(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087855
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】業務情報データファイル管理システム、業務情報データファイル管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/14 20190101AFI20230619BHJP
G06Q 10/10 20230101ALI20230619BHJP
【FI】
G06F16/14
G06Q10/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202377
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】515081143
【氏名又は名称】株式会社エディックワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】栗田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 光子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】タイムスタンプを利用せずに電子データの保存要件を満たすような主にペーパーレスFAXでの取引書類の電子データ保存を可能とし種々の連携システムによって利便性を向上させること。
【解決手段】業務情報データファイル管理システム100は、業務情報データファイルを主にペーパーレスFAXでの国税関係取引書類とそれ以外の業務情報とに分類して登録する。出力指示入力に応じて取引情報データファイル又は通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する。取引情報データファイルを格納する際に、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、そのファイル名、登録日、及び当該ファイルについてのハッシュ値をメタデータとして記録し、出力指示入力に応じて取引情報データファイルを抽出する際に、登録日を書き換え禁止と設定するとともに、前記メタデータを読取り専用形式のファイルとして出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録する業務情報データファイル登録部と、
前記業務情報データファイル登録部により分類された取引情報データファイルが格納される取引情報格納領域と、前記業務情報データファイル登録部により分類された通常業務情報データファイルが格納される通常業務情報格納領域とを有する業務情報データファイル格納部と、
出力指示入力に応じて前記業務情報データファイル格納部の前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する業務情報データファイル提供部と、
を備え、
前記業務情報データファイル登録部は、前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルに記録されている、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録し、
前記業務情報データファイル提供部は、前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記メタデータを読取り専用形式のファイルとして出力する、
業務情報データファイル管理システム。
【請求項2】
前記取引情報データファイルは、電子帳簿保存法に規定されている電子取引情報に関わるデータファイルである、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項3】
前記業務情報データファイル登録部は、前記取引情報データファイルを、電子メールの添付ファイル、及びファクシミリデータから変換されたコンピュータ可読データファイルとして受け取るように構成されている、請求項1又は2に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項4】
前記業務情報データファイル登録部、前記業務情報データファイル提供部は、それぞれアプリケーションプログラムインタフェースを介して他の外部装置から操作可能に構成されている、請求項1又は2に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項5】
前記業務情報データファイル提供部は、出力された取引情報データファイルをファクシミリデータに変換する外部装置に接続されている、請求項1又は2に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項6】
前記業務情報データファイル登録部は、登録しようとする業務情報データファイルに含まれている相手先判別情報を取得して前記業務情報データファイルを前記取引情報データファイルに分類するように構成されている、請求項1又は2に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項7】
業務情報データファイル管理部をさらに備え、前記業務情報データファイル管理部は、前記業務情報データファイル格納部に格納されている各業務情報データファイルの利用状況をモニタしており、所定期間利用されない状態が継続していると判定された業務情報データファイルを整理するように構成されている、請求項1又は2に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項8】
情報処理装置が、
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録し、
前記分類された取引情報データファイルを取引情報格納領域に格納し、前記分類された通常業務情報データファイルを通常業務情報格納領域に格納し、
出力指示入力に応じて前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力し、
前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルの、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録し、
前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記メタデータを読取り専用形式のファイルとして出力する、
業務情報データファイル管理方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録する処理と、
