(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088056
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】取り出し治具
(51)【国際特許分類】
G01N 1/36 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
G01N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202685
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000146445
【氏名又は名称】株式会社常光
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 博
(72)【発明者】
【氏名】千葉 弘範
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052FA03
2G052JA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】包埋ブロックを容易に取り出すことができる取り出し治具を提供する。
【解決手段】カセットの側面に隣接する側面リブ及びカセットの下面が当接する平面を有するカセット受け部と、第1リブ(側面リブの2つの短辺のうちの1つ)に平面と略平行に延設された板状部と、を有するカセットホルダからカセットを取り出す取り出し治具である。略直方体形状の取り出し治具の第1面には、カセット受け部が挿入される挿入穴が設けられている。対向する2つの側面(第1側面及び第2側面)には、第2リブ又は第3リブ(側面リブのうちの2つの長辺)が挿入される側面溝が設けられている。第2リブ及び第3リブには、第1リブと平行な直線上に第1スリット及び第2スリットが配置されており、挿入穴にカセット受け部が挿入されて挿入穴の底面に第4リブ(側面リブの2つの短辺)が当接した状態において、第1スリット及び第2スリットが第1面に沿って配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用のカセットを保持するカセット受け部であって、前記カセットの側面に隣接して設けられる平面視長方形状の側面リブ及び前記カセットの下面が当接する平面を有するカセット受け部と、前記側面リブの2つの短辺のうちの1つである第1リブに前記平面と略平行に延設された板状部と、を有するカセットホルダから前記カセットを取り出す略直方体形状の取り出し治具であって、
第1面には、前記カセット受け部が挿入される挿入穴が設けられており、
前記挿入穴のうちの対向する2つの側面である第1側面及び第2側面には、前記側面リブのうちの2つの長辺である第2リブ又は第3リブが挿入される側面溝が設けられており、
前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記挿入穴の底面に前記側面リブの2つの短辺のうちの前記第1リブ以外の第4リブが当接した状態において、前記第2リブ及び前記第3リブに前記第1リブと平行な直線上に設けられている第1スリット及び第2スリットが前記第1面に沿って配置される
ことを特徴とする取り出し治具。
【請求項2】
前記第1面に隣接する第2面に沿って前記第1側面が設けられており、
前記第1面に隣接し、かつ前記第2面と平行な第3面に沿って前記第2側面が設けられており、
前記挿入穴は、前記第1面、前記第2面及び前記第3面に隣接する第4面に露出しており、前記第1側面及び前記第2側面に沿って見たときに略コの字形状であり、
前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記挿入穴の周縁に沿って前記カセットが配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の取り出し治具。
【請求項3】
前記第4面には、前記挿入穴の少なくとも一部を覆う張出部が設けられており、
前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記張出部が前記カセットの上面に当接する
ことを特徴とする請求項2に記載の取り出し治具。
【請求項4】
前記挿入穴は、前記第1面、前記第2面及び前記第3面に隣接する第5面であって、前記第4面と平行な第5面に露出しており、前記第1側面及び前記第2側面に沿って見たときに略コの字形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の取り出し治具。
【請求項5】
前記底面には、前記第4リブが挿入される底面溝が設けられており、
前記底面溝に前記第4リブが挿入されることで前記底面に前記第4リブが当接する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の取り出し治具。
【請求項6】
前記第1面と平行に延設された回転軸に回動可能に設けられた回動部材を備え、
前記回動部材は、第1当接部と、開口部とを有し、
前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記第1当接部が前記板状部に当接し、前記カセットが前記開口部から露出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の取り出し治具。
【請求項7】
