(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088033
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】給電装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20230619BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20230619BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230619BHJP
【FI】
F21V23/00 160
F21V19/02 200
F21V19/02 300
F21S2/00 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202649
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390031521
【氏名又は名称】トキコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤城 健司
(72)【発明者】
【氏名】伊久間 知長
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA02
3K013BA01
3K013EA09
3K014AA01
3K014BA02
(57)【要約】
【課題】取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置(10)は、棒材(20)と支持材(30)を有する。棒材(20)は、電源(60)のプラス端子に接続される第1線状導体(21)と、電源(60)のマイナス端子に接続される第2線状導体(22)を有し、それぞれが長手に延在している。支持材(30)は、第1受電板、第1導電性緩衝材、回転支持板、第2導電性緩衝材、第2受電衝材を有し、直流負荷(50)を棒材(20)に、棒材(20)の長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に回転自在に固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが長手方向に延在している棒材と、
直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に回転自在に固定する支持材と、を備え、
前記支持材は、
前記棒材を長手方向にスライド自在に回転方向に、かつ回転方向に回転自在に貫通させた第1貫通孔を有する回転支持板と、
前記棒材を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた第2貫通孔と、前記棒材の長手方向で前記回転支持板と対向する側の面に設置された環状の第1導電パッドと、前記第2貫通孔の側壁で前記第1線状導体または前記第2線状導体と接点を持つとともに、前記第1導電パッドと導通している第1接点端子を有する第1受電板と、
前記棒材を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた第3貫通孔と、前記棒材の長手方向で前記回転支持板と対向する側の面に設置された環状の第2導電パッドと、前記第2貫通孔の側壁で前記第2線状導体または前記第1線状導体と接点を持つとともに、前記第2導電パッドと導通している第2接点端子を有する第2受電板と、
前記第1受電板と前記回転支持板の間に介在する環状の第1導電性緩衝材と、
前記回転支持板と前記第2受電板の間に介在する環状の第2導電性緩衝材と、を備えることを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記支持材は、
前記回転支持板の径方向に延び出した位置で前記回転支持板に連結され、前記直流負荷のプラス配線が接続されるべきプラス接点端子と、前記直流負荷のマイナス配線が接続されるべきマイナス接点端子を有する取付部をさらに備え、
前記回転支持板は、
前記取付部の前記プラス接点端子または前記マイナス接点端子と導通している、前記棒材の長手方向で前記第1受電板と対向する側の面に設置された環状の第3導電パッドと、
前記取付部の前記マイナス接点端子または前記プラス接点端子と導通している、前記棒材の長手方向で前記第2受電板と対向する側の面に設置された環状の第4導電パッドと、をさらに有し、
前記第1導電性緩衝材は、前記第1導電パッドと前記第3導電パッドの間に挟まれ、