前記分類された取引情報データファイルを取引情報格納領域に格納し、前記分類された通常業務情報データファイルを通常業務情報格納領域に格納する処理と、
出力指示入力に応じて前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する処理と、
前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルの、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録する処理と、
前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記メタデータを読取り専用形式のファイルとして出力する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務情報データファイル管理システム、業務情報データファイル管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書、領収書等の、取引等に関して作成又は授受した書類は、関連の法令によってその保存期間、保存方法が規定されており、事業者はその規定を順守することが求められる。近年電子商取引が一般的となり、前記書類も電子データとして事業者間で授受されるようになっているところ、国税関係書類の取引情報に係る電磁的記録の保存については、いわゆる電子帳簿保存法によって保存要件が規定されている。電磁的に記録された取引情報は、紙に記録されたデータよりも改ざんが容易であると考えられる。そこで、記録の改ざんを防ぐために、電子データにタイムスタンプを付与するなど真実性を満たすことが求められている。タイムスタンプは、電子データが記録された時刻を示す情報と、記録された電子データから算出されたハッシュ値との組合せでなる。ハッシュ値は電子データから不可逆的に算出される固定値データであり、電子データが改ざんされた場合、必ずハッシュ値が変化するため、改ざんの事実が残る。この性質を利用して、時刻情報とその時刻に得られたハッシュ値との組合せによって電子データの真実性が確保される。タイムスタンプは、時刻認証業務認定事業者のみが発行することができ、タイムスタンプ発行サービスを受けようとする事業者が、いずれかの認定事業者と契約を締結してサービスを受けることになる。したがって、事業者にとっては、タイムスタンプサービス利用に伴うコスト削減が一つの課題である。
【0003】
この点、例えば、特許文献1には、タイムスタンプ付与サービスの利用機会を低減して、タイムスタンプに関するコストを抑える技術が提案されている。特許文献1は、登録されたファイルを管理するファイル管理装置であって、登録されているものから複数のファイルを選択し、選択したファイルの格納データを結合し、結合後の格納データを1つのファイルに格納する。そして、結合後の格納データを格納しているファイルのハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値に基づくタイムスタンプを取得して前記結合後の格納データを格納しているファイルに付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、電子的な取引がますます広く行われるようになってきたことに伴って、電子取引における取引情報の電磁的な記録に関する電子データ保存が義務化されるとともに、帳簿、及びスキャナ保存についての電子保存要件が緩和されることとなった。すなわち、2022年(令和4年)1月1日に施行される改正電子帳簿保存法では、第三者が提供するクラウドサービスでの保存における一定の条件の下で、タイムスタンプ付与を行うことなく取引情報の電子データ保存が認められるようになった。
【0006】
本発明の目的の一つは、種々の連携システム等からの入力データの保存において、タイムスタンプサービスを利用することなく電子データ保存における真実性要件を満たすような取引書類の電子データ保存を可能とし利便性を向上させることができる業務情報データファイル管理システム、業務情報データファイル管理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様は、外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録する業務情報データファイル登録部と、前記業務情報データファイル登録部により分類された取引情報データファイルが格納される取引情報格納領域と、前記業務情報データファイル登録部により分類された通常業務情報データファイルが格納される通常業務情報格納領域とを有する業務情報データファイル格納部と、出力指示入力に応じて前記業務情報データファイル格納部の前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する業務情報データファイル提供部とを備え、前記業務情報データファイル登録部は、前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルに記録されている、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録し、前記業務情報データファイル提供部は、前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記メタデータを読取り専用形式のファイルとして出力する業務情報データファイル管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、種々の連携システム等からの入力データの保存において、タイムスタンプサービスを利用することなく電子データ保存における真実性要件を満たすような取引書類の電子データ保存を可能とし利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態における業務情報データファイル管理システムを含む業務情報処理システムの全体構成を例示するシステム構成図である。
【
図2】
図1の業務情報処理システムによる業務情報処理機能の説明図である。
【
図3】
図1の業務情報処理システムにおけるデータ処理の概要を例示するシーケンス図である。
【
図4】本発明の一実施形態における業務情報データファイル管理システムのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態における業務情報データファイル管理システムの機能を例示する機能ブロック図である。
【