前記回動部材は、前記第1リブに設けられており、前記カセットに係合するカセット押えツメに当接する第2当接部を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の取り出し治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り出し治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カセット本体と蓋体と遮蔽板からなる医療検査用カセットが開示されている。カセット本体は上向きに開口した方形の容器で底部に多数の透孔を有し、蓋体は多数の透孔を有すると共にカセット本体の上部に取り付けられる。遮蔽板は上面に多数の凸部が設けられた板状部材であり、凸部はカセット本体の底部に穿設された透孔と嵌合可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、カセット本体に蓋体を取り付けてカセットの内部に検体を封入した状態で、カセット毎に薬液に浸漬させる。その際に、蓋体がカセット本体から外れないように、カセット本体と蓋体とを確実に固定する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、パラフィンを固めた後でカセット本体から蓋体を外して包埋ブロックを取り出さなければならず、包埋ブロックの取り出しが厄介であり、手間がかかる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、包埋ブロックを容易に取り出すことができる取り出し治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る取り出し治具は、例えば、医療用のカセットを保持するカセット受け部であって、前記カセットの側面に隣接して設けられる平面視長方形状の側面リブ及び前記カセットの下面が当接する平面を有するカセット受け部と、前記側面リブの2つの短辺のうちの1つである第1リブに前記平面と略平行に延設された板状部と、を有するカセットホルダから前記カセットを取り出す略直方体形状の取り出し治具であって、第1面には、前記カセット受け部が挿入される挿入穴が設けられており、前記挿入穴のうちの対向する2つの側面である第1側面及び第2側面には、前記側面リブのうちの2つの長辺である第2リブ又は第3リブが挿入される側面溝が設けられており、前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記挿入穴の底面に前記側面リブの2つの短辺のうちの前記第1リブ以外の第4リブが当接した状態において、前記第2リブ及び前記第3リブに前記第1リブと平行な直線上に設けられている第1スリット及び第2スリットが前記第1面に沿って配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る取り出し治具によれば、略直方体形状の取り出し治具の第1面にはカセット受け部が挿入される挿入穴が設けられている。挿入穴のうちの対向する2つの側面である第1側面及び第2側面に設けられた側面溝に第2リブ又は第3リブ(側面リブのうちの2つの長辺)が挿入され、挿入穴の底面に第4リブ(側面リブの2つの短辺のうちの1つ)が当接した状態において、第2リブ及び第3リブに第1リブ(側面リブの2つの短辺のうちの1つ)と平行な直線上に設けれている第1スリット及び第2スリットが第1面に沿って配置される。これにより、第1スリット及び第2スリットを結ぶ線に沿ってカセットホルダ(カセット受け部)を難なく折り曲げることができ、したがってカセット受け部から包埋ブロックを容易に取り出すことができる。
【0008】
前記第1面に隣接する第2面に沿って前記第1側面が設けられており、前記第1面に隣接し、かつ前記第2面と平行な第3面に沿って前記第2側面が設けられており、前記挿入穴は、前記第1面、前記第2面及び前記第3面に隣接する第4面に露出しており、前記第1側面及び前記第2側面に沿って見たときに略コの字形状であり、前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記挿入穴の周縁に沿って前記カセットが配置されてもよい。これにより、カセットホルダを折り曲げるときに板状部及びカセット受け部の手前半分と共にカセットが線を中心に回動する。したがって、カセット受け部から包埋ブロックを容易に剥離することができる。
【0009】
前記第4面には、前記挿入穴の少なくとも一部を覆う張出部が設けられており、前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記張出部が前記カセットの上面に当接してもよい。これにより、カセットホルダを折り曲げるときにカセットが挿入穴の内部で固定される。したがって、カセット受け部から包埋ブロックBを弱い力で剥離することができる。また、カセットホルダを折り曲げるときにカセットを手で押さえる必要がなく、カセットホルダの折り曲げが容易である。
【0010】
前記挿入穴は、前記第1面、前記第2面及び前記第3面に隣接する第5面であって、前記第4面と平行な第5面に露出しており、前記第1側面及び前記第2側面に沿って見たときに略コの字形状であってもよい。これにより、1つの挿入穴でカセット受け部の手前半分、奥半分のそれぞれに対して、カセット受け部から包埋ブロックBを剥離することができる。
【0011】
前記底面には、前記第4リブが挿入される底面溝が設けられており、前記底面溝に前記第4リブが挿入されることで前記底面に前記第4リブが当接してもよい。これにより、挿入穴の内部でカセット受け部が3つの辺で保持され、カセットホルダが折り曲げ易くなる。
【0012】
前記第1面と平行に延設された回転軸に回動可能に設けられた回動部材を備え、前記回動部材は、第1当接部と、開口部とを有し、前記挿入穴に前記カセット受け部が挿入されて前記底面に前記第2リブが当接した状態において、前記第1当接部が前記板状部に当接し、前記カセットが前記開口部から露出してもよい。これにより、カセットホルダ及び包埋ブロックに触れることなく、軽い力で容易にカセットホルダを折り曲げる、すなわちカセットホルダから包埋ブロックを剥離することができる。
【0013】
前記回動部材は、前記第1リブに設けられており、前記カセットに係合するカセット押えツメに当接する第2当接部を有してもよい。これにより、カセットホルダを折り曲げる前に、回動部材を用いてカセット押えツメの係合を外すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、包埋ブロックを容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態である取り出し治具1の概略構成を示す図であり、(A)、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図であり、(E)は断面図である。
