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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087749
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20230619BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20230619BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B66B3/00 K
B66B3/00 L
B66B3/00 P
B66B13/14 L
B66B1/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202209
(22)【出願日】2021-12-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【テーマコード(参考)】
3F303
3F307
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA01
3F303CB24
3F303CB33
3F307EA13
3F502HB01
3F502JA54
3F502KA02
(57)【要約】
【課題】 かごの走行方向の保持を適正に行うことができるエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータにおいては、制御装置は、戸閉位置検出部が閉位置状態を検出したときに荷重検出部が荷重有状態を検出している第1要件を満たし、且つ、戸閉位置検出部が閉位置状態を検出するまでに行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、かごの走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、制御装置は、第1要件を満たさず、且つ、戸閉位置検出部が閉位置状態を検出するまでに行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、かごの走行方向の保持を解除する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご室と、前記かご室の出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸と、を有するかごと、
前記かご戸が前記閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部と、
前記かご室の内部に荷重が有する荷重有状態を検出する荷重検出部と、
前記かご室の内部に配置され、前記かごの行先の指示情報が入力される行先入力部と、
乗場に配置され、前記かごを前記乗場に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部と、
前記行先入力部及び前記呼び入力部からの指示情報を取得し、取得した指示情報に基づいて、前記かごの上下方向への走行を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出したときに前記荷重検出部が荷重有状態を検出している第1要件を満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1要件を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、エレベータ。
【請求項2】
前記かご室の内部に配置され、前記かご戸を閉める指示情報が入力される戸閉入力部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1要件だけでなく、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記戸閉入力部からの指示情報を取得している第2要件をさらに満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記走行方向保持制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1要件及び前記第2要件の少なくとも一方を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記走行方向保持制御において、
前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過するまでに、前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置へ移動する戸開動作を実行し、
前記行先入力部からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開動作の後に第2設定時間が経過した場合に、前記かご戸を前記閉位置へ移動する戸閉動作を実行し、
前記制御装置は、
前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得している場合に、前記かごの走行方向を保持し、
前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記戸開動作の後に前記第2設定時間が経過するまでに、前記呼び入力部及び前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置で保持する戸開保持動作を実行し、
前記呼び入力部及び前記行先入力部の少なくとも一方からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開保持動作の実行後に第3設定時間が経過した場合に、前記戸閉動作を実行する、請求項3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記第3設定時間は、前記第2設定時間よりも、長い、請求項4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、かご室及びかご戸を有するかごと、かご室の内部に配置され、かご戸を閉める指示情報が入力される戸閉入力部と、かご室の内部に配置され、かごの行先の指示情報が入力される行先入力部と、乗場に配置され、かごを乗場に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部と、制御装置とを備えている(例えば、特許文献1)。制御装置は、行先入力部及び呼び入力部に入力された情報に基づいて、かごの上下方向への走行を制御している。
【0003】
特許文献1及び2に係るエレベータにおいては、かご室の内部の乗客が、行先入力部への入力を行わなかった場合に、かごの走行方向が保持され、行先入力部への入力を促す制御が行われている。例えば、特許文献1及び2に係るエレベータにおいては、荷重変動等によって、かご室への乗客の乗り込みが判定され、その後、かご戸が閉位置に位置したときに、行先入力部への入力の有無が判定される。
【0004】
ところで、特許文献1及び2に係るエレベータにおいては、かご戸が閉位置に位置する前に、かご室への乗客の乗り込みの有無が判定されている。したがって、かご戸が閉位置に位置したときに、かご室の内部に乗客が存在していない場合でも、かごの走行方向が保持され、行先入力部への入力を促す制御が行われる場合がある。これにより、例えば、エレベータの運転効率を低下させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-24022号公報