図6】ファイル格納領域の構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態における業務情報登録処理を例示するフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態における業務情報提供処理を例示するフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態における業務情報登録時入力支援画面の構成例を例示するフローチャートである。
【
図10】業務情報データファイル管理システムにおける利用サービス選択画面例を示す図である。
【
図11】業務情報データファイル管理システムにおける圧縮ファイル解凍画面例を示す図である。
【
図12】業務情報データファイル管理システムにおける詳細情報一覧画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、その実施形態に即して添付図面を参照しながら説明する。
[取引情報の電子データ保存]
前記のように、2022年(令和4年)1月1日に施行される改正電子帳簿保存法では、電子メール等を通じて電子的に授受した取引情報を真実性及び可視性を満たして電子データとして保存することが義務付けられている。電子データとして保存することが義務付けられる取引情報には、電子メールに添付された請求書、契約書、領収書、注文書、見積書、検収書等の取引関係書類であってPDF形式等の電子データとして作成されたものだけでなく、取引関係書類をファクシミリで受信した際のファクシミリ電子データをそのまま電子データとして保存する場合、あるいは電子データとして生成した取引書類をファクシミリ電子データに変換して相手方のファクシミリ装置に送信する際の電子データも含まれる。かかるファクシミリで送受信するための電子データを保存後にプリントアウトして紙保存することやスキャナ保存することは認められていない。したがって、全面的に電子的な取引に対応することが難しい中小企業等とファクシミリを用いた紙ベースでの取引を行う場合でも、ファクシミリ装置によって送受信された電子データを授受し電子保存する事業者は、改正電子帳簿保存法の保存要件を満たす電子データ保存を行う必要がある。この点、現在種々提供されているファクシミリデータの電子的な保存サービスを利用している事業者は、法的な保存要件を満たして電子データ保存が義務付けられることになる。
【0011】
取引データの電子保存要件としては、「真実性の確保」と「可視性の確保」が規定されている。「真実性の確保」の要件は、保存されている電子データが改ざん等の不正処理が行われていない真正のものであることを保証することを求めている。この点、令和4年1月1日施行の改正電子帳簿保存法においては、第三者が提供するクラウドサービスにおいて、記録時刻の変更ができず、「記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う」ことにより、保存データにタイムスタンプを付与することなく真実性を確保することができる旨明らかにされている。また、「可視性の確保」の要件は、「保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと」、「電子計算機処理システムの概要書を備え付けること」、といった事務的な要件とともに、保存されている取引データについて「検索機能を確保すること」という技術的な要件が課せられている。この検索機能に関する要件は、帳簿及び取引書類の検索要件である「取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿・書類の種類に応じた主要な記録項目により検索できること」、「日付又は金額の範囲指定により検索できること」、「二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること」に相当するが、保存義務者が税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合、最初の要件のみに対応すればよい。またその場合の記録項目は、取引年月日、取引金額、及び取引先に限定されることとされている。
【0012】
本願発明は、タイムスタンプを用いることなく「真実性の確保」の要件を満たすべく取引データの改ざん等を防止できる構成とし、また税務職員の求めに応じてダウンロードした場合や、法定保存期間内でのサービス契約終了による取引データの引き取りにおいても、取引データの改ざん等を同様に防止することができる構成を提案する。また、電子データのダウンロードによる提出を前提として、取引年月日、取引金額、及び取引先の記録項目によるファイル名付与での「可視性の確保」の要件をも満たすことで、改正電子帳簿保存法の規定に適合する電子データ保存を可能としている。また、ファクシミリの送受信データ及び、複合機でのスキャニングデータの取り込み、電子メールの授受、API連携等により取引情報をシームレスに取り扱うことを可能として、ユーザの利便性を高めている。なお、本明細書では、業務情報データファイル管理システム100が行うデータ処理の対象となる情報全般を「業務情報」と称することとする。業務情報のうち、改正電子帳簿保存法の適用対象となる業務情報を「取引情報」と称し、それ以外の改正電子帳簿保存法の対象とならない業務情報を、「通常業務情報」と称することとする。
【0013】
[本願の実施形態に係る業務情報データファイル管理システム]
図1に、本願の一実施形態に係る業務情報データファイル管理システムとそのシステムのユーザ端末として機能する一以上のクライアント装置とを備えている業務情報処理システムを含む業務情報処理系の全体構成図を例示している。業務情報処理系は、前記のように、業務情報データファイル管理システム100(以下「業務情報管理システム100」と略称)と、その業務情報管理システム100とネットワーク500を介して通信可能に接続されている一以上のクライアント装置200とを含む。業務情報管理システム100はまた、ファクシミリ送受信システム300(以下「FAXシステム300」と略称)、受注業務管理システム400(以下「受注システム400」と略称)と、ネットワーク500によって相互に通信可能に接続することができる。ネットワーク500は、インターネット、WAN、LAN、移動体通信ネットワーク等の各種通信ネットワークを含んで構成することができる。業務情報管理システム100、FAXシステム300.受注システム400は、それぞれ、ネットワーク500上に分散配置される複数のノードからなるクラウドコンピューティングシステムとして好適に構成される。
【0014】
業務情報管理システム100は、改正電子帳簿保存法に規定する取引情報データ保存要件を満たした保存と真実性を満たしたダウンロードを実行する機能を備える。業務情報管理システム100の機能は、データ処理フローを例示するフローチャート等とともに後述する。
【0015】
