(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087751
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】発泡樹脂断熱材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/232 20060101AFI20230619BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20230619BHJP
B29C 44/44 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
C08J9/232 CET
B29C44/00 G
B29C44/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202211
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000221982
【氏名又は名称】東北資材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 則夫
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA09A
4F074AA09B
4F074AA09D
4F074AA32
4F074AA32A
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4F214AA13
4F214AB02
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4F214AE02
4F214AR15
4F214UA21
4F214UB01
4F214UF01
(57)【要約】
【課題】 強度を高く維持しつつ、優れた難燃性と低い熱伝導率を有するとともに、製品のコストを低く抑えることができ、環境負荷が低減された発泡樹脂断熱材の製造方法を提供すること。
【解決手段】 黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と、白色再生ポリスチレン樹脂原料を用いた発泡樹脂断熱材の製造方法であって、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料が、黒鉛を配合した一次発泡ポリスチレンビーズであり、白色再生ポリスチレン樹脂原料が、黒鉛が配合されていないポリスチレン樹脂発泡体を粉砕して得られる白色発泡樹脂原料であり、発泡樹脂原料の合計100質量部に対して、白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合が1~99質量部の範囲内で攪拌混合する混合工程と、発泡ポリスチレン成形体を成型し、該発泡ポリスチレン成形体を冷却して固化させる成型工程を有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と、白色再生ポリスチレン樹脂原料を用いた発泡樹脂断熱材の製造方法であって、
前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料が、黒鉛を配合した一次発泡ポリスチレンビーズであり、
前記白色再生ポリスチレン樹脂原料が、黒鉛が配合されていないポリスチレン樹脂発泡体を粉砕して得られる白色発泡樹脂原料であり、
前記発泡樹脂原料の合計100質量部に対して、前記白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合が1~99質量部の範囲内で攪拌混合する混合工程と、
混合した前記発泡樹脂原料を金型内に導入し、加熱して前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料を二次発泡させるとともに、前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料及び白色再生ポリスチレン樹脂原料の表面を融着させて発泡ポリスチレン成形体を成型し、該発泡ポリスチレン成形体を冷却して固化させる成型工程を有することを特徴とするポリスチレン発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記混合工程において、前記白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合が、前記発泡樹脂原料の合計100質量部に対して10~25質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記黒色バージンポリスチレン発泡樹脂原料及び/又は前記白色再生ポリスチレン樹脂原料に、難燃剤が含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記難燃剤が臭素系難燃剤であることを特徴とする請求項3に記載のポリスチレン発泡体の製造方法。
【請求項5】
前記黒色バージンポリスチレン発泡樹脂原料の黒色原料が黒鉛であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のポリスチレン発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡樹脂断熱材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚箱、野菜輸送箱、家電製品や精密機器の梱包材、住宅建材用の断熱材、食品用のトレー等としてポリスチレン系樹脂製の発泡樹脂断熱材が用いられている。このポリスチレン系樹脂製の発泡樹脂断熱材は、軽量でありながら緩衝性、断熱性、適度な剛性等の様々な優れた機能性を有している。
