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特開2023-8801導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008801
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/70 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H05B6/70 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048287
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2021111372の分割
【原出願日】2021-07-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】508067736
【氏名又は名称】マイクロ波化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 久夫
(72)【発明者】
【氏名】塚原 保徳
【テーマコード(参考)】
3K090
【Fターム(参考)】
3K090AA20
3K090CA05
3K090CA09
3K090DA01
(57)【要約】
【課題】対象物にマイクロ波を照射するキャビティ内における電磁界分布を容易に調整することができる導波管装置を提供する。
【解決手段】導波管装置1は、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの壁に、少なくとも一部が壁の外側に位置するように固定される、マイクロ波の第1の導波管10と、第1の導波管10からのマイクロ波をキャビティ内に導く第2の導波管20と、を備え、第2の導波管20は、キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第1の導波管10に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの壁に、少なくとも一部が当該壁の外側に位置するように固定される、マイクロ波の第1の導波管と、
前記第1の導波管からのマイクロ波を導波して前記キャビティ内に出力する第2の導波管と、を備え、
前記第2の導波管は、前記キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更可能に前記第1の導波管に接続されており、
前記キャビティの外部から前記第2の導波管を回動させる操作部をさらに備える、導波管装置。
【請求項2】
前記第1の導波管は、
マイクロ波発生器で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管と、
第1の中心軸を有する第1のジョイント部であって、前記入力側導波管に接続された第1の開口部と、当該第1の開口部と繋がる第2の開口部とが設けられた中空部を有している第1のジョイント部と
を含み、
前記第2の導波管は、
第2の中心軸を有する第2のジョイント部であって、前記第1の開口部からのマイクロ波が導かれる第3の開口部と、当該第3の開口部に繋がる第4の開口部とが設けられており、前記第2の中心軸を中心として前記中空部内において回動可能となるように配置された第2のジョイント部と、
前記第4の開口部に接続され、前記キャビティ内にマイクロ波を出力する出力側導波管と
を含む、請求項1記載の導波管装置。
【請求項3】
前記第1の中心軸と前記第2の中心軸とが同軸である、請求項2記載の導波管装置。
【請求項4】
前記第1の導波管は、
マイクロ波発生器で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管と、
前記入力側導波管に接続された第1の開口部が周面に設けられ、前記第1の開口部と繋がる第2の開口部が中心軸方向の一端側に設けられた第1の中空部を有している第1のジョイント部と、を含み、
前記第2の導波管は、
前記第1の中空部からのマイクロ波が導かれる第3の開口部が中心軸方向の一端側に設けられ、当該第3の開口部に繋がる第4の開口部が周面に設けられた第2の中空部を有しており、前記第2の中空部の中心軸を中心として、前記第1のジョイント部に対して回動可能となるように前記第1のジョイント部に接続された第2のジョイント部と、
前記第4の開口部に接続され、前記キャビティ内にマイクロ波を出力する出力側導波管と、を含む、請求項1記載の導波管装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の中空部が同軸となるように繋がる、請求項4記載の導波管装置。
【請求項6】
マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器と、
対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティと、
前記キャビティに固定され、前記マイクロ波発生器によって発生されたマイクロ波を前記キャビティの内部に導入する、請求項1から5のいずれか記載の導波管装置と、を備えたマイクロ波照射装置。
【請求項7】
対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの外部から導波管装置を用いて内部にマイクロ波を伝送するためのマイクロ波の伝送方法であって、
前記導波管装置は、
前記キャビティの壁に、少なくとも一部が当該壁の外側に位置するように固定される、マイクロ波の第1の導波管と、
前記第1の導波管からのマイクロ波を導波して前記キャビティ内に出力する第2の導波管と、を備え、
前記第2の導波管は、前記キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更可能に前記第1の導波管に接続されており、
前記キャビティの外部に設けられた操作部を操作することによって前記第2の導波管を回動させることで、前記第2の導波管の前記キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更するステップを備えたマイクロ波の伝送方法。
【請求項8】
前記キャビティ内の電磁界分布または前記対象物の状態をセンシングするステップをさらに備え、
前記マイクロ波の出力方向を変更するステップでは、センシング結果を用いて、前記電磁界分布または前記対象物が所望の状態となるように前記第2の導波管のマイクロ波の出力方向を変更する、請求項7記載のマイクロ波の伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を伝送するための導波管装置、導波管装置を有するマイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビティ内部において、対象物にマイクロ波を照射することによって、対象物を反応させたり、対象物を乾燥させたりすることが行われている。そのようなキャビティ内におけるマイクロ波の照射において、マイクロ波の照射方向は固定されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
対象物にマイクロ波を照射するためのキャビティの設計においては、電磁界解析のシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果に応じて最適なマイクロ波の照射となるようにキャビティの形状、マイクロ波の照射位置、照射の方向などを決定していた。しかしながら、シミュレーション結果に基づいてキャビティを設計しても、反応器の壁面に付着する液滴等のシミュレーション上では再現できない要因や、液面が経時的に変化する反応系、設計後に液面の高さや反応器の内部構造を変更した場合などに起因して、反応器内部の電磁界分布が変わってしまい、必ずしも最適なマイクロ波の照射を実現できないこともある。そのような状況において、最適なマイクロ波の照射となるようにキャビティ内の電磁界分布を調整する必要が生じ、反応器を開けて電磁界分布を調整するための構造体を追加するなどの作業を伴うために工数の増大を招いていた。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象物にマイクロ波を照射するキャビティ内における電磁界分布を容易に調整することができる導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による導波管装置は、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの壁に、少なくとも一部が壁の外側に位置するように固定される、マイクロ波の第1の導波管と、第1の導波管からのマイクロ波を導波してキャビティ内に出力する第2の導波管と、を備え、第2の導波管は、キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更可能に第1の導波管に接続されている、ものである。