クライアント装置200は業務情報管理システム100が提供する機能を利用するユーザたる事業者が保有する端末装置であり、ネットワーク500との通信機能を有するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。クライアント装置200を保有する各ユーザは、また、FAXシステム300を介して他の事業者のファクシミリ装置とデータの送受信を行うサービス、受注システム400を介して他の事業者からの発注データを電子データとして受信するサービスを利用することができる。クライアント装置200を保有する事業者が送受信する電子取引のデータは、電子データ保存の満たすべき保存要件に則って業務情報管理システム100に格納される。
【0016】
FAXシステム300は、図示を省略するファクシミリ装置と通信回線を介して接続可能とされており、ファクシミリ装置から受信するファクシミリデータを通常のコンピュータにて読取り可能な形式のデータファイル(例えばPDF形式ファイル)に変換し、電子メールに添付して、当該FAXシステム300が提供するFAX送受信サービスを利用するユーザに転送する機能を有する。FAXシステム300はまた、ユーザから電子メール等の形式で受信するデータをファクシミリデータに変換し、送信先であるファクシミリ装置に送信する機能を有する。FAXシステム300の機能により、ユーザは、ファクシミリ装置による情報授受を行っている事業者とも電子データによる取引を行うことが可能である。
【0017】
受注システム400は、当該受注システム400を利用するユーザに対して他の事業者から電子メール、ファクシミリにより送信される発注情報を転送する機能を有する。受注システム400の機能により、ユーザは、受注処理に関する煩雑な事務処理の軽減を図ることができる。
業務情報管理システム100のユーザは、FAXシステム300、受注システム400によるサービスを利用する場合、FAXシステム300、受注システム400により授受される業務情報に係る電子データを、業務情報管理システム100の機能を用いて保存、管理することができる。
【0018】
[業務情報処理システム1の機能]
図2に、
図1に示す業務情報管理システム100周辺の主要な機能を模式的に示している。業務情報管理システム100は、業務情報登録機能110、業務情報格納機能120、業務情報提供機能130、及び業務情報管理機能140を有する。クライアント装置200から手動でアップロードされ、あるいは電子メール連携機能により自動的に取り込まれる業務情報データ、FAXシステム300によるファクシミリ送受信サービス、受注システム400による受注業務代替サービスに係る各種業務情報データは、業務情報登録機能110によって業務情報格納機能120により格納される。格納された業務情報データファイルは、業務情報管理機能140によって管理される。具体的には、例えば、所定期間ダウンロード、閲覧等の対象として利用されなかったデータファイルは、業務情報管理機能140により自動的にアーカイブ化される等の処理が可能である。業務情報格納機能120が格納しているデータファイルは、クライアント装置200からの一括ダウンロード命令に基づいて、業務情報提供機能130によって真実性を確保したダウンロードが行われる。また、通常業務情報に係るデータについては、閲覧・編集、電子メールへの添付、API連携等による他の装置への送信、FAXシステム300を利用したファクシミリ送信サービスの用に供される。
【0019】
[業務情報管理システム100によるデータ処理の概要]
図3に、業務情報管理システム100、クライアント装置200、FAXシステム300、及び受注システム400によるデータ処理をシーケンス図で示している。なお、
図3の例では、クライアント装置200を保有するユーザが、FAXシステム300及び受注システム400と業務情報管理システム100との連携サービスを利用しているものとしている。
【0020】
<FAXシステム300からの取引情報登録処理>
ステップS1において、FAXシステム300は、他のファクシミリ装置からファクシミリデータを受信する。ステップS2において、FAXシステム300は、受信したファクシミリデータを、PDF形式等のコンピュータ可読ファイルに変換する。ステップS3において、FAXシステム300は、変換されたデータファイルを添付した電子メールにより、あるいはAPI連携を通じて、受信データを業務情報管理システム100に送信する。ステップS5において、業務情報管理システム100は、受信した取引情報データファイルを保存する。
【0021】
<受注システム400からの取引情報登録処理>
ステップS4において、受注システム400は、他の事業者から電子メールあるいはファクシミリで取引情報をデータとして受信する。ステップS5において、受注システム400は、電子メール又はAPI連携を通じて業務情報管理システム100に受信データを送信する。ステップS5において、業務情報管理システム100は、受信した取引情報データファイルを登録し、保存する。
【0022】
<クライアント装置200からの業務情報登録処理>
ステップS10において、クライアント装置200から、手動でのアップロード、あるいは電子メール添付ファイルとしての送信により、取引情報、通常業務情報に係るデータファイルが業務情報管理システム100に送信される。ステップS11において、業務情報管理システム100は、受信した取引情報に係るデータファイルを登録し、保存する。後述するが、クライアント装置200には、この業務情報登録処理において、取引情報の入力支援機能が業務情報管理システム100から提供される。
【0023】
<業務情報読出し処理>
ステップS20において、クライアント装置200は、ウェブブラウザ、又はAPI連携を通じて業務情報管理システム100に保存されているデータファイルの読出しを要求する。ステップS21において、業務情報管理システム100は、ファイル読出し要求を受信し、ステップS22において、要求に係るデータファイルを読み出す。ステップS23において、業務情報管理システム100は、読み出したデータファイルを要求元であるクライアント装置200に送信する。読出しの対象が取引情報である場合は、この読出し命令は一括ダウンロード命令となり、要求対象のデータファイル及びその対応するメタデータとが要求元のクライアント装置200に送信される。
【0024】
このように、本実施形態においては、業務情報管理システム100を一つのハブとして、クライアント装置200、FAXシステム300、受注システム400の間において、電子データをシームレスに授受することができ、ユーザの利便性を高めている。
【0025】
[業務情報管理システム100の構成]
次に、業務情報管理システム100の構成例について説明する。
図4に、本実施形態の業務情報管理システム100のハードウェア構成例を示している。
