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特開2023-87758構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087758
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B61L25/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202226
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】槇 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB13
5H161DD20
5H161GG02
5H161GG14
5H161GG23
(57)【要約】
【課題】既存の構内設備に対して簡易に設けることができ、車両基地構内の列車の編成番号を迅速に確認することが可能な構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法を提供する。
【解決手段】構内用編成番号表示システム1は、車両番号又は編成番号を撮像して番号画像11を取得する番号撮像装置(カメラ3)と、構内画像12を取得する構内画像取得装置と、カメラ3から受信した番号画像11に写る文字を識別するOCR装置と、編成番号と車両番号とを紐付ける紐付けデータ13が格納されたデータベース17に接続された画像処理装置と、画像を表示出力する表示装置(表示部31)と、を備える。OCR装置は、識別された文字に係る番号情報14を画像処理部に送信する。画像処理部は、紐付けデータ13から編成番号を特定し、構内画像12に編成番号21を組み込んだ編成番号付き画像15を表示部31に表示出力させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像装置と、
車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得装置と、
前記番号撮像装置から受信した前記番号画像に写る文字を識別するOCR装置と、
前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータが格納されたデータベースに接続された画像処理装置と、
画像を表示出力する表示装置と、を備え、
前記OCR装置は、識別された前記文字に係る番号情報を前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得装置から受信した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させ、
または、前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記データベースを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、ことを特徴とする構内用編成番号表示システム。
【請求項2】
前記番号撮像装置は、複数の前記車両から前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記データベースを参照して、前記OCR装置から受信した前記番号情報に係る複数の前記車両番号から複数の互いに異なる編成番号が特定されたときは、複数の前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、請求項1に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項3】
前記番号撮像装置は、複数の前記車両の前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記OCR装置から受信した前記番号情報が複数の前記車両番号を示すものであり、前記紐付けデータから前記車両番号に対応する複数の前記編成番号が特定される場合に、特定された複数の前記編成番号のうち、最も多い前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、請求項1又は2に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項4】
前記番号撮像装置は、複数の前記車両の前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記OCR装置から受信した前記番号情報が複数の前記車両番号を示すものであり、前記紐付けデータから前記車両番号に対応する複数の前記編成番号を特定される場合に、前記OCR装置で識別された前記車両番号のうち識別信頼度の高いものに基づく前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記列車が所定時間以上停止しているときに、その旨を前記表示装置に表示出力させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項6】
前記画像処理装置は、入区又は出区するものとして計画された前記列車の前記編成番号と、前記OCR装置から受信した前記番号情報から検出又は特定された前記編成番号と、が異なるときに、その旨を前記表示装置に表示出力させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項7】
前記構内画像取得装置と前記番号撮像装置とに接続された制御装置を更に備え、
該制御装置は、前記構内画像取得装置が取得した構内画像に、前記列車の移動を示す表示が含まれていたときに、前記番号撮像装置に前記番号画像を撮像させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項8】
記憶部を更に備え、
前記画像処理装置は、前記編成番号付き画像のうち、前記列車の前記車両基地構内に対する入区時、出区時、及び転線時の画像を前記記憶部に保存する請求項1から7のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項9】