【
図2】カセットホルダ100の概略構成の一例を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【
図3】カセット101が設けられたカセットホルダ100を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は断面図である。
【
図4】取り出し治具1を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図であり、(A)、(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
【
図5】取り出し治具1を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図であり、(A)、(B)、(C)は斜視図であり、(D)は断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態である取り出し治具2の概略構成を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
【
図7】取り出し治具2を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図であり、(A)、(B)、(C)は斜視図であり(D)、(E)は断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態である取り出し治具3の概略構成を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
【
図9】取り出し治具3を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図であり、(A)、(C)、(E)は斜視図であり、(B)、(D)、(F)は断面図である。
【
図10】(A)、(B)は、取り出し治具3を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態である取り出し治具4の概略構成を示す斜視図である。
【
図12】(A)、(B)(C)は、取り出し治具4を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の取り出し治具は、がん遺伝子パネル検査、病理検査等に用いるパラフィン固定包埋ブロックを作製するカセットホルダからカセットを取り出す装置である。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態である取り出し治具1の概略構成を示す図であり、(A)、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図であり、(E)は(C)のA-A断面図である。
【0018】
取り出し治具1は、略直方体形状の本体部10を有する。本体部10は、6つの面11、12、13、14、15、16を有する。面11と面12は略平行であり、面13と面16は略平行であり、面14と面15は略平行である。面11、12、14、15は面13に隣接する。面11には「1」の文字が設けられており、面12には「2」の文字が設けられている。「1」、「2」の文字は、取り出し治具1を用いる順番を示す(後に詳述)。なお、面11、12に設けられた「1」、「2」は必須ではない。
【0019】
面13(本発明の第1面に相当)には、カセットホルダ100(
図2、3参照)のカセット受け部91(
図2、3参照)が挿入される挿入穴20が設けられている。カセットホルダ100は、医療用のカセット101(
図3参照)を保持する部材である。
【0020】
ここで、カセットホルダ100について説明する。
図2は、カセットホルダ100の概略構成の一例を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
図3は、カセット101が設けられたカセットホルダ100を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は断面図である。以下、カセットホルダ100の説明において、
図3における上側、下側をそれぞれカセットホルダ100の上側、下側とする。
【0021】
カセットホルダ100は、主として、カセット101が設けられるカセット受け部91と、略板状の板状部92とを有する。
【0022】
カセット受け部91は、主として、平面91aと、側面リブ91b、91c、91d、91eとを有する。平面91aは、カセット101が設けられたときにカセット101の下面101aが当接する。平面91aには、複数の透孔97が設けられている。
【0023】
平面91aには、下向きに突出するように凸部91hが設けられている。凸部91hは、内部が空洞である。本実施の形態では、凸部91hは略角錐台形状であるが、凸部91hの形状はこれに限られない。凸部91hには、複数の透孔97が設けられている。ただし、透孔97の位置、形状及び数はこれに限られない。
【0024】
側面リブ91b、91c、91d、91eは、平面91aから上向きに突出している。側面リブ91bは、カセットホルダ100の平面視において(カセットホルダ100を上から見たとき)、略長方形状であり、側面リブ91b、91cは長辺であり、側面リブ91d、91eは短辺である。側面リブ91b、91c、91d、91eは、カセット101が設けられたときにカセット101の側面に隣接して設けられる。側面リブ91b、91c、91d、91eは、カセット101の高さより低い。
【0025】
側面リブ91d(本発明の第1リブに相当)には、板状部92が設けられている。板状部92は、略板状であり、平面91aと略平行に延設されている。板状部92には、カセットホルダ100を薬液瓶に浸漬させるときにカセットホルダ100を保持するのに用いられる突起95、96が設けられている。なお、突起95、96は必須ではない。
【0026】