図4において、業務情報管理システム100は、CPU、GPU等のプロセッサ101、ROM、RAM等のメモリ102、HDD、SSD等の補助記憶部103、キーボード、モニタディスプレイ等の入出力部104、ハードウェア各部間でのデータ送受信を行うデータインタフェイス部(データIF部)105、及びネットワーク500との通信を行う通信部106を備える。
【0026】
業務情報管理システム100は、複数の
図4に示すようなコンピュータが、ネットワーク500で通信可能に接続されたクラウドコンピューティングシステムとして好適に構成される。また、クライアント装置200、FAXシステム300、及び受注システム400も、それぞれ基本的に
図4に例示するハードウェア構成を有するコンピュータとして構成することができる。
【0027】
次に、本実施形態に係る業務情報管理システム100の機能について、
図5を参照して説明する。
図5は、業務情報管理システム100の機能構成を例示するブロック図である。業務情報管理システム100は、業務情報登録部110(業務情報データファイル登録部)、業務情報格納部120(業務情報データファイル格納部)、業務情報提供部130(業務情報データファイル提供部)、及び業務情報管理部140(業務情報データファイル管理部)の機能ブロックを有し、それぞれが、
図2における業務情報登録機能110、業務情報格納機能120、業務情報提供機能130、及び業務情報管理機能140に対応している。これらの機能部は、それぞれ
図4のプロセッサ101によって対応するプログラムを実行することにより実現され、各プログラムは補助記憶部103に格納しておき、プロセッサ101によってメモリ102に読み出されて実行されるように構成することができる。
【0028】
業務情報登録部110は、業務情報記録部111、ハッシュ値計算部112、及びメタデータ生成部113を備えている。業務情報登録部110は、クライアント装置200、FAXシステム300、受注システム400から受信するファクシミリデータ、及び各種メール添付データ等を、改正電子帳簿保存法の電子データ保存に係る真実性、可視性要件を満たす形態で業務情報格納部120に格納する機能を有する。
業務情報記録部111は、業務情報格納部120に格納すべきデータファイルを、改正電子帳簿保存法の要件に従って保存すべき国税関係取引情報(取引情報データファイル)と、それ以外の業務情報(通常業務情報データファイル)とに分離保存する入力操作支援機能を有する。具体的には、業務情報記録部111は、格納しようとするデータファイルの種類に応じた要件に即して、必要な入力支援機能を提供することにより、取引情報と通常業務情報とを分離して保存、運用することができる。なお、業務情報記録部111には光学文字認識(OCR)機能が設けられ、データファイルがイメージファイルである場合には、OCR機能により文字列を認識させるすることもできる。
【0029】
ハッシュ値計算部112は、登録しようとする各業務情報データファイルについてハッシュ値を算出する機能を有する。ハッシュ値の算出は、適宜の出力長を有するSHA-2アルゴリズム等を用いて実行することができる。算出されたハッシュ値は、保存データファイルが登録後において改ざんされていないことを保障するために利用される。
【0030】
メタデータ生成部113は、登録される国税関係取引書類等の取引情報の電子データファイルのそれぞれについて、検索のキーとなる記録項目、具体的には取引年月日、取引金額、及び取引先と、当該データファイルについて算出されたハッシュ値とを一連のメタデータとして生成する。生成されたメタデータは、適宜のスプレッドシート(一例としてMSExcel(マイクロソフト社))形式データとして自動生成しておく。
【0031】
業務情報格納部120は、業務情報登録部110によって登録される業務情報データファイルを格納するデータ記憶領域であり、業務情報管理システム100の補助記憶部103を用いて設定された論理記憶領域である。業務情報格納部120は、取引情報に分類された電子データを格納する領域である取引情報格納領域121(取引情報格納領域)と、それ以外の業務情報データファイルを格納する通常業務情報格納領域122(通常業務情報格納領域)とを備えている。業務情報登録部110は、業務情報記録部111の入力操作支援機能を利用してデータファイルをいずれかの格納領域に格納する。
【0032】
図6に、業務情報格納部120の構成例を示している。
図6は、業務情報格納部120内に設定されるファイル格納領域600の構成例を模式的に示すブロック図である。ファイル格納領域600は業務情報格納領域120内に、業務情報管理システム100のユーザごとに設けられ、
図6にはユーザであるX社に割り当てられている領域として示されている。ファイル格納領域600は、取引情報格納領域610と通常業務情報格納領域620とに区分される。取引情報格納領域610内はさらに、X社の取引先等により区分され、
図6の例では、A社格納領域611、B社格納領域612等が設けられている。例えば取引情報格納領域610のA社格納領域611には、請求書、領収書等の、電子帳簿保存法の規定に従って保存されるべき電子データDTが格納されている。一方、通常業務情報格納領域620内も、同様に、X社の取引先等により区分され、
図6の例では、A社格納領域621、B社格納領域622等が設けられている。通常業務情報格納領域620には、電子帳簿保存法の対象とならない通常業務情報データファイルDNが格納されている。
【0033】
業務情報提供部130は、クライアント装置200からの要求に基づいて、業務情報格納部120から要求に係る業務情報データファイルを抽出して提供する機能を有する。業務情報提供部130は、業務情報抽出部131、及び圧縮処理部132を有する。業務情報抽出部131は、クライアント装置200からの閲覧要求又はダウンロード要求に係る業務情報データファイルを業務情報格納部120から抽出する。圧縮処理部132は、業務情報データファイルの読出し要求について、抽出された該当ファイルの圧縮ファイルを生成する。取引情報データファイルからの圧縮ファイルには、ダウンロード対象である各データファイルのメタデータが記載されたスプレッドシート形式ファイルも含められる。
【0034】
業務情報管理部140は、業務情報格納部120に格納されている業務情報データファイルの保存状況を管理する機能を有する。業務情報管理部140は、業務情報整理部141を備えている。業務情報整理部141は、例えば過去一定期間にわたってまったく利用されていないデータファイル、あるいは既定の保存期限を過ぎたデータファイルについて、それら該当データファイルのオーナーに属するクライアント装置200に通知する、あるいは自動的に所定領域(例えば「ゴミ箱」領域)に移動する、アーカイブ化する等のデータ処理を実行する。
