(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087739
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20230619BHJP
B62D 1/28 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202190
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】林田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鶴原 優太
【テーマコード(参考)】
3D030
3D333
【Fターム(参考)】
3D030EA29
3D333CB06
3D333CB13
3D333CC13
3D333CC21
3D333CE55
(57)【要約】
【課題】自動操舵を可能にする操舵装置を、様々な形状、種類の前記ステアリングハンドルにスムーズ且つ容易に取付可能であって、装置全体がコンパクトに構成されることにより手動によるステアリング操作もスムーズに行うことのできる操舵装置を提供することを課題とする。
【解決手段】3本のスポーク部材を有するステアリングハンドルを操作する駆動装置と、平面視で前記ステアリングハンドルの内側に収まる環状部材であって前記駆動装置の駆動力を前記ステアリングハンドルに伝動する従動体と、前記従動体を前記ステアリングハンドル側に連結する連結固定部とを備え、前記連結固定部は、前記スポーク部材の下面側に沿わせることにより前記従動体と前記スポーク部材とを連結可能に構成され、前記連結固定部は、3本の前記スポーク部材と対応するように3つ設けられた。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3本のスポーク部材を有するステアリングハンドルを操作する駆動装置と、
平面視で前記ステアリングハンドルの内側に収まる環状部材であって前記駆動装置の駆動力を前記ステアリングハンドルに伝動する従動体と、
前記従動体を前記ステアリングハンドル側に連結する連結固定部とを備え、
前記連結固定部は、前記スポーク部材の下面側に沿わせることにより前記従動体と前記スポーク部材とを連結可能に構成され、
前記連結固定部は、3本の前記スポーク部材と対応するように3つ設けられた
操舵装置。
【請求項2】
前記従動体の内周面側に前記連結固定部が設けられた
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記連結固定部は、揺動軸を介して上下揺動可能に構成された
請求項1又は2に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記従動体を覆うカバー体を設け、
前記カバー体は、前記駆動装置を構成するアクチュエータが設置されるアクチュエータ設置部と、前記アクチュエータの駆動力によって前記カバー体が回転することを防止する回り止め部とを有する
請求項1乃至3の何れかに記載の操舵装置。
【請求項5】
前記カバー体は、前記従動体の駆動を補助するローラ体が設けられた第1カバー体と、前記アクチュエータ設置部が形成された第2カバー体とに分割可能に構成された
請求項4に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体に後付け可能に構成された操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングハンドルを操作する駆動装置と、平面視で前記ステアリングハンドル内に収まる環状部材であって前記駆動装置の駆動力を前記ステアリングハンドルに伝動する従動体と、前記従動体を前記ステアリングハンドルに連結する連結固定部とを備え、走行機体に後付けすることにより前記ステアリングハンドルを自動操舵可能にする特許文献1に記載の操舵装置が従来公知である。
【0003】
