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特開2023-87929内視鏡湾曲管、内視鏡、内視鏡湾曲管の製造方法、及び内視鏡の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087929
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】内視鏡湾曲管、内視鏡、内視鏡湾曲管の製造方法、及び内視鏡の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20230619BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61B1/008 511
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202490
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊豆倉 雅人
(72)【発明者】
【氏名】北川 英哉
(72)【発明者】
【氏名】須田 信行
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA21
2H040DA14
2H040DA17
2H040DA19
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF33
4C161JJ01
4C161JJ06
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上させること。
【解決手段】内視鏡湾曲管は、複数の節輪を連結してなる。節輪は、貫通孔6315を有する第1の節輪63と、貫通孔6315に挿通される円筒状の凸部6412を有する第2の節輪64と、を有する。凸部6412の先端部6414は、基端部6415よりも凸部6412の径方向に拡げられている。先端部6414における内周側のエッジ部6416は、凸部6412の中心軸を含む平面によって先端部6414を切断した場合に、90°以上の角度θを成している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の節輪を連結してなる内視鏡湾曲管であって、
前記節輪は、
貫通孔を有する第1の節輪と、
前記貫通孔に挿通される円筒状の凸部を有する第2の節輪と、を有し、
前記凸部の先端部は、
前記凸部の基端部よりも前記凸部の径方向に拡げられており、
前記先端部における内周側のエッジ部は、
前記凸部の中心軸を含む平面によって前記先端部を切断した場合に、90°以上の角度を成している内視鏡湾曲管。
【請求項2】
前記エッジ部は、
前記凸部の中心軸を含む平面によって前記先端部を切断した場合に、鈍角を成している請求項1に記載の内視鏡湾曲管。
【請求項3】
前記凸部は、
前記基端部から前記先端部に向かうにしたがって前記凸部の径方向に拡げられている請求項1または2に記載の内視鏡湾曲管。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の内視鏡湾曲管を備える内視鏡。
【請求項5】
第1の貫通孔を第1の基板に設ける第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に挿通される円筒状の凸部を第2の基板に形成する凸部形成工程と、
前記凸部を前記第1の貫通孔に挿通した後、前記凸部の先端部を拡径することによって前記第1の基板及び前記第2の基板を連結する基板連結工程と、
前記基板連結工程によって連結された前記第1の基板の一部と前記第2の基板の一部とを円筒状に丸めて連結することによって複数の節輪からなる内視鏡湾曲管を形成する湾曲管形成工程と、を備え、
前記凸部形成工程は、
前記第2の基板に第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の基板における前記第2の貫通孔の貫通方向両側の第1の面側及び第2の面側のうち、前記第2の貫通孔における前記第1の面側の内周側のエッジ部に斜面を形成する斜面形成工程と、
前記第1の面側からポンチを用いることによって前記第2の貫通孔に対してバーリング加工による円筒状の凸部を形成する凸部形成工程と、を有する内視鏡湾曲管の製造方法。
【請求項6】
前記凸部形成工程は、
順送プレス加工によって実行される請求項5に記載の内視鏡湾曲管の製造方法。
【請求項7】
前記第1の基板及び前記第2の基板は、
それぞれ金属製のシートであり、
前記第2の貫通孔形成工程及び前記凸部形成工程は、
それぞれプレス加工によって実行され、
前記第2の貫通孔形成工程及び前記凸部形成工程と前記基板連結工程との間には、
前記第1の基板及び前記第2の基板に対してそれぞれプレスバリを除去するバリ取り工程、及び、前記第1の基板及び前記第2の基板をそれぞれ洗浄する洗浄工程を含む請求項5または6に記載の内視鏡湾曲管の製造方法。
【請求項8】
第1の貫通孔を第1の基板に設ける第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に挿通される円筒状の凸部を第2の基板に形成する凸部形成工程と、
前記凸部を前記第1の貫通孔に挿通した後、前記凸部の先端部を拡径することによって前記第1の基板及び前記第2の基板を連結する基板連結工程と、
前記基板連結工程によって連結された前記第1の基板の一部と前記第2の基板の一部とを円筒状に丸めて連結することによって複数の節輪からなる内視鏡湾曲管を形成する湾曲管形成工程と、を備え、
前記凸部形成工程は、
前記第2の基板に第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に対してバーリング加工による円筒状の凸部を形成する凸部形成工程と、