【0035】
[業務情報管理システム100によるデータ処理]
すでに説明したように、業務情報管理システム100は、改正電子帳簿保存法に規定する取引情報データの保存要件を遵守しつつ、国税関係取引書類等取引情報の電子データその他の電子データを登録保存し、必要に応じて容易にダウンロード、閲覧等の利用に供するようにする機能を実現している。以下具体的なそのデータ処理について説明する。
【0036】
<業務情報データファイル登録処理>
図7に、業務情報管理システム100の業務情報登録処理例を、フローチャートで示している。業務情報登録処理は、業務情報管理システム100の業務情報登録部110が実行する。
図7の業務情報登録処理フローは、業務情報管理システム100が、クライアント装置200、FAXシステム300、あるいは受注システム400から業務情報データファイルを受信したことをもって開始される。
【0037】
ステップS701において、業務情報登録部110はクライアント装置200、FAXシステム300又は受注システム400から業務情報データファイルを受信する。
【0038】
ステップS702において、ハッシュ値計算部112が当該データファイルのハッシュ値を所定のアルゴリズムによって算出する。
ステップS703において、業務情報記録部111は、業務情報データファイルのファイル名、当該業務情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該業務情報データファイルについて計算されたハッシュ値を所定領域に記録する。本ステップまでの処理は、受信されたデータファイルが取引情報であるか通常業務情報であるかを問わず共通に実行される。
【0039】
ステップS704において、業務情報記録部111は、受信した業務情報データファイルを取引情報、具体的には国税関係書類等の取引情報とそれ以外の通常業務情報データファイルとに分類して登録する処理を支援する。分類は、業務情報記録部111が保存対象業務情報の要件に応じた保存方法を強制して適正な保存方法を支援する。具体的には、後述するように、クライアント装置200におけるユーザの取引情報か通常業務情報かの選択、あるいは、受信メールのヘッダ情報に所定の規則で記述されている当該メールに添付されているファイルの種別を示す情報(書類名、取引先などの相手先識別情報)に基づいて分類される。
図9に、取引情報に係るデータファイルを登録する際に表示される入力支援画面の構成例900を示している。
図9の例では、入力支援画面に、アップロードするために選択したファイルから取得したファイル名が自動入力されており、取引情報を登録する際に要求される項目である取引日、取引先、取引金額、文書種別の入力フィールドが「必須」のラベルを付して設けられている。クライアント装置200からファイルを登録しようとするユーザは、この画面に従って、必須の入力項目を入力したうえでアップロードの操作を行えばよい。アップロードの対象が取引情報でない通常業務情報に係るファイルであれば、業務情報記録部111は、画面上での直感的な操作でファイルの移動を可能とするファイルブラウザの機能をユーザインタフェイス(UI)として提供する。
【0040】
ステップS705において、業務情報記録部111は、受信した業務情報データファイルが取引情報に係る書類であるか、それ以外の業務情報であるかを分離保存できる入力支援機能を並列で提供する。取引情報に係る書類である場合(ステップS705が「1:取引」)、ステップS706において、メタデータ生成部113が、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額、文書種別及び、取引情報データファイルのファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録する。ステップS707において、業務情報登録部110は、該当データファイルを業務情報格納部120の取引情報格納領域121へ格納することを支援する。
【0041】
一方、ステップS705において、受信した業務情報データファイルが取引情報に係る書類でない通常業務情報のデータファイルである場合(ステップS705が「2:通常」)、ステップS708において、業務情報登録部110は、該当データファイルを業務情報格納部120の通常業務情報格納領域122に格納する。
【0042】
ステップS709において、業務情報登録部110は、受信処理を待っているデータファイルがあるか判定し、受信待ちデータファイルがあると判定した場合(ステップS709がYes)、ステップS701の処理へ戻る。受信待ちデータファイルがないと判定した場合(ステップS709がNo)、業務情報登録部110は業務情報登録処理を終了する。
【0043】
以上説明した業務情報登録処理によれば、取引情報である国税関係取引書類の電子データについて、その他の通常の電子データとは区別して、電子帳簿保存法が求める「真実性の確保」、「可視性の確保」という保存要件を満たす形態で、該当電子データを保存することができる。
【0044】
<業務情報データファイル提供処理>
図8に、業務情報管理システム100の業務情報提供処理例を、フローチャートで示している。業務情報提供処理は、業務情報管理システム100の業務情報提供部130が実行する。
図8の業務情報提供処理フローは、業務情報管理システム100がクライアント装置200から業務情報データファイルのダウンロード命令を受信したことをもって開始される。
【0045】
ステップS801において、業務情報提供部130は、クライアント装置200から業務情報データファイルのダウンロード命令を受信する。
図9に、業務情報管理システム100が出力表示する利用サービス選択画面例を示している。クライアント装置200を操作するユーザは、業務情報管理システム100に格納されているデータを利用しようとする場合、対象データファイルが取引情報に係る電子データであるか、その他の通常業務情報に係る電子データであるかを
図10に例示する取引情報管理ボタン1010か、通常業務情報管理ボタン1020かを選択操作することにより、いずれのデータファイルを利用するかを業務情報管理システム100に入力することができる。
【0046】
ステップS802において、業務情報提供部130は、クライアント装置200から受信したダウンロード命令が、いずれの業務情報データファイルを対象とするものであるかを判定する。対象データファイルが取引情報であると判定した場合(ステップS802が「1:取引」)、ステップS803において、業務情報抽出部131は、業務情報格納部120の取引情報格納領域121から該当データファイルを読み出す。
【0047】