【特許文献2】特開2014-240323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、課題は、かごの走行方向の保持を適正に行うことができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エレベータは、かご室と前記かご室の出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸とを有するかごと、前記かご戸が前記閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部と、前記かご室の内部に荷重が有する荷重有状態を検出する荷重検出部と、前記かご室の内部に配置され、前記かごの行先の指示情報が入力される行先入力部と、乗場に配置され、前記かごを前記乗場に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部と、前記行先入力部及び前記呼び入力部からの指示情報を取得し、取得した指示情報に基づいて、前記かごの上下方向への走行を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出したときに前記荷重検出部が荷重有状態を検出している第1要件を満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、前記制御装置は、前記第1要件を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する。
【0008】
また、エレベータは、前記かご室の内部に配置されて前記かご戸を閉める指示情報が入力される戸閉入力部をさらに備え、前記制御装置は、前記第1要件だけでなく、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記戸閉入力部からの指示情報を取得している第2要件をさらに満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記走行方向保持制御を実行し、前記制御装置は、前記第1要件及び前記第2要件の少なくとも一方を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータにおいては、前記制御装置は、前記走行方向保持制御において、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過するまでに、前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置へ移動する戸開動作を実行し、前記行先入力部からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開動作の後に第2設定時間が経過した場合に、前記かご戸を前記閉位置へ移動する戸閉動作を実行し、前記制御装置は、前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得している場合に、前記かごの走行方向を保持し、前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータにおいては、前記制御装置は、前記戸開動作の後に前記第2設定時間が経過するまでに、前記呼び入力部及び前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置で保持する戸開保持動作を実行し、前記呼び入力部及び前記行先入力部の少なくとも一方からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開保持動作の実行後に第3設定時間が経過した場合に、前記戸閉動作を実行する、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータにおいては、前記第3設定時間は、前記第2設定時間よりも、長い、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
図2図2は、同実施形態に係るかごの内部を示す図である。
図3図3は、同実施形態に係るエレベータの制御ブロック図である。
図4図4は、通常走行制御の制御フロー図である。
図5図5は、走行方向保持制御の制御フロー図である。
図6図6は、同走行保持制御の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、エレベータにおける一実施形態について、図1図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、人が乗るためのかご2と、かご2を走行させるかご駆動部3と、かご2を案内するかごレール4と、エレベータ1の各部を制御する制御装置5とを備えていてもよい。
【0015】
また、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2に接続されるかごロープ6と、かごロープ6に接続される釣合錘7と、釣合錘7を案内する錘レール8とを備えていてもよい。そして、例えば、本実施形態のように、かご駆動部3は、巻上装置3であり、巻上装置3は、かごロープ6に巻き掛けられる綱車3aと、綱車3aに駆動を与える駆動源(例えば、モータ)3bとを備えている、という構成でもよい。
【0016】
本実施形態に係るエレベータ1においては、巻上装置3は、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置3は、昇降路X1の内部に配置されている、という構成でもよい。
【0017】
また、本実施形態においては、かごロープ6の一端がかご2に固定され、かごロープ6の他端が釣合錘7に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ6の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ6がかご2のシーブ及び釣合錘7のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ6がかご2及び釣合錘7にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0018】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、かご駆動部3が巻上装置3であるロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、かご駆動部3が油圧装置である油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、かご駆動部3がリニアモータであるリニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
【0019】
また、本実施形態のように、エレベータ1は、例えば、乗場X3の出入口を開閉する乗場戸9を備え、かご2は、例えば、図1及び図2に示すように、人が乗るかご室2aと、かご室2aの出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸2bと、かご戸2bの開閉動作を行う戸駆動部2cとを備えている、という構成でもよい。
【0020】
