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特開2023-8795釣糸ガイドのガイドフレーム及び釣糸ガイド並びに釣竿
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008795
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】釣糸ガイドのガイドフレーム及び釣糸ガイド並びに釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037101
(22)【出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2021112123
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠太
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AC00
2B019BA01
2B019BA03
2B019BA05
2B019BA08
(57)【要約】
【課題】釣糸ガイドのガイドフレームの捻り強度を向上させる。
【解決手段】竿体の外周面に取り付けられ、釣糸を案内するガイドリングを保持するためのガイドフレーム2であって、ガイドリングを保持するための環状片10と、竿体の外周面に取り付けられる第1取付片14と、第1取付片14と竿体の軸方向に離間して、竿体の外周面に取り付けられる第2取付片15と、環状片10と第1取付片14とを連結する第1支持片11と、環状片10と第2取付片15とを連結する第2支持片12と、を備え、第1支持片11は、第1取付片14と接続する第1接続部30に、竿体の周方向に沿って拡張された第1拡張部32を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿体の外周面に取り付けられ、釣糸を案内するガイドリングを保持するためのガイドフレームであって、
前記ガイドリングを保持するための環状片と、
前記竿体の外周面に取り付けられる第1取付片と、
前記第1取付片と前記竿体の軸方向に離間して、前記竿体の外周面に取り付けられる第2取付片と、
前記環状片と前記第1取付片とを連結する第1支持片と、
前記環状片と前記第2取付片とを連結する第2支持片と、
を備え、
前記第1支持片は、前記第1取付片と接続する第1接続部に、前記竿体の周方向に沿って拡張された第1拡張部を有している、
釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項2】
前記第1支持片は、前記第2支持片よりも短い、請求項1に記載のガイドフレーム。
【請求項3】
前記第1支持片は、前記環状片における竿体の外周面と最も近い第1支持部と、前記第1取付片と、を連結する、請求項1又は2に記載のガイドフレーム。
【請求項4】
前記第1支持片は、
前記環状片と接続する第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられた中間部と、
を有し、
前記第1拡張部は、前記中間部における前記竿体の周方向の幅よりも拡張されている、請求項1乃至3の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項5】
前記第1拡張部における前記竿体の周方向の幅は、前記第1取付片に向けて徐々に広くなる請求項1乃至4の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項6】
前記第1取付片は、前記第1支持片と接続する第1取付端部に、前記竿体の周方向に沿って拡張された第2拡張部を有している、請求項1乃至5の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項7】
前記第2拡張部は、前記第1拡張部と連続し、前記竿体の周方向の幅が同じである、請求項6記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項8】
前記第1拡張部は、前記竿体の周方向に湾曲した湾曲片を有している、請求項1乃至7の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項9】
前記第1拡張部は、前記竿体の軸方向に向けて屈曲した屈曲片を有している、請求項1乃至7の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項10】
前記第2支持片は、前記環状片における周方向に離間した一対の第2支持部と、前記第2取付片と、を連結する、一対のアーム片を有している、請求項1乃至9の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載のガイドフレームと、前記環状片に装着されたガイドリングと、を備えた、釣糸ガイド。
【請求項12】
複数の釣糸ガイドが竿体の外周面に装着された釣竿であって、
請求項11記載の釣糸ガイドが、前記複数の釣糸ガイドのうち最も竿尻方向に位置する釣糸ガイドの位置に、前記第1取付片を竿尻方向に向けて装着された、釣竿。
【請求項13】
竿体の外周面に取り付けられ、釣糸を案内するガイドリングを保持するためのガイドフレームであって、
前記ガイドリングを保持するための環状片と、
前記竿体の外周面に接触する第1接点を有する第1取付片と、
前記第1取付片と前記竿体の軸方向に離れ、前記竿体の外周面に接触する第2接点を有する第2取付片と、
