(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088032
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】給電装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20230619BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230619BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20230619BHJP
H05B 45/00 20220101ALI20230619BHJP
【FI】
F21V23/00 160
F21S2/00 365
F21V19/02 200
F21V19/02 300
H05B45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202648
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390031521
【氏名又は名称】トキコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤城 健司
(72)【発明者】
【氏名】伊久間 知長
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K013AA02
3K013BA01
3K014AA01
3K273AA08
3K273BA19
3K273CA02
3K273CA26
3K273FA14
3K273FA21
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA17
3K273HA04
3K273HA08
(57)【要約】
【課題】取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置(10)は、棒材(20)と支持材(30)を有する。棒材(20)は、電源(60)のプラス端子に接続される第1線状導体(21)と、電源(60)のマイナス端子に接続される第2線状導体(22)を有し、それぞれが、外周から少なくとも一部露出した状態で長手方向に延在している。支持材(30)は、直流負荷(50)を棒材(20)に、棒材(20)の長手方向にスライド自在に固定する。支持材(30)の回転角度に関わらず、直流負荷(50)への通電が維持されるように、環状基体部の貫通孔に第1接点端子、第2接点端子、及び第3接点端子が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが、外周から少なくとも一部露出した状態で長手方向に延在している棒材と、
直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に固定する支持材と、を備え、
前記支持材は、
前記棒材を長手方向にスライド自在に貫通させた貫通孔を有する環状基体部を備え、
前記環状基体部は、
前記貫通孔の内周面で、前記第1線状導体または前記第2線状導体と接触するための第1接点端子、第2接点端子、及び第3接点端子と、
アノード端子がそれぞれ前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子に接続され、カソード端子が前記直流負荷のプラス配線に接続されるべき第1ダイオード、第2ダイオード、及び第3ダイオードと、
カソード端子がそれぞれ前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子に接続され、アノード端子が前記直流負荷のマイナス配線に接続されるべき第4ダイオード、第5ダイオード、及び第6ダイオードと、を有し、
前記支持材は、前記棒材の周方向に回転自在に固定され、
前記支持材の回転角度に関わらず、前記直流負荷への通電が維持されるように、前記環状基体部の前記貫通孔に前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子が配置されることを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記支持材は、
前記環状基体部から径方向に延び出した位置で前記環状基体部に連結され、前記直流負荷のプラス配線が接続されるべきプラス接点端子と、前記直流負荷のマイナス配線が接続されるべきマイナス接点端子を有する取付部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記環状基体部の前記貫通孔の内周壁面に、前記貫通孔の周方向にそれぞれ隙間を空けて前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子が並べて配置され、
前記隙間のそれぞれの周方向の長さは、前記棒材からの前記第1線状導体及び前記第2線状導体のそれぞれの露出部分の周方向の長さより短く設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記環状基体部の前記貫通孔の内周壁面に、前記貫通孔の周方向にそれぞれ重複領域を設けて前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子が並べて配置され、
前記周方向の重複領域のそれぞれは、前記貫通孔の貫通方向に重複せず、前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子は電気的に独立していることを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項5】
前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子は、尖端が周方向に延びたV字形状で構成され、
各接点端子のV字の尖端部が、隣接する接点端子の開口端部の中に、前記重複領域として入り込んでいることを特徴とする請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記直流負荷は、灯具であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の給電装置と、
前記直流負荷としての灯具と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記灯具は、前記支持材に、チルト方向の所定の範囲内で回転自在に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷(例えば、灯具)に直流電流を供給するための給電装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケース内の展示物を照らすことを主な用途とした小型スポットライトが市販されている。既存の小型スポットライトとして、30mm~350mm程度のシャフトの先端に、LED(Light Emitting Diode)を搭載したヘッドを取り付けたものがある。この小型スポットライトは、ヘッドのチルト方向の首振り調整が可能であり、展示物へのチルト方向の照射角度を調整することができる。
