(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008812
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】電荷の中和検出装置および電荷の中和検出方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20230112BHJP
H05F 3/06 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01J37/20 H
H05F3/06
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022071951
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】110124378
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520238428
【氏名又は名称】台灣電鏡儀器股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳旭威
(72)【発明者】
【氏名】鄭新基
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼祖緯
(72)【発明者】
【氏名】謝▲テイ▼宇
【テーマコード(参考)】
5C101
5G067
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101FF13
5C101FF25
5G067AA41
5G067BA03
5G067DA01
5G067DA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電荷を中和する技術に関し、特に電荷の中和検出装置およびその検出方法を提供する。
【解決手段】電荷の中和検出装置は、真空チャンバー内に電子光学系と電荷中和部品が配置されており、電子光学系が荷電粒子ビームを真空チャンバー内の観察位置に出力し、電荷中和部品が蓄積された電荷を中和するように当該観察位置に到達する集束真空紫外線を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷の中和検出装置であって、
真空チャンバーと、
荷電粒子ビームを前記真空チャンバー内の観察位置に出力する電子光学系と、
前記観察位置に到達する集束真空紫外線を提供する電荷中和部品と、
を備え、
前記電荷中和部品は、
真空紫外線を放出する発光面と、
前記真空紫外線を集中させて前記集束真空紫外線を形成する集光素子と、
を含む、
電荷の中和検出装置。
【請求項2】
前記真空紫外線の波長は、10nm~300nmであり、又は100nm~200nmである、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項3】
前記集光素子は、真空紫外線を受け取り、集中させるために、前記発光面に配置されたか、または前記発光面に貼り付けられた凸レンズを含む、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項4】
集光素子はさらに、前記凸レンズにより集中された前記真空紫外線を受け取って反射し、前記集束真空紫外線を形成する平面反射鏡を含む、請求項3に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項5】
前記平面反射鏡の位置または方向、または前記位置および前記方向の組み合わせを調整する調整素子をさらに含む、請求項4に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項6】
前記集光素子は、前記真空紫外線を受け取り、集中および反射するために、前記発光面に配置された凹面反射鏡を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項7】
前記電荷中和部品はさらに、前記発光面と前記凹面反射鏡との間に配置されるコリメートレンズを含む、請求項6に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項8】
前記凹面反射鏡は回転可能である、請求項6に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項9】
前記集光素子は、鏡筒内に配置されているコリメートレンズおよび集束レンズを含み、前記コリメートレンズは、前記発光面に配置されるか、または前記発光面に貼り付けられる、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項10】
前記集光素子は、光ファイバ、光ガイド、光ファイバと集光レンズとの組み合わせ、または光ガイドと集光レンズとの組み合わせを含む、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項11】