前記環状片と前記第1取付片とを連結する第1支持片と、
前記環状片と前記第2取付片とを連結し、前記竿体の径方向外側に向けて湾曲した第2支持片と、
を備え、
前記第1接点及び前記第2接点を通る仮想線と、前記環状片の内周縁と、の間の最短となる第1離間距離は、前記環状片の内径の1.5倍から2倍の間に設定される、釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項14】
釣糸を案内するガイドリングと、竿体の外周面に取り付けられ、前記ガイドリングを保持するガイドフレームと、を備えた釣糸ガイドであって、
前記ガイドフレームは、
前記ガイドリングを保持するための環状片と、
前記竿体の外周面に接触する第1接点を有する第1取付片と、
前記第1取付片と前記竿体の軸方向に離れ、前記竿体の外周面に接触する第2接点を有する第2取付片と、
前記環状片と前記第1取付片とを連結する第1支持片と、
前記環状片と前記第2取付片とを連結し、前記竿体の径方向外側に向けて湾曲した第2支持片と、
を備え、
前記第1接点及び前記第2接点を通る仮想線と、前記ガイドリングの内周縁と、の間の最短となる第2離間距離は、前記ガイドリングの内径の2倍から3倍の間に設定される、釣糸ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を案内するための釣糸ガイドにおけるガイドフレームと、釣糸ガイドと、釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1記載の釣糸ガイドは、図13のように、ガイドリング100とガイドフレーム101を備えている。ガイドフレーム101は、ガイドリング100を保持する環状片102と、環状片102から竿先方向に延びる左右一対の側支脚103と、環状片102から竿尻方向に延びる一本の後支脚104とを有している。側支脚103は、竿体に取り付けられる第1取付部105を有し、後支脚104は、竿体に取り付けられる第2取付部106を有している。そして、この特許文献1においては、一対の側支脚103が、側面から見て、S字状に湾曲しているために、側支脚103が曲げに対して大きな抵抗力を有し、釣糸ガイドの剛性が増大して撓みが減少すると説明されている。
【0003】
しかしながら、この釣糸ガイドにおける後支脚104の幅は細く、特に、第2取付部106と略同じ幅か、あるいは、第2取付部106に向けて徐々に幅狭となっている。そのため、釣糸ガイドが竿体に取り付けられた際に、後支脚104の強度不足が問題となりやすく、後支脚104が竿体の周方向に捻れやすいという問題がある。特に、後支脚104が長くなると、捻れやすいという問題がさらに顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5940738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、釣糸ガイドのガイドフレームの捻り強度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る釣糸ガイドのガイドフレームは、竿体の外周面に取り付けられ、釣糸を案内するガイドリングを保持するためのガイドフレームであって、ガイドリングを保持するための環状片と、竿体の外周面に取り付けられる第1取付片と、第1取付片と竿体の軸方向に離間して、竿体の外周面に取り付けられる第2取付片と、環状片と第1取付片とを連結する第1支持片と、環状片と第2取付片とを連結する第2支持片と、を備え、第1支持片は、第1取付片と接続する第1接続部に、竿体の周方向に沿って拡張された第1拡張部を有している。
【0007】
この構成によれば、第1取付片の第1接続部に第1拡張部が設けられている。竿体に釣糸ガイドが取り付けられた際に、竿体の周方向に沿って第1取付片が捻れようとすることに対して、第1拡張部が補強となる。そのため、第1取付片の捻れが抑制される。第1拡張部によって第1取付片が補強されることにより、釣糸ガイドの例えば環状片に竿体の周方向に沿った大きな外力が加わっても、第1取付片が竿体の周方向に沿って塑性変形しにくくなる。また、キャスト時において、第1取付片が竿体の周方向にぶれにくくなるので、釣糸と釣糸ガイドとが接触しにくくなり、そのため、その接触による抵抗が小さくなり、結果的に飛距離が向上する。更に、釣糸と釣糸ガイドとの間の抵抗が小さくなって、釣糸のダメージが軽減される。
【0008】
好ましくは、第1支持片は、第2支持片よりも短い。この構成によれば、第2支持片よりも短い第1支持片に第1拡張部を設けることにより、第1支持片の捻り強度をより一層向上させることができる。
【0009】
好ましくは、第1支持片は、環状片における竿体の外周面と最も近い第1支持部と、第1取付片と、を連結する。この構成によれば、竿体の外周面と最も近い第1支持部を、第1拡張部を有する第1支持片で支持することにより、第1支持片の捻り強度をより一層向上させることができる。よって、第1支持片が長くなったとしても、捻り強度を十分に確保することができる。
【0010】
好ましくは、第1支持片は、環状片と接続する第2接続部と、第1接続部と第2接続部との間に設けられた中間部と、を有し、第1拡張部は、中間部における竿体の周方向の幅よりも拡張されている。この構成によれば、第1支持片の重量増加を抑制しつつ第1拡張部によって第1支持片を効果的に補強できる。
【0011】