上記文献1によれば、前記ステアリングハンドルを自動操舵するための操舵装置を前記走行機体側に後付けすることができるものであるが、操舵装置全体の構成が複雑且つ大型化するため、前記操舵装置を取り付けた後は手動によるステアリング操作が困難になる他、前記ステアリングハンドルの形状や種類が異なる場合には前記操舵装置の設置ができない場合が多く、汎用性に乏しいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動操舵を可能にする操舵装置を、様々な形状、種類の前記ステアリングハンドルにスムーズ且つ容易に取付可能であって、装置全体がコンパクトに構成されることにより手動によるステアリング操作もスムーズに行うことのできる操舵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願発明は第1に、3本のスポーク部材を有するステアリングハンドルを操作する駆動装置と、平面視で前記ステアリングハンドルの内側に収まる環状部材であって前記駆動装置の駆動力を前記ステアリングハンドルに伝動する従動体と、前記従動体を前記ステアリングハンドル側に連結する連結固定部とを備え、前記連結固定部は、前記スポーク部材の下面側に沿わせることにより前記従動体と前記スポーク部材とを連結可能に構成され、前記連結固定部は、3本の前記スポーク部材と対応するように3つ設けられたことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記従動体の内周面側に前記連結固定部が設けられたことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記連結固定部は、揺動軸を介して上下揺動可能に構成されたことを特徴としている。
【0009】
第4に、前記従動体を覆うカバー体を設け、前記カバー体は、前記駆動装置を構成するアクチュエータが設置されるアクチュエータ設置部と、前記アクチュエータの駆動力によって前記カバー体が回転することを防止する回り止め部とを有することを特徴としている。
【0010】
第5に、前記カバー体は、前記従動体の駆動を補助するローラ体が設けられた第1カバー体と、前記アクチュエータ設置部が形成された第2カバー体とに分割可能に構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
前記連結固定部によれば、3本のスポーク部材を有するステアリングハンドルであれば多少形状が異なっても操舵装置を後付けでスムーズ且つ強固に取付固定することができるため、汎用性が向上するとともに、前記操舵装置全体を小型化することができる。このため、前記ステアリングハンドルに前記操舵装置を設置した後でも手動によるステアリング操作の操作性を確保することができる。さらに、平面視で前記ステアリングハンドルと環状の前記従動体の中心位置が略一致するため、操舵装置の設置作業をスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0012】
また、前記従動体を構成する環状部材の内周面側に前記連結固定部が設けられたものによれば、前記連結固定部が環状部材の内側に配置されるため装置全体をより小型化することができる。
【0013】
また、前記連結固定部は、揺動軸を介して上下揺動可能に構成されたものによれば、前記連結固定部を前記スポーク部材の傾斜に合わせて上下揺動位置を調整して該スポーク部材に沿わせることができるため、仕様の異なるステアリングハンドルであっても操舵装置の取付が容易となり汎用性が向上する。
【0014】
また、前記従動体を覆うカバー体を設け、前記カバー体は、前記駆動装置を構成するアクチュエータが設置されるアクチュエータ設置部と、前記アクチュエータの駆動力によって前記カバー体が回転することを防止する回り止め部とを有するものによれば、前記カバー体は、前記従動体をカバーする構成と、前記アクチュエータを固定する構成と、前記カバー体の連れ回りを防止する構成とを兼用するため、部品点数が削減されてコストを低く抑えることができるとともに、装置全体の小型化にも寄与する。
【0015】
なお、前記カバー体は、前記従動体の駆動を補助するローラ体が設けられた第1カバー体と、前記アクチュエータ設置部が形成された第2カバー体とに分割可能に構成されたものによれば、重量のある前記アクチュエータが設置された前記第2カバー体を前記第1カバー体と分けて別途に着脱することができるため、操舵装置の着脱作業の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を適用した操舵ユニットが設置された作業車両を示した全体左側面図である。
【
