理が電子部品S1に施された後に、第2タンク420に貯留された水を、真空ポンプD1による電子部品S1の吸引を維持した状態で、切断装置1の外部に排出することができる。なお、バルブV1における状態の切替えとバルブV2における状態の切替えとは同時に行なわれる。
【0063】
<2-2.第2及び第3水分離排出機構における排水動作>
第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の排水手順は実質的に同一である。以下では、代表的に、第2水分離排出機構42における排水手順について説明する。
【0064】
図9は、第2水分離排出機構42における排水手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、第2水分離排出機構42が第2状態である場合にコンピュータ50の制御部70によって実行される。なお、このフローチャートに示される処理は、1枚のパッケージ基板P1の処理が完了する毎に行なわれる。
【0065】
図9を参照して、制御部70は、切断テーブル5上にパッケージ基板P1が載置されたか否かを判定する(ステップS200)。切断テーブル5上にパッケージ基板P1が載置されていないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御部70は、切断テーブル5上にパッケージ基板P1が載置されるまで待機する。
【0066】
一方、切断テーブル5上にパッケージ基板P1が載置されたと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部70は、第2水分離排出機構42が第2状態から第1状態へ変化するようにバルブV1,V2の各々を制御する(ステップS210)。すなわち、制御部70は、閉状態から開状態へ切り替わるようにバルブV1を制御すると共に、開状態から閉状態へ切り替わるようにバルブV2を制御する。これにより、バルブV3は閉状態となり、切削水、冷却水及び洗浄水が切断テーブル5から吸引経路VR2へ浸入する前に、真空ポンプD2による電子部品S1の吸引を維持した状態で、第2水分離排出機構42において貯留可能な水の量を増やすことができる。なお、バルブV1における状態の切替えとバルブV2における状態の切替えとは同時に行なわれる。
【0067】
その後、制御部70は、切断テーブル5に吸着された電子部品S1のボール/リード面の第1クリーナ5eによるクリーニング(洗浄)が完了したか否かを判定する(ステップS220)。ボール/リード面のクリーニングが完了していないと判定されると(ステップS220においてNO)、制御部70は、ボール/リード面のクリーニングが完了するまで待機する。電子部品S1のボール/リード面の第1クリーナ5eによるクリーニングが完了したタイミングは、第2水分離排出機構42において、第2タンク420に最も水が溜まっており、かつ、第1タンク410に水が溜まりにくいタイミングである。
【0068】
一方、ボール/リード面のクリーニングが完了したと判定されると(ステップS220においてYES)、制御部70は、第2水分離排出機構42が第1状態から第2状態へ変化するようにバルブV1,V2の各々を制御する(ステップS230)。すなわち、制御部70は、開状態から閉状態へ切り替わるようにバルブV1を制御すると共に、閉状態から開状態へ切り替わるようにバルブV2を制御する。これにより、バルブV3は開状態となり、切断テーブル5に吸着された状態における水を用いた最後の処理が電子部品S1に施された後に、第2タンク420に貯留された水を、真空ポンプD2による電子部品S1の吸引を維持した状態で、切断装置1の外部に排出することができる。なお、バルブV1における状態の切替えとバルブV2における状態の切替えとは同時に行なわれる。
【0069】
<2-3.排水不良時における動作>
第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、排水不良が生じた場合に共通の動作を行なう。以下では、代表的に、第1水分離排出機構41における排水不良時の動作について説明する。
【0070】
図10は、第1水分離排出機構41における排水不良時の動作手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、切断装置1の動作時にコンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0071】
図10を参照して、制御部70は、液面レベルセンサ430の出力を参照することによって、第1タンク410における液面(水面)の高さが所定高さ以上であるか否かを判定する(ステップS300)。第1タンク410における液面の高さが所定高さ未満であると判定されると(ステップS300においてNO)、制御部70は、ステップS300における判定を継続する。
【0072】
一方、第1タンク410における液面の高さが所定高さ以上であると判定されると(ステップS300においてYES)、制御部70は、警告音を出力するように音出力部25を制御する(ステップS310)。警告音を聞くことによって、作業者は、第1水分離排出機構41において排水不良が生じていることを認識することができる。