前記画像処理装置は、前記編成番号付き画像を他の端末に送信可能に構成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
【請求項10】
車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像工程と、
車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得工程と、
前記番号撮像工程で取得した前記番号画像に写る文字を識別する識別工程と、
表示出力工程と、を含み、
前記表示出力工程では、
前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得工程で取得した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、
または、前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、
生成された前記編成番号付き画像を表示出力する、ことを特徴とする構内用編成番号表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両基地構内の構内画像に編成番号を付して表示する構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両基地構内では、紙面に示された計画表で編成された列車の入換等(整備・清掃・組成)が管理されていた。
そして、車両基地の構内における列車(編成)の在線位置については、車両基地事務所のホワイトボードに記載された車両基地の構内を模した図上で、作業者が計画表を参照して列車を示すマグネットに編成番号を記載し、このマグネットの位置を変えて、清掃員、検査員等の各作業員に情報共有がされていた。
【0003】
このように、計画表を参照しなければ、車両基地の構内において、どの編成(列車)がどこにいるのか理解できず、また、マグネットの位置を変える作業を頻繁に行うことは難しく、車両基地構内の状況の表示をリアルタイムに更新できていなかった。
【0004】
特に、ダイヤが乱れたときに計画表に記載のものと異なる編成の列車が車両基地に入区することがあり、ホワイトボード上において編成番号の修正をする余裕がなく、各作業員への情報の共有に手間がかかることがあった。例えば、計画表の作成者に確認したり、作業員が目視で列車の編成番号を確認したりすることがあった。
【0005】
一方、特許文献1には、車両基地において、連動条件に基づいて車両基地内を移動している列車の編成番号(同文献では、編成番号を含む管理番号と記載。)を識別し、車両基地内の各軌道回路からの列車検知信号によって列車の位置を検知し、列車の位置に識別した列車の編成番号を追従させて表示して列車の運行を管理する列車運行管理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-289619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の列車運行管理方法では、既存の構内設備において用いられている車両基地の構内画像を利用しないために、編成番号を列車に追従させて表示させるベースとなる構内画像から作成しなくてはならなかった。このため、システム構築に多大な手間とコストがかかってしまい、同文献記載の列車運行管理方法の導入は困難であり、改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、既存の構内設備に対して簡易に(運行システムの改修をせずに)設けることができ、車両基地構内の列車の編成番号を迅速に確認することが可能な構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る構内用編成番号表示システムは、車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像装置と、車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得装置と、前記番号撮像装置から受信した前記番号画像に写る文字を識別するOCR装置と、前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータが格納されたデータベースに接続された画像処理装置と、画像を表示出力する表示装置と、を備え、前記OCR装置は、識別された前記文字に係る番号情報を前記画像処理装置に送信し、前記画像処理装置は、前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得装置から受信した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させ、または、前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記データベースを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る構内用編成番号表示方法は、車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像工程と、車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得工程と、前記番号撮像工程で取得した前記番号画像に写る文字を識別する識別工程と、表示出力工程と、を含み、前記表示出力工程では、前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得工程で取得した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、または、前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、生成された前記編成番号付き画像を表示出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既存の構内設備に対して簡易に設けることができ、車両基地構内の列車の編成番号を迅速に確認することが可能な構内用編成番号表示システム及び構内用編成番号表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る構内用編成番号表示システムの画像、データ及び情報の流れを示す概念図である。
