(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087777
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】製錬炉の操業方法
(51)【国際特許分類】
C22B 7/02 20060101AFI20230619BHJP
C22B 5/02 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
C22B7/02 A
C22B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202253
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】形部 文規
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文仁
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA08
4K001AA10
4K001BA02
4K001BA14
4K001DA05
4K001GA06
4K001HA01
(57)【要約】
【課題】 ダスト回収装置として乾式集塵機を排ガスの煙道の途中に設置した製錬炉の酸素吹錬において、ダスト回収装置のダスト回収能力の余力を享受して、送酸速度を増加して高速酸素吹錬を行う。
【解決手段】 本発明に係る製錬炉の操業方法は、送酸用上吹きランス11から炉内へ酸素含有ガスを供給する製錬炉1で発生する排ガスに含まれるダストを当該排ガスの煙道2、4の途中に設置した乾式集塵機3で回収し、回収したダストを前記製錬炉の酸素吹錬中に炉内へ添加する製錬炉の操業方法において、前記ダストの回収量の時間変化量に応じて、前記製錬炉への送酸用上吹きランスからの送酸速度を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送酸用上吹きランスから炉内へ酸素含有ガスを供給する製錬炉で発生する排ガスに含まれるダストを当該排ガスの煙道の途中に設置した乾式集塵機で回収し、回収したダストを前記製錬炉の酸素吹錬中に炉内へ添加する製錬炉の操業方法において、
前記ダストの回収量の時間変化量に応じて、前記製錬炉への送酸用上吹きランスからの送酸速度を変化させる、製錬炉の操業方法。
【請求項2】
前記ダストの回収量の時間変化量が、ダストホッパーの重量増加が明確な傾向として確認できる所定の値以上の場合は、前記送酸用上吹きランスからの送酸速度を減少させ、前記ダストの回収量の時間変化量が、ダストホッパーの重量減少が明確な傾向として確認できる所定の値以下の場合は、前記送酸用上吹きランスからの送酸速度を増加させる、請求項1に記載の製錬炉の操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製錬炉の操業方法に関し、詳しくは、製錬炉における酸素吹錬中に発生する排ガス中のダストを、排ガス回収用の煙道の途中に設置したダスト回収装置で回収し、回収したダストを酸素吹錬中に製錬炉に添加しながら酸素吹錬する製錬炉の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製錬炉では、鉄スクラップや鉱石、ダストを製錬炉に供給し、これらを加熱・還元して溶解し、溶融金属を製造している。この製錬では、エネルギー源として炭材を用い、炭材を燃焼させるための大量の酸素ガスを送酸用上吹きランスから炉内に供給する(「酸素吹錬」という)ことがある。炭材をエネルギー源として用い、大量の酸素ガスを送酸用上吹きランスから供給する製錬炉では、供給される大量の酸素ガスに伴って、大量の排ガス及びダストが発生することがある。通常、排ガス中に同伴されたダストは、排ガスへ散水する湿式集塵によって回収され、回収されたダストは、水分が除去された後に製錬炉へリサイクルされて再使用されている。
【0003】
一方、このような製錬炉の一部では、排ガス回収のための煙道の途中にダスト回収装置である乾式集塵機を設けて排ガス中のダストを回収(捕集)し、回収したダストを製錬炉の炉口下まで挿入したランスを介して製錬炉内に添加して再利用することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特に、転炉型溶融還元製錬炉のように、通常の転炉設備(酸素吹錬によって溶銑から溶鋼を製造する転炉設備)に比べて酸素吹錬時間が長く、ダスト発生量が多い製錬炉では、乾式集塵したダストをそのまま製錬炉内へ再利用する熱間炉内回収は、熱エネルギーの損失を低減して酸素吹錬時間を短縮することができ、高効率な製錬を行うことが可能となる技術である。熱間炉内回収により、系外への湿式集塵ダストの発生も減少するので、その分、送酸速度を増加させ、製錬炉への熱供給を増加させることも可能となる。