前記第2導電性緩衝材は、前記第2導電パッドと前記第4導電パッドの間に挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記第1導電性緩衝材および前記第2導電性緩衝材は、ウェーブワッシャであることを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記棒材は、
長手方向に延びる、前記第1線状導体を収容するための第1配線切欠溝と、
長手方向に延びる、前記第2線状導体を収容するための第2配線切欠溝と、をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項5】
前記棒材は、
長手方向に延びる位置決め用切欠溝をさらに有し、
前記第1受電板は、前記第2貫通孔の側壁から軸心に向けて延び出す、前記位置決め用切欠溝に嵌合するための第1突起部をさらに有し、
前記第2受電板は、前記第3貫通孔の側壁から軸心に向けて延び出す、前記位置決め用切欠溝に嵌合するための第2突起部をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項6】
前記直流負荷は、灯具であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の給電装置と、
前記直流負荷としての灯具と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記灯具は、前記支持材に、チルト方向の所定の範囲内で回転自在に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷(例えば、灯具)に直流電流を供給するための給電装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケース内の展示物を照らすことを主な用途とした小型スポットライトが市販されている。既存の小型スポットライトとして、30mm~350mm程度のシャフトの先端に、LED(Light Emitting Diode)を搭載したヘッドを取り付けたものがある。この小型スポットライトは、ヘッドのチルト方向の首振り調整が可能であり、展示物へのチルト方向の照射角度を調整することができる。
【0003】
従来の配線ダクト(例えば、特許文献1参照)は、天井から照明器具を吊るすために使用されており、照明器具を天井面に平行にスライドさせることはできるが、配線ダクトを軸に照明器具を天井面に近づけるように回転させる動きは想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の小型スポットライトは、ヘッドの位置がシャフトの先端に固定されており、ヘッドの高さを調整することができなかった。ユーザは、高い位置から展示物を照らしたい場合は長いシャフトのものを使用し、低い位置から展示物を照らしたい場合は短いシャフトのものを使用する必要があった。また、用意されている複数のシャフト長の中から選択する必要があり、ヘッドの高さを自由に調整することができなかった。
【0006】
また、上記の小型スポットライトは、ヘッドをパン方向に移動させる場合、シャフト自体の向きを変える必要があった。シャフトの下端がショーケースの台に固定されている場合、シャフトの向きを変える手間が必要となっていた。
【0007】
また、一つの展示物を照らす小型スポットライトの数を増やしたい場合、ショーケース内の小型スポットライトの数が増加し、意匠性を低下させる要因となっていた。一つのシャフトに複数のヘッドを取り付けることができれば、シャフトの本数を増やさずに、ライトを増やすことが可能となる。
【0008】
シャフトに取り付けられた負荷(灯具、ファンなど)の位置を自由に調整するには、給電線の取り扱いが問題になる。給電線をシャフトの外側に這わせている場合、負荷のスライドにより給電線に弛みが生じると意匠性が低下する。給電線をシャフトの内側に通している場合、負荷のスライドにより給電線がシャフトの中で詰まり、負荷の移動の制約となることがある。
【0009】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の給電装置は、電源のプラス端子に接続される第1線状導体と、前記電源のマイナス端子に接続される第2線状導体を有し、それぞれが長手方向に延在している棒材と、直流負荷を前記棒材に、前記棒材の長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に回転自在に固定する支持材と、を備える。