【0006】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1の導波管は、マイクロ波発生器で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管と、第1の中心軸を有する第1のジョイント部であって、入力側導波管に接続された第1の開口部と、第1の開口部と繋がる第2の開口部とが設けられた部分円柱状形状の中空部を有している第1のジョイント部とを含み、第2の導波管は、第2の中心軸を有する第2のジョイント部であって、第1の開口部からのマイクロ波が導かれる第3の開口部と、第3の開口部に繋がる第4の開口部とが設けられた部分円柱状形状を有しており、第2の中心軸を中心として中空部内において回動可能となるように配置された第2のジョイント部と、第4の開口部に接続され、キャビティ内にマイクロ波を出力する出力側導波管とを含んでもよい。
【0007】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1の中心軸と第2の中心軸とが同軸であってもよい。
【0008】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1の開口部と第2の開口部とは、開口面が第1の中心軸と平行になるように設けられており、第3の開口部と第4の開口部とは、開口面が第2の中心軸と平行になるように設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1の導波管は、マイクロ波発生器で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管と、入力側導波管に接続された第1の開口部が周面に設けられ、第1の開口部と繋がる第2の開口部が中心軸方向の一端側に設けられた円柱状形状の第1の中空部を有している第1のジョイント部と、を含み、第2の導波管は、第1の中空部からのマイクロ波が導かれる第3の開口部が中心軸方向の一端側に設けられ、第3の開口部に繋がる第4の開口部が周面に設けられた円柱状形状の第2の中空部を有しており、第2の中空部の中心軸を中心として、第1のジョイント部に対して回動可能となるように第1のジョイント部に接続された第2のジョイント部と、第4の開口部に接続され、キャビティ内にマイクロ波を出力する出力側導波管と、を含んでもよい。
【0010】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1及び第2の中空部が同軸となるように繋がっていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第2のジョイント部は、第1のジョイント部に対して第2の中空部の中心軸方向に移動可能に接続されていてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1及び第2のジョイント部の隙間には、円環状のスペーサが設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様による導波管装置では、第1の導波管がキャビティの壁に固定された場合に、キャビティの外部から第2のジョイント部を回動させることができる、第2のジョイント部に接続された操作部をさらに備えてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様によるマイクロ波照射装置は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器と、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティと、キャビティに固定され、マイクロ波発生器によって発生されたマイクロ波をキャビティの内部に導入する、導波管装置と、を備えたものである。
【0015】
また、本発明の一態様によるマイクロ波の伝送方法は、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの外部から導波管装置を用いて内部にマイクロ波を伝送するためのマイクロ波の伝送方法であって、導波管装置は、キャビティの壁に、少なくとも一部が壁の外側に位置するように固定される、マイクロ波の第1の導波管と、第1の導波管からのマイクロ波を導波してキャビティ内に出力する第2の導波管と、を備え、第2の導波管は、キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更可能に第1の導波管に接続されており、第2の導波管のキャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更するステップを備えたものである。
【0016】
また、本発明の一態様によるマイクロ波の伝送方法では、キャビティ内の電磁界分布または対象物の状態をセンシングするステップをさらに備え、マイクロ波の出力方向を変更するステップでは、センシング結果を用いて、電磁界分布または対象物が所望の状態となるように第2の導波管のマイクロ波の出力方向を変更してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様による導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法によれば、キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるため、キャビティ内の電磁界分布を容易に調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1による導波管装置の斜視図
図2】同実施の形態による導波管装置の正面図
図3】同実施の形態による導波管装置の側面図
図4】同実施の形態による導波管装置の断面図
図5】同実施の形態における第2の導波管の斜視図
図6】同実施の形態におけるマイクロ波照射装置の断面模式図
図7】本発明の実施の形態2による導波管装置の斜視図
図8】同実施の形態による導波管装置の正面図
図9】同実施の形態による導波管装置の平面図
図10】同実施の形態による導波管装置の断面図
図11】同実施の形態による導波管装置の部分拡大断面図
図12A】同実施の形態におけるマイクロ波照射装置の断面模式図
図12B】同実施の形態におけるマイクロ波照射装置の断面模式図
図12C】同実施の形態におけるマイクロ波照射装置の断面模式図
図13】本発明の実施の形態3による導波管装置の正面図
図14】同実施の形態による導波管装置の側面図
図15】同実施の形態における導波管装置の断面図
図16】同実施の形態における導波管装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一態様による導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による導波管装置は、部分円柱状形状の中空部を有する第1のジョイント部と、その中空部内において回動可能に配置された部分円柱状形状を有する第2のジョイント部とによって、第1及び第2の導波管が接続されているものである。
【0021】
図1は、本実施の形態による導波管装置1の斜視図であり、図2は、導波管装置1の正面図であり、図3は、導波管装置1の側面図であり、図4は、図2におけるIV-IV線断面図であり、図5は、第2の導波管20の斜視図である。図6は、キャビティ3、及びキャビティ3に装着された導波管装置1を有するマイクロ波照射装置100の断面模式図である。
【0022】
本実施の形態による導波管装置1は、図6で示されるように、対象物4へのマイクロ波の照射が行われるキャビティ3に固定され、キャビティ3の外部から内部にマイクロ波を導入するために用いられる。マイクロ波照射装置100は、導波管装置1と、キャビティ3と、マイクロ波発生器70とを備える。導波管装置1は、キャビティ3の壁に固定される第1の導波管10と、第1の導波管10からのマイクロ波を導波してキャビティ3内に出力する第2の導波管20とを備え、さらに第2の導波管20を回動させるための操作部51を備えることができる。第2の導波管20は、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第1の導波管10に接続されている。第1の導波管10がキャビティ3の壁に固定される際に、第1の導波管10の少なくとも一部、例えば、第1の導波管10におけるマイクロ波の入力側の端部が壁の外側に位置するように固定される。
【0023】
第1の導波管10は、マイクロ波発生器70で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管11と、キャビティ3の壁に固定される第1のジョイント部12とを有している。
第1のジョイント部12は、入力側導波管11に接続される部分円柱状形状の第1の中空部13を有している。
【0024】
第2の導波管20は、第1の中空部13内において回動可能となるように配置される、部分円柱状形状を有している第2のジョイント部21と、第2のジョイント部21からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する出力側導波管22とを有する。
【0025】