【0003】
これらの中でも、住宅建材用の発泡樹脂断熱材は、国が2014年に策定したエネルギー基本計画において、建築物について2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す等としていることから、その高い断熱性能が着目され広く使用されている。
【0004】
このような建築物に用いられる発泡樹脂断熱材においては、近年、その使用量が増加するとともに、低コストで製造されるものが要求されてきており、このような要求に対応するために種々の提案がなされており、例えば、リサイクル材料を用いたものがある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、上記提案では、リサイクル材料を用いることにより低コストで発泡樹脂断熱材を提供することは可能とはなるが、本来の優れた強度や断熱性を維持しつつ低コストで提供するには至っていなかった。
【0007】
本発明は、上述の従来の状況に鑑みてなされたものであり、強度を高く維持しつつ、優れた難燃性と低い熱伝導率を有するとともに、製品のコストを低く抑えることができ、環境負荷が低減された発泡樹脂断熱材の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の発泡樹脂断熱材の製造方法は、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の発泡樹脂断熱材の製造方法は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と、白色再生ポリスチレン樹脂原料を用いた発泡樹脂断熱材の製造方法であって、
前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料が、黒鉛を配合した一次発泡ポリスチレンビーズであり、
前記白色再生ポリスチレン樹脂原料が、黒鉛が配合されていないポリスチレン樹脂発泡体を粉砕して得られる白色発泡樹脂原料であり、
前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料の合計100質量部に対して、前記白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合が1~99質量部の範囲内で攪拌混合する混合工程と、
混合した前記発泡樹脂原料を金型内に導入し、加熱して前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料を二次発泡させるとともに、前記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料及び白色再生ポリスチレン樹脂原料の表面を融着させて発泡ポリスチレン成形体を成型し、該発泡ポリスチレン成形体を冷却して固化させる成型工程を有することを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の発泡樹脂断熱材の製造方法において、前記混合工程において、前記白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合が、前記発泡樹脂原料の合計100質量部に対して10~25質量部の範囲内であることが好ましい。
第3に、上記第1又は第2の発明の発泡樹脂断熱材の製造方法において、前記黒色バージンポリスチレン発泡樹脂原料及び/又は前記白色再生ポリスチレン樹脂原料に、難燃剤が含まれていることが好ましい。
第4に、上記第3の発明の発泡樹脂断熱材の製造方法において、前記難燃剤が臭素系難燃剤であることが好ましい。
第5に、上記第1から第4の発明の発泡樹脂断熱材の製造方法において、前記黒色バージンポリスチレン発泡樹脂原料の黒色原料が黒鉛であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発泡樹脂断熱材の製造方法は、特定の再生原料を特定の条件で用いることにより、強度を高く維持しつつ、優れた難燃性と低い熱伝導率を有するとともに、製品のコストを低く抑えることができ、環境負荷を低減することが可能な発泡樹脂断熱材の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の発泡樹脂断熱材の製造方法は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と、白色再生ポリスチレン樹脂原料を用いた発泡樹脂断熱材の製造方法である。
【0011】
(黒色ポリスチレン発泡樹脂原料)
本発明で用いる黒色ポリスチレン発泡樹脂原料は、黒鉛を配合した一次発泡ポリスチレンビーズであり、具体的には、ポリスチレン樹脂と黒鉛及び他の成分を含む原材料を溶融混錬するともに、発泡剤を導入して一次発泡させてペレット状にした再生原料ではない発泡性ポリスチレンビーズである。
【0012】
黒色ポリスチレン発泡樹脂原料に配合されている黒鉛は、発泡樹脂断熱材の熱伝導率を低下させ、優れた断熱性を得るために添加されているものであり、板状、鱗片状、薄片状、球状、粒状、不定形状、針状等の各種形状の粉末が配合された発泡樹脂原料を用いることができ、特に球状、鱗片状の黒鉛が配合されているものを好適に用いることができる。また、黒鉛の平均粒径は、より高い断熱性向上効果を得るという観点から、0.1~100μmが好ましく、1~20μmのものがより好ましい。なお、黒鉛の平均粒子径は、黒鉛の粉末を水中に分散させ、レーザー回折散乱法等により測定することができる。
【0013】