【0003】
従来の配線ダクト(例えば、特許文献1参照)は、天井から照明器具を吊るすために使用されており、照明器具を天井面に平行にスライドさせることはできるが、配線ダクトを軸に照明器具を天井面に近づけるように回転させる動きは想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の小型スポットライトは、ヘッドの位置がシャフトの先端に固定されており、ヘッドの高さを調整することができなかった。ユーザは、高い位置から展示物を照らしたい場合は長いシャフトのものを使用し、低い位置から展示物を照らしたい場合は短いシャフトのものを使用する必要があった。また、用意されている複数のシャフト長の中から選択する必要があり、ヘッドの高さを自由に調整することができなかった。
【0006】
また、上記の小型スポットライトは、ヘッドをパン方向に移動させる場合、シャフト自体の向きを変える必要があった。シャフトの下端がショーケースの台に固定されている場合、シャフトの向きを変える手間が必要となっていた。
【0007】
また、一つの展示物を照らす小型スポットライトの数を増やしたい場合、ショーケース内の小型スポットライトの数が増加し、意匠性を低下させる要因となっていた。一つのシャフトに複数のヘッドを取り付けることができれば、シャフトの本数を増やさずに、ライトを増やすことが可能となる。
【0008】
シャフトに取り付けられた負荷(灯具、ファンなど)の位置を自由に調整するには、給電線の取り扱いが問題になる。給電線をシャフトの外側に這わせている場合、負荷のスライドにより給電線に弛みが生じると意匠性が低下する。給電線をシャフトの内側に通している場合、負荷のスライドにより給電線がシャフトの中で詰まり、負荷の移動の制約となることがある。
【0009】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の給電装置は、電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが、外周から少なくとも一部露出した状態で長手方向に延在している棒材と、直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に固定する支持材と、を備える。前記支持材は、前記棒材を長手方向にスライド自在に貫通させた貫通孔を有する環状基体部を備える。前記環状基体部は、前記貫通孔の内周面で、前記第1線状導体または前記第2線状導体と接触するための第1接点端子、第2接点端子、及び第3接点端子と、アノード端子がそれぞれ前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子に接続され、カソード端子が前記直流負荷のプラス配線に接続されるべき第1ダイオード、第2ダイオード、及び第3ダイオードと、カソード端子がそれぞれ前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子に接続され、アノード端子が前記直流負荷のマイナス配線に接続されるべき第4ダイオード、第5ダイオード、及び第6ダイオードと、を有する。前記支持材は、前記棒材の周方向に回転自在に固定され、前記支持材の回転角度に関わらず、前記直流負荷への通電が維持されるように、前記環状基体部の前記貫通孔に前記第1接点端子、前記第2接点端子、及び前記第3接点端子が配置される。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を装置、方法、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置および照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る照明装置の全体構成例1を示す斜視図である。
【
図2】灯具と支持材との取付機構の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る照明装置の全体構成例2を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、構成例1に係る支持材と棒材の第1状態を示す径方向の断面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示される第1状態における電流の流れを示す回路図である。
図4(c)は、構成例1に係る支持材と棒材の第2状態を示す径方向の断面図である。
図4(d)は、
図4(c)に示される第2状態における電流の流れを示す回路図である。
図4(e)は、構成例1に係る支持材と棒材の第3状態を示す径方向の断面図である。
図4(f)は、
図4(e)に示される第3状態における電流の流れを示す回路図である。
【
図5】
図5(a)は、構成例1に係る支持材と棒材の第4状態を示す径方向の断面図である。
図5(b)は、
図5(a)に示される第4状態における電流の流れを示す回路図である。
図5(c)は、構成例1に係る支持材と棒材の第5状態を示す径方向の断面図である。
図5(d)は、
図5(c)に示される第5状態における電流の流れを示す回路図である。
図5(e)は、構成例1に係る支持材と棒材の第6状態を示す径方向の断面図である。
図5(f)は、
図5(e)に示される第6状態における電流の流れを示す回路図である。
【
図6】
図6(a)は、構成例1に係る支持材と棒材の第7状態を示す径方向の断面図である。
図6(b)は、
図6(a)に示される第7状態における電流の流れを示す回路図である。
図6(c)は、構成例1に係る支持材と棒材の第8状態を示す径方向の断面図である。
図6(d)は、
図6(c)に示される第8状態における電流の流れを示す回路図である。
図6(e)は、構成例1に係る支持材と棒材の第9状態を示す径方向の断面図である。
図6(f)は、
図6(e)に示される第9状態における電流の流れを示す回路図である。
【
図7】
図7(a)は、構成例1に係る支持材と棒材の第10状態を示す径方向の断面図である。
図7(b)は、
図7(a)に示される第10状態における電流の流れを示す回路図である。
図7(c)は、構成例1に係る支持材と棒材の第11状態を示す径方向の断面図である。
図7(d)は、
図7(c)に示される第11状態における電流の流れを示す回路図である
図7(e)は、構成例1に係る支持材と棒材の第12状態を示す径方向の断面図である。
図7(f)は、
図7(e)に示される第12状態における電流の流れを示す回路図である。
【
図8】
図8(a)は、構成例2に係る支持材と棒材のある状態を示す径方向の断面図である。
図8(b)は、
図8(a)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。
【
