(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008814
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】スクラップ分離装置、および、打抜き格子を分離するための方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/14 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
B21D28/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077979
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】21183896
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】597175260
【氏名又は名称】ファインツール インターナショナル ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シュテムプフリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スクラップ容器の充填程度を増大するために、打抜き格子切片(スクラップ)粉砕形状を改善する。
【解決手段】打抜き装置から、スクラップとして送り出される打抜き格子13を、スクラップ分離装置を用いて、分離するための方法に関し、分離カッター4eで打抜き格子切片が形成され、分離カッター4eの昇降ストロークと共に、少なくとも1つの父型4fによって、少なくとも1つの格子ウェブが切断され、打抜き格子切片が、少なくとも2つの打抜き格子部分切片13dに分割される。これにより打抜き格子13が、走行方向に対して垂直方向に完全に切断可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打抜き装置(3)、特に精密打抜きプレス加工機から、スクラップとして送り出される打抜き格子(13)を、特に前記打抜き装置(3)に対する後続工具として配置されているスクラップ分離装置(1)を用いて、分離するための方法であって、
前記スクラップ分離装置(1)によって、
前記打抜き格子(13)が、分離カッター(4e)でもって、切断エッジ部(4d)において、この打抜き格子の走行方向(2)に対して垂直方向に完全に切断され、且つ、
このことによって、打抜き格子切片(13c)が形成される前記方法において、
前記分離カッター(4e)の昇降ストロークと共に、前記分離カッター(4e)に対して離間された少なくとも1つの父型(4f)、有利には少なくとも2つの前記父型(4f)によって、打抜き格子縁部に対して離間された、前記打抜き格子(13)の少なくとも1つの格子ウェブ(13b)が切断され、
特に、このことによって、それぞれの前記打抜き格子切片(13c)が、少なくとも2つの打抜き格子部分切片(13d)に分割されることを特徴とする方法。
【請求項2】
相前後して連続する昇降ストロークにおいて、先ず第一に、少なくとも1つの前記格子ウェブ(13b)が切断され、且つ、引き続いて、前記打抜き格子(13)の完全な切断が、前記走行方向(2)に対して垂直方向に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記父型(4f)によって、少なくとも1つの前記格子ウェブ(13b)から、部分片が、特に貫通切断において、打ち抜かれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
打抜き装置(3)、特に精密打抜きプレス加工機の、スクラップ分離装置(1)であって、
このスクラップ分離装置が、分離カッター(4e)と切断エッジ部(4d)とを備えており、
この分離カッター(4e)とこの切断エッジ部(4d)との協働によって、前記分離カッター(4e)の昇降ストロークの際に、
走行方向(2)においてこの分離カッター(4e)とこの切断エッジ部(4d)との間で貫通案内可能な打抜き格子(13)が、前記走行方向(2)に対して垂直方向に完全に切断可能である、上記スクラップ分離装置(1)において、
前記分離カッター(4e)に対して離間されて、特に前記走行方向(2)において離間されて/この分離カッター(4e)の延在方向に対して垂直方向に、
この分離カッター(4e)に対して位置固定式に配置され且つ前記分離カッター(4e)と共に運動可能な少なくとも1つの父型(4f)が設けられており、