前記集束真空紫外線は、前記荷電粒子ビームと平行しない方向で前記観察位置に照射する、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項12】
前記観察位置における前記集束真空紫外線の直径は、10mm未満であり、又は5mm未満であり、又は0.005mm~50mmである、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項13】
前記電荷中和部品は複数である、請求項1に記載の電荷の中和検出装置。
【請求項14】
電荷の中和検出方法であって、
検出対象を真空チャンバー内の観察位置に移し、
前記観察位置に照射する荷電粒子ビームを提供して、前記検出対象と作用させて信号を発生させ、
前記検出対象上の電荷を中和するように前記観察位置に照射する集束真空紫外線を提供する、
ことを含む電荷の中和検出方法。
【請求項15】
前記観察位置に集束真空紫外線を所定時間で照射した後、前記集束真空紫外線をオフにするか、前記集束真空紫外線が前記観察位置を照射しないように遮断することをさらに含む、請求項14に記載の電荷の中和検出方法。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームを交代におよび同時に提供するステップと、前記集束真空紫外線を提供するステップとをさらに含む、請求項14に記載の電荷の中和検出方法。
【請求項17】
前記集束真空紫外線の波長は100nm~200nmである、請求項14に記載の電荷の中和検出方法。
【請求項18】
前記集束真空紫外線を提供するステップは、複数の前記集束真空紫外線を観察位置まで提供することを含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の電荷の中和検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷を中和する技術に関し、特に電荷の中和検出装置およびその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル工場は、パネルの保護膜を剥がすときは、剥離による静電気による電気的損傷を避けるために、保護膜を剥がす過程で、パネルに紫外線を照射することによって剥離による静電気を除去する。
【0003】
台湾特許第1484522号は、静電チャックの静電気除去装置を実現するための荷電粒子光線装置を開示しており、紫外線および紫外線におり照射された被照射部品を静電チャックの吸着面の垂直方向に配置することによって、静電チャックの静電気を除去する目的を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電荷を中和および検出することができる電荷の中和検出装置を提供し、集束された真空紫外線を用いて、荷電粒子ビーム走査型の検出過程において、検出対象に蓄積された電荷を連続的に中和する。
【0005】
本発明は、電荷を中和および検出することができる電荷の中和検出装置を提供し、集束された真空紫外線を荷電粒子ビームと検出対象が作用する領域に照射させることによって蓄積された電荷を連続的に除去する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記によれば、電荷の中和検出装置は、真空チャンバーと、荷電粒子ビームをこの真空チャンバー内の観察位置に出力する電子光学系と、この観察位置に到達する集束真空紫外線を提供する電荷中和部品と、を備え、この電荷中和部品は、真空紫外線を放出する発光面と、この真空紫外線を集中させて集束真空紫外線を形成する集光素子とを含む。
【0007】
一例では、真空紫外線の波長は10nm~300nmであり、好ましくは100nm~200nmである。
【0008】
一例では、この集光素子は、真空紫外線を受け取り、集中するために、発光面に配置されたか、または発光面に貼り付けられた凸レンズを含む。
【0009】
一例では、平面反射鏡の位置または方向、または上記の2つの組み合わせを調整する調整素子をさらに含む。
【0010】
一例では、この集光素子は、真空紫外線を受け取り、集中および反射するために発光面に配置された凹面反射鏡を含み、この凹面反射鏡は回転可能である。
【0011】
一例では、この集光素子は、鏡筒内に配置されているコリメートレンズおよび集束レンズを含み、このコリメートレンズは、発光面に配置されるか、または発光面に貼り付けられる。
【0012】
一例では、この集光素子は、光ファイバ、光ガイド、光ファイバと集光レンズとの組み合わせ、又は光ガイドと集光レンズとの組み合わせを含む。
【0013】
一例では、集束真空紫外線は、この荷電粒子ビームと平行しない方向でこの観察位置に照射する。
【0014】
一例では、この観察位置におけるこの集束真空紫外線の直径は、0.005mm~50mmであり、好ましくは10mm未満であり、より好ましくは5mm未満である。
【0015】
一例では、電荷中和部品は複数である。
【0016】
上記によれば、電荷の中和検出方法は以下の手順を含む:検出対象を真空チャンバー内の観察位置に移し、この観察位置に照射する荷電粒子ビームを提供し、この検出対象と作用させて信号を発生させ、この検出対象上の電荷を中和するようにこの観察位置に照射する集束真空紫外線を提供する。