前記凸部の先端部における内周側のエッジ部を面取りする面取り工程と、を有する内視鏡湾曲管の製造方法。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1つに記載の内視鏡湾曲管の製造方法を備える内視鏡の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡湾曲管、内視鏡、内視鏡湾曲管の製造方法、及び内視鏡の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡は、一部が被検体内(生体内)に挿入される挿入部を備える(例えば、特許文献1参照)。この挿入部は、可撓性を有する長尺状の可撓管と、当該可撓管の先端に連結され、湾曲可能に構成された内視鏡湾曲管と、当該内視鏡湾曲管の先端に連結された先端ユニットとを備える。また、内視鏡湾曲管は、先端ユニットに連結される前端節輪と、可撓管に連結される後端節輪と、当該前端節輪及び当該後端節輪の間において、当該内視鏡湾曲管の長手軸に沿って交互に連結される複数の第1,第2の節輪とを備える。
ここで、第1の節輪は、貫通孔を有する。一方、第2の節輪は、第1の節輪の貫通孔に挿通される円筒状の凸部を有する。そして、第1,第2の節輪は、貫通孔に凸部を挿通した状態で、拡開パンチによって凸部の先端部を拡開することによって、互いに回動可能に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5404154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、拡開パンチを用いて凸部の先端部を拡開する際に、当該先端部にクラックが発生してしまう場合があった。
そこで、凸部の先端部へのクラックの発生を抑制し、製品としての耐久性を向上させることができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クラックの発生を抑制することにより耐久性をより向上させることができる内視鏡湾曲管、内視鏡、内視鏡湾曲管の製造方法、及び内視鏡の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内視鏡湾曲管は、複数の節輪を連結してなる内視鏡湾曲管であって、前記節輪は、貫通孔を有する第1の節輪と、前記貫通孔に挿通される円筒状の凸部を有する第2の節輪と、を有し、前記凸部の先端部は、前記凸部の基端部よりも前記凸部の径方向に拡げられており、前記先端部における内周側のエッジ部は、前記凸部の中心軸を含む平面によって前記先端部を切断した場合に、90°以上の角度を成している。
【0007】
本発明に係る内視鏡は、上述した内視鏡湾曲管を備える。
【0008】
本発明に係る内視鏡湾曲管の製造方法は、第1の貫通孔を第1の基板に設ける第1の貫通孔形成工程と、前記第1の貫通孔に挿通される円筒状の凸部を第2の基板に形成する凸部形成工程と、前記凸部を前記第1の貫通孔に挿通した後、前記凸部の先端部を拡径することによって前記第1の基板及び前記第2の基板を連結する基板連結工程と、前記基板連結工程によって連結された前記第1の基板の一部と前記第2の基板の一部とを円筒状に丸めて連結することによって複数の節輪からなる内視鏡湾曲管を形成する湾曲管形成工程と、を備え、前記凸部形成工程は、前記第2の基板に第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、前記第2の基板における前記第2の貫通孔の貫通方向両側の第1の面側及び第2の面側のうち、前記第2の貫通孔における前記第1の面側の内周側のエッジ部に斜面を形成する斜面形成工程と、前記第1の面側からポンチを用いることによって前記第2の貫通孔に対してバーリング加工による円筒状の凸部を形成する凸部形成工程と、を有する。
【0009】
本発明に係る内視鏡湾曲管の製造方法は、第1の貫通孔を第1の基板に設ける第1の貫通孔形成工程と、前記第1の貫通孔に挿通される円筒状の凸部を第2の基板に形成する凸部形成工程と、前記凸部を前記第1の貫通孔に挿通した後、前記凸部の先端部を拡径することによって前記第1の基板及び前記第2の基板を連結する基板連結工程と、前記基板連結工程によって連結された前記第1の基板の一部と前記第2の基板の一部とを円筒状に丸めて連結することによって複数の節輪からなる内視鏡湾曲管を形成する湾曲管形成工程と、を備え、前記凸部形成工程は、前記第2の基板に第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、前記第2の貫通孔に対してバーリング加工による円筒状の凸部を形成する凸部形成工程と、前記凸部の先端部における内周側のエッジ部を面取りする面取り工程と、を有する。
【0010】
本発明に係る内視鏡の製造方法は、上述した内視鏡湾曲管の製造方法を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る内視鏡湾曲管、内視鏡、内視鏡湾曲管の製造方法、及び内視鏡の製造方法によれば、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態に係る内視鏡を示す図である。
図2図2は、内視鏡湾曲管を示す図である。
図3図3は、第1の節輪と第2の節輪との連結状態を示す図である。
図4図4は、図2に示したIV-IV線の断面図である。
図5図5は、図2に示したV-V線の断面図である。
図6図6は、図3に示したVI-VI線の断面図である。
図7図7は、内視鏡湾曲管の製造方法を示すフローチャートである。
図8図8は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図9図9は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図10図10は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図11図11は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図12図12は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図13図13は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図14図14は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図15図15は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図16図16は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図17図17は