特に前記父型によって、前記打抜き格子(13)内において、前記打抜き格子(13)の少なくとも1つの格子ウェブ(13b)が切断可能であることを特徴とするスクラップ分離装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記父型(4f)は、意図された前記帯材走行方向(2)において、前記分離カッター(4e)の手前に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のスクラップ分離装置。
【請求項6】
少なくとも2つの父型(4f)は、特に前記分離カッター(4e)に対して間隔をもって平行に延在する、共通の父型担持体(4g)に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のスクラップ分離装置。
【請求項7】
少なくとも2つの父型(4f)が設けられており、これら父型が、前記分離カッター(4e)の延在方向において、互いに離間されて配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載のスクラップ分離装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記父型(4f)、有利には少なくとも3つの父型(4f)の内、少なくとも1つの前記父型(4f)は、少なくとも1つの他の父型(4f)とは異なる、前記分離カッター(4e)に対する間隔を有していることを特徴とする請求項7に記載のスクラップ分離装置。
【請求項9】
前記スクラップ分離装置が、
a. 下側の担持体(7)を備えており、
b. 上側の担持体(5、5a、5b)を備えており、特にこの上側の担持体が運動学的に打抜き装置(3)に対して連結可能であり、この上側の担持体によって、前記下側の担持体(7)に対して相対的な昇降運動が、実施可能であり、および、
c.交換可能な打抜きモジュール(4)を備えており、
この打抜きモジュールが、前記上側の担持体(5、5a、5b)と結合されたまたは少なくとも結合可能なカッターユニット(4a)を備えており、このカッターユニットに、前記分離カッター(4e)と、少なくとも1つの前記父型(4f)とが配置されており、および、
この打抜きモジュールが、前記下側の担持体(7)と結合されたまたは少なくとも結合可能な切断プレート(4b)を備えており、この切断プレートに、前記分離カッター(4e)と協働する切断エッジ部(4d)と、少なくとも1つの前記父型(4f)と協働する少なくとも1つの母型開口部(4h)とが配置されている、
ことを特徴とする請求項4から8のいずれか一つに記載のスクラップ分離装置。
【請求項10】
前記カッターユニット(4a)と前記上側の担持体(5、5a、5b)とは、協働するレール要素(4i、5d)を有しており、
これらレール要素を用いて、前記カッターユニット(4a)が、有利には打抜き格子(13)の前記走行方向(2)において、または、前記分離カッター(4e)の延在方向に対して垂直方向において、前記上側の担持体(5、5a、5b)内に挿入されているまたは少なくとも挿入可能であることを特徴とする請求項9に記載のスクラップ分離装置。
【請求項11】
前記スクラップ分離装置は、中間の担持体(6)を有しており、
この中間の担持体に、前記打抜きモジュール(4)の案内スライディングブロックガイド(4c)が固定されているまたは固定可能であり、
この案内スライディングブロックガイドを通って、前記分離カッター(4e)、および、少なくとも1つの前記父型(4f)、または、共通の前記父型担持体(4g)が貫通案内されていることを特徴とする請求項9または10に記載のスクラップ分離装置。
【請求項12】
前記スクラップ分離装置は、少なくとも1つの打抜きモジュール担持体(14)を備えており、
この打抜きモジュール担持体によって、前記打抜きモジュールの少なくとも幾つかの要素、有利には前記打抜きモジュールの全ての要素が、少なくとも一時的に、特に組み付けの目的のために、固定式に互いに相対的に位置決め可能であり、有利には固定されておりまたは少なくとも固定可能であり、および、
この打抜きモジュール担持体によって、前記打抜きモジュール(4)が、総じてユニットとして前記スクラップ分離装置(1)内へと装入可能であり、且つ、このスクラップ分離装置から除去可能である、
ことを特徴とする請求項4から11のいずれか一つに記載のスクラップ分離装置。
【請求項13】
前記スクラップ分離装置は、離間された2つの載置ブラケット(12)を備えており、
特にこれら載置ブラケットが除去可能であり、
有利には、これら載置ブラケットが、スクラップシュート(10)の上方に配置されており、これら載置ブラケットの上において、前記打抜きモジュール(4)が載置可能および摺動可能であることを特徴とする請求項4から12のいずれか一つに記載のスクラップ分離装置。
