(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008805
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】排水口カバーおよび槽体システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20230112BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20230112BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20230112BHJP
E03C 1/262 20060101ALI20230112BHJP
E03C 1/264 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E03C1/22 B
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
E03C1/262 Z
E03C1/264
A47K1/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059682
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021111843
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】山本 大助
(72)【発明者】
【氏名】中島 一彰
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DB01
2D061DE01
2D061DE10
2D061DE11
2D061DE13
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】排水の際、エア(空気)の滞留を防ぎ、水位上昇を抑制することができる排水口
カバーおよび当該排水口カバーを有する槽体システムを提供する。
【解決手段】この発明の排水口カバー12は、排水口14Cを平面視遮蔽することができ
る覆い体20と、覆い体20の排水口側である下側の面より垂下しており、外表面が槽体
に流れ込んだ水を排水口方向に誘導する基部28と、基部28の課端部から下方に向けて
基部28と連設するように形成されており、外表面が基部28の外表面から流れ込んだ水
を排水口に流入させる下部基部29とを備える。基部28及び下部基部29は空洞部を備
え、覆い体20の下側の面と基部28との間には上部空間部38が形成され、上部空間部
38と基部28、及び下部基部29の内部の空洞部は連通されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を平面視遮蔽することができる覆い体と、
前記覆い体の排水口側である下側の面より垂下しており、外表面が槽体に流れ込んだ水を排水口方向に誘導する基部と、
前記基部の下端部から下方に向けて前記基部と連設するように形成されており、外表面が基部の外表面から流れ込んだ水を排水口に流入させる下部基部と、
を備え、
前記基部および下部基部は、空洞部を備え、
前記覆い体の下側の面と前記基部との間には上部空間部が形成され、
前記上部空間部と基部および下部基部の内部の空洞部は、連通されていることを特徴とする、排水口カバー。
【請求項2】
前記覆い体と前記基部とは、案内上部、および/または、内部案内部を介して連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の排水口カバー。
【請求項3】
前記基部の空洞部は、排気孔である第1内部空間である、請求項1または2に記載の排水口カバー。
【請求項4】
前記下部基部の空洞部は、排気孔である第2内部空間である、請求項1ないし3のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項5】
前記内部案内部には、前記基部を前記覆い体に固定するための連結部である内部固定領域が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項6】
前記内部案内部は、前記基部の内側面であるアール状基部から前記覆い体の中心軸方向に向けて突き出すように設けられていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項7】
前記内部案内部の前記覆い体の中心軸側の側面から前記覆い体の中心軸側に向けて、前記内部固定領域が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項8】
前記基部は、前記案内上部を介して、前記覆い体に取り付けられていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項9】
前記基部が、前記案内上部を介して、前記覆い体と接触することによって、前記下側の面と前記基部の上端部との間に排気孔である前記上部空間部が形成され、
前記覆い体の排水孔側の面である下側の面が、外側から中心側に向かうにしたがって下方に向けて前記覆い体の上側の面から離れる方向に傾斜したことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項10】
前記覆い体は、その下側の面が、逆錐形状に形成されたテーパー部を有する、請求項1ないし9のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項11】
前記覆い体の排水孔側の面である下側の面が、覆い体の外側周縁より覆い体の中心側に向けて、排水孔側である下側に向けて徐々に傾斜する滑らかな面状のテーパー面を有する、請求項1ないし10のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項12】
前記基部は、前記覆い体の排水口側の面である下側の面とつながる境界部分が、弧状ないしは円弧状に形成されたことを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項13】
前記基部は、ほぼ全体が柱状に形成され、前記覆い体の排水口側の面である下側の面の近傍における境界領域が、前記覆い体の下側の面に沿って外側の方向に向けて拡がる、弧状ないしは円弧状に形成された、請求項12に記載の排水口カバー。
【請求項14】
前記覆い体のテーパー部は、前記案内上部を介して、前記基部の弧状ないしは円弧状に形成された境界部分に取り付けられていることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項15】
前記下部基部は、円筒形状であることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項16】
外表面が槽体に流れ込んだ水を排水口方向に誘導する、少なくとも3つの案内壁が、前記基部の前記覆い体の排水口側の面である下側の面に近い領域ないしは離れた領域から、覆い体の周縁方向及び覆い体より離れる方向に向けて伸びるように、突設されていることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項17】
前記基部の内側面に形成されたアール状基部から前記覆い体の中心軸方向に向けて突き出すように設けられた内部案内部は、平面側表面に、内部案内壁を備えることを特徴とする、請求項2ないし請求項16のうちのいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項18】
前記第1内部空間部の内部に形成された前記内部案内壁は、前記第1内部空間部と連設するように、前記第1内部空間部の下端部から下部に向けて連続した、前記下部基部の内部に形成された前記第2内部空間部から上昇した空気を相互に間隔を置いて前記上部空間部に排気する空間を形成することを特徴とする、請求項17に記載の排水口カバー。
【請求項19】
前記上部空間部は、円筒形状であることを特徴とする、請求項1ないし18のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項20】
前記第1内部空間部は、円筒形状であることを特徴とする、請求項3ないし19のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項21】
前記第2内部空間部は、円筒形状であることを特徴とする、請求項4ないし20のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項22】
前記内部固定領域は、円筒形状であることを特徴とする、請求項5ないし21のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項23】
前記案内壁の正面形状は、略長方形状であることを特徴とする、請求項16ないし22のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項24】
更に、前記覆い体の排水口側の面である下側の面より下方において、異物除去部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項23のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項25】
前記覆い体は、開口部内に配置された前記排水口カバーを、上下動させる機能を有する駆動部材に取り付けられており、
前記駆動部材は、円柱状で前記覆い体側から、排水管に向けて伸びる柱状部材で構成される円柱部と、前記円柱部の一端面の外周側から突出した状態で設けられた支持部とを備え、
前記円柱部は、操作部材の変位に伴い往復移動する伝達部材と接続されており、前記操作部材の変位に伴って前記伝達部材が往復運動することにより、上下動し、
前記操作部材の変位に伴い、前記伝達部材が復動し、前記支持部が下方に移動し、前記排水口カバーが下方に移動し、パッキン部の外周部分の全域が、排水管排水口部に接触することにより、前記排水管排水口部が、閉鎖されることを特徴とする、請求項1ないし請求項24のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項26】
前記基部は、前記排水口の中央において鉛直方向に立設され、前記器体の内面の側より流れ込んだ水が衝突することにより水を整流して、反対方向から流れ込む水による排水の妨げを防ぐことを特徴とする、請求項1ないし請求項25のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項27】
前記基部は、前記覆い体に近い領域が反り返った形状で、鉛直方向における下方に徐々に細くなりながら伸びており、前記排水口の付近で毛髪等の異物は下方へと滑りやすくなっていることを特徴とする、請求項26に記載の排水口カバー。
【請求項28】
前記基部は、前記覆い体の下面より、前記基部の直径の1.5倍以上3倍以下の長さ分下がった位置より、湾曲して上方に向けて延伸して、前記覆い体の下面に至り、前記覆い体の下面と接する面が、滑らか面となるように、膨出していることを特徴とする、請求項27に記載の排水口カバー。
【請求項29】
前記基部は、上方へ延伸するのに伴い反り返った円錐台形状をしており、その立ち上がりの角度は、湾曲の開始とともに増加し、前記覆い体との接続部分において最大となることを特徴とする、請求項28に記載の排水口カバー。
【請求項30】