また、側面リブ91dには、カセット101がカセット受け部91に設けられたときにカセット101に係合するカセット押えツメ91gが設けられている。ただし、カセット押えツメ91gは必須ではない。
【0027】
側面リブ91b、91c(本発明の第2リブ、第3リブに相当)には、それぞれスリット91iが設けられている。スリット91iは、平面視において側面リブ91dと平行な直線l上に配置されている。なお、本実施の形態では、平面91a、側面リブ91d、91e及び凸部91hにかけてスリット91i設けられているが、スリット91iは少なくとも側面リブ91d、91eに設けられていればよい。
【0028】
側面リブ91e(本発明の第4リブに相当)には、カセット101の前端101cが当接する突起91fが設けられている。前端101cを突起91fに当接させてから、カセット101の後端101bを側面リブ91dの内部に挿入すると、後端101bにカセット押えツメ91gが引っ掛かり、カセット101がカセットホルダ100に取り付けられる。
【0029】
凸部91hに検体(以下、サンプルSという)を設けた状態で、カセット101をカセット受け部91に取り付けることで、サンプルSがカセットホルダ100の内部に封入される。この状態でカセットホルダ100を薬液瓶に入れて、サンプルSを薬液に浸漬させる。その後、図示しないパラフィン受け皿にカセット受け部91を載置して、カセット101の上からパラフィンを凸部91hの内部に充填する。溶融パラフィンが固化することで、パラフィンの内部にサンプルSが包埋された包埋ブロックBとカセット101とが一体化され、包埋ブロックBが凸部91hの内部に張り付く。取り出し治具1は、この包埋ブロックBが一体化されたカセット101をカセットホルダ100から取り出す治具である。
【0030】
図1の説明に戻る。挿入穴20は、面13から面16に向けて設けられている。挿入穴20は、主として、底面21と、側面22、23(本発明の第1側面又は第2側面に相当)とを有する。底面21と側面22、23とは略直交し、側面22と側面23とは対向する。
【0031】
底面21は、面13、16と略平行に設けられている。底面21には、側面リブ91eが挿入される底面溝26が設けられている。
【0032】
側面22、23は、それぞれ、面14、15(本発明の第2面又は第3面に相当)に沿って設けられている。側面22、23には、それぞれ、側面溝24、25が設けられている。側面溝24、25には、側面リブ91b、91cが挿入される。
【0033】
挿入穴20は、面11、12(本発明の第4面又は第5面に相当)に露出しており、側面22、23に沿って見たときに略コの字形状である。
【0034】
面11には、挿入穴20の少なくとも一部を覆う張出部27が設けられている。本実施の形態では、張出部27は、上から見たときの形状が矩形形状の板状であり、厚さは側面22、23の厚さの半分以下である。張出部27の延設方向は面11と略平行である。
【0035】
なお、張出部27は、側面22、23に沿って見たときに底面21を覆うが、張出部27の位置や形状はこれに限られない。例えば、帯状の突起が底面21から離れた位置で挿入穴20を覆ってもよい。
【0036】
図4、5は、取り出し治具1を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図である。
図4は、カセット101及び包埋ブロックBの板状部92側の半分をカセットホルダ100から剥がす様子を示し、
図5は、カセット101及び包埋ブロックBの残りの半分をカセットホルダ100から剥がす様子を示す。
【0037】
図4(A)は、挿入穴20にカセットホルダ100を挿入した状態を示し、
図4(B)、(C)は、挿入穴20に挿入されたカセットホルダ100を折り曲げた状態を示す。
図4(A)、(B)は斜視図であり、
図4(C)は(B)と同じ状態における断面図である。
【0038】
まず、
図4(A)に示すように、面11を上にして、挿入穴20にカセット受け部91を挿入する。側面リブ91dには板状部92が設けられているため、側面リブ91eが挿入穴20の奥に向くようにカセット受け部91が挿入穴20に挿入される。側面リブ91b、91cを側面溝24、25に挿入し、側面溝24、25に沿って側面リブ91b、91cを摺動させて、挿入穴20の一番奥までカセット受け部91を挿入する。カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入されると、底面溝26に側面リブ91eが挿入されて底面21に側面リブ91eが当接し、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置される。
【0039】
次に、
図4(B)、(C)に示すように、カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態で、作業者が板状部92を下側(
図4(C)の矢印参照)に折り曲げる。側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入されているため、カセット受け部91の奥半分(側面リブ91eを含む略半分の領域)は挿入穴20の内部に保持されている。したがって、カセットホルダ100の挿入穴20の外側に露出している部分のみが外力により折り曲げられる。
【0040】
面13に沿ってスリット91i(線l)が配置されているため、一対のスリット91iの間に応力が集中し、一対のスリット91iを結ぶ線lに沿ってカセット受け部91が折り曲げられる。このように一対のスリット91iを設けることで、カセットホルダ100が折り曲げ易くなる。
【0041】
カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態では、張出部27を除いた状態において面11における挿入穴20の周縁がカセット101の周縁と重なり、張出部27がカセット101の上面101dに当接する。したがって、カセットホルダ100を折り曲げるときに、張出部27が上面101dを抑えることでカセット101は移動せず、線lに沿ってカセット受け部91が折り曲げられることでカセット押えツメ91gがカセット101から外れる。これにより、カセット受け部91の手前半分(側面リブ91dを含む略半分の領域)において、カセット受け部91から包埋ブロックBが剥離される。