前記支持材は、前記棒材を長手方向にスライド自在に回転方向に、かつ回転方向に回転自在に貫通させた第1貫通孔を有する回転支持板と、前記棒材を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた第2貫通孔と、前記棒材の長手方向で前記回転支持板と対向する側の面に設置された環状の第1導電パッドと、前記第2貫通孔の側壁で前記第1線状導体または前記第2線状導体と接点を持つとともに、前記第1導電パッドと導通している第1接点端子を有する第1受電板と、前記棒材を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた第3貫通孔と、前記棒材の長手方向で前記回転支持板と対向する側の面に設置された環状の第2導電パッドと、前記第2貫通孔の側壁で前記第2線状導体または前記第1線状導体と接点を持つとともに、前記第2導電パッドと導通している第2接点端子を有する第2受電板と、前記第1受電板と前記回転支持板の間に介在する環状の第1導電性緩衝材と、前記回転支持板と前記第2受電板の間に介在する環状の第2導電性緩衝材と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を装置、方法、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、取り付けられた負荷の位置を柔軟に調整できる棒状の給電装置および照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る照明装置の全体構成例1を示す斜視図である。
【
図2】灯具と支持材との取付機構の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る照明装置の全体構成例2を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る支持材を正面右上から見た分解斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る支持材を背面右下から見た分解斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る支持材を真上から見た上面図である。
【
図7】
図7(a)-(b)は、第1接点端子と第1線状導体の接点構造と、第2接点端子と第2線状導体の接点構造を模式的に描いた長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態に係る照明装置1の全体構成例1を示す斜視図である。照明装置1は、棒状の給電装置10、灯具50及びACアダプタ60を備える。ACアダプタ60にはACプラグ61が接続され、ACプラグ61がACコンセントに差し込まれると、ACアダプタ60に商用電力系統から交流電圧が入力される。
【0015】
ACアダプタ60はAC/DCコンバータを有し、AC/DCコンバータは入力される交流電圧を、所定の直流電圧に変換する。例えば、AC/DCコンバータは入力される100/200Vの交流電圧を、5Vの直流電圧に変換する。本実施の形態において、ACアダプタ60は所定の直流電圧を出力する直流電源として機能する。なお、ACアダプタ60の代わりに、所定の直流電圧を出力する電池を使用してもよい。
【0016】
ACアダプタ60は、過電流保護回路(例えば、ヒューズ)を有し、設定値以上の電流が流れるとACアダプタ60からの電流出力を停止させる。さらに、ACアダプタ60は、過電圧保護回路や過温度保護回路を有していてもよい。
【0017】
棒状の給電装置10は、棒材20、第1線状導体21及び第2線状導体22を含む。棒材20は、長尺な円筒形状の棒材であり、複数の素材(例えば、絶縁性素材と金属素材)を組み合わせて生成したものであってもよいし、絶縁性素材のみで生成したものであってもよい。例えば、棒材20は、中空の樹脂素材に金属芯を補強材として通して生成したものであってもよいし、樹脂素材のみで生成したものであってもよい。
【0018】
第1線状導体21及び第2線状導体22には例えば、被覆されていない銅線が使用される。第1線状導体21は、棒材20の長手方向に、棒材20の外周から露出しない状態で延在される。第2線状導体22は、棒材20の長手方向に、棒材20の外周から露出しない状態で延在される。
図1に示す例では、第1線状導体21及び第2線状導体22は、棒材20の径方向の断面において、棒材20の外周近傍の位置に180度対角で設置されている。なお、第1線状導体21及び第2線状導体22は必ずしも180度対角で設置される必要はなく、所定の回転角度以上離れて設置されていればよい。
【0019】
第1線状導体21は直流電源のプラス端子(
図1では、ACアダプタ60のプラス出力端子)に接続され、第2線状導体22は直流電源のマイナス端子(