【0017】
一例では、電荷の中和検出方法は、さらに、観察位置に集束真空紫外線を所定時間で照射した後、集束真空紫外線をオフにするか、集束真空紫外線が観察位置を照射しないように遮断することを含む。
【0018】
一例では、電荷の中和検出方法は、荷電粒子ビームを交代におよび同時に提供するステップと集束真空紫外線を提供するステップをさらに含む。
【0019】
一例では、集束真空紫外線の波長は100nm~200nmである。
【0020】
一例では、集束真空紫外線を提供するステップは、複数の集束真空紫外線を観察位置まで提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0022】
【
図2】本発明の第1の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムが電荷の中和検出方法の手順概略図である。
【0023】
【
図3】本発明の第2の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0024】
【
図4】本発明の第3の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0025】
【
図5】本発明の第4の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0026】
【
図6】本発明の第5の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0027】
【
図7】本発明の第6の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0028】
【
図8】本発明の第6の実施例に係る電荷中和部品の拡大概略側面図である。
【0029】
【
図9】本発明の第7の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【0030】
【
図10】本発明の第8の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に説明する本発明に係る電荷中和装置は、電子機器、イオンメーター、顕微鏡などを含む検出装置に適用することができる。例えば、これらに限定されないが、電子機器は、オージェ電子マイクロプローブ(Auger Electron Microprobe)、X線光電子分光計((X-ray Photoelectron Spectrometer,XPS)、角度分解真空紫外線光電子分光計(Angle Resolved Ultraviolet Photoelectron Spectrometer,ARUPS)または高分解能電子エネルギー損失分光計(High Resolution Electron Energy Loss Spectrometer,HREELS)などであってよい。イオンメーターは、イオン散乱分光計(Ion Scattering Spectrometer,ISS)、二次イオン質量分析計(Secondary Ion Mass Spectrometer,SIMS)、又は集束イオンビームマイクロアナライザー(Focused Ion Beam Microanalyzer)などであってよい。顕微鏡は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope,TEM)、走査型透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope,STEM)、またはフィールドイオン顕微鏡(Field Ion Microscope,FIM)などであってよい。上記の電子機器、イオンメーターまたは顕微鏡機器は、荷電粒子ビームと検出すべきサンプルとの作用によって、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子(Auger electron)、散乱イオン、または特性X線を生成することができる。これらの信号は、検出すべきサンプルの材料または構造に関する情報を持っているため、捕捉された後に、さらに検出や分析することができる。以下に示す荷電粒子ビーム検出システムは、上記した電子機器、イオンメーター、顕微鏡などの検出機器を含んでよい。また、これらの検出機器の基本または標準の素子や構造などについて、冗長な説明を避けるために、一つずつ説明しないことが理解されたい。
【0032】
上記検出装置により検出できる検出すべきサンプルは異なる場合がある。検出すべきサンプルは、サンプリングされた後、直接に検出装置に移されて、検出用の検出対象となることができる。理解されるように、検出原理、検出プロセス、その他の要因を考慮した上で、検出対象となるサンプルに対して表面処理を実施してから、はじめて検出装置に移して検出対象となる。そのような方法は必然的に検出コストを増加させてしまう。本発明において以下に言及される検出対象の材料は、例えば、限定されないが、石英、ガラス、セラミック、ポリマー、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、半導体または接着剤(glue)などを含んでよい。