【0042】
図4に示すようにカセット受け部91の手前半分が包埋ブロックBから剥離されたら、
図5に示すようにカセット受け部91の奥半分を包埋ブロックBから剥離する。
図5(A)は、挿入穴20にカセットホルダ100を挿入した状態を示し、
図5(B)、(C)、(D)は、挿入穴20に挿入されたカセットホルダ100の板状部92を折り曲げた状態を示す。
図5(A)、(B)、(C)は斜視図であり、
図5(D)は
図5(B)と同じ状態の断面図である。
【0043】
まず、
図5(A)に示すように、面12を手前側にして、挿入穴20にカセット受け部91を挿入する。すでにカセット受け部91の手前半分が包埋ブロックBから剥離されているが、カセット押えツメ91gをカセット101に係合させてから挿入穴20にカセット受け部91を挿入する。
【0044】
側面リブ91dには板状部92が設けられているため、側面リブ91eが挿入穴20の奥側に位置するようにカセット受け部91が挿入穴20に挿入される。側面リブ91b、91cを側面溝24、25に挿入し、側面溝24、25に沿って側面リブ91b、91cを摺動させて、挿入穴20の一番奥までカセット受け部91を挿入する。その結果、底面溝26に側面リブ91eが挿入され、底面21に側面リブ91eが当接し、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置される。
【0045】
次に、カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態で、作業者がカセット101の側面リブ91dの近傍の位置P(
図5(A)、(B)参照)を奥側に押し込む。側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入されているため、
図5(B)、(D)に示すように、カセット受け部91の奥半分は挿入穴20の内部に保持されたまま、カセットホルダ100の挿入穴20の外側に露出している部分(カセット受け部91の手前半分)が外力により折り曲げられる。
【0046】
カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態では、面12における挿入穴20の周縁がカセット101の周縁と重なる。面12には、面11と異なり張出部27が設けられていないため、板状部92及びカセット受け部91の手前半分と共にカセット101が線lを中心に回動し、カセット受け部91の奥半分が包埋ブロックBから剥離される。
【0047】
本実施の形態によれば、挿入穴20にカセット受け部91が奥まで挿入されたときに、側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入され、カセット受け部91の奥半分が挿入穴20の内部に保持されて、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置される。これにより、一対のスリット91iを結ぶ線lに沿ってカセット受け部91を難なく折り曲げることができ、したがってカセット受け部91から包埋ブロックBを容易に剥離することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、挿入穴20にカセット受け部91が奥まで挿入されたときに、張出部27がカセット101の上面101dに当接するため、カセットホルダ100を折り曲げるときにカセット101が挿入穴20の内部で固定される。したがって、カセット受け部91から包埋ブロックBを弱い力で容易に剥離することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、挿入穴20にカセット受け部91が奥まで挿入されたときに、面12における挿入穴20の周縁がカセット101の周縁と重なるため、カセットホルダ100を折り曲げるときに板状部92及びカセット受け部91の手前半分と共にカセット101が線lを中心に回動する。したがって、カセット受け部91から包埋ブロックBを容易に剥離することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、カセット受け部91から包埋ブロックBを剥離するときに包埋ブロックBに触れる必要がないため、包埋ブロックB及びサンプルSの汚染や破損を防止することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、挿入穴20が面11、12の両方に開口しているため、面11、12のそれぞれを上にした状態でカセットホルダ100を挿入穴20に挿入することができる。これにより、1つの挿入穴20でカセット受け部91の手前半分、奥半分のそれぞれにおいてカセット受け部91から包埋ブロックBを剥離することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、側面リブ91eが挿入される底面溝26が底面21に設けられているため、挿入穴20の内部でカセット受け部91が3つの辺で保持される。これにより、挿入穴20の内部にカセット受け部91が強固に保持され、カセットホルダ100が折り曲げ易くなる。
【0053】
なお、本実施の形態では、挿入穴20が面11に開口しているが、本体部10の厚さを厚くして面11に開口しない挿入穴としてもよい。
【0054】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、挿入穴20が面11、12に開口していたが、挿入穴20の形状はこれに限られない。以下、本発明の第2の実施形態に係る取り出し治具2について説明する。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態である取り出し治具2の概略構成を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
【0056】