図9】構成例2に係る支持材の実装例を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、変形例1に係る支持材と棒材のある状態を示す径方向の断面図である。
図10(b)は、
図10(a)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。
図10(c)は、変形例2に係る支持材と棒材のある状態を示す径方向の断面図である。
図10(d)は、
図10(c)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態に係る照明装置1の全体構成例1を示す斜視図である。照明装置1は、棒状の給電装置10、灯具50及びACアダプタ60を備える。ACアダプタ60にはACプラグ61が接続され、ACプラグ61がACコンセントに差し込まれると、ACアダプタ60に商用電力系統から交流電圧が入力される。
【0015】
ACアダプタ60はAC/DCコンバータを有し、AC/DCコンバータは入力される交流電圧を、所定の直流電圧に変換する。例えば、AC/DCコンバータは入力される100/200Vの交流電圧を、5Vの直流電圧に変換する。本実施の形態において、ACアダプタ60は所定の直流電圧を出力する直流電源として機能する。なお、ACアダプタ60の代わりに、所定の直流電圧を出力する電池を使用してもよい。
【0016】
ACアダプタ60は、過電流保護回路(例えば、ヒューズ)を有し、設定値以上の電流が流れるとACアダプタ60からの電流出力を停止させる。さらに、ACアダプタ60は、過電圧保護回路や過温度保護回路を有していてもよい。
【0017】
棒状の給電装置10は、棒材20、第1線状導体21及び第2線状導体22を含む。棒材20は、長尺な円筒形状の棒材であり、複数の素材(例えば、絶縁性素材と金属素材)を組み合わせて生成したものであってもよいし、絶縁性素材のみで生成したものであってもよい。例えば、棒材20は、中空の樹脂素材に金属芯を補強材として通して生成したものであってもよいし、樹脂素材のみで生成したものであってもよい。
【0018】
第1線状導体21及び第2線状導体22には例えば、被覆されていない銅線が使用される。第1線状導体21は、棒材20の長手方向に、棒材20の外周から一部露出した状態で延在される。第2線状導体22は、棒材20の長手方向に、棒材20の外周から一部露出した状態で延在される。第1線状導体21及び第2線状導体22は、棒材20の径方向の断面において180度対角の位置に設置される。なお、第1線状導体21及び第2線状導体22は、棒材20の外周からそれぞれの全部が露出した状態で延在されてもよい。
【0019】
第1線状導体21は直流電源のプラス端子(
図1では、ACアダプタ60のプラス出力端子)に接続され、第2線状導体22は直流電源のマイナス端子(
図1では、ACアダプタ60のマイナス出力端子)に接続される。このように、第1線状導体21及び第2線状導体22は、棒材20に取り付けられた直流負荷(
図1では灯具50)に直流電流を供給するための給電レールとして機能する。
【0020】
灯具50は、直流電流で点灯させることができる灯具であり、本実施の形態ではLED照明を想定する。支持材30は、灯具50を棒材20に固定するための環状部材である。灯具50は支持材30の外周面に取り付けられる。支持材30は棒材20に対して、長手方向にスライド自在で周方向に回転自在に取り付けられる。
【0021】
図2は、灯具50と支持材30との取付機構の一例を示す斜視図である。支持材30は取付部36を有し、取付部36は、環状基体部31(後述する
図4等を参照)から径方向に延び出した位置で環状基体部31に連結される。
図2に示す例では取付部36は、棒材20の長手方向と平行に延びる板状基板で構成される。取付部36の表側(
図2の手前側)には、プラスのプリント配線36aが形成されており、環状基体部31を経由して棒材20の第1線状導体21と導通可能である。プラスのプリント配線36aの終端は環状の第1導電パッド(
図9の第1導電パッド36c参照)に接続されている。
【0022】
取付部36の裏側(
図2の奥側)には、マイナスのプリント配線(不図示)が形成されており、環状基体部31を経由して棒材20の第2線状導体22と導通可能である。マイナスのプリント配線の終端は環状の第2導電パッド(不図示)に接続されている。プリント配線および導電パッドは例えば、銅箔で形成される。
【0023】
灯具50は、LED51、台座52、タブ端子部53を有する。タブ端子部53は、台座52の底面から鉛直に延び出している。タブ端子部53の表側(
図2の手前側)には、U字形状の第3導電パッド53aが配置されており、第3導電パッド53aはLED51のアノード端子に接続されている。タブ端子部53の裏側(
図2の奥側)には、U字形状の第4導電パッド(不図示)が配置されており、第4導電パッドはLED51のカソード端子に接続されている。
【0024】
取付部36の第1導電パッドと灯具50の第3導電パッド53aが、第1ラグ端子37aを介して物理的かつ電気的に接続される。第1ラグ端子37aの取付部36側の環状接点は、導電性の緩衝部材(例えば、ウェーブワッシャ(不図示))を挟んで取付部36の第1導電パッドと回動自在に接合される。第1ラグ端子37aの灯具50側の接点は灯具50の第3導電パッド53aに固定される。
【0025】
取付部36の第2導電パッドと灯具50の第4導電パッドが、第2ラグ端子37bを介して物理的から電気的に接続される。第2ラグ端子37bの取付部36側の環状接点は、導電性の緩衝部材(不図示)を挟んで取付部36の第2導電パッドと回動自在に接合される。第2ラグ端子37bの灯具50側の接点は灯具50の第4導電パッドに固定される。
【0026】
以上の構成により灯具50は、支持材30の取付部36の先端部を中心に、チルト方向に所定の角度範囲内で回転することができる。即ち、取付部36の第1導電パッド及び第2導電パッドにそれぞれ接合される第1ラグ端子37a及び第2ラグ端子37bが、関節部材として機能する。このように本実施の形態では、ユーザは、灯具50の高さ、チルト角度、及びパン角度を任意に調整することができる。さらに本実施の形態では、棒材20に複数の灯具50を取り付けることができる。
【0027】
図3は、実施の形態に係る照明装置1の全体構成例2を示す斜視図である。
図3は、一本の棒材20に複数の灯具50a、50bを取り付ける例を示している。具体的には、第1灯具50aが取り付けられた第1支持材30aと、第2灯具50bが取り付けられた第2支持材30bが一本の棒材20に差し込まれている。ユーザは、第1灯具50aと第2灯具50bの高さ、チルト角度、及びパン角度をそれぞれ独立に任意に調整することができる。なお、一本の棒材20に3個以上の灯具50を取り付けることも可能である。
【0028】
一本の棒材20に取り付けられる灯具50の最大数に応じて、ACアダプタ60から出力される直流電圧が設定される。一本の棒材20に取り付けられる灯具50の数が増えるほど、第1線状導体21と第2線状導体22の間に接続されるLED51の並列数が増え、第1線状導体21及び第2線状導体22に流れる電流が増加する。これに対して、各LED51に流れる電流が許容範囲に収まるように、第1線状導体21と第2線状導体22間の電圧を高く設定することにより、一本の棒材20に取り付けられる灯具50の数を増やすことができる。