【0033】
本発明に係る真空紫外線は、10nm~300nmの波長範囲を有し、一般に知られている短波長紫外線(Ultraviolet-C、UVC)および真空紫外線(vacuum ultraviolet,VUV)をカバーする。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図1を参照して、電荷の中和検出装置2は、チャンバー10、電子光学系12、および電荷中和部品14を含む。一実施形態では、チャンバー10は、荷電粒子ビーム検出システムの真空チャンバー13として空間を提供する。真空チャンバー13は、例えば、荷電粒子ビーム検出システムの真空機器15を通して、チャンバー10により提供される空間を真空にするように排気する。電子光学系12は、荷電粒子ビーム21を出力するためのシステムであり、荷電粒子ビームを放出するための電荷発生源、対応する光学部品、および画像化部品を含む。電子光学系12は、チャンバー10に固定されてもよいし、或はその一部または全部を真空チャンバー13内に配置してもよい。電荷発生源は、荷電粒子ビームを放出して、対応する光学部品を通過した後、真空チャンバー13に進入させる。電荷の中和検出装置2は、検出対象34が載置されるキャリア32をさらに含んでよい。キャリア32によっては、検出対象34を観察位置23まで調整することができる。そして、電荷の中和検出装置2は、キャリア32に接続された調整ベース33をさらに含んでよい。調整ベース33は、並進、リフト、傾斜、回転などによってキャリア32の位置、傾斜、回転または方向を調整し、ひいては、検出対象34の位置、傾斜角度または方向を変更する。電子光学系12から真空チャンバー13に進入する荷電粒子ビーム21は、上記の観察位置23まで到達する。荷電粒子ビーム21は、観察位置23にある検出対象34と作用して、検出対象の情報を含む信号を生成することができる。電子光学系12は、信号を捕捉して、検出対象の情報の画像を取得する。例えば、限定されないが、検出対象34の材料としては、石英、ガラス、セラミック、ポリマー、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、半導体またはプラスチック材料、あるいはそれらの1つまたは複数の組み合わせであってよい。検出対象の情報には、検出すべきサンプルの材料または表面構造、あるいは上記の組み合わせが含まれる。
【0035】
引き続き
図1を参照して、観察位置23は、荷電粒子ビーム21と検出対象34が作用する領域を含む。作用領域は、検出対象34の表面または検出対象の表面下の領域であってよい。荷電粒子ビーム21を使用する検出プロセス中においては、荷電粒子ビーム21と検出対象34が作用し、検出対象34の表面に電荷を生成し続けるので電荷の蓄積を引き起すことに留意されたい。検出過程において、検出対象34の表面に蓄積された電荷は、信号の画像化に影響を与えるため、従来の方法では、先に検出対象に対して表面処理(例えば、導電性フィルムのコーティング)を実施し、これによって電荷の蓄積を低減することができる。しかしながら、本発明では、走査プロセス中において電荷を連続的に中和することによって電荷の蓄積を回避する。したがって、本発明では、電荷中和部品14が真空チャンバー13と合わせて、集束真空紫外線41を観察位置23に照射させることによって、観察位置23で中和効果を連続的に発生させる。それは、微量ガスを正または負に帯電したイオンに解離することによって蓄積された電荷を中和するか、または/および集束真空紫外線41を検出対象34の材料表面に照射させて光電効果を誘導して電荷を生成することによって蓄積された電荷を中和する。一実施形態では、電荷中和部品14は、真空紫外線43を放出する発光面42と、発光面42上に配置された集光素子44とを含む。集光素子44は、発光面42からの真空紫外線43を集中させる。それにより、観察位置23に入る単位面積当たりの光フラックスを増加させる。そして、発光面42は、市販の真空紫外線計/機器によって提供することができる。市販されている普通の真空紫外線計/機器によって放出される真空紫外線43は、コリメートするビームまたはわずかに発散するビームである。集光素子44は、凸レンズなどであって、チャンバー10または真空チャンバー13内に配置され、真空紫外線43を集束させ、観察位置23またはその周辺に集束真空紫外線41を出力する。このようにして、単位面積あたりの高い光フラックスを有する集束真空紫外線41を観察位置23に集中させて正電荷を生成することができる。ひいては、正電荷を用いて検出対象34の近くに蓄積された電荷を中和する。限定ではないが例として、集光素子44によって放出された集束真空紫外線41は、検出対象34の表面に直接照射し、集束真空紫外線41が検出対象34の表面に到達したときの照射領域の直径は、0.005mm~50mmであり、好ましくは10mm未満、例えば5mmであってよい。それによって、集中された光フラックスが正または負の電荷を生成して、観察位置23にある信号とならない電荷を中和する。さらに、検出対象34の位置、傾斜角または方向は、調整ベース33の調整によって変更することもできる。集束真空紫外線41の角度、位置および範囲と合わせて、真空チャンバー13内の他の構成要素または検出対象自体の構造34による陰影を避けて、電荷の中和または除去の効率を高めることができる。