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図18図18は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図19図19は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図20図20は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図21図21は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図22図22は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図23図23は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図24図24は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図25図25は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図26図26は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図27図27は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図28図28は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図29図29は、内視鏡湾曲管の製造方法を説明する図である。
図30図30は、実施の形態の変形例1を説明する図である。
図31図31は、実施の形態の変形例2を説明する図である。
図32図32は、実施の形態の変形例3を説明する図である。
図33図33は、実施の形態の変形例4を説明する図である。
図34図34は、実施の形態の変形例5を説明する図である。
図35図35は、実施の形態の変形例5を説明する図である。
図36図36は、実施の形態の変形例5を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0014】
〔内視鏡の概略構成〕
図1は、実施の形態に係る内視鏡1を示す図である。
内視鏡1は、一部が被検体内(生体内)に挿入され、当該生体内から反射された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。そして、当該出力された画像信号は、外部の制御装置(図示略)に出力される。当該制御装置は、当該画像信号に対して所定の処理が施して内視鏡画像を生成した後、外部の表示装置(図示略)の動作を制御し、当該表示装置に当該内視鏡画像を表示させる。
【0015】
この内視鏡1は、図1に示すように、挿入部2と、操作部3と、ユニバーサルコード4とを備える。
挿入部2は、少なくとも一部が可撓性を有し、生体内に挿入される部分である。この挿入部2は、図1に示すように、先端ユニット5と、内視鏡湾曲管6と、可撓管7とを備える。
【0016】
先端ユニット5は、挿入部2の先端に設けられている。そして、先端ユニット5には、具体的な図示は省略したが、照明光学系と、撮像光学系と、撮像ユニットとが設けられている。
照明光学系は、挿入部2内に引き回されたライトガイド(図示略)の一端に対向し、外部の光学装置(図示略)から出射され当該ライトガイドによって伝達された光を当該挿入部2の先端から生体内に照射する。
撮像光学系は、照明光学系から生体内に照射され、当該生体内から反射された光(被写体像)を取り込み、撮像ユニットを構成する撮像素子の撮像面に結像する。
撮像ユニットは、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、撮像光学系によって結像された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。
【0017】
内視鏡湾曲管6は、先端ユニット5の基端側(操作部3側)に連結され、湾曲可能に構成されている。
なお、内視鏡湾曲管6の詳細な構成については、後述する「内視鏡湾曲管の構成」において説明する。
可撓管7は、内視鏡湾曲管6の基端側(操作部3側)に連結され、可撓性を有する長尺形状を有する。
【0018】
操作部3は、挿入部2における基端部分に対して接続されている。そして、操作部3は、内視鏡1に対する各種の操作を受け付ける。この操作部3は、図1に示すように、複数の操作部材31と、湾曲ノブ32と、挿入口33とが設けられている。
複数の操作部材31は、各種操作を受け付けるボタン等によって構成されている。
湾曲ノブ32は、ユーザ操作に応じて回動可能に構成されている。そして、湾曲ノブ32は、回動することによって、挿入部2内に配設された金属製または樹脂製のワイヤ等の湾曲機構(図示略)を動作させる。これによって、内視鏡湾曲管6は、湾曲する。
挿入口33は、挿入部2の先端から延在した管路(図示略)に連通し、外部から当該管路に対して穿刺針等の処置具(図示略)等を挿通するための挿入口である。
【0019】
ユニバーサルコード4は、操作部3から挿入部2の延在方向とは異なる方向に延在し、上述したライトガイド、及び、上述した画像信号を伝送する信号線等が配設されたコードであり、上述した外部の制御装置、及び上述した外部の光源装置と接続する。
【0020】
〔内視鏡湾曲管の構成〕
次に、内視鏡湾曲管6の構成について説明する。
図2は、内視鏡湾曲管6を示す図である。図3は、第1の節輪61と第2の節輪62との連結状態を示す図である。図4は、図2に示したIV-IV線の断面図である。図5は、図2に示したV-V線の断面図である。図6は、図3に示したVI-VI線の断面図である。
内視鏡湾曲管6は、図2に示すように、挿入部2の長手軸Axに沿って互いに連結された複数の節輪60を備える。
なお、具体的な図示は省略したが、複数の節輪60には、湾曲ノブ32へのユーザ操作に応じて動作する上述したワイヤが挿通される樹脂製等のワイヤ受けが取り付けられている。また、当該複数の節輪60の外周面は、ゴム材等の柔軟性のある外皮チューブによって被覆されている。
【0021】
節輪60は、図2に示すように、先端ユニット5に連結される前端節輪61と、可撓管7に連結される後端節輪62と、前端節輪61及び後端節輪62の間において、長手軸Axに沿って交互に連結される複数の第1,第2の節輪63,64とを備える。