黒鉛の含有量は、基材樹脂100質量部に対して、1~10質量部含有することが好ましく、3~7質量部含有することがより好ましい。黒鉛の含有量が上記範囲であれば、発泡樹脂断熱材の熱伝導率を低下させ、優れた断熱性を得ることができる。
【0014】
なお、本発明においては黒色ポリスチレン発泡樹脂原料を用いるが、この場合の黒色とは、黒鉛が配合されていることにより黒色系の着色がなされたものであれば、濃い灰色系の黒色を含み、完全な黒色のみを意味するものではない。
【0015】
また、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料の製造に用いられる発泡剤としては、公知の物理発泡剤を用いることができ、例えば、炭素数3~5の脂肪族炭化水素、具体的には、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタンや、炭素数3~6の脂環式炭化水素、具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等を挙げることができる。これらの中でも、ガス透過性が遅く発泡性に優れるノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンを使用したものがより好ましく、さらに取り扱い性に優れるノルペンタン、イソペンタンを使用したものがより好ましい。
【0016】
また、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料としては、必要に応じて他の添加剤を配合したものを用いることが好ましい。これらの他の添加剤としては、例えば、難燃剤、難燃助剤、気泡調整剤、熱安定剤、充填剤等の各種の添加剤を挙げることができる。
【0017】
本発明の黒色ポリスチレン発泡樹脂原料に配合可能な難燃剤としては、通常公知の難燃剤であれば限定されないが、特に臭素系難燃剤を好適に用いることができる。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤又は臭素化されたブタジエン-スチレン共重合体系難燃剤等を挙げることができる。
【0018】
臭素化ビスフェノール系難燃剤は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、又はこれらの誘導体の臭素化物であり、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
【0019】
臭素化イソシアヌレート系難燃剤は、イソシアヌル酸又はイソシアヌル酸誘導体の臭素化物であり、モノ(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0020】
臭素化ブタジエン-スチレン共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体等、従来公知のものがそのまま使用でき、ポリスチレン-臭素化ポリブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0021】
臭素系難燃剤の総配合量は、所望の難燃性に応じて適宜決定されるものであるが、JIS A9521:2017の附属書Cの試験方法Aの燃焼性規格を満足する発泡樹脂断熱材を得るためには、ポリスチレン樹脂100質量部に対して1~10質量部配合されたものであることが好ましく、2~8質量部がより好ましい。
【0022】
また、難燃助剤としては、例えば2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化芳香族化合物、トリフェニルホスフェート、クレジルジ-2,6-キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛等の無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0023】
上記難燃助剤の配合量は基材樹脂100質量部に対し、0.1~5質量部、好ましくは0.5~3質量部の範囲で使用することができる。
【0024】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末、アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤等を挙げることができる。これらの中でも非晶質シリカが好ましい。
【0025】
なお、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料の密度及び平均粒径は、製造する発泡樹脂断熱材の使用に応じて適宜決定することができるが、通常、密度は12~30Kg/m3、好ましくは15~30Kg/m3程度、平均粒径は3~8mm、好ましくは4~6mm程度が考慮される。
【0026】
(白色再生ポリスチレン樹脂原料)
本発明で用いられる白色再生ポリスチレン樹脂原料は、白色系のポリスチレン樹脂発泡体を粉砕して得られる発泡樹脂原料である。なお、本発明における白色再生ポリスチレン樹脂原料とは、黒鉛が配合されていないものであり、他の配合成分により多少の着色がなされているものは、本発明の白色再生ポリスチレン樹脂原料として用いることができる。
【0027】
黒鉛が配合されていない再生原料を用いる理由としては、主に、現在白色系のポリスチレン樹脂発泡体の廃棄物が多く排出されており、材料単価が安いため製品コストを低く抑えることができること、また、白色再生ポリスチレン樹脂原料は、黒鉛が配合されているバージンのポリスチレン樹脂原料や黒色再生ポリスチレン樹脂原料に比べて発泡倍率が小さいこと等が挙げられる。
【0028】