【請求項14】
前記上側の担持体(5、5a、5b)は、離間された2つの案内通路(5c)を有しており、
これら案内通路を用いて、上側の担持体(5、5a、5b)が、打抜き装置(3)のそれぞれの案内ロッド(8)に押し込み可能であり、
特にこれら案内通路を用いて、前記上側の担持体(5、5a、5b)が、前記打抜き装置(3)によってこの打抜き装置の昇降ストロークの際に運動可能である、
ことを特徴とする請求項4から13のいずれか一つに記載のスクラップ分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打抜き装置から、スクラップとして送り出される打抜き格子を、スクラップ分離装置を用いて、分離するための方法であって、
その際、前記スクラップ分離装置によって、
前記打抜き格子が、分離カッターでもって、切断エッジ部において、この打抜き格子の走行方向に対して垂直方向に完全に切断され、且つ、
このことによって、打抜き格子切片が形成される。
【0002】
本発明は、同様に打抜き装置のスクラップ分離装置にも関し、
その際、このスクラップ分離装置が、分離カッターと切断エッジ部とを備えており、
この分離カッターとこの切断エッジ部との協働によって、前記分離カッターの昇降ストロークの際に、
走行方向においてこの分離カッターとこの切断エッジ部との間で貫通案内可能な打抜き格子が、前記走行方向に対して垂直方向に完全に切断可能である。
【背景技術】
【0003】
打抜き装置は、例えば、プレス機として形成されており、この打抜き装置内において、いわゆる貫通切断において、金属薄板から1つの金属薄板部片または複数の金属薄板部片が、昇降ストローク毎に打ち抜かれる。
打抜き装置は、例えば、同様にいわゆる精密打抜きプレス加工機として形成されていることも可能であり、この精密打抜きプレス加工機内において、切断/打ち抜きされるべき金属薄板部片が、切断工程の以前に、標準的な打ち抜きとは異なり、切断輪郭に沿って、いわゆる環状角状部を用いて把持される。同様にこの使用においても、金属薄板から1つの金属薄板部片が、または、複数の金属薄板部片が昇降ストローク毎に打ち抜かれ得る。
【0004】
その金属薄板残余分から金属薄板部片を打ち抜き/切断された該金属薄板残余分は、複数の切欠き部を備えており、これら切欠き部が、輪郭において、通常、それぞれに打ち抜かれた金属薄板部片のネガに相応する。この金属薄板残余分は、専門用語において打抜き格子と称される。
切欠き部は、そのような打抜き格子内において、ウェブによって相互間で結合されており、従って、この打抜き格子が、当初の金属薄板に相応して単一の帯材を形成する。
【0005】
打抜き格子は、通常、廃棄物処理またはリサイクリングされ得るスクラップである。
【0006】
それぞれに打抜き格子切片を形成するために、打抜き装置から送り出される打抜き格子を帯材走行方向に対して垂直の方向に完全に切断することは、基本的に公知である。
【0007】
この切断のために、冒頭に記載された様式のスクラップ分離装置が使用され、このスクラップ分離装置が、例えば、いわゆる後続工具として、帯材走行方向において、打抜き装置の後ろに配置されている。切断の後、帯材走行方向に対して垂直方向に見て、それぞれに当初の完全な金属薄板幅を有している打抜き格子切片が、スクラップコンテナ内へと落下することが意図されていることは可能である。
【0008】
その際、打抜き格子切片が無秩序にスクラップ容器内へと落下し、且つ、その際、分離されたウェブと切欠き部とが係止可能であることは問題である。特に打抜き格子切片の完全な幅に基づいて、これら打抜き格子切片が、従って、スクラップ容器内において如何なる大きなパック密度も達成可能ではない。
【0009】
スクラップ容器の充填程度は、従ってしばしば極めて低く、且つ、このスクラップ容器が、しばしば空にされるもしくは交換される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景から、本発明の課題は、特にスクラップ容器の充填程度を増大するために、打抜き格子切片の改善された粉砕を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従い、このことは、冒頭に記載された様式の方法において、
前記分離カッターの昇降ストロークと共に、前記分離カッターに対して離間された少なくとも1つの父型によって、打抜き格子縁部に対して離間された、前記打抜き格子の少なくとも1つの格子ウェブが切断される、
ことによって解決される。
【0012】
更に、本発明に従い、この課題は、冒頭に記載された様式のスクラップ分離装置において、