好ましくは、第1拡張部における竿体の周方向の幅は、第1取付片に向けて徐々に広くなる。この構成によれば、第1支持片の重量増加を抑制しつつ第1支持片を効果的に補強できる。
【0012】
好ましくは、第1取付片は、第1支持片と接続する第1取付端部に、竿体の周方向に沿って拡張された第2拡張部を有している。この構成によれば、第1取付片の第1取付端部の強度を高めることができると共に、第1拡張部から第2拡張部にかけての一体感が向上する。そのため、第1取付片の捻れに対する強度をより一層向上させることができる。
【0013】
好ましくは、第2拡張部は、第1拡張部と連続し、竿体の周方向の幅が同じである。この構成によれば、第1拡張部から第2拡張部にかけての一体感が向上し、第1取付片の捻れに対する強度をより一層向上させることができる。
【0014】
好ましくは、第1拡張部は、竿体の周方向に湾曲した湾曲片を有している。この構成によれば、釣糸ガイドを竿体の外周面に取り付けた際に、湾曲片によって第1拡張部が竿体の外周面に沿いやすくなる。そのため、釣糸ガイドを安定して竿体の外周面に取り付けることができる。
【0015】
好ましくは、第1拡張部は、竿体の軸方向に向けて屈曲した屈曲片を有している。この構成によれば、釣糸ガイドを竿体の外周面に取り付けた際に、屈曲片が第1支持片の捻り強度を補強する。また、第1支持片に竿体の軸方向に外力が作用した際に、屈曲片が第1支持片の竿体の軸方向への撓みを抑制する。
【0016】
好ましくは、第2支持片は、環状片における周方向に離間した一対の第2支持部と、第2取付片と、を連結する、一対のアーム片を有している。この構成によれば、一対のアーム片によって環状片が安定して支持されるとともに、釣糸が釣糸ガイドに巻き付いて絡むことを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る釣糸ガイドは、上述のガイドフレームと、環状片に装着されたガイドリングとを備えている。
【0018】
また、本発明に係る釣竿は、複数の釣糸ガイドが竿体の外周面に装着された釣竿であって、上記釣糸ガイドが、複数の釣糸ガイドのうち最も竿尻方向に位置する釣糸ガイドの位置に、第1取付片を竿尻方向に向けて装着されている。
【0019】
また、本発明に係る釣糸ガイドのガイドフレームは、竿体の外周面に取り付けられ、釣糸を案内するガイドリングを保持するためのガイドフレームであって、ガイドリングを保持するための環状片と、竿体の外周面に接触する第1接点を有する第1取付片と、第1取付片と竿体の軸方向に離れ、竿体の外周面に接触する第2接点を有する第2取付片と、環状片と第1取付片とを連結する第1支持片と、環状片と第2取付片とを連結し、竿体の径方向外側に向けて湾曲した第2支持片と、を備え、第1接点及び第2接点を通る仮想線と、環状片の内周縁と、の間の最短となる第1離間距離は、環状片の内径の1.5倍から2倍の間に設定される。
【0020】
この構成のガイドフレームの環状片にはガイドリングが装着される。そして、例えば第1取付片を竿尻方向に向けると共に第2取付片を竿先方向に向けるようにして、ガイドフレームが竿体の外周面に装着される。第1接点と第2接点を通る仮想線は、竿体の軸方向に沿う。その仮想線と環状片の内周縁との間の最短距離である第1離間距離は、環状片の内径の1.5倍から2倍の間に設定されている。つまり、ガイドリングが竿体から径方向に大きく離れている一方、ガイドリングの内径は小さい。換言すれば、足長であって且つ小径の釣糸ガイドとなっている。そのため、キャスト時にリールから放出される螺旋状の釣糸が竿体の外周面に接触しにくくなり、飛距離を伸ばすことができ、釣糸ガイドにおけるライントラブルの発生も抑制できる。また、ガイドリングが小径であるため、釣糸ガイドを軽量化することができる。
【0021】
一方、第2支持片は、竿体の径方向外側に向けて湾曲している。そのため、リールから放出された螺旋状の釣糸がガイドリングに衝突した際に、釣糸ガイドが竿先側に大きく撓むことを防止することができる。例えば、第2支持片が竿体の径方向内側に向けて湾曲していると、リールから放出された螺旋状の釣糸がガイドリングに衝突することによって、釣糸ガイドが竿先側に大きく撓みやすい。その撓みを防止するためには、ガイドフレームの肉厚を厚くしたりするなど、ガイドフレームの強度を上げる必要が生じる。しかしながら、ガイドフレームの肉厚を厚くすると釣糸ガイドが重くなり、釣竿が重くなる。これに対して、第2支持片が竿体の径方向外側に向けて湾曲していると、釣糸ガイドの重量増加を抑制しつつ釣糸ガイドの撓みを効果的に抑制することができ、釣糸ガイドの強度と軽量化を容易に両立させることができる。このガイドフレームは、特にPEラインを使用した釣りに適している。
【0022】
また、本発明に係る釣糸ガイドは、釣糸を案内するガイドリングと、竿体の外周面に取り付けられ、ガイドリングを保持するガイドフレームと、を備えた釣糸ガイドであって、ガイドフレームは、ガイドリングを保持するための環状片と、竿体の外周面に接触する第1接点を有する第1取付片と、第1取付片と竿体の軸方向に離れ、竿体の外周面に接触する第2接点を有する第2取付片と、環状片と第1取付片とを連結する第1支持片と、環状片と第2取付片とを連結し、竿体の径方向外側に向けて湾曲した第2支持片と、を備え、第1接点及び第2接点を通る仮想線と、ガイドリングの内周縁と、の間の最短となる第2離間距離は、ガイドリングの内径の2倍から3倍の間に設定される。
【0023】