図2】走行機体に設置された操舵ユニットを示した平面図である。
【
図3】走行機体に設置された操舵ユニットを示した側面図である。
【
図4】(A)及び(B)は、操舵ユニットを示した平面図及び側面図である。
【
図5】(A)乃至(D)は、操舵ユニットが設置されるスポーク部材の種類を示した要部A-A断面図である。
【
図6】操舵ユニットの着脱態様を示した分解斜視図である。
【
図7】別実施例1の連結固定部を示した斜視図である。
【
図8】(A)は、別実施例1の操舵ユニットを設置した状態を示した要部斜視図であり、(B)は、別実施例1の操舵ユニットの分解斜視図である。
【
図9】別実施例1の操舵ユニットを示した斜視図である。
【
図10】別実施例2の操舵ユニットを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用した操舵ユニットが設置された作業車両を示した全体左側面図であり、
図2及び
図3は、走行機体に設置された操舵ユニットを示した平面図及び側面図である。図示する作業車両(トラクタ)は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される機体フレーム3と、前記機体フレーム3の前側に設置されたエンジン(図示しない)を囲繞するボンネット4と、前記ボンネット4の後方に設置されたキャビン6とを備えた走行機体7が構成されており、前記走行機体7の後側には、ロータリ耕運機等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結する昇降リンク8が設けられている。
【0018】
前記キャビン6は、オペレータが乗込むことによって前記走行機体7の操作を行う操縦部9が設けられており、前記操縦部9は、オペレータが着座する座席11と、前記走行機体7(前輪1)を操向操作するステアリングハンドル12と、前記ステアリングハンドル12の左右一方(図示する例では左)側に配置された前後進切換レバー13と、前記ステアリングハンドル12の左右他方(図示する例では右)側に配置されたエンジンコントロールレバー14と、前記エンジンコントロールレバー14の手前側に配置された作業機昇降レバー16とを備えている。
【0019】
また、前記ステアリングハンドル12が連結された上下方向のステアリング軸15(ステアリングコラム17)の上端側、言い換えると、前記ステアリングハンドル12と前記ステアリング軸15との間には、操舵ユニット(操舵装置、自動操舵装置、自立型操舵装置)10が着脱可能に設けられている(
図1乃至3、
図6等参照)。
【0020】
前記操舵ユニット10は、前記キャビン6に設置されたGNSS受信装置(図示しない)により取得された前記走行機体の位置情報や、前記キャビン6に設置された撮影装置(図示しない)によって撮影された進行方向の画像データに基づいて、前記走行機体7を所定の経路に沿って作業走行させるように前記ステアリングハンドル12を自動的に操向操作(自動操舵)することができるように構成されている。前記操舵ユニット10の具体的な構成については以下説明する。
【0021】
次に、
図1乃至6に基づいて、操舵ユニットの構成について具体的に説明する。
図4(A)及び(B)は、操舵ユニットを示した平面図及び側面図であり、
図5(A)乃至(D)は、操舵ユニットが設置されるスポーク部材の種類を示した要部A-A断面図であり、
図6は、操舵ユニットの着脱態様を示した分解斜視図である。
【0022】
前記操舵ユニット10は、前記ステアリングハンドル12と、前記ステアリングハンドル12を操作するアクチュエータである駆動モータ(駆動装置、電動モータ)21と、前記駆動モータ21によって駆動される環状部材であって前記駆動モータ21の駆動力を前記ステアリングハンドル12側に伝動する従動ギヤ(従動体)22と、前記従動ギヤ22をカバーするカバー体23と、前記従動ギヤ22を前記ステアリングハンドル12側に連結する連結固定部24とを備えている。
【0023】
前記ステアリングハンドル12は、作業者が把持する環状のハンドル部12Aと、前記ステアリング軸15の上端側に連結(軸支)される軸支部12Bと、前記軸支部12Aと前記ハンドル部12Bとの間を連結する3本のスポーク部材12C,12C,12Cとを有している。
【0024】