前記分離カッターに対して離間されて、
この分離カッターに対して位置固定式に配置され且つ前記分離カッターと共に運動可能な少なくとも1つの父型が設けられており、
特に前記父型によって、前記打抜き格子内において、前記打抜き格子の少なくとも1つの格子ウェブが切断可能である、
ことによって解決される。
【発明の効果】
【0013】
横方向において、即ち帯材走行方向に対して垂直方向に、完全な切断を行う分離カッターは、有利には、この分離カッターの延在方向において、この帯材走行方向に対して垂直方向に整向されている。この場合、少なくとも1つの父型が、分離カッターに対して、走行方向において/この分離カッターの延在方向に対して垂直方向に離間されている。
【0014】
有利には、少なくとも2つの父型、または、少なくとも3つの父型によって、これら父型の数に相応する、打抜き格子縁部に対して離間された格子ウェブの数が切断されることが意図されていることは可能である。例えば、スクラップ分離装置の少なくとも2つの父型、特に全ての父型が、特に前記分離カッターに対して間隔をもって平行に延在する、共通の父型担持体に配置されていることは可能である。
【0015】
打抜き格子縁部に対して離間されて配置されている、即ち打抜き格子面の内部に存在する、少なくとも1つの格子ウェブの分離によって、横方向における(帯材走行方向に対して垂直方向の)完全な切断に対して付加的に、横方向におけるそれぞれ打抜き格子切片の更なる分割が行われ得る。
【0016】
それぞれの打抜き格子切片が、このことによって、少なくとも2つの部分切片に分かれることが意図されていることは可能である。このことによって、明らかに、スクラップ容器内におけるより高いパック密度は達成され得る。同様にこのことによって、廃棄物処理またはリサイクリングも容易化される。
【0017】
有利には、打抜き格子切片が、父型の数プラス1の数に相応する、部分切片の数に分けることが意図されていることは可能である。
【0018】
有利には、それぞれの父型が、この父型によって、それぞれ1つのそのような格子ウェブが切断されるように配置されることは意図されており、該格子ウェブの切断が、横方向における完全な分離切断との関連において、特にそれぞれに当該の父型の幅位置における、同様に長手方向におけるそれぞれに生成された打抜き格子切片の完全な切断も誘起する。
その際、この幅位置は、帯材走行方向に対して垂直方向の、打抜き格子に対して相対的な父型の位置を意味する。
【0019】
特に有利には、少なくとも2つの父型が設けられており、これら父型が、前記分離カッターの延在方向において、互いに離間されて配置されていることは可能である。これら父型が、有利には、それぞれに同様に分離カッターの延在方向において、この延在方向において向かい合って位置する分離カッター端部に対して離間されて配置されていることも可能である。
【0020】
更に有利には、少なくとも2つの前記父型、有利には少なくとも3つの父型の内、少なくとも1つの前記父型が、少なくとも1つの他の父型とは異なる、前記分離カッターに対する間隔、特に帯材走行方向において見て、を有していることが、意図されていることは可能である。
複数の父型は、これに伴って、帯材走行方向において互いに位置ずれを有しており、特にこのことによって、父型を、これら父型の位置においてそれぞれに同様に打抜き格子の格子ウェブの位置に対して適合させることも、特に良好に可能である。何故ならば、特に頻繁に高い収量のために、打抜き格子内における切欠き部が同様に互いに位置ずれされて位置するからである。
【0021】
本発明が、有利には、
相前後して連続する昇降ストロークにおいて、先ず第一に、少なくとも1つの前記格子ウェブが切断され、有利にはそれぞれの父型によってそれぞれに1つの格子ウェブが切断され、
且つ、引き続いて、前記打抜き格子の完全な切断が、前記走行方向に対して垂直方向に分離カッターによって行われることを意図していることは可能である。
【0022】
有利には、この目的のために、少なくとも1つの前記父型が、意図された前記走行方向において、前記分離カッターの手前に配置されていることは意図されている。
【0023】
少なくとも1つの格子ウェブの切断の後、打抜き格子は、次いで、確かに、既にこの打抜き格子の打抜き格子面の内部で分離されているが、しかしながら、横方向において、未だ、特にこの打抜き格子の縁部における格子ウェブを介しての結び付きを有している。
この結び付きは、初めて、次いで横方向における分離切断によって分離される。
この分離切断によって初めて、これに伴って、打抜き格子切片が生成され且つこの打抜き格子切片が直接的にこの分離切断によって部分切片に分割されていることが生じる。
【0024】