異物除去部は、貫通孔が複数穿設されている円筒状の除去部本体を備え、
前記除去部本体は、前記覆い体の下面と案内壁の上端面である第1稜線領域との間に配設されており、
前記異物除去部は、前記器体の内面から流れ込む排水に混じって流れてくる異物を捕集して、異物が前記排水口に流れ込むことを防ぐことを特徴とする、請求項24ないし請求項29のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項31】
少なくとも3つの前記案内部は、略螺旋形状であることを特徴とする、請求項30ないし28のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項32】
少なくとも3つの前記案内部は、平面視断面弧状ないしは円弧状であることを特徴とする、請求項26ないし31のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項33】
前記請求項1ないし32に記載の排水口カバーが排水口に取り付けられた、槽体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗面用等に好適に供される、排水口カバーおよび槽体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生設備における洗面用設備として、多様な設置環境に対応すべく、形状やサイズなど、種々の態様のものが実用されている。近時、洗面器・手洗い器とも称される槽体のデザイン、形状が多様化している。その背景には、特に、設置場所の狭小化に伴い槽体の大きさの極小化ともとれる小型化の実現があると考えられる。そして、洗面器や手洗いなどの槽体の形状や大小にかかわらず、これまで、槽体に設けられた排水口による排水を促すための技術が種々開示されている。これらの技術は、排水口を設けた箇所の外観を良くする目的及び/又は排水口に一時的に栓をする目的で設けられる排水口栓自体あるいはその近傍に施されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。例えば、特許文献1には、排水口栓の下方に排水の水流を円滑に促すために、所望の水流を発生させる技術が開示されている。また例えば、特許文献2には、排水口栓の下方に排水時に排水用配管側にある空気を外方に逃がすことにより、空気が排水の流れに干渉しないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/135017号公報
【特許文献2】特開2010-59701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排水口カバーへと流入する吐水が、エアを含んだ泡沫吐水の場合がある。このような泡沫吐水は、よりエアの巻込みを発生し易くし、円滑な排水の妨げになっている場合がある。すなわち、エア(空気)の巻込みにより排水性能が阻害され水位の上昇の問題が生じているのが現状である。また、水流の方向によっては槽体に渦流が発生し排水口に流入する際に渦流ごと流入することで、エア(空気)も巻込む。さらには、槽体上で互いに反対方向からの水流が生じ、これら水流同士が衝突し、エアを発生させ、当該エアを巻込んでしまうという事態も、スムーズな排水を妨げる要因となっていると考えられる。
【0005】
そこで本発明の所期の目的は、上記した問題を解決すべく、排水の際、エアの滞留を防ぎ、水位上昇を抑制することができる排水口カバーおよび当該排水口カバーを有する槽体システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる排水口カバーは、排水口を平面視遮蔽することができる覆い体と、前記覆い体の排水口側である下側の面より垂下しており、外表面が槽体に流れ込んだ水を排水口方向に誘導する基部と、前記基部の下端部から下方に向けて前記基部と連設するように形成されており、外表面が基部の外表面から流れ込んだ水を排水口に流入させる下部基部と、を備え、前記基部および下部基部は、空洞部を備え、前記覆い体の下側の面と前記基部との間には上部空間部が形成され、前記上部空間部と基部および下部基部の内部の空洞部は、連通されている。
この発明の請求項2にかかる排水口カバーは、前記覆い体と前記基部とは、案内上部、および/または、内部案内部を介して連結されている。
この発明の請求項3にかかる排水口カバーは、前記基部の空洞部が、排気孔である第1内部空間である。
この発明の請求項4にかかる排水口カバーは、前記下部基部の空洞部が、排気孔である第2内部空間である。
この発明の請求項5にかかる排水口カバーは、前記内部案内部には、前記基部を前記覆い体に固定するための連結部である内部固定領域が形成されている。
この発明の請求項6にかかる排水口カバーは、前記内部案内部が、前記基部の内側面であるアール状基部から前記覆い体の中心軸方向に向けて突き出すように設けられている。
この発明の請求項7にかかる排水口カバーは、前記内部案内部の前記覆い体の中心軸側の側面から前記覆い体の中心軸側に向けて、前記内部固定領域が形成されている。
この発明の請求項8にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記案内上部を介して、前記覆い体に取り付けられている。
この発明の請求項9にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記案内上部を介して、前記覆い体と接触することによって、前記下側の面と前記基部の上端部との間に排気孔である前記上部空間部が形成され、前記覆い体の排水孔側の面である下側の面が、外側から中心側に向かうにしたがって下方に向けて前記覆い体の上側の面から離れる方向に傾斜している。
この発明の請求項10にかかる排水口カバーは、前記覆い体が、その下側の面が、逆錐形状に形成されたテーパー部を有する。
この発明の請求項11にかかる排水口カバーは、前記覆い体の排水孔側の面である下側の面が、覆い体の外側周縁より覆い体の中心側に向けて、排水孔側である下側に向けて徐々に傾斜する滑らかな面状のテーパー面を有する。
この発明の請求項12にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記覆い体の排水口側の面である下側の面とつながる境界部分が、弧状ないしは円弧状に形成されている。
この発明の請求項13にかかる排水口カバーは、前記基部は、ほぼ全体が柱状に形成され、前記覆い体の排水口側の面である下側の面の近傍における境界領域が、前記覆い体の下側の面に沿って外側の方向に向けて拡がる、弧状ないしは円弧状に形成されている。
この発明の請求項14にかかる排水口カバーは、前記覆い体のテーパー部が、前記案内上部を介して前記基部の弧状ないしは円弧状に形成された境界部分に取り付けられている。
この発明の請求項15にかかる排水口カバーは、前記下部基部が、円筒形状である。
この発明の請求項16にかかる排水口カバーは、外表面が槽体に流れ込んだ水を排水口方向に誘導する、少なくとも3つの案内壁が、前記基部の前記覆い体の排水口側の面である下側の面に近い領域ないしは離れた領域から、覆い体の周縁方向及び覆い体より離れる方向に向けて伸びるように、突設されている。
この発明の請求項17にかかる排水口カバーは、前記基部の内側面に形成されたアール状基部から前記覆い体の中心軸方向に向けて突き出すように設けられた内部案内部が、平面側表面に、内部案内壁を備える。
この発明の請求項18にかかる排水口カバーは、前記第1内部空間部の内部に形成された前記内部案内壁が、前記第1内部空間部と連設するように、前記第1内部空間部の下端部から下部に向けて連続した、前記下部基部の内部に形成された前記第2内部空間部から上昇した空気を相互に間隔を置いて前記上部空間部に排気する空間を形成する。
この発明の請求項19にかかる排水口カバーは、前記上部空間部は、円筒形状である。
この発明の請求項20にかかる排水口カバーは、前記第1内部空間部は、円筒形状であること。
この発明の請求項21にかかる排水口カバーは、前記第2内部空間部が、円筒形状である。
この発明の請求項22にかかる排水口カバーは、前記内部固定領域が、円筒形状である。
この発明の請求項23にかかる排水口カバーは、前記案内壁の正面形状が、略長方形状である。
この発明の請求項24にかかる排水口カバーは、更に、前記覆い体の排水口側の面である下側の面より下方において、異物除去部が設けられている。
この発明の請求項25にかかる排水口カバーは、前記覆い体が、開口部内に配置された前記排水口カバーを、上下動させる機能を有する駆動部材に取り付けられており、前記駆動部材は、円柱状で前記覆い体側から、排水管に向けて伸びる柱状部材で構成される円柱部と、前記円柱部の一端面の外周側から突出した状態で設けられた支持部とを備え、前記円柱部は、操作部材の変位に伴い往復移動する伝達部材と接続されており、前記操作部材の変位に伴って前記伝達部材が往復運動することにより、上下動し、前記操作部材の変位に伴い、前記伝達部材が復動し、前記支持部が下方に移動し、前記排水口カバーが下方に移動し、パッキン部の外周部分の全域が、排水管排水口部に接触することにより、前記排水管排水口部が、閉鎖される。
この発明の請求項26にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記排水口の中央において鉛直方向に立設され、前記器体の内面の側より流れ込んだ水が衝突することにより水を整流して、反対方向から流れ込む水による排水の妨げを防ぐ。
この発明の請求項27にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記覆い体に近い領域が反り返った形状で、鉛直方向における下方に徐々に細くなりながら伸びており、前記排水口の付近で毛髪等の異物は下方へと滑りやすくなっている。
この発明の請求項28にかかる排水口カバーは、前記基部が、前記覆い体の下面より、前記基部の直径の1.5倍以上3倍以下の長さ分下がった位置より、湾曲して上方に向けて延伸して、前記覆い体の下面に至り、前記覆い体の下面と接する面が、滑らか面となるように、膨出している。
この発明の請求項29にかかる排水口カバーは、前記基部は、上方へ延伸するのに伴い反り返った円錐台形状をしており、その立ち上がりの角度は、湾曲の開始とともに増加し、前記覆い体との接続部分において最大となる。
この発明の請求項30にかかる排水口カバーは、異物除去部は、貫通孔が複数穿設されている円筒状の除去部本体を備え、前記除去部本体は、前記覆い体の下面と案内壁の上端面である第1稜線領域との間に配設されており、前記異物除去部は、前記器体の内面から流れ込む排水に混じって流れてくる異物を捕集して、異物が前記排水口に流れ込むことを防ぐ。
この発明の請求項31にかかる排水口カバーは、少なくとも3つの前記案内壁が、略螺旋形状である。
この発明の請求項32にかかる排水口カバーは、少なくとも3つの前記案内壁が、平面視断面弧状ないしは円弧状である。
この発明の請求項33にかかる槽体システムは、前記請求項1ないし32に記載の排水口カバーが排水口に取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、狭小洗面器や種々の形状、サイズを有する槽体においても、排水の際、エア(空気)の滞留を防ぎ、水位上昇を抑制することができる、排水口栓及び排水口カバーを有する槽体システムを提供することができる。
【0008】
