(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088087
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】遊技場管理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A63F5/04 691A
A63F5/04 605B
A63F5/04 699
A63F5/04 682
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202730
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】山田 將貴
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 順一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
(72)【発明者】
【氏名】浅田 稜平
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CA01
2C182CA10
2C182CB10
2C182CD34
2C182CE02
2C182CE13
2C182DB11
2C182DB14
2C182EA03
2C182EB11
(57)【要約】
【課題】遊技機に残存する端数の得点を不正に回収する行為を検知し、遊技場側が相応の対処をすることを可能とする遊技場管理システムを提供すること。
【解決手段】規定ベット数の得点を消費してゲームを実行可能なスロットマシン2と、スロットマシン2で遊技者が獲得した得点をカード352に記録する記録処理を実行するカードユニット3と、カード352に記録された得点を管理する管理装置10と、を備える遊技場管理システム1において、管理装置10が、1回の記録処理で記録された得点が判定設定値未満であるか否かを判定し、所定の回収回数に亘って連続して判定設定値未満であると判定されたときに報知動作を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上に設定された第1の規定数の得点を消費することにより1回のゲームが実行可能な遊技機と、当該遊技機で遊技者が獲得した得点を記録媒体に対応付けるための得点対応付け処理、及び受け付けた記録媒体に対応付けられた得点を取得して遊技に利用可能とするための得点取得処理を実行可能な記録媒体処理装置と、当該記録媒体処理装置と通信することにより前記記録媒体に対応付けられた得点を管理する管理装置と、を備えた遊技場管理システムにおいて、
前記管理装置は、
記録媒体の識別情報と対応付けて、当該記録媒体に対応付けられた得点を1回の得点対応付け処理毎に記憶する記憶手段と、
1回の得点対応付け処理で記録媒体に対応付けられた得点が第2の規定数未満であるか否かを判定する判定手段と、
特定の記録媒体に対し、前記判定手段により所定の上限回数連続して前記第2の規定数未満であると判定されたときに、遊技場の従業員へ報知するための報知動作を実行する報知手段と、を備えたことを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項2】
前記記録媒体処理装置は、
遊技機に残存する得点が第3の規定数以上である場合には新たな記録媒体の受付を禁止する一方、当該得点が前記第3の規定数未満である場合には新たな記録媒体の受付を許可することを特徴とする請求項1に記載の遊技場管理システム。
【請求項3】
前記第1の規定数および前記第3の規定数は共通であり、一の規定数が共用される請求項2に記載の遊技場管理システム。
【請求項4】
前記第1の規定数および前記第2の規定数は共通であり、一の規定数が共用される請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、規定数の得点をベット(賭ける)することでゲームを開始できるスロットマシン等の遊技機が知られている。このような遊技機の遊技者の中には、遊技機側で記憶される得点が1回のゲームに要する規定数未満となったとき、そのまま遊技機から立ち去る者も少なからず存在している。このようにして遊技場では、1回のゲームに要する規定数未満の得点が遊技機に残存した状態で放置されることがある(例えば下記の特許文献1参照。)。そして、遊技場には、得点が放置された遊技機を見つけては、その得点を回収して回る遊技者が一定数存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように放置された得点を第三者が回収する行為は、他人のメダルを窃取する明らかな不正行為であることから、遊技場側としては看過できないという事情がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、遊技機に残存する端数の得点を不正に回収する行為を検知し、遊技場側が相応の対処をすることを可能とする遊技場管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2以上に設定された第1の規定数(例えば規定ベット数)の得点を消費することにより1回のゲームが実行可能な遊技機(例えばスロットマシン2)と、当該遊技機で遊技者が獲得した得点を記録媒体(例えばカード352)に対応付けるための得点対応付け処理(例えば記録処理)、及び受け付けた記録媒体に対応付けられた得点を取得して遊技に利用可能とする得点取得処理(例えば読出処理)を実行可能な記録媒体処理装置(例えばカードユニット3)と、当該記録媒体処理装置と通信することにより記録媒体に対応付けられた得点(例えばカード352に記録された得点)を管理する管理装置(符号10)と、を備えた遊技場管理システム(例えば
図1中の符号1)において、