全ての可能な実施形態において、更に、スクラップ分離装置が直接的に所属する打抜き装置によって駆動されていることが意図されていることは可能であり、その生成された打抜き格子が分割されるべきである。
有利に意図された直接的な、運動学的な、打抜き装置とスクラップ分離装置との間の連結によって、打抜き装置内において打抜きを生起するそれぞれの昇降ストロークによって、少なくとも1つの父型と分離カッターとによる分離を生成する、スクラップ分離装置内における昇降ストロークが生成される。スクラップ分離装置のために固有の駆動装置が、従って、同様に節約されることも可能である。
それにも関わらず、同様にスクラップ分離装置が固有の駆動装置を有することも可能であり、例えばこの駆動装置が打抜き装置と同期化されて作動する。
【0025】
本発明が、少なくとも1つの格子ウェブの分離が、特に分離カッターによっても行われるようにせん断によって行われることを意図していることは可能である。
【0026】
有利には、それに反して、少なくとも1つの前記父型によって、少なくとも1つの前記格子ウェブから、部分片が、特に貫通切断において、打ち抜かれることは意図されている。このことは、打抜き格子が、この打抜き格子の残留する割合分によって金属薄板の当初の平面の内部で残留し、且つ、従って、打抜き格子の更なる走行が阻害されないことの利点を有している。
打ち抜かれた部分片は、母型開口部を通って下方へとスクラップ分離装置から落下することおよび集積されることは可能であり、例えばそのスクラップ容器内へと同様に打抜き格子切片も落ち込む同じ該スクラップ容器内へと落下する。
【0027】
構造的に特に有利な実施形態は、
前記スクラップ分離装置が、
下側の担持体を備えており、
上側の担持体を備えており、特にこの上側の担持体が運動学的に打抜き装置に対して連結可能であり、この上側の担持体によって、前記下側の担持体に対して相対的な昇降運動が、実施可能であり、および、
交換可能な打抜きモジュールを備えており、
この打抜きモジュールが、前記上側の担持体と結合されたまたは少なくとも結合可能なカッターユニットを備えており、このカッターユニットに、前記分離カッターと、少なくとも1つの前記父型とが配置されており、および、
この打抜きモジュールが、前記下側の担持体と結合されたまたは少なくとも結合可能な切断プレートを備えており、この切断プレートに、前記分離カッターと協働する切断エッジ部と、少なくとも1つの前記父型と協働する少なくとも1つの母型開口部とが配置されている、
ことを意図していることは可能である。
【0028】
このことによって、モジュール式の構造が達成され得、打抜き格子が変化する場合、特にこの構造が打抜きモジュールの迅速な且つ有利な適合を可能にする。
【0029】
有利には、前記カッターユニットと前記上側の担持体とが、協働するレール要素を有しており、
これらレール要素を用いて、前記カッターユニットが、有利には打抜き格子の前記走行方向において、または、前記分離カッターの延在方向に対して垂直方向において、前記上側の担持体内に挿入されているまたは少なくとも挿入可能であることが意図されていることは可能である。
【0030】
有利には、付加的に、中間の担持体が設けられていることは可能であり、
この中間の担持体に、前記打抜きモジュールの案内スライディングブロックガイドが固定されているまたは固定可能であり、
この案内スライディングブロックガイドを通って、前記分離カッター、および、少なくとも1つの前記父型、または、共通の前記父型担持体が貫通案内されている。
【0031】
このようなモジュールのカッターユニットと切断プレートとが、協働のために、互いに規定された相対的な位置を有する必要があるので、
本発明が、有利には、スクラップ分離装置内への、打抜きモジュールの組み付けが、少なくとも1つの打抜きモジュール担持体によって行われることを意図していることは可能であり、
この打抜きモジュール担持体によって、前記打抜きモジュールの要素が、少なくとも一時的に、特に組み付けの目的のために、固定式に互いに相対的に位置決めされる/位置決め可能であり、有利には固定されておりまたは少なくとも固定可能であり、および、
この打抜きモジュール担持体によって、前記打抜きモジュールが、総じてユニットとして前記スクラップ分離装置内へと装入可能であり、且つ、このスクラップ分離装置から除去可能である。
少なくとも1つの、有利には離間された2つの打抜きモジュール担持体によって、スクラップ分離装置内への組み付けの間じゅう、カッターユニットと切断プレートとの間の相対的な位置は確実に維持され得、従って、組み付けられた打抜きモジュール担持体によって、カッターユニットおよび切断プレートの固定が行われ得、場合によっては、同様に案内スライディングブロックガイドの固定も行われ得る。