第1及び第2の導波管10、20はそれぞれマイクロ波を伝送するものであるため、マイクロ波を通過しない材料によって構成されることが好適である。マイクロ波を通過しない材料は、例えば、マイクロ波反射性の材料であってもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などであってもよい。
【0026】
キャビティ3内では、対象物4にマイクロ波を照射することによって、例えば、加熱、焼成、化学反応、乾燥、凍結乾燥、廃棄物処理、または殺菌などの処理が行われてもよい。キャビティ3は、例えば、加熱容器、リアクタ、乾燥容器、廃棄物処理用の容器、殺菌用の容器、またはキルンなどであってもよい。キャビティ3は、内部空間からマイクロ波が漏洩しないようにするため、マイクロ波を通過しない壁を有していることが好適である。そのため、キャビティ3の壁は、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属の例示は、上記のとおりである。マイクロ波が照射される対象物4は、例えば、固形物、粒状固体、または、粉体などの固体であってもよく、液体であってもよく、気体であってもよく、またはそれらの混合物であってもよい。キャビティ3内において、対象物4の撹拌が行われてもよく、または、そうでなくてもよい。マイクロ波照射装置100は、例えば、連続式の装置であってもよく、または、バッチ式の装置であってもよい。また、連続式の場合に、対象物4は例えば、継続的に移動してもよく、または、移動と停止を繰り返してもよい。
【0027】
導波管装置1は、マイクロ波発生器70によって発生されたマイクロ波をキャビティ3内に伝送する。マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器70は、例えば、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロン、または半導体素子などを用いてマイクロ波を発生させてもよい。半導体素子を用いてマイクロ波を発生させるとは、一例として、半導体素子を用いてマイクロ波を発振させることであってもよく、半導体素子を用いてマイクロ波を増幅することであってもよい。マイクロ波の周波数の帯域は、例えば、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、24GHzの付近であってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数帯域であってもよい。導波管装置1におけるマイクロ波の導波路のサイズは、伝送対象のマイクロ波の周波数に応じたものになっていることが好適である。
【0028】
第1の導波管10における入力側導波管11は、例えば、方形導波管であってもよく、円形導波管であってもよい。また、入力側導波管11は、例えば、直線導波管であってもよく、導波路が直角または他の角度に折れ曲がっており、コーナ部分の外周側が面取りされたコーナ導波管であってもよく、導波路が円弧状に湾曲しているベンド導波管であってもよい。また、入力側導波管11は、例えば、中空導波管であってもよい。第2の導波管20における出力側導波管22についても同様である。本実施の形態では、入力側導波管11、及び出力側導波管22が中空の直線状の方形導波管である場合について主に説明する。入力側導波管11のマイクロ波発生器70側の端部には、図1で示されるように、フランジ11aが設けられていてもよく、または、そうでなくてもよい。入力側導波管11のマイクロ波発生器70側の端部には、例えば、マイクロ波発生器70が接続されてもよく、または、マイクロ波発生器70に接続された導波管が接続されてもよい。
【0029】
第1の導波管10における第1のジョイント部12は、部分円柱状形状である第1の中空部13を有している。なお、本実施の形態では、第1のジョイント部12が、厚さが一定の面によって入力側導波管11と一体的に構成されており、第1のジョイント部12の外形も、第1の中空部13と同様に部分円柱状形状である場合、すなわち第1のジョイント部12が軸方向の両端が閉じている部分円筒状形状である場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。第1のジョイント部12の外形が部分円柱状形状ではない場合には、例えば、第1のジョイント部12の外形は直方体形状であり、その直方体形状の内部に、部分円柱状形状の第1の中空部13が構成されていてもよい。
【0030】
第1の中空部13には、第1の開口部14と、第2の開口部15とが設けられている。したがって、第1及び第2の開口部14、15は、第1の中空部13を介して繋がっている。第1の開口部14は、入力側導波管11に接続されている。第1の中空部13には、第2の開口部15側から、第2の導波管20の一部が挿入される。第1及び第2の開口部14、15は共に、開口面が第1の中空部13の中心軸に平行になるように設けられている。第1の中空部13は、円柱状形状の中空部の周面側に、そのような第1及び第2の開口部14、15が設けられていることによって、部分円柱状形状となったものである。したがって、第1の中空部13の中心軸とは、第1の中空部13における第1及び第2の開口部14、15以外の内周面の中心軸である。なお、円柱状形状の周面は、円柱状形状の軸方向に平行な筒状の面のことである。対向する一対の底面12cを有する部分円筒状形状である第1のジョイント部12における一対の底面12cにはそれぞれ、第2のジョイント部21の回動軸21aが挿入される貫通孔が設けられている。その貫通孔は第1の中空部13の中心軸上に位置している。
【0031】
本実施の形態では、第1及び第2の開口部14、15の開口面が平行であり、両開口面が第1の中空部13の中心軸を挟んで対向している場合について示しているが、そうでなくてもよい。第1及び第2の開口部14、15の開口面は平行でなくてもよい。
【0032】
円柱状形状は、円柱形状、すなわち中心軸に垂直な断面が正円である形状であってもよく、または、その断面が正円から少しずれた形状、例えば、楕円形状もしくは正多角形形状である形状であってもよい。軸方向に垂直な断面が正円である場合、及び正円から少しずれた形状である場合を含めて、円柱状形状(solid cylinder-like shape)と呼ぶ。円柱状形状は通常、中実である。円柱状形状が円柱形状である場合には、周面は円周面となる。また、外形は円柱状形状であるが、内部に円柱状形状の中空部を有する筒状の形状を円筒状形状(hollow cylinder-like shape)と呼ぶ。
【0033】
第1のジョイント部12がキャビティ3の壁に固定される際に、第1の中空部13の中心軸と、壁の面方向とが平行、または平行に近くなるように固定されることが好適である。第1のジョイント部12がキャビティ3に固定された際に、第2の開口部15がキャビティ3の内側を向くことが好適だからである。本実施の形態では、第1のジョイント部12がキャビティ3の壁に固定された際に、第1のジョイント部12の全体がキャビティ3の壁の外側に位置する場合について主に説明する。図1で示されるように、第1のジョイント部12には取り付け板12aが固定されていてもよい。そして、図6で示されるように、取り付け板12aをキャビティ3の壁にボルト5で固定することによって、第1のジョイント部12がキャビティ3に固定されてもよい。取り付け板12aには、第2の開口部15と同サイズ、同形状の開口部が設けられており、その開口部と、第1の開口部15とが取り付け板12aの法線方向から見て一致するように、両者が溶接等によって接続されてもよい。なお、第1のジョイント部12に取り付け板12aが設けられていない場合には、第1のジョイント部12は、例えば、溶接によってキャビティ3の壁に固定されてもよい。
【0034】
第2の導波管20における第2のジョイント部21は、部分円柱状形状を有しており、内部の第2の中空部23と繋がる第3及び第4の開口部24、25が設けられている。したがって、第3及び第4の開口部24、25は、第2の中空部23を介して繋がっている。第3の開口部24には、第1のジョイント部12の第1の開口部14からのマイクロ波が、第1の中空部13を介して導かれる。第3及び第4の開口部24、25は共に、開口面が第2のジョイント部21の部分円柱状形状の中心軸に平行になるように設けられている。第2のジョイント部21の部分円柱状形状の中心軸とは、第2のジョイント部21における第3及び第4の開口部24、25以外の周面の中心軸である。部分円柱状形状である第2のジョイント部21の対向する一対の底面21cにはそれぞれ、回動軸21aが設けられている。回動軸21aは、例えば、溶接、ネジなどによって底面21cに固定されてもよい。回動軸21aは、第2のジョイント部21の中心軸上に位置している。なお、図5では、第2の中空部23に回動軸21aが存在しない場合について示しているが、そうでなくてもよい。第2の中空部23に、回動軸21aが存在してもよい。この場合には、回動軸21aは、底面21cを貫通して設けられていてもよい。また、第2の中空部23に回転軸21aが存在する場合には、回転軸21aのうち、少なくとも第2の中空部23に存在する部分は、マイクロ波を反射しない材料によって構成されていることが好適である。マイクロ波を反射しない材料としては、マイクロ波透過性材料が好適である。マイクロ波透過性材料は、比誘電損失が小さい材料であり、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、石英、ガラス等であってもよい。マイクロ波透過性材料の比誘電損失は、例えば、マイクロ波処理装置100の稼働時のマイクロ波の周波数及び温度において、1より小さいことが好適であり、0.1より小さいことがより好適であり、0.01より小さいことがさらに好適である。第2の中空部23におけるマイクロ波の反射または吸収を低減する観点からは、第2の中空部23に回動軸21aが存在しないことが好適である。回動軸21aの一端には、図1等で示されるように、一方向に延びる操作部51が接続されている。なお、回動軸21aと操作部51とは一体として構成されてもよい。