【0029】
例えば、ACアダプタ60は、12Vまたは24Vの直流電圧を出力してもよい。灯具50の取付数が多くなるアプリケーションでは、24Vを超える直流電圧を出力してもよい。また、ACアダプタ60は、手動スイッチで出力電圧の値を切り替え可能な構成でもよい。また、ACアダプタ60は、出力電流に応じて出力電圧の値を自動的に切り替える機能を備えていてもよい。
【0030】
以下、支持材30の具体的な構成例を説明する。支持材30は、棒材20が貫通された貫通孔の内周面で第1線状導体21及び第2線状導体22にそれぞれ独立に電気的に接続するための複数の接点端子が必要である。
【0031】
図4(a)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第1状態を示す径方向の断面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示される第1状態における電流の流れを示す回路図である。支持材30は環状基体部31を有し、環状基体部31は、棒材20を長手方向にスライド自在に貫通させることができる貫通孔を有する。構成例1では、環状基体部31は、貫通孔の内周面に第1線状導体21または第2線状導体22と接触するための第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cを有する。
【0032】
第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの基調形状は、環状基体部31の貫通孔の内周壁面に沿った環状の導電部材を、貫通孔の周方向に3分割(120度等配)して生成される。第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cは、環状基体部31の貫通孔の内周壁面に、内周壁面の全周を覆うように、貫通孔の周方向にそれぞれ隙間G1、G2、G3を空けて並べて配置される。
【0033】
第1接点端子32aと第2接点端子32bの間に第1隙間G1、第2接点端子32bと第3接点端子32cの間に第2隙間G2、及び第3接点端子32cと第1接点端子32aの間に第3隙間G3が設けられることにより、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cはそれぞれ電気的に独立している。
【0034】
各隙間G1、G2、G3の周方向の長さは、第1線状導体21及び第2線状導体22のそれぞれの棒材20からの露出部分の周方向の長さより短く設定される。即ち、第1線状導体21及び第2線状導体22のそれぞれの露出部分が各隙間G1、G2、G3に非接触に入り込むことはない。
【0035】
ユーザは、棒材20を中心軸として環状基体部31を360度、任意に回転させることができる。環状基体部31の回転角度に関わらず、第1線状導体21及び第2線状導体22の一方が、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの一つに接触し、第1線状導体21及び第2線状導体22の他方が、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの残りの二つの少なくとも一方に接触する。
【0036】
環状基体部31には、第1ダイオードD1-第6ダイオードD6が設置される(配置例は後述する)。
図4(b)に示すように第1ダイオードD1-第6ダイオードD6は、三相整流回路を形成する。
【0037】
第1ダイオードD1のアノード端子は第1接点端子32aに接続され、第1ダイオードD1のカソード端子は直流負荷のプラス端子(本実施の形態ではLED51のアノード端子)に接続される。第2ダイオードD2のアノード端子は第2接点端子32bに接続され、第2ダイオードD2のカソード端子は直流負荷のプラス端子(本実施の形態ではLED51のアノード端子)に接続される。第3ダイオードD3のアノード端子は第3接点端子32cに接続され、第3ダイオードD3のカソード端子は直流負荷のプラス端子(本実施の形態ではLED51のアノード端子)に接続される。
【0038】
第4ダイオードD4のカソード端子は第1接点端子32aに接続され、第4ダイオードD4のアノード端子は直流負荷のマイナス端子(本実施の形態ではLED51のカソード端子)に接続される。第5ダイオードD5のカソード端子は第2接点端子32bに接続され、第5ダイオードD5のアノード端子は直流負荷のマイナス端子(本実施の形態ではLED51のカソード端子)に接続される。第6ダイオードD6のカソード端子は第3接点端子32cに接続され、第6ダイオードD6のアノード端子は直流負荷のマイナス端子(本実施の形態ではLED51のカソード端子)に接続される。
【0039】
図4(a)、(b)に示される第1状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a→第1ダイオードD1→LED51→第5ダイオードD5→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0040】
図4(c)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第2状態を示す径方向の断面図である。
図4(d)は、
図4(c)に示される第2状態における電流の流れを示す回路図である。
図4(c)、(d)に示される第2状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が第3接点端子32cに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a→第1ダイオードD1→LED51→第6ダイオードD6→第3接点端子32c→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0041】
図4(e)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第3状態を示す径方向の断面図である。
図4(f)は、
図4(e)に示される第3状態における電流の流れを示す回路図である。
図4(e)、(f)に示される第3状態では、第1線状導体21が第2接点端子32bに接触し、第2線状導体22が第3接点端子32cに接触している。したがって、第1線状導体21→第2接点端子32b→第2ダイオードD2→LED51→第6ダイオードD6→第3接点端子32c→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0042】
図5(a)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第4状態を示す径方向の断面図である。
図5(b)は、
図5(a)に示される第4状態における電流の流れを示す回路図である。