図1では、ACアダプタ60のマイナス出力端子)に接続される。このように、第1線状導体21及び第2線状導体22は、棒材20に取り付けられた直流負荷(
図1では灯具50)に直流電流を供給するための給電レールとして機能する。
【0020】
灯具50は、直流電流で点灯させることができる灯具であり、本実施の形態ではLED照明を想定する。支持材30は、灯具50を棒材20に固定するための環状部材である。灯具50は支持材30の外周面に取り付けられる。支持材30は棒材20に対して、長手方向にスライド自在で周方向に回転自在に取り付けられる。
【0021】
図2は、灯具50と支持材30との取付機構の一例を示す斜視図である。支持材30は取付部36を有し、取付部36は、回転支持板31(後述する
図4-
図7を参照)から径方向に延び出した位置で回転支持板31に連結される。
図2に示す例では取付部36は、棒材20の長手方向と平行に延びる板状基板で構成される。取付部36の表側(
図2の手前側)には、プラスのプリント配線35aが形成されており、回転支持板31を経由して棒材20の第1線状導体21と導通可能である。プラスのプリント配線36aの終端は環状の第5導電パッド(
図4の第5導電パッド36c参照)に接続されている。第1導電パッド-第4導電パッドについては後述する。
【0022】
取付部36の裏側(
図2の奥側)には、マイナスのプリント配線(
図5のプリント配線36b参照)が形成されており、回転支持板31を経由して棒材20の第2線状導体22と導通可能である。マイナスのプリント配線36bの終端は環状の第6導電パッド(
図5の第6導電パッド36d参照)に接続されている。プリント配線および導電パッドは例えば、銅箔で形成される。
【0023】
灯具50は、LED51、台座52、タブ端子部53を有する。タブ端子部53は、台座52の底面から鉛直に延び出している。タブ端子部53の表側(
図2の手前側)には、U字形状の第7導電パッド53aが配置されており、第7導電パッド53aはLED51のアノード端子に接続されている。タブ端子部53の裏側(
図2の奥側)には、U字形状の第8導電パッド(不図示)が配置されており、第8導電パッドはLED51のカソード端子に接続されている。
【0024】
取付部36の第5導電パッドと灯具50の第7導電パッド53aが、第1ラグ端子37aを介して物理的かつ電気的に接続される。第1ラグ端子37aの取付部36側の環状接点は、導電性の緩衝部材(例えば、ウェーブワッシャ(不図示))を挟んで取付部36の第5導電パッドと回動自在に接合される。第1ラグ端子37aの灯具50側の接点は灯具50の第7導電パッド53aに固定される。
【0025】
取付部36の第6導電パッドと灯具50の第8導電パッドが、第2ラグ端子37bを介して物理的から電気的に接続される。第2ラグ端子37bの取付部36側の環状接点は、導電性の緩衝部材(不図示)を挟んで取付部36の第6導電パッドと回動自在に接合される。第2ラグ端子37bの灯具50側の接点は灯具50の第8導電パッドに固定される。
【0026】
以上の構成により灯具50は、支持材30の取付部36の先端部を中心に、チルト方向に所定の角度範囲内で回転することができる。即ち、取付部36の第5導電パッド及び第6導電パッドにそれぞれ接合される第1ラグ端子37a及び第2ラグ端子37bが、関節部材として機能する。このように本実施の形態では、ユーザは、灯具50の高さ、チルト角度、及びパン角度を任意に調整することができる。さらに本実施の形態では、棒材20に複数の灯具50を取り付けることができる。
【0027】
図3は、実施の形態に係る照明装置1の全体構成例2を示す斜視図である。
図3は、一本の棒材20に複数の灯具50a、50bを取り付ける例を示している。具体的には、第1灯具50aが取り付けられた第1支持材30aと、第2灯具50bが取り付けられた第2支持材30bが一本の棒材20に差し込まれている。ユーザは、第1灯具50aと第2灯具50bの高さ、チルト角度、及びパン角度をそれぞれ独立に任意に調整することができる。なお、一本の棒材20に3個以上の灯具50を取り付けることも可能である。
【0028】
一本の棒材20に取り付けられる灯具50の最大数に応じて、ACアダプタ60から出力される直流電圧が設定される。一本の棒材20に取り付けられる灯具50の数が増えるほど、第1線状導体21と第2線状導体22の間に接続されるLED51の並列数が増え、第1線状導体21及び第2線状導体22に流れる電流が増加する。これに対して、各LED51に流れる電流が許容範囲に収まるように、第1線状導体21と第2線状導体22間の電圧を高く設定することにより、一本の棒材20に取り付けられる灯具50の数を増やすことができる。
【0029】