【0035】
第2の導波管20の第2のジョイント部21の第3の開口部24側を、第2の開口部15から第1の中空部13の内部に入れることができない場合、または、回動軸21aが溶接などによって底面21cに取り付けられる場合には、第2のジョイント部21の周囲において各面を溶接等によって接続することによって第1の導波管10を組み立ててもよい。一方、回動軸21aをネジなどによって底面21cに取り付けることができる場合であって、第2の導波管20の第2のジョイント部21の第3の開口部24側を、第2の開口部15から第1の中空部13の内部に入れることができる場合には、第2の導波管20を第1の導波管10の第1の中空部13に入れた後に、第1のジョイント部12の底面12cの貫通孔を介して回動軸21aを第2のジョイント部21に取り付けてもよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、第2のジョイント部21が、厚さが一定の面によって出力側導波管22と一体的に構成されており、第2のジョイント部21の内側の第2の中空部23も、第2のジョイント部21の外形と同様に部分円柱状形状である場合、すなわち第2のジョイント部21が軸方向の両端が閉じている部分円筒状形状である場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。第2の中空部23が部分円柱状形状でない場合には、例えば、第2の中空部23は直方体形状であってもよい。
【0037】
本実施の形態では、第3及び第4の開口部24、25の開口面が平行であり、両開口面が第2のジョイント部21の部分円柱状形状の中心軸を挟んで対向している場合について示しているが、そうでなくてもよい。第3及び第4の開口部24、25の開口面は平行でなくてもよい。
【0038】
第2のジョイント部21は、第2のジョイント部21の部分円柱状形状の中心軸が、第1の中空部13の中心軸と同軸となり、第2のジョイント部21の部分円柱状形状の中心軸を中心として、第1の中空部13内において回動可能となるように配置される。より具体的には、回動軸21aが、第1のジョイント部12の底面12cの貫通孔を貫通することによって、第2のジョイント部21が、第1のジョイント部12の第1の中空部13内において回動可能となっていてもよい。なお、貫通孔と、回動軸21aとの隙間からマイクロ波が漏洩することを防止するため、例えば、図1等で示されるように、貫通孔の外側にマイクロ波の漏洩防止部6が設けられてもよい。マイクロ波の漏洩防止部6には、例えば、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられていてもよい。
【0039】
第1のジョイント部12の周面12bの内周側と、第2のジョイント部21の周面21bの外周側との隙間は小さいことが好適である。また、その隙間を通るマイクロ波は、出力側導波管22から出力されるマイクロ波と比較して少ないことが好適である。なお、その隙間を通るマイクロ波は、第2の開口部14からキャビティ3の内に伝送され、キャビティ3の外部に漏洩することはないため、特に問題になることはない。
【0040】
出力側導波管22は、第4の開口部24に接続される。そして、出力側導波管22は、図3の矢印A11で示されるように、第2のジョイント部21からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する。上記したように、第2のジョイント部21は、第1の中空部13において回動可能となっている。そのため、例えば、図3の両矢印A12で示されるように第2のジョイント部21が回動することに応じて、出力側導波管22から出力されるマイクロ波の向きも変化することになる。この場合には、第2の導波管20は、第1のジョイント部12の第2の開口部14の範囲内において回動できる。
【0041】
操作部51は、第2のジョイント部21に接続されている。本実施の形態では、上記したように、操作部51は、第2のジョイント部21の回動軸21aに、同軸になるように接続されているものとする。操作部51は、図1等で示されるように、棒状の部材であってもよい。この操作部51を用いることによって、第1の導波管10がキャビティ3の壁に固定された場合に、キャビティ3の外部から第2のジョイント部21を回動させることができるようになる。操作部51による第2のジョイント部21の回動は、例えば、マイクロ波が照射されていない際に行われてもよく、マイクロ波が照射されている際に行われてもよい。後者の場合には、マイクロ波を照射しながらキャビティ3内におけるマイクロ波の出射方向を変化させることができる。
【0042】
マイクロ波発生器70によって発生されたマイクロ波は、例えば、導波管を介して入力側導波管11のフランジ11a側の端部から入力され、入力側導波管11、第1のジョイント部12の第1の中空部13の少なくとも一部、第2のジョイント部21の第2の中空部23、及び出力側導波管22を介してキャビティ3内に出力される。すなわち、第1及び第2の導波管10、20は、入力側導波管11のフランジ11a側の端部から、出力側導波管22のマイクロ波が出力される側の端部まで、マイクロ波を伝送できるように繋がっている。なお、導波管装置1がキャビティ3に固定された後に、入力側導波管11の端部からマイクロ波が導入された際には、導波管装置1からキャビティ3の外にマイクロ波が漏洩しないようになっていることが好適である。そのため、マイクロ波が通過可能な隙間などが存在する場合には、適宜、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられることが好適である。キャビティ3内の電磁界分布は、キャビティ3に導入されるマイクロ波の向きが変化することによって変化する。したがって、本実施の形態による導波管装置1を用いてキャビティ3内にマイクロ波を導入し、操作部51を操作してマイクロ波の出力方向を変化させることによって、キャビティ3内の電磁界分布を調整することができ、その結果として、例えば、対象物4への最適なマイクロ波の照射が行われるようにすることができる。なお、キャビティ3内の電磁界分布が所望の状態になっているかどうかは、例えば、マイクロ波をセンシングするセンサを用いて確認してもよく、対象物4の温度、状態等をセンシングすることによって確認してもよい。また、対象物4が所望の状態になっているかどうかを、例えば、対象物4の温度等をセンシングすることによって確認してもよい。そして、キャビティ3内の電磁界分布が所望の状態となるように、または、対象物4が所望の状態となるように、マイクロ波の出力方向を変更してもよい。
【0043】
以上のように、本実施の形態による導波管装置1、マイクロ波照射装置100、及びマイクロ波の伝送方法によれば、キャビティ3の外部から内部にマイクロ波を伝送する際に、キャビティ3内において第2の導波管20によるマイクロ波の出力方向を変更することができ、その変更に応じて、キャビティ3内の電磁界分布を変化させることができる。したがって、例えば、キャビティ3内において最適なマイクロ波の照射が行われるように、キャビティ3内の電磁界分布を容易に調整することができるようになる。また、第1の導波管10が入力側導波管11及び第1のジョイント部12を有しており、第2の導波管20が第2のジョイント部21及び出力側導波管22を有していることによって、簡単な構成により、入力側導波管11のマイクロ波の伝送方向と、出力側導波管22におけるマイクロ波の伝送方向とのなす角度を容易に変化させることができるようになる。また、第1の導波管10をキャビティ3に固定した場合、第2の導波管20の角度を変化させたとしても、第1の導波管10に接続されているマイクロ波発生器70などの配置を変更する必要はない。したがって、マイクロ波発生器70の位置を固定した状態で、マイクロ波の照射角度を変更できることになる。
【0044】
なお、本実施の形態において、出力側導波管22は、長手方向の長さを変化させることができる導波管、例えば、スライド式導波管であってもよい。スライド式導波管は、導波管の長手方向の長さを伸縮するためのスライド機構を有する導波管である。スライド式導波管のスライド機構は、例えば、ズームレンズ、望遠鏡などと同様の管または筒の伸縮機構であってもよい。スライド式導波管については、例えば、特開平8-288710号公報を参照されたい。このように、出力側導波管22をスライド式導波管とすることによって、マイクロ波の出力位置を変更することもでき、その変更に応じて、キャビティ3内の電磁界分布を調整することもできる。