【0022】
第1の節輪63は、図3及び図4に示すように、略円筒形状を有する。
この第1の節輪63において、当該第1の節輪63の中心軸を中心とする180°の回転対称位置には、第1のヒンジ部631がそれぞれ設けられている。なお、以下では、説明の便宜上、第1の節輪63において、一対の第1のヒンジ部631以外の円筒の一部をそれぞれ構成する部位を第1の周壁部632と記載する。
第1のヒンジ部631は、図3及び図4に示すように、一対の第1の平板部6311と、第2の平板部6312と、一対の段差部6313とを備える。
【0023】
一対の第1の平板部6311は、一対の第1の周壁部632における端部にそれぞれ接続する部分であり、それぞれ平板形状を有する。ここで、第1の平板部6311における幅方向(第1の節輪63の中心軸に沿う方向)の長さ寸法は、第1の周壁部632における幅方向の長さ寸法と同一であるが、内視鏡湾曲管6の湾曲角度設計によっては、第1の周壁部632における幅方向の長さ寸法が、第1の平板部6311における幅方向の長さ寸法よりも短くなる場合もある。
【0024】
第2の平板部6312は、一対の第1の平板部6311の間において、当該一対の第1の平板部6311の外面によって構成される平面よりも第1の節輪63の肉厚だけ当該第1の節輪63の外周側にオフセットした平板形状を有する。
また、第2の平板部6312は、第1の平板部6311よりも幅方向両側にそれぞれ延在した平面視略楕円形状を有する。以下では、説明の便宜上、第2の平板部6312において、第1の平板部6311よりも幅方向両側に突出した各部分を第1の舌片部6314と記載する。
【0025】
そして、第1の舌片部6314には、当該第1の舌片部6314を貫通する第1の貫通孔6315が設けられている。当該第1の貫通孔6315は、本発明に係る貫通孔及び第1の貫通孔に相当する。
この第1の貫通孔6315の内面は、図6に示すように、第1の節輪63の外周に向かうにしたがって(図6中、上方に向かうにしたがって)、内径寸法が大きくなるテーパ面によって構成されている。
【0026】
一対の段差部6313は、一対の第1の平板部6311と第2の平板部6312とをそれぞれ接続する部分である。
【0027】
なお、図2ないし図4に記載の符号「J1」は、後述する「内視鏡湾曲管の製造方法」におけるレーザ溶接等によって接合された第1の接合部である。
【0028】
第2の節輪64は、図3及び図5に示すように、略円筒形状を有する。なお、第2の節輪64の肉厚は、第1の節輪63の肉厚と同一である。
この第2の節輪64において、当該第2の節輪64の中心軸を中心とする180°の回転対称位置には、第2のヒンジ部641がそれぞれ設けられている。なお、以下では、説明の便宜上、第2の節輪64において、一対の第2のヒンジ部641以外の円筒の一部をそれぞれ構成する部位を第2の周壁部642と記載する。
【0029】
第2のヒンジ部641は、平板形状を有する。また、第2のヒンジ部641は、第2の周壁部642よりも幅方向(第2の節輪64の中心軸に沿う方向)両側にそれぞれ延在した平面視略楕円形状を有する。以下では、説明の便宜上、第2のヒンジ部641において、第2の周壁部642よりも幅方向両側に突出した各部分を第2の舌片部6411と記載する。
【0030】
そして、第2の舌片部6411には、図3及び図6に示すように、第2の節輪64の外周に向けて(図6中、上方に向けて)突出した円筒状の凸部6412がそれぞれ設けられている。なお、以下では、説明の便宜上、凸部6412の内側の孔を第2の貫通孔6413と記載する。
この凸部6412は、図6に示すように、第1の貫通孔6315に対して第1の節輪63の内周側(図6中、下方側)から挿通される。また、凸部6412は、第1の貫通孔6315の内面に沿うように先端部6414が基端部6415よりも当該凸部6412の径方向に拡げられている。これによって、第1,第2のヒンジ部631,641同士(第1,第2の節輪63,64同士)は、回動可能に連結する。
【0031】
ここで、先端部6414における内周側のエッジ部6416は、図6に示すように、当該先端部6414の中心軸を含む平面によって当該先端部6414を切断した場合に、鈍角の角度θを成している。
【0032】
なお、図2図3、及び図5に記載の符号「J2」は、後述する「内視鏡湾曲管の製造方法」におけるレーザ溶接等によって接合された第2の接合部である。
【0033】
前端節輪61は、第2の節輪64と略同様の形状を有する。すなわち、前端節輪61は、図2に示すように、一対の第2のヒンジ部641(第2の舌片部6411及び凸部6412(第2の貫通孔6413)を含む)及び一対の第2の周壁部642とそれぞれ同様の一対の第3のヒンジ部611(第3の舌片部6111及び凸部6112(第3の貫通孔6113)を含む)及び一対の第3の周壁部612を備える。なお、前端節輪61では、第2の節輪64とは異なり、第3のヒンジ部611には、1つのみの第3の舌片部6111が設けられている。
そして、前端節輪61は、凸部6112によって、第2の節輪64と同様に、第1の節輪63に対して回動可能に連結される。
【0034】
なお、図2に記載の符号「J3」は、後述する「内視鏡湾曲管の製造方法」におけるレーザ溶接等によって接合された第3の接合部である。
【0035】
後端節輪62は、第2の節輪64と略同様の形状を有する。すなわち、後端節輪62は、図2に示すように、一対の第2のヒンジ部641(第2の舌片部6411及び凸部6412(第2の貫通孔6413)を含む)及び一対の第2の周壁部642とそれぞれ同様の一対の第4のヒンジ部621(第4の舌片部6211及び凸部6212(第4の貫通孔6213)を含む)及び一対の第4の周壁部622を備える。なお、後端節輪62では、第2の節輪64とは異なり、第4のヒンジ部621には、1つのみの第4の舌片部6211が設けられている。
そして、後端節輪62は、凸部6212によって、第2の節輪64と同様に、第1の節輪63に対して回動可能に連結される。
【0036】
なお、図2に記載の符号「J4」は、後述する「内視鏡湾曲管の製造方法」におけるレーザ溶接等によって接合された第4の接合部である。
【0037】
〔内視鏡湾曲管の製造方法〕
次に、内視鏡湾曲管6の製造方法について説明する。