例えば、ACアダプタ60は、12Vまたは24Vの直流電圧を出力してもよい。灯具50の取付数が多くなるアプリケーションでは、24Vを超える直流電圧を出力してもよい。また、ACアダプタ60は、手動スイッチで出力電圧の値を切り替え可能な構成でもよい。また、ACアダプタ60は、出力電流に応じて出力電圧の値を自動的に切り替える機能を備えていてもよい。
【0030】
以下、支持材30の具体的な構成例を説明する。支持材30は、棒材20が貫通された貫通孔の内周面で第1線状導体21及び第2線状導体22にそれぞれ独立に電気的に接続するための複数の接点端子が必要である。
【0031】
図4は、実施の形態に係る支持材30を正面右上から見た分解斜視図である。
図5は、実施の形態に係る支持材30を背面右下から見た分解斜視図である。
図6は、実施の形態に係る支持材30を真上から見た上面図である。
【0032】
支持材30は、回転支持板31、第1受電板32、第2受電板33、第1導電性緩衝材34、第2導電性緩衝材35及び取付部36を有する。回転支持板31は、棒材20を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に回転自在に貫通させた貫通孔、棒材20の長手方向で第1受電板32と対向する側の面(
図4、
図5では上面)に設置される環状の第3導電パッド31a、及び第2受電板33と対向する側の面(
図4、
図5では下面)に設置される環状の第4導電パッド31bを有する。
【0033】
取付部36の回転支持板31側の基板端部は、回転支持板31の径方向に延び出したフランジ部と井桁状に直交して組み合わせされ、半田で固定される。取付部36の表側(
図4参照)には、プラスのプリント配線36aが形成されている。取付部36のプラスのプリント配線36aは、回転支持板31の上面で第3導電パッド31aと接続されているプラスのプリント配線31cと接続されている。取付部36のプラスのプリント配線36aの終端は、環状の第5導電パッド36cに接続されている。即ち、第5導電パッド36cは、回転支持板31の第3導電パッド31aと導通している。第5導電パッド36cは、直流負荷(本実施の形態ではLED51)のプラス配線と接続されるべきプラス接点端子として機能する。
【0034】
取付部36の裏側(
図5参照)には、マイナスのプリント配線36bが形成されている。取付部36のマイナスのプリント配線36bは、回転支持板31の下面で第4導電パッド31bと接続されているマイナスのプリント配線31dと接続されている。取付部36のマイナスのプリント配線36bの終端は、環状の第6導電パッド36dに接続されている。即ち、第6導電パッド36dは、回転支持板31の第4導電パッド31bと導通している。第6導電パッド36dは、直流負荷(本実施の形態ではLED51)のマイナス配線と接続されるべきマイナス接点端子として機能する。
【0035】
第1受電板32は、棒材20を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた貫通孔、棒材20の長手方向で回転支持板31と対向する側の面(
図4、
図5では下面)に設置される環状の第1導電パッド32a、及び第1導電パッド32aと導通している第1接点端子32bを有する。
【0036】
第1受電板32の貫通孔には、貫通孔の側壁から軸心に向けて延び出す第1突起部32cが形成される。第1突起部32cの両側には、貫通孔の側壁から第1受電板32の外周に向かって径方向に切り込まれた2つの溝が形成されている。
【0037】
さらに、第1受電板32の貫通孔には、貫通孔の側壁から第1受電板32の外周に向かって径方向に切り込まれた第1端子溝32d及び第2端子溝32eが形成される。第1端子溝32dは、棒材20の第1線状導体21と径方向に対向する位置に形成され、第2端子溝32eは、棒材20の第2線状導体22と径方向に対向する位置に形成される。本実施の形態では、第1端子溝32d及び第2端子溝32eは、径方向の断面において180度対角の位置に形成されている。
【0038】
第2受電板33は、棒材20を長手方向にスライド自在に、かつ回転方向に固定して貫通させた貫通孔、棒材20の長手方向で回転支持板31と対向する側の面(
図4、
図5では上面)に設置される環状の第2導電パッド33a、及び第2導電パッド33aと導通している第2接点端子33bを有する。
【0039】
第2受電板33の貫通孔には、貫通孔の側壁から軸心に向けて延び出す第2突起部33cが形成される。第2突起部33cの両側には、貫通孔の側壁から第2受電板33の外周に向かって径方向に切り込まれた2つの溝が形成されている。
【0040】