【0045】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による導波管装置、マイクロ波照射装置、及びマイクロ波の伝送方法について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による導波管装置は、円柱状形状の中空部を有する第1のジョイント部と、その中空部と繋がる円柱状形状の中空部を有する第2のジョイント部とが、各中空部の中心軸が同軸となるように繋がっており、第2のジョイント部が、第1のジョイント部に対して、中空部の中心軸を中心として回動可能に構成されているものである。
【0046】
図7は、本実施の形態による導波管装置2の斜視図であり、図8は、入力側導波管31及び出力側導波管42が同じ側に位置している導波管装置2の正面図であり、図9は、導波管装置2の平面図であり、図10は、図8におけるX-X線断面図であり、図11は、図8のX-X線における第1のジョイント部32と第2のジョイント部41との接続部分の部分拡大断面図である。図12A図12Cは、キャビティ3、及びキャビティ3に装着された導波管装置2を有するマイクロ波照射装置100の断面模式図である。
【0047】
本実施の形態による導波管装置2も、実施の形態1の導波管装置1と同様に、図12A等で示されるように、対象物4へのマイクロ波の照射が行われるキャビティ3の外部から内部にマイクロ波を導入するために用いられる。マイクロ波照射装置100は、導波管装置2と、キャビティ3と、マイクロ波発生器70とを備える。導波管装置2は、キャビティ3の壁に固定される第1の導波管30と、第1の導波管30からのマイクロ波を導波してキャビティ3内に出力する第2の導波管40とを備え、さらに第2の導波管40を回動させるための操作部52と、スペーサ60とを備えることができる。第1の導波管30がキャビティ3の壁に固定される際に、第1の導波管30の少なくとも一部、例えば、第1の導波管30におけるマイクロ波の入力側の端部が壁の外側に位置するように固定される。第2の導波管40は、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第1の導波管30に接続されている。
【0048】
第1の導波管30は、マイクロ波発生器70で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管31と、キャビティ3の壁に固定される第1のジョイント部32とを有している。第1のジョイント部32は、入力側導波管31に接続される円柱状形状の第1の中空部33を有している。
【0049】
第2の導波管40は、第1の中空部33と繋がる円柱状形状の第2の中空部43を有しており、第1のジョイント部32に対して回動可能に接続される第2のジョイント部41と、第2のジョイント部41からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する出力側導波管42とを有する。
【0050】
なお、マイクロ波の照射によって行われる処理、マイクロ波発生器70、マイクロ波の周波数等は、実施の形態1と同様であり、その詳細な説明を省略する。また、入力側導波管31、出力側導波管42も、実施の形態1の入力側導波管11、出力側導波管22と同様のものであり、その詳細な説明を省略する。但し、本実施の形態では、一例として、出力側導波管42が、マイクロ波の進行方向を45度だけ変化させるコーナ導波管である場合について説明する。また、第1及び第2の導波管30、40は、マイクロ波を通過しない材料によって構成されることが好適である。マイクロ波を通過しない材料は、実施の形態1と同様である。
【0051】
第1の導波管30における第1のジョイント部32は、円柱状形状である第1の中空部33を有している。なお、本実施の形態では、第1のジョイント部32が、厚さが一定の面によって構成されており、第1のジョイント部32の外形も、第1の中空部33と同様に円柱状形状である場合について説明するが、後述するように、そうでなくてもよい。
【0052】
第1の中空部33には、第1及び第2の開口部34、35が設けられている。したがって、第1及び第2の開口部34、35は、第1の中空部33を介して繋がっている。第1の開口部34は、第1のジョイント部32の周面32aに設けられており、入力側導波管31に接続されている。本実施の形態では、第1の中空部33の中心軸方向と、入力側導波管31の長手方向とが直交するように入力側導波管31が第1のジョイント部32に接続される場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。その他の角度で両者が接続されてもよい。入力側導波管31と第1のジョイント部32とは、例えば、溶接などによって接続されてもよい。第2の開口部35は、第1の中空部33の中心軸方向の一端側に設けられている。第2の開口部35は、第1の中空部33の中心軸に垂直な平面における第1の中空部33と同サイズ、同形状であってもよい。すなわち、第1のジョイント部32の中心軸方向の一端側の面は、全体が開口していてもよい。第1の中空部33の中心軸とは、第1の中空部33の周面の中心軸である。第1のジョイント部32は、軸方向の一端が底面32bによって閉じており、他端が開口しており、周面に第1の開口部34が設けられている円筒状形状であると言うこともできる。第1のジョイント部32の第2の開口部35と反対側の端面である底面32bには、長手方向に垂直な断面が円柱状形状である操作部52の通る貫通孔32cが設けられている。なお、貫通孔32cと、操作部52との隙間からマイクロ波が漏洩しないようにするため、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられていてもよい。
【0053】
第1のジョイント部32がキャビティ3の壁に固定される際に、図12A等で示されるように、第1の中空部33の中心軸と、壁の面方向とが垂直、または垂直に近くなるように固定されてもよい。したがって、図12A等で示されるように、第1のジョイント部32の一部がキャビティ3の壁の内側に位置してもよい。第1のジョイント部32は、例えば、図12Aで示されるように、第2の開口部35側の端部がキャビティ3の内側に位置するように配置され、第1のジョイント部32の周面32aと同サイズ、同形状であるキャビティ3の開口部3aと、第1のジョイント部32の周面32aとを溶接することによってキャビティ3に固定されてもよい。なお、実施の形態1と同様に、第1のジョイント部32の外周側に取り付け板を設け、その取り付け板によって第1のジョイント部32をキャビティ3に固定してもよい。
【0054】
第2の導波管40における第2のジョイント部41は、円柱状形状である第2の中空部43を有している。なお、本実施の形態では、第2のジョイント部41が、厚さが一定の面によって構成されており、第2のジョイント部41の外形も、第2の中空部43と同様に円柱状形状である場合について説明するが、後述するように、そうでなくてもよい。
【0055】
第2の中空部43には、第3及び第4の開口部44、45が設けられている。したがって、第3及び第4の開口部44、45は、第2の中空部43を介して繋がっている。第3の開口部44は、第2の中空部43の中心軸方向の一端側に設けられている。第3の開口部44は、第2の中空部43の中心軸に垂直な平面における第2の中空部43と同サイズ、同形状であってもよい。すなわち、第2のジョイント部41の中心軸方向の一端側の面は、全体が開口していてもよい。第2の中空部43の中心軸とは、第2の中空部43の周面の中心軸である。第3の開口部44には、第1の中空部33からのマイクロ波が導かれる。第2のジョイント部41の第3の開口部44と反対側の端面である底面41bの内面側には、操作部52の一端が固定されていてもよい。この固定は、例えば、ねじ止め、溶接、または接着などによって行われてもよい。第4の開口部45は、第2のジョイント部41の周面41aに設けられており、出力側導波管42に接続されている。本実施の形態では、第2の中空部43の中心軸方向と、出力側導波管42の長手方向とが直交するように出力側導波管42が第2のジョイント部41に接続される場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。その他の角度で両者が接続されてもよい。第2のジョイント部41と出力側導波管42とは、例えば、溶接などによって接続されてもよい。第2のジョイント部41は、軸方向の一端が底面41bによって閉じており、他端が開口しており、周面に第4の開口部45が設けられている円筒状形状であると言うこともできる。
【0056】