前記管理装置は、
記録媒体の識別情報(例えばカードID)と対応付けて、記録媒体に対応付けられた得点を1回の得点対応付け処理(例えば記録処理)毎に記憶する記憶手段と、
1回の得点対応付け処理で記録媒体(例えばカード352)に対応付けられた得点が第2の規定数(例えば
図4中の判定設定値)未満であるか否かを判定する判定手段と、
特定の記録媒体に対し、前記判定手段により所定の上限回数(
図4中の回収回数)連続して前記第2の規定数未満であると判定されたときに、遊技場の従業員へ報知するための報知動作を実行する報知手段と、を備えた遊技場管理システムにある。
【0007】
本発明の遊技場管理システムは、第1の規定数の得点を消費することでゲームを1回実行可能な遊技機と、遊技者が獲得した得点を記録媒体に対応付けたり記録媒体に対応付けられた得点を取得したりする記録媒体処理装置と、記録媒体に対応付けられた得点を管理する管理装置と、を含むシステムである。
【0008】
本発明の遊技場管理システムにおける管理装置は、1回の得点対応付け処理(例えば記録処理)毎の得点を、記録媒体の識別情報と対応付けて記憶する際、1回の得点対応付け処理で対応付けられた得点が第2の規定数未満であるか否かを判定する。そして、この管理装置は、特定の記録媒体について、得点対応付け処理で対応付けられた得点が、所定の上限回数に亘って連続して第2の規定数未満であると判定されたとき、当該特定の記録媒体に対し、遊技場の従業員への報知動作を実行する。
【0009】
本発明の遊技場管理システムでは、第2の規定数未満の得点を回収する行為が上限回数に亘って連続したときに従業員への報知動作が実行されるので、対応する遊技者へ直接声を掛けて警告を与えたり、その遊技者から記録媒体を没収したりする等、相応の対策を講ずることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】遊技機(スロットマシン)とカードユニットとの組合せを示す正面図。
【
図3】遊技機(スロットマシン)及びカードユニットの電気的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機2に残存する端数の得点を不正に回収する行為を検知可能な遊技場管理システム1に関する例である。この内容について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0012】
遊技場管理システム1は、遊技場内の有線LAN等の場内ネットワーク100を利用して構築されている。遊技場管理システム1では、場内ネットワーク100を利用し、遊技場内の各種機器が管理されている。
【0013】
遊技場では、パチンコ遊技機やスロットマシン2等の遊技機に対して、カードユニット3や遊技情報表示装置14等の周辺機器が個別に設置されている。カードユニット3は、遊技機の側方、隣り合う遊技機との隙間に設置され、遊技情報表示装置14は、遊技機の上方に設置されている。カードユニット3の設置位置は、スロットマシン2とパチンコ遊技機とで異なり、スロットマシン2の場合は遊技機の右側、パチンコ遊技機の場合は遊技機の左側となる。
【0014】
遊技場では、2台の遊技機毎に中継装置19が1台ずつ設置されている。遊技機は、対応する周辺機器と共に、中継装置19を介して場内ネットワーク100に接続されている。遊技場管理システム1では、カードユニット3や遊技情報表示装置14等の周辺装置を含む遊技機側と、管理装置10との間の各種の通信が中継装置19を介して実現されている。
【0015】
遊技場内には、図示しない景品交換カウンタや、遊技場の管理者等が詰める管理スペース、等が設けられている。景品交換カウンタには、POS端末15が設置されている。管理スペースには、場内ネットワーク100を利用して遊技場内の各種機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置10等が設置されている。また、例えば遊技機が配列された遊技機島の島端には、精算機16が設置されている。
【0016】
管理装置10は、遊技場内に設置される全ての機器(遊技機、記録媒体処理装置、遊技情報表示装置など)の稼動状況を管理する装置である。管理装置10は、各機器が適切な動作を行うための各種設定を行い、各機器へ設定情報を送信する。管理装置10は、各遊技機の遊技データを記憶・管理するほか、遊技用のカード352(記録媒体の一例)の記録情報を記憶・管理している。なお、管理装置10の構成や機能については後で詳しく説明する。
【0017】
遊技場では、識別情報として利用可能な台番により各遊技機が特定されている。各カードユニット3は、対応する遊技機の台番によって特定される。さらに、POS端末15、精算機16等にも、識別情報として利用可能なPOS機番、精算機番が付されている。遊技場では、各機器が識別情報によって特定された状態で管理されている。
【0018】
中継装置19は、対応する遊技機、カードユニット3、遊技情報表示装置14、及び管理装置10間の通信を仲介する装置である。遊技機は、遊技の実行に応じた各種の遊技信号を中継装置19に送信する。遊技機の遊技信号は、中継装置19を経由して遊技情報表示装置14や管理装置10に送信される。例えばスロットマシン2の遊技信号としては、遊技で消費された得点の数を示す得点消費信号、入賞により付与された得点の数を示す得点付与信号、ゲームが実行されたことを示すゲーム信号、ボーナス状態であることを示すボーナス信号、など、機種毎に異なる様々な信号がある。なお、遊技機とカードユニット3とは、専用のI/F(
図3中の符号29)により接続されている。詳しくは後述するが、遊技機とカードユニット3との間では、遊技に必要な得点や遊技者が獲得した得点に関する情報等が送受される。
【0019】