有利には、スクラップ分離装置における/内における、打抜きモジュールの固定の後に初めて、少なくとも1つの打抜きモジュール担持体が除去されることが意図されていることは可能である。
【0032】
前記スクラップ分離装置が、離間された2つの載置ブラケットを備えている場合、スクラップ分離装置内への打抜きモジュールの装入は、有利には更に容易化され得、これら載置ブラケットの上に、この打抜きモジュールが載置可能且つ摺動可能である。そのような載置ブラケットが、スクラップ分離装置に、除去可能に配置されていること、及び/または、有利には、スクラップシュートの上方、特にカバーフードの下方に配置されていることは可能である。
【0033】
少なくとも1つの載置ブラケットが、
打抜きモジュールの載置の後に、上側の担持体とカッターユニットとにおいて協働するレール要素が、打抜きモジュールの摺動が、特に少なくとも1つの打抜きモジュール担持体を用いて、少なくとも1つの載置ブラケットの上で、これらレール要素の接続を生じさせる程に、互いに面一に並べて整向されているように、
スクラップ分離装置に配置されていることは可能である。
【0034】
更に、有利には、スクラップ分離装置の前記上側の担持体が、離間された2つの案内通路を有しており、これら案内通路を用いて、上側の担持体が、打抜き装置のそれぞれの案内ロッドに押し込み可能である。
そのような案内通路は、有利には、それぞれの案内ロッドのように、帯材走行方向において延在しており、且つ、この帯材走行方向に対して垂直方向に互いに離間されている。これら案内ロッドによって、打抜き装置3昇降ストロークは、担持体に対して伝達され得る。
【0035】
更に、これら通路内において収容された案内ロッドを介してのスクラップ分離装置と打抜き装置との接続によって、このスクラップ分離装置と打抜き装置との間の間隔を、可変に、案内ロッドの上での上側の担持体の摺動によって、調節可能とすることの特に容易な可能性が生じる。
従って、特に良好に、横方向において行われる分離切断の位置は、特にこの位置を特に少ない材料割合分を有する個所において切断するために、打抜き格子内における切欠き部のパターンに対して適合され得る。
【0036】
このスクラップ分離装置とこの方法との有利な実施形態を、以下の図に基づいて詳しく説明する。
【0037】
図は、スクラップ分離装置1を示しており、このスクラップ分離装置が、次の工具として、走行方向2において、ただ部分的にだけ示された打抜き装置3の後ろに配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】その際に、打抜きモジュール4が未だにスクラップ分離装置1内へと装入されていない状態を示す図である。
【
図1B】その際に、打抜きモジュール4が未だにスクラップ分離装置1内へと装入されていない状態を示す図である。
【
図1C】打抜きモジュール4が装入されている状態を示す図である。
【
図3】打抜きモジュール4が装入されている状態を示す図である。
【
図4】打抜きモジュール4が装入されている状態を示す図である。
【
図5】打抜きモジュール4が装入されている状態を示す図である。
【
図6】打抜き格子13の本方法に従う分離を視覚化する図である。
【
図7】打抜き格子13の本方法に従う分離を視覚化する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
スクラップ分離装置1は、ここで2つの部材から成るように担持体要素5aと5bとから形成されている、上側の担持体5と、中間の担持体6と、下側の担持体7とを備えている。上側の担持体5は案内通路5cを有しており、これら案内通路が、打抜き装置3の案内ロッド8によって貫通されている。
打抜き装置3の昇降運動は、案内ロッド8を介して、上側の担持体5へと伝達され得る。上述の担持体5、6および7は、リニアガイド9を介して、上側の担持体5が、規定された状態で下側の担持体7に対して、特に同様に中間の担持体6に対しても相対的に垂直方向に運動可能であるように、互いに固定されている。
【0040】
下側の担持体7に、シュート10が配置されており、このシュートを介して、本発明に従い、
図1と4とには示されていない分割された打抜き格子切片が、スクラップ容器11内へと滑ることは可能である。
【0041】
下側の担持体7に、更に、走行方向2に対して垂直方向に離間された2つの載置ブラケット12が固定されている。
図1内において、打抜きモジュール4が、これら載置ブラケット12の上に載置されていることは認識可能である。
【0042】