これにより、戸駆動部2cがかご戸2bを移動させることによって、かご戸2bは、かご室2aの出入口を開閉する。そして、かご戸2bがかご室2aの出入口を開閉することによって、かご2が停止している乗場X3の乗場戸9は、かご戸2bと連動して、乗場X3の出入口を開閉する、という構成でもよい。
【0021】
エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご室2aの内部に配置されるかご入力部10及びかご出力部11と、各乗場X3に配置される乗場入力部12及び乗場出力部13とを備えていてもよい。また、図3に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご戸2bが閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部14と、かご戸2bが開位置に位置する開位置状態を検出する戸開位置検出部15と、かご室2aの内部に荷重を有する荷重有状態を検出する荷重検出部16とを備えていてもよい。
【0022】
かご入力部10は、例えば、本実施形態のように、かご戸2bを開ける指示情報が入力される戸開入力部10aと、かご戸2bを閉める指示情報が入力される戸閉入力部10bと、かご2の行先の指示情報が入力される行先入力部10cとを備えていてもよい。なお、特に限定されないが、戸開入力部10a及び戸閉入力部10bは、例えば、それぞれ一つ備えられ、行先入力部10cは、例えば、行先(例えば、行先階、行先施設)の個数だけ備えられていてもよい。
【0023】
乗場入力部12は、例えば、本実施形態のように、到着後に上方向へ走行するかご2を乗場X3に呼ぶ指示情報が入力される上呼び入力部12aと、到着後に下方向へ走行するかご2を乗場X3に呼ぶ指示情報が入力される下呼び入力部12bとを備えていてもよい。
【0024】
上呼び入力部12aは、例えば、到着後に上方向へ走行する指示情報だけを入力するために、一つだけ備えられていてもよく、また、例えば、上方向へ走行する指示情報だけでなく行先の指示情報も入力するために、行先の個数だけ備えられていてもよい。また、下呼び入力部12bは、例えば、到着後に下方向へ走行する指示情報だけを入力するために、一つだけ備えられていてもよく、また、例えば、下方向へ走行する指示情報だけでなく行先の指示情報も入力するために、行先の個数だけ備えられていてもよい。
【0025】
各入力部10,10a~10c,12,12a~12bは、特に限定されないが、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、非接触式スイッチ等)、タッチパネル等としてもよい。また、出力部11,13は、特に限定されないが、例えば、表示部(例えば、表示板、表示灯)、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)等としてもよい。
【0026】
戸閉位置検出部14は、特に限定されないが、例えば、例えば、閉位置に位置するかご戸2bを検出するセンサ(例えば、接触式センサ、近接センサ)としてもよい。また、戸開位置検出部15は、特に限定されないが、例えば、開位置に位置するかご戸2bを検出するセンサ(例えば、接触式センサ、近接センサ)としてもよい。なお、戸閉位置検出部14及び戸開位置検出部15は、例えば、別のセンサとしてもよく、また、例えば、共通のセンサ(例えば、かご戸2bの移動距離を検出するエンコーダ)としてもよい。
【0027】
荷重検出部16は、特に限定されないが、例えば、かご室2aの内部の荷重の絶対値を検出可能である、という構成でもよい。荷重検出部16は、例えば、かご室2aの床の下に配置される重量センサ(例えば、ロードセル)としてもよく、また、例えば、かごロープ6の端部に配置される各種センサ(例えば、力センサ、位置センサ)であってもよい。
【0028】
制御装置5は、例えば、本実施形態のように、各部10,10a~10c,12,12a~12b,14~16から各情報(データ)を取得する取得部17と、各情報を記憶する記憶部18と、各情報を演算する演算部19と、各部2c,3,11,13を制御する制御部20とを備えていてもよい。
【0029】
なお、制御装置5は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部19、制御部20)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部17、記憶部18)、各種インターフェイス(例えば、取得部17)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、制御装置5の各部17~20が実現されている。
【0030】
制御装置5は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、制御装置5の各部17~20は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0031】
演算部19は、例えば、本実施形態のように、かご戸2bが閉位置へ移動したときの条件を判定する戸閉判定部19aと、かご戸2bの位置を判定する戸位置判定部19bと、かご室2aの内部の荷重を判定する荷重判定部19cと、かご2の走行(例えば、走行方向、走行速度)を演算するかご走行演算部19dとを備えていてもよい。
【0032】
戸閉判定部19aは、例えば、戸閉入力部10bからの指示情報に基づいて、判定してもよい。例えば、かご戸2bが閉位置へ移動したときの条件が、取得部17が戸閉入力部10bからの指示情報を取得した第1条件と、かご戸2bが開位置に所定時間だけ位置した第2条件とが存在することに対して、戸閉入力部10bからの指示情報の有無によって、かご戸2bが閉位置へ移動した条件が判定される、という構成でもよい。
【0033】
戸位置判定部19bは、例えば、戸閉位置検出部14及び戸開位置検出部15の検出に基づいて、かご戸2bの位置を判定してもよい。特に限定されないが、例えば、戸閉位置検出部14がかご戸2bを検出した場合に、かご戸2bが閉位置に位置していると判定され、戸開位置検出部15がかご戸2bを検出した場合に、かご戸2bが開位置に位置していると判定され、両方の位置検出部14,15がかご戸2bを検出しない場合に、かご戸2bが開位置及び閉位置間に位置していると判定される、という構成でもよい。
【0034】
荷重判定部19cは、例えば、荷重検出部16の検出に基づいて、かご室2aの内部の荷重を判定してもよい。特に限定されないが、例えば、荷重検出部16の検出に基づいて、かご室2aの内部の荷重が演算され、かご室2aの内部に乗客に相当する荷重の有無が判定される、という構成でもよい。
【0035】
かご走行演算部19dは、例えば、各入力部10,10a~10c,12,12a~12bから取得した情報に基づいて、かご2の走行(例えば、走行方向、走行速度)を演算してもよい。そして、かご走行演算部19dは、例えば、所定の情報に基づいて、かご室2aの内部の乗客が行先入力部10cに指示情報を入力し忘れているような場合に、かご2の走行方向を保持する走行方向保持制御の実行の是非を判定してもよく、また、走行方向保持制御の所定の演算及び判定を行ってもよい。
【0036】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ1の制御について、図4図6を参照しながら説明する。なお、エレベータ1の構成は、以上の構成に限定されず、また、エレベータ1の制御は、以下の制御に限定されない。
【0037】
<通常走行制御>
まず、かご2の走行が通常時に実行される制御である、通常走行制御について説明する。