【0005】
製錬炉では、熱供給速度を増加させることで、より短時間で製錬を行うことが可能となる。しかし、酸素ガス供給によって炉内の炭素を燃焼させて熱供給を行う場合、送酸用上吹きランスからの送酸速度を増やすことによる高速酸素吹錬を行うと、排ガス発生量及びダスト発生速度も増加する。
【0006】
送酸速度の増加によってダスト発生量が増加すると、煙道の途中にダスト回収装置として乾式集塵機を有する製錬炉においては、ダスト発生量が乾式集塵機のダスト回収能力以上になることがある。この場合には、乾式集塵機で回収したダストを保持するダストホッパーが重量過多によって閉塞し、ダスト搬送が不可になるというトラブルが発生し、このトラブル処置のために酸素吹錬の中断に陥るという問題が発生する。
【0007】
酸素吹錬を行う製錬炉では、通常、このようなトラブルが生じない範囲で送酸速度を上げて生産性向上を図っている。しかし、ダスト発生速度は、送酸速度以外にも、製錬炉の炉口への地金付着による炉口面積の減少や、炭材などの副原料の添加速度、送酸用上吹きランスのランス高さ(湯面からランス先端までの距離)、炉内でのスラグのフォーミング状況などによって変動する。
【0008】
ダスト発生速度の変動に対処するために、ダスト回収設備である乾式集塵機の回収能力を大きく設計し、余力を持たせることが行われている。但し、この場合も、ダスト回収能力の限界付近で酸素吹錬を行う場合には、ダストホッパーが重量過多になりそうなときには、即座に送酸速度を下げてダスト発生速度を減らすアクションを採る必要がある。
【0009】
しかしながら、送酸速度の変更に対して、ダスト発生量の変化は時間遅れなどがあるために、ダストホッパーの重量が過多になりそうになったときに送酸速度を下げても、ダストの発生量は直ぐには低下せずに、ダストホッパーが重量過多になる場合もあった。
【0010】
従来、このようなトラブルが生じないように送酸速度の上限を抑えて操業しているが、炉口面積の減少及び経時変化などの外乱を受けることがあり、ダストホッパーの重量過多に起因するトラブルが年に4~5回程度生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダスト回収装置として乾式集塵機を排ガスの煙道の途中に設置した製錬炉の酸素吹錬において、ダスト回収装置のダスト回収能力の余力を享受して、送酸速度を増加して高速酸素吹錬を行うことのできる製錬炉の操業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
【0014】
[1] 送酸用上吹きランスから炉内へ酸素含有ガスを供給する製錬炉で発生する排ガスに含まれるダストを当該排ガスの煙道の途中に設置した乾式集塵機で回収し、回収したダストを前記製錬炉の酸素吹錬中に炉内へ添加する製錬炉の操業方法において、
前記ダストの回収量の時間変化量に応じて、前記製錬炉への送酸用上吹きランスからの送酸速度を変化させる、製錬炉の操業方法。
【0015】
[2] 前記ダストの回収量の時間変化量が、ダストホッパーの重量増加が明確な傾向として確認できる所定の値以上の場合は、前記送酸用上吹きランスからの送酸速度を減少させ、前記ダストの回収量の時間変化量が、ダストホッパーの重量減少が明確な傾向として確認できる所定の値以下の場合は、前記送酸用上吹きランスからの送酸速度を増加させる、上記[1]に記載の製錬炉の操業方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乾式集塵機のダストホッパーの重量計測結果に応じて送酸速度を制御するので、オペレータによるダストホッパーの常時監視を行うことなく、ダストホッパーのダスト過多による閉塞を抑制することが可能となる。また、ダスト回収能力の余力の有る時期に送酸速度の増加による高速酸素吹錬を行うことが可能となり、酸素吹錬短縮による合理化効果を享受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る製錬炉の操業方法を実施する際に用いる製錬炉の概略側面図である。
【
図2】ダストホッパーの重量変化と送酸用上吹きランスからの送酸速度との関係を示す図である。
【
図3】総送酸量と酸素吹錬総時間との関係を本発明例と比較例とで比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