上記スポーク部材12Cは、平面視で前記軸支部12Bを中心として前記ハンドル部12Aに向けて放射状に延設された部材であって、隣接するスポーク部材12C同士の間隔が等間隔になるように構成されている。具体的には、隣接するスポーク部材12Cは、平面視で前記軸支部12Bを中心として120°回転させた位置に設けられている(
図4(A)等参照)。
【0025】
また、該スポーク部材12Cは、側面視で前記軸支部12Bから前記ハンドル部12Aに向けて、斜め上方に向けて傾斜している。該スポーク部材12Cの傾斜角度はステアリングハンドル12(作業車両)の種類に応じて異なる。
【0026】
前記駆動モータ21は、前記従動ギヤ22と噛合うように形成された出力ギヤ20を有し、該駆動モータ21の駆動力によって前記出力ギヤ20を回転駆動させることによって、前記ステアリングハンドル12側に連結された前記従動ギヤ22を回転駆動させることができるように構成されている。
【0027】
また、前記駆動モータ21は、前記カバー体23によって、前記ステアリングハンドル12(ハンドル部12A)の下方側で且つ、前記ステアリングハンドル12(軸支部12B)の手前側に配置されている(
図1乃至3等参照)。
【0028】
前記従動ギヤ22は、平面視で前記ハンドル部12Aよりも径が小さく形成された環状部材であって、前記ハンドル部12A(スポーク部材12C)の下方側で、前記軸支部12Bを囲繞するように形成されている。
【0029】
また、前記従動ギヤ22は、その中心(駆動軸)が前記ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリング軸15、軸支部12B)線上に配置された状態で、前記ステアリングハンドル12側に取付固定されるように構成されている。すなわち、前記従動ギヤ22は、前記ステアリング軸15(軸支部12B)を軸に回転作動(回転駆動)するように構成されている(
図2、
図4(A)等参照)。
【0030】
また、前記従動ギヤ22は、その外周面側には前記駆動モータ21(の出力ギヤ20)と噛合う(係合する)ギヤ部26が形成され、その内周面(上面)には前記スポーク部材12Cに連結するための前記連結固定部24が設けられている。
【0031】
該構成によれば、前記従動ギヤ22は、前記駆動モータ21の駆動力を前記ステアリングハンドル12側に伝動することによって、前記ステアリングハンドル12を操向操作することができるように構成されている。具体的に説明すると、前記操舵ユニット10は、前記駆動モータ21の駆動力を、前記出力ギヤ20→前記従動ギヤ22→前記ステアリングハンドル12の順番に伝動させることによって、前記ステアリングハンドル12を操向操作(自動操舵)することができる。
【0032】
前記連結固定部24は、前記従動ギヤ22の内周面側に取付固定された固定部27と、該固定部27の上端側に設けられた揺動軸28と、該揺動軸28を軸に上下揺動可能に支持された連結部29とを有し、3本の前記スポーク部材12Cに対応するように環状の前記従動ギヤ22の内周面に沿って等間隔に計3か所設けられている(
図2乃至4等参照)。このとき、隣接する前記連結固定部24は、前記スポーク部材12Cと同様に、平面視で前記従動ギヤ22の中心を軸として120°回転させた位置に設けられている(
図4(A)等参照)。すなわち、前記連結固定部24は、3本の前記スポーク部材12Cとそれぞれ連結されるように環状に3つ設けられることによって、前記従動ギヤ22を前記ステアリングハンドル12側に強固に取付けることができるように構成されている。
【0033】
上記連結部29は、延設方向視であるA-A断面視において、下方が開放されたコ字状に形成されており、その側面側には、一対のバンド部材(結束バンド)31,31が挿通される挿通孔29aが形成されている。
【0034】
該構成によれば、前記バンド部材31を前記挿通孔29aに挿通させた状態の前記連結部29の上面側を、前記スポーク部材12Cの下面側を当接させ、その状態で、前記バンド部材31を用いて前記連結部29と前記スポーク部材12Cとを一体的に締め付けることにより、前記連結部29と前記スポーク部材12Cとを固定することができる。これにより、前記操舵ユニット10(連結固定部24、連結部29)を、前記ステアリングハンドル12(スポーク部材12C)側に着脱可能な構成で取付固定することができる。
【0035】