この構成の釣糸ガイドは、例えば第1取付片を竿尻方向に向けると共に第2取付片を竿先方向に向けるようにして、竿体の外周面に装着される。第1接点と第2接点を通る仮想線は、竿体の軸方向に沿う。その仮想線とガイドリングの内周縁との間の最短距離である第2離間距離は、ガイドリングの内径の2倍から3倍の間に設定されている。つまり、ガイドリングが竿体から径方向に大きく離れている一方、ガイドリングの内径は小さい。換言すれば、足長であって且つ小径の釣糸ガイドとなっている。そのため、キャスト時にリールから放出される螺旋状の釣糸が竿体の外周面に接触しにくくなり、飛距離を伸ばすことができ、釣糸ガイドにおけるライントラブルの発生も抑制できる。また、ガイドリングが小径であるため、釣糸ガイドを軽量化することができる。
【0024】
一方、第2支持片は、竿体の径方向外側に向けて湾曲している。そのため、リールから放出された螺旋状の釣糸がガイドリングに衝突した際に、釣糸ガイドが竿先側に大きく撓むことを防止することができる。例えば、第2支持片が竿体の径方向内側に向けて湾曲していると、リールから放出された螺旋状の釣糸がガイドリングに衝突することによって、釣糸ガイドが竿先側に大きく撓みやすい。その撓みを防止するためには、ガイドフレームの肉厚を厚くしたりするなど、ガイドフレームの強度を上げる必要が生じる。しかしながら、ガイドフレームの肉厚を厚くすると釣糸ガイドが重くなり、釣竿が重くなる。これに対して、第2支持片が竿体の径方向外側に向けて湾曲していると、釣糸ガイドの重量増加を抑制しつつ釣糸ガイドの撓みを効果的に抑制することができ、釣糸ガイドの強度と軽量化を容易に両立させることができる。この釣糸ガイドは、特にPEラインを使用した釣りに適している。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明においては、従来の釣糸ガイドに比して、ガイドフレームの捻り強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態における釣糸ガイドのガイドフレームの斜視図。
図2】同ガイドフレームの斜視図。
図3】同ガイドフレームの正面図。
図4】同ガイドフレームを竿体の軸方向に見た図。
図5】同ガイドフレームの平面図。
図6】同ガイドフレームの要部展開図。
図7】同釣糸ガイドを竿体の外周面に装着した状態を示す要部斜視図。
図8】同釣糸ガイドが装着された釣竿を示す正面図。
図9】同釣竿の使用状態を示す要部正面図。
図10】(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態における釣糸ガイドのガイドフレームの要部斜視図。
図11】(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態における釣糸ガイドのガイドフレームの要部斜視図。
図12】本発明の他の実施形態における釣糸ガイドの斜視図。
図13】従来の釣糸ガイドの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドのガイドフレームと、そのガイドフレームを用いた釣糸ガイドと、その釣糸ガイドが装着された釣竿について、図1図9を参酌しつつ説明する。図7のように、釣糸ガイド1は、釣竿の竿体4の外周面に取り付けられるガイドフレーム2と、ガイドフレーム2に装着され、釣糸5を直接案内するためのガイドリング3とを備えている。釣糸ガイド1は、竿体4の外周面の所定位置に固定される。釣糸ガイド1は、リールが取り付け可能な種々の釣竿に取り付けられて使用されるが、特には投げ釣り用の釣竿やルアー釣り用の釣竿に適している。また、後述のように、本実施形態における釣糸ガイド1は、釣竿に取り付けられる複数の釣糸ガイド1のうち、最も竿尻方向に位置する釣糸ガイド1、即ち、元ガイド1a(バットガイド)に適しているが、他の位置に取り付けられる釣糸ガイド1にも適用可能である。
【0028】
尚、以下の説明において、竿体4の軸方向(中心線方向)を前後方向とし、竿先方向を前方向として図中に矢印X2で示し、竿尻方向を後方向として図中に矢印X1で示す。また、竿体4の径方向のうち、竿体4の外周面からリールの取付方向に向けて径方向に離れる方向を第1径方向として図中に矢印Z1で示し、それとは逆の方向であって竿体4の外周面に接近する方向を第2径方向として図中に矢印Z2で示す。また、竿体4の周方向であって、第1径方向Z1及び第2径方向Z2と直交(交差)する方向を左右方向として、図中に矢印Yで示す。
【0029】
<ガイドフレーム2>
図1図5に本実施形態におけるガイドフレーム2を示している。ガイドフレーム2は、金属製であって、一枚の金属板からなる。即ち、ガイドフレーム2は、板金製の一体型のものである。従って、ガイドフレーム2は、一つの部材から構成されている。ガイドフレーム2は、一枚の金属板を所定形状に打ち抜いて、所定形状に打ち抜かれた平板状の金属板を折り曲げ加工することにより形成される。使用される金属板は例えば厚さが1mm程度のものであって、板厚一定のものである。材質は、例えばステンレス鋼やチタン(チタン合金)である。
【0030】
ガイドフレーム2は、環状片10と、第1支持片11と、左右一対のアーム片13を有する第2支持片12と、第1取付片14と、第2取付片15とを備えている。環状片10は、ガイドリング3を保持する。第1支持片11は、環状片10と第1取付片14とを連結する。第2支持片12は、環状片10と第2取付片15とを連結する。第1取付片14と第2取付片15は、何れも竿体4の外周面に取り付けられる。
【0031】
<環状片10>
