(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088035
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】サージ防護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20230619BHJP
H02H 9/06 20060101ALI20230619BHJP
H01T 1/16 20060101ALI20230619BHJP
H01T 4/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H02H9/04 A
H02H9/06
H01T1/16 G
H01T4/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202652
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000123354
【氏名又は名称】音羽電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 智章
(72)【発明者】
【氏名】神田 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】柴田 麻生
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013AA01
5G013BA02
5G013CB23
5G013CB24
5G013DA01
5G013DA12
(57)【要約】
【課題】電気機器を雷サージ等から保護でき、かつ、電力線通信にも問題が生じないサージ防護回路を提供する。
【解決手段】サージ防護回路は、電源側配線に接続される複数の電源側接続端子11a,11b,11cと、接地端子12とを備える。複数の電源側接続端子11a,11b,11cのそれぞれと接地端子12との間に、酸化亜鉛素子24およびガス入り放電管25が、直列に設けられている。複数の電源側接続端子11a,11b,11c同士の間の全てに、酸化亜鉛素子21a,21b,21cおよびガス入り放電管26a,26b,26cが、直列に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージ防護回路であって、
電源側配線に接続される複数の電源側接続端子と、
接地端子とを備え、
前記複数の電源側接続端子のそれぞれと、前記接地端子との間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、
前記複数の電源側接続端子同士の間の全てに、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項2】
請求項1記載のサージ防護回路において、
直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、
前記複数の電源側接続端子は、三相3線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、
前記第1、第2および第3の電源側接続端子のうち少なくとも2つと、前記接続ノードとの間に、ガス入り放電管が設けられている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項3】
請求項1記載のサージ防護回路において、
中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、
前記複数の電源側接続端子は、三相3線式配電線の各相の線それぞれに接続される第1、第2および第3の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の前記中間電極と接続されており、前記第3の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項4】
請求項1記載のサージ防護回路において、
直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、
前記複数の電源側接続端子は、単相3線式配電線の各相の線および中性線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、前記第2の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項5】
請求項1記載のサージ防護回路において、
中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、
前記複数の電源側接続端子は、単相3線式配電線の各相の線および中性線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されており、前記第3の電源側接続端子は、前記第1ガス入り放電管の前記中間電極と接続されている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項6】
請求項1記載のサージ防護回路において、
直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、
前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、前記第2の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項7】
請求項1記載のサージ防護回路において、
中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、
前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【請求項8】
請求項1記載のサージ防護回路において、
直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、
前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の電源相の線および中性線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、
前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている
ことを特徴とするサージ防護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を雷サージ等から保護するためのサージ防護デバイス(SPD(Surge Protective Device))の回路に関する。
【背景技術】
【0002】
サージ防護デバイス(SPD(Surge Protective Device))は、電気機器を雷サージ等から保護するための装置であり、その内部には酸化亜鉛素子やガス入り放電管等の雷防護素子が設けられている。サージ防護デバイスは、主に、保護したい電気機器に対して並列に接続される。雷サージ過電圧が電源線に侵入してきた場合、その過電圧に応じて雷防護素子が動作を開始し、雷サージ電流を大地に流す。このとき、サージ防護回路に発生する電圧が電気機器に加わるが、この電圧を電気機器の耐電圧よりも低く抑えることによって、当該電気機器の絶縁破壊を防止することができる。
【0003】
特許文献1では、分電盤に搭載される避雷器の回路構成例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電力線を通信回路としても利用する技術である電力線通信の普及が進んでいる。そして、最近では、HD-PLC(High Definition Power Line Communication)と呼ばれる、IEEE1901規格による高速電力線通信が採用され始めている。HD-PLCでは、電力線に重畳する信号周波数として数MHz~数十MHzが利用されている。
【0006】
ところで、サージ防護回路に用いられる酸化亜鉛素子は、数1000pF程度の大きな静電容量値を有する。このため、従来のサージ防護回路を設けた電力線においてHD-PLCを採用すると、大きな静電容量を有する酸化亜鉛素子の存在により、電力線に重畳される信号が減衰してしまい、通信ができないという問題が生じることがある。
【0007】
本発明は、前記のような問題に鑑み、電気機器を雷サージ等から保護でき、かつ、電力線通信にも問題が生じないサージ防護回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、サージ防護回路は、電源側配線に接続される複数の電源側接続端子と、接地端子とを備え、前記複数の電源側接続端子のそれぞれと、前記接地端子との間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、前記複数の電源側接続端子同士の間の全てに、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている。
【0009】
この態様によると、サージ防護デバイスの内部回路において、複数の電源側接続端子のそれぞれと接地端子との間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、かつ、複数の電源側接続端子同士の間の全てに、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている。このような回路を持つサージ防護デバイスを設置することによって、電源線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。これにより、電源線に侵入する雷サージに対して動作し、機器を保護することができるとともに、当該電源線を利用した電力線通信に対して、信号の減衰を抑制することができる。
【0010】
そして、前記態様のサージ防護回路において、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、前記複数の電源側接続端子は、三相3線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、前記第1、第2および第3の電源側接続端子のうち少なくとも2つと、前記接続ノードとの間に、ガス入り放電管が設けられている、としてもよい。
【0011】
これにより、三相3線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0012】
また、前記態様のサージ防護回路において、中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、前記複数の電源側接続端子は、三相3線式配電線の各相の線それぞれに接続される第1、第2および第3の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の前記中間電極と接続されており、前記第3の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されている、としてもよい。
【0013】
これにより、三相3線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0014】
また、前記態様のサージ防護回路において、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、前記複数の電源側接続端子は、単相3線式配電線の各相の線および中性線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、前記第2の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている、としてもよい。
【0015】
これにより、単相3線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0016】
また、前記態様のサージ防護回路において、中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、前記複数の電源側接続端子は、単相3線式配電線の各相の線および中性線それぞれに接続される、第1、第2および第3の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されており、前記第3の電源側接続端子は、前記第1ガス入り放電管の前記中間電極と接続されている、としてもよい。
【0017】
これにより、単相3線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0018】
また、前記態様のサージ防護回路において、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられており、前記第2の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている、としてもよい。