図2】本実施形態に係る構内用編成番号表示方法を示すフロー図である。
図3】(a)は、構内画像において1番線と入出区場所とを結ぶ進行線が示された状態の図である。(b)は、入出区場所に列車の存在を示す線が示されたときに、当該線の近傍に編成番号を示している状態における編成番号付き画像を示す図である。
図4】(a)は、列車の存在を示す線が転てつ機の位置まで延在したときに、当該線(列車)の先頭部分に編成番号を示している状態における編成番号付き画像を示す図である。(b)は、1番線に列車が入庫した状態における編成番号付き画像を示す図である。
図5】列車の編成番号及び車両番号の位置を示す図であり、車両番号を撮像しているカメラを模式的に示す図である。
図6】車両基地に設けられた端末の機能の一部を示す模式図である。
図7】車両基地事務所に設けられた端末の機能の一部を示す模式図である。
図8】信号所に設けられた端末の機能の一部を示す模式図である。
図9】車両基地に設けられた変形例に係る端末の機能の一部を示す模式図である。
図10】第1変形例に係るものであり、入出区場所に列車の存在を示す線が示され、1つの列車に編成番号が2つ識別されたときに、当該線の近傍に2つの編成番号を示している状態における編成番号付き画像を示す図である。
図11】第2変形例に係るものであり、編成番号処理方法を示すフロー図である。
図12】第3変形例に係るものであり、列車が停止中である旨の表示をした編成番号付き画像を示す図である。
図13】第4変形例に係るものであり、特定された編成番号が計画の編成番号と異なる旨の表示をした編成番号付き画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る構内用編成番号表示システム1について説明する。
なお、本実施形態で用いる図面は、本発明の構内用編成番号表示システム1の構成を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
例えば、各場所の端末を分けて、各端末に機能を分けているが、本発明はこのような構成に限定されず、各端末に他の端末の機能を備えさせるようにしてもよい。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
<概要>
まず、本実施形態に係る構内用編成番号表示システム1、構内用編成番号表示方法の概要について、図1から図9を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る構内用編成番号表示システム1の画像、データ及び情報の流れを示す概念図である。図2は、本実施形態に係る構内用編成番号表示方法を示すフロー図である。
図3(a)は、構内画像12において1番線と入出区場所とを結ぶ進行線が示された状態の図、図3(b)は、入出区場所に列車2の存在を示す線が示されたときに、当該線の近傍に編成番号21を示している状態における編成番号付き画像15を示す図である。
図4(a)は、列車2の存在を示す線が転てつ機の位置まで延在したときに、当該線(列車2)の先頭部分に編成番号21を示している状態における編成番号付き画像15を示す図、図4(b)は、1番線に列車2が入庫した状態における編成番号付き画像15を示す図である。
図5は、列車2の編成番号21及び車両番号22、23、24の位置を示す図であり、車両番号24を撮像しているカメラ3を模式的に示す図である。
図6は、車両基地7に設けられた端末4の機能の一部を示す模式図、図7は、車両基地事務所8に設けられた端末5の機能の一部を示す模式図、図8は、信号所9に設けられた端末6の機能の一部を示す模式図、図9は、車両基地7に設けられた変形例に係る端末4Xの機能の一部を示す模式図である。
なお、図3に示す構内画像12、図4等に示す編成番号付き画像15は、説明の便宜のために1番線から3番線のみを示すものであるが、さらに複数の番線があってもよいのは勿論である。
【0015】
図1に示す構内用編成番号表示システム1は、車両基地7に入区又は出区する列車2に付されている列車2を編成する車両20(図5参照)の車両番号22、23、24又は列車2の編成番号21を撮像して番号画像11(図1参照)を取得する番号撮像装置(カメラ3)と、車両基地7構内の列車2の位置を示す構内画像12を取得する構内画像取得装置(キャプチャ部60)と、カメラ3から受信した番号画像11に写る文字を識別するOCR装置(OCR部40、図6参照)と、編成番号21と車両番号22、23、24とを紐付ける紐付けデータ13(図1参照)が格納されたデータベース17に接続された画像処理装置(画像処理部52、図7参照)と、画像を表示出力する表示装置(図1の表示部31、図7の表示部53、図8の表示部63)と、を備える。
【0016】
OCR部40は、公知の光学的文字認識(Optical Character Recognition:OCR)技術を搭載した機能部であり、読み取られた図形を所定の判断ロジックにより文字認識するものでもよく、人工知能を用いて文字認識するAI-OCRでもよい。
OCR部40は、識別された文字に係る番号情報14(図1参照)を画像処理部52に送信する。
画像処理部52は、OCR部40から受信した番号情報14が編成番号21を示すものである場合には、キャプチャ部60から受信した構内画像12における列車2に対応する部位に番号情報14を組み込んだ編成番号付き画像15を表示部31、53、63に表示出力させる。
また、画像処理部52は、OCR部40から受信した番号情報14が車両番号22を示すものである場合には、データベース17を参照して紐付けデータ13から車両番号22に対応する編成番号21を特定し、構内画像12における列車2に対応する部位に編成番号21を組み込んだ編成番号付き画像15を表示部31、53、63に表示出力させる。
【0017】
「入区」とは、列車2が車両基地7に入ることをいい、「出区」とは、列車2が車両基地7から出ることをいう。両方を意味するものとして「入出区」ともいう。