遊技情報表示装置14は、対応する遊技機に関する各種の遊技情報を表示する装置である。遊技情報表示装置14は、遊技機1台に対して1台設置され、遊技機から出力される各種遊技信号を中継装置19経由で受信し、各種の遊技情報を生成し表示する。
【0020】
カードユニット3は、遊技用のカード352(記録媒体の一例)を取り扱う記録媒体処理装置の一例である。例示するカード352は、ICチップを内蔵しており、遊技者が獲得した得点や残金額の記録が可能である。カードユニット3は、遊技機1台に対して1台設置され、遊技に使用する得点の貸出処理と、遊技者が獲得した得点の記録処理(得点対応付け処理の一例)を実行する。カードユニット3は、記録処理により、遊技者が獲得した得点をカード352に直接記録することにより、遊技者が獲得した得点を記録媒体であるカード352に対応付ける(得点対応付け処理)。なお、カードユニット3の詳細な説明は後述の通りである。
【0021】
POS端末15は、遊技者が獲得した得点を景品に交換するための景品交換装置の一例である。POS端末15は、記録媒体の一例をなすカード352を受け付け、カード352に記録された得点を景品に交換するための景品交換処理を実行する。
精算機16は、カード352に記録された残金額の精算処理を実行する装置である。精算機16は、カード352を受け付けると、精算処理によりカード352に記録された残金額分の現金を払い出す。
【0022】
次に、遊技機の一例であるスロットマシン2およびカードユニット3の説明に続いて管理装置10を説明する。
(遊技機)
遊技機には、大きく分類して、パチンコ遊技機(図示略)とスロットマシン2とがある。本例で例示する遊技機は、メダル等の遊技媒体を使用しない完全クレジット式のスロットマシン2である。スロットマシン2の前面部分は、
図2のごとく、図柄表示窓21を略中央に設けた前面枠体25によって形成されている。前面枠体25は、向かって左側に設けられた図示しないヒンジを介して回動可能な状態で台枠に支持されている。
【0023】
前面枠体25では、図柄表示窓21の上側に、演出表示部266、左右一対のスピーカ267及び装飾ランプ部268が配置されている。図柄表示窓21の下側には、スロットマシン2の基部をなすベース部250が形成されている。図柄表示窓21の右側には、付与する得点を表示する得点表示部281が配置されている。演出表示部266は、液晶ディスプレイよりなり、遊技を演出するための各種の演出画面等を表示可能である。
【0024】
ベース部250は、遊技者から奥まって位置する図柄表示窓21に相対して張り出すように形成されている。ベース部250は、図柄表示窓21に隣り合う上端部に棚面24を有し、棚面24の下側に隣接して操作パネル23を有している。操作パネル23には、リール272の図柄変動を開始させるためのスタートレバー232、図柄変動を停止させるためのストップボタン231が配置されている。なお、本例のスロットマシン2は、完全クレジット式のメダルレススロットマシンであるので、従来のスロットマシンにおいて最下部に位置するメダル受け皿が省略されている。
【0025】
棚面24の中央には情報表示部240が埋設されていると共に、遊技者側から見て情報表示部240の左側には、ゲームに得点を賭ける(ベット)ためのベットボタン244が配置されている。情報表示部240の表示画面は、タッチパネル240S(
図3)が積層された画面であり、指等によるタッチ操作が可能となっている。
【0026】
情報表示部240の初期画面には、計数ボタン、従業員呼出ボタン、稼動データ表示ボタンなど各種の操作ボタン(図示略)が配置されている。情報表示部240の表示画面は、稼動データ表示ボタンへのタッチ操作に応じて、遊技点数や各種の稼動データ(ゲーム実行回数、ボーナス発生回数等)を切替表示できる。
【0027】
図柄表示窓21は、
図2のごとく、図柄表示領域210L、C、Rを含む表示窓である。各図柄表示領域210L、C、Rは、いずれも3図柄分の図柄表示領域である。図柄表示窓21全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図柄分の図柄表示領域が形成されている。2次元マトリクス状に9個の図柄が配置される図柄表示領域では、入賞の対象となる入賞図柄の並び方向である入賞ラインが設定されている。
【0028】
各図柄表示領域210L、C、Rの裏側には、図柄変動表示手段27(
図3)を構成するリール272L、C、Rがそれぞれ配置されている。リール272L、C、Rは、円柱形状の外周面に略一定の間隔を空けて21個の図柄が配置された回転式のリールである。リール272L、C、Rにそれぞれ個別に対応するストップボタン231として、左ストップボタン231L、中ストップボタン231C、右ストップボタン231Rが設けられている。
【0029】
スロットマシン2では、ボーナス役(BB役、RB役)、複数種類の小役、リプレイ役が設定されている。各役には入賞の契機となる停止図柄の組合せである入賞図柄が設定されている。スロットマシン2の遊技では、いずれかの役の入賞図柄が図柄表示窓21に停止表示されたとき、その役が入賞する。
【0030】
スロットマシン2は、
図3に示すような電気的な構成を備えている。スロットマシン2は、全体動作を制御するための制御部20を中心として電気的に構成されている。制御部20に対しては、既出の構成のほか、リール272と共に図柄変動表示手段27を構成するリール駆動部271、リール272の回転位置を検知する基準位置検知部270、スピーカ267を制御する音声出力部265、カードユニット3との接続のためのI/F29、等が電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、制御部20には、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定するための設定値操作部が接続されている。スロットマシン2では、設定操作部を操作することで、ボーナス役及び小役の内部当選確率が異なる6段階の設定値のいずれかを選択的に設定可能である。