【0019】
これにより、単相2線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0020】
また、前記態様のサージ防護回路において、中間電極が、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、3極型の第1ガス入り放電管を備え、前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の各相の線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第1電極と接続されており、前記第2の電源側接続端子は、酸化亜鉛素子を介して、前記第1ガス入り放電管の第2電極と接続されている、としてもよい。
【0021】
これにより、単相2線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【0022】
また、前記サージ防護回路において、直列に設けられた酸化亜鉛素子およびガス入り放電管を介して、前記接地端子と接続された、接続ノードを備え、前記複数の電源側接続端子は、単相2線式配電線の電源相の線および中性線それぞれに接続される、第1および第2の電源側接続端子であり、前記第1の電源側接続端子と前記接続ノードとの間に、酸化亜鉛素子およびガス入り放電管が、直列に設けられている、としてもよい。
【0023】
これにより、単相2線式配電線に対して、電力線通信に問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、電気機器を雷サージ等から保護でき、かつ、電力線通信にも問題が生じないサージ防護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1に係るサージ防護回路の回路構成例
【
図2】実施形態1に係るサージ防護回路の他の回路構成例
【
図3】実施形態2に係るサージ防護回路の回路構成例
【
図4】実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成例
【
図5】実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成例
【
図6】実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成例
【
図7】実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成例
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施形態に係るサージ防護回路は、電源線に対して、雷サージ等から保護したい機器の前に設置する。
【0027】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係るサージ防護回路(SPD(Surge Protective Device)回路)の回路構成を示す回路図である。
図1に示すサージ防護回路は、三相3線用である。
【0028】
図1に示すサージ防護回路は、電源側接続端子11a,11b,11cと、接地端子12とを備える。電源側接続端子11a,11b,11cは、三相3線式配電線の各相の線それぞれに接続される。接続ノード17は、酸化亜鉛素子24およびガス入り放電管25を介して、接地端子12と接続されている。電源側接続端子11aは、酸化亜鉛素子21aおよびガス入り放電管26aを介して、接続ノード17と接続されている。電源側接続端子11bは、酸化亜鉛素子21bおよびガス入り放電管26bを介して、接続ノード17と接続されている。電源側接続端子11cは、酸化亜鉛素子21cおよびガス入り放電管26cを介して、接続ノード17と接続されている。また、
図1に示すサージ防護回路では、ヒューズ等の切り離し装置61a,61b,61cと、劣化表示回路71a,71bとが設けられている。
【0029】
図1の回路構成によると、三相3線式配電線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、接続ノード17と接地端子12との間に、酸化亜鉛素子24およびガス入り放電管25が直列に設けられる。電源側接続端子11aと電源側接続端子11bとの間に、酸化亜鉛素子21a,ガス入り放電管26a,26b、および、酸化亜鉛素子21bが設けられる。電源側接続端子11bと電源側接続端子11cとの間に、酸化亜鉛素子21b,ガス入り放電管26b,26c、および、酸化亜鉛素子21cが設けられる。電源側接続端子11cと電源側接続端子11aとの間に、酸化亜鉛素子21c,ガス入り放電管26c,26a、および、酸化亜鉛素子21aが設けられる。
【0030】
このような構成により、
図1に示すサージ防護回路は、電源線に侵入する雷サージに対して動作し、雷サージ電圧を抑制し、機器を保護することができる。加えて、電力線通信に対して、信号の減衰を小さく抑えることができる。酸化亜鉛素子の静電容量値は数1000pF程度であり、この大きな静電容量のために、電力線通信における信号が減衰してしまうという問題があった。一方、ガス入り放電管の静電容量値は数pF程度であり、ガス入り放電管を酸化亜鉛素子と直列に配置することによって、合成容量を数pF程度にすることができる。これにより、電力線通信における信号の減衰を抑制することができる。
【0031】
なお、
図1の回路構成において、ガス入り放電管26a,26b,26cのいずれか1つを省いてもかまわない。この構成でも、三相3線式配電線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになり、
図1の回路構成と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、電源側接続端子11a,11b,11cのうち少なくとも2つと、接続ノード17との間に、ガス入り放電管が設けられていればよい。
【0032】
また、
図1の回路構成は、三相3線、単相3線共用の機種に適用してもかまわない。単線3相用として用いる場合は、例えば、電源側接続端子11bを中性線に接続する。この場合、ガス入り放電管26bを省いてもかまわない。
【0033】
なお、
図1の回路構成において、酸化亜鉛素子21aとガス入り放電管26aの位置を入れ替えてもよいし、酸化亜鉛素子21bとガス入り放電管26bの位置を入れ替えてもよいし、酸化亜鉛素子21cとガス入り放電管26cの位置を入れ替えてもよい。また、酸化亜鉛素子24とガス入り放電管25の位置を入れ替えてもよい。