さらに、第2受電板33の貫通孔には、貫通孔の側壁から第2受電板33の外周に向かって径方向に切り込まれた第3端子溝33d及び第4端子溝33eが形成される。第3端子溝33dは、棒材20の第1線状導体21と径方向に対向する位置で、かつ第1受電板32の第1端子溝32dと長手方向に対向する位置に形成される。第4端子溝33eは、棒材20の第2線状導体22と径方向に対向する位置で、かつ第1受電板32の第2端子溝32eと長手方向に対向する位置に形成される。
【0041】
第1受電板32の第1接点端子32bは、第1受電板32の第1端子溝32d、回転支持板31の貫通孔、第2受電板33の第3端子溝33dで形成される第1端子孔38a(
図7(a)-(b)参照)に、第1受電板32の上面から第2受電板33の方向に向けて通される弾性の第1接触片を有する。第1接触片は、第1端子孔38a内で第1線状導体21と接点を持つ。第1接触片の根本は、第1受電板32の上面に固定され、第1受電板32の厚み方向に形成された導電ビアを介して第1導電パッド32aと導通している。
【0042】
第2受電板33の第2接点端子33bは、第2受電板33の第4端子溝33e、回転支持板31の貫通孔、第1受電板32の第2端子溝32eで形成される第2端子孔38b(
図7(a)-(b)参照)に、第2受電板33の下面から第1受電板32の方向に向けて通される弾性の第2接触片を有する。第2接触片は、第2端子孔38b内で第2線状導体22と接点を持つ。第2接触片の根本は、第2受電板33の下面に固定され、第2受電板33の厚み方向に形成された導電ビアを介して第2導電パッド33aと導通している。
【0043】
第1導電性緩衝材34は、第1受電板32と回転支持板31の間に介在する。より具体的には第1導電性緩衝材34は、第1受電板32の第1接点端子32bと物理的に接触しないように、第1受電板32の第1導電パッド32aと回転支持板31の第3導電パッド31aの間に挟まれる。第2導電性緩衝材35は、回転支持板31と第2受電板33の間に介在する。より具体的には第2導電性緩衝材35は、第2受電板33の第2接点端子33bと物理的に接触しないように、第回転支持板31の第4導電パッド31bと第2受電板33の第2導電パッド33aの間に挟まれる。
【0044】
本実施の形態では、第1導電性緩衝材34及び第2導電性緩衝材35にウェーブワッシャを使用している。ウェーブワッシャは、環状の薄板に波状の凹凸がついている軸方向に弾性変形可能な弾性部材である。
【0045】
第1受電板32の第1導電パッド32aと回転支持板31の第3導電パッド31aの間にウェーブワッシャを挟むことにより、両者を平面接触ではなく、回転により動的に接点が切り替わる複数点接触(例えば、3点接触)で接続することができる。点接点の場合、平面接点と比較して接点圧が大きくなる。
【0046】
ウェーブワッシャの代わりに平面ワッシャを挟んだ場合、回転摩擦により、平面ワッシャ、第1導電パッド32a及び第3導電パッド31aの表面摩耗が進行しやすくなる。これにより、接触不良による通電停止が起きやすくなる。また、表面摩耗の進行により接触抵抗が増加していくと発熱が大きくなり、アーク放電する危険が高まる。アーク放電により炭化すると接触抵抗がさらに増加するという悪循環に陥る。第1導電パッド32aの表面と第3導電パッド31aの表面を直接接触させた場合も同様である。
【0047】
これに対して、ウェーブワッシャを挟んだ場合、回転により接触点が機械的にリフレッシュされる。即ち、回転により金属同士が削られて活性化するため、接触抵抗の増加が抑制される。
【0048】
また、ウェーブワッシャの弾性力により、第1導電パッド32aと第3導電パッド31aとの接点圧が適切に維持される。回転支持板31の回転位置が変わっても接点圧が適切に維持される。このウェーブワッシャの弾性力による接点圧は、ユーザが決めた回転支持板31の回転位置を保持する力としても働く。
【0049】
以上の考察は、回転支持板31の第4導電パッド31bと第2受電板33の第2導電パッド33aの間に挟まれるウェーブワッシャ、取付部36の第5導電パッドと第1ラグ端子37aの環状接点の間に挟まれるウェーブワッシャ、及び取付部36の第6導電パッドと第2ラグ端子37bの環状接点の間に挟まれるウェーブワッシャにも、同様に当てはまる。
【0050】
なお、導電性で軸方向にバネ要素がある部材であれば、第1導電性緩衝材34及び第2導電性緩衝材35に、ウェーブワッシャ以外の部材をしてもよい。例えば、コイルバネ、貫通孔を有する皿バネ、軸方向に弾性変形可能で貫通孔を有するその他の板バネ、貫通孔を有する導電ゴムなどを使用してもよい。
【0051】