図5(a)、(b)に示される第4状態では、第1線状導体21が第2接点端子32bに接触し、第2線状導体22が第1接点端子32aに接触している。したがって、第1線状導体21→第2接点端子32b→第2ダイオードD2→LED51→第4ダイオードD4→第1接点端子32a→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0043】
図5(c)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第5状態を示す径方向の断面図である。
図5(d)は、
図5(c)に示される第5状態における電流の流れを示す回路図である。
図5(c)、(d)に示される第5状態では、第1線状導体21が第3接点端子32cに接触し、第2線状導体22が第1接点端子32aに接触している。したがって、第1線状導体21→第3接点端子32c→第3ダイオードD3→LED51→第4ダイオードD4→第1接点端子32a→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0044】
図5(e)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第6状態を示す径方向の断面図である。
図5(f)は、
図5(e)に示される第6状態における電流の流れを示す回路図である。
図5(e)、(f)に示される第6状態では、第1線状導体21が第3接点端子32cに接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第3接点端子32c→第3ダイオードD3→LED51→第5ダイオードD5→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0045】
環状基体部31の回転角度によっては、第1線状導体21と第2線状導体22の一方が、第1隙間G1を挟んで第1接点端子32aと第2接点端子32bの両方に、第2隙間G2を挟んで第2接点端子32bと第3接点端子32cの両方に、または第3隙間G3を挟んで第3接点端子32cと第1接点端子32aの両方に接触する場合がある。その場合、隙間を挟んだ2つの接点端子に接続される2つのダイオードに電流が分流される。
【0046】
図6(a)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第7状態を示す径方向の断面図である。
図6(b)は、
図6(a)に示される第7状態における電流の流れを示す回路図である。
図6(a)、(b)に示される第7状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が第2隙間G2を挟んで第2接点端子32bと第3接点端子32cの両方に接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a→第1ダイオードD1→LED51→第5ダイオードD5・第6ダイオードD6→第2接点端子32b・第3接点端子32c→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0047】
図6(c)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第8状態を示す径方向の断面図である。
図6(d)は、
図6(c)に示される第8状態における電流の流れを示す回路図である。
図6(c)、(d)に示される第8状態では、第1線状導体21が第2接点端子32bに接触し、第2線状導体22が第3隙間G3を挟んで第1接点端子32aと第3接点端子32cの両方に接触している。したがって、第1線状導体21→第2接点端子32b→第2ダイオードD2→LED51→第4ダイオードD4・第6ダイオードD6→第1接点端子32a・第3接点端子32c→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0048】
図6(e)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第9状態を示す径方向の断面図である。
図6(f)は、
図6(e)に示される第9状態における電流の流れを示す回路図である。
図6(e)、(f)に示される第9状態では、第1線状導体21が第3接点端子32cに接触し、第2線状導体22が第1隙間G1を挟んで第1接点端子32aと第2接点端子32bの両方に接触している。したがって、第1線状導体21→第3接点端子32c→第3ダイオードD3→LED51→第4ダイオードD4・第5ダイオードD5→第1接点端子32a・第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0049】
図7(a)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第10状態を示す径方向の断面図である。
図7(b)は、
図7(a)に示される第10状態における電流の流れを示す回路図である。
図7(a)、(b)に示される第10状態では、第1線状導体21が第2隙間G2を挟んで第2接点端子32bと第3接点端子32cの両方に接触し、第2線状導体22が第1接点端子32aに接触している。したがって、第1線状導体21→第2接点端子32b・第3接点端子32c→第2ダイオードD2・第3ダイオードD3→LED51→第4ダイオードD4→第1接点端子32a→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0050】
図7(c)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第11状態を示す径方向の断面図である。
図7(d)は、
図7(c)に示される第11状態における電流の流れを示す回路図である。
図7(c)、(d)に示される第11状態では、第1線状導体21が第3隙間G3を挟んで第1接点端子32aと第3接点端子32cの両方に接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a・第3接点端子32c→第1ダイオードD1・第3ダイオードD3→LED51→第5ダイオードD5→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0051】
図7(e)は、構成例1に係る支持材30と棒材20の第12状態を示す径方向の断面図である。
図7(f)は、
図7(e)に示される第12状態における電流の流れを示す回路図である。
図7(e)、(f)に示される第12状態では、第1線状導体21が第1隙間G1を挟んで第1接点端子32aと第2接点端子32bの両方に接触し、第2線状導体22が第3接点端子32cに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a・第2接点端子32b→第1ダイオードD1・第2ダイオードD2→LED51→第6ダイオードD6→第3接点端子32c→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0052】