図7は、内視鏡湾曲管6の製造方法を示すフローチャートである。図8ないし図30は、内視鏡湾曲管6の製造方法を説明する図である。
具体的に、図8ないし図15は、ステップS1~S5を説明する図である。ここで、図9は、ステップS1における第1の下穴形成工程によって形成された図8に示す第1の下穴6315aを示す断面図である。図11は、ステップS2における第1の面打ち工程によって変形された図10に示す第1の下穴6315aを示す断面図である。図13は、ステップS3における穴トリム工程が行われることによって形成された図12に示す第1の貫通孔6315を示す断面図である。
【0038】
また、図16ないし図22は、ステップS7~S10を説明する図である。ここで、図17は、ステップS7における第2の下穴形成工程によって形成された図16に示す第2の下穴6413aを示す断面図である。図19は、ステップS8における第2の面打ち工程によって変形された図18に示す第2の下穴6413aを示す断面図である。図21は、ステップS9におけるバーリング加工工程によって形成された図20に示す第2の貫通孔6413及び凸部6412を示す断面図である。
【0039】
さらに、図23ないし図27は、ステップS12~S14を説明する図である。ここで、図24は、ステップS12における重ね合わせ工程によって第1の貫通孔6315に凸部6412が挿通された図23の状態を示す断面図である。図26は、ステップS14におけるバーリング開き工程によって先端部6414が拡開された図25の状態を示す断面図である。
【0040】
また、図28は、ステップS15,S16を説明する図である。さらに、図29は、ステップS17を説明する図である。
【0041】
図7に示すように、ステップS1~S6と、ステップS7~S11とは、並列に実行される。以下では、先ず、ステップS1~S6について説明する。ここで、本実施の形態では、ステップS1~S5は、順送金型による順送プレス加工によって行われる。
先ず、ステップS1(第1の下穴形成工程)では、金属製の矩形状の第1の基板100(図8)に対して、下穴加工を行う。これによって、図8及び図9に示すように、第1の基板100に対して、当該第1の基板100の表裏をそれぞれ貫通し、複数の第1の貫通孔6315の基となる複数の第1の下穴6315aと、複数の第1の位置決め穴101とを形成する。
【0042】
ステップS1の後のステップS2(第1の面打ち工程)では、第1の下穴6315aにおける貫通方向の一方側(図10の紙面手前側、図11の上方側)の内周縁のエッジに対して、面打ち加工を行う。これによって、図10及び図11に示すように、当該エッジをC面取りし、第1の下穴6315aを変形させる。そして、第1の下穴6315aは、図11に示すように、面打ちパンチ(図示略)により押し潰されて形成された余肉によって他方側(図11の下方側)の径が小さくなる。
【0043】
ステップS2の後のステップS3(穴トリム工程)では、第1の下穴6315aに対して、穴トリム加工を行う。これによって、図12及び図13に示すように、第1の下穴6315aにおいて、径が小さくなっている他方側の内面をトリミングし、第1の貫通孔6315を形成する。
【0044】
ステップS3の後のステップS4(第1のプロファイル抜き工程)では、第1の基板100に対して、プロファイル抜き加工を行う。これによって、図14に示すように、第1の基板100における外周縁の矩形状の第1の縁102内に、複数の第1の節輪63の基となる複数の第1の節輪準備体63aを形成する。
ここで、第1の節輪準備体63aは、第1の節輪63を第1の接合部J1で切り離し、平面状にした時の外形形状と略同様のものである。この第1の節輪準備体63aにおける長手方向の両端部は、図14に示すように、第1の縁さん部103によって第1の縁102に連結している。そして、複数の第1の節輪準備体63aは、当該第1の節輪準備体63aの長手方向に直交する方向に沿って所定の間隔を空けて並列している。なお、当該所定の間隔とは、後述する第2の節輪準備体64aが隣接する第1の節輪準備体63a同士の間に配置可能な間隔である。
【0045】
ステップS4の後のステップS5(段曲げ工程)では、第1の節輪準備体63aに対して、段曲げ加工を行う。これによって、図15に示すように、段差部6313を形成するとともに、第1の節輪準備体63aと第1の縁102との間に段差部104を形成する。当該段差部104を形成することによって、第1の縁102と第2の平板部6312とは同一平面状に配置される。
【0046】
ステップS5の後のステップS6(第1の表面処理工程)では、ステップS1~S5によって発生したプレスバリや加工時に付着した加工油を除去する。本実施の形態では、ブラスト加工によって、当該プレスバリや当該加工油を除去する。
【0047】
次に、ステップS7~S11について説明する。ここで、本実施の形態では、ステップS7~S10は、順送金型による順送プレス加工によって行われる。
先ず、ステップS7(第2の下穴形成工程)では、金属製の矩形状の第2の基板200(図16)に対して、パンチP1(図17)によって下穴加工を行う。これによって、図16及び図17に示すように、第2の基板200に対して、当該第2の基板200の表裏をそれぞれ貫通し、複数の第2の貫通孔6413の基となる複数の第2の下穴6413aと、複数の第3の貫通孔6113の基となる複数の第3の下穴6113aと、複数の第4の貫通孔6213の基となる複数の第4の下穴6213aと、複数の第2の位置決め穴201とを形成する。
【0048】
ステップS7の後のステップS8(第2の面打ち工程)では、第2の下穴6413aにおける貫通方向の一方側(図18の紙面手前側、図19の上方側)の内周縁のエッジに対して、パンチP1と同一の方向からパンチP2(図19)によって面打ち加工を行う。これによって、図18及び図19に示すように、当該エッジをC面取りする。
【0049】
ステップS8の後のステップS9(バーリング加工工程)では、第2の下穴6413aに対して、パンチP1,P2と同一の方向からパンチP3(図21)によってバーリング加工を行う。これによって、図20及び図21に示すように、第2の貫通孔6413及び凸部6412を形成する。