【0034】
なお、
図1の回路構成において、ガス入り放電管26a,26b,26cの直流放電開始電圧の仕様値は同じであることが好ましい。あるいは、ガス入り放電管26a,26b,26cの直流放電開始電圧の値は、近いことが好ましい。ここでの近いとは、直流放電開始電圧の各値が、その平均値に対して±20%以内にあることを意味する。これにより、全ての線間について、放電動作特性を合わせることができるので、機器保護を好適に実現することができる。
【0035】
(他の構成例)
上述の実施形態に係る回路構成において、2極型のガス入り放電管に代えて、3極型のガス入り放電管を用いてもかまわない。
【0036】
図2は実施形態に係るサージ防護回路の他の回路構成を示す回路図である。
図2のサージ防護回路は、3極型のガス入り放電管23を備えている。ガス入り放電管23の中間電極は、ガス入り放電管25および酸化亜鉛素子24を介して、接地端子12と接続されている。電源側接続端子11aは、酸化亜鉛素子21aを介して、ガス入り放電管23の第1電極と接続されている。電源側接続端子11bは、酸化亜鉛素子21bおよびガス入り放電管22を介して、ガス入り放電管23の中間電極と接続されている。電源側接続端子11cは、酸化亜鉛素子21cを介して、ガス入り放電管23の第2電極と接続されている。
【0037】
図2の回路構成でも、三相3線式配電線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子11aと電源側接続端子11bとの間に、酸化亜鉛素子21a,ガス入り放電管23,22、および、酸化亜鉛素子21bが設けられている。電源側接続端子11bと電源側接続端子11cとの間に、酸化亜鉛素子21b,ガス入り放電管22,23、および、酸化亜鉛素子21cが設けられている。電源側接続端子11cと電源側接続端子11aとの間に、酸化亜鉛素子21c,ガス入り放電管23、および、酸化亜鉛素子21aが設けられている。ガス入り放電管23の中間電極と接地端子12との間に、酸化亜鉛素子24およびガス入り放電管25が直列に設けられている。
【0038】
したがって、
図2のサージ防護回路によって、
図1のサージ防護回路と同様の作用効果が得られる。また、
図2のサージ防護回路では、ガス入り放電管の個数が少なくなっており、基板における部品配置が簡略化されるので、サージ防護デバイスの小型化が可能になる。
【0039】
なお、
図2の回路構成において、ガス入り放電管22を省いてもかまわない。
【0040】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、三相3線用のサージ保護回路について説明した。本実施形態では、単相用のサージ保護回路について説明する。
【0041】
図3は実施形態2に係るサージ防護回路の回路構成を示す回路図である。
図3に示すサージ防護回路は、単相3線用である。
【0042】
図3に示すサージ防護回路は、電源側接続端子13a,13b,13Nと、接地端子14とを備える。電源側接続端子13a,13b,13Nは、単相3線式配電線の各相の線および中性線にそれぞれ接続される。接続ノード18は、酸化亜鉛素子33およびガス入り放電管34を介して、接地端子14と接続されている。電源側接続端子13aは、酸化亜鉛素子31aおよびガス入り放電管35aを介して、接続ノード18と接続されている。電源側接続端子13bは、酸化亜鉛素子31bおよびガス入り放電管35bを介して、接続ノード18と接続されている。電源側接続端子13Nは、接続ノード18と接続されている。また、
図4に示すサージ防護回路は、ヒューズ等の切り離し装置63a,63b,63cと、劣化表示回路73a,73bとが設けられている。
【0043】
図3の回路構成では、単相3線式配電線の各相の線および中性線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子13aと電源側接続端子13Nとの間に、酸化亜鉛素子31aおよびガス入り放電管35aが設けられる。電源側接続端子13bと電源側接続端子13Nとの間に、酸化亜鉛素子31bおよびガス入り放電管35bが設けられる。電源側接続端子13aと電源側接続端子13bとの間に、酸化亜鉛素子31a,ガス入り放電管35a,35b、および、酸化亜鉛素子31bが設けられる。接続ノード18と接地端子14との間に、酸化亜鉛素子33およびガス入り放電管34が直列に設けられる。
【0044】
このような構成により、
図3に示すサージ防護回路は、実施形態1に係るサージ防護回路と同様に、電源線に侵入する雷サージに対して動作し、雷サージ電圧を抑制し、機器を保護することができる。加えて、電力線通信に対して、信号の減衰を小さく抑えることができる。
【0045】
なお、
図3の回路構成において、電源側接続端子13Nと接続ノード18との間に、酸化亜鉛素子を設けてもかまわない。この場合、
図1の回路構成において、ガス入り放電管26bを省いた構成と同じ構成になる。
【0046】
なお、
図3の回路構成において、ガス入り放電管35a,35bの直流放電開始電圧の仕様値は同じであることが好ましい。あるいは、ガス入り放電管35a,35bの直流放電開始電圧の値は、近いことが好ましい。ここでの近いとは、直流放電開始電圧の各値が、その平均値に対して±20%以内にあることを意味する。これにより、全ての線間について、放電動作特性を合わせることができるので、機器保護を好適に実現することができる。
【0047】
図4は実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成を示す回路図である。
図4に示すサージ防護回路は、単相2線用である。
【0048】
図4に示すサージ防護回路は、電源側接続端子15a,15bと、接地端子16とを備える。電源側接続端子15a,15bは、単相2線式配電線の各相の線にそれぞれ接続される。接続ノード19は、酸化亜鉛素子43およびガス入り放電管44を介して、接地端子16と接続されている。電源側接続端子15aは、酸化亜鉛素子41aおよびガス入り放電管45aを介して、接続ノード19と接続されている。電源側接続端子15bは、酸化亜鉛素子41bおよびガス入り放電管45bを介して、接続ノード19と接続されている。また、
図4に示すサージ防護回路は、ヒューズ等の切り離し装置65a,65bと、劣化表示回路75とが設けられている。
【0049】