【0031】
リール駆動部271は、ステップ単位で制御可能なステッピングモータ(図示略)を含めて構成されている。リール駆動部271は、ステッピングモータの回転制御によりリール272を回転させると共に、リール272を回転停止させる。
基準位置検知部270は、各リール272L、C、Rについて基準位置片の通過を検知し、検知信号を出力する検知部である。
【0032】
制御部20は、
図3のごとく、CPU201と、メモリ手段であるROM202・RAM203と、入出力インターフェースとしてのI/O204と、内部当選役抽選用の乱数を抽出する乱数抽出部205と、乱数を発生する乱数発生部206と、を有している。
【0033】
ROM202は、ソフトウェアプログラムを記憶しているほか、内部当選役の抽選に用いる内部当選役抽選テーブル(図示略)、リール272の停止制御に用いるリール制御テーブル(図示略)を記憶している。
【0034】
リール制御テーブルは、入賞ライン上に停止可能な停止位置が規定されたデータテーブルである。内部当選役抽選テーブルは、0~65535の内部当選役抽選用の乱数のうち、各役の当選乱数の範囲が規定されたデータテーブルである。内部当選役抽選テーブルとしては、通常状態に適用されるテーブル、ボーナス状態に適用されるテーブルがある。通常状態用の内部当選役抽選テーブルは、1~6の設定値毎に用意されている。
【0035】
CPU201は、ROM202から読み込みしたソフトウェアプログラムを実行することにより、様々な機能を実現可能である。これにより、制御部20は、以下の各手段としての機能を実現できる。
(1)内部抽選手段:内部当選役を決定するための抽選を実行する手段。
(2)表示制御手段:各リール272L・C・Rの回転および停止を制御する手段。
(3)入賞判定手段:入賞ライン上に停止表示された図柄の組合せが入賞図柄であるかを判定する手段。
(4)得点付与手段:入賞に応じて得点を付与するとともに、ゲームの実行に応じて得点を減算する手段。
(5)ボーナス状態発生手段:ボーナス入賞に応じてボーナス状態を発生させる手段。
(6)遊技点記憶手段:入賞に応じて付与された得点及びカードユニット3から貸出を受けた得点を遊技点数として記憶する手段。
(7)計数手段:遊技終了時に遊技点をカードユニット3に送信する計数処理を実行する手段。
【0036】
ここで、スロットマシン2の基本動作について説明しておく。なお、スロットマシン2は、規定ベット数(第1の規定数)以上の得点を遊技点数として記憶していることを条件として、ゲームを実行可能である。スロットマシン2では、ベットボタン244を操作し、クレジットされた遊技点の中から3点の得点を賭けることでゲームを実行可能となる。このように3点の得点を賭けた状態で、スタートレバーを操作するとゲームを開始できる。なお、本例のスロットマシン2では、1回のゲームを実行するための最小遊技点である規定ベット数が3点となっている。
【0037】
スロットマシン2は、ゲームの開始に応じて内部抽選を実行し、内部当選役を決定すると共に、リール272の回転を開始する。内部当選役が決定されている場合、その後のストップボタン231の操作時点の回転位置を基準として所定の引込範囲内に内部当選役の図柄が含まれていれば、その内部当選役の図柄が入賞ライン上に引き込まれて停止表示される。一方、内部当選役が決定されていないハズレの場合や、ストップボタン231の操作時点の回転位置を基準とした所定の引込範囲内に内部当選役の図柄が含まれていない場合には、ハズレ図柄が入賞ライン上に引き込まれて停止する。
【0038】
スロットマシン2では、入賞ライン上に停止表示された図柄の組合せによって入賞が発生したか否かが判定され、入賞した役の種類に応じた得点が付与される。なお、得点が付与される役(小役)には、例えば、3点入賞役、5点入賞役、10点入賞役、15点入賞役などがある。役の入賞に応じて付与された得点は、スロットマシン2において遊技点数に加算されてクレジットされる。
【0039】
スロットマシン2の遊技では、通常状態においてボーナス役(BB、RB)が入賞すると、ボーナス状態(BB状態、RB状態)へ移行できる。ボーナス状態は、所定数の得点が付与された時点で終了し、通常状態へ移行する。例えば、BB状態は300点、RB状態は100点が付与された時点で終了する。
【0040】
上記のごとく、スロットマシン2には、計数ボタン、従業員呼出ボタン、稼動データ表示ボタンなど各種の操作ボタンを表示可能な情報表示部240が設けられている。稼動データ表示ボタンをタッチ操作すれば、クレジットされた遊技点数や各種の稼動データ(ゲームの実行回数、ボーナスの発生回数など)を、情報表示部240に切替表示できる。
【0041】
スロットマシン2の遊技は、情報表示部240に表示された計数ボタンをタッチ操作することにより全ての遊技点数がカードユニット3に送信された時点で終了できる。スロットマシン2は、計数ボタンへのタッチ操作に応じて、クレジットされた遊技点数の一部又は全部をカードユニット3へ送信する。カードユニット3は、記憶している得点の数量である持点数に、スロットマシン2から受信した遊技点数を加算する。なお、スロットマシン2にてクレジットされた遊技点数は、カードユニット3への送信に応じて減算される。
【0042】
(カードユニット)
図2のカードユニット3は、上記のごとく、隣接台との台間スペースに設置される遊技装置であり、メダルを使用する従来型のスロットマシンに対するメダル貸出機に相当している。記録媒体処理装置の一例をなすカードユニット3は、遊技を通じて遊技者が獲得した得点を持点数として記憶する機能や、代価の支払いに応じて遊技に必要な得点(遊技点)を付与する従来のメダル貸出機と同様の機能を備えている。スロットマシン2は、カードユニット3から得点の貸出を受けて遊技が可能になる。