【0036】
引き続き
図1を参照して、電子光学系12は、通常、観察位置23の真上にあり、電荷中和部品14によって出力される集束真空紫外線41は、角度θ(キャリア32の表面と集束真空紫外線41との夾角)で傾斜する方向に観測位置23に到達する。荷電粒子ビーム21と集束真空紫外線41は平行ではなく、集束真空紫外線41と検出対象34との間のθ角は180度未満である。
【0037】
上記によれば、本発明は、検出プロセスにおいて電荷を中和するための電荷の中和検出装置およびその装置により実行される検出プロセスを提供する。
図2を参照して、ステップ52:検出対象を本発明に係る電荷の中和検出装置の真空チャンバー内に移し、検出対象を観察位置まで調整する。荷電粒子ビーム検出システムにより検出が行われる場合、観察位置は通常、荷電粒子ビーム検出システムの電荷発生源の真下にあるが、本発明はそれに限定されない。ステップ54:荷電粒子ビームが検出対象と作用するように、観察位置にある検出対象に照射する荷電粒子ビームを提供する。ステップ56:観察位置にある検出対象に照射する集束真空紫外線を提供する。ここで、集束真空紫外線が観察位置に照射する期間は、信号とならない蓄積された電荷を中和するように、所定の期間で持続する。集束真空紫外線がオフまたは遮断された後、荷電粒子ビームが検出対象と作用して、画像を捕捉するために検出対象の情報を含む信号を生成する。任意選択で、検出対象の情報を有する信号が捕捉された場合に干渉を受けにくい装置と合わせて、本発明により提供された集束真空紫外線が観察位置に照射するステップは、荷電粒子ビームが検出対象を走査するステップと同時に実行されることができる。つまり、集束真空紫外線をオフせずに、信号とならない電荷を中和し続けることを提供する。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。第1の実施例と異なり、電荷の中和検出装置4の電荷中和部品24は、第1の実施例のように距離を維持するのではなく、集光素子44が発光面42に直接貼り付けている。そのため、第2の実施例では、発光面42からのコリメートした真空紫外線は、集光素子44に直接進入して集中し、集束真空紫外線41となる。
【0039】
図4は、本発明の第3の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図4を参照して、電荷の中和検出装置6における電荷中和部品64は、集光素子44および反射素子45を備えた光学モジュールを含む。紫外線光源装置66は、光学モジュールの集光素子44に対応する発光面42を提供する。発光面42から出力された真空紫外線は、集光素子44により集中された後、光学モジュールの反射素子45により観測位置23に反射される。また、電荷の中和検出装置6は更に、接続が密封状態にあることを確実にするように紫外線源機器66と光学モジュールとの間の接続を固定するための密封固定素子65を含む。第1の実施例と比べて、第3の実施例に係る電荷中和部品64には、光路の方向を変える反射素子45が追加されたことによって、電荷の中和検出装置6に配置された電荷中和部材64の柔軟性が高まる。任意選択で、電荷中和部品64は、調整素子47をさらに含んでよい。調整素子47は、反射素子45の位置、角度、方向またはそれらの組み合わせを調整することができる。それによって、集束真空紫外線41と検出対象34との間のθ角度または方向を変更する。この実施例では、集光素子44は、単一の凸レンズまたは組み合わされた凸レンズであってよい。反射素子45は、平面反射ミラーであってよい。調整素子47は、ミラーベースステージ(stage)であってよい。固定素子65はフランジ(flange)であってよい。
【0040】
図5は、本発明の第4の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図1、4、および5を参照して、第4の実施例では、電荷の中和検出装置8における電荷中和部品84に含まれる集光素子44は、集束反射を実行できる凹面鏡である。よって、発光面42からのコリメートした、またはわずかに発散した真空紫外線43は、集光素子44により集中および反射され後、観察位置23に到達することができる。他の構成要素は、前述の実施例と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0041】
図6は、本発明の第5の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図1、4、5、および6と同時に参照し、電荷の中和検出装置9における電荷中和部品94は、発光面42、コリメートレンズ49、および集光素子44を含む。集光素子44は、集束反射鏡である。そして、コリメートレンズ49および集光素子44は、それぞれ異なる鏡筒に配置される。第5の実施例では、集光素子44が配置される鏡筒は、単独に回転することができる。例えば、回転角は+/-45度であってよい。よって、出力された集束真空紫外線41は、より正確に観察位置23に集中するように調整することができる。理解されるように、集光素子44が配置される鏡筒の傾斜角は、調整することも可能である。他の構成要素は、前述の実施例と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0042】