この発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態である洗面・手洗用設備の斜視図解図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態である排水口栓付き槽体の斜視図解図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態である排水口カバー付き槽体の一部を断面とした正面図解図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態である排水管ユニットの一部を断面とした正面図解図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの図解図であり、(A)は、正面図解図であり、(B)は、側面図解図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの底面図解図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図であり、(A)は、斜め下から見た図であり、(B)は、基部、下部基部及び案内壁を斜め上から見た図である。
【
図10A】本発明の第1の実施の形態である排水口カバーの断面図であり、(A)は、
図8のXA―XA断面図及びa部拡大図であり、(B)は、
図8のXB―XB断面図である。
【
図10B】洗面・手洗い用設備の水の流れを示す、一部を断面とした、正面図解図である。
【
図11】
図5図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図である。
【
図12】
図5図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図 解図であり、(A)は、排水口カバーが排水口を塞いでいない状態を示す図であり、(B)は、排水口カバーが排水口を塞いでいる状態を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの図解図であり、(A)は、正面図解図であり、(B)は、側面図解図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの底面図解図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図であり、(A)は、斜め下から見た図であり、(B)は、基部、下部基部及び案内壁を斜め上から見た図である。
【
図18】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの断面図であり、(A)は、
図16のXIIIA―XIIIA断面図及びa部拡大図であり、(B)は、
図16のXIIIB―XIIIB断面図である。
【
図19】本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図20】水の流れを示す、排水口カバーの斜視図解図である。
【
図21】水の流れを示す、排水口カバーの断面図解図である。
【
図22】水の流れを示す、排水口カバーの斜視図解図である。
【
図23】水の流れを示す、排水口カバーの底面図解図である。
【
図24】異物除去部を取り付けた本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの側面図解図である。
【
図25】異物除去部を取り付けた本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの側面断面図である。
【
図26】異物除去部を取り付けた本発明の第2の実施の形態である排水口カバーの組立図である。
【
図27】
図13図示排水口カバーを排水口に取り付けた状態を示す、断面図解図である。
【
図28】
図24図示排水口カバーを排水口に取り付けた状態を示す、断面図解図である。
【
図29】
図13図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図である。
【
図30】
図13図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図であり、(A)は、排水口カバーが排水口を塞いでいない状態を示す図であり、(B)は、排水口カバーが排水口を塞いでいる状態を示す図である。
【
図31】
図24図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図である。
【
図32】
図24図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図であり、(A)は、排水口カバーが排水口を塞いでいない状態を示す図であり、(B)は、排水口カバーが排水口を塞いでいる状態を示す図である。
【
図33】本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図34】本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
【
図35】本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの側面図解図であり、(A)は、側面図解図であり、(B)は、側面断面図である。
【
図36】本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの底面図解図である。
【
図37】本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの斜視図解図であり、(A)は、組立図であり、(B)は、側面図である。
【
図38】水の流れを示す、本発明の第3の実施の形態である排水口カバーの図解図であり、(A)は、側面図解図であり、(B)は、底面断面図である。
【
図39】
図33図示排水口カバーを排水口に取り付けた状態を示す、断面図解図である。
【
図40】
図33図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図である。
【
図41】
図33図示排水口カバーを排水口に取り付ける構造の変形例を示す、断面図解図であり、(A)は、排水口カバーが排水口を塞いでいない状態を示す図であり、(B)は、排水口カバーが排水口を塞いでいる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(定義)
排水口カバーを排水口に取り付けたときにおける覆い体側を上、上側といい、排水口側を下、下側という。また、鉛直方向における上を上、上側といい、下を下、下側という。
排水口カバーを排水口に取り付けたときにおける覆い体から伸びる垂線または鉛直方向に直行または交差する方向を外側、右または左側、径方向という。また、排水口カバーを排水口に取り付けたときにおける排水口の縁側を外側、右または左側、径方向という。
【0011】
以下、本発明に係る排水口カバー及び排水口カバー付き槽体を備える槽体システムについて、
図1~
図4を参照して説明する。
【0012】
本発明に係る排水口カバー及び排水口カバー付き槽体を備える槽体システムは、例えば住宅用、店舗用として設置される洗面、手洗い用の衛生設備である洗面手洗い用設備に好適に供される。
図1に示す洗面・手洗い用設備10は、特に店舗内の限られた狭小なスペースにおいて設置される、いわゆる省スペース化に好適に対応したものを一例として示している。
【0013】
本発明に係る槽体システムを備える洗面・手洗い用設備10は、この排水口カバー12付きの槽体14と、槽体14に上水を吐出する吐出装置18と、この吐出装置18から排水口カバー12の槽体14へ吐出された水である冷水や温水を槽体14から排出するための排水装置(排水管ユニット)16とを有する。
また、洗面・手洗い用設備10は、更に吐出装置18に上水を供給するための図示しない給水装置をさらに有する。
吐出装置18は、
図1に示されるように、洗面・手洗い用設備10の近傍に設置される。吐出装置18は、同図では基端から排水口カバー12近傍まで延出し上水を案内する吐出装置本体290と、この吐出装置本体290の先端に設けられ上水を吐出するための吐出口292と、この吐出口292から上水の供給の有無又は有無及び強度を操作するための操作部294とを有している。
【0014】
洗面・手洗い用設備10は、槽体14の下方において形成された排水開口を構成する排水口14cに排水口カバー12が配設されている。
排水口カバー12は、排水口14cに脱着自在又は挿脱自在に構成されている。排水口14cは、下水管に接続するための排水装置(排水管ユニット)16に接続している。
【0015】
本発明に係る排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、例えば、洗面器・手洗い器などを構成する槽体14の器体50の下方部に形成された排水開口を構成する排水口14c及び器体排水口部52に直接または間接的に取り付けられるものである。
この実施の形態においては、槽体14を構成する器体50は、円形ないし方形の上開口部14aと、上開口部14aとは反対側に形成された下開口部14bとを備えており、下開口部14bに、平面視円形状の排水口14cを備えた排水管本体60が取り付けられ、排水口14cが形成されている。
さらに具体的に述べると、器体50は、水を受ける内面54の槽体14の側の底面56に形成された器体排水口部52が、排水装置16を構成する排水管本体60を嵌め込むことができるように排水管本体60の外形に対応した構造を備えている。
【0016】
本発明にかかる排水口カバー12は、排水口14cを平面視遮蔽することができる覆い体20と、覆い体20の排水口側である下側の面より垂下しており、外表面が槽体14に流れ込んだ水を排水口14c方向に誘導する基部28と、基部28の下端部から下方に向けて基部28と連設するように形成されており、外表面が基部28の外表面から流れ込んだ水を排水口14cに流入させる下部基部29とを備えている。
前記基部28および下部基部29は、空洞部を備えており、覆い体20の下側の面と基部28との間には、上部空間部38が形成されており、上部空間部38と基部28および下部基部29の内部の空洞部は連通されている。
【0017】
本発明にかかる排水口カバー12は、覆い体20と基部28とが、案内上部34a、および/または、内部案内部33を介して連結されている。
【0018】
本発明にかかる排水口カバー12は、基部28の空洞部が、排気孔である第1内部空間部49aで構成されている。
本発明にかかる排水口カバー12は、下部基部29の空洞部が、排気孔である第2内部空間部49bで構成されている。
【0019】
本発明に係る排水口カバー12は、排水口カバー本体を構成する覆い体20と該覆い体20に取り付けられる基部28との間に、上部空間部38を形成するために、案内上部34aが介在している。この実施の形態においては、案内上部34aは、覆い体20の中心から見て放射状に三つ以上形成され、案内上部34aの間に上部空間部38が形成されている。
【0020】
前記基部28は、その上端部が、下部基部29の下側の面と向き合うように、覆い体20の中心軸側に配設されている。
前記基部28は、後述する内部案内部33により、覆い体20に取り付けられている。
この実施の形態においては、基部28は、外側面に案内壁22が配設されており、前記案内壁22の上部が案内上部34aを構成しており、覆い体20の下側面と案内上部34aの上側面とが接合している。
【0021】
基部28は、内表面に、覆い体20の周縁方向に湾曲する弧状ないしは円弧状に形成されているアール状内部28Aを備える。