環状片10は、リング装着孔20を有する。リング装着孔20に、ガイドリング3が装着される。リング装着孔20の孔中心線20aはガイドリング3の中心線と一致する。リング装着孔20の孔中心線20aは前後方向に沿っていてもよいが、図3のように、前後方向に対して所定角度傾斜していることが好ましい。尚、図3において、仮想中心線20bは、リング装着孔20の中心を通る前後方向の直線である。前後方向に対するリング装着孔20の孔中心線20aの第1傾斜角度α1は、リング装着孔20の孔中心線20aが前後方向に沿っている場合を0度としたとき、好ましくは0度を越え20度以下であり、より好ましくは0度を越え5度以下であり、更に好ましくは1度以上5度以下である。第1傾斜角度α1は、仮想中心線20bに対するリング装着孔20の孔中心線20aの角度である。尚、環状片10は、平板状であってもよいが、リング装着孔20の孔中心線20aの方向に沿って筒状に絞り加工されていてもよい。環状片10の内周縁10aは、リング装着孔20の壁面である。環状片10によって定義される第1平面10cは、竿体4の軸方向と直交する第2平面10dに対して前方向X2に向けて所定角度傾斜している。第2平面10dに対する第1平面10cの第2傾斜角度α2は、第1傾斜角度α1と等しい。第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2は、後述の折り曲げ角度θと関係している。
【0032】
環状片10は、第1支持片11に支持される第1支持部21と、左右一対のアーム片13にそれぞれ支持される左右一対の第2支持部22とを有している。第1支持部21は、環状片10の全周のうち、最も第2径方向Z2に位置する部分である。即ち、第1支持部21は、環状片10の全周のうち、最も竿体4の外周面に近い部分である。一対の第2支持部22は、互いに環状片10の周方向に離間している。一対の第2支持部22は互いに左右対称である。一対の第2支持部22の間に、第1支持部21が位置している。一対の第2支持部22は、第1支持部21よりも、第1径方向Z1に位置している。即ち、一対の第2支持部22は、第1支持部21よりも、竿体4の外周面から離れている。一対の第2支持部22は、環状片10の中心(リング装着孔20の中心)よりも、第1径方向Z1に位置していることが好ましく、竿体4の外周面から離れていることが好ましい。
【0033】
<第1支持片11>
第1支持片11は、環状片10の第1支持部21から第1取付片14に向けて延びている。第1支持片11は、環状片10の第1支持部21から第2径方向Z2に向けて延びており、好ましくは、第2径方向Z2且つ後方向X1に傾斜しつつ延びている。第1支持片11は、環状片10の第1支持部21と第1取付片14とを連結している。第1支持片11は、湾曲していない平面であることが好ましく、ガイドリング3と平行であることが好ましい。第1支持片11における板厚方向は、リング装着孔20の孔中心線20aの方向である。第1支持片11は、竿体4の外周面の径方向に沿っていてもよいが、本実施形態のように、竿体4の径方向に対して前方向X2に向けて傾斜していることが好ましい。図3のように、第1支持片11は、環状片10と同一平面であることが好ましい。即ち、第1支持片11は、第1平面10c上に位置している。第1支持片11は、第2平面10dに対して、前方向X2に第2傾斜角度α2で傾斜している。
【0034】
第1支持片11をリング装着孔20の孔中心線20aの方向(第1支持片11の板厚方向)に沿って見たときの正面視の形状は種々であってよい。第1支持片11は、第1取付片14と接続する第1接続部30と、環状片10と接続する第2接続部31とを有している。
【0035】
第1支持片11は、第1接続部30に第1拡張部32を有し、第2接続部31に第3拡張部33を有し、第1接続部30と第2接続部31との間に中間部34を有している。第1拡張部32は、左右方向の幅が局所的に拡張された部分である。図6に、折り曲げられる前の平坦な状態のガイドフレーム2の要部を示している。図6において第1支持片11と第1取付片14との間の折り曲げ線35を破線で示している。第1拡張部32の左右方向の幅W1は、第1取付片14に向けて徐々に広くなっている。第1拡張部32の左右方向の幅W1は、第1取付片14に向けて、直線状に広くなっていてもよいし、湾曲しながら広くなっていてもよい。第1拡張部32は、左右対称形状である。
【0036】
第1拡張部32の左右方向の幅W1は、中間部34の左右方向の幅W2よりも広い。中間部34は、第1支持片11において左右方向の幅が最も狭い部分である。中間部34は、環状片10の第1支持部21と第1取付片14とを結ぶ方向に沿って長い形状であることが好ましく、左右方向の幅が一定であることが好ましい。
【0037】
第1支持片11は、第2接続部31に、第3拡張部33を有している。第3拡張部33は、左右方向の幅が局所的に拡張された部分である。第3拡張部33の左右方向の幅は、中間部34の左右方向の幅W2よりも広い。第3拡張部33の左右方向の幅は、環状片10に向けて徐々に広くなっている。第3拡張部33の左右方向の幅は、環状片10に向けて、直線状に広くなってもよいし、湾曲しながら広くなっていてもよい。尚、第3拡張部33に、板厚方向に貫通した、図示しない貫通孔が設けられてもよく、第3拡張部33は、環状片10に向けてV字状に広がる形状を有していてもよい。
【0038】
<第1取付片14>