ステップS804において、業務情報抽出部131は、読み出したデータファイルについて、読取り専用形式でメタデータを生成する。具体的には、業務情報抽出部131は、業務情報登録処理において生成されているメタデータを記録したスプレッドシート形式データから該当読出しファイルに対応するレコードを抽出して、それらのメタデータが記録されたあらたなスプレッドシートファイルを、読取り専用形式で生成する。
【0048】
ステップS805において、圧縮処理部132は、読み出された業務情報データファイルとステップS804で生成されたメタデータを含むスプレッドシートファイルとを格納した圧縮ファイルを生成する。
【0049】
ステップS806において、業務情報提供部130は、ステップS805で生成された圧縮ファイルを要求元であるクライアント装置200へ送信して処理を終了する。なお、取引情報のデータファイルを閲覧するために読み出して出力することも可能である。その場合、読み出されたデータファイルにおいて、保存要件の観点から登録日のデータについては編集不可に設定される。
【0050】
一方、ステップS802においてクライアント装置200からの要求が通常業務情報のファイルを対象とするものであると判定された場合(ステップS802が「2:通常」)、ステップS807において、業務情報抽出部131は、業務情報格納部120の通常業務情報格納領域122から該当データファイルを読み出す。ステップS808において、圧縮処理部132は、読み出された通常業務情報データファイルを圧縮処理して圧縮ファイルを生成する。ステップS809において、業務情報提供部130は、ステップS808で生成された圧縮ファイルを要求元であるクライアント装置200へ送信して処理を終了する。なお、通常業務情報に関しては、圧縮ファイルを生成することなく読み出したファイルをそのまま転送するようにしてもよい。
【0051】
図10に、業務情報提供部130が生成した圧縮ファイルを、受信したクライアント装置200において解凍した際に表示される画面例1000を示している。
図10の画面例1000では、圧縮ファイルに含まれている5個の取引情報データファイルと、1個のメタデータファイルについて、それぞれの名前、更新日時、種類、及びファイルサイズが記録されている。
図11に、
図10のメタデータファイルであるスプレッドイートファイルを開いて表示される詳細情報一覧画面例1100を示している。詳細情報一覧画面例1100には、ダウンロードされたデータファイルを格納する圧縮ファイルに含まれている5個の取引情報データファイルのメタデータがそれぞれ記録されており、各データファイルのファイル名、登録日、処理日、入力担当者ID、書類種別、及びハッシュ値が記録されている。また、各データファイルに関する記録事項に加えて、業務情報管理システム100による業務情報管理サービスを提供している事業者に関するデータも含まれている。
【0052】
以上のように、国税関係取引書類等の取引情報に係るデータファイルをダウンロードした場合でも、ダウンロードされたデータファイルの真実性は、登録日の編集が禁止されたデータファイルと読取り専用に設定されたメタデータ、及び各データファイルについて算出されたハッシュ値の記録によって確保される。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態に係る業務情報管理システム100によれば、種々の連携システムからの入力情報を、タイムスタンプサービスを利用することなく電子データの保存要件を満たすような取引書類の電子データ保存を可能としつつ、利便性を向上させることができる。
【0054】
なお、前記のように、電子帳簿保存法に規定されている電子取引情報に関わる取引情報データファイルを本実施形態の業務情報データファイル管理システム100で保存することにより、電子帳簿保存法の保存要件を満たす電子データ保存が可能となっている。
【0055】
また。業務情報登録部110は、電子メールの添付ファイル、及びファクシミリデータから外部装置によって変換されてなる取引情報データファイルを受け取るように構成することができる。
このようにすれば、業務情報管理システム100と外部のファクシミリ送受信システムとの間で円滑なデータ授受を実現することができる。
【0056】
また、業務情報登録部110、業務情報提供部130を、それぞれアプリケーションプログラムインタフェース(API)を介してクライアント装置200等の他の外部装置から操作可能に構成することができる。
このようにすれば、クライアント装置200等の外部装置から業務情報管理システム100の機能を容易に利用することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0057】
また、前記業務情報提供部130は、出力された取引情報データファイルをファクシミリデータに変換する外部装置に接続することができる。
このようにすれば、業務情報提供部130が業務情報格納部120から抽出した取引情報データファイルをファクシミリで送信することが可能となる。
【0058】
また、業務情報登録部110は、登録しようとする取引情報データファイルに含まれている相手先判別情報を取得して取引情報データファイルを前記取引情報データファイルに分類するように構成することができる。
このようにすれば、受信した取引情報ファイルデータは、読み取った相手先判別情報を利用して自動的に分類され、業務情報振り分け処理の省力化、効率化が可能となる。
【0059】
また、業務情報管理システム100に業務情報管理部140をさらに備え、業務情報データファイル管理部は、前記業務情報データファイル格納部に格納されている各業務情報データファイルの利用状況をモニタし、所定期間利用されない状態が継続していると判定された業務情報データファイルを整理するように構成することができる。
このようにすれば、利用されていない、あるいは利用頻度が低いデータファイルをアーカイブ化等によって整理することにより、業務情報格納部120のデータ格納領域を有効利用することができる。
【0060】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、
図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が業務情報管理システム100に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図2の例に限定されない。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよい。
【0061】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0062】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、上記実施形態と変形例の各構成を組み合わせることも可能である。更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