【0043】
カードユニット3は、
図2のごとく、その前面に、上から、紙幣投入口31、表示部32、貸出ボタン33、カード挿入口35、カード排出ボタン34、が配置された縦長のユニットである。表示部32の表示画面は、タッチパネル32S(
図3参照。)が積層された画面であり、指先でのタッチ操作が可能である。
【0044】
紙幣投入口31は、遊技の対価となる紙幣の投入口である。
表示部32は、受け付けた紙幣のうちの残金額や持点数などの表示部である。
貸出ボタン33は、残金額に表示された金額の中から千円分を持点に交換するための操作ボタンである。
【0045】
カード挿入口35は、カード(記録媒体の一例)352の投入・排出口である。カード排出ボタン34は、カード挿入口35からカード352を排出させるための操作ボタンである。ここで、カード352は、いわゆるクレジットカードサイズのICカードである。カード352には、ICチップ355が埋設され、カード352の識別情報であるカードID、残金額、持点数などのカードデータが記録されている。なお、ICチップ355に代えて、磁気ストライプを採用することも良い。
【0046】
カードユニット3は、
図3のごとく、制御部30を中心として電気的に構成されている。制御部30に対しては、既出の構成のほか、紙幣処理部310、新規発行用のカード352をストックするカードストック部350、カード352の記録データを読み書きするカードリーダライタ部351、スロットマシン2と接続するためのI/F29、中継装置19と接続するためのI/F39、等が電気的に構成されている。
【0047】
紙幣処理部310は、紙幣投入口31から投入された紙幣が真正であるか否か、及びその種別(1万円札、5千円札、千円札)を識別する処理部である。カードストック部350は、新規発行用のカード352をストックするカードストッカーである。なお、残金額や持点数が無くなって回収されたカードは、新規発行用のカードとしてストックされる。カードリーダライタ部351は、カード352の記録データを読み書きするリーダライタである。
【0048】
制御部30は、
図3のごとく、CPU301と、メモリ手段であるROM302・RAM303と、入出力インターフェースとしてのI/O304と、を有している。CPU301は、ROM302から読み込みしたソフトウェアプログラムを実行することにより、様々な機能を実現可能である。
【0049】
CPU301は、ROM302から読み込みしたソフトウェアプログラムを実行することにより、様々な機能を実現可能である。これにより、制御部30は、以下の各手段としての機能を実現できる。
(1)残金額記憶手段:投入金額のうち持点に未換算の残金額を記憶する手段。
(2)持点記憶手段:遊技価値をなす得点を持点として記憶する手段。
(3)得点貸出手段:残金額の現金を持点に換算し、スロットマシン2に送信する手段。
(4)遊技点受信手段:計数処理に応じてスロットマシン2から得点(遊技点)を受信する手段。
(5)カード記録手段:残金額及び持点数をカード352に記録する記録処理を実行する手段。なお、カード352に持点数を記録する記録処理は、遊技者が獲得した得点を記録媒体としてのカード352に対応付ける得点対応付け処理の一例である。
(6)カード読出手段:カード352に記録された残金額及び持点数を読み出す読出処理を実行する手段。なお、カード352から持点数を読み出す読出処理は、記録媒体であるカード352に対応付けられた得点を取得して遊技に利用可能とするための得点取得処理の一例である。
(7)リセット手段:カード352への記録処理に応じて、カードユニット3側で記憶している残金額及び持点数をリセットする手段。
【0050】
本例の遊技場管理システム1では、カードユニット3が現金あるいはカード352を受け付けると、対応するスロットマシン2での遊技が可能になる。現金による遊技では、まず、紙幣投入口31へ紙幣を投入する必要がある。投入された紙幣は、紙幣処理部310により真正であるか否か判断される。紙幣処理部310は、投入された紙幣が真正であったとき、その紙幣の種別情報を含む紙幣種別データを制御部30に入力する。
【0051】
制御部30は、紙幣種別データを入力すると、カードストック部350からカードリーダライタ部351へカード352を繰り出し、紙幣種別データが表す紙幣の金額を、残金額としてカード352に記録すると共に、その残金額を表示部32に表示させる。
【0052】
一方、カード352を受け付けたとき、制御部30は、カード352の識別情報を読み取って管理装置10へ送信し認証を求める。カード352の認証結果がOKの場合、制御部30は、カード352に記録された残金額および持点数を、表示部32に表示させる。なお、残金額および持点数は、カード352の識別情報を対応付けて管理装置10でも管理されている。管理装置10による認証には、カード352に記録された残金額や持点数などの情報が間違いないか、の照合が含まれている。管理装置10による認証結果がNGの場合、管理装置10で表示されるほか、台ランプとしての機能を備える遊技情報表示装置14が表示ランプの点灯等によりその旨を報知する。なお、カード352を受け付けた際に制御部30が管理装置10に認証を求める処理は、記録媒体であるカード352に対応付けられた得点を取得するための得点取得処理の一部をなしている。
【0053】
貸出ボタン33が操作(貸出操作)されたとき、制御部30は、残金額のうちの1000円分を持点に換算し、換算後の持点数をスロットマシン2へ送信する。スロットマシン2においては、カードユニット3から受信した持点数が遊技点数として記憶される。なお、本例のスロットマシン2の遊技レートは、1得点20円である。よって1回の貸出操作により、1000円分に当たる50点の持点に換算できる。貸出操作の後、表示部32には、持点に交換分の1000円分を差し引いた残金額が表示される。