基部28は、アール状内部28Aから覆い体20の中心軸方向に向けて、排気孔である第1内部空間部49aが形成される。
【0022】
基部28は、その上部に、覆い体20の周縁方向に湾曲する弧状ないしは円弧状に形成されているアール部28aを備える。
基部28のアール部28aは、前記覆い体20の下方において、基部28に向けて、覆い体20のテーパー状部分の下側面に沿って流れ込んだ水を、下方の排水口14cに案内するためのアール面を有する。
【0023】
下部基部29は、基部28と連設するように、基部28の下端部から下方に向けて形成されている。
下部基部29は、内表面に、円環形状に形成された柱状内部29Aが形成されている。
下部基部29の内部には、柱状内部29Aから覆い体20の中心軸方向に向けて、排気孔である第2内部空間部49bが形成される。
【0024】
基部28の内部に形成された第1内部空間部49aと下部基部29の内部に形成された第2内部空間部49bは連通しており、基部28の内部に形成された第1内部空間部49aと下部基部29の内部に形成された第2内部空間部49bは、1つになって内部空間部49を形成する。
【0025】
内部案内部33は、基部28の内側面に形成されたアール状内部28Aから覆い体20の中心軸方向に向けて突き出すように設けられている。
内部案内部33は、第1内部空間部49aを区画するようにアール状内部28Aから中心に向けて突き出し設けられた、内部案内壁23を備える。
内部案内壁23は、基部28の内部に形成された第1内部空間部49aの内部に形成され、基部28の内部に形成された第1内部空間部49aよりも下部に位置する、下部基部29の内部に形成された第2内部空間部49bから上昇した空気を相互に間隔を置いて上部空間部38に排気する空間を形成する。
【0026】
排水口カバー12の覆い体20は、排水栓または排水皿と呼ばれ、またブラインドプレートとも言われている平面視円形の皿状のプレート部20aを備え、該プレート部20aが排水口14cを上から見えないように、排水口14cを覆うとともに、排水口14cの周辺の槽体14の内面54を覆うように構成されている。
【0027】
覆い体20の排水口14c側の面である下側面が、外側・排水口14c縁側から中心すなわち内側に向かうにしたがって下側である排水口14c側に向けて覆い体20の上部・天側から離れる方向で排水口14cに向かう下側方向に傾斜している。
【0028】
前記覆い体20は、その下側の面が、エアの滞留を防ぐために逆錐形状に形成された、テーパー面を有するテーパー部20cを備える。
【0029】
覆い体20の排水口14c側の面である下側面が、覆い体20の外側周縁すなわち排水口14cの縁側周縁より覆い体20の中心軸側に向けて排水口14c側である下側に向けて傾斜する平面状に形成されている。
【0030】
案内壁22は、排水口14cの外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面24及び水を前記覆い体20の中心へ案内することにより異なる方向から流れ込む水を互いに衝突させて水の下方への落下を促す案内面26を有する。
【0031】
この発明にかかる排水口カバー12は、案内壁22により、排水口14cに直接的に支持されるように構成される。
【0032】
案内壁22の案内上部34aは、それぞれ上端部が覆い体20の下側の面と接触することによって、案内上部34a及び案内壁22は、覆い体20の下側の面から垂下するように形成される。
また、内部案内部33は、内部案内部33の上端部の上方に上部空間部38を形成するように、覆い体20の下側の面に取り付けられる連結部たる内部固定領域44Aを形成し、且つ内部案内部33が取り付けられる覆い体20の下側の面に突起部20bを形成することによって、覆い体20の下側の面から垂下するように突起部20bと内部固定領域44Aが連結されて、覆い体20と内部案内部33との間に上部空間部38が形成されるように形成される。
【0033】
覆い体20の下側の面と接触する、案内上部34aの上端部の正面形状は、覆い体20の下側の面の覆い体20の中心軸から周縁方向に湾曲する弧状ないしは円弧状に形成されている。
【0034】
基部28は、案内上部34aの下端部と連設するように、案内上部34aの下端部から下方に向けて形成されている。
【0035】
案内上部34a及び基部28のアール部28aが、覆い体20の下側の面から垂下するように形成されると、基部28と連設するように、基部28の下端部から下方に向けて形成された下部基部29は、案内上部34aを介在して、覆い体20に取り付けられる。
ただし、内部案内部33の上端部から上方に突き出すように、覆い体20の下側の面に固定する内部案内部33及び覆い体20の突起部20bを形成すれば、上部空間部38を形成して、覆い体20に取り付けることができる。
【0036】
基部28及び下部基部29は、案内上部34aを介在して、覆い体20に取り付けられると、覆い体20の下側の面と基部28のアール部28aは向かい合うように配置される。
【0037】
基部28及び下部基部29は、案内上部34a及び/又は突起部20bを介在して、覆い体20に取り付けられると、覆い体20と基部28の上端部との間には排気孔である上部空間部38が形成される。
上部空間部38は、基部28の内部に形成された排気孔である第1内部空間部49aと下部基部29の内部に形成された排気孔である第2内部空間部49bが1つになって形成された内部空間部49と連続している。
【0038】
槽体システムを構成する排水装置(排水管ユニット)16において、排水口14cより下流側の構成は、
図3及び4に示すように、概略以下の通りである。
排水管本体60は、その上端にフランジ60aを備え、その内部に排水開口を構成する排水口14cが形成され、排水口カバー12を嵌める空間が形成されている。
排水口14cは、槽体14の器体排水口部52をフランジ60aで閉塞して円管部が下方に延出するように設けられた排水管本体60の排水管排水口部60cの上部であって、テーパー部分を除いた開口として形成されている。
【0039】
槽体14の直下には排水管本体60が設けられる。排水管本体60は滑りパッキン64、三角パッキン66及びスポンジパッキン68を介して防水性を保持した状態でロックナット62の締結により槽体14に固定される。排水管本体60の下流には排水管70が設けられる。排水管70は、パッキン74を介して防水性を保持した状態で固定ナット72の締結により排水管本体60に固定される。なお、排水管本体60の周面には雄ねじ60bが形成されており、ロックナット62及び固定ナット72が排水管本体60に螺合されるように構成している。
【0040】
更に、槽体システムを構成する排水装置(排水管ユニット)16は、排水管70の下流に設けられたSトラップ78を有する。Sトラップ78は、固定ナット76の締結により排水管70に連結されている。Sトラップ78は、パッキン75を介して外形U字型の二つの配管を固定ナット73により接合した構成を有する。Sトラップ78は、下に凸に湾曲した部分に排水管70からの排水を封水として滞留させることにより、Sトラップ78の更に下流の配管からの臭気やガスが排水管70まで上がってくることを防いでいる。
【0041】
なお、槽体14は上方に水抜きのためのオーバーフロー穴58が設けられている。
【0042】
(第1の実施の形態)
次に、本発明にかかる第1の実施の形態である排水口カバー12について、主として、
図3ないし
図12に基づいて説明する。
【0043】
(栓全体)
覆い体20は、ブラインドプレートとも言われている平面視円形の皿状のものであり、プレート部20aは、排水口14c上から見えないように、排水口14cを覆うともに、排水口14cの周辺の槽体14の内面54を覆うように構成されており、排水口カバー12を排水口14cに取付けたとき、排水口14cより浮いた状態で固定される。
【0044】
(基部)
基部28は、略逆円錐台形状であり、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がるアール状に形成された内側面であるアール状内部28Aと、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がる、弧状ないしは円弧状の外表面であるアール面が形成されているアール部28aとを備えている。
【0045】
基部28は、アール状内部28Aから覆い体20の中心軸側に向けて、内部空間部49(第1内部空間部49a)が形成されている。
【0046】
(下部基部)
下部基部29は、前記基部28の下端部から下方に向けて前記基部28と連設するように形成されている。
下部基部29は、柱状内部29Aの表面から覆い体20の中心軸側に向けて、内部空間部49(第2内部空間部49b)が形成されている。
基部28の第1内部空間部49aと下部基部29の第2内部空間部49bとは、連続しており、1つになって内部空間部49を形成する。
【0047】
(内部案内部)
内部案内部33は、前記基部28の内部のアール状内部28Aから覆い体20の中心軸側に向けて突き出すように形成されている。
内部案内部33は、内部空間部49(第1内部空間部49a)を区画するように形成された内部案内壁23及び覆い体20に取り付けるための内部固定領域44Aが形成されている。
下部基部29は、その内部に形成された円環形状の柱状内部29Aが、基部28の内部に形成されたアール状内部28Aと連続するように、基部28の下端部から下方向に形成されている。
【0048】
内部案内壁23は、複数の内部案内壁23が間隔をおいて配設されており、それらの間には、覆い体20の下方で下部基部29の内部に形成された円環形状の柱状内部29Aの内部空間部49(第2内部空間部49b)につながる内部空間部49(第1内部空間部49a)が形成されている。
【0049】
内部案内壁23は、覆い体20の下部に形成された上部空間部38より下方に伸びる板状体である。
この実施の形態においては、内部案内壁23は、平面側表面が略長方形状であり、正面視略三角形状である板状体である。
内部案内壁23は、基部28のアール状内部28Aに沿うように、アール状内部28Aと接合する境界領域が、正面側表面が弧状ないしは円弧状に形成されている。
【0050】
内部案内壁23は、覆い体20の下部に形成された上部空間部38の側から下方に向けて覆い体20の周方向及び下方側に向けてのびる板状体であり、基部28の内表面に形成されたアール状内部28Aと接する境界線の正面側表面の形状は、テーパー状である。
内部案内壁23は、アール状内部28Aの内部に形成され、排気孔である第1内部空間部49aの内部を区画するように、第1内部空間部49aの上部から下部に向けて形成され、下部基部29の内部に形成された排気孔である第2内部空間部49bから上昇した空気を上部空間部38に排気する空間を形成する。
【0051】
(覆い体)
覆い体20は、排水口を平面視遮蔽することができるように形成された平面視円形の皿状のプレート部20aを備える。
【0052】
覆い体20は、その排水口側の面、即ち、下側の面が、外側である排水口縁側から中心側すなわち内側に向かうにしたがって下側すなわち排水口側に向けて本体の上部すなわち天側から離れるように傾斜している。すなわち、覆い体20の下側面は、下側に向かうに従って細くなる、逆錐形状のテーパー面を有するテーパー部20cが形成されている。
【0053】
前記覆い体20の下側の面に形成されたテーパー部20cのテーパー面は、基部28の内部に形成されたアール状内部28Aとは、向かい合うように構成されている。
【0054】