取り出し治具2は、略直方体形状の本体部10Aを有する。本体部10は、6つの面11A、12A、13A、14、15、16を有する。面11Aと面12A(本発明の第4面又は第5面に相当)は略平行である。面11A、12A、14、15は面13Aに隣接する。面13Aには、カセットホルダ100のカセット受け部91が挿入される挿入穴20Aが設けられている。
【0057】
挿入穴20Aは、面13Aから面16に向けて設けられている。挿入穴20は、主として、底面21Aと、側面22、23とを有する。
【0058】
底面21Aは、面13A、16と略平行に設けられている。底面21Aには、側面リブ91eが挿入される底面溝26が設けられている。側面22A、23Aは、それぞれ、面14、15に沿って設けられている。側面22A、23Aには、それぞれ、側面溝24、25が設けられている。
【0059】
挿入穴20Aは、面11Aに露出しており、側面22A、23Aに沿って見たときに略コの字形状である。面11Aには、挿入穴20Aに隣接して凹部11aが設けられている。挿入穴20Aは、面12Aには露出しておらず、面12Aに向けて設けられた凹部28を有する。
【0060】
図7は、取り出し治具2を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図である。
図7(A)は、挿入穴20にカセットホルダ100を挿入した状態を示し、
図7(B)、(D)は、挿入穴20に挿入されたカセットホルダ100を折り曲げた状態を示し、
図7(C)、(E)は、折り曲げられたカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を示す。
図7(A)、(B)、(C)は斜視図であり、
図7(D)、(E)はそれぞれ(B)、(C)と同じ状態における断面図である。
【0061】
まず、
図7(A)に示すように、面11Aを上にして、挿入穴20Aにカセット受け部91を挿入する。側面リブ91b、91cを側面溝24、25に挿入し、側面溝24、25に沿って側面リブ91b、91cを摺動させて、底面溝26に側面リブ91eが挿入されるまで、すなわち挿入穴20Aの一番奥までカセット受け部91を挿入する。その結果、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置される。
【0062】
次に、
図7(B)、(D)に示すように、作業者は、カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態で、凹部11aに親指Tを添えてカセット101の上面101dを押さえながら、板状部92を下側(
図7(D)の矢印参照)に折り曲げる。側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入されており、凸部91hの底面が凹部28の壁面28aに当接しており、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置されているため、カセット受け部91の奥半分は挿入穴20Aの内部に保持されたまま、カセットホルダ100の挿入穴20Aの外側に露出している部分のみが線lに沿って外力により折り曲げられる。
【0063】
親指Tで上面101dが押さえられているため、カセットホルダ100を折り曲げるときに、カセット101は移動せず、線lに沿ってカセット受け部91が折り曲げられることでカセット押えツメ91gがカセット101から外れ、カセット受け部91の手前半分においてカセット受け部91から包埋ブロックBが剥離される。
【0064】
次に、
図7(C)、(E)に示すように、作業者は、カセット101及び包埋ブロックBを親指と人差し指で保持し、カセット101を上側(
図7(E)の矢印参照)に引き上げる。側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入され、側面リブ91eが底面溝26に挿入されているため、カセットホルダ100は移動せず、カセット受け部91の奥半分が包埋ブロックBから剥離される。
【0065】
本実施の形態によれば、挿入穴20Aにカセット受け部91が奥まで挿入されたときに、側面リブ91b、91cが側面溝24、25に挿入され、カセット受け部91の奥半分が挿入穴20Aの内部に保持されて、面13に沿ってスリット91i(線l)が配置される。したがって、一対のスリット91iを結ぶ線lに沿ってカセット受け部91を難なく折り曲げることができ、これにより、カセット受け部91から包埋ブロックBを容易に剥離することができる。
【0066】
特に、カセット受け部91の手前半分は、包埋ブロックBの剥離が困難である。したがって、取り出し治具2によりカセット受け部91の手前半分における包埋ブロックBの剥離を補助することで、カセット受け部91から包埋ブロックBを剥離する作業が容易となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、凸部91hの底面が凹部28の壁面28aに当接しているため、スリット91iでカセットホルダ100が折り曲げ易い。
【0068】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、取り出し治具1に挿入されたカセットホルダ100に作業者が触れたが、カセットホルダ100に作業者が触れることなくカセットホルダ100に力が加えられるようにしてもよい。以下、本発明の第3の実施形態に係る取り出し治具3について説明する。
【0069】
図8は、本発明の一実施形態である取り出し治具3の概略構成を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
【0070】
取り出し治具3は、略直方体形状の本体部10Bと、回動部材40とを有する。本体部10Bは、6つの面11B、12B、13B、14A、15A、16Aを有する。面11Bと面12B(本発明の第4面又は第5面に相当)は略平行である。面11B、12B、14A、15Aは面13Bに隣接する。面13Bには、カセットホルダ100のカセット受け部91が挿入される挿入穴20Bが設けられており、面16Aには、カセットホルダ100のカセット受け部91が挿入される挿入穴30が設けられている。
【0071】