図8(a)は、構成例2に係る支持材30と棒材20のある状態を示す径方向の断面図である。構成例2に係る第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cは、環状基体部31の貫通孔の内周壁面に、貫通孔の周方向にそれぞれ重複領域OB1、OB2、OB3を設けて並べて配置される。各重複領域OB1、OB2、OB3は、貫通孔の周方向には重複しているが、貫通方向には重複しておらず、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cはそれぞれ電気的に独立している。構成例2に係る第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cのそれぞれは、例えば、V字形状の端子で構成される。
【0053】
図8(b)は、
図8(a)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。
図8(b)では、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの形状を分かりやすく示すため、環状基体部31の貫通孔の内周壁面を平面に展開した図で示している。
【0054】
第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cはV字の尖端部が、貫通孔の周方向に延びる向きに配置される。各接点端子のV字の尖端部が、隣接する接点端子のV字の開口端部の中に入り込むように各接点端子が配置される。
【0055】
第1接点端子32aのV字の尖端部が、第2接点端子32bのV字の開口端部の中に入り込み、貫通孔の周方向に第1重複領域OB1を形成している。第1重複領域OB1では、第1接点端子32aと第2接点端子32bの両方が同時に第1線状導体21または第2線状導体22に接触可能である。第2接点端子32bのV字の尖端部が、第3接点端子32cのV字の開口端部の中に入り込み、貫通孔の周方向に第2重複領域OB2を形成している。第2重複領域OB2では、第2接点端子32bと第3接点端子32cの両方が同時に第1線状導体21または第2線状導体22に接触可能である。第3接点端子32cのV字の尖端部が、第1接点端子32aのV字の開口端部の中に入り込み、貫通孔の周方向に第3重複領域OB3を形成している。第3重複領域OB3では、第3接点端子32cと第1接点端子32aの両方が同時に第1線状導体21または第2線状導体22に接触可能である。
【0056】
各重複領域の周方向の長さは、隣接する2つの重複領域が周方向で180度未満の範囲に収まるように設計される。これにより、環状基体部31の回転角度に関わらず、第1線状導体21及び第2線状導体22の一方が、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの一つに接触し、第1線状導体21及び第2線状導体22の他方が、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの残りの一つまたは二つ(重複領域)に接触する状態を確保することができる。
図8(a)、(b)に示す例では、第1線状導体21及び第2線状導体22の他方が、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの残りの二つ(重複領域)に常に接触する。
【0057】
図8(a)、(b)に示される状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aと第3接点端子32cの両方(第3重複領域OB3)に接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a・第3接点端子32c→第1ダイオードD1・第3ダイオードD3→LED51→第5ダイオードD5→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。なお、構成例2に係る電流経路の全パターンは、
図6(a)-(f)、
図7(a)-(f)に示した6パターンと同様の関係になる。
【0058】
図9は、構成例2に係る支持材30の実装例を示す斜視図である。
図9に示す環状基体部31は、第1環状基板31a、第2環状基板31b、第1柱状基板31c、第2柱状基板31d、第3柱状基板31e、第1接点端子32a、第2接点端子32b、第3接点端子32c及び第1ダイオードD1-第6ダイオードD6を含む。
【0059】
第1環状基板31aと第2環状基板31bは、厚み方向に所定の間隔を空けて配置され、両者の間が第1柱状基板31c、第2柱状基板31d及び第3柱状基板31eにより連結される。第1柱状基板31c、第2柱状基板31d及び第3柱状基板31eは、周方向に120度等配で並べられる。第1柱状基板31c、第2柱状基板31d及び第3柱状基板31eは、第1環状基板31aと第2環状基板31bに対してそれぞれ井桁状に組み合わせられ、半田で固定される。
【0060】
第1柱状基板31cの正面に第1ダイオードD1が配置され、背面に第4ダイオードD4が配置される。なお、正面に第4ダイオードD4が配置され、背面に第1ダイオードD1が配置されてもよい。
図9に示す例では、第1ダイオードD1及び第4ダイオードD4は、カソード端子が第1環状基板31a側を、アノード端子が第2環状基板31b側を向くように配置される。第1柱状基板31cの内側の長尺側面に、第1接点端子32aのV字の開口側の2点の端部が取り付けられる。一方の端部が第1ダイオードD1のアノード端子に接続され、他方の端部が第4ダイオードD4のカソード端子に接続される。
【0061】
第2柱状基板31dの正面に第2ダイオードD2が配置され、背面に第5ダイオードD5が配置される。なお、正面に第5ダイオードD5が配置され、背面に第2ダイオードD2が配置されてもよい。
図9に示す例では、第2ダイオードD2及び第5ダイオードD5は、カソード端子が第1環状基板31a側を、アノード端子が第2環状基板31b側を向くように配置される。第2柱状基板31dの内側の長尺側面に、第2接点端子32bのV字の開口側の2点の端部が取り付けられる。一方の端部が第2ダイオードD2のアノード端子に接続され、他方の端部が第5ダイオードD5のカソード端子に接続される。
【0062】
第3柱状基板31eの正面に第3ダイオードD3が配置され、背面に第6ダイオードD6が配置される。なお、正面に第6ダイオードD6が配置され、背面に第3ダイオードD3が配置されてもよい。
図9に示す例では、第3ダイオードD3及び第6ダイオードD6は、カソード端子が第1環状基板31a側を、アノード端子が第2環状基板31b側を向くように配置される。第3柱状基板31eの内側の長尺側面に、第3接点端子32cのV字の開口側の2点の端部が取り付けられる。一方の端部が第3ダイオードD3のアノード端子に接続され、他方の端部が第6ダイオードD6のカソード端子に接続される。
【0063】