覆い体20の排水口側の面である下側の面は、覆い体20の外側縁である排水口縁側周縁より柱本体の中心軸側に向けて排水口側である下側に向けて傾斜するテーパー部20cが、全体的に滑らかな面状に形成されている。
【0055】
この第1の実施の形態である排水口カバー12は、覆い体20と排水口14cの口縁との間に空間がある浮いた状態で取付けられるものであり、排水口カバー12を通じて、排水しうる排水姿勢で排水口14cに固定される。
【0056】
覆い体20の下面には、基部28の内部に設けられた内部案内部33の内部固定領域44Aの内部に設けられた貫通孔である取付け孔44bから突き出した柱状部材44aを嵌合して、案内上部34a、基部28および下部基部29を固定するための連結部たる突起部20bが設けられている。
【0057】
(案内壁)
案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するとともに、基部28と一体的に形成されている。
覆い体20の排水口側の面である下側の面より、排水口側すなわち下の方向に向けて伸びる案内壁22は、覆い体20の排水口側の面である下側の面とがつながる境界部分が、弧状ないしは円弧状に形成された案内上部34aが形成されている。
覆い体20の排水口側の面すなわち下側の面から下方に向けて突き出し設けられた案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面に接して又は近傍から、案内壁22が覆い体20の周縁方向及び覆い体20より離れる方向に向けて伸びるように、突設されている。
【0058】
案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成され、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
【0059】
案内壁22は、覆い体20の下面より下方に伸びる板状体である。
この実施の形態においては、平面側表面が略長方形状の正面視略五角形の板状体である。
案内壁22は、覆い体20のテーパー部20cに沿うように、基部28側より外方に向かうにしたがって、徐々に上昇する上端部を備えている。
【0060】
案内壁22は、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向にのびる一定の高さを備えており、覆い体20より下方向にのびる、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1領域30と、槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2領域32とを備える。
【0061】
案内壁22は、覆い体20より一定の高さで下方に伸びる第1稜線領域40と、下端に近い領域で覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる第2稜線領域42と備えている。
第1稜線領域40及び第2稜線領域42は、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面である。
【0062】
案内壁22は、覆い体20側から下方に向けて覆い体20の周方向及び下方側に向けてのびる板状体であり、その両面に平面状の案内面26(第1案内面26a及び第2案内面26b)を備えており、その案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる面である第1案内面26aと第2案内面26bとは、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されており、案内壁22は、横断面テーパー状であり、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内して旋回流を発生するように構成されている。
【0063】
案内壁22の外側面は、その左右面に形成された第1案内面26aと第2案内面26bとの間に形成された平らな面状の分散面24を備えている。
分散面24は、前記第1稜線領域40に対応した、覆い体20側から下方に伸びる平らな面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が、衝突するように構成されている。
【0064】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線と平行な鉛直方向に伸びる基部28から、外側方向に伸びるように形成された板状体である。
【0065】
前記案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて水が流れ込む。そして、その流れ込んだ水が前記基部28に衝突し、その衝突した水が、基部28の表面に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちるように、案内壁22及び基部28によって水を導いて旋回流を発生させるように構成されている。
前記案内壁22及び基部28は、隣接する案内壁22と案内壁22との間の第1空間部48aに、水が外方から流れ込み、その水が基部28に衝突し、衝突した水が基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、水を導くように構成されている。
【0066】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の、10以上45%以下に設定されている。
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の70%以上100%以下に設定されている。
【0067】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0068】
案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成されており、この空間部48で水が旋回流となり、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されており、水が滞留することなく流れ落ちる。
【0069】
案内壁22の第1稜線領域40は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0070】
この実施の形態においては、案内壁22の第2領域32に形成された固定領域44は、適宜な間隔をあけて、複数の案内壁22の固定領域44が円状につらなって連設され、且つ複数の案内壁22の間及びその下方に、排水口14cに連通する排水開口となる開口部を構成する第2空間部48bが形成されている。
【0071】
案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに、嵌め合う構造を備えている。
そして、環状につらなる案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、環状につらなる案内壁22の固定領域44の上端がフランジ60aの上端部分に位置し、且つその位置よりも、排水管70の方に下がらないように、構成されている。
【0072】
(覆い体と基部及び下部基部との連結構造)
案内上部34a及び案内壁22は、前記覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するように形成されている。
また、内部案内部33は、内部案内部33の上端部の上方に上部空間部38を構成するように、覆い体20の下側の面に取り付けられる連結部たる内部固定領域44Aが形成され、且つそれが取り付けられる覆い体20の連結部たる突起部20bを構成することによって、覆い体20の下側の面から連結部たる突起部20bが垂下するように形成される。
案内上部34aは、前記覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するように形成されているとともに、基部28に形成されたアール部28aから上方に向けて伸びて、覆い体20のプレート部20aと連設するように形成されている。
【0073】
基部28と連設するように基部28の下端部から下方に向けて形成された下部基部29は、前記覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するように形成された案内上部34a及び基部28と連設するように形成されている。
【0074】
基部28は、覆い体20の排水口側である下側の面と案内上部34a及び連結部たる突起部20bを介在して、覆い体20の排水口側である下側の面に取り付けられると、覆い体20の排水口側である下側の面と覆い体20と向かい合う基部28の内部に形成されたアール状内部28Aとの間には、排気孔である上部空間部38が形成される。
【0075】
案内上部34a及び連結部たる突起部20bが、覆い体20の下側の面から垂下するように形成されると、基部28と連設するように基部28の下端部から下方に向けて形成された下部基部29は、案内上部34a及び連結部たる突起部20bを介在して、覆い体20に取り付けられる。
ただし、内部案内部33の上端部から上方に突き出すように、覆い体20の下側の面に連結される連結部たる内部案内部33及び突起部20bを形成すれば、基部28及び下部基部29は、案内上部34aを介在させなくても、上部空間部38を形成して、覆い体20に取り付けることができる。
【0076】
基部28及び下部基部29は、案内上部34a及び連結部たる突起部20bを介在して、覆い体20に取り付けられると、覆い体20の下側の面と基部28のアール部28aは向かい合うように配置される。
【0077】
基部28及び下部基部29は、案内上部34a及び連結部たる突起部20bを介在して、覆い体20に取り付けられると、覆い体20と基部28の上端部との間には排気孔である上部空間部38が形成される。
上部空間部38は、基部28の内部に形成された排気孔である第1内部空間部49aと下部基部29の内部に形成された排気孔である第2内部空間部49bが1つになって形成された内部空間部49と連続している。
【0078】
(覆い体及び基部の構成)
覆い体20は、その排水口側の面、即ち、下側の面の傾斜角度(勾配)は、
図10において示すように、下側の面の最も低い部分に接する水平面に対し、1度以上5度以下である。
即ち、基準となる水平面上の水平線Xと、覆い体20の下側面上の直線Yとのなす角度αは、鋭角であり、1度以上5度以下である。
傾斜角度が、1度以上5度以下であると、排水能力が、最適になる。
傾斜角度が、大き過ぎると、開口面積が減り、排水能力が、落ちる。
【0079】
覆い体20の下側面と槽体14の排水口との間の空間(A)である面積S1と、排水管本体60の内部における排水口の開口面積(B)である面積S2との関係は、
S1≧S2を満たす。
【0080】
このため、覆い体20の下側面と槽体14の排水口14cとの間の高さhと、排水口14cの半径r1と、内部空間部49の半径r2との関係は、
h≧1/2(r1―r22/r1)
を満たすと、排水能力が十分になり、好ましい。
h<1/2(r1―r22/r1)の場合、覆い体20の下側面と槽体14の排水口との間の空間(A)の方が排水口の開口面積(B)より小さくなり、前記(A)における排水が絞られるので、排水能力を十分に発揮しない。
【0081】
覆い体20の下側面と槽体14の排水口14cとの間の高さhは、
図10Bにおいて示すように、排水口14cの直径D1の25%以上65%以下の高さに、形成されており、排水能力は、最適となっている。