ここで、凸部6412の先端部6414における内周側のエッジ部6416は、ステップS8において面打ち加工により第2の下穴6413aにおける内周縁のエッジをC面取りしたことによって、図21に示すように、当該先端部6414の中心軸を含む平面によって当該先端部6414を切断した場合に、鈍角の角度θを成している。
【0050】
ステップS9の後のステップS10(第2のプロファイル抜き工程)では、第2の基板200に対して、プロファイル抜き加工を行う。これによって、図22に示すように、第2の基板200における外周縁の矩形状の第2の縁202内に、複数の第2の節輪64の基となる複数の第2の節輪準備体64aと、前端節輪61の基となる前端節輪準備体61aと、後端節輪62の基となる後端節輪準備体62aとを形成する。
【0051】
ここで、第2の節輪準備体64aは、第2の節輪64を第2の接合部J2で切り離し、平面状にした時の外形形状と略同様のものである。この第2の節輪準備体64aにおける長手方向の両端部は、図22に示すように、第2の縁さん部203によって第2の縁202に連結している。また、前端節輪準備体61aは、前端節輪61を第3の接合体J3で切り離し、平面状にした時の外形形状と略同様のものである。この前端節輪準備体61aにおける長手方向の両端部は、第3の縁さん部204によって第2の縁202に連結している。さらに、前端節輪準備体61aにおける長手方向の略中央部位は、第5の縁さん部206によって第2の縁202に連結している。また、後端節輪準備体62aは、後端節輪62を第4の接合体J4で切り離し、平面状にした時の外形形状と略同様のものである。この後端節輪準備体62aにおける長手方向の両端部は、第4の縁さん部205によって第2の縁202に連結している。さらに、後端節輪準備体62aにおける長手方向の略中央部位は、第6の縁さん部207によって第2の縁202に連結している。そして、前端節輪61a、後端節輪62a、及び複数の第2の節輪準備体64aは、当該前端節輪準備体61a、当該後端節輪準備体62a、及び当該第2の節輪準備体64aの長手方向に直交する方向に沿って所定の間隔を変えて並列している。より具体的に、複数の第2の節輪準備体64aは、前端節輪準備体61a及び後端節輪準備体62aの間において、所定の間隔を空けて並列している。なお、当該所定の間隔とは、第1の節輪準備体63aが隣接する第2の節輪準備体64a同士の間に配置可能な間隔である。
【0052】
ステップS10の後のステップS11(第2の表面処理工程)では、ステップS7~S10によって発生したプレスバリや加工時に付着した加工油を除去する。本実施の形態では、ブラスト加工によって、当該プレスバリや当該加工油を除去する。
【0053】
本実施の形態では、ステップS6及びステップS11の後に順次、行われるステップS12~S15は、トランスファー金型によるトランスファー加工によって行われる。
先ず、ステップS12(重ね合わせ工程)では、複数の第1の位置決め穴101と複数の第2の位置決め穴201とによって第1,第2の基板100,200を位置決めし、当該第1,第2の基板100,200を重ね合わせる。これによって、図24に示すように、各第1の貫通孔6315に各凸部6112,6212,6412がそれぞれ挿通される。
【0054】
ステップS12の後のステップS13(バーリング開き工程)では、凸部6412に対して、拡開パンチ(図示略)によって当該凸部6112,6212,6412の先端部6414を拡開する。これによって、図26に示すように、凸部6412は、第1の貫通孔6315の内面に沿うように先端部6414が基端部6415よりも当該凸部6412の径方向に拡げられる。他の凸部6112,6212も同様である。そして、第1,第2の節輪準備体63a,64a同士と、第1の節輪準備体63a及び前端節輪準備体61a同士と、第1の節輪準備体63a及び後端節輪準備体62a同士とがそれぞれ連結される。
【0055】
ステップS13の後のステップS14(第1のカット工程)では、図27に示すように、重ね合わされた第1,第2の基板100,200における第1~第4の縁さん部103,203~205をカットする。これによって、第1,第2の節輪準備体63a,64aは、第1,第2の縁102,202から切り離される。一方、前端節輪準備体61a,62aは、第5,第6の縁さん部206,207によって第2の縁202に連結された状態である。
【0056】
ステップS14の後のステップS15(丸め加工工程)では、第1,第2の節輪準備体63a,64a、前端節輪準備体61a、及び後端節輪準備体62aに対して、曲げ加工を行う。これによって、図28に示すように、第1,第2の節輪準備体63a,64a、前端節輪準備体61a、及び後端節輪準備体62aをそれぞれ円環状に丸める。そして、第1の節輪準備体63aにおける長手方向の両端部同士、第2の節輪準備体64aにおける長手方向の両端部同士、前端節輪準備体61aにおける長手方向の両端部同士、及び後端節輪準備体62aにおける長手方向の両端部同士をそれぞれ当接させる。
【0057】
ステップS15の後のステップS16(接合工程)では、第1の節輪準備体63aにおける長手方向の両端部同士、第2の節輪準備体64aにおける長手方向の両端部同士、前端節輪準備体61aにおける長手方向の両端部同士、及び後端節輪準備体62aにおける長手方向の両端部同士をレーザ溶接等によりそれぞれ接合する。これによって、第1~第4接合部J1~J4が形成されるとともに、互いに連結された第1,第2の節輪63,64、前端節輪61、及び後端節輪62が形成される。
【0058】
ステップS16の後のステップS17(第2のカット工程)では、図29に示すように、第1,第2の基板100,200における第5,第6の縁さん部206,207をカットする。これによって、内視鏡湾曲管6が製造される。そして、ステップS17の後のステップS18(洗浄工程)において、製造された内視鏡湾曲管6を洗浄する。
【0059】
なお、内視鏡1は、上述したように製造された内視鏡湾曲管6と、先端ユニット5、及び可撓管7等とを組み付けることによって、製造される。
【0060】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る内視鏡湾曲管6では、凸部6412の先端部6414における内周側のエッジ部6416は、当該凸部6412の中心軸を含む平面によって当該先端部6414を切断した場合に、鈍角の角度θを成している。