図6に示すように、棒材20は、長手方向にそれぞれ延びる第1配線切欠溝20a、第2配線切欠溝20b及び位置決め用切欠溝20cを有する。第1配線切欠溝20aに第1線状導体21が、棒材20の外周から露出しないように収容される。第2配線切欠溝20bに第2線状導体22が、棒材20の外周から露出しないように収容される。
【0052】
位置決め用切欠溝20cは、第1受電板32の第1突起部32c及び第2受電板33の第2突起部33cが嵌合する形状に切り込まれる。棒材20に第1受電板32及び第2受電板33が差し込まれた際、位置決め用切欠溝20cに、第1受電板32の第1突起部32c及び第2受電板33の第2突起部33cが嵌合することにより、第1受電板32及び第2受電板33の回転が阻止される。
【0053】
なお、第1受電板32と第2受電板33がそれぞれ決められた方向から決められた向きにのみ、物理的に棒材20に差し込み可能なように、第1受電板32の第1突起部32c、第2受電板33の第2突起部33c及び棒材20の位置決め用切欠溝20cの位置が、中心を通る基準線SLに対して非対称に設計されてもよい。この場合、組み立て時における第1受電板32または第2受電板33の棒材20への差し間違いを防止することができる。
【0054】
また、第1受電板32の第1突起部32cと嵌合するための位置決め用切欠溝と、第2受電板33の第2突起部33cと嵌合するための位置決め用切欠溝を別々に設けてもよい。この場合も、組み立て時における第1受電板32または第2受電板33の棒材20への差し間違いを防止することができる。
【0055】
図7(a)-(b)は、第1接点端子32bと第1線状導体21の接点構造と、第2接点端子33bと第2線状導体22の接点構造を模式的に描いた長手方向の断面図である。
図7(a)-(b)では図面を簡略化するために、第1導電性緩衝材34及び第2導電性緩衝材35を省略して描いている。
【0056】
図7(a)に示す例は、第1端子孔38a内に配置された第1接点端子32bと、第1配線切欠溝20a内に配置された第1線状導体21が一点で接触し、第2端子孔38b内に配置された第2接点端子33bと、第2配線切欠溝20b内に配置された第2線状導体22が一点で接触する例である。即ち、第1接点端子32bは、第1配線切欠溝20a内に入り込むための一つの湾曲部を有し、第2接点端子33bは、第2配線切欠溝20b内に入り込むための一つの湾曲部を有している。
【0057】
図7(b)に示す例は、第1端子孔38a内に配置された第1接点端子32bと、第1配線切欠溝20a内に配置された第1線状導体21が2点で接触し、第2端子孔38b内に配置された第2接点端子33bと、第2配線切欠溝20b内に配置された第2線状導体22が2点で接触する例である。即ち、第1接点端子32bは、第1配線切欠溝20a内に入り込むための2つの湾曲部を有し、第2接点端子33bは、第2配線切欠溝20b内に入り込むための2つの湾曲部を有している。
【0058】
図7(b)に示す例の方が、第1接点端子32bと第1線状導体21の電気的な接触、及び第2接点端子33bと第2線状導体22の電気的な接触をより確実に維持することができる。また、接点圧が2箇所に分散されるため耐久性も高くなる。
【0059】
以上の説明では、第1受電板32、第1導電性緩衝材34及び回転支持板31の上面を第1線状導体21に導電するプラス極、第2受電板33、第2導電性緩衝材35及び回転支持板31の下面を第2線状導体22に導通するマイナス極としたが、逆に設計してもよい。その場合、第2受電板33、第2導電性緩衝材35及び回転支持板31の下面が第1線状導体21に導電するプラス極、第1受電板32、第1導電性緩衝材34及び回転支持板31の上面が第2線状導体22に導通するマイナス極になる。
【0060】
以上説明したように本実施の形態によれば、棒材20に取り付けられた灯具50の位置を柔軟に調整できる。ユーザは、灯具50が取り付けられた支持材30を棒材20の長手方向にスライドさせることにより、灯具50の高さを自由に調整することができる。したがって、ユーザは灯具50の高さを調整するために、従来のようにシャフトの長さが異なる別のスポットライトに交換する必要がない。また、用意されている複数のシャフト長のスポットライトでは対応できない高さにも調整することができる。
【0061】
また、ユーザは、棒材20を中心に回転支持板31を回転させることにより、灯具50のパン角度を自由に調整することができる。その際、どのような回転位置においても、第1線状導体21→第1受電板32→第1導電性緩衝材34→回転支持板31の上面→LED51→回転支持板31の下面→第2導電性緩衝材35→第2受電板33→第2線状導体22の経路で電流が流れる。
【0062】