その高さ(h)が、低いと排水能力が減り、高いと外観(見た目)が悪くなる。
【0082】
この実施の形態においては、覆い体20の排水口側より、排水口側・下の方向に向けて伸びる基部28は、
図10において示すように、覆い体20の排水口側の面とがつながる境界部分の弧状・円弧状の、アール部(R)28の半径は、10mm以上15mm以下であり、比較的緩やかな円弧面である。この範囲内であると、排水能力が最適となる。この半径が大き過ぎると、開口面積が減り、排水能力が落ちる。
【0083】
排水口14cの半径r1と、内部空間部49の半径r2(D2/2)の関係は、
0.45≦r2/r1≦0.55である。
r2/r1<0.45の場合、排水管本体60と、基部28および下部基部29との間の空間の断面積が小さくなるので、排水に含まれたエア(空気)の排気能力が落ちる。
0.55<r2/r1の場合、排水管本体60と、基部28および下部基部29との間の空間の断面積に比べて、内部空間部49の面積が小さくなるので、排水に含まれたエア(空気)の排気能力が落ちる。
【0084】
内部空間部49の長さLは10mm以上30mm以下である。
【0085】
(水流について)
第1の実施の形態の排水口カバー12においては、
図10Aに示すように、案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、案内面26に沿って、そして覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて水が流れ込む。
そして、その流れ込んだ水が基部28に衝突し、その衝突した水は、基部28の表面に沿って、案内壁22が整流して流れ落ちる。
そして、水は、案内壁22、基部28、及び下部基部29に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちる。
覆い体20の下方で案内壁22の間における空間部48(第1空間部48a)に、その空間部48(第1空間部48a)に繋がる器体50の内面54から流れ込んだ水が、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。このとき、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0086】
(空気流について)
第1の実施の形態の排水口カバー12においては、
図10Bに示すように、案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、排水口14cの下部向けて排水されると、排水に含まれた空気は、排水口14cよりも下部に形成された下部基部29の下端に形成された開口部から、下部基部29の内部に覆い体20の中心軸側に向けて形成された内部空間部49(第2内部空間部49b)に流入する。
そして、排水に含まれていた空気が、下部基部29の内部空間部49(第2内部空間部49b)に流入すると、その空気は上昇して基部28の内部空間部49(第1内部空間部49a)に流入するので、その空気はアール状内部28Aの及び内部案内壁23の表面に沿って上昇して上部空間部38に流入し、上部空間部38に流入した空気は、上部空間部38から外方に排出、または、上部空間部38を通過して覆い体20に衝突して、覆い体20の表面に沿って外方に排出される。
排水に含まれていた空気が、下部基部29の内部空間部49(第2内部空間部49b)に流入して、基部28の内部空間部49(第1内部空間部49a)と下部基部29の内部空間部49(第2内部空間部49b)とが連設することによって形成された内部空間部49を上昇して、上部空間部38から外方に排出、または、上部空間部38を通過して覆い体20に衝突して、覆い体20の表面に沿って外方に排出されると、排水口14cに流入する排水がエアを含んだ泡沫吐水の場合であっても、エア(空気)の巻込みによる排水性能の阻害によって生じる水位の上昇を抑えて、スムーズな排水が可能になる。
【0087】
(変形例)
次に、本発明にかかる第1の実施の形態である排水口カバー12を排水装置16に取り付ける構造の変形例について、主として
図11及び
図12に基づいて説明する。
【0088】
この第1の実施の形態である
図11図示排水口カバー12の変形例は、前記
図3図示排水口カバー12が、覆い体20と排水口14cとの間に空間部48が存在し、その空間部48を通して、排水しうる排水姿勢で固定されるのに対し、排水開口を構成する空間部48を通じて排水しうる排水姿勢と、排水開口を構成する空間部48を通じての排水を禁止する栓姿勢との間で動作可能に構成されており、排水口14cに挿脱自在に形成されているという相違がある。
上端部に柱状部材44aが形成された円柱部82が、支持部84の上端部に形成される。
支持部84の上端部に形成された円柱部82を内部固定領域44Aの内部に形成された取付け孔44bに嵌入して、円柱部82の上端部に形成された柱状部材44aを覆い体の下側の面から覆い体20の内部に向けて形成された突起部20bと螺合させると、支持部84は排水口カバー12に取り付けられる。
支持部84は、基部28及び下部基部29の内部空間部49(第1内部空間部49a及び第2内部空間部49b)に空気が上昇する空間が形成されるように配設されている。
【0089】
内部空間部49の直径D3と支持部84の直径D4との関係は、
0.45≦D4/D3≦0.55
を満たすことが好ましい。
D4/D3<0.45の場合、支持部84の排水口カバー12を支持する能力が低下し、0.55<D4/D3の場合、内部空間部49の断面積が小さくなるので、内部空間部49から排気されるエア(空気)の排気能力が落ちる。
【0090】
変形例の排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、覆い体20が、排水口カバー12を、上下動させる機能を有する駆動部材80に取り付けられる。駆動部材80は、円柱状で覆い体20側から、排水管70に向けて伸びる柱状部材44aで構成される円柱部82と、円柱部82の一端面の外周側から突出した状態で設けられた支持部84とを備えている。
【0091】
円柱部82は、操作部材86の変位に伴い往復移動する伝達部材88と接続されている。
円柱部82は、操作部材86の変位に伴って伝達部材88が往復運動することにより、上下動する。
排水口カバー12は、排水口14cの開閉を行うためのユニットであり、排水管排水口部60cの上方から、排水管排水口部60cの中に設置可能とされると共に、排水管排水口部60cから取り外し可能に形成されている。
この実施の形態においては、排水管排水口部60cの上方から、排水口カバー12を嵌入させることにより、排水管排水口部60cに、排水口カバー12を配置させることができ、又、排水管排水口部60cの上方に向けて、排水口カバー12を引き上げることで、排水管本体60から、排水口カバー12を取り外すことができる。
【0092】
排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、金属、または樹脂などからなる円盤状のブラインドプレートを構成するプレート部20aと、排水口カバー12を構成する覆い体20の下部に取り付けられたパッキンとを備えている。
パッキンは、弾性変形可能な材料、例えばゴムや樹脂などによって環状に形成されており、覆い体20の下部の突起部20bの外周側に取り付けられている。
【0093】
そして、前記操作部材86の変位に伴い、伝達部材88が往動し、支持部84が、上に動き、排水口カバー12が上動して、パッキンが、排水管排水口部60cより離間することで、排水口カバー12は、排水管排水口部60cから解放される。
一方、前記操作部材86の変位に伴い、伝達部材88が復動し、支持部84が下方に移動し、排水口カバー12が下方に移動し、パッキンの4枚の外周部分の全域が、排水管排水口部60cに接触することにより、排水管排水口部60cが、閉鎖される。
【0094】
この第1の実施の形態における排水口カバーの変形例である排水口カバー12は、排水口へ流れ込もうとする異物を除去するためのフィルター状態をなす異物除去部200が、排水装置16の駆動部材80の支持部84に設けられている。
【0095】
前記異物除去部200は、上方から流れ込む異物を除去するように、上側、すなわち排水口カバー12側を向いた領域を備える。
【0096】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる第2の実施の形態の排水口カバーについて、
図13ないし
図32に基づいて説明する。第2の実施の形態の排水口カバー12は、第1の実施の形態の排水口カバー12の案内壁22を変形させた変形例である。
なお、第2の実施の形態の説明において、
図1ないし
図12図示の第1の実施の形態である排水口カバーと共通の構成要件・要素については、同じ符号を付して、共通の構成要件・要素についての説明を省略することとする。
以下、第2の実施の形態である排水口カバーの特徴がある構成要件・要素を中心に説明する。
【0097】
(案内壁)
案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するとともに、基部28、及び下部基部29と一体的に形成されている。
覆い体20の排水口側の面である下側の面より、排水口側すなわち下の方向に向けて伸びる案内壁22は、覆い体20の排水口側の面である下側の面とがつながる境界部分が、弧状ないしは円弧状に形成された案内上部34aが形成されている。
覆い体20の排水口側の面すなわち下側の面から下方に向けて突き出し設けられた案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面に接して又は近傍から、案内壁22が覆い体20の周縁方向及び覆い体20より離れる方向に向けて伸びるように、突設されている。
【0098】
覆い体20の下面には、内部案内部33に設けられた取付け孔44bに嵌合して、内部案内部33、及び案内壁22を固定するための固定部たる突起部20bが設けられている。
【0099】
基部28は、略逆円錐台形状であり、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がるアール状に形成された内側面であるアール状内部28Aと、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がる、弧状ないしは円弧状の外表面であるアール面が形成されているアール部28aとを備えている。
【0100】
前記基部28は、案内壁22に取り付けられ、覆い体20とは別部材として構成された案内部34の一部を構成している。前記基部28は、案内部34が覆い体20に取り付けられたとき、覆い体20の中心に配設され、案内壁22の内側すなわち覆い体20の中心側に配設される。
【0101】
案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成され、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
案内壁22は、器体50の内面54から案内壁22により区切られた空間部48(第1空間部48a)に水が流れ込むことにより、反対側の案内壁22により区切られた空間部48(第1空間部48a)に気泡の逃げ場を作ることができる。
【0102】
案内壁22は、覆い体20の下面より離れた位置より下方に伸びる板状体である。
この実施の形態においては、正面視略倒L字形の板状体である。