第1及び第2のジョイント部32、41は、第1及び第2の中空部33、43が同軸となって繋がるように接続されている。また、第1及び第2のジョイント部32、41は、第2の中空部43の中心軸を中心として、第1のジョイント部32に対して第2のジョイント部41が回動可能となるように接続されている。そのため、図7で示されるように、第2のジョイント部41は、第1のジョイント部32に対して両矢印A22で示されるように回動可能となっている。第1及び第2のジョイント部32、41は、底面32b、41bが対向するように、第2のジョイント部41の内側に第1のジョイント部32が挿入されることによって繋がっていてもよく、第1のジョイント部32の内側に第2のジョイント部41が挿入されることによって繋がっていてもよい。本実施の形態では、図10等で示されるように、前者の場合について主に説明する。なお、前者の場合、すなわち第2のジョイント部41が外側である場合には、第2のジョイント部41の外形は、円柱状形状でなくてもよく、例えば、直方体形状などであってもよい。また、後者の場合、すなわち第1のジョイント部32が外側である場合には、第1のジョイント部32の外形は円柱状形状でなくてもよく、例えば、直方体形状などであってもよい。
【0057】
なお、第2のジョイント部41は、第1のジョイント部32に対して、第2の中空部43の中心軸方向に移動可能に接続されていてもよい。すなわち、図7で示されるように、第2のジョイント部41は、第1のジョイント部32に対して両矢印A23の方向に移動可能となっていてもよい。
【0058】
第1及び第2のジョイント部32、41の隙間には、図11で示されるように、円環状のスペーサ60が設けられていてもよい。スペーサ60の個数は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。スペーサ60は、例えば、電気絶縁性を有する材料によって構成されてもよい。電気絶縁性を有する材料は、例えば、樹脂、セラミックなどであってもよい。また、スペーサ60は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、セラミックなどのマイクロ波透過性材料によって構成されてもよい。図11において、例えば、図中の上側のスペーサ60は、第2のジョイント部41の内周面に固定されており、下側のスペーサ60は、第1のジョイント部32の外周面に固定されていてもよい。この場合には、2個のスペーサ60がストッパとしても機能することになり、第1のジョイント部32の外周側から第2のジョイント部41が抜けることを防止することができる。
【0059】
なお、図11では、第2のジョイント部41の内側に第1のジョイント部32が挿入されるため、第1のジョイント部32の外周面と第2のジョイント部41の内周面との間にスペーサ60が配置されているが、逆の場合、すなわち第1のジョイント部32の内側に第2のジョイント部41が挿入される場合には、第2のジョイント部41の外周面と第1のジョイント部32の内周面との間にスペーサ60が配置されることになる。
【0060】
第1及び第2のジョイント部32、41の隙間を通るマイクロ波は、出力側導波管42から出力されるマイクロ波と比較して少ないことが好適である。なお、その隙間を通るマイクロ波は、第2の開口部35からキャビティ3内に伝送され、キャビティ3の外部に漏洩することはないため、特に問題になることはない。
【0061】
出力側導波管42は、第4の開口部45に接続される。そして、出力側導波管42は、図9の矢印A25で示されるように、第2のジョイント部41からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する。上記したように、第2のジョイント部41は、中心軸を中心として回動可能となっている。そのため、例えば、図9の両矢印A26で示されるように第2のジョイント部41が回動することに応じて、出力側導波管42から出力されるマイクロ波の向きも変化することになる。
【0062】
操作部52は、第2のジョイント部41に接続されている。本実施の形態では、上記したように、操作部52は、第2のジョイント部41の底面41bの内側に、底面41bの円形状の中心を通る法線方向と同軸になるように接続されているものとする。この操作部52を用いることによって、第1の導波管30がキャビティ3の壁に固定された場合に、キャビティ3の外部から第2のジョイント部41を回動させることができる。例えば、図7図9において、操作部52を両矢印A21、A24の方向に回動させることによって、第2のジョイント部41を両矢印A22、A26の方向に回動させることができる。また、例えば、操作部52を中心軸の軸方向に移動させることによって、第2のジョイント部41を図7の両矢印A23の方向に移動させることもできる。操作部52による第2のジョイント部41の回動または軸方向への移動は、例えば、マイクロ波が照射されていない際に行われてもよく、マイクロ波が照射されている際に行われてもよい。後者の場合には、マイクロ波を照射しながらキャビティ3内におけるマイクロ波の出射方向または出射位置を変化させることができる。操作部52は、例えば、マイクロ波反射性またはマイクロ波透過性の材料によって構成されてもよい。操作部52がマイクロ波透過性材料によって構成されている場合には、貫通孔32cからのマイクロ波の漏洩を防止するため、例えば、マイクロ波を減衰させるように貫通孔32cが設けられてもよく、貫通孔32cからのマイクロ波の漏洩を防止できるように電磁界分布が制御されてもよい。
【0063】
マイクロ波発生器70によって発生されたマイクロ波は、例えば、導波管を介して入力側導波管31の端部から入力され、入力側導波管31、第1のジョイント部32の第1の中空部33、第2のジョイント部41の第2の中空部43、及び出力側導波管42を介してキャビティ3内に出力される。すなわち、第1及び第2の導波管30、40は、入力側導波管31の端部から、出力側導波管42のマイクロ波が出力される側の端部まで、マイクロ波を伝送できるように繋がっている。なお、導波管装置2がキャビティ3に固定された後に、入力側導波管31の端部からマイクロ波が導入された際には、導波管装置2からキャビティ3の外にマイクロ波が漏洩しないようになっていることが好適である。そのため、マイクロ波が通過可能な隙間などが存在する場合には、適宜、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられることが好適である。キャビティ3内の電磁界分布は、キャビティ3に導入されるマイクロ波の向きが変化することによって変化する。例えば、キャビティ3に導入されるマイクロ波の向きが図12Aで示される状況から、図12Bで示される状況に変化した場合に、キャビティ3内の電磁界分布は変化することになる。また、キャビティ3内の電磁界分布は、キャビティ3に導入されるマイクロ波の出力位置が変化することによって変化する。例えば、キャビティ3に導入されるマイクロ波の出力位置が図12Aで示される状況から、図12Cで示される状況に変化した場合に、キャビティ3内の電磁界分布は変化することになる。したがって、本実施の形態による導波管装置2を用いてキャビティ3内にマイクロ波を導入し、操作部52を操作してマイクロ波の出力方向、出力位置を変化させることによって、キャビティ3内の電磁界分布を調整することができ、その結果として、例えば、対象物4への最適なマイクロ波の照射が行われるようにすることができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態による導波管装置2、マイクロ波照射装置100、及びマイクロ波の伝送方法によれば、キャビティ3の外部から内部にマイクロ波を伝送する際に、キャビティ3内において第2の導波管20によるマイクロ波の出力方向を変更することができ、その変更に応じて、キャビティ3内の電磁界分布を変化させることができる。したがって、例えば、キャビティ3内において最適なマイクロ波の照射が行われるように、キャビティ3内の電磁界分布を容易に調整することができるようになる。また、第1の導波管30が入力側導波管31及び第1のジョイント部32を有しており、第2の導波管40が第2のジョイント部41及び出力側導波管42を有していることによって、簡単な構成により、第1及び第2の中空部33、43の軸方向から見た場合における、入力側導波管31のマイクロ波の伝送方向と、出力側導波管42におけるマイクロ波の伝送方向とのなす角度を容易に変化させることができると共に、第1及び第2のジョイント部32、41の中心軸方向における、出力側導波管42の出力側の端部の位置も容易に変化させることができるようになる。また、第1及び第2のジョイント部32、41の隙間にスペーサ60を配置することによって、両者の間隔を一定にすることができ、両者の間でスパークが発生する可能性を低減することができる。また、第1の導波管30はキャビティ3に固定されるため、第2の導波管40の角度を変化させたとしても、第1の導波管30に接続されているマイクロ波発生器70などの配置を変更する必要はない。したがって、マイクロ波発生器70の位置を固定した状態で、マイクロ波の照射角度または照射位置を変更できることになる。
【0065】