構内画像取得装置(キャプチャ部60)によって構内画像12を取得する対象としては、信号所9にあるディスプレイに示された画面の他、不図示の進路制御盤の盤面であってもよい。構内画像12の取得方法としては、取得対象が進路制御盤である場合は、不図示のカメラによる撮像であるが、ディスプレイに示された画面である場合は、不図示のカメラによる撮像又はキャプチャ部60によるキャプチャがある。
【0018】
作業者は、車両基地7において、入出区場所に設けられたカメラ3で列車2が撮像されることで、撮像された列車2が車両基地7に入区及び出区すること、及び入区及び出区する列車2に示された車両番号22、23、24又は編成番号21がわかることになる。
また、作業者は、信号所9において、不図示の進路制御盤の盤面若しくは信号所9のディスプレイに示された構内画像12を不図示のカメラで撮像することにより、又は信号所9のディスプレイに示された構内画像12をキャプチャ部60によりキャプチャすることで、列車2の場所がわかることになる。
編成番号付き画像15は、画像処理部52により、車両基地7で得られた編成番号21を、信号所9で得られた構内画像12の列車2に対応する部位に組み込むことによって形成される。
【0019】
データベース17と画像処理装置(画像処理部52)との接続については、直接的に有線で接続されるものの他、電波により無線で接続されるものをも含む。本実施形態においては、データベース17と画像処理部52(端末5)とは電子通信回線であるインターネット10を介して接続されている。紐付けデータ13は、インターネット10を介して画像処理部52を有する端末5に予めダウンロードされていると好適である。
【0020】
また、上記における、列車2に対応する部位に番号情報14を組み込む、又は列車2に対応する部位に編成番号21を組み込むとは、列車2の表示の近傍に組み込んでもよいし、引き出し線を付して、列車2の表示の少し遠くに組み込んでもよい。さらに、これらは、列車2の予定する入庫位置の近傍部位に番号情報14又は編成番号21を組み込むことを含むものである。
【0021】
「番号撮像装置」は、構内と構外の境界部分(入出区場所)に少なくとも設けられたカメラ3であればよいが、このような構成に限定されず、作業員が使用する携帯カメラ(スマートフォンその他のカメラ付き携帯端末を含む。)であってもよい。
【0022】
編成番号付き画像15の生成方法としては、構内画像12に編成番号21を書き込んで1枚の画像データ(JPEG等)にするものであるが、このような構成に限定されない。
例えば、編成番号21を構内画像12のレイヤーとは別のレイヤーに形成して、構内画像12の上に重畳表示するものであってもよい。すなわち、ディスプレイで一度に表示される編成番号付き画像15は、構内画像12に編成番号21が埋め込まれた1枚の画像でもよく、構内画像12及び編成番号21が表示されて構内画像12に重畳される他の画像を含む複数枚の画像でもよい。
【0023】
図2に示すように、構内用編成番号表示方法は、車両基地7に入区又は出区する列車2に付されている列車2を編成する車両20(図5参照)の車両番号22、23、24又は列車2の編成番号21を撮像して番号画像11(図1参照)を取得する番号撮像工程(ステップS1)と、車両基地7構内の列車2の位置を示す構内画像12を取得する構内画像取得工程(ステップS2)と、番号撮像工程(ステップS1)で取得した番号画像11に写る文字を識別する識別工程(ステップS3)と、表示出力工程(ステップS5)と、を含む。
表示出力工程(ステップS5)では、識別工程(ステップS3)で識別された文字に係る番号情報14(図1参照)が編成番号21を示すものである場合には、構内画像取得工程(ステップS2)で取得した構内画像12における列車2に対応する部位に番号情報14を組み込んだ編成番号付き画像15を生成し、または、識別工程(ステップS3)で識別された文字に係る番号情報14が車両番号22を示すものである場合には、編成番号21と車両番号22とを紐付ける紐付けデータ13を参照して紐付けデータ13から車両番号22に対応する編成番号21を特定し、構内画像12における列車2に対応する部位に編成番号21を組み込んだ編成番号付き画像15を生成し、生成された編成番号付き画像15を表示装置(図1の表示部31、図7の表示部53、図8の表示部63)に表示出力する。
なお、識別工程(ステップS3)後に、識別された文字に係る番号情報14を画像処理装置(画像処理部52)に送信する番号情報送信工程(ステップS4)を備えるようにしてもよい。
【0024】
上記構成によれば、既存の構内画像12を示すものに対して、簡易にシステムを設けて、車両基地7内にある列車2の編成番号21を知ることができる。
【0025】
<編成番号付き画像>
まず、図3から図5を参照して、編成番号付き画像15について説明する。
図3図4、後述する図10図12及び図13において、実線、細破線及び太破線は、実際には、色で区別されるものを表すものである。具体的には、実線は白で示され、細破線は黄色で示され、太破線は赤色で示され、これらの背景は黒で示されるものである。
そして、図3図4、後述する図10図12及び図13に示す実線(白色)は、敷設された列車2の線路を示し、細破線(黄色)は、列車2の仮想的な進行線(進行予定を示す線)を示し、太破線(赤色)は、列車2の位置を示すものである。これらは、RGB情報により識別されるものである。
【0026】
まず、図3(a)に構内画像12を示すように、計画に従った列車2のルート(入区又は出区する列車2の進行予定)を示す箇所が、実線(白色)から、細破線(黄色)に変更される。
次に、図3(b)に示すように、列車2が入出区場所に来た時(入区時)に入区場所を示す細破線(黄色)が太破線(赤色)に変更される。この時、後述する画像処理部52により、太破線の先頭近傍に編成番号21が付される(又は編成番号21を含むレイヤーが付加される)。
そして、図4(a)に示すように、列車2が不図示の転てつ機の位置まで来たときに、その位置に対応する位置まで太破線(赤色)が延在することとなり、画像処理部52は、太破線の先頭近傍にある編成番号21の位置を移動させる。
最後に、図4(b)に示すように、列車2が1番線に入庫したときに、入庫位置に対応する位置の細破線(黄色)が太破線(赤色)に表示され、画像処理部52は、編成番号21が表示された状態を少なくとも一定時間維持する。