打抜きモジュール4は、上側に位置しているカッターユニット4aと、下側に位置している切断プレート4bと、それらの間に位置している案内スライディングブロックガイド4cとを備えている。
切断プレート4bに、切断エッジ部4dが配置されており、この切断エッジ部4dは、カッターユニット4aの分離カッター4eと協働する。この分離カッターは、長手方向延在を有しており、この長手方向延在が、帯材走行方向2に対して直交して位置している。
分離カッター4eは、この方向において、分離されるべき金属薄板ストリップもしくは打抜き格子13よりも長く、走行方向2に対して直交して幅広である。これに伴って、打抜き格子13は、分離カッター4eによって完全に切断される。
【0043】
打抜きモジュール4は、分離カッター4eに対して付加的に、更に複数の父型4fを備えており、これら父型が、共通の父型担持体4gに配置されている。それぞれの父型4fは、切断プレート4b内における母型開口部4hと協働する。
母型開口部4hは、下方へと、下側の担持体の垂直方向の通路7a内へと、開口しており、これら垂直方向の通路を通って、打抜き格子ウェブから打抜かれた部材が落下可能である。母型開口部4hの輪郭は、基本的に、技術的に必要な切断間隙を除いて、父型4fの輪郭に対して形状同一である。
格子ウェブから打抜かれた部分片は、この部分片の形状において、格子ウェブ13bと母型開口部4hとの形状の重ね合わせに相応する。
【0044】
案内スライディングブロックガイド4cは、分離カッター、および、父型4fもしくは父型担持体4gの案内のために利用される。
【0045】
組み付けの目的のために、打抜きモジュール4が、例えば2つの打抜きモジュール担持体14を用いて、それ自体で固定されていることは可能であり、従って、打抜きモジュール4の要素の少なくとも幾つかの要素、有利には打抜きモジュール4の全ての要素が、相互に、規定された位置、有利には強固な不変の位置を有している。
図1Bは、基本的に、
図1Aと同じ眺望において示しており、但し、打抜きモジュール4の要素の少なくとも幾つかの要素、有利には打抜きモジュール4の全ての要素を、組み付けの目的のために予め定められた位置において相互に保持するために、2つの打抜きモジュール担持体14を有している。
スクラップ分離装置1内における打抜きモジュール4の組み付けの後、打抜きモジュール担持体14は打抜きモジュール4から除去される。この状態を、
図1Cが示している。
【0046】
少なくともカッターユニット4aは、有利には、このカッターユニットの上側のプレートにおいて、向かい合って位置するレール要素4iを有しており、特に、カッターユニットが上側の担持体内へと挿入されることは可能であり、このことによってレール要素4i、5dが接続されるという趣旨で、これらレール要素が上側の担持体における相応するレール要素5dと協働する。
レール要素は、特に、
図2と
図4内において認識可能である。切断プレート4b及び/または案内スライディングブロックガイド4cは、有利には、同様に、中間の担持体6における相応するレール要素内において、レール要素4iと結合され得る。
【0047】
図2Aと2Bとは、透視図と断面図において、2つの打抜きモジュール担持体14が、打抜きモジュール4に固定されている状態における、スクラップ分離装置1のその他の要素から切り離された、打抜きモジュール4を示している。
これら打抜きモジュール担持体14は、有利には、打抜きモジュール4の向かい合って位置する2つの側方領域において、この打抜きモジュールに固定されている。
【0048】
それぞれの打抜きモジュール担持体14は、有利には、打抜きモジュール4の全ての要素の少なくとも一部と結合可能、有利には、例えばねじ止めによって、強固に結合可能である。ここで、ねじ止めされる結合が、少なくとも打抜きモジュール4の切断プレート4bと案内スライディングブロックガイド4cとに対して存在することが意図されていることは可能である。
カッターユニット4aが、有利には緩く載置されていることは可能であり、しかしながら、それにも拘らず、他の要素4b、4cに対して規定された相対的な位置において、打抜きモジュール担持体14の上に載置している。選択的に、同様に打抜きモジュール担持体14に対するねじ止めされる結合がカッターユニット4aにおいて意図されていることも可能である。
【0049】
有利には、それぞれの打抜きモジュール担持体14が、摺動方向において載置ブラケット12の上で延在する少なくとも1つの担持体14a、有利にはそれぞれに摺動方向において延在する2つの、重なり合って位置する担持体14a、14bを有しており、これら担持体が架橋要素14cによって結合されていることは意図されている。そのような担持体14a、14bが、有利には、自由な端部に向かって先細りになっていることは可能である。