また、上記連結部29は、平面視で前記スポーク部材12Cとラップするように、前記従動ギヤ22の内周面(前記固定部27)から放射方向に延設されるとともに、その基端側が前記従動ギヤ22の内側に沿って配置された前記揺動軸28に軸支されている。これにより、前記連結部29は、延設端側を上下揺動することによって、その上面側を前記スポーク部材12Cの下面側に沿わせることができるように構成されている(
図2乃至4等参照)。
【0036】
該構成によれば、前記連結部29の上下揺動位置を調整することによって、前記ステアリングハンドル12の種類によって前記スポーク部材12Cの傾斜が異なる場合であっても、前記連結部29(の上面)と前記スポーク部材12C(の下面)とを当接させることができる。これにより、前記操舵ユニット10を取付固定可能なステアリングハンドル12の種類が多くなるため、汎用性が大幅に向上する。
【0037】
また、上記連結部29の上面側には、A-A断面視に示されるように、断面視で一対の山部を短手方向に並べて波状に形成した面を長手方向に延設した当接面32が形成されている。該構成の前記当接面32によれば、一般的な形状のスポーク部材12Cの下面側と少なくとも2点で線接触させることができるため、前記連結部29(当接面32)と前記スポーク部材12Cとを安定した状態で当接させることができる(
図5(A)乃至(D)参照)。
【0038】
具体的に説明すると、前記スポーク部材12Cの下面側が、下方側が開放されたE字状(U字状)に凹設されている場合は、前記スポーク部材12Cの下面と前記当接面32の一対の山部の両外側とが当接し(
図5(A)参照)、前記スポーク部材12Cの下面側が、平面の場合や、下方に向けて緩やかに湾曲している場合は、前記スポーク部材12Cの下面と前記当接面32の一対の山部の頂点側とが当接し(
図5(B)及び(C)参照)、前記スポーク部材12Cの下面側に下方に向けて三角形状の突設部が設けられている場合は、前記スポーク部材12Cの下面と、前記当接面32の一対の山部の内側とが当接する(
図5(C)参照)。
【0039】
前記カバー体23は、第1カバー体23Aと、第2カバー体23Bとで前後に分割形成されており、前記従動ギヤ22のギヤ部(外周面側)をカバーするように内周面側が開放された断面コ字状に形成された環状のカバー部33と、前記駆動モータ21を収容・支持するモータ設置部(アクチュエータ設置部)34と、前記操舵ユニット10が前記ステアリングハンドル12と連れ回りすることを防止する回り止め部36とが設けられている(
図6参照)。
【0040】
前記第1カバー体23Aは、前記従動ギヤ22の前(進行方向)側の半部をカバーする円弧状の前記カバー部33と、前記従動ギヤ22の回転駆動を補助する補助ローラ37と、前記回り止め部36とが設けられている。
【0041】
上記補助ローラ37は、円弧状の前記第1カバー部23Aに沿って複数(図示する例では3カ所)設けられており、各補助ローラ37は、前記第1カバー体23Aの内周面側に設置されている。該構成の補助ローラ37によれば、前記カバー体23内において前記従動ギヤ22を回転駆動がスムーズとなる位置に保持させることができるため、前記操舵ユニット10による前記ステアリングハンドル12の自動操作をより安定させることができる。
【0042】
上記回り止め部36は、
図3等に示されるように、前記第1カバー体23Aの前端側から下方に向かって延設されたピン部材(規制ピン)38と、前記走行機体7側に取付可能に構成されたアングル状の規制部材39とを備え、前記規制部材39は、機体(ステアリングコラム)側にボルト固定するための固定孔41、41と、前記ピン部材38が挿通されるように凹設された規制部42とが形成されている(
図3、
図4(B)、
図6等参照)。
【0043】
該構成によれば、前記回り止め部36は、ワッシャ(環)状に形成された弾性部材(ゴム部材)40が挿通された前記ピン部材38を前記規制部42に挿通させた簡易な構成によって、前記駆動モータ21の駆動に伴って前記操舵ユニット10が前記ステアリングハンドル12とともに連れ回りすることを防止(規制)することができる。また、前記ピン部材38と前記規制部材39との間に防振性のある前記弾性部材40が介在されるため、振動によって前記回り止め部36がズレたり外れたりすることを防止することができる。
【0044】