【0054】
スロットマシン2の遊技終了の際、表示部32に表示された計数ボタン(図示略)がタッチ操作されると、スロットマシン2にクレジットされた遊技点数がカードユニット3に送信される。制御部30は、スロットマシン2から遊技点数を受信すると、その遊技点数を持点数に加算する。その後、制御部30は、カード排出ボタン34の操作に応じて、記憶している残金額及び持点数をカード352に記録すると共に、それらの情報を管理装置10に送信し、カード352を排出する。
【0055】
(管理装置)
管理装置10(
図1)は、遊技場内の各種機器の稼動状況を管理する場内装置の一例である。管理装置10が管理する機器には、スロットマシン2等の遊技機のほか、カードユニット3、遊技情報表示装置14、等が含まれる。
【0056】
管理装置10は、液晶ディスプレイ等の表示部、図示しないプリンタ等の出力部、各種の演算処理を実行する装置本体、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部、等を備えている。装置本体は、演算処理を実行するCPUを中心とした制御機能、ハードディスクドライブ、ROM、RAM等を利用する記憶機能、及び各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0057】
管理装置10は、例えばハードディスクドライブ等から読み出したソフトウェアプログラムをCPUが実行等することにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技データ生成手段:各遊技機で実行された遊技に関する遊技データ(稼動情報)を生成する手段。遊技データ生成手段は、各遊技機が出力する遊技信号の受信回数を集計等することで遊技データを生成する。例えば、スロットマシン2については、アウト(消費メダル数)、セーフ(払出メダル数)、スタート(ゲーム回数)、BB回数、RB回数等の遊技データが、遊技機毎に生成される。
(2)遊技データ記憶手段:遊技機毎の遊技データを記憶する手段。各遊技機2の遊技データは、遊技機2の識別情報である台番IDを対応付けた状態で記憶される。
(3)記憶手段:カード352(記録媒体の一例)の識別情報(カードID)と対応付けてカードデータを記憶する手段。カードデータとしては、残金額や持点数などのカード発行リストデータ(
図5を参照して後述。)のほか、1回の記録処理(得点対応付け処理の一例)毎に記録された得点などのカード使用履歴データ(
図6を参照して後述。)、等がある。
(4)判定手段:1回の記録処理で記録された得点が判定設定値(第2の規定数)未満であるか否かを判定する手段。なお、本例では、第2の規定数である判定設定値が上記の規定ベット数(第1の規定数)と共通となっており、3点という一の規定数が共用される。
(5)報知設定手段:遊技機に残った他人の遊技点数を回収する不正行為の報知条件を設定する手段。
(6)報知手段:特定のカード352(記録媒体)に対し、判定手段により所定の上限回数に亘って連続して規定数未満であると判定されたときに、遊技場の従業員へ報知するための報知動作を実行する手段。報知動作としては、液晶ディスプレイ等の表示画面上での表示や、プリンタによる印字出力等、各種の動作がある。
(7)カード挿入禁止点数設定手段:カード352の挿入禁止条件であるカード挿入禁止点数(第3の規定数)を、各カードユニット3に設定する手段。カードユニット3では、スロットマシン2にクレジットされた遊技点数がカード挿入禁止点数以上のとき、新たなカード352の挿入が禁止される。
(8)カード発行許可点数設定手段:カード352の発行条件であるカード発行許可点数を、各カードユニット3に設定する手段。
【0058】
次に、カード352の使用に関して管理装置10にて設定する条件について説明する。条件としては、上記のカード挿入禁止点数設定手段により設定される条件であるカード挿入禁止点数、上記のカード発行許可点数設定手段により設定される条件であるカード発行許可点数、上記の報知設定手段により設定される不正行為の報知条件、等がある。以下、各条件について説明する。
【0059】
カード挿入禁止点数は、遊技機にクレジットされた遊技点数のうち、カードユニット3へのカード352の挿入を禁止する最小の遊技点数である。カード挿入禁止点数は、各カードユニット3に設定される。カードユニット3では、対応する遊技機に残存する遊技点数が、設定されたカード挿入禁止点数未満の場合にのみ、カード352の挿入が可能となる。
【0060】
本例のスロットマシン2は、1回のゲームを実行可能な得点数である規定ベット数(第1の規定数)が3点である。そのため、カード挿入禁止点数(第3の規定数)としては、1点、2点、3点のうちのいずれかを選択的に設定可能である。例えばカード挿入禁止点数として「3点」、すなわち規定ベット数が設定された場合には、スロットマシン2でクレジットされた遊技点数が規定ベット数に当たる3点以上のとき、新たなカード352の挿入が禁止される一方、3点未満の0~2点の範囲であれば、カード352を挿入可能となる。この場合、規定ベット数に満たない1点又は2点の遊技点数が残存しているスロットマシン2に対応するカードユニット3へカード352を挿入でき、その遊技点数を計数してカード352へ記録させることが可能になる。
【0061】
カード挿入禁止点数として「1点」が設定された場合には、スロットマシン2にクレジットされた遊技点数が0点の場合のみカード352を挿入可能となる。カード挿入禁止点数として「1点」が設定された場合には、1点または2点の遊技点数がスロットマシン2に残存している状態で、新たに次のカード352を挿入することはできないが、合算機能を使うことにより、残存する遊技点数を次のカード352へ合算することは可能である。カードユニット3で所定の「合算操作」を行うことにより、2枚のカード352に記録されている持点数を1枚のカード352に合算することができる。なお、遊技点数が2点以下で放置された遊技機の稼動を促進するためには、カード挿入禁止点数(第3の規定数)を規定ベット数(第1の規定数)と共用し、規定ベット数と共通の「3点」をカード挿入禁止点数に設定するのが望ましい。