【0027】
上記構成によれば、画像処理部52は、編成番号21を付す部位を、細破線(黄色)ではなく、太破線(赤色)に対応する部位に編成番号21を組み込むことで、列車2の編成番号21を、その位置とともにリアルタイムで特定できることになる。
このため、列車2が入区後に細破線上を移動中に、不図示の転てつ機が故障したり、列車2が故障したりして、列車2が移動できなくなった場合に、その列車2を編成番号21で特定できる点で有益である。
【0028】
また、このように、画像処理部52が、太破線に対応する部位に編成番号21を組み込むことで、上記の理由等で列車2が移動できなくなった場合に、新たに細破線(黄色)を引き直すようにすると好適である。
【0029】
また、これらを示す表示は、色の違いではなく、上記の図3等に示すような細い破線等の線種の違いや表示態様の差異(点滅、点灯の差異や、点滅間隔の差異等)による表示であってもよい。
なお、図3(b)の入区時と図4(b)の入庫時の間にある途中経路を示す図4においても、編成番号21を示すようにしているが、途中経路における編成番号21の表示は任意である。
【0030】
<各部の構成>
次に、構内用編成番号表示システム1の各部の構成について、図面を参照して説明する。
【0031】
(車両基地)
図5に示すように、車両基地7に設けられたカメラ3は、列車2(車両20)の側面を撮像して車両番号22、23、24を示す画像を取得する。なお、カメラ3は、列車2の正面を撮像して編成番号21を示す画像を直接取得してもよい。
【0032】
特に、列車2によって編成番号21を示す場所や大きさが異なる場合もあり、また、後述するように、1つの列車2に2つの編成番号21、21Xが設けられている場合には、後ろの編成番号21Xを示す車両番号24の正面は、その前の車両によってカメラ3の死角に位置することになりやすい。
列車2の車両番号22、23、24を取得(撮像)することができれば、後述する端末5の番号割当部54が紐付けデータ13を参照することにより、編成番号21を導き出すことができる。
【0033】
つまり、編成番号21、21Xよりも車両番号22、23、24をカメラ3で撮影する方が安定して正確な編成番号21、21Xを抽出することができる。
紐付けデータ13は、車両を管理するシステムを構成する端末16に登録されたデータベース17からインターネット10を介して得られるものである。
【0034】
カメラ3としては、夜間の撮影も可能な赤外線センサ内蔵のものであると好適である。また、電源が不要であるソーラーパネル式であってもよい。カメラ3と端末4とは無線通信可能であると、配線工事が不要となるため好適である。
【0035】
本実施形態においては、カメラ3が列車2を映したときに、列車2の存在を検出して、カメラ3が自動で撮影動作を行う。
しかし、本発明は、このような構成に限定されない。
【0036】
例えば、構内用編成番号表示システム1(のうち、例えば車両基地7に設けられた端末4X、図9参照)は、後述する構内画像取得装置(キャプチャ部60)と番号撮像装置(カメラ3)とに接続された制御装置(制御部42)を備える。
そして、制御部42は、キャプチャ部60が取得した構内画像12に、列車2の移動を示す表示が含まれていたときに、カメラ3に番号画像11を撮像させる構成であってもよい。
【0037】
なお、本書における「接続」には、有線による接続の他、無線による接続、インターネット10を介した接続が含まれるものとする。また、上記のように、構内画像取得装置としては、キャプチャ部60の他に不図示のカメラであってもよい。
上記構成によれば、列車2の番号画像11を撮像できるタイミングで、番号撮像装置(カメラ3)を自動で作動させることができ、常時稼働せずとも撮像漏れを防ぐことができる。
【0038】
車両基地7の端末4は、図6に示すようにカメラ3から受信した番号画像11に写る文字を識別するOCR部40と、OCR部40によって識別された番号情報14を受信し、車両基地事務所8の端末5に番号情報14を送る送受信部41と、を主に備える。
【0039】
(信号所)
信号所9の端末6は、図8に示すように、キャプチャ部60と、キャプチャ部60によってキャプチャされたイメージデータを解析部62に送る送受信部61と、このイメージデータを解析する解析部62と、を主に備える。
【0040】
解析部62は、イメージデータに平面座標(X、Y座標)の情報及びRGB値を付加する処理を行う。このように処理することで、構内画像12において列車2の位置を座標で表せることになる。
例えば、列車2は、入区して1番線の位置に入庫するまで移動する際には、構内画像12においては赤線(太破線)が移動することによって示される。解析部62に付加された赤を示すRGB値の座標は、この赤線の移動に対応して変わることになる。
【0041】
構内画像取得装置としてキャプチャ部60を用いる場合には、リアルタイムで端末6のディスプレイをキャプチャすることができ、キャプチャ画像(構内画像12)に基づいて形成される編成番号付き画像15に、キャプチャ時の時刻データを盛り込むことができる。
例えば、1秒に2回ディスプレイをキャプチャして、リアルタイム性を高めてもよく、30秒に1回ディスプレイをキャプチャして、データ量を抑えるようにしてもよい。
【0042】
番号情報14は、車両基地7の端末4の送受信部41から車両基地事務所8の端末5の送受信部51に送信される。送信手段としては、例えば、429MHz帯の無線通信である。
【0043】
(車両基地事務所)
構内用編成番号表示システム1(のうち、例えば車両基地事務所8に設けられた端末5)は、図7に示すように記憶部50と、構内画像12、紐付けデータ13及び番号情報14を受信して編成番号付き画像15を送信する送受信部51と、編成番号付き画像15を生成する画像処理部52と、編成番号付き画像15を表示する表示部53と、車両番号22、23、24から紐付けデータ13を参照することにより編成番号21を導き出す番号割当部54と、を主に備える。
画像処理装置(画像処理部52)は、編成番号付き画像15のうち、列車2の車両基地7構内に対する入区時、出区時、及び転線時の画像を記憶部50に保存する。
【0044】