これらの白色再生ポリスチレン樹脂原料は、通常、一般に廃材として廃棄される白色系の発泡ポリスチレン発泡断熱材を粉砕したものを用いることができる。ここで、廃棄される白色系の発泡ポリスチレン発泡断熱材は、上記黒色ポリスチレン発泡樹脂原料における黒鉛を用いていない配合成分のポリスチレン発泡樹脂原料により製造された白色系の発泡ポリスチレン発泡断熱材であることが好ましい。
【0029】
即ち、白色再生ポリスチレン発泡樹脂原料に用いられている発泡剤としては、例えば、炭素数3~5の脂肪族炭化水素、具体的には、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタンや、炭素数3~6の脂環式炭化水素、具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等を挙げることができる。これらの中でも、ガス透過性が遅く発泡性に優れるノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンを使用したものがより好ましく、さらに取り扱い性に優れるノルマルブタン、ノルマルペンタンを使用したものがより好ましい。
【0030】
また、白色再生ポリスチレン発泡樹脂原料には、必要に応じて他の添加剤を配合されているものを用いることが好ましい。これらの他の添加剤としては、例えば、難燃剤、難燃助剤、気泡調整剤、熱安定剤、充填剤等の各種の添加剤を挙げることができる。
本発明の白色再生ポリスチレン発泡樹脂原料に配合可能な難燃剤としては、通常公知の難燃剤であれば限定されないが、特に臭素系難燃剤が用いられていることが好ましい。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤又は臭素化されたブタジエン-スチレン共重合体系難燃剤等を挙げることができる。
【0031】
臭素化ビスフェノール系難燃剤は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、又はこれらの誘導体の臭素化物であり、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
【0032】
臭素化イソシアヌレート系難燃剤は、イソシアヌル酸又はイソシアヌル酸誘導体の臭素化物であり、モノ(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0033】
臭素化ブタジエン-スチレン共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体等、従来公知のものがそのまま使用でき、ポリスチレン-臭素化ポリブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0034】
臭素系難燃剤の総配合量は、所望の難燃性に応じて適宜決定されるものであるが、JIS A9521:2017の附属書Cの試験方法Aの燃焼性規格を満足する発泡樹脂断熱材を得るためには、ポリスチレン樹脂100質量部に対して1~10質量部配合されたものであることが好ましく、2~8質量部であることがより好ましい。
【0035】
難燃助剤としては、例えばジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クミルヒドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化芳香族化合物、トリフェニルホスフェート、クレジルジ-2,6-キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛等の無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。また、これらの化合物を単独又は2種以上混合したものを用いることができる。これらの中でもジクミルパーオキサイドを用いたものが好ましい。
【0036】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末、アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤等を挙げることができる。
【0037】
白色再生ポリスチレン発泡樹脂原料は、上記成分が配合されたリサイクル可能な発泡ポリスチレン発泡断熱材を粉砕することにより得ることができる。粉砕の方法は特に限定されるものではないが、例えばグラニュレーターなどにより粉砕することができる。また、白色再生ポリスチレン発泡樹脂原料の密度及び平均粒径は、製造する発泡樹脂断熱材の使用に応じて適宜決定することができるが、通常、密度は12~30Kg/m3、好ましくは15~30Kg/m3程度、平均粒径は3~8mm、好ましくは4~6mm程度が考慮される。
【0038】
(発泡樹脂断熱材の製造方法)
本実施形態の発泡樹脂断熱材の製造方法は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料を所定の割合で攪拌混合する混合工程と、混合した発泡樹脂原料を金型内に導入し、加熱して黒色ポリスチレン発泡樹脂原料を二次発泡させるとともに、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料及び白色再生ポリスチレン樹脂原料の表面を融着させて発泡ポリスチレン成形体を成型し、該発泡ポリスチレン成形体を冷却して固化させる成型工程を含む。
【0039】
(混合工程)
黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料の合計100質量部に対して、白色再生ポリスチレン樹脂原料を1~99質量部、好ましくは10~25質量部、より好ましくは25質量部の範囲内で配合して攪拌混合する。撹拌混合の方法は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料が均一に混合されれば特に限定されないが、通常、比率混合機を用いることにより均一に混合することができる。