これら担持体が、打抜きモジュール4の要素の間に押し込まれることは可能であり、且つ、これら要素を規定された間隔内において保持する。例えば、上側の担持体14aが、カッターユニット4aと案内スライディングブロックガイド4cとの間で位置する状態になり、且つ、下側の担持体14bが、切断プレート4bと案内スライディングブロックガイド4cとの間で位置する状態になることは可能である。案内スライディングブロックガイド4cに対して相対的に運動可能なカッターユニット4aは、上側の担持体14aの上で緩く載置することは可能であり、または、同様にこの上側の担持体とねじ止めされていることも可能である。
【0050】
打抜きモジュール担持体14に、グリップ要素14dが、良好な取り扱いのために固定されていることは可能である。
【0051】
図6と7とは、本方法に従う作業方法を、異なる2つの例示において視覚化している。
【0052】
図6内において、打抜き格子13が図示されており、この打抜き格子が、帯材走行方向2に、打抜き装置3から走出し、且つ、スクラップ分離装置1内へと走入する。
打抜き格子13は、基本的に、例えば縁部波形性を有する、円形の切欠き部13aを備えている。例えば、それらのような切欠き部は、自動車の自動変速機のためのディスクプレートの製造の際に生成する。これら切欠き部13aは、互いに位置ずれされて配置されており、且つ、格子ウェブ13bによって接続されている。
【0053】
従来の公知技術に従い、切断エッジ部4dに沿った分離カッターでもって、打抜き格子を、帯材走行方向2を横切って、有利には走行方向2に対して垂直方向に、完全に切断することは意図されている。このことによって、連結する打抜き格子切片13cが生成され、これら打抜き格子切片は、
図6と7内において、打抜き格子13の全てのハッチングされた面領域の総和に相応する。
【0054】
本発明に従い、それに反して、更に、そのような打抜き格子ウェブ13bを父型4fによって切断するための、母型開口部4hの上のそれぞれの位置において父型4fを備えており、これら打抜き格子ウェブが、打抜き格子13内において、この打抜き格子の横方向における縁部の間の接続部を形成している。
この分離によって、打抜き格子切片は、部分切片13dに分かれる。このことによって、スクラップ容器11内において、明確により大きなパック密度が達成され得る。
【0055】
父型4fの、帯材走行方向に位置ずれされた位置によって、これら父型は、良好に格子ウェブ位置に適合され得る。
【0056】
分離カッター4eと父型4fとの位置は、有利には、
この分離カッター4eが、打抜き格子13の分離を、可能な限り少ない材料割合分を有する1つの領域内において行うように、特に(横方向において見て)打抜き格子内における最も少ない材料割合分の位置において行うように、および、
それぞれの父型4fが、有利には打抜き格子13内における横方向接合を具現している格子ウェブ13bを切断するように選択されている。
【0057】
図6は、スクラップ分離装置1が、打抜き装置3に対して寸法Xに従う間隔を有して配置されていることを示している。
【0058】
図7は、他の打抜き格子13による使用における、寸法Yを有する、打抜き装置3とスクラップ分離装置1との間の離間を示している。
図7の場合、3つの父型4fの代わりに、4つの父型4fgが使用される。何故ならば、
図6との比較において、より多くの横方向接合するウェブ13bが、打抜き格子13の示されたパターン内において存在するからである。同様に、
図7の場合、全ての父型4fは、分離カッター4eに対して異なる間隔を有している。
【0059】
間隔変化は、打抜き装置3の上側の担持体における、案内ロッド8と通路5cとの間の摺動によって行われ得る。
【符号の説明】
【0060】
1 スクラップ分離装置
2 走行方向
3 打抜き装置
4 打抜きモジュール
4a 上側に位置しているカッターユニット
4b 下側に位置している切断プレート
4c 案内スライディングブロックガイド
4d 切断エッジ部
4e 分離カッター
4f 父型
4g 父型担持体
4h 母型開口部
4i レール要素
5 上側の担持体
5a 担持体要素
5b 担持体要素
5c 案内通路
6 中間の担持体
7 下側の担持体
7a 垂直方向の通路
8 案内ロッド
9 リニアガイド
10 スクラップシュート、シュート
11 スクラップ容器
12 載置ブラケット
13 金属薄板ストリップ、打抜き格子
13a 切欠き部
13b 格子ウェブ、打抜き格子ウェブ
13c 打抜き格子切片
13d 打抜き格子部分切片、部分切片
14 打抜きモジュール担持体
14a 上側の担持体
14b 下側の担持体
14c 架橋要素
14d グリップ要素
【外国語明細書】