第1取付片14は、第1支持片11の第1接続部30から後方向X1に向けて延びている。第1取付片14は、第1支持片11に対して所定角度で折り曲げられている。第1取付片14は、第1支持片11に対して90度の折り曲げ角度θで折り曲げられていてもよいが、90度未満の折り曲げ角度θで折り曲げられていることが好ましい。即ち、第1支持片11は、第2支持片12及び第2取付片15に向けて傾斜していることが好ましい。折り曲げ角度θは、好ましくは85度以上90度未満である。尚、折り曲げ角度θが例えば85度である場合、第1傾斜角度α1と第2傾斜角度α2は、何れも5度となる。
【0039】
第1取付片14は、前後方向に沿って長い形状を有している。第1取付片14は、第1支持片11と接続する第1取付端部40と、第1取付端部40と前後方向の反対方向に位置する第2取付端部41とを有する。第1取付端部40は、第1取付片14における前方向X2の端部であり、第2取付端部41は、第1取付片14における後方向X1の端部である。第2取付端部41は、自由端である。第1取付片14は、ベース部43と、第1取付端部40に設けられ、ベース部43よりも左右方向の幅が広い第2拡張部42とを有している。
【0040】
第2拡張部42は、左右方向の幅が局所的に拡張された部分である。第2拡張部42の左右方向の幅W3は、第1支持片11に向けて徐々に広くなっている。第2拡張部42の左右方向の幅W3は、第1取付片14に向けて、直線状に広くなっていてもよいし、湾曲しながら広くなっていてもよい。第2拡張部42は、左右対称形状である。
【0041】
第2拡張部42の左右方向の幅W3は、第1拡張部32の左右方向の幅W1と連続している。第2拡張部42の左右方向の幅W3(最大幅)は、第1拡張部32の左右方向の幅W1(最大幅)と同じである。第2拡張部42の左右方向の幅W3は、ベース部43の左右方向の幅W4よりも広い。
【0042】
尚、第1取付片14の竿体4の外周面と対向する第1対向面14aは、竿体4の外周面に沿うように、左右方向に沿って第1径方向Z1に向けて湾曲していることが好ましい。また、第1拡張部32から第2拡張部42にかけて前後方向に湾曲しながら連続していてもよい。
【0043】
第1対向面14aは、竿体4の外周面に接触する第1接点14bを有する。第1接点14bは、第1対向面14aの前後方向に沿った第1中心線14c上に位置する。第1中心線14cは、第1対向面14aの幅を二等分する直線である。
【0044】
<第2支持片12、アーム片13>
アーム片13は、環状片10の第2支持部22から第2取付片15に向けて延びている。アーム片13は、環状片10の第2支持部22と第2取付片15とを連結している。アーム片13は、第2取付片15の第3取付端部60と接続する第3接続部50と、環状片10の第2支持部22と接続する第4接続部51とを有している。左右一対のアーム片13は、互いに左右方向に対称形状である。アーム片13は、全体として、環状片10の第2支持部22から第2径方向Z2且つ前方向X2に傾斜しつつ延びている。アーム片13は、環状片10の第2支持部22と第2取付片15の第3取付端部60とを結ぶ直線52に対して、第1径方向Z1に湾曲している。アーム片13は、環状片10の第2支持部22から前方向X2に向かった後、第2径方向Z2に向かう。一対のアーム片13は、第2取付片15に向けて、互いに徐々に接近していく。アーム片13は、第1支持片11よりも長い。アーム片13は、第1支持片11よりも細い。
【0045】
<第2取付片15>
第2取付片15は、第1取付片14に対して前方向X2に離間している。第1取付片14と第2取付片15とを結ぶ方向が前後方向である。第1取付片14は、環状片10に対して後方向X1に位置し、第2取付片15は、環状片10に対して前方向X2に位置する。
【0046】
第2取付片15は、アーム片13の第3接続部50から前方向X2に向けて延びている。第2取付片15は、アーム片13に対して所定角度で折り曲げられている。第2取付片15は、前後方向に沿って長い形状を有している。第2取付片15は、一対のアーム片13と接続する第3取付端部60と、第3取付端部60と前後方向の反対方向に位置する第4取付端部61とを有する。第3取付端部60は、第1取付片14における後方向X1の端部であり、第4取付端部61は、第1取付片14における前方向X2の端部である。第4取付端部61は、自由端である。第2取付片15の左右方向の幅は略一定である。尚、第2取付片15の竿体4の外周面と対向する第2対向面15aは、竿体4の外周面に沿うように、左右方向に沿って第1径方向Z1に向けて湾曲していることが好ましい。
【0047】
第2対向面15aは、竿体4の外周面に接触する第2接点15bを有する。第2接点15bは、第2対向面15aの前後方向に沿った第2中心線15c上に位置する。第2中心線15cは、第2対向面15aの幅を二等分する直線である。
【0048】
<ガイドリング3>
ガイドリング3は、代表的には円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。本実施形態ではガイドリング3は、円形である。ガイドリング3は好ましくは接着により環状片10に取り付けられる。ガイドリング3は、リング装着孔20に前方向X2に向けて挿入される。
【0049】
図1図3図5、及び図7に、第1接点14bと第2接点15bを通る仮想線16を示している。仮想線16は、竿体4の軸方向に沿っていて、竿体4の外周面に位置する。仮想線16と環状片10の内周縁10aとの間の最短距離である第1離間距離L1は、環状片10の内径10bの1.5倍から2倍の間に設定されている。第1離間距離L1は、好ましくは、環状片10の内径10bの1.7倍である。第1離間距離L1は、環状片10の内周縁10aのうち、竿体4に最も近い、即ち、第1対向面14aに最も近い部分と、第1対向面14aとの間の竿体4の径方向の離間距離である。また、仮想線16とガイドリング3の内周縁3aとの間の最短距離である第2離間距離L2は、ガイドリング3の内径3bの2倍から3倍の間に設定されている。第2離間距離L2は、好ましくは、ガイドリング3の内径3bの2.4倍である。第2離間距離L2は、ガイドリング3の内周縁3aのうち竿体4に最も近い部分と、第1対向面14aとの間の竿体4の径方向の離間距離である。