【0040】
(成型工程)
成形工程では、まず、混合した前記発泡樹脂原料を金型内に導入し、加熱して前記発泡樹脂原料を二次発泡させる。具体的には、金型のキャビティ内に、均一に攪拌混合した黒色ポリスチレン発泡樹脂原料及び白色再生ポリスチレン樹脂原料の混合材料を、フィーダーを通してキャビティ内に供給して加熱し、二次発泡させて黒色ポリスチレン発泡樹脂原料及び白色再生ポリスチレン樹脂原料の表面を融着させて発泡ポリスチレン成形体を成型する。
【0041】
次に、キャビティ内に発泡ポリスチレン成形体を成形した状態で、所定の時間冷却し、金型を開けて発泡樹脂断熱材を取り出す。このようにして製造した発泡樹脂断熱材は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と白色再生ポリスチレン樹脂原料の配合割合を所定の範囲内とすることにより、強度を高く維持しつつ、優れた難燃性と低い熱伝導率を有するとともに、製品のコストを低く抑えることができ、環境負荷を低減することが可能な発泡樹脂断熱材とすることができる。
【実施例0042】
以下、本発明の発泡樹脂断熱材の製造方法について実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
まず、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料として下記表1の(株)JSP製 スチロダイアKF2300(黒バージン)を準備した。
【0044】
【0045】
次に、黒色再生ポリスチレン発泡樹脂原料として下記表2に示す黒再生1、黒再生2((株)JSP製 スチロダイアKF2300)を準備した。
【0046】
【0047】
また、白色再生ポリスチレン樹脂原料として下記表3の(株)JSP製 スチロダイアFA200(白色再生)を準備した。
【0048】
【0049】
次に、上記黒バージン、黒再生及び白色再生の各材料を表4に示す配合割合で混合攪拌したものを金型のキャビティ内に導入して、115℃、30秒の条件で加熱し、発泡ポリスチレン成形体を成形した。そして、冷却した後金型を開けて、厚さ90~105mm、幅800~920mm、長さ800~920mmの実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材を得た。
【0050】
上記の方法で製造した各発泡樹脂断熱材について、密度、圧縮強さ、曲げ強さ、熱伝導率、吸水量、透湿係数、燃焼性について、以下の方法で測定した。
【0051】
(密度)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅200mm、長さ200mmの試験片を3個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して密度を測定し、その平均を求めた。その結果を表4に示す。
【0052】
(圧縮強さ)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅100mm、長さ100mmの試験片を3個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して圧縮強さを測定し、その平均を求めた。その結果を表4に示す。
【0053】
(曲げ強さ)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅100mm、長さ350mmの試験片を3個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して曲げ強さを測定し、その平均を求めた。その結果を表4に示す。
【0054】
(熱伝導率)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅200mm、長さ200mmの試験片を1個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して熱伝導率を測定した。その結果を表4に示す。
【0055】
(吸水量)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅100mm、長さ100mmの試験片を3個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して吸水量を測定し、その平均を求めた。その結果を表4に示す。
【0056】
(透湿係数)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ25mm、幅300mm、長さ300mmの試験片を3個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)に準拠して透湿係数を測定し、その平均を求めた。その結果を表4に示す。
【0057】
(燃焼性)
実施例及び比較例1~3の各発泡樹脂断熱材について、厚さ10mm、幅25mm、長さ200mmの試験片を5個切り出し、JIS A 9521:2017(建築用断熱材)、試験方法Aに準拠して消炎時間を測定し、その平均を求めて燃焼性とした。その結果を表4に示す。
【0058】
【0059】
上記結果から、本発明の条件で製造された実施例の発泡樹脂断熱材は、黒色ポリスチレン発泡樹脂原料を用いた比較例1及び黒色ポリスチレン発泡樹脂原料と黒色再生ポリスチレン発泡樹脂原料を用いた比較例2、3に比べて、圧縮強さ及び曲げ強さを高く維持しつつ、優れた難燃性と低い熱伝導率を有する、環境負荷を低減することが可能な発泡樹脂断熱材であることが確認された。