このように第1ダイオードD1-第6ダイオードD6を、第1柱状基板31c、第2柱状基板31d及び第3柱状基板31eに配置することにより、第1環状基板31a及び第2環状基板31bの面積増加を抑え、支持材30の小型化に貢献している。
【0064】
図9では、第1環状基板31a、第2環状基板31b、第1柱状基板31c、第2柱状基板31d、第3柱状基板31e、第1ダイオードD1-第6ダイオードD6の電気的な接続関係を示すプリント配線は省略して描いている。実際には、第1環状基板31aにプラスのプリント配線が形成されており、第2環状基板31bにマイナスのプリント配線が形成されている。第1環状基板31aに形成されたプラスのプリント配線は、第1ダイオードD1-第3ダイオードD3のそれぞれのカソード端子まで延びている。2環状基板31bに形成されたマイナスのプリント配線は、第4ダイオードD4-第6ダイオードD6のそれぞれのアノード端子まで延びている。
【0065】
なお、第1環状基板31aに形成されたプラスのプリント配線上に、少なくとも一つの電流制限用の抵抗素子が接続されていてもよい。同様に、第2環状基板31bに形成されたマイナスのプリント配線上に、少なくとも一つの電流制限用の抵抗素子が接続されていてもよい。
【0066】
取付部36の環状基体部31側の基板端部は、第1環状基板31a及び第2環状基板31bのそれぞれと井桁状に直交して組み合わせられ、半田で固定される。取付部36の表側(
図9の手前側)には、プラスのプリント配線36aが形成されており、プリント配線36aは、第1環状基板31aに形成されたプラスのプリント配線と接続されている。プラスのプリント配線36aの終端は、環状の第1導電パッド36cに接続されている。第1導電パッド36cは、直流負荷(本実施の形態ではLED51)のプラス配線と接続されるべきプラス接点端子として機能する。
【0067】
取付部36の裏側(
図9の奥側)にはマイナスのプリント配線(不図示)が形成されており、当該プリント配線は、第2環状基板31bに形成されたマイナスのプリント配線と接続されている。マイナスのプリント配線の終端は環状の第2導電パッド(不図示)に接続されている。第2導電パッドは、直流負荷(本実施の形態ではLED51)のマイナス端子と接続されるべきマイナス接点端子として機能する。
【0068】
以上説明したように本実施の形態によれば、棒材20に取り付けられた灯具50の位置を柔軟に調整できる。ユーザは、灯具50が取り付けられた支持材30を棒材20の長手方向にスライドさせることにより、灯具50の高さを自由に調整することができる。したがって、ユーザは灯具50の高さを調整するために、従来のようにシャフトの長さが異なる別のスポットライトに交換する必要がない。また、用意されている複数のシャフト長のスポットライトでは対応できない高さにも調整することができる。
【0069】
また、ユーザは、棒材20を中心に支持材30を回転させることにより、灯具50のパン角度を自由に調整することができる。その際、どのような回転位置においても、環状基体部31内の第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの一つが第1線状導体21及び第2線状導体22の一方に接触し、第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cの残りの少なくとも一つが第1線状導体21及び第2線状導体22の他方に接触する。第1接点端子32a、第2接点端子32b及び第3接点端子32cが接続される三相整流回路(第1ダイオードD1-第6ダイオードD6で構成される)を経由することにより、LED51に常に同じ方向の直流電圧が印加される。
【0070】
したがって、灯具50が取り付けられた支持材30をどのような角度に回転させても、灯具50への通電が途切れず、灯具50の点灯が継続される。また、支持材30の回転中も灯具50への通電が途切れることはない。構成例1では、各隙間G1、G2、G3の周方向の長さを、棒材20からの第1線状導体21及び第2線状導体22のそれぞれの露出部分の周方向の長さより短く設定することにより、デッドポイント(消灯ポイント)を作らずに、シームレスに接点を切り替えることができる。構成例2では、重複領域OB1、OB2、OB3を設けることにより、デッドポイント(消灯ポイント)を作らずに、シームレスに接点を切り替えることができる。
【0071】
また、ユーザは、灯具50を支持材30を支点にチルト方向に回動させることにより、灯具50のチルト角度を自由に調整することができる。このように、ユーザは、灯具50の高さ、チルト角度、及びパン角度を任意に調整することができ、展示物に対する照明装置1からの光の当て方を微調整することができる。その際、棒材20の固定位置の変更や別の棒材20への交換が必要なく、簡単な作業で展示物に対する光の当て方を微調整することができる。
【0072】
また、ユーザは、棒材20に、それぞれ灯具50が取り付けられた複数の支持材30を差し込むことにより、棒材20の数を増やさずに灯具50の数を増やすことができる。したがって、棒材20が乱立することによる意匠性の低下を抑えつつ、灯具50の数を増やすことができる。また、棒材20を共通化することにより、ユーザのコストを抑えることができる。
【0073】
また、給電線として機能する第1線状導体21及び第2線状導体22が棒材20にレール状に固定されていることにより、給電線に弛みが生じることによる意匠性の低下を抑えることができる。
【0074】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。本開示の形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0075】
図10(a)は、変形例1に係る支持材30と棒材20のある状態を示す径方向の断面図である。
図10(b)は、
図10(a)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。変形例1では、環状基体部31は、貫通孔の内周面に第1線状導体21または第2線状導体22と接触するための第1接点端子32a及び第2接点端子32bを有する。
【0076】
第1接点端子32a及び第2接点端子32bの基調形状は、環状基体部31の貫通孔の内周壁面に沿った環状の導電部材を、貫通孔の周方向に2分割して生成される。第1接点端子32a及び第2接点端子32bは、環状基体部31の貫通孔の内周壁面に、内周壁面の全周を覆うように、貫通孔の周方向にそれぞれ隙間G1、G2を空けて並べて配置される。
【0077】
第1接点端子32aの周方向の一端と第2接点端子32bの周方向の一端の間に第1隙間G1が設けられ、第1接点端子32aの周方向の他端と第2接点端子32bの周方向の他端の間に第2隙間G2が設けられる。これにより、第1接点端子32aと第2接点端子32bは電気的に独立している。
【0078】
各隙間G1、G2の周方向の長さは、第1線状導体21及び第2線状導体22のそれぞれの棒材20からの露出部分の周方向の長さより長く設定される。これにより、第1線状導体21と第2線状導体22が、同時に第1接点端子32aまたは第2接点端子32bに接触することによるショートを防止できる。