上記構成によれば、車両基地7構内における列車2の位置を示すのに有用な入区時、出区時、転線時の画像を保存することで、ダイヤの乱れ等のトラブルが生じて、車両基地7構内において通常と異なる位置に列車2が配置されていた場合でも、記憶部50に保存された編成番号付き画像15を確認することによって状況を判断することができる。
構内用編成番号表示システム1は、一日のスパンでどのように列車2を車両基地7に配設するか、計画を立てるシステムに組み合わせられてもよい。
【0045】
構内画像取得装置として不図示のカメラを用いる場合においても同様に、撮影画像(構内画像12)に基づいて形成される編成番号付き画像15に、撮影時の時刻データを盛り込むことができる。
そして編成番号付き画像15を時刻データとともに記憶部50に保存することができる。
また、OCR部40の識別ミスを考慮して、カメラ3の番号画像11を時刻データとともに保存するようにしてもよい。
【0046】
また、画像処理部52は、編成番号21ごとに、各番線に対する入庫・出庫履歴をデータとして記憶部50に保存して、外部機器に出力可能としてもよい。
また、記憶部50としては、端末5に設けられているものに限定されず、他の端末に設けられていてもよく、インターネット10を介した先にあるサーバー(クラウド)に保存するものであってもよい。
【0047】
画像処理装置(画像処理部52)は、送受信部51を介して編成番号付き画像15を他の端末に送信可能に構成されている。
上記構成によれば、各作業員が例えば携帯端末30で編成番号付き画像15を受信して、表示部31で編成番号付き画像15を確認することができる。送受信部51による送信手段としては、インターネット10を介して送信するものの他に、429MHz帯の通信や赤外線通信などの無線通信であってもよい。携帯端末30は、例えばノートパソコン、スマートフォン、タブレットである。
【0048】
本実施形態においては、便宜上、画像処理部52を有する端末5が車両基地事務所8にあり、キャプチャ部60を有する端末6が信号所9にあるものとして説明しているが、これらが同じ場所に設けられていてもよい。さらには、端末5、6は、車両基地7や、その他の場所に設けられていてもよい。
【0049】
<第1変形例>
次に、第1変形例について、図10を参照して説明する。図10は、第1変形例に係るものであり、入出区場所に列車2の存在を示す線が示され、1つの列車2に編成番号が2つ識別されたときに、当該線の近傍に2つの編成番号21、21Xを示している状態における編成番号付き画像15を示す図である。
つまり、1つの列車2が複数編成で構成されていることがあり、このときに、複数の編成番号を示すというものである。
【0050】
本例に係る番号撮像装置(カメラ3)は、複数の車両20から車両番号22、23、24をそれぞれ撮像して複数の番号画像11を取得する。画像処理装置(画像処理部52)は、データベース17を参照して、OCR装置(OCR部40)から受信した番号情報14に係る複数の車両番号22、23、24から複数の互いに異なる編成番号21、21Xが特定されたときは、複数の編成番号21、21Xを構内画像12に組み込んだ編成番号付き画像15を表示装置(表示部31、53、63)に表示出力させる。
上記構成によれば、構内画像12に表示される列車2が、複数の編成番号21、21Xで構成された列車2である場合に、そのことを特定することができる。
【0051】
例えば、同一番線に複数の編成が在線するとき(複数の編成番号21、21Xの列車2がいるとき)には、番線に入線(入庫)した順番に奥(表示状、線分の端部)から編成番号21、21Xを表示する。
このように、入線順を理解可能な表示方法であることで、列車2が出線(出庫)した場合は、手前の編成から出ることがわかり、列車2の向きがわかる。
そして、表示部31、53、63には、列車2の少なくとも一部の編成が残っているときは太破線(赤色)で表示され、すべての編成が出線したときに実線(白色)で表示される。
【0052】
<第2変形例>
次に、第2変形例について、図11を参照して説明する。図11は、第2変形例に係るものであり、編成番号処理方法を示すフロー図である。
第1変形例においては、複数の編成から構成されることで編成番号21、21Xを複数有する列車2に対する画像処理であったが、本例においては、OCR部40による読み取り誤差を考慮した画像処理に係るものである。
【0053】
画像処理装置(画像処理部52)は、OCR装置(OCR部40)から受信した番号情報14が複数の車両番号22、23、24を示すものであり、紐付けデータ13から車両番号22、23、24に対応する複数の編成番号21、21Xが特定される場合に、特定された複数の編成番号21、21Xのうち、最も多い編成番号(例えば編成番号21)を構内画像12に組み込んだ編成番号付き画像15を表示装置(表示部31、53、63)に表示出力させる。
【0054】
上記構成によれば、誤って識別された車両番号に基づく誤った編成番号が構内画像12に組み込まれることを抑制できる。
なお、画像処理部52は、最も多い編成番号が特定された編成番号全体の例えば5割以下であれば、「編成番号判別できない」と表示するようにしてもよい。
【0055】
例えば、画像処理部52の編成番号処理方法としては、図11に示すように、まず直接撮像され又は紐付けデータ13から特定された編成番号21が複数あるか否かを判断する(ステップS11)、編成番号21が1つであれば(ステップS11:No)、編成番号21を構内画像12に組み込んで(ステップS12)、編成番号付き画像15を生成する。
【0056】
編成番号21、21Xが複数であれば(ステップS11:Yes)、編成番号群の前半・後半の一方の一定数以上が同一であるかを判断する(ステップS13)。
編成番号群の前半・後半の一方の一定数以上が同一でなければ(ステップS13:No)、最も多い編成番号を構内画像12に組み込んで(ステップS14)、編成番号付き画像15を生成する。
【0057】
編成番号群の前半・後半の一方の一定数以上が同一であれば(ステップS13:Yes)、編成番号群の前半・後半の他方の一定数以上が同一であるかを判断する(ステップS15)。