また、面14A、15A(本発明の第2面又は第3面に相当)には、それぞれ回動部材40が回転自在に取り付けられる回転軸17と、回動部材40を保護する凸部18とが設けられている。回転軸17は、面13Bと平行に設けられている。
【0072】
挿入穴20Bは、面13Bから面16Aに向けて設けられている。挿入穴20Bは、主として、底面21Bと、側面22B、23Bとを有する。
【0073】
底面21Bは、面13B、16Aと略平行に設けられている。側面22B、23Bは、それぞれ、面14A、15Aに沿って設けられている。側面22B、23Bには、それぞれ、側面溝24A、25Aが設けられている。
【0074】
挿入穴20Bは、面11Bに露出しており、側面22B、23Bに沿って見たときに略コの字形状である。面11Bには、挿入穴20Bの少なくとも一部を覆う張出部27が設けられている。挿入穴20Bは、面12Bには露出しておらず、面12Bに沿って設けられた板状部29を有する。
【0075】
挿入穴30は、面16Aに面13Bに向けて設けられている。挿入穴30は、主として、底面31と、側面32、33と、凹部37とを有する。
【0076】
底面31は、面13B、16Aと略平行に設けられている。底面31には、側面リブ91eが挿入される底面溝36(
図9、10参照)が設けられている。側面32、22は、それぞれ、面14A、15Aに沿って設けられている。側面32、33には、それぞれ、側面溝34、35(
図9、10参照)が設けられている。
【0077】
挿入穴30は、面11Bに露出しており、側面32、33に沿って見たときに略コの字形状である。挿入穴30は、面12Bには露出しておらず、面12Bに向けて凹部37が設けられている。
【0078】
回動部材40は、回転軸17に回転可能に設けられている。回動部材40は、主として、板状部41と、突起42とを有する。板状部41は、面12B側に平面部41a(本発明の第1当接部に相当)を有する。また、板状部41は開口部43を有する。突起42は、尖った先端部42a(本発明の第2当接部に相当)を有する。
【0079】
図9、10は、取り出し治具3を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す図である。
図9(A)、(C)、(E)は斜視図であり、
図9(B)、(D)、(F)は断面図である。
図10(A)、(B)は断面図である。
【0080】
まず、
図9(A)、(B)に示すように、面11Bを上にして、挿入穴20Bにカセット受け部91を挿入する。側面リブ91b、91cを側面溝24A、25Aに挿入し、側面溝24A、25Aに沿って側面リブ91b、91cを摺動させて、底面21Bに側面リブ91e当接するまで、すなわち挿入穴20Bの一番奥までカセット受け部91を挿入する。その結果、面13Bに沿ってスリット91i(線l)が配置される。また、凸部91hの底面が板状部29の壁面29aに当接する。
【0081】
次に、回動部材40を回転させて(
図9(B)の矢印参照)、
図9(C)、(D)に示すように、平面部41aを板状部92に当接させ、先端部42aをカセット押えツメ91gに当接させる。このとき、カセット101が開口部43から露出する。そして、回動部材40をさらに回転させる(
図9(D)の矢印参照)。カセット101が開口部43から露出しているため、回動部材40をさらに回転させることが可能である。
【0082】
その結果、
図9(E)、(F)に示すように、先端部42aでカセット押えツメ91gを押してカセット押えツメ91gをカセット101から外しつつ、張出部27で上面101dを抑えながらカセットホルダ100の挿入穴20Aの外側に露出している部分を線lに沿って折り曲げる。凸部91hの底面が板状部29の壁面29aに当接しているため、カセット受け部91が線lに沿って折り曲げられ易い。これにより、カセット受け部91の手前半分において、カセット受け部91から包埋ブロックBが剥離される。
【0083】
図9に示すようにカセット受け部91の手前半分が包埋ブロックBから剥離されたら、
図10に示すようにカセット受け部91の奥半分を包埋ブロックBから剥離する。
図10(A)は、挿入穴30にカセットホルダ100を挿入した状態を示し、
図10(B)は、挿入穴30に挿入されたカセットホルダ100の板状部92を折り曲げた状態を示す。
【0084】
まず、
図10(A)に示すように、面11Bを上にして、挿入穴30にカセット受け部91を挿入する。すでにカセット受け部91の手前半分が包埋ブロックBから剥離されているが、カセット押えツメ91gをカセット101に係合させてから挿入穴30にカセット受け部91を挿入する。
【0085】
側面リブ91b、91cを側面溝34、35に挿入し、側面溝34、35に沿って側面リブ91b、91cを摺動させて、底面溝36に側面リブ91eが挿入されるまで、すなわち挿入穴30の一番奥までカセット受け部91を挿入する。その結果、面16Aに沿ってスリット91i(線l)が配置される。また、凸部91hの底面が凹部37の壁面37aに当接する。また、挿入穴30の周縁に沿ってカセット101が配置される。
【0086】
次に、
図10(B)に示すように、カセット受け部91が挿入穴20の一番奥まで挿入された状態で、作業者がカセット101の側面リブ91dの近傍の位置Pを下側に押し込む(
図10(B)の矢印参照)。側面リブ91b、91cが側面溝34、35に挿入されており、側面リブ91eが底面溝36に挿入されているため、カセット受け部91の奥半分は挿入穴20の内部に保持されたまま、板状部92及びカセット受け部91の手前半分と共にカセット101及び包埋ブロックBが線lを中心に回動し、カセット受け部91の奥半分が包埋ブロックBから剥離される。
【0087】