【0073】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う切断装置1において、第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、第1タンク410から第2タンク420へ流入した水が第2タンク420に貯留される第1状態と、第1タンク410に水が貯留され第2タンク420に貯留された水が切断装置1の外部へ排出される第2状態との間で変化可能である。したがって、この切断装置1によれば、各水分離排出機構の状態を適切に変更することによって、電子部品S1等の基板の吸着を維持しつつ、各真空ポンプへの水の浸入を抑制することができる。
【0074】
また、第1タンク410においては、真空ポンプD1,D2又はD3につながる接続口413が位置する領域と、電子部品S1又はパッケージ基板P1を吸着する経路がつながる接続口412が位置する領域とが仕切り板415で区切られており、仕切り板415の両領域において貯水が可能である。そして、仕切り板415の上方には隙間が形成されている。本実施の形態に従う切断装置1によれば、このような簡単な構成により、吸気から水を分離することができる。さらに、1枚のパッケージ基板P1の処理が完了する毎に第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々における排水処理を行なうことによって、第1タンク410及び第2タンク420の容量をできるだけ小さくすることができる。
【0075】
なお、パッケージ基板P1及び電子部品S1の各々は、本発明における「切断対象物」の一例である。切断テーブル5は、本発明における「テーブル」の一例である。スピンドル部6は、本発明における「切断機構」の一例である。搬送部7は、本発明における「保持機構」の一例である。吸引経路VR1,VR2,VR3の各々は、本発明における「吸引経路」の一例である。真空ポンプD1,D2,D3の各々は、本発明における「真空ポンプ」の一例である。排水経路DR1は、本発明における「排水経路」の一例である。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、本発明における「水分離排出機構」の一例である。第1タンク410は本発明における「第1タンク」の一例であり、第2タンク420は本発明における「第2タンク」の一例である。仕切り板415は、本発明における「仕切り板」の一例である。バルブV1,V2,V3を含む構成は、本発明における「弁機構」の一例である。コンピュータ50の制御部70は、本発明における「制御部」の一例である。バルブV3は、本発明における「排水用弁」の一例である。
【0076】
[4.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0077】
<4-1>
上記実施の形態に従う切断装置1において、第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、バルブV1,V2を含んでいた。しかしながら、第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、必ずしもバルブV1,V2を含んでいなくてもよい。第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々は、例えば、第1タンク410から第2タンク420へ流入した水が第2タンク420に貯留される第1状態と、第1タンク410に水が貯留され第2タンク420に貯留された水が排出される第2状態とを変更する弁機構を含んでいればよい。このような弁機構としては、例えば、三方弁が挙げられる。以下では、第1水分離排出機構41の他の例について説明する。
【0078】
図11は、第1状態における第1水分離排出機構41Aを模式的に示す図である。図12は、第2状態における第1水分離排出機構41Aを模式的に示す図である。図11及び図12に示されるように、第1水分離排出機構41Aにおいては、第1タンク410と第2タンク420との間に三方弁VAが設けられている。三方弁VAは、第1タンク410と第2タンク420とが貫通した状態(図11)と、第2タンク420と大気とが貫通した状態(図12)とを変更することができる。すなわち、三方弁VAは、第1タンク410から第2タンク420へ水を排出し第2タンク420において水を貯留する第1状態(図11)と、第1タンク410に水を貯留し第2タンク420に貯留された水を排出する第2状態(図12)とを変更することができる。上記実施の形態に従う切断装置1において、バルブV1,V2の代わりに三方弁VAが用いられてもよい。なお、第1状態においては範囲Z3が真空状態となっており、第2状態において範囲Z4が真空状態となっている。
【0079】
<4-2>
また、上記実施の形態に従う切断装置1においては、吸引経路VR1,VR2,VR3に第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43がそれぞれ設けられた。しかしながら、必ずしも各吸引経路に水分離排出機構が設けられなくてもよい。例えば、真空ポンプD2,D3としては水封式の真空ポンプが用いられ、吸引経路VR2,VR3の各々には水分離排出機構が設けられなくてもよい。また、例えば、真空ポンプD1としては水封式の真空ポンプが用いられ、吸引経路VR1には水分離排出機構が設けられなくてもよい。