本発明で対象とする製錬炉は、特に、送酸用上吹きランスによる酸素吹錬に基づくガス発生を伴う金属製錬用の乾式製錬炉であり、排ガス中に大量のダストが含まれる製錬炉である。本発明で対象とする代表的な製錬炉としては、転炉型の製錬炉の炉内に金属鉱石(クロム鉱石など)及び還元剤兼燃料としての炭素含有物(コークスなどの炭材)を投入し、送酸用上吹きランスを介して酸素含有ガスを吹き込みまたは吹き付けて炭素含有物を燃焼させ、この燃焼熱によって金属鉱石を溶解しつつ炭素含有物で還元して溶融金属(Fe-Cr合金など)を製造する転炉型溶融還元製錬炉を挙げることができる。ここで、酸素含有ガスとしては、純酸素ガス(工業用純酸素ガス)、純酸素ガスと希ガスとの混合ガス、酸素富化空気、空気などを使用することができ、通常は、純酸素ガスが使用される。
【0020】
この転炉型溶融還元製錬炉では、炭素含有物の燃焼や、金属鉱石の還元反応に伴って、COやCO2などのガスが大量に発生し、これに鉱石、炭素含有物などが微粉となって随伴し、ダストとなってダスト排出用の煙道中に散逸していく。本発明に係る製錬炉の操業方法では、このような排ガス中に含まれるダストを、ダスト排出用の煙道の途中にダスト回収装置として設けた乾式集塵機によって回収(捕集)し、回収したダストを製錬炉内に添加して再利用する。
【0021】
図1に、本発明に係る製錬炉の操業方法を実施する際に用いる製錬炉の概略側面図を示す。
図1において、符号1は製錬炉(転炉型溶融還元製錬炉)、2は、排ガスを排出するための煙道、3は乾式集塵機、4は、乾式集塵機から排出される排ガスを排出するための煙道、5は、乾式集塵機の下部に設置されるダストホッパー、6は、ダストホッパーの下部に取り付けられたダスト切り出し管、7はダスト輸送管、8はダスト添加ランス、9は搬送用ガス流量制御弁、10はダスト切り出し制御弁、11は送酸用上吹きランス、20は溶湯、21はスラグである。尚、煙道4の排ガス流れの下流側には、例えば、非燃焼式排ガス処理設備であるOG設備(Oxygen converter Gas recovery system 設備)のような、集塵機、誘因送風機、ガスホルダーなどを具備するガス回収設備(図示せず)が設置されている。
【0022】
製錬炉1の内部に、金属鉱石及び炭素含有物を装入し、また、必要に応じて溶銑及び造滓剤(生石灰など)を炉内に装入し、送酸用上吹きランス11を介して酸素含有ガスを炉内に供給する。炉内に供給される酸素含有ガスによって炭素含有物が燃焼し、この燃焼熱によって加熱された金属鉱石が造滓剤などと反応して溶融し、炉内にスラグ21が形成される。スラグ21に含有される溶融した金属鉱石が炭素含有物によって還元されて、金属鉱石の元素を含有する溶湯20が炉内に形成される。
【0023】
この製錬中、炭素含有物の燃焼や、金属鉱石の還元反応にともなってCOやCO2などのガスが炉内で大量に発生する。発生したガスは、製錬炉1の炉口1aに繋がる煙道2に吸引される。炉内から排出される排ガスには、微粉の金属鉱石及び炭素含有物などが随伴し、ダストとなって煙道2に散逸する。
【0024】
本発明で使用する製錬炉1には、ダスト回収装置である乾式集塵機3が煙道2の途中に煙道2に繋がって設けられており、排ガス中に混入したダストは、乾式集塵機3で回収(捕集)される。ここで、乾式集塵機3としては機械的な可動部分を持たないサイクロンなどが好ましく使用できる。乾式集塵機3で回収されたダストは、乾式集塵機3の下部に設けられたダストホッパー5に一時的に貯留される。
【0025】
ダストホッパー5には、ダスト切り出し管6が取り付けられており、このダスト切り出し管6は、ダスト輸送管7と接続している。ダスト切り出し管6の管路の途中には、ダストの切り出し量を調整するためのダスト切り出し制御弁10が設置されている。ダスト輸送管7の一方の端部は、ダスト添加ランス8と接続し、他方の端部は、搬送用ガス供給管(図示せず)と接続しており、ダスト輸送管7の管路の途中には、搬送用ガスの流量を調整するための搬送用ガス流量制御弁9が設置されている。
【0026】
ダストホッパー5に一時的に貯留されたダストは、ダスト切り出し管6を介してダスト輸送管7に流入し、窒素ガス(N2ガス)などを搬送用ガスとしてダスト輸送管7を通ってダスト添加ランス8に供給され、ダスト添加ランス8を介して炉内に添加されるように構成されている。搬送用ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好適である。
【0027】
本実施形態の製錬炉の操業方法では、ダストホッパー5の重量をロードセルなどの秤量器によって計測し、重量変化の速度をT0秒間隔で計測する。これにより、ダストホッパー内のダスト量とダストの発生速度とを、算出することができる。尚、秤量器の重量の計測値がハンチングする場合は、適当な時間を設定して移動平均を算出し、これをダストホッパー5の重量としてもよい。移動平均の時間間隔は秤量器の特性に応じて適宜設定することができる。通常は30秒~600秒程度に設定できる。
【0028】