【0038】
例えば、演算部19(具体的には、かご走行演算部19d)は、行先入力部10c及び呼び入力部12a,12bから取得した指示情報に基づいて、かご2の上下方向D3への走行を演算し、制御部20は、演算部19の演算に基づいて、かご駆動部3を制御することよって、かご2の上下方向D3の走行を制御してもよい。これにより、制御装置5は、行先入力部10c及び呼び入力部12a,12bから取得した情報に基づいて、かご2の上下方向への走行を制御している。
【0039】
例えば、取得部17で取得した行先入力部10cからの指示情報は、かご2が当該行先の乗場X3に到着するまで、記憶部18で記憶(登録)され、また、取得部17で取得した呼び入力部12a,12bからの指示情報は、所望の方向へ走行するかご2が当該乗場X3に到着するまで、記憶部18で記憶される、という構成でもよい。
【0040】
なお、例えば、かご2の走行方向側に位置しない行先入力部10cからの情報は、取得部17で取得しない(無効にされる)、という構成でもよい。これにより、例えば、上方向へ走行するかご2が5階に位置している場合に、5階以下の行先入力部10cに入力された指示情報は、取得部17で取得されない。
【0041】
そして、指示情報が記憶されていることを乗客に視認させるために、例えば、当該指示情報が記憶されていることは、各出力部11,13によって出力されている、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、記憶されている指示情報を入力した入力部10c,12a,12bに対して、当該入力部10c,12a,12bのボタン自身やその周囲が、出力部11,13である光源により、発光される、という構成でもよい。
【0042】
そして、行先入力部10cからの指示情報の記憶が全て消去されるまで、演算部19は、かご2の走行方向を保持する。即ち、行先入力部10cからの指示情報の記憶が全て消去された場合に、演算部19は、かご2の走行方向の保持を解除する。なお、かご2の走行方向の保持が解除された場合でも、演算部19が、記憶されている呼び入力部12a,12bからの指示情報に基づいて、かご2の走行を演算するため、かご2の走行方向が同じで維持される場合もあり、また、かご2の走行方向が反対に変更される場合もある。
【0043】
ここで、通常走行制御において、かご2が乗場X3に到着した場合に実行される制御について、図4を参照しながら説明する。
【0044】
図4に示すように、かご2が特定の乗場X3に到着した場合に(S1)、かご戸2bが開位置へ移動され(S2)、乗客が乗り降りした後に、かご戸2bが閉位置へ移動される(S3)。そして、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出する(S5の「Y」)までに、戸閉入力部10bからの指示情報が取得された場合には(S4の「Y」)、戸開入力要件(第2要件)が成立する(S6)。これにより、戸開入力要件(第2要件)が成立した場合には、戸閉入力部10bに指示情報を入力した乗客が存在することになる。
【0045】
さらに、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出したときに(S7の「Y」)、荷重検出部16が、荷重有状態を検出した場合に(S8の「Y」)、荷重有要件(第1要件)が成立する(S9)。これにより、荷重有要件(第1要件)が成立した場合には、かご戸2bが閉位置に位置したときに、かご室2aの内部に荷重が存在することになる。なお、乗場X3に到着して、かご戸2bが開位置へ移動した後に(S2)、最初に起きる閉位置状態は、第1の閉位置状態(S5,S7)という。
【0046】
そして、戸閉入力要件(第2要件)及び荷重有要件(第1要件)が成立し(S6,S9)、且つ、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合には(S10の「N」)、かご室2aの内部に乗客が存在し、当該乗客が行先入力部10cへの入力を忘れている可能性が高い。そこで、斯かる場合には、走行方向保持制御が実行され、かご2の走行方向が保持される。これにより、かご2の走行方向の保持を適正に行うことができる。
【0047】
なお、戸閉入力要件(第2要件)及び荷重有要件(第1要件)が成立し(S6,S9)、且つ、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合には(S10の「Y」)、かご2の走行方向が保持された状態で、通常走行制御が継続される(S13)。
【0048】
また、戸閉入力要件(第2要件)及び荷重有要件(第1要件)の少なくとも一方が成立せず(S4の「N」及びS5の「Y」、S7の「Y」及びS8の「N」)、且つ、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合にも(S11の「Y」)、かご2の走行方向が保持された状態で、通常走行制御が継続される(S13)。
【0049】
一方で、戸閉入力要件(第2要件)及び荷重有要件(第1要件)の少なくとも一方が成立せず(S4の「N」及びS5の「Y」、S7の「Y」及びS8の「N」)、且つ、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合には(S11の「N」)、かご2の走行方向の保持が解除された上で(S12)、通常走行制御が継続される(S13)。これにより、走行方向保持制御が不必要に実行されないため、例えば、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0050】
具体的には、例えば、乗客が、戸閉入力部10bに指示情報を入力した後に、かご室2aから退出し、かご室2aの内部に乗客が存在しない場合には、荷重有要件(第1要件)が成立しないため、走行方向保持制御が実行されない。また、例えば、かご室2aの内部に乗客が存在せず、荷物のみが存在する場合には、戸閉入力要件(第2要件)が成立しないため、走行方向保持制御が実行されない。
【0051】
<走行方向保持制御>
次に、走行保持制御について、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0052】
図5に示すように、まず、例えば、本実施形態のように、かご室2aの内部の乗客に、行先入力部10cへの指示情報の入力を促すために、かご出力部11から警告が出力されてもよい(S21)。かご出力部11は、例えば、音声によって、聴覚的に警告を出力してもよく、また、例えば、表示によって、視覚的に警告を出力してもよい。
【0053】
そして、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過する(S22の「Y」)までに、行先入力部10cからの指示情報が取得された場合には(S23の「Y」)、かご2の走行方向が保持された状態で、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S24)。なお、第1設定時間は、特に限定されないが、例えば、1秒~5秒としてもよい。
【0054】
一方で、行先入力部10cからの指示情報が未取得である状態で(S23の「N」)、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出してから、第1設定時間が経過した場合には(S22の「Y」)、かご戸2bを開位置へ移動する戸開動作が実行される(S25)。これにより、かご室2aの内部の乗客に、行先入力部10cへの指示情報の入力を促すことができる。