【0080】
<4-3>
また、上記実施の形態に従う切断装置1においては、第1水分離排出機構41、第2水分離排出機構42及び第3水分離排出機構43の各々が含むバルブV3として逆止弁が用いられた。しかしながら、バルブV3は、必ずしも逆止弁である必要はない。バルブV3は、開閉弁(いわゆるストップ弁)で構成されてもよい。この場合には、例えば、第2タンク420に水を貯留するときにバルブV3が閉状態に制御され、第2タンク420から水を排出するときにバルブV3が開状態に制御される。
【0081】
<4-4>
また、大気につながるバルブV2は、バルブV1と第2タンク420との間において排水経路DR1を分岐させた経路に設けられていた。しかしながら、バルブV2は、排水経路DR1において、バルブV1の下流(より具体的には、第2タンク420内)を大気圧とすることができる箇所に設けられていればよく、必ずしも排水経路DR1を分岐させて設けなくてもよい。例えば、第2タンク420の上面に配管を接続し、この配管にバルブV2を備えてもよい。
【0082】
<4-5>
また、上記実施の形態に従う切断装置1においては、第1タンク410における水面の高さが所定高さ以上となった場合に警告音が発せられた。しかしながら、第1タンク410における水面の高さが所定高さ以上となった場合に必ずしも警告音が発せられなくてもよい。例えば、第1タンク410における水面の高さが所定高さ以上となった場合に、切断装置1が強制的に停止されてもよい。これにより、第1タンク410において水が溢れる事態の発生を抑制することができる。
【0083】
<4-6>
また、上記実施の形態においては、図8のステップS100において、第1クリーナ5eによるクリーニング(洗浄)が完了したか否かが判定された。しかしながら、図8のステップS100においては、第1クリーナ5eによる乾燥が完了したか否かが判定されてもよい。そして、乾燥が完了したと判定された場合に、第1水分離排出機構41が第2状態から第1状態へ変更されてもよい。また、図8のステップS120においては、第2クリーナ7aによる乾燥が完了したか否かが判定されてもよい。そして、乾燥が完了したと判定された場合に、第1水分離排出機構41が第1状態から第2状態へ変更されてもよい。また、図9のステップS220においては、電子部品S1のボール/リード面の第1クリーナ5eによるクリーニング(洗浄)が完了したか否か判定された。しかしながら、図9のステップS220においては、第1クリーナ5eによる乾燥が完了したか否かが判定されてもよい。そして、乾燥が完了したと判定された場合に、第1水分離排出機構41が第1状態から第2状態へ変更されてもよい。
【0084】
<4-7>
また、上記実施の形態に従う切断装置1においては、各水分離排出機構に含まれるバルブV1,V2の状態を切り替える場合に、バルブV1,V2の状態が同時に切り替えられた。しかしながら、バルブV1,V2の状態は、必ずしも同時に切り替えられなくてもよい。例えば、各水分離排出機構の状態を第1状態から第2状態へ切り替える場合には、バルブV1が開状態から閉状態へ切り替えられ、その後、バルブV2が閉状態から開状態へ切り替えられてもよい。また、例えば、各水分離排出機構の状態を第2状態から第1状態へ切り替える場合には、バルブV2が開状態から閉状態へ切り替えられ、その後、バルブV1が閉状態から開状態へ切り替えられてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0086】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、5 切断テーブル、5a 保持部材、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、7 搬送部、7a 第2クリーナ、11 検査テーブル、12 第1光学検査カメラ、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、25 音出力部、41,41A 第1水分離排出機構、42 第2水分離排出機構、43 第3水分離排出機構、50 コンピュータ、70 制御部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、410 第1タンク、411 第1タンク本体、412,413,414 接続口、415 仕切り板、420 第2タンク、430 液面レベルセンサ、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、D1,D2,D3 真空ポンプ、DR1 排水経路、M1 マガジン、P1 パッケージ基板、S1 電子部品、V1,V2,V3 バルブ、VA 三方弁、VR1,VR2,VR3 吸引経路、W1 溶接部、Z1,Z2,Z3,Z4 範囲。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12