このため、ステップS13のバーリング開き工程において、拡開パンチ(図示略)を用いて先端部6414を拡開する際に、当該拡開パンチがエッジ部6416に衝突した時の肉の逃げる経路を十分に確保し、当該エッジ部6416への応力集中を回避することができる。
したがって、本実施の形態に係る内視鏡湾曲管6によれば、先端部6414へのクラックの発生を抑制し、製品としての耐久性を向上させることができる。
【0061】
特に、第1の貫通孔6315の内面は、第1の節輪63の外周に向かうにしたがって、内径寸法が大きくなるテーパ面によって構成されている。そして、凸部6412は、当該第1の貫通孔6315の内面に沿うように基端部6415から先端部6414に向かうにしたがって当該凸部6412の径方向に拡げられている。
このため、特許文献1に記載の凸部と比較して、ステップS13のバーリング開き工程による凸部6412の変形量を少なくすることができ、上述した内視鏡湾曲管6の製品としての耐久性を向上させることができるという効果を好適に実現することができる。
【0062】
本実施の形態に係る内視鏡湾曲管6の製造方法では、ステップS9のバーリング加工工程の前のステップS8の第2の面打ち工程によって、鈍角の角度θを有するエッジ部6416を形成している。このため、順送プレス加工での一貫加工が可能となり、内視鏡湾曲管6を容易に製造することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
【0064】
(変形例1)
図30は、実施の形態の変形例1を説明する図である。具体的に、図30は、図6に対応した断面図である。
上述した実施の形態では、第1の貫通孔6315の内面は、第1の節輪63の外周に向かうにしたがって、内径寸法が大きくなるテーパ面によって構成されていたが、これに限らない。例えば、図30に示した本変形例1に係る第1の貫通孔6315の内面形状を採用しても構わない。
【0065】
本変形例1に係る第1の貫通孔6315は、図30に示すように、第1の節輪63の外周側(図30中、上方側)に位置する大径部6316と、内周側(図30中、下方側)に位置し、当該大径部6316よりも内径寸法が小さい小径部6317とを有する段付き状に形成されている。
【0066】
なお、本変形例1に係る第1の貫通孔6315を形成する場合には、上述した実施の形態において説明したステップS1(第1の下穴形成工程)を行った後、潰し加工を行う。これによって、第1の下穴6315aにおける貫通方向の一方側の内周縁が他方側に向けて潰され、大径部6316が形成される。この後、上述した実施の形態において説明したステップS3(穴トリム工程)を行うことによって、小径部6317を形成する。すなわち、本変形例1に係る第1の貫通孔6315は、第1の下穴形成工程、潰し加工、及び穴トリム工程を順次、行うことによって形成される。
【0067】
(変形例2)
図31は、実施の形態の変形例2を説明する図である。具体的に、図31は、図6に対応した断面図である。
上述した実施の形態では、第1の貫通孔6315の内面は、第1の節輪63の外周に向かうにしたがって、内径寸法が大きくなるテーパ面によって構成されていたが、これに限らない。例えば、図31に示した本変形例2に係る第1の貫通孔6315の内面形状を採用しても構わない。
【0068】
本変形例2に係る第1の貫通孔6315は、図31に示すように、上述した変形例1において説明した第1の貫通孔6315における小径部6317の内面をテーパ面にした構成である。
【0069】
なお、本変形例2に係る第1の貫通孔6315を形成する場合には、上述した変形例1に係る第1の貫通孔6315を形成する場合と同様に、第1の下穴形成工程、潰し加工、及び穴トリム工程を順次、行う。次に、上述した実施の形態において説明したステップS2(第1の面打ち工程)と同様に、内径部6317における大径部6316側の内周縁のエッジに対して、面打ち工程を行う。これによって、内径部6317の内面をテーパ面にする。次に、上述した実施の形態において説明したステップS3(穴トリム工程)を行う。すなわち、本変形例1に係る第1の貫通孔6315は、第1の下穴形成工程、潰し加工、穴トリム工程、第1の面打ち工程、及び穴トリム工程を順次、行うことによって形成される。
【0070】
(変形例3)
図32は、実施の形態の変形例3を説明する図である。具体的に、図32は、図6に対応した断面図である。なお、図32では、説明の便宜上、第1の節輪63の図示を省略している。
上述した実施の形態では、凸部6412の先端部6414における内周側のエッジ部6416は、鈍角の角度θを有していたが、角度θは、これに限らない。例えば、図32に示した本変形例3に係るエッジ部6416のように、角度θが直角であっても構わない。当該角度θが直角であっても、ステップS13のバーリング開き工程において、拡開パンチがエッジ部6416に衝突した時の当該エッジ部6416への応力集中を回避することができる。すなわち、角度θは、90°以上であればよい。当該エッジ部6416への応力集中を回避することができる形状は、角度θが直角よりも鈍角の方が好ましい。
【0071】
(変形例4)
図33は、実施の形態の変形例4を説明する図である。具体的に、図33は、図6に対応した断面図である。なお、図33では、説明の便宜上、第1の節輪63の図示を省略している。
上述した実施の形態において、図33に示した本変形例4に係るエッジ部6416のようにR形状とすることによって角度θを鈍角とした構成を採用しても構わない。なお、当該エッジ部6416のR形状は、例えば、上述した実施の形態において説明したステップS11(第2の表面処理工程)を行うことによって形成される。すなわち、エッジ部6416に対してブラスト加工等の表面処理が施されることによって、当該エッジ部6416がR形状となる。なお、当該表面処理としては、ブラスト加工に限らず、エッチング加工や電解研磨を採用しても構わない。
【0072】
(変形例5)
図34ないし図36は、実施の形態の変形例5を説明する図である。具体的に、図34ないし図36は、図17図19、及び図21に対応した図である。
上述した実施の形態では、ステップS7~S9を行うことによって、角度θが鈍角のエッジ部6416を有する凸部6412を形成していたが、これに限らず、図34ないし図36に示した本変形例5のように当該凸部6412を形成しても構わない。
【0073】