【0055】
なお、図示していないが、行先入力部10cからの指示情報が未取得である状態で(S23の「N」)、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出してから、第1設定時間が経過する(S22の「Y」)までに、例えば、戸開入力部10aに指示情報が入力された場合には、戸開動作が実行されてもよい(S25)。また、例えば、斯かる場合に、取得部17は、戸開入力部10aからの指示情報を取得しなくてもよい(無効にしてもよい)。
【0056】
そして、戸開動作が実行された後から(S25)、第2設定時間が経過する(S26の「Y」)までに、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合には(S27の「Y」)、かご戸2bが閉位置へ移動し(S28)、かご2の走行方向が保持された状態で、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S29)。なお、第2設定時間は、特に限定されないが、例えば、1秒~5秒としてもよい。
【0057】
これにより、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合に、第2設定時間が経過する前に、かご戸2bが閉位置へ移動する。したがって、適正な時間で、かご戸2bを閉位置へ移動させることができるため、例えば、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0058】
また、行先入力部10cからの指示情報が未取得である状態で(S27の「N」)、第2設定時間が経過し(S26の「Y」)、呼び入力部12a,12bからの指示情報が取得されている場合には(S30の「Y」)、かご戸2bを閉位置へ移動する戸閉動作が実行される(S31)。
【0059】
これにより、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合でも、第2設定時間が経過することによって、かご戸2bが閉位置へ移動する。したがって、適正な時間で、かご戸2bを閉位置へ移動させることができるため、例えば、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0060】
なお、図示していないが、戸開動作が実行された後から(S25)、第2設定時間が経過する(S26の「Y」)までに、例えば、戸閉入力部10bに指示情報が入力された場合には、戸閉動作が実行されてもよい(S31)。また、例えば、斯かる場合に、取得部17は、戸閉入力部10bからの指示情報を取得しなくてもよい(無効にしてもよい)。
【0061】
そして、戸閉動作が実行された後(S31)、戸閉位置検出部14が第2の閉位置状態を検出したときに(S32の「Y」)、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合には(S33の「Y」)、かご2の走行方向が保持された状態で、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S35)。なお、戸閉動作が実行された後に(S31)、最初に起きる閉位置状態は、第2の閉位置状態(S32,図6のS43)という。
【0062】
また、戸閉動作が実行された後(S31)、戸閉位置検出部14が第2の閉位置状態を検出したときに(S32の「Y」)、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合には(S33の「N」)、かご2の走行方向の保持が解除された上で(S34)、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S35)。これにより、かご2の走行方向が不必要に保持されないため、例えば、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0063】
一方で、行先入力部10cからの指示情報が未取得である状態で(S27の「N」)、第2設定時間が経過し(S26の「Y」)、且つ、呼び入力部12a,12bからの指示情報が未取得である場合には(S30の「N」)、かご戸2bを開位置で保持する戸開保持動作が実行される(S36)。
【0064】
これにより、かご戸2bが開位置で保持されるため、乗場X3からかご室2aの内部を視認可能な状態を維持することができる。したがって、例えば、乗客がかご室2aの内部で問題(例えば、乗客が倒れている等)を発生している場合に、乗場X3からかご室2aの内部を視認し易くすることができる。
【0065】
そして、図6に示すように、戸開保持動作が実行された後から(S36)、第3設定時間が経過する(S37の「Y」)までに、行先入力部10cからの指示情報が取得された場合には(S38の「Y」)、かご戸2bが閉位置へ移動し(S39)、かご2の走行方向が保持された状態で、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S40)。
【0066】
また、戸開保持動作が実行された後から(S36)、第3設定時間が経過する(S37の「Y」)までに、呼び入力部12a,12bからの指示情報が取得された場合には(S38の「N」、S41の「Y」)、戸閉動作が実行される(S42)。
【0067】
これにより、戸開保持動作が実行された後に、行先入力部10c又は呼び入力部12a,12bからの指示情報が取得された場合に、第3設定時間が経過する前に、かご戸2bが閉位置へ移動する。したがって、適正な時間で、かご戸2bを閉位置へ移動させることができる。
【0068】
なお、図示していないが、戸開保持動作が実行された後から(S36)、第3設定時間が経過する(S37の「Y」)までに、例えば、戸閉入力部10bに指示情報が入力された場合には、戸閉動作が実行されてもよい(S42)。また、例えば、斯かる場合に、取得部17は、戸閉入力部10bからの指示情報を取得しなくてもよい(無効にしてもよい)。
【0069】
一方で、行先入力部10c及び呼び入力部12a,12bからの指示情報が未取得である場合には(S38の「N」、S41の「N」)、例えば、かご2を走行させる必要がないため、かご戸2bが開位置で保持され、その後、第3設定時間が経過することによって(S37の「Y」)、戸閉動作が実行される(S42)。
【0070】
なお、例えば、本実施形態のように、第3設定時間は、第2設定時間よりも、長くてもよい。特に限定されないが、第3設定時間は、例えば、30秒~3分としてもよい。また、特に限定されないが、第3設定時間は、例えば、第2設定時間の5倍以上としてもよく、また、例えば、10倍以上としてもよい。
【0071】
これにより、行先入力部10c及び呼び入力部12a,12bからの指示情報が未取得である場合に、かご戸2bは、第3設定時間だけ、開位置で保持される。これにより、かご2を走行させる必要が無い場合に、乗場X3からかご室2aの内部を視認可能な状態を、十分な時間だけ保持することができる。
【0072】
そして、戸閉動作が実行された後(S42)、戸閉位置検出部14が第2の閉位置状態を検出したときに(S43の「Y」)、行先入力部10cからの指示情報が取得されている場合には(S44の「Y」)、かご2の走行方向が保持された状態で、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S46)。
【0073】