編成番号群の前半・後半の他方の一定数以上が同一でなければ(ステップS15:No)、最も多い編成番号を構内画像12に組み込んで(ステップS14)、編成番号付き画像15を生成する。
【0058】
編成番号群の前半・後半の他方の一定数以上が同一であれば(ステップS15:Yes)、前半側で最も多い編成番号21と後半側で最も多い編成番号21Xの2つを構内画像12に組み込んで(ステップS16)、編成番号付き画像15を生成する(図10参照)。
【0059】
一定数とは例えば特定された編成番号の総数の半数であり、「前半側」、「後半側」は前半・後半の車両数を特定できる場合にはそれぞれの特定できた数であると好適である。
また、ステップS14における処理は、特定された編成番号の一部に誤り(OCR部40の誤識別等)があり、これを無視することを意味する。
【0060】
なお、上記の例においては、1つの列車2に編成番号21、21Xが2つあることで、編成番号群が前半と後半とに分けられる例を説明したが、このような構成に限定されない。
例えば、1つの列車2に編成番号がさらに多く設けられている構成、つまり、列車2が3以上の複数の編成で構成されるものであってもよい。
この場合であっても、編成番号群を構成する編成番号のいずれかが一定数以上であるか否かによって、ステップS13及びステップS15を処理すればよい。
また、この場合(3以上の複数の編成で構成されるもの)であっても、一定数以上の複数(例えば3つ)の編成番号を構内画像12に組み込むように、ステップS16を処理すればよい。例えば、列車2の編成数が前もって設定されている場合には、その編成数に区分けされた範囲ごとに最も多い(一定数に満たない場合であっても)編成番号を特定し、これらの特定された編成番号の複数を構内画像12に組み込むようにしてもよい。
【0061】
また、画像処理装置(画像処理部52)は、OCR装置(OCR部40)から受信した番号情報14が複数の車両番号22、23、24を示すものであり、紐付けデータ13から車両番号22、23、24に対応する複数の編成番号21、21Xを特定される場合に、OCR装置(OCR部40)で識別された車両番号22、23、24のうち識別信頼度の高いもの(不確かさの低いもの)に基づく編成番号(例えば編成番号21)を構内画像12に組み込んだ編成番号付き画像15を表示装置(表示部31、53、63)に表示出力させてもよい。
【0062】
例えば、OCR部40による編成番号21の識別信頼度が9割以上である場合には、画像処理部52は、1つの番号情報14で編成番号21を確定し、構内画像12が組み込まれた編成番号付き画像15を表示部31、53、63に表示するようにしてもよい。
上記構成によれば、誤って識別された車両番号に基づく誤った編成番号が構内画像12に組み込まれることを抑制できる。
【0063】
OCR部40は、識別信頼度を表示装置(表示部31、53、63)に映し出すようにしてもよい。さらに、目視によって編成番号21を判定可能なように、これらの画面に、カメラ3の番号画像11を映し出すようにしてもよい。
さらに、画像処理部52は、編成番号21を手入力によって修正できるようにしてもよい。特に、OCR部40の識別信頼度が一定割合(例えば5割)以下の時に、修正を促すために、編成番号21の文字色、フォント、表示態様等を通常とは異なるものとしてもよい。
【0064】
<第3変形例>
次に、第3変形例に係る画像処理部52の処理について図12を参照して説明する。図12は、第3変形例に係るものであり、列車2が停止中である旨の表示をした編成番号付き画像15を示す図である。
【0065】
本例に係る画像処理装置(画像処理部52)は、列車2が所定時間以上停止しているときに、その旨を表示装置に表示出力させる(図12参照)。
「その旨」とはメッセージであっても、エラー記号であってもよい。
【0066】
例えば、列車2が30分以上停止している場合にこのような表示をする。この時間については、上記のように、編成番号付き画像15に盛り込まれたキャプチャ時の時刻データに基づいて算出されるものであればよく、別個の不図示のタイマーによって算出されるものであってもよい。
【0067】
上記構成によれば、列車2が止まっていることを表示することで、列車2の点検、転線等の対処を迅速に行うことができる。
【0068】
<第4変形例>
次に、第4変形例に係る画像処理部52の処理について図13を参照して説明する。図13は、第4変形例に係るものであり、特定された編成番号21(K-2)が、計画の編成番号(K-1)と異なる旨の表示をした編成番号付き画像を示す図である。
【0069】
画像処理装置(画像処理部52)は、入区又は出区するものとして計画された列車2の編成番号21と、OCR装置(OCR部40)から受信した番号情報14から検出又は特定された編成番号21と、が異なるときに、その旨を表示装置(表示部31、53、63)に表示出力させる。
「その旨」とはメッセージであっても、エラー記号であってもよい。
【0070】
上記構成によれば、編成番号21が計画されたものと異なることを表示部31、53、63に表示することで、計画を立案する不図示のシステムに再考(再立案)させるように通知することができ、列車2の点検、転線等の対処を迅速に行うことができる。
計画された列車2の情報については、他のシステム(例えば、端末16のデータベース17)から得られる情報であっても、手入力によって得られる情報であってもよい。
【0071】
編成番号21とともに表示させるものとしては、上記の構成に限定されず、例えば列車2の車両数であってもよい。
【0072】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)
車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像装置と、
車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得装置と、
前記番号撮像装置から受信した前記番号画像に写る文字を識別するOCR装置と、
前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータが格納されたデータベースに接続された画像処理装置と、
画像を表示出力する表示装置と、を備え、