図7は、本発明の第6の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図8は、本発明の第6の実施例に係る電荷中和部品の拡大概略側面図である。
図1、7、および8を同時に参照して、電荷の中和検出装置7における電荷中和部品74の集光素子44は、鏡筒50にコリメータレンズ49および集束レンズ48が配置される構成である。ここで、コリメータレンズ49と集束レンズ48は、別々に鏡筒50内に配置するか、またはコリメータレンズ49と集束レンズ48が近接して鏡筒50内に配置してもよい。これによって、第6の実施例では、電荷中和部品74は、第1の実施例に係る電荷中和部品14に類似して、直接な照射で、真空紫外線43が集中されて集束真空紫外線41となる。荷電粒子ビーム21と合わせると、照射範囲は、0.005ミリメートル(mm)~50ミリメートル(mm)となる。他の構成要素は、前述の実施例と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0043】
図9は、本発明の第7の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図1および
図9を同時に参照して、電荷の中和検出装置5における電荷中和部品51は、ファイバ(fiber)や光ガイド(light guide)などの光ガイド素子53を含む。そして、光ガイド素子53は発光面42に接続されており、紫外線光源装置66からの出力光は、光ガイド素子53に導かれて、真空チャンバー13内の観察位置23に近い位置に伝送される。これによって、電荷中和部品51を使用して電荷中和に必要な集束真空紫外線41を集中するという本発明の目的が達成できる。荷電粒子ビーム21と合わせると、照射範囲は、0.005mm~50mmとなる。任意選択で、集光レンズはまた、光ガイド素子53に組み込まれるか、または光ガイド素子53と発光面42との間に配置されてよい。他の構成要素は、前述の実施例と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0044】
図10は、本発明の第8の実施例に係る荷電粒子ビーム検出システムにおける電荷の中和検出装置の概略側面図である。
図7および
図10を参照して、
図7に示す電荷の中和検出装置7と比べて、電荷の中和検出装置1には、別の集束真空紫外線46を提供するように、別の電荷中和部品63が追加されている。電荷中和部品63は、第1から第7の実施例に開示されている電荷中和部品のいずれかであってよい。電荷の中和検出方法においては、検出対象自身の幾何学的形状または表面材料、構造などの要因への考慮に従って、電荷中和部品74と同じまたは異なる照射条件を提供することができる。例えば、電荷中和部品74および電荷中和部品63は、それぞれ、同じまたは異なる波長帯域の集束真空紫外線41、46を提供する。集束真空紫外線41、46は、同じまたは異なる角度α、θで観察位置に照射する。集束真空紫外線41、46は、観察位置における同じまたは異なる箇所に照射する。集束真空紫外線41、46の照射領域は、同じまたは異なる。電荷中和部品74および電荷中和部品63は、荷電粒子ビームの検出および照射と合わせて、同じ期間または異なる期間で、連続してまたは断続的にオンまたはオフ/ブロックされることができる。したがって、2つの電荷中和部品の協同により、非平坦な表面の検出対象や、異種材料結合または不均一な材料の検出対象にも適用できる。光源の照射を遮断する構造による電荷中和効果の減衰を克服したり、導電性の不連続性による電荷中和効果の減衰を克服したり、または一貫性のない電荷蓄積速度による電荷中和効果の減衰を克服したらすることができる。
【0045】
上記の実施形態は、本発明の技術的アイデアおよび特徴を説明するためだけのものであり、その目的は、当技術分野に精通している人々が本発明の内容を理解し、それに基づいてそれを実施できるようにすることである。本発明の特許範囲を限定するものではない。すなわち、本発明に開示された趣旨に従って行われたすべての同等の変更または修正は、依然として本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1、2、4、6、7、8、9 電荷の中和検出装置
10 チャンバー
12 電子光学系
13 真空チャンバー
14、24、51、63、64、74、84、94 電荷中和部品
15 真空機器
21 荷電粒子ビーム
23 観察位置
32 キャリア
33 調整ベース
34 検出対象
41、46 集束真空紫外線
42 発光面
43 真空紫外線
44 集光素子
45 反射素子
47 調整素子
48 集束レンズ
49 コリメートレンズ
50 鏡筒
53 光ガイド素子
52、54、56 ステップ
θ、α 角度
65 固定素子
66 紫外線源機器
【外国語明細書】