本実施の形態によれば、回動部材40を用いるため、軽い力で容易にカセットホルダ100を折り曲げる、すなわちカセットホルダ100から包埋ブロックBを剥離することができる。また、回動部材40がカセット押えツメ91gに当接する先端部42aを有るため、カセットホルダ100を折り曲げる前に、回動部材40を用いてカセット押えツメ91gの係合を外すことができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、挿入穴30にカセット受け部91が奥まで挿入されたときに、面11Bにおける挿入穴30の周縁がカセット101の周縁と重なるため、カセットホルダ100を折り曲げるときに板状部92及びカセット受け部91の手前半分と共にカセット101が線lを中心に回動する。したがって、カセット受け部91から包埋ブロックBを容易に剥離することができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、包埋ブロックBに触れることなく、カセットホルダ100から包埋ブロックBを剥離することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、カセットホルダ100がカセット押えツメ91gを有するため、先端部42aでカセット押えツメ91gを押したが、突起42及び先端部42aは必須ではない。カセット押えツメ91gが無い場合には突起42及び先端部42aも不要である。
【0091】
なお、本実施の形態では、本体部10Bに挿入穴20B、30が設けられていたが、挿入穴20B、30を異なる本体部に設けてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、挿入穴20Bが面11Bに開口しているが、本体部10Bの厚さを厚くして面11Bに開口しない挿入穴としてもよい。この場合、挿入穴は面13Bにのみ開口する。
【0093】
<第4の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、カセット受け部91の手前半分、奥半分の順で包埋ブロックBを剥離したが、1回の動作で包埋ブロックBを剥離してもよい。以下、本発明の第4の実施形態に係る取り出し治具4について説明する。
【0094】
図11は、本発明の一実施形態である取り出し治具4の概略構成を示す斜視図である。取り出し治具4は、主として、第1レバー50と、第2レバー60とを有する。
【0095】
第1レバー50は、主として、略矩形形状の本体部51と、本体部51に設けられた棒状の把持部54とを有する。本体部51には、孔52が設けられている。孔52には、凹部52b(
図12参照)、52cが設けられている。把持部54には、凸部55が設けられている。
【0096】
第2レバー60は、棒状の把持部61と、突起62とを有する。突起62は、尖った先端部62aを有する。第2レバー60は、第1レバー50に設けられた回転軸53に回転可能に設けられている。
【0097】
図12は、取り出し治具4を用いてカセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出す様子を模式的に示す断面図である。
図12(A)は、取り出し治具4にカセットホルダ100を載置した状態を示し、
図12(B)は、先端部62aがカセットホルダ100に当接した状態を示し、
図12(C)は、先端部62aを押し込んでカセットホルダ100を折り曲げた状態を示す。
【0098】
まず、
図12(A)に示すように、本体部51の上面51aにカセットホルダ100を載置する。このとき、凸部91hが上を向くように上面51aにカセットホルダ100を載置し、凹部52bに側面リブ91eを当接させ、凹部52cにカセット押えツメ91gを挿入する。その結果、孔52にカセット101が挿入される。
【0099】
その状態で作業者が把持部54、61を把持すると、把持部61が凸部55に当接するまで第2レバー60が回転する(
図12(A)矢印参照)。その結果、
図12(B)に示すように、先端部62aが線lに沿ってカセット受け部91に押し込まれ、カセット受け部91が線lで折り曲げられる。カセット受け部91に対してカセット101及び包埋ブロックBは剛性が高いため、カセット101及び包埋ブロックBは、折り曲げられることなくカセット受け部91から剥離される。
【0100】
カセット受け部91から剥離されたカセット101及び包埋ブロックBは、
図12(C)に示すように、孔52の内周面52aに沿って落下し、孔52から排出される。
【0101】
本実施の形態によれば、作業者がカセット101及び包埋ブロックBを把持することなく、カセットホルダ100からカセット101及び包埋ブロックBを取り出すことができる。
【0102】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0103】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行、略直交とは、厳密に平行、直交の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合においても、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0104】
1、2、3、4:取り出し治具
10、10A、10B:本体部
11、11A、11B:面
11a :凹部
12、12A、12B、13、13A、13B、14、14A、15、15A、16、16A:面
17 :回転軸
18 :凸部
20、20A、20B:挿入穴
21、21A、21B:底面
22、22A、22B、23、23A、23B:側面
24、24A、25、25A:側面溝
26 :底面溝
27 :張出部
28 :凹部
28a :壁面
29 :板状部
29a :壁面
30 :挿入穴
31 :底面
32、33:側面
34、35:側面溝
36 :底面溝
37 :凹部
37a :壁面
40 :回動部材
41 :板状部
41a :平面部
42 :突起
42a :先端部
43 :開口部
50 :第1レバー
51 :本体部
51a :上面
52 :孔
52a :内周面
52b、52c:凹部
53 :回転軸
54 :把持部
55 :凸部
60 :第2レバー
61 :把持部
62 :突起
62a :先端部
91 :カセット受け部
91a :平面
91b、91c、91d、91e:側面リブ
91f :突起
91g :カセット押えツメ
91h :凸部
91i :スリット
92 :板状部
95、96:突起
97 :透孔
100 :カセットホルダ
101 :カセット
101a :下面
101b :後端
101c :前端
101d :上面