前記第2カバー体23Bは、前記従動ギヤ22の後側の半部をカバーする円弧状のカバー部33と、前記ステアリングハンドル12の手前側に前記駆動モータ21を収容・保持する前記駆動モータ設置部34とが設けられている。該駆動モータ設置部34は、前記従動ギヤ22の後部をカバーするカバー部33の後方且つ下方に配置されている。
【0045】
該構成によれば、分割された前記カバー体23は、一方(前記第1カバー体23A)側に、前記走行機体7側に取付けられる前記回り止め部36が設けられ、他方(前記第2カバー体23B)側に、比較的重量のある駆動モータ21を収容・支持する駆動モータ設置部34が設けられているため、前記操舵ユニット10の前記ステアリングハンドル12への着脱作業をよりスムーズ且つ簡易行うことができる。
【0046】
上述の操舵ユニット10によれば、前記スポーク部材12Cが3本設けられた通常の前記ステアリングハンドル12を備えた前記走行機体7であれば、前記操舵ユニット10をスムーズ且つ容易に後付けすることができる。また、前記走行機体7側に後付けされた前記操舵ユニット10は、前記駆動モータ21の駆動力を制御することによって設置された前記ステアリングハンドル12の操向操作を制御することができる。これにより、既存の作業車両を簡易且つスムーズに自動操舵可能な作業車両に変更することができる。
【0047】
なお、仮に前記走行機体7に設けられたステアリングハンドル12が上記と異なる構成で前記操舵ユニット10が取付けできないものあっても、ステアリングハンドル12のみ交換すれば前記操舵ユニット10を前記走行機体7に後付けで設置することができる。
【0048】
次に、
図7乃至9に基づいて、前記操舵ユニットの別実施例1について説明する。
図7は、別実施例1の連結固定部を示した斜視図であり、
図8(A)は、別実施例1の操舵ユニットを設置した状態を示した要部斜視図であり、
図8(B)は、別実施例1の操舵ユニットの分解斜視図であり、
図9は、別実施例1の操舵ユニットを示した斜視図である。
【0049】
前記操舵ユニット10は、前記ステアリングハンドル12と、前記駆動モータ21と、前記従動ギヤ46と、前記カバー体23と、前記連結固定部47とを備えている。
【0050】
前記駆動モータ21の出力体(出力ギヤ)と、前記従動体(従動ギア)とがピンギヤ式で構成されている。図示する例では、前記出力体側を外周面に沿ってローラを並べて配置したピンホイール(ピンラック)59とし、前記従動体側を環状のピンギヤ60としているが、前記出力体側をピンギヤ(図示しない)とし、前記従動体側を環状のピンホイール(図示しない)とした構成としても良い(
図9等参照)。
【0051】
また、前記従動ギヤ46は、複数(図示する例では3つ)に分割された分割体46A,46B,46Cによって構成され、円弧状に形成された各分割体46A,46B,46Cの端部側には、分割体同士を着脱可能にする連結部48が設けられている。
【0052】
該連結部48は、分割体46A,46B,46Cの一端側に形成された凸部である連結突起部48aと、分割体46A,46B,46Cの他端側に形成されて前記連結突起部48aが挿通される連結孔部48bとから構成されている(
図8(B)参照)。これにより、前記従動ギヤ46は、前記連結部48を用いて隣接する円弧状の前記分割体46A,46B,46Cの端部同士を連結することによって形成することができる。
【0053】
該構成によれば、前記操舵ユニット10(従動ギヤ46)は、前記ステアリングハンドル12を前記ステアリング軸15(ステアリングコラム17)側から取外すことなく、前記ステアリングハンドル12(軸支部12B、スポーク部材12C)側に取付けることができるようになる。このため、前記操舵ユニット10の着脱作業をよりスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0054】
前記カバー体23は、前記第1カバー23Aの一端側と、前記第2カバー23Bの一端側とを連結ピン49を軸に回動作動可能に連結した構成としても良い(
図8(B)参照)。該構成によれば、例えば、まず、前記第1カバー体23Aを前記回り止め部36を用いて所定の取付位置に設置し、その後に、前記連結ピン49を軸に前記第2カバー体23Bを閉作動することで前記第2カバー体23Bを自動的に所定位置の設置位置に配置することができる。これにより、分割形成された前記カバー体23の連結作業をよりスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0055】