【0050】
<取付状態>
図7のように、釣糸ガイド1は、竿体4の外周面に取り付け固定される。取付方法は、例えば巻糸と接着剤の塗布による。釣糸ガイド1は、第2取付片15が前方向X2を向き、第1取付片14が後方向X1を向くようにして、竿体4の外周面に装着されることが好ましい。但し、釣糸ガイド1は、前後逆向きに装着されてもよい。釣糸ガイド1が竿体4に取り付けられた状態において、ガイドリング3は前方向X2に第2傾斜角度α2で傾斜した姿勢となる。
【0051】
スピニングリール6を使用する場合、通常、スピニングリール6は竿体4に対して下方向に位置し、釣糸ガイド1は竿体4の下方向に位置する。図示しない両軸受リールを使用する場合、通常、両軸受リールは竿体4の上方向に位置し、釣糸ガイド1は竿体4の上方向に位置する。このように、釣糸ガイド1は、竿体4に対してリールと同じ方向に位置する。本実施形態における釣糸ガイド1は、スピニングリール6を使用する釣竿に適している。
【0052】
図8にスピニングリール6を使用するのに適した釣竿を示している。また、図9には、図8の釣竿にスピニングリール6を取り付けた使用状態を示している。釣竿は、竿体4と、竿体4の外周面に間隔をあけて装着された複数の釣糸ガイド1と、スピニングリール6を装着するためのリールシート7を備えている。複数の釣糸ガイド1は、最も前方向X2に位置するトップガイド1bと、最も後方向X1に位置する元ガイド1aと、トップガイド1bと元ガイド1aの間に位置する複数の中間ガイド1cとから構成される。本実施形態の釣糸ガイド1は、元ガイド1a(バットガイド)に好適に使用される。元ガイド1aは、複数の釣糸ガイド1のうち最も後方向X1に位置する釣糸ガイド1である。複数の釣糸ガイド1のうち、少なくとも元ガイド1aに、上述した釣糸ガイド1が使用される。上述した釣糸ガイド1は、トップガイド1b以外の釣糸ガイド1に使用できる。
【0053】
以上のように、第1取付片14の第1接続部30に第1拡張部32が局所的に設けられているので、第1取付片14が左右方向に捻れにくくなる。例えば、釣糸ガイド1の環状片10に左右方向に沿って大きな外力が作用しても、第1取付片14が左右方向に変形しにくい。キャスト時には、第1取付片14が左右方向にぶれにくくなるので、釣糸5と釣糸ガイド1との間の抵抗が小さくなって飛距離が向上する。更に、釣糸5のダメージも軽減される。
【0054】
特に、第2支持片12よりも短い第1支持片11に第1拡張部32が設けられているので、釣糸ガイド1の捻れを効率良く防止することができる。第1支持片11は、環状片10の第1支持部21と第1取付片14とを連結するので、第1支持片11の捻り強度をより一層向上させることができ、第1支持片11が長くなったとしても、釣糸ガイド1の捻り強度を十分に確保することができる。
【0055】
第2支持片12が左右一対のアーム片13を有していると、環状片10を一対のアーム片13によって安定して支持することができ、環状片10の前後方向の振動を抑制できる。特に、図3のように、アーム片13が第1径方向Z1に湾曲していると、環状片10の後方向X1への撓みを抑制できる。更に、アーム片13によって支持される第2支持部22がリング装着孔20の中心よりも第1径方向Z1に位置していると、アーム片13によって環状片10を効果的に支持することができ、環状片10の前後方向の撓みを効果的に抑制できる。
【0056】
第1拡張部32の左右方向の幅W1が中間部34の左右方向の幅W2よりも拡張されていると、第1支持片11の重量増加を抑制しつつ第1拡張部32によって第1支持片11の第1接続部30近傍を効果的に補強できる。特に、第1拡張部32の左右方向の周方向の幅W1が第1取付片14に向けて徐々に広くなっていると、第1支持片11の重量増加を抑制しつつ第1支持片11の接続部近傍を効果的に補強できる。
【0057】
第1取付片14の第1取付端部40に第2拡張部42が設けられていると、第1取付片14の第1取付端部40の強度を高めることができる。そして、第1拡張部32から第2拡張部42にかけての一体感が向上する。そのため、第1取付片14がより一層捻れにくくなる。特に、第2拡張部42が第1拡張部32と連続していて、第2拡張部42の左右方向の幅W3が、第1拡張部32の左右方向の幅W1と同じであると、第1拡張部32から第2拡張部42にかけての一体感が向上し、第1取付片14がより一層捻れにくくなる。第2拡張部42の左右方向の幅W3がベース部43の左右方向の幅W4よりも広いと、第2拡張部42を介して第1拡張部32の捻れ強度を向上させることができ、また、第1取付片14の重量増加を抑制できる。
【0058】
第1支持片11が湾曲しない平面であると、第1拡張部32における糸絡みを防止することができる。従って、第1支持片11は、第1取付片14に対して屈曲していることが好ましい。
【0059】