【0079】
変形例1に係る環状基体部31では、第3ダイオードD3及び第6ダイオードD6が省略される。
図10(a)、(b)に示される状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a→第1ダイオードD1→LED51→第5ダイオードD5→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0080】
変形例1では、灯具50への通電が途切れるデッドポイントが発生する。即ち、第1線状導体21及び第2線状導体22が隙間G1、G2に入り込んだ状態では、灯具50への通電が途切れる。ただし、ダイオードの数を減らすことができ、コストを削減できる。
【0081】
図10(c)は、変形例2に係る支持材30と棒材20のある状態を示す径方向の断面図である。
図10(d)は、
図10(c)に示される状態における電流の流れを示す回路図である。変形例2は、変形例1と比較し、環状基体部31の回転範囲を、第1線状導体21が常に第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が常に第2接点端子32bに接触する範囲に物理的に制限する。
【0082】
変形例2に係る環状基体部31では、第1ダイオードD1-第6ダイオードD6が全て省略される。
図10(c)、(d)に示される状態では、第1線状導体21が第1接点端子32aに接触し、第2線状導体22が第2接点端子32bに接触している。したがって、第1線状導体21→第1接点端子32a→LED51→第2接点端子32b→第2線状導体22の経路で電流が流れ、LED51が点灯する。
【0083】
変形例2では、支持材30の回転範囲が約180度に制限される。ただし、ダイオードを設ける必要がなく、コストを削減することができる。また、支持材30を小型化することができる。
【0084】
なお、環状基体部31の貫通孔の内周面に配置される接点端子の数は4つ以上であってもよい。4つ目以降の接点端子にそれぞれ2つのダイオードを上記の構成例1、2と同様に接続すれば、支持材30がどのような回転位置にあっても、環状基体部31内の4つ以上の接点端子の一つが第1線状導体21及び第2線状導体22の一方に接触し、4つ以上の接点端子の別の接点端子の少なくとも一つが第1線状導体21及び第2線状導体22の他方に接触する関係が保たれる。したがって、4つ以上の接点端子が設置される場合でも、灯具50が取り付けられた支持材30の回転位置に関わらず、灯具50への通電が継続される。
【0085】
上記の実施の形態では、ACプラグ61と給電装置10との間に、ACアダプタ60を設け、第1線状導体21と第2線状導体22に直流電流を流した。この点、ACアダプタ60を省略し、ACプラグ61のプラス端子とマイナス端子を第1線状導体21と第2線状導体22にそれぞれ接続し、第1線状導体21と第2線状導体22に交流電流を流してもよい。その場合、第1接点端子32a、第2接点端子32b、及び第3接点端子32cと、第1ダイオードD1-第6ダイオードD6との間に、AC/DCコンバータを設置すればよい。
【0086】
上記の実施の形態では、小型の照明装置1を想定したが、本実施の形態に係る棒状の給電装置10を配線ダクトレールとして使用した大型の照明装置1にも適用可能である。また、上記の実施の形態では、棒材20が直線状に延びている例を示したが、棒材20に湾曲部分が設けられていてもよい。
【0087】
上記の実施の形態では、棒状の給電装置10に取り付けられる直流負荷として、直流電流で点灯する灯具50を想定したが、直流電流で駆動するファンや、USB充電器など他の直流負荷を使用してもよい。
【0088】
実施の形態は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1]
電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが、外周から少なくとも一部露出した状態で長手方向に延在している棒材と、
直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に固定する支持材と、を備え、
前記支持材は、
前記棒材を長手方向にスライド自在に貫通させた貫通孔を有する環状基体部を備え、
前記環状基体部は、
前記貫通孔の内周面で、前記第1線状導体または前記第2線状導体と接触するための第1接点端子及び第2接点端子と、
アノード端子がそれぞれ前記第1接点端子及び前記第2接点端子に接続され、カソード端子が前記直流負荷のプラス配線に接続されるべき第1ダイオード及び第2ダイオードと、
カソード端子がそれぞれ前記第1接点端子及び前記第2接点端子に接続され、アノード端子が前記直流負荷のマイナス配線に接続されるべき第4ダイオード及び第5ダイオードと、を有し、
前記支持材は、前記棒材の周方向に回転自在に固定され、
前記環状基体部の前記貫通孔の内周壁面に、前記貫通孔の周方向に前記第1接点端子及び前記第2接点端子が、接触しないように両側に隙間を空けて並べて配置され、
前記隙間のそれぞれの周方向の長さは、前記第1線状導体及び前記第2線状導体のそれぞれの前記棒材からの露出部分の周方向の長さより長く設定されていることを特徴とする給電装置。
[項目2]
電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが、外周から少なくとも一部露出した状態で長手方向に延在している棒材と、
直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に固定する支持材と、を備え、
前記支持材は、
前記棒材を長手方向にスライド自在に貫通させた貫通孔を有する環状基体部を備え、
前記環状基体部は、
前記貫通孔の内周面で、前記第1線状導体または前記第2線状導体と接触するための第1接点端子及び第2接点端子を有し、
前記貫通孔の内周壁面に、前記貫通孔の周方向に前記第1接点端子及び前記第2接点端子が、接触しないように両側に隙間を空けて並べて配置され、
前記第1線状導体と前記第1接点端子が接触を維持し、前記第2線状導体と前記第2接点端子が接触を維持する範囲で、前記支持材は、前記棒材の周方向に回転自在に固定されることを特徴とする給電装置。
【符号の説明】
【0089】
1 照明装置、 10 給電装置、 20 棒材、 21 第1線状導体、 22 第2線状導体、 30 支持材、 31 環状基体部、 31a 第1環状基板、 31b 第2環状基板、 31c 第1柱状基板、 31d 第2柱状基板、 31e 第3柱状基板、 32a 第1接点端子、 32b 第2接点端子、 32c 第3接点端子、 36 取付部、 36a プリント配線、 36c 第1導電パッド、 37a 第1ラグ端子、 37b 第2ラグ端子、 50 灯具、 51 LED、 52 台座、 53 タブ端子部、 53a 第3導電パッド、 60 ACアダプタ、 61 ACプラグ、 D1-D6 ダイオード。