【0062】
カード発行許可点数(第4の規定数)は、カードユニット3が記憶する持点数のうち、カード352の発行が許可される最小の持点数である。カードユニット3は、残金額がゼロ円の場合、記憶している持点数がカード発行許可点数以上の場合に限ってカード352の発行を許可する。カードユニット3は、残金額がゼロ円であって、かつ、記憶している持点数がカード発行許可点数未満の場合、カード352を発行しない。カード発行許可点数は、カード1枚当たりの仕入れ原価を考慮して設定することが望ましい。すなわち、カード1枚の仕入れ原価以上に相当する持点数を、カード発行許可点数として設定すると良い。例えばカード1枚の仕入れ原価が300円であって、1得点が20円の場合、カード発行許可点数を15点以上と設定するのが良い。
【0063】
不正行為の報知条件は、他人の遊技点を遊技機から回収する不正行為を報知するための条件である。報知対象の不正行為は、他人が遊技機に残した遊技点数を計数して持点数とし、その持点数を自身が所持するカード352に記録あるいは対応付けることにより回収する行為である。報知条件には、上記の判定手段が判定に用いる判定設定値、判定設定値未満と判定された回収行為の回数である回収回数が含まれる(
図4参照。)。
【0064】
本例の遊技場管理システム1では、
図4のごとく、上記の判定手段が判定に用いる判定設定値(第2の規定数)が規定ベット数(第1の規定数)と共通であり、3点という一の規定数が判定設定値として設定されている。また、回収回数は、3回が設定されている。同図の報知条件が設定された場合、上記の記録処理により、判定設定値である3点に満たない遊技点数がカード352に記録された回数が3回繰り返されたときに、不正行為である旨の報知が実行されることになる。なお、回収回数は1以上の値を任意に設定することが可能である。
【0065】
続いて管理装置10が管理するカード352に関するデータ(カードデータ)について説明する。
図5は、発行されたカード352の状態を表すカード発行リストである。
図6は、発行されたカード352の使用履歴を表すカード使用履歴データである。
【0066】
管理装置10は、発行した全てのカード352について、
図5に例示するカード発行リストのごとく、現時点の残金額、持点数などを記憶している。管理装置10は、各カードユニット3と通信することにより取得した残金額や持点数などをカード352毎に記憶することで、記録媒体であるカード352に対応付けられた得点や残金額を管理している。同図のカード発行リスト中の各データ項目は、次段落のリストの通りである。なお、同図中の各カードは、発行後、カードユニット3、POS端末15、及び精算機16にて未回収であって、精算の履歴も景品交換の履歴もないカードである。それ故、回収台番、POS機番、精算機番が、空欄となっている。
【0067】
・初期台番=当日最初に発行された台番
・最終台番=当日最後に発行された台番
・回収台番=無価値となって回収された台番
・POS機番=景品交換後に無価値となって回収したPOSの機番
・精算機番=残金額の精算後に無価値となって回収した精算機の機番
【0068】
なお、遊技場で発行されたカード352は、通常、カードユニット3、POS端末15、及び精算機16のうちのいずれかで当日中に回収されるが、遊技者が景品交換や精算を失念し、カード352を持ち帰ってしまう場合も起こり得る。カード352は当日に限り有効とする運用が一般的であるが、このような過失によるカード352の持ち帰りを考慮し、遊技場の任意で翌日以降も有効とする運用を採用しても良い。
【0069】
管理装置10は、
図6に例示するカード使用履歴データのごとく、各カード352の使用履歴を個別に記録している。同図は、例えばカードID(識別番号)「10001001」のカード352に関するカード使用履歴データを例示している。このカード使用履歴データでは、カード352がカードユニット3に挿入された際の挿入データ、カードユニット3からカード352が発行された際の発行データ、等が管理されている。
【0070】
カード352の挿入データには、挿入先のカードユニット3の台番、入金額、使用金額、記録された残金額及び持点数(合計持点数)が含まれる。カード352の発行データには、挿入先のカードユニット3の台番、入金額、使用金額、減算持点数、加算持点数、記録した残金額及び持点数(合計持点数)が含まれる。ここで減算持点数は、カード挿入時の持点数を基準として発行の際に減算される持点数である。加算持点数は、カード挿入時の持点数を基準として発行の際に加算される持点数である。
【0071】
例えば
図6のカードID「10001001」のカード352の場合、10時38分に125番台で2点、10時45分に301番台で1点、10時57分に536番台で2点が、持点数に加算されている。このカード352では、判定設定値(3点)未満の持点数加算が3回繰り返されている。このようなカード使用は、
図4に例示する報知条件に合致するカード使用であるため、管理装置10は、このカード352を使用して不正回収行為が行われた旨、従業員へ報知する。管理装置10は、液晶ディスプレイ等のPCモニタ(表示部)の表示画面上で、不正回収行為が発生した旨と共に、カード352の識別情報であるカードID、及びそのカード352を最後に発行したカードユニット3に対応する遊技機の台番である最終台番を表示する。このようにして管理装置10は、カード使用履歴データ(
図6)に基づき、特定のカード352による遊技点数の不正回収行為を検知し報知する。
【0072】