案内壁22は、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向にのびる一定の高さを備えている。第1領域30は、覆い体20より下方向にのび、槽体14より排水口14cに流れる水を略垂直方向に流れ込ませることができる。第2領域32は、槽体14に取付けるために排水口14cに嵌め込まれるように構成されている。
【0103】
案内壁22は、基部28より外方にのびる断面方形の棒状体の第1領域30と、第1領域30の外側端から下方にのびる断面方形の棒状体の第2領域32とを備える。
【0104】
案内壁22は、基部28より徐々に低くなるように下方に伸びる第1稜線領域40と、下端に近い領域で覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる第2稜線領域42と備えている。
第1稜線領域40は、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面であり、第2稜線領域42は、第1稜線領域40の外側縁に形成された案内壁22の外側面である。
【0105】
案内壁22は、覆い体20側から下方に向けて覆い体20の周方向一方側に向けて徐々に低くなるようにのびる板状体であり、その両面に案内面26(第1案内面26a及び第2案内面26b)を備えており、その案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる面である第1案内面26aと第2案内面26bとは、覆い体20の周方向に拡がるように構成されている。
【0106】
案内壁22の外側面は、第1領域30の左右面に形成された第1案内面26aと第2案内面26bとの間に形成された平らな面状の分散面24を備えている。
分散面24は、前記第1稜線領域40に対応した、基部28側から下方に伸びる平らな面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が、衝突して左右両方に分散されて流れ落ちるように構成されている。
【0107】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線と平行な鉛直方向に伸びる基部28から、外側方向に伸びるように形成された板状体であり、覆い体20の中心側から外側に向けて伸びており、下部基部29に取り付けられている。
【0108】
前記案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて水が流れ込む。そして、その流れ込んだ水が前記基部28に衝突し、その衝突した水が、基部28の表面に沿って第1空間部48aから第2空間部48bを経て排水口14cに流れ落ちるように、案内壁22及び基部28によって水を導くように構成されている。
前記案内壁22及び基部28は、隣接する案内壁22と案内壁22との間の第1空間部48aに、水が外方から流れ込み、その水が基部28に衝突し、衝突した水が基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、水を導くように構成されている。
【0109】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の、10以上45%以下に設定されている。
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の25%以上60%以下に設定されている。
【0110】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が上側に向くように構成されている。
【0111】
覆い体20と案内壁22との間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成されており、この空間部48で水が旋回流となり、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されており、水が滞留することなく流れ落ちる。
【0112】
案内壁22の第1領域30の第1稜線領域40は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0113】
この実施の形態においては、案内壁22の第2領域32の下端近傍に形成された固定領域44は、適宜な間隔をあけて、複数の案内壁22の固定領域44が円状につらなって連設され、且つ複数の案内壁22の間及びその下方に、排水口14cに連通する排水開口となる開口部(第2空間部48b)が形成されている。
【0114】
環状につらなる案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに、嵌め合う構造を備えている。
そして、環状につらなる案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、環状につらなる案内壁22の固定領域44の上端がフランジ60aの上端部分に位置し、且つその位置よりも、排水管70の方に下がらないように、構成されている。
【0115】
(排水について)
この第2の実施の形態によれば、
図20~
図23に示すように、槽体14の器体50の内面54から流れ込んだ排水は、覆い体20のテーパー部20cに沿って、案内壁22の間の第1空間部48aに流れ込み、その一部が基部28に衝突し、且つその一部が案内壁22の間の第2空間部48bに流れ込む。
基部28に衝突した水は、基部28に沿って、第2空間部48bに流れ落ちる。
【0116】
この実施の形態によれば、案内壁22が、排水口14cに入る渦流れを阻害し、エアの巻き込みを防ぐ。そして、基部28があるので、反対方向の水との衝突を防ぎ、エアの巻き込みを防ぐ。
基部28の近傍の区画は、排水が流入するとき、エアの排出口となり、エアの滞留を防ぐ。
【0117】
なお、
図24ないし
図26に示すように、この第2の実施の形態における排水口カバー12に取り付けられる異物除去部200はヘアキャッチャーなどと称されるものであり、平面視略円形状の除去部本体200aに貫通孔が複数穿設されてなる。
異物除去部200は、器体50の内面54から流れ込む排水に混じって流れてくるヘア等の異物を捕集して、異物が排水口14cに流れ込むことを防ぐものである。
【0118】
次に、本発明にかかる第2の実施の形態である排水口カバー12を排水装置16に取り付ける構造の変形例について、主として、
図29ないし
図32に基づいて説明する。
【0119】
この第2の実施の形態である排水口カバー12の変形例は、前記
図13ないし
図23図示ならびに
図24ないし
図26図示排水口カバー12が、覆い体20と排水口14cとの間に空間部48が存在し、その空間部48を通して排水しうる排水姿勢で固定されるのに対し、排水開口を構成する空間部48を通じて排水しうる排水姿勢と、排水開口を構成する空間部48を通じての排水を禁止する栓姿勢との間で動作可能に構成されており、排水口14cに挿脱自在に形成されているという相違がある。
【0120】
変形例の排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、
図13ないし
図28図示第2の実施の形態とは異なり、
図29ないし
図32に示すように、案内壁22の外形が、排水口14cに嵌挿することができるように、第1の実施の形態の外形よりやや小さく形成されている。基部28は、内部固定領域44Aに柱状部材44aを取り付けるために、取付け孔44bが穿設されている。
そして、排水口カバー12の覆い体20は、器体排水口部52に配置された排水口カバー12を、上下動させる機能を有する駆動部材80に取り付けられる。駆動部材80は、円柱状で覆い体20側から、排水管70に向けて伸びる柱状部材44aで構成される円柱部82と、円柱部82の一端面の外周側から突出した状態で設けられた支持部84とを備えている。
【0121】
円柱部82は、操作部材86の変位に伴い往復移動する伝達部材88と接続されている。
円柱部82は、操作部材86の変位に伴って伝達部材88が往復運動することにより、上下動する。
排水口カバー12は、排水口14cの開閉を行うためのユニットであり、排水管排水口部60cの上方から、排水管排水口部60cの中に設置可能とされると共に、排水管排水口部60cから取り外し可能に形成されている。
この実施の形態においては、排水管排水口部60cの上方から、排水口カバー12を嵌入させることにより、排水管排水口部60cに、排水口カバー12を配置させることができ、又、排水管排水口部60cの上方に向けて、排水口カバー12を引き上げることで、排水管本体60から、排水口カバー12を取り外すことができる。
【0122】
排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、金属、または樹脂などからなる円盤状のブラインドプレートを構成するプレート部20aと、排水口カバー12を構成する覆い体20の下部に取り付けられたパッキンと備えている。
パッキンは、弾性変形可能な材料、例えばゴムや樹脂などによって環状に形成されており、覆い体20の下部の突起部20bの外周側に取り付けられている。
【0123】
そして、前記操作部材86の変位に伴い、伝達部材88が往動し、支持部84が、上に動き、排水口カバー12が上動して、パッキンが、排水管排水口部60cより離間することで、排水口カバー12は、排水管排水口部60cから解放される。
一方、前記操作部材86の変位に伴い、伝達部材88が復動し、支持部84が下方に移動し、排水口カバー12が下方に移動し、パッキンの外周部分の全域が、排水管排水口部60cに接触することにより、排水管排水口部60cが、閉鎖される。
【0124】
図29および
図30に示すように、この第2の実施の形態における排水口カバー12は、排水口14cへ流れ込もうとする異物を除去するためのフィルター状態をなす異物除去部200が設けられている。
【0125】
この実施の形態における異物除去部200は、ヘアキャッチャーなどと称されるものであり、円筒状の除去部本体200aに貫通孔200bが複数穿設されてなる。
除去部本体200aは、覆い体20の下面と案内壁22の上端面である第1稜線領域40との間に配設されている。
【0126】
また、
図31および
図32に示すように、この第2の実施の形態における排水口カバー12に取り付けられる異物除去部200はヘアキャッチャーなどと称されるものであり、平面視略円形状の除去部本体200aに貫通孔が複数穿設されてなる。
異物除去部200は、器体50の内面54から流れ込む排水に混じって流れてくるヘア等の異物を捕集して、異物が排水口14cに流れ込むことを防ぐものである。
【0127】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の排水口カバーについて、
図33ないし
図41を参照して説明する。第3の実施の形態の排水口カバー12は、第1の実施の形態の排水口カバー12の案内壁22を変形させた実施の形態である。
なお、第3の実施の形態の説明において、
図1ないし12図示の第1の実施の形態である排水口カバーと共通の構成要件・要素については、同じ符号を付して、共通の構成要件・要素についての説明を省略することとする。
以下、第3の実施の形態である排水口カバーの特徴がある構成要件・要素を中心に説明する。
【0128】
(案内壁)
案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面から垂下するとともに、基部28、及び下部基部29と一体的に形成されている。
覆い体20の排水口側の面である下側の面より、排水口側すなわち下の方向に向けて伸びる案内壁22は、覆い体20の排水口側の面である下側の面とがつながる境界部分が、弧状ないしは円弧状に形成された案内上部34aが形成されている。