なお、本実施の形態では、第1及び第2のジョイント部32、41の隙間にスペーサ60を設ける場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、キャビティ3内においてスパークが発生しても問題ない場合などには、第1及び第2のジョイント部32、41の隙間にスペーサ60を設けなくてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、第2のジョイント部41が、第1のジョイント部32に対して中心軸方向に移動可能である場合、すなわち第1及び第2のジョイント部32、41がスライド式導波管になっている場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。第2のジョイント部41は、第1のジョイント部32に対して中心軸方向に移動可能になっていなくてもよい。
【0067】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による導波管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による導波管装置では、実施の形態2の導波管装置と同様に、円柱状形状の中空部を有する第1のジョイント部と、その中空部と繋がる円柱状形状の中空部を有する第2のジョイント部とが、各中空部の中心軸が同軸となるように繋がっていると共に、第2のジョイント部の先端側に、実施の形態1の導波管装置と同様のマイクロ波の出力方向を変更可能な機構が設けられている。
【0068】
図13は、本実施の形態による導波管装置102の正面図であり、図14は、導波管装置102の左側面図である。図15は、図13におけるXV-XV線断面模式図であり、図16は、図13におけるXVI-XVI線断面模式図である。なお、図15では、外側操作部153と棒状部材147との接続状態を主に示しており、図16では、内側操作部154と棒状部材126との接続状態を主に示しており、それ以外の構成については適宜、省略している。本実施の形態による導波管装置102も、実施の形態1,2の導波管装置1,2と同様に、キャビティ3に装着され、マイクロ波発生器70で発生されたマイクロ波をキャビティ3内に導入するために用いられる。
【0069】
本実施の形態による導波管装置102は、キャビティ3の壁に固定される第1の導波管130と、第1の導波管130からのマイクロ波を導波してキャビティ3内に出力する第2の導波管140と、操作部152とを備える。操作部152は、円筒状形状の外側操作部153と、内側操作部154とを有する。内側操作部154は、外側操作部153の内部を貫通している本体部154aと、本体部154aに対して角度を有するように接続されている先端部154bとを有する。本体部154a及び先端部154bは、それぞれ一方向に延びる棒状部材であり、例えば、円柱状形状であってもよい。なお、外側操作部153と内側操作部154との隙間からマイクロ波が漏洩しないようにするため、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられていてもよい。第1の導波管130がキャビティ3の壁に固定される際に、第1の導波管130の少なくとも一部、例えば、第1の導波管130におけるマイクロ波の入力側の端部が壁の外側に位置するように固定される。第2の導波管140は、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第1の導波管130に接続されている。
【0070】
第1の導波管130は、マイクロ波発生器70で発生されたマイクロ波が開口部131cから入力される入力側導波管131と、円柱状形状の第1の中空部を有しており、キャビティ3の壁に固定される第1のジョイント部132とを有する。第1のジョイント部132は、第1の中空部の中心軸方向の両端に開口部を有しており、その一端側に接続された入力側導波管131からのマイクロ波を第2の導波管140に導波する。
【0071】
入力側導波管131は、導波路が直角に折れ曲がっており、コーナ部分の外周側が面取りされたコーナ導波管131aと、コーナ導波管131aに接続されており、方形導波管と円形導波管とを接続するための変換導波管131bとを有する。なお、コーナ導波管131aの断面は矩形であり、第1のジョイント部132の断面は円形であるため、変換導波管131bによって両者が接続される。コーナ導波管131aと変換導波管131bとは、例えば、フランジまたは溶接等によって接続されてもよい。また、変換導波管131bと第1のジョイント部132の入力側の端部も、例えば、フランジまたは溶接等によって接続されてもよい。また、コーナ導波管131aには、操作部152が貫通する貫通孔が設けられている。その貫通孔と操作部152との隙間からマイクロ波が漏洩しないようにするため、チョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられていてもよい。また、外部操作部153及び内部操作部154は、例えば、マイクロ波反射性またはマイクロ波透過性の材料によって構成されてもよい。外部操作部153及び内部操作部154がマイクロ波透過性材料によって構成されている場合には、コーナ導波管131aの貫通孔からのマイクロ波の漏洩を防止するため、例えば、マイクロ波を減衰させるように貫通孔が設けられてもよく、貫通孔からのマイクロ波の漏洩を防止できるように電磁界分布が制御されてもよい。なお、入力側導波管131は、コーナ導波管131aに代えて、ベンド導波管を有していてもよい。
【0072】
第2の導波管140は、第1の中空部と繋がる円柱状形状の第2の中空部を有しており、第1のジョイント部132に対して回動可能に接続される第2のジョイント部141と、第2のジョイント部141からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する出力側導波管142とを有する。第2のジョイント部141は、第2の中空部の中心軸方向の両端に開口部を有しており、その一端側に接続された出力側導波管142に、他端側から導入されたマイクロ波を導波する。
【0073】
なお、第1のジョイント部132、及び第2のジョイント部141は、第1のジョイント部132に対する入力側導波管131接続位置が異なっており、第2のジョイント部141に対する出力側導波管142の接続位置が異なっている以外は、それぞれ実施の形態2の第1のジョイント部32、及び第2のジョイント部41と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0074】
出力側導波管142は、円形導波管と方形導波管とを接続するための変換導波管146と、変換導波管146に接続されており、マイクロ波の出力方向を変更することができる方向変更機構101とを有する。なお、方向変更機構101におけるマイクロ波の入力側の端部が方形導波管であるとしている。一方、第2のジョイント部141の断面は円形であるため、変換導波管146によって方向変更機構101と第2のジョイント部141とが接続される。第2のジョイント部141と変換導波管146とは、例えば、フランジまたは溶接等によって接続されてもよい。また、変換導波管146bと方向変更機構101の入力側の端部も、例えば、フランジまたは溶接等によって接続されてもよい。また、方向変更機構101の入力側の端部が方形導波管ではなく、円形導波管である場合には、出力側導波管142は、変換導波管146を有していなくてもよい。この場合には、方向変更機構101の入力側の端部が直接、第2のジョイント部141の出力側の端部に接続されてもよい。
【0075】
方向変更機構101は、変換導波管146に接続されるマイクロ波の第3の導波管110と、第3の導波管110からのマイクロ波を導波してキャビティ3に出力する第4の導波管120とを備える。第4の導波管120は、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第3の導波管110に接続されている。第3の導波管110は、マイクロ波が入力される入力側導波管111と、第3のジョイント部112を有する。第4の導波管120は、第4のジョイント部121と、第4のジョイント部121からのマイクロ波をキャビティ3内に出力する出力側導波管122とを有する。なお、第3の導波管110、第4の導波管120、入力側導波管111、第3のジョイント部112、第4のジョイント部121、出力側導波管122は、操作部51に代えて内側操作部154によって第4の導波管120が回動される以外は、それぞれ実施の形態1における第1の導波管10、第2の導波管20、入力側導波管11、第1のジョイント部12、第2のジョイント部21、出力側導波管22と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0076】
操作部152は、導波管装置102がキャビティ3の壁に固定された場合に、キャビティ3の外部から第2のジョイント部141、及び第4のジョイント部121を回動させることができる。なお、第2のジョイント部141は、操作部152が有する外部操作部153によって操作され、第4のジョイント部121は、操作部152が有する内部操作部154によって操作される。
【0077】