以上の通り、本例の遊技場管理システム1は、規定ベット数(第1の規定数)の得点を消費することでゲームを1回実行可能な遊技機と、遊技者が獲得した得点を記録媒体(カード352)に記録して対応付けたり記録媒体に記録されて対応付けられた得点を読み取ったりする記録媒体処理装置(カードユニット3)と、記録媒体(カード352)に対応付けられた得点を管理する管理装置10と、を備えるシステムである。
【0073】
遊技場管理システム1における管理装置10は、記録媒体(カード352)の識別情報(カードID)と対応付けて、1回の得点対応付け処理(記録処理)毎の得点を記憶する際、1回の得点対応付け処理で対応付けられた(記録された)得点が判定設定値(第2の規定数、本例では規定ベット数と同じ3点。)未満であるか否かを判定する。そして、この管理装置10は、所定の上限回数(
図4中の回収回数)に亘って連続して判定設定値未満であると判定されたとき、特定の記録媒体(カード352)に対して報知動作を実行する。この報知動作は、不正回収行為が行われた旨を遊技場の従業員へ報知する動作である。
【0074】
この遊技場管理システム1では、判定設定値(第2の規定数)未満の得点を回収する行為が上限回数に亘って連続したときに従業員へ報知されるので、対応する遊技者へ直接声を掛けて警告を与えたり、その遊技者から記録媒体(カード)を没収したりする等、相応の対策を講ずることが可能である。
【0075】
遊技場管理システム1における記録媒体処理装置(カードユニット3)は、スロットマシン2などの遊技機に残存する得点(遊技点数)が第3の規定数(カード挿入禁止点数)以上である場合には新たな記録媒体(カード352)の受付を禁止する一方、得点が第3の規定数未満である場合には新たな記録媒体の受付を許可する。このように第3の規定数を設定すれば、他人が遊技機に残した得点を他人が不正に回収できる遊技点数を、第3の規定点数未満に制限できると共に、ごく少ない点数の得点が遊技機に残存したまま放置されてしまう状況を抑制できる。なお、第3の規定数として、規定ベット数である3点が設定された本例の構成の場合、遊技機に残存している得点が0~2点の場合にのみ、新たな別のカード352の受付が許可される。
【0076】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、規定ベット数(第1の規定数)、判定設定値(第2の規定数)およびカード挿入禁止点数(第3の規定数)が全て共通であり、3点という一の規定数が共用される構成を例示している。判定設定値と規定ベット数とは異なっていても良い。カード挿入禁止点数と規定ベット数とが異なっていても良い。判定設定値とカード挿入禁止点数とが異なっていても良い。
【0077】
本例では、記録媒体としてICチップを内蔵するカード352を例示している。記録媒体はカードに限定されず、どのような記録媒体であってもよい。例えば、遊技者が所持するスマートフォンなどの携帯端末を記録媒体として利用してもよい。この場合、携帯端末に内蔵されるICチップと非接触で近距離通信を行うことができる近距離通信部を、カードユニット3などの記録媒体処理装置に設ける必要がある。
【0078】
本例は、カード352のICチップに持点数や残金額を直接、書き込んで記録することで、記録媒体の一例をなすカード352に持点数や残金額を対応付けるように構成した例である。これに代えて、あるいは加えて、持点数や残金額をカード352に直接記録することなく、管理装置10側のみに記憶させることも良い。例えば、管理装置10において、カード352の識別情報であるカードIDを対応付けて持点数等を記憶することで、記録媒体の一例をなすカードに持点数等を対応付ける(得点対応付け処理)ことが可能である。カードユニット3は、カードを受け付けた際、そのカードから読み出したカードIDに対応付けられた持点数等を、管理装置10側に送信要求することで、記録媒体の一例であるカードに対応付けられた得点である持点数等を取得できる(得点取得処理)。
【0079】
カード352として、いわゆる会員カードを発行し、遊技者が獲得した持点数を会員カードの識別情報と対応付けて蓄積するようにしてもよい。会員カードについては、持点数等をカードに直接記録せず、管理装置10側でのみ持点数等を記憶する一方、当日限りの一般遊技者向けのカードについては、持点数等を直接記録する運用を採用しても良い。
【0080】
本例では、遊技機および記録媒体処理装置(カードユニット3)と、管理装置10と、が中継装置19を経由して通信するシステム構成を例示している。この構成に代えて、遊技機および記録媒体処理装置(カードユニット3)と、管理装置10と、が中継装置19を経由することなく直接通信を行うようにしてもよい。
本例では、遊技機としてスロットマシンを例示したが、パチンコ遊技機やじゃん球遊技機など様々な種類の遊技機に適用することができる。
【0081】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0082】
1 遊技場管理システム
10 管理装置(遊技データ生成手段、遊技データ記憶手段、記憶手段、判定手段、報知設定手段、報知手段、カード挿入禁止点数設定手段、カード発行許可点数設定手段)
100 場内ネットワーク
14 遊技情報表示装置
15 POS端末
16 精算機
19 中継装置
2 スロットマシン(遊技機:内部抽選手段、表示制御手段、入賞判定手段、得点付与手段、ボーナス状態発生手段、遊技点記憶手段、計数手段)
20 制御部
240 情報表示部
244 ベットボタン
3 カードユニット(記録媒体処理装置:残金額記憶手段、持点記憶手段、得点貸出手段、遊技点受信手段、カード記録手段、カード読出手段、リセット手段)
30 制御部
31 紙幣投入口
32 表示部
33 貸出ボタン
34 カード排出ボタン
35 カード挿入口
352 カード(記録媒体)