第1離間距離L1が環状片10の内径10bの1.5倍から2倍の間に設定されている。また、第2離間距離L2は、ガイドリング3の内径3bの2倍から3倍の間に設定されている。つまり、ガイドリング3が竿体4から第1径方向Z1に大きく離れている一方で、ガイドリング3の内径3bは小さい。元ガイド1aは、足長であって且つ小径である。キャスト時にリール6から放出される釣糸5は、螺旋状を描いて元ガイド1aに近づく。第1離間距離L1が環状片10の内径10bの1.5倍から2倍の間に設定され、また、第2離間距離L2がガイドリング3の内径3bの2倍から3倍の間に設定されているので、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が竿体4の外周面に接触しにくくなる。そのため、飛距離を伸ばすことができ、元ガイド1aにおけるライントラブルの発生を抑制することができる。また、元ガイド1aのガイドリング3が小径であるため、元ガイド1aを軽量化することができ、釣竿を軽量化することができる。
【0060】
一方、第2支持片12は、竿体4の第1径方向Z1に向けて湾曲している。そのため、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が元ガイド1aのガイドリング3に衝突した際に、元ガイド1aが前方向X2に大きく撓むことを防止することができる。例えば、第2支持片12が仮に竿体4の第2径方向Z2に向けて湾曲していると、リール6から放出された螺旋状の釣糸5が元ガイド1aのガイドリング3に衝突することによって、元ガイド1aが前方向X2に大きく撓みやすい。その撓みを防止するためには、ガイドフレーム2の肉厚を厚くしたりするなど、ガイドフレーム2の強度を上げる必要が生じる。しかしながら、ガイドフレーム2の肉厚を厚くすると元ガイド1aが重くなり、釣竿が重くなる。これに対して、第2支持片12が竿体4の第1径方向Z1に向けて湾曲していると、元ガイド1aの撓みを効果的に抑制することができ、元ガイド1aの重量増加を抑制でき、元ガイド1aの強度と軽量化を容易に両立させることができる。特に、PEラインを使用した釣りに適している。
【0061】
尚、図10(a)のように、第1取付片14に第2拡張部42が設けられずに、第1取付片14の全長に亘って幅一定のベース部43が設けられていてもよい。この場合、ベース部43の左右方向の幅W4が第1取付片14の左右方向の幅W5となり、第1取付片14の左右方向の幅W5は、第1拡張部32の左右方向の幅W1よりも狭くなる。
【0062】
また、図10(b)のように、第1拡張部32が、竿体4の周方向に沿って湾曲した湾曲片70を有していてもよい。湾曲片70の竿体4の外周面と対向する第3対向面70a(竿体4の外周面を向く端面)は、竿体4の周方向に沿って第1径方向Z1に向けて湾曲している。そのため、竿体4の外周面に釣糸ガイド1を取り付けた際に、湾曲片70の第3対向面70aが竿体4の外周面に沿いやすく、釣糸ガイド1を安定して竿体4の外周面に取り付けることができる。
【0063】
また、図11(a)のように、第1取付片14の左右方向の幅W5が略全長に亘って第1拡張部32の左右方向の幅W1と同じであってもよい。また、図11(b)のように、第1拡張部32が前方向X2に向けて屈曲した屈曲片80を有していてもよい。屈曲片80は、左右一対設けられていることが好ましい。左右一対の屈曲片80は互いに対称であることが好ましい。屈曲片80は、第1支持片11に対して、前方向X2に向けて90度未満の屈曲角度で屈曲していることが好ましく、例えば屈曲角度は45度としてよい。このように屈曲片80が第1支持片11に対して前方向X2に傾斜していることが好ましく、屈曲片80によって第1支持片11の捻れが抑制されると共に、屈曲片80が突っ張りとして機能して第1支持片11の前方向X2への撓みを抑制する。
【0064】
尚、図12のように、第2取付片15は、一対のアーム片13がそれぞれ延長された一対のアーム延長部90を有していてもよい。左右一対のアーム延長部90同士が左右方向に接合一体化されることにより、第2取付片15が形成される。尚、一対のアーム延長部90は、第4取付端部61において互いに連続していて且つ折り返されている。
【符号の説明】
【0065】
1 釣糸ガイド
1a 元ガイド
1b トップガイド
1c 中間ガイド
2 ガイドフレーム
3 ガイドリング
3a 内周縁
3b 内径
4 竿体
5 釣糸
6 スピニングリール
7 リールシート
10 環状片
10a 内周縁
10b 内径
11 第1支持片
12 第2支持片
13 アーム片
14 第1取付片
14a 第1対向面
14b 第1接点
14c 第1中心線
15 第2取付片
15a 第2対向面
15b 第2接点
15c 第2中心線
16 仮想線
20 リング装着孔
20a 孔中心線
21 第1支持部
22 第2支持部
30 第1接続部
31 第2接続部
32 第1拡張部
33 第3拡張部
34 中間部
35 折り曲げ線
40 第1取付端部
41 第2取付端部
42 第2拡張部
43 ベース部
50 第3接続部
51 第4接続部
52 直線
60 第3取付端部
61 第4取付端部
70 湾曲片
70a 第3対向面
80 屈曲片
90 アーム延長部
X1 後方向(軸方向)
X2 前方向(軸方向)
Y 左右方向(竿体の周方向)
Z1 第1径方向
Z2 第2径方向
α1 第1傾斜角度
α2 第2傾斜角度
θ 折り曲げ角度
W1 第1拡張部の左右方向の幅
W2 中間部の左右方向の幅
W3 第2拡張部の左右方向の幅
W4 ベース部の左右方向の幅
W5 第1取付片の左右方向の幅
L1 第1離間距離
L2 第2離間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13