100 業務情報データファイル管理システム
110 業務情報登録部
120 業務情報格納部
121 取引情報格納領域
122 通常業務情報格納領域
130 業務情報提供部
140 業務情報管理部
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて、電子帳簿保存法に規定されている電子取引情報に関わるデータファイルである取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録する業務情報データファイル登録部と、
前記業務情報データファイル登録部により分類された取引情報データファイルが格納される取引情報格納領域と、前記業務情報データファイル登録部により分類された通常業務情報データファイルが格納される通常業務情報格納領域とを有する業務情報データファイル格納部と、
出力指示入力に応じて前記業務情報データファイル格納部の前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する業務情報データファイル提供部と、を備え、
前記業務情報データファイル登録部は、前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルに記録されている、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録し、
前記業務情報データファイル提供部は、前記業務情報データファイル格納部に格納されている前記取引情報データファイルを読み出して他の情報処理システムに移行させる場合、前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記ハッシュ値が記録されている前記メタデータを読取り専用形式のファイルとし、前記取引情報データファイルとともに出力する、
業務情報データファイル管理システム。
【請求項2】
前記業務情報データファイル登録部は、前記取引情報データファイルを、電子メールの添付ファイル、及びファクシミリデータから変換されたコンピュータ可読データファイルとして受け取るように構成されている、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項3】
前記業務情報データファイル登録部、前記業務情報データファイル提供部は、それぞれアプリケーションプログラムインタフェースを介して他の外部装置から操作可能に構成されている、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項4】
前記業務情報データファイル提供部は、出力された取引情報データファイルをファクシミリデータに変換する外部装置に接続されている、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項5】
前記業務情報データファイル登録部は、登録しようとする業務情報データファイルに含まれている相手先判別情報を取得して前記業務情報データファイルを前記取引情報データファイルに分類するように構成されている、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項6】
業務情報データファイル管理部をさらに備え、前記業務情報データファイル管理部は、前記業務情報データファイル格納部に格納されている各業務情報データファイルの利用状況をモニタしており、所定期間利用されない状態が継続していると判定された業務情報データファイルを整理するように構成されている、請求項1に記載の業務情報データファイル管理システム。
【請求項7】
情報処理装置が、
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて、電子帳簿保存法に規定されている電子取引情報に関わるデータファイルである取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録し、
前記分類された取引情報データファイルを取引情報格納領域に格納し、前記分類された通常業務情報データファイルを通常業務情報格納領域に格納し、
出力指示入力に応じて前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力し、
前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルの、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録し、
前記業務情報データファイル格納部に格納されている前記取引情報データファイルを読み出して他の情報処理システムに移行させる場合、前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記ハッシュ値が記録されている前記メタデータを読取り専用形式のファイルとし、前記取引情報データファイルとともに出力する、
業務情報データファイル管理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
外部から入力される業務情報データファイルについて、当該業務情報データファイルの種別に応じて、電子帳簿保存法に規定されている電子取引情報に関わるデータファイルである取引情報データファイルと通常業務情報データファイルとに分類して登録する処理と、
前記分類された取引情報データファイルを取引情報格納領域に格納し、前記分類された通常業務情報データファイルを通常業務情報格納領域に格納する処理と、
出力指示入力に応じて前記取引情報格納領域から前記取引情報データファイルを、又は前記通常業務情報格納領域から前記通常業務情報データファイルを抽出して所定の形式で出力する処理と、
前記取引情報データファイルを前記取引情報格納領域に格納する際に、当該取引情報データファイルの、法令が定めた可視性のために必要な取引年月日、取引先名、金額及び、ファイル名、当該取引情報データファイルの格納された日を示す登録日、及び当該取引情報データファイルについて計算されたハッシュ値を当該取引情報データファイルのメタデータとして記録する処理と、
前記業務情報データファイル格納部に格納されている前記取引情報データファイルを読み出して他の情報処理システムに移行させる場合、前記出力指示入力に応じて前記取引情報データファイルを抽出する際に、前記取引情報データファイルの登録日を書き換え禁止に設定するとともに、前記ハッシュ値が記録されている前記メタデータを読取り専用形式のファイルとし、前記取引情報データファイルとともに出力する処理と、
を実行させるプログラム。