覆い体20の排水口側の面すなわち下側の面から下方に向けて突き出し設けられた案内壁22は、覆い体20の排水口側である下側の面に接して又は近傍から、案内壁22が覆い体20の周縁方向及び覆い体20より離れる方向に向けて伸びるように、突設されている。
【0129】
覆い体20の下面には、内部案内部33に設けられた取付け孔44bに嵌合して、内部案内部33、及び案内壁22を固定するための固定部たる突起部20bが設けられている。
【0130】
基部28は、略逆円錐台形状であり、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がるアール状に形成された内側面であるアール状内部28Aと、ほぼ全体が上方に向けて覆い体20の下側の面における外側の方向に向けて拡がる、弧状ないしは円弧状の外表面であるアール面が形成されているアール部28aとを備えている。
【0131】
案内壁22は、覆い体20の下面より下方に伸びる板状体である。
この実施の形態においては、正面側形状が長方形状である波型形状の板状体である。
案内壁22は、覆い体20のテーパー部20cに沿うように、基部28側より外方に向かうにしたがって、徐々に上昇する上端部を備えている。
【0132】
案内壁22は、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向にのびる一定の高さを備えており、覆い体20より下方向にのびる、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1領域30と、槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2領域32とを備える。
【0133】
案内壁22は、覆い体20より一定の高さで下方に伸びる第1稜線領域40と、下端に近い領域で覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる第2稜線領域42と備えている。
第1稜線領域40及び第2稜線領域42は、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面である。
【0134】
案内壁22は、覆い体20側から下方に向けて覆い体20の周方向一方側に向けて徐々に変移するように反りかえった板状体であり、その両面に球面状の案内面26(第1案内面26a及び第2案内面26b)を備えており、その案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる面である第1案内面26aと第2案内面26bとは、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されており、案内壁22は、横断面テーパー状であり、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内して旋回流を発生させるように構成されている。
【0135】
案内壁22の第1領域30の外側面は、その左右面に形成された第1案内面26aと第2案内面26bとの間に形成された球面状の分散面24を備えている。
分散面24は、前記第1稜線領域40に対応した、覆い体20側から下方に伸びる球面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が、衝突するように構成されている。
【0136】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線と平行な鉛直方向に伸びる基部28から、外側方向に伸びるように形成された板状体であり、覆い体20の中心側から外側に向けて伸びており、覆い体20、基部28、および下部基部29に取り付けられている。
【0137】
覆い体20の排水口側の面すなわち下側の面より、排水口側すなわち下の方向に向けて上部空間部38を間に挟んで、覆い体20と向かい合うアール状内部28Aの境界部分は、弧状ないしは円弧状に形成されている。即ち、アール状内部28Aは、その覆い体20と上部空間部38を挟んで向かい合う上部において、徐々に外方に広がる円弧状の面である、アール部28aが形成されている。
【0138】
前記案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて水が流れ込む。そして、その流れ込んだ水が前記基部28に衝突し、その衝突した水が、基部28の表面に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちるように、案内壁22及び基部28によって水を導いて旋回流を発生させるように構成されている。
前記案内壁22及び基部28は、隣接する案内壁22と案内壁22との間の第1空間部48aに、水が外方から流れ込み、その水が基部28に衝突し、衝突した水が基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、水を導くように構成されている。
【0139】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の、10以上45%以下に設定されている。
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の70%以上100%以下に設定されている。
【0140】
案内壁22は、この実施の形態においては、前記第2稜線領域42の領域に形成された、排水口14cに嵌合するために形成された固定領域44を備えている。固定領域44は、下方に向かうにしたがって、内方に向けて傾斜している平面で構成されている。
【0141】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0142】
案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成されており、この空間部48で水が旋回流となり、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されており、水が滞留することなく流れ落ちる。
【0143】
案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成され、また、案内壁22の下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
【0144】
案内壁22の第1稜線領域40は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0145】
この実施の形態においては、案内壁22の第2領域32の下端近傍に形成された固定領域44は、適宜な間隔をあけて、複数の案内壁22の固定領域44が円状につらなって連設され、且つ複数の案内壁22の間及びその下方に、排水口14cに連通する排水開口となる開口部(第2空間部48b)が形成されている。
【0146】
環状につらなる案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに、嵌め合う構造を備えている。
そして、環状につらなる案内壁22の固定領域44の外形は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、環状につらなる案内壁22の固定領域44の上端がフランジ60aの上端部分に位置し、且つその位置よりも、排水管70の方に下がらないように、構成されている。
【0147】
(水流について)
第3の実施の形態の排水口カバー12においては、
図38に示すように、案内壁22の分散面24によって外方から流れ込んでくる水が分散されて、案内面26に沿って、そして覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて水が流れ込む。
そして、その流れ込んだ水が基部28に衝突し、その衝突下水が、基部28の表面に沿って、案内壁22の形状(弧状)により、整流し、旋回流を発生させる。
そして、案内壁22及び基部28に沿って整流され、第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちる。
覆い体20の下方で案内壁22の間における空間部48(第1空間部48a)に、その空間部48(第1空間部48a)に繋がる器体50の内面54から流れ込んだ水が、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。このとき、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0148】
(変形例)
次に、本発明にかかる第3の実施の形態である排水口カバー12を排水装置16に取り付ける構造の変形例について、主として、
図40および
図41に基づいて説明する。
【0149】
この本発明にかかる第3の実施の形態である排水口カバー12は、排水装置16に取り付け、排水開口を構成する空間部48を通じて排水し得る排水姿勢と、排水開口を構成する空間部48を通じての排水を禁止する栓姿勢との間で動作可能に構成することもできる。
この第3の実施の形態である排水口カバー12の変形例は、
図41に示すように、基部28に穴44cを穿ち設け、その穴44cに、駆動部材80の支持部84を固定するように構成されている。
【0150】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
例えば、排水口カバーは、排水口に直接固定するか、それとも排水装置の排水管本体に配設された駆動部材に固定する構造とすることができる。
また、覆い体及び案内壁は、プラスチックで成形してもよく、金属で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
この発明は、排水口栓及び排水口栓付き槽体を備える槽体システムを洗面用・手洗い用等に好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0152】
10 洗面・手洗い用設備
12 排水口カバー
20 覆い体
20a プレート部
20b 突起部
20c テーパー部
22 案内壁
24 分散面
26 案内面
26a 第1案内面
26b 第2案内面
28 基部
28a アール部
28A アール状内部
29 下部基部
29A 柱状内部
30 第1領域
32 第2領域
33 内部案内部
44A 内部固定領域
44a 柱状部材
44b 取付け孔
23 内部案内壁
34 案内部
34a 案内上部
38 上部空間部
40 第1稜線領域
42 第2稜線領域
44 固定領域
44c 穴
48 空間部
48a 第1空間部
48b 第2空間部
49 内部空間部
49a 第1内部空間部
49b 第2内部空間部
14 槽体
14a 上開口部
14b 下開口部
14c 排水口
50 器体
52 器体排水口部
54 内面
56 底面
58 オーバーフロー穴
16 排水装置(排水管ユニット)
60 排水管本体
60a フランジ
60b 雄ねじ
60c 排水管排水口部
62 ロックナット
64 滑りパッキン
66 三角パッキン
68 スポンジパッキン
70 配水管
72,73,76 固定ナット
74,75 パッキン
78 トラップ
80 駆動部材
82 円柱部
84 支持部
86 操作部材
88 伝達部材
18 吐出装置
200 異物除去部
200a 除去部本体
200b 貫通孔
290 吐出装置本体
292 吐出口
294 操作部