本実施形態の製錬炉の操業方法では、ダストホッパー5のダスト回収量とダスト回収量の時間変化量とに基づき、送酸用上吹きランス11からの送酸速度(酸素含有ガス供給流量)を以下のように自動的に変更する。
図2に、ダストホッパー5の重量変化と送酸用上吹きランス11からの送酸速度との関係を示す。
【0029】
前述したように、ダストホッパー5の重量をT0秒間隔で計測する。このダストホッパー5の重量変化速度に応じて、送酸用上吹きランス11からの送酸速度をT1秒ごとに変化させる。つまり、ダストホッパー5の重量変化速度がA以上であれば、送酸用上吹きランス11からの送酸速度をB減少させ、一方、ダストホッパー5の重量変化速度がC以下であれば、送酸用上吹きランス11からの送酸速度をD増加させる。また、ダストホッパー5の重量がE以上になった場合は、送酸用上吹きランス11からの送酸速度をFに変更する。
【0030】
上記A~Fの値は、以下のとおり、所定の値を設定し、設備状況、炉況や酸素吹錬進行度に合わせて値を変更することができる。
【0031】
A;ダストホッパー5の重量増加が明確な傾向として確認できる値の最小値(正数)
B;ダスト発生速度を下げるのに有意な値(絶対値がD以上の負数)
C;ダストホッパー5の重量減少が明確な傾向として確認できる値の最小値(積極的な送酸速度の増加を狙い、絶対値がA以下の負数)
D;Bの送酸速度減の効果を有用にするために、絶対値がB以下の値(正数)
E;ダストホッパー5が閉塞する閾値の重量よりも少し小さい値
F;ダストホッパー5の閉塞防止に瞬間的に対応するために、送酸速度の最小値であって、地金の送酸用上吹きランス11への付着などの他のトラブルを誘発しない程度の最小値とする。
【0032】
即ち、本発明に係る製錬炉の操業方法においては、ダストの回収量の時間変化量が所定の値以上の場合は、送酸用上吹きランス11からの送酸速度を減少させ、ダストの回収量の時間変化量が所定の値以下の場合は、送酸用上吹きランス11からの送酸速度を増加させる。
【0033】
酸素吹錬中に発生するダストホッパー5の重量変化の要因として下記が挙げられる。つまり、ダストホッパー5の内表面に固着した大塊状のダストが剥離してダストホッパー5の内部に堆積し、粉体である回収ダストの搬送速度の悪化を招き、ダストの炉内への回収能力が減少して、ダストホッパー5の重量が増加する。
【0034】
また、回収ダスト量に直結する、炉内からのダスト発生速度の変化要因としては、送酸用上吹きランス11からの送酸速度の変化が大きな要因である。但し、製錬炉1の炉口1aへの地金付着による炉口面積の減少や、炭素含有物などの副原料の添加速度、送酸用上吹きランス11のランス高さ(湯面からランス先端までの距離)、スラグのフォーミング状況などによりダスト発生速度が変動するので、同じ酸素吹錬を実施していても、炉況、酸素吹錬の進行度によってダスト発生速度は増減する。
【0035】
本発明に係る製錬炉の操業方法では、これらの因子の状況に応じた酸素吹錬中のダストホッパー5の重量変化に基づき、オペレータによって随時A~Fの値を調整し、送酸用上吹きランス11からの送酸速度を調整することで、ダスト回収装置のトラブルを抑止しつつ酸素吹錬中の送酸速度を最大化することが可能となる。
【実施例0036】
本発明を、炉容量178トンの転炉型溶融還元製錬炉でクロム鉱石を溶融還元してFe-Cr合金の溶湯を製造する際に実施した。表1に、A~Fのパラメータの設定例を示す。ダスト秤量間隔時間T0及び送酸速度変更間隔時間T1は、それぞれ120秒とした。
【0037】
【0038】
本発明例では、表1の設定値で、排ガス中のダストを回収し、回収したダストを当該酸素吹錬でリサイクル使用し、且つ、送酸用上吹きランスからの送酸速度を変更しながら、酸素吹錬を実施した。
【0039】
一方、比較例では、送酸用上吹きランスからの送酸速度を酸素吹錬の初期から一定の値で操業し、ダストホッパーの重量が所定の値に増加したとき、オペレータの判断で送酸速度を所定の値に減少させる変更を行った。この変更は1回(1チャージ)の酸素吹錬中に0~5回程度であった。
【0040】
図3に、総送酸量と酸素吹錬総時間(酸素吹錬開始から終了までの時間)との関係を本発明例と比較例とで比較して示す。
【0041】
比較例では、平均送酸速度(グラフの傾き)が447Nm3/minであるが、本発明例では、平均送酸速度が530Nm3/minであり、比較例に比べて平均送酸速度を83Nm3/min増加させることができた。これは、転炉型溶融還元製錬炉への熱供給量を19%増加させることに相当し、良好な結果が得られた。
【0042】
また、ダストホッパーの重量過多によるトラブルの発生回数は、本発明を適用することにより、1年間に0~2回であった。本発明を適用する以前は1年間に4~5回であり、ダストホッパーの重量過多によるトラブルの発生は大幅に減少した。