前記OCR装置は、識別された前記文字に係る番号情報を前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得装置から受信した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させ、
または、前記OCR装置から受信した前記番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記データベースを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、ことを特徴とする構内用編成番号表示システム。
(2)
前記番号撮像装置は、複数の前記車両から前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記データベースを参照して、前記OCR装置から受信した前記番号情報に係る複数の前記車両番号から複数の互いに異なる編成番号が特定されたときは、複数の前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、(1)に記載の構内用編成番号表示システム。
(3)
前記番号撮像装置は、複数の前記車両の前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記OCR装置から受信した前記番号情報が複数の前記車両番号を示すものであり、前記紐付けデータから前記車両番号に対応する複数の前記編成番号が特定される場合に、特定された複数の前記編成番号のうち、最も多い前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、(1)又は(2)に記載の構内用編成番号表示システム。
(4)
前記番号撮像装置は、複数の前記車両の前記車両番号をそれぞれ撮像して複数の前記番号画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記OCR装置から受信した前記番号情報が複数の前記車両番号を示すものであり、前記紐付けデータから前記車両番号に対応する複数の前記編成番号を特定される場合に、前記OCR装置で識別された前記車両番号のうち識別信頼度の高いものに基づく前記編成番号を前記構内画像に組み込んだ前記編成番号付き画像を前記表示装置に表示出力させる、(1)から(3)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(5)
前記画像処理装置は、前記列車が所定時間以上停止しているときに、その旨を前記表示装置に表示出力させる、(1)から(4)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(6)
前記画像処理装置は、入区又は出区するものとして計画された前記列車の前記編成番号と、前記OCR装置から受信した前記番号情報から検出又は特定された前記編成番号と、が異なるときに、その旨を前記表示装置に表示出力させる、(1)から(5)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(7)
前記構内画像取得装置と前記番号撮像装置とに接続された制御装置を更に備え、
該制御装置は、前記構内画像取得装置が取得した構内画像に、前記列車の移動を示す表示が含まれていたときに、前記番号撮像装置に前記番号画像を撮像させる、(1)から(6)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(8)
記憶部を更に備え、
前記画像処理装置は、前記編成番号付き画像のうち、前記列車の前記車両基地構内に対する入区時、出区時、及び転線時の画像を前記記憶部に保存する(1)から(7)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(9)
前記画像処理装置は、前記編成番号付き画像を他の端末に送信可能に構成されている(1)から(8)のいずれか一項に記載の構内用編成番号表示システム。
(10)
車両基地に入区又は出区する列車に付されている該列車を編成する車両の車両番号又は前記列車の編成番号を撮像して番号画像を取得する番号撮像工程と、
車両基地構内の前記列車の位置を示す構内画像を取得する構内画像取得工程と、
前記番号撮像工程で取得した前記番号画像に写る文字を識別する識別工程と、
表示出力工程と、を含み、
前記表示出力工程では、
前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記編成番号を示すものである場合には、前記構内画像取得工程で取得した前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記番号情報を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、
または、前記識別工程で識別された前記文字に係る番号情報が前記車両番号を示すものである場合には、前記編成番号と前記車両番号とを紐付ける紐付けデータを参照して前記紐付けデータから前記車両番号に対応する前記編成番号を特定し、前記構内画像における前記列車に対応する部位に前記編成番号を組み込んだ編成番号付き画像を生成し、
生成された前記編成番号付き画像を表示出力する、ことを特徴とする構内用編成番号表示方法。
【符号の説明】
【0073】
1 構内用編成番号表示システム
2 列車
3 カメラ(番号撮像装置)
4、4X 端末
5 端末
6 端末
7 車両基地
8 車両基地事務所
9 信号所
10 インターネット
11 番号画像
12 構内画像
13 紐付けデータ
14 番号情報
15 編成番号付き画像
16 端末
17 データベース
20 車両
21、21X 編成番号
22、23、24 車両番号
30 携帯端末
31 表示部(表示装置)
40 OCR部(OCR装置)
41 送受信部
42 制御部(制御装置)
50 記憶部
51 送受信部
52 画像処理部(画像処理装置)
53 表示部(表示装置)
54 番号割当部
60 キャプチャ部(構内画像取得装置)
61 送受信部
62 解析部
63 表示部(表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13