また、戸閉動作が実行された後(S42)、戸閉位置検出部14が第2の閉位置状態を検出したときに(S43の「Y」)、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合には(S44の「N」)、かご2の走行方向の保持が解除された上で(S45)、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(S46)。これにより、走行方向が不必要に保持されない。
【0074】
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、かご室2aと前記かご室2aの出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸2bとを有するかご2と、前記かご戸2bが前記閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部14と、前記かご室2aの内部に荷重が有する荷重有状態を検出する荷重検出部16と、前記かご室2aの内部に配置され、前記かご2の行先の指示情報が入力される行先入力部10cと、乗場X3に配置され、前記かご2を前記乗場X3に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部12a,12bと、前記行先入力部10c及び前記呼び入力部12a,12bからの指示情報を取得し、取得した指示情報に基づいて、前記かご2の上下方向への走行を制御する制御装置5と、を備え、前記制御装置5は、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出したときに前記荷重検出部16が荷重有状態を検出する第1要件(荷重有要件)を満たし、且つ、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご2の走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、前記制御装置5は、前記第1要件を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご2の走行方向の保持を解除する、という構成が好ましい。
【0075】
斯かる構成によれば、第1要件が、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出したときに荷重検出部16が荷重有状態を検出することであるため、かご戸2bが閉位置に位置したときに、かご室2aの内部に荷重が存在することになる。そして、第1要件が満たされ、且つ、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご2の走行方向を保持する走行方向保持制御が実行される。
【0076】
一方で、第1要件を満たさず、且つ、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご2の走行方向の保持が解除される。これにより、かご2の走行方向の保持を適正に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態のように、エレベータ1は、前記かご室2aの内部に配置されて前記かご戸2bを閉める指示情報が入力される戸閉入力部10bをさらに備え、前記制御装置5は、前記第1要件だけでなく、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出するまでに前記戸閉入力部10bからの指示情報を取得している第2要件(戸閉入力要件)をさらに満たし、且つ、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記走行方向保持制御を実行し、前記制御装置5は、前記第1要件及び前記第2要件の少なくとも一方を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご2の走行方向の保持を解除する、という構成でもよい。
【0078】
斯かる構成によれば、第2要件が、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに制御装置5が戸閉入力部10bからの指示情報を取得することであるため、戸閉入力部10bに指示情報を入力した乗客が存在することになる。そして、第1要件及び第2要件が満たされ、且つ、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご2の走行方向を保持する走行方向保持制御が実行される。
【0079】
一方で、第1要件及び第2要件の少なくとも一方が満たされず、且つ、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご2の走行方向の保持が解除される。これにより、かご2の走行方向の保持をさらに適正に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記制御装置5は、前記走行方向保持制御において、前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第1の閉位置状態)を検出してから第1設定時間が経過するまでに、前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸2bを前記開位置へ移動する戸開動作を実行し、前記行先入力部10cからの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開動作の後に第2設定時間が経過した場合に、前記かご戸2bを前記閉位置へ移動する戸閉動作を実行し、前記制御装置5は、前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第2の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得している場合に、前記かご2の走行方向を保持し、前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部14が前記閉位置状態(第2の閉位置状態)を検出するまでに前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご2の走行方向の保持を解除する、という構成が好ましい。
【0081】
斯かる構成によれば、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過するまでに、制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご戸2bが開位置へ移動する。これにより、かご室2aの内部の乗客に、行先入力部10cへの指示情報の入力を促すことができる。
【0082】
そして、制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得した場合、又は、戸開動作の後に第2設定時間が経過した場合に、かご戸2bが閉位置へ移動する。これにより、適正な時間で、かご戸2bを閉位置へ移動させることができる。
【0083】
また、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに、制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得している場合に、かご2の走行方向が保持される。一方で、戸閉位置検出部14が閉位置状態を検出するまでに、制御装置5が行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご2の走行方向の保持が解除される。