また、第1受電板32の環状の第1導電パッド32aが第1導電性緩衝材34を挟んで回転支持板31の環状の第3導電パッド31aと、第2受電板33の環状の第2導電パッド33aが第2導電性緩衝材35を挟んで回転支持板31の環状の第4導電パッド31bとそれぞれ接合されているため、回転支持板31をどのような角度に回転させても、灯具50への通電が途切れず、灯具50の点灯が継続される。また、支持材30の回転中も灯具50への通電が途切れることはない。
【0063】
また、ユーザは、灯具50を支持材30を支点にチルト方向に回動させることにより、灯具50のチルト角度を自由に調整することができる。このように、ユーザは、灯具50の高さ、チルト角度、及びパン角度を任意に調整することができ、展示物に対する照明装置1からの光の当て方を微調整することができる。その際、棒材20の固定位置の変更や別の棒材20への交換が必要なく、簡単な作業で展示物に対する光の当て方を微調整することができる。
【0064】
また、ユーザは、棒材20に、それぞれ灯具50が取り付けられた複数の支持材30を差し込むことにより、棒材20の数を増やさずに灯具50の数を増やすことができる。したがって、棒材20が乱立することによる意匠性の低下を抑えつつ、灯具50の数を増やすことができる。また、棒材20を共通化することにより、ユーザのコストを抑えることができる。
【0065】
また、給電線として機能する第1線状導体21及び第2線状導体22が棒材20にレール状に固定されていることにより、給電線に弛みが生じることによる意匠性の低下を抑えることができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る支持材30では、リード線を使用せずにプリント配線と金属部材で電流経路を形成している。したがって、手作業の部分が少なく製造が容易である。部品点数も少なく量産化に適している。また、リード線の断線による故障リスクがなく信頼性が高い。また、上述のように第1導電性緩衝材34及び第2導電性緩衝材35にウェーブワッシャを使用することにより、回転接点部分の信頼性も高い。また、第1線状導体21及び第2線状導体22を棒材20から露出しないように配置しているため安全性が高く、高電圧化しやすい。
【0067】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。本開示の形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0068】
上記の実施の形態では、ACプラグ61と給電装置10との間に、ACアダプタ60を設け、第1線状導体21と第2線状導体22に直流電流を流した。この点、ACアダプタ60を省略し、ACプラグ61のプラス端子とマイナス端子を第1線状導体21と第2線状導体22にそれぞれ接続し、第1線状導体21と第2線状導体22に交流電流を流してもよい。その場合、第1接点端子32b及び第2接点端子33bと、LED51のアノード端子及びカソード端子との間に、AC/DCコンバータを設置すればよい。
【0069】
上記の実施の形態では、小型の照明装置1を想定したが、本実施の形態に係る棒状の給電装置10を配線ダクトレールとして使用した大型の照明装置1にも適用可能である。また、上記の実施の形態では、棒材20が直線状に延びている例を示したが、棒材20に湾曲部分が設けられていてもよい。
【0070】
上記の実施の形態では、棒状の給電装置10に取り付けられる直流負荷として、直流電流で点灯する灯具50を想定したが、直流電流で駆動するファンや、USB充電器など他の直流負荷を使用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 照明装置、 10 給電装置、 20 棒材、 20a 第1配線切欠溝、 20b 第2配線切欠溝、 20c 位置決め用切欠溝、 21 第1線状導体、 22 第2線状導体、 30 支持材、 31 回転支持板、 31a 第3導電パッド、 31b 第4導電パッド、 31c,31d プリント配線、 32 第1受電板、 32a 第1導電パッド、 32b 第1接点端子、 32c 第1突起部、 32d 第1端子溝、 32e 第2端子溝、 33 第2受電板、 33a 第2導電パッド、 33b 第2接点端子、 33c 第2突起部、 33d 第3端子溝、 33e 第4端子溝、 34 第1導電性緩衝材、 35 第2導電性緩衝材、 36 取付部、 36a,36b プリント配線、 36c 第5導電パッド、 36d 第6導電パッド、 37a 第1ラグ端子、 37b 第2ラグ端子、 38a 第1端子孔、 38b 第2端子孔、 50 灯具、 51 LED、 52 台座、 53 タブ端子部、 53a 第7導電パッド、 60 ACアダプタ、 61 ACプラグ。