図4の回路構成では、単相2線式配電線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子15aと電源側接続端子15bとの間に、酸化亜鉛素子41a,ガス入り放電管45a,45b、および、酸化亜鉛素子41bが設けられる。接続ノード19と接地端子16との間に、酸化亜鉛素子43およびガス入り放電管44が直列に設けられる。
【0050】
このような構成により、
図4に示すサージ防護回路は、電源線に侵入する雷サージに対して動作し、雷サージ電圧を抑制し、機器を保護することができる。加えて、電力線通信に対して、信号の減衰を小さく抑えることができる。
【0051】
なお、
図4の回路構成において、ガス入り放電管45a,45bの直流放電開始電圧の仕様値は同じであることが好ましい。あるいは、ガス入り放電管35a,35bの直流放電開始電圧の値は、近いことが好ましい。ここでの近いとは、直流放電開始電圧の各値が、その平均値に対して±20%以内にあることを意味する。これにより、全ての線間について、放電動作特性を合わせることができるので、機器保護を好適に実現することができる。
【0052】
(他の構成例)
上述の実施形態に係る回路構成において、2極型のガス入り放電管に代えて、3極型のガス入り放電管を用いてもかまわない。
【0053】
図5は実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成を示す回路図である。
図5のサージ防護回路は、単相3線用であり、3極型のガス入り放電管32を備えている。電源側接続端子13aは、酸化亜鉛素子31aを介して、ガス入り放電管32の第1電極と接続されている。電源側接続端子13bは、酸化亜鉛素子31bを介して、ガス入り放電管32の第2電極と接続されている。電源側接続端子13Nは、ガス入り放電管32の中間電極と接続されている。接地端子14は、ガス入り放電管34および酸化亜鉛素子33を介して、ガス入り放電管32の中間電極と接続されている。
【0054】
図5の回路構成でも、単相3線式配電線の各相の線および中性線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子13aと電源側接続端子13Nとの間に、酸化亜鉛素子31aおよびガス入り放電管32が設けられる。電源側接続端子13bと電源側接続端子13Nとの間に、酸化亜鉛素子31bおよびガス入り放電管32が設けられる。電源側接続端子13aと電源側接続端子13bとの間に、酸化亜鉛素子31a,ガス入り放電管32、および、酸化亜鉛素子31bが設けられる。ガス入り放電管32の中間電極と接地端子14との間に、酸化亜鉛素子33およびガス入り放電管34が直列に設けられる。
【0055】
したがって、
図5のサージ防護回路によって、
図3のサージ防護回路と同様の作用効果が得られる。また、3極型のガス入り放電管32を用いることによって、動作をより安定させることができる。
【0056】
図6は実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成を示す回路図である。
図6のサージ防護回路は、単相2線用であり、3極型のガス入り放電管42を備えている。電源側接続端子15aは、酸化亜鉛素子41aを介して、ガス入り放電管42の第1電極と接続されている。電源側接続端子15bは、酸化亜鉛素子41bを介して、ガス入り放電管42の第2電極と接続されている。接地端子16は、ガス入り放電管44および酸化亜鉛素子43を介して、ガス入り放電管42の中間電極と接続されている。
【0057】
図6の回路構成でも、単相2線式配電線の各相の線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子15aと電源側接続端子15bとの間に、酸化亜鉛素子41a,ガス入り放電管42、および、酸化亜鉛素子41bが設けられる。ガス入り放電管42の中間電極と接地端子16との間に、酸化亜鉛素子43およびガス入り放電管44が直列に設けられる。
【0058】
したがって、
図6のサージ防護回路によって、
図4のサージ防護回路と同様の作用効果が得られる。
【0059】
図7は実施形態2に係るサージ防護回路の他の回路構成を示す回路図である。
図7のサージ防護回路は、単相2線用であり、電源側接続端子15aは単相2線式配電線の電源相の線に接続され、電源側接続端子15Nは単相2線式配電線の中性線に接続される。接続ノード19は、酸化亜鉛素子43およびガス入り放電管44を介して、接地端子16と接続されている。電源側接続端子15aは、酸化亜鉛素子41aおよびガス入り放電管45aを介して、接続ノード19と接続されている。電源側接続端子15Nは、接続ノード19と接続されている。
【0060】
図7の回路構成では、単相2線式配電線の電源相の線および中性線について、対地間、および、全ての線間において、酸化亜鉛素子とガス入り放電管が直列に設けられることになる。すなわち、電源側接続端子15aと電源側接続端子15Nとの間に、酸化亜鉛素子41a,ガス入り放電管45aが設けられる。接続ノード19と接地端子16と間に、酸化亜鉛素子43およびガス入り放電管44が直列に設けられる。
【0061】
このような構成により、
図7に示すサージ防護回路は、電源線に侵入する雷サージに対して動作し、雷サージ電圧を抑制し、機器を保護することができる。加えて、電力線通信に対して、信号の減衰を小さく抑えることができる。
【0062】
なお、
図7の回路構成において、電源側接続端子15Nと接続ノード19との間に、酸化亜鉛素子が設けられていてもかまわない。
【0063】
なお、上述の各実施形態に示す回路構成において、2極型のガス入り放電管に代えて、3極型のガス入り放電管を用いてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば、電力線通信に利用される電源線において、通信に影響を与えることなく電気機器を雷サージ等から保護するのに有用である。
【符号の説明】
【0065】
11a,11b,11c 電源側接続端子
12 接地端子
13a,13b,13N 電源側接続端子
14 接地端子
15a,15b,15N 電源側接続端子
16 接地端子
21a,21b,21c,22,24 酸化亜鉛素子
22A,23 3極型ガス入り放電管
25,26a,26b,26c ガス入り放電管
31a,31b,33 酸化亜鉛素子
32 3極型ガス入り放電管
34,35a,35b ガス入り放電管
41a,41b,43 酸化亜鉛素子
42 3極型ガス入り放電管
44,45a,45b ガス入り放電管