【0084】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記制御装置5は、前記戸開動作の後に前記第2設定時間が経過するまでに、前記呼び入力部12a,12b及び前記行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸2bを前記開位置で保持する戸開保持動作を実行し、前記呼び入力部12a,12b及び前記行先入力部10cの少なくとも一方からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開保持動作の実行後に第3設定時間が経過した場合に、前記戸閉動作を実行する、という構成が好ましい。
【0085】
斯かる構成によれば、戸開動作の後に第2設定時間が経過するまでに、制御装置5が呼び入力部12a,12b及び行先入力部10cからの指示情報を取得していない場合に、かご戸2bは、開位置で保持される。これにより、乗場X3からかご室2aの内部を視認可能な状態を、保持することができる。
【0086】
そして、制御装置5が呼び入力部12a,12b及び行先入力部10cの少なくとも一方からの指示情報を取得した場合、又は、戸開保持動作の実行後に第3設定時間が経過した場合に、かご戸2bが閉位置へ移動する。これにより、適正な時間で、かご戸2bを閉位置へ移動させることができる。
【0087】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記第3設定時間は、前記第2設定時間よりも、長い、という構成が好ましい。
【0088】
斯かる構成によれば、第3設定時間が、第2設定時間よりも長いため、制御装置5が、呼び入力部12a,12b及び行先入力部10cからの指示情報を取得しない場合に、かご戸2bは、十分な時間だけ、開位置で保持される。これにより、乗場X3からかご室2aの内部を視認可能な状態を、十分な時間だけ保持することができる。
【0089】
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0090】
(1)上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1要件(荷重有要件)が満たされただけでなく、第2要件(戸閉入力要件)も満たされた場合に、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出するまでに行先入力部10cからの指示情報が未取得であることによって、走行方向保持制御が実行される、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0091】
例えば、第1要件(荷重有要件)のみが満たされた場合に、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出するまでに行先入力部10cからの指示情報が未取得であることによって、走行方向保持制御が実行される、という構成でもよい。即ち、第2要件(戸閉入力要件)を満たしか否かが判定されることなく、走行方向保持制御が実行される、という構成でもよい。
【0092】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、走行方向保持制御において、戸閉位置検出部14が第1の閉位置を検出してから第1設定時間が経過する(図5のS22の「Y」)までに、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合に(図5のS23の「N」)、かご戸2bを開位置へ移動する戸開動作が実行される(図5のS25)、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0093】
例えば、走行方向保持制御において、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過するまでに、行先入力部10cからの指示情報が未取得である場合に、戸開動作(図5のS25)を実行することなく、かご2の走行方向の保持が解除された上で(図5のS34)、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(図5のS35)、という構成でもよい。
【0094】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、走行方向保持制御の戸開動作(図5のS25)の後に第2設定時間が経過する(図5のS26の「Y」)までに、呼び入力部12a,12b及び行先入力部10cからの指示情報が取得されていない場合に(図5のS27の「N」、S30の「N」)、かご戸2bを開位置で保持する戸開保持動作が実行される(図5及び図6のS36)、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0095】
例えば、走行方向保持制御の戸開動作の後に第2設定時間が経過するまでに、呼び入力部12a,12b及び行先入力部10cからの指示情報が取得されていない場合に、戸開保持動作(図5及び図6のS36)が実行されることなく、かご戸2bを閉位置へ移動する戸閉動作が実行され(図5のS31)、走行方向保持制御が終了し、通常走行制御が実行される(図5のS32~S35)、という構成でもよい。
【0096】
(4)また、例えば、制御装置5は、現在の時刻に基づいて、走行方向保持制御の内容を決定(演算)する、という構成でもよい。これにより、走行方向保持制御を、現在の時刻に応じた制御に変更することができる。したがって、例えば、エレベータ1の利用頻度の多い時間帯と少ない時間帯とで、走行方向保持制御の内容が変更されることによって、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0097】
例えば、制御装置5は、現在の時刻に基づいて、走行方向保持制御の実行の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の時刻に基づいて、戸開動作の実行(図5のS25)の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の時刻に基づいて、戸開保持動作の実行(図5及び図6のS36)の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の時刻に基づいて、第1~第3設定時間の少なくとも一つを決定してもよい。
【0098】
(5)また、例えば、制御装置5は、現在の利用頻度に基づいて、走行方向保持制御の内容を決定(演算)する、という構成でもよい。これにより、走行方向保持制御を、現在の利用頻度に応じた制御に変更することができる。したがって、例えば、エレベータ1の利用頻度の多いときと少ないときとで、走行方向保持制御の内容が変更されることによって、エレベータ1の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0099】
例えば、制御装置5は、現在の利用頻度に基づいて、走行方向保持制御の実行の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の利用頻度に基づいて、戸開動作の実行(図5のS25)の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の利用頻度に基づいて、戸開保持動作の実行(図5及び図6のS36)の是非を判定してもよい。また、例えば、制御装置5は、現在の利用頻度に基づいて、第1~第3設定時間の少なくとも一つを決定してもよい。