外部操作部153は、第2のジョイント部141の内周面に対して固定され、第2のジョイント部141を回動させることができる。なお、外部操作部153は、第2のジョイント部141の内周面に、他の部材を介して固定されてもよい。具体的には、図15で示されるように、外側操作部153は、4個の棒状部材147によって第2のジョイント部141の内周面に対して固定されてもよい。なお、図15では、棒状部材147の個数が4個である場合について示しているが、外側操作部153を第2のジョイント部141に固定するために用いられる棒状部材147の個数は問わない。棒状部材147の個数は、例えば、2個または3個であってもよく、5個以上であってもよい。なお、複数の棒状部材147は、第2の中空部の中心軸を中心として均等な角度で配置されることが好適である。外側操作部153が第2のジョイント部141に固定されていることによって、操作部152を回動させることによって、第2のジョイント部141を回動させることができる。なお、外側操作部153は、棒状部材147以外によって第2のジョイント部141に固定されてもよい。また、図13図14では、外部操作部153が第2のジョイント部141の入力側の端部に固定されている場合について示しているが、そうでなくてもよい。外部操作部153は、それ以外の任意の位置において第2のジョイント部141に固定されてもよい。
【0078】
内部操作部154は、第4のジョイント部121の偏心位置に接続され、第4のジョイント部121を回動させることができる。なお、内部操作部154は、第4のジョイント部121の偏心位置に、他の部材を介して接続されてもよい。具体的には、第4のジョイント部121の内部の中空部には棒状部材126が固定されていてもよい。この棒状部材126は、長手方向が第4のジョイント部121の部分円柱状形状の中心軸に垂直になり、また第4のジョイント部141の出力側導波管122に対して反対側の開口部の開口面と平行になるように設けられていてもよい。また、図16で示されるように、内側操作部154の先端部154bの先端は、軸部材154cによって、棒状部材147と回動可能に接続されてもよい。なお、その接続位置が棒状部材147の長手方向の中心ではないため、内部操作部154は第4のジョイント部121の偏心位置に接続されたことになり、外側操作部153を固定した状態で内側操作部154を図13図14における図面の上下方向に移動させることによって、第4の導波管120を第3の導波管110に対して回動させることができる。
【0079】
なお、棒状部材126、147は、それぞれマイクロ波を反射しない材料によって構成されていることが好適である。マイクロ波を反射しない材料としては、マイクロ波透過性材料が好適である。また、第1及び第2のジョイント部132、141の隙間には、円環状のスペーサが設けられていてもよい。また、本実施の形態において、第2のジョイント部141の内側に第1のジョイント部132が挿入されていてもよい。この場合には、外側操作部153は、第2のジョイント部141の出力側の端部に固定されていてもよい。
【0080】
以上のように、本実施の形態による導波管装置102によれば、操作部152を長手方向に移動させることによって、出力側導波管142の出力側の端部の位置を変化させることができる。さらに、操作部152を回動させることによって、または、外側操作部153に対して内側操作部154を長手方向に移動させることによって、マイクロ波の出力方向を変更することができる。なお、操作部152の回動に応じた第2の導波管140の回動中心軸の軸方向と、外側操作部153に対する内側操作部154の長手方向の移動に応じた第4の導波管120の回動中心軸の軸方向とは直交している。したがって、本実施の形態による導波管装置102では、キャビティ3内において、より多様な方向にマイクロ波を出力することができるようになる。
【0081】
また、実施の形態1~3では、操作部51、52、152が棒状の部材である場合について説明したが、操作部51、52、152は、第2のジョイント部21、41、141等を適切に操作できるのであれば、それ以外の形状であってもよい。
【0082】
また、実施の形態1~3では、導波管装置1、2、102をキャビティ3に取り付けた際に、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を外部から調整するために操作部51、52、152が用いられる場合について説明したが、そうでなくてもよい。導波管装置1、2、102は、操作部51、52、152を備えていなくてもよい。この場合には、例えば、マイクロ波の照射を行っていない際に、キャビティ3を開けて出力側導波管22、42、142等の向きを変更することによって、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を調整してもよい。
【0083】
また、実施の形態1~3では、第1のジョイント部12、32、132がキャビティ3の壁に固定される場合について説明したが、そうでなくてもよい。第1の導波管10、30、130のいずれかの箇所がキャビティ3の壁に固定されてもよい。例えば、入力側導波管11、31、131がキャビティ3の壁に固定されてもよい。第1の導波管10、30、130のいずれかの箇所がキャビティ3の壁に固定される際には、少なくとも一部、例えば、マイクロ波の入力側の端部が、キャビティ3の壁の外側に位置するように固定されることが好適である。
【0084】
また、実施の形態1~3では、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの壁に固定される、マイクロ波の第1の導波管と、第1の導波管からのマイクロ波をキャビティ内に導く第2の導波管と、を備え、第2の導波管が、キャビティ内におけるマイクロ波の出力方向を変更できるように第1の導波管に接続されている、導波管装置の一例について説明したが、導波管装置は、実施の形態1~3以外の構成であってもよい。例えば、第1の導波管の一端と、第2の導波管の一端とは、パンカールーバーと同様の機構によって接続されていてもよい。すなわち、第1の導波管は、マイクロ波発生器で発生されたマイクロ波が入力される入力側導波管と、入力側導波管に接続された第1の開口部と、第1の開口部と繋がる第2の開口部とが開口面が対向するように設けられた部分球体状形状の中空部を有している第1のジョイント部と、を含んでいてもよい。また、第2の導波管は、第1の開口部からのマイクロ波が導かれる第3の開口部と、第3の開口部に繋がる第4の開口部とが開口面が対向するように設けられた部分球体状形状を有しており、その部分球体状形状の中心が第1のジョイント部の中空部の中心と一致し、その部分球体状形状の中心を中心として第1のジョイント部の中空部内において回動可能となるように配置された第2のジョイント部と、第4の開口部に接続され、キャビティ内にマイクロ波を出力する出力側導波管と、を含んでいてもよい。ここで、部分球体状形状の中心は、開口部以外の周面の中心である。また、第3及び第4の開口部を繋ぐ中空部も、部分球体状形状であってもよい。また、第1のジョイント部の中空部は、球体状形状に開口部が設けられていることによって、部分球体状形状となったものである。球体状形状は、球体形状、すなわち任意の断面が正円である形状であってもよく、または、その断面が正円から少しずれた形状、例えば、楕円形状である形状であってもよい。
【0085】
また、実施の形態1~3では、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力方向を変更できる導波管装置について主に説明したが、そうでなくてもよい。上記したように、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力位置を変更することによっても、キャビティ3内の電磁界分布を変化させることができる。したがって、導波管装置は、キャビティ3内におけるマイクロ波の出力位置を変更できるものであってもよい。この場合には、導波管装置は、対象物へのマイクロ波の照射が行われるキャビティの壁に固定される、マイクロ波の第1の導波管と、第1の導波管からのマイクロ波をキャビティ内に導く第2の導波管と、を備え、第2の導波管は、キャビティ内におけるマイクロ波の出力位置、すなわち第2の導波管の出力側の端部の位置を変更できるように第1の導波管に接続されている、ものであってもよい。出力位置の変更は、直線方向における位置の変更であってもよい。この場合には、例えば、第1及び第2の導波管によってスライド式導波管が構成されてもよい。
【0086】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1、2、102 導波管装置
3 キャビティ
10、30、130 第1の導波管
20、40、140 第2の導波管
11、31、111、131 入力側導波管
12、32、132 第1のジョイント部
21、41、141 第2のジョイント部
22、42、122、142 出力側導波管
51、52、152 操作部
60 スペーサ
70 マイクロ波発生器
100 マイクロ波照射装置
110 第3の導波管
120 第4の導波管
112 第3のジョイント部
121 第4のジョイント部
153 外側操作部
154 内側操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16