具体的に、上述した実施の形態において説明したステップS7を行う前に、第2の基板200に対して、パンチP4によって凹部加工を行う。これによって、図34に示すように、第2の基板200には、円錐状(断面V字状)の凹部6413bが形成される。次に、上述した実施の形態において説明したステップS7を行う。すなわち、図35に示すように、パンチP4と同一の方向からパンチP1によって凹部6413bの底部分に下穴加工を行う。これによって、図35に示すように、上述した実施の形態において説明した図19に示した第2の下穴6413aが形成される。この後、図36に示すように、上述した実施の形態と同様に、ステップS9を行うことによって、角度θが鈍角のエッジ部6416を有する凸部6412を形成する。
【0074】
(変形例6)
上述した実施の形態では、ステップS7~S9を行うことによって、角度θが鈍角のエッジ部6416を有する凸部6412を形成していたが、これに限らない。例えば、以下に示す本変形例6のように当該凸部6412を形成しても構わない。
具体的に、上述した実施の形態において説明したステップS7,S9を順次、行う。この後、凸部6412の先端部6414側から、エッジ部6416に対して面取り加工を行い、当該エッジ部6416の角度θを鈍角に設定する。
【0075】
(変形例7)
上述した実施の形態において、ステップS8とステップS9との間に、ステップS3と同様に、第2の下穴6413aに対して、穴トリム加工を行っても構わない。これによって、第2の下穴6413aにおいて、径が小さくなっている図19中、下方側の内面がトリミングされる。その結果、ステップS9のバーリング加工工程において、図19中、下方側の内面にある余肉(ステップS8でパンチP2により押し潰されて形成された余肉)を巻き込んで伸ばされることがなくなり、角度θが鈍角のエッジ部6416を適切に形成し易いものとなる。
【0076】
(変形例8)
上述した実施の形態において、第2の基板200(第2の節輪64、前端節輪61、及び後端節輪62)の材料としては、以下の材料を採用しても構わない。
以下の表1は、金属材料である「SUS304」、「NAS304-K2」、及び「SUS304-CSP」の特性を示した表である。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示した「SUS304」、「NAS304-K2」、及び「SUS304-CSP」の3種類の材料では、第2の基板200(第2の節輪64、前端節輪61、及び後端節輪62)の材料としては、「NAS304-K2」及び「SUS304-CSP」の2種類のいずれかを採用することが好ましい。
具体的に、「SUS304」の仕上BAでは、部品強度が低く、部品としての機能を満たさない。また、「NAS304-K2」及び「SUS304-CSP」の2種類のうち、第2の基板200(第2の節輪64、前端節輪61、及び後端節輪62)の材料としては、「NAS304-K2」を採用することが総合的に好ましい。当該「NAS304-K2」を採用した場合には、表1に示すように、角度θを直角にした場合であっても、エッジ部6416へのクラックの発生抑制効果を得ることができる。
一方、設計的な要求から加工性やクラックの発生抑制効果を多少落としてでも強度を高めたいというケースでは、より引張強度及び耐力の高い「SUS304-CSP」を採用することができる。
【0079】
ここで、表1において、「加工性」とは、ステップS15の丸め加工時のスプリングバックの影響、ステップS9のバーリング加工時の肉の流動性、及び経時的な金型の摩耗を考慮した加工性を意味する。また、表1において、「部品強度」とは、第1,第2のヒンジ部631,641の抜け荷重と、内視鏡湾曲管6の径方向荷重、軸方向荷重、及びねじり荷重とを考慮した強度を意味する。ここで、第1,第2のヒンジ部631,641の抜け荷重は、材料の強度を加工形状(バーリング加工時の軸高さ)が影響する。
【0080】
(変形例9)
上述した実施の形態において、ステップS6,S11としては、ブラスト加工に限らず、エッチング加工や電解研磨を採用しても構わない。
また、上述した実施の形態において、ライン全体の少なくとも一部をフープ材による連続加工としてもよく、あるいは、内視鏡湾曲管6を1つ毎に製造するバッチ処理で構成しても構わない。
【0081】
(変形例10)
上述した実施の形態では、第1のヒンジ部631が第2のヒンジ部641の外周側に位置していたが、これに限らず、第1のヒンジ部631が第2のヒンジ部641の内周側に位置する構成としても構わない。
【符号の説明】
【0082】
1 内視鏡
2 挿入部
3 操作部
4 ユニバーサルコード
5 先端ユニット
6 内視鏡湾曲管
7 可撓管
31 操作部材
32 湾曲ノブ
33 挿入口
60 節輪
61 前端節輪
61a 前端節輪準備体
62 後端節輪
62a 後端節輪準備体
63 第1の節輪
63a 第1の節輪準備体
64 第2の節輪
64a 第2の節輪準備体
100 第1の基板
101 第1の位置決め穴
102 第1の縁
103 第1の縁さん部
104 段差部
200 第2の基板
201 第2の位置決め穴
202 第2の縁
203 第2の縁さん部
204 第3の縁さん部
205 第4の縁さん部
206 第5の縁さん部
207 第6の縁さん部
611 第3のヒンジ部
612 第3の周壁部
621 第4のヒンジ部
622 第4の周壁部
631 第1のヒンジ部
632 第1の周壁部
641 第2のヒンジ部
642 第2の周壁部
6111 第3の舌片部
6112 凸部
6113 第3の貫通孔
6113a 第3の下穴
6211 第4の舌片部
6212 凸部
6213 第4の貫通孔
6213a 第4の下穴
6311 第1の平板部
6312 第2の平板部
6313 段差部
6314 第1の舌片部
6315 第1の貫通孔
6315a 第1の下穴
6316 大径部
6317 小径部
6411 第2の舌片部
6412 凸部
6413 第2の貫通孔
6413a 第2の下穴
6414 先端部
6415 基端部
6416 エッジ部
J1 第1の接合部
J2 第2の接合部
J3 第3の接合部
J4 第4の接合部
Ax 長手軸
P1~P4 パンチ
θ 角度
図1
図2
図3
図4
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