前記連結固定部47は、前記従動ギヤ22の内周面側に沿って複数(図示する例では3つ)取付固定された固定部51と、各固定部51の上端側に設けられた揺動軸52と、該揺動軸52を軸に上下揺動可能に支持されて揺動端側が前記軸支部12Bの上面側に設置可能に構成された連結部53と、連結部53同士を固定する環状の固定部材54とを有している(
図7、
図8(B)等参照)。
【0056】
前記連結部53は、その上面側に前記固定部材54の一部が嵌合する(セットされる)ように凹設された円弧状のガイド部57と、該ガイド部57上にセットされた前記固定部材54を取付固定する固定孔57a,57aと、下方に向けて突設されることにより前記スポーク部材12Cの上面側と係止する係止片58とが形成されている。
【0057】
上記ガイド部57は、前記連結部53が前記揺動軸52を軸に上下揺動されることによって、隣接するスポーク部材12C,12Cの間に形成されるスペースを介して前記軸支部12Bの下方側から前記軸支部12Bの上面側に配置される固定位置にセットすることができるように構成されている。すなわち、前記連結部53(ガイド部57)と前記従動ギヤ46とで、前記ステアリングハンドル12の軸支部12Bを上下で挟持することができる。
【0058】
また、上記連結部53は、前記従動ギヤ46の内周側に沿って3つ設けられているため、各連結部53,53,53が固定位置にセットされることによって、前記軸支部12Bの上面側に前記ガイド部57,57,57を環状に配置することができる。これにより、環状の前記ガイド部57,57,57上に、前記固定部材54をセットすることができるようになる(
図7及び
図8参照)。
【0059】
上記係止片58は、前記連結部53が固定位置にセットされることにより、前記スポーク部材12Cの側面側と係止可能な位置に配置されるように構成されている(
図7及び
図8(A)等参照)。これにより、前記連結部53は、前記係止片58が前記スポーク部材12Cの側面側と当接することによっても、前記駆動モータ21の駆動力によって前記操舵ユニット10が連れ回りすることを防止することができる。
【0060】
前記固定部材54は、固定位置にセットされた前記連結部53によって形成された3つのガイド部57,57,57に嵌合可能な環状に形成されるとともに、各ガイド部57側にボルト固定するための固定孔54aが穿設されている。
【0061】
これにより、前記固定部材54は、固定ボルト55を用いて3つの前記ガイド部57(連結部53)側にボルト固定されることにより、3つの前記連結部53,53,53同士を連結することができる(
図7及び
図8等参照)。該構成によれば、前記固定部材54(連結部53)と前記従動ギヤ46とで、前記軸支部12Bを上下で挟持することで、前記操舵ユニット10を前記ステアリングハンドル12側に着脱可能な構成で取付けることができる。
【0062】
上述の連結固定部47によれば、前記操舵ユニット10を前記ステアリングハンドル12側に簡易な取付作業で強固に取付けることができるとともに、前記操舵ユニット10を取付ける際に、前記スポーク部材12Cにバンド部材31を巻付ける必要がなくなるため、見た目もスッキリする。
【0063】
次に、
図10に基づいて、前記操舵ユニットの別実施例2について説明する。
図10は、別実施例2の操舵ユニットを示した斜視図である。
【0064】
前記操舵ユニット10は、前記駆動モータ21の出力ギヤ61と、前記従動体62(従動ギア)とを非接触式の磁力ギヤ(磁力歯車、磁気歯車)としたものであっても良い。該構成によれば、前記駆動モータ21側の駆動力を、前記出力体61から前記従動体62へと非接触でトルク伝動させることができるため、振動、騒音を小さくすることができるとともに、保守性も向上する。
【符号の説明】
【0065】
10 操舵ユニット(操舵装置)
12 ステアリングハンドル
12C スポーク部材
21 駆動モータ(駆動装置)
22 従動ギヤ(従動体)
24 連結固定部
23 カバー体
23A 第1カバー体
23B 第2カバー体
28 揺動軸
34 駆動モータ設置部(アクチュエータ設置部)
36 回り止め部