【0100】
なお、制御装置5は、例えば、直近の所定期間(例えば、10分~1時間)におけるかご2の発停回数に基づき、現在の利用頻度を判定してもよい。また、制御装置5は、例えば、直近の所定期間におけるかご2の走行累計時間に基づき、現在の利用頻度を判定してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…エレベータ、2…かご、2a…かご室、2b…かご戸、2c…戸駆動部、3…かご駆動部(巻上装置)、3a…綱車、3b…駆動源、4…かごレール、5…制御装置、6…かごロープ、7…釣合錘、8…錘レール、9…乗場戸、10…かご入力部、10a…戸開入力部、10b…戸閉入力部、10c…行先入力部、11…かご出力部、12…乗場入力部、12a…上呼び入力部、12b…下呼び入力部、13…乗場出力部、14…戸閉位置検出部、15…戸開位置検出部、16…荷重検出部、17…取得部、18…記憶部、19…演算部、19a…戸閉判定部、19b…戸位置判定部、19c…荷重判定部、19d…かご走行演算部、20…制御部、X1…昇降路、X2…機械室、X3…乗場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご室と、前記かご室の出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸と、を有するかごと、
前記かご戸が前記閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部と、
前記かご室の内部に荷重が有する荷重有状態を検出する荷重検出部と、
前記かご室の内部に配置され、前記かごの行先の指示情報が入力される行先入力部と、
前記かご室の内部に配置され、前記かご戸を閉める指示情報が入力される戸閉入力部と、
乗場に配置され、前記かごを前記乗場に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部と、
前記行先入力部及び前記呼び入力部からの指示情報を取得し、取得した指示情報に基づいて、前記かごの上下方向への走行を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出したときに前記荷重検出部が荷重有状態を検出している第1要件だけでなく、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記戸閉入力部からの指示情報を取得している第2要件をさらに満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1要件及び前記第2要件の少なくとも一方を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、エレベータ。
【請求項2】
かご室と、前記かご室の出入口を開く開位置と閉じる閉位置との間を移動するかご戸と、を有するかごと、
前記かご戸が前記閉位置に位置する閉位置状態を検出する戸閉位置検出部と、
前記かご室の内部に荷重が有する荷重有状態を検出する荷重検出部と、
前記かご室の内部に配置され、前記かごの行先の指示情報が入力される行先入力部と、
乗場に配置され、前記かごを前記乗場に呼ぶ指示情報が入力される呼び入力部と、
前記行先入力部及び前記呼び入力部からの指示情報を取得し、取得した指示情報に基づいて、前記かごの上下方向への走行を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出したときに前記荷重検出部が荷重有状態を検出している第1要件を満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向を保持する走行方向保持制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1要件を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、エレベータであって、
前記制御装置は、前記走行方向保持制御において、
前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出してから第1設定時間が経過するまでに、前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置へ移動する戸開動作を実行し、
前記行先入力部からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開動作の後に第2設定時間が経過した場合に、前記かご戸を前記閉位置へ移動する戸閉動作を実行し、
前記制御装置は、
前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得している場合に、前記かごの走行方向を保持し、
前記戸閉動作によって前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、エレベータ。
【請求項3】
前記かご室の内部に配置され、前記かご戸を閉める指示情報が入力される戸閉入力部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1要件だけでなく、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記戸閉入力部からの指示情報を取得している第2要件をさらに満たし、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記走行方向保持制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1要件及び前記第2要件の少なくとも一方を満たさず、且つ、前記戸閉位置検出部が前記閉位置状態を検出するまでに前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かごの走行方向の保持を解除する、請求項に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記戸開動作の後に前記第2設定時間が経過するまでに、前記呼び入力部及び前記行先入力部からの指示情報を取得していない場合に、前記かご戸を前記開位置で保持する戸開保持動作を実行し、
前記呼び入力部及び前記行先入力部の少なくとも一方からの指示情報を取得した場合、又は、前記戸開保持動作の実行後に第3設定時間が経過した場合に、前記戸閉動作を実行する、請求項2又は3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記第3設定時間は、前記第2設定時間よりも、長い、請求項4に記載のエレベータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図4に示すように、かご2が特定の乗場X3に到着した場合に(S1)、かご戸2bが開位置へ移動され(S2)、乗客が乗り降りした後に、かご戸2bが閉位置へ移動される(S3)。そして、戸閉位置検出部14が第1の閉位置状態を検出する(S5の「Y」)までに、戸閉入力部10bからの指示情報が取得された場合には(S4の「Y」)、戸入力要件(第2要件)が成立する(S6)。これにより、戸入力要件(第2要件)が成立した場合には、戸閉入力部10bに指示情報を入力した乗客が存在することになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4