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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088148
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】サーボモータ装置、及び可動機構
(51)【国際特許分類】
   A63H 29/22 20060101AFI20230619BHJP
   A63H 29/00 20060101ALI20230619BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A63H29/22 C
A63H29/22 E
A63H29/00 A
H02K7/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202836
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】深山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】土橋 幸広
【テーマコード(参考)】
2C150
5H607
【Fターム(参考)】
2C150AA25
2C150DA06
2C150EB01
5H607BB01
5H607CC01
5H607CC03
5H607CC05
5H607DD19
5H607FF01
(57)【要約】
【課題】取り付け性が良好なサーボモータ装置を実現する。
【解決手段】本発明に係るサーボモータ装置は、モータを含む本体部と、本体部より突出され、本体部により回動自在に保持されてモータの動力を出力する出力軸と、を備え、本体部を貫通する貫通孔を有するものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを含む本体部と、
前記本体部より突出され、前記本体部により回動自在に保持されて前記モータの動力を出力する出力軸と、を備え、
前記本体部を貫通する貫通孔を有する
サーボモータ装置。
【請求項2】
前記本体部は板状に形成され、
前記貫通孔は、前記本体部の厚み方向を貫通している
請求項1に記載のサーボモータ装置。
【請求項3】
前記貫通孔内にベアリングを有する
請求項1又は請求項2に記載のサーボモータ装置。
【請求項4】
前記ベアリングが有する内輪の内側に形成された孔部である内側孔が、模型自動車における操舵輪の回転軸部を挿通する回転軸部挿通孔とされた
請求項3に記載のサーボモータ装置。
【請求項5】
モータを含む本体部と、前記本体部より突出され、前記本体部により回動自在に保持されて前記モータの動力を出力する出力軸とを有し、前記本体部を貫通する貫通孔を有するサーボモータ装置と、
前記モータの動力に基づき駆動される被駆動部と、を備えた
可動機構。
【請求項6】
前記本体部は板状に形成され、
前記貫通孔は、前記本体部の厚み方向を貫通している
請求項5に記載の可動機構。
【請求項7】
前記貫通孔内にベアリングを有する
請求項5又は請求項6に記載の可動機構。
【請求項8】
模型自動車における操舵機構として構成され、
前記ベアリングが有する内輪の内側に形成された孔部である内側孔に前記模型自動車における操舵輪の回転軸部が挿通された
請求項7に記載の可動機構。
【請求項9】
前記サーボモータ装置は、模型自動車の車体側から操舵輪に向けて延びるアーム部と操舵輪との間に位置され、
前記アーム部として、上下方向に離隔された第一アーム部と第二アーム部とを備え、
前記出力軸は、前記第一アーム部と前記第二アーム部のうち何れか一方のアーム部側から回動不能に支持され、
前記本体部は、前記第一アーム部と前記第二アーム部のうち何れか他方のアーム部側から前記出力軸を中心軸とした回動が自在となるように支持された
請求項8に記載の可動機構。
【請求項10】
前記回転軸部の両端部のうち、前記ベアリングにおける前記内側孔に挿通された側の端部である根元側端部に対し、当該根元側端部よりも大径とされた部分を有するキャップ部材が係止されている
請求項8又は請求項9に記載の可動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを含む本体部と、本体部より突出され本体部により回動自在に保持されてモータの動力を出力する出力軸とを備えたサーボモータ装置、及びサーボモータ装置とサーボモータ装置におけるモータの動力に基づき駆動される被駆動部とを備えた可動機構についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1や特許文献2に開示されるように、模型自動車の操舵機構やロボットの間接部分等におけるアクチュエータとして用いることのできるサーボモータ装置が知られている。サーボモータ装置は、モータを含む本体部と、本体部より突出され本体部により回動自在に保持されてモータの動力を出力する出力軸とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-29669号公報
【特許文献2】特開2006-43848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーボモータ装置としては、例えば上記した操舵機構やロボットの間接部分等、様々なタイプの可動機構への適用が考えられる。そして、可動機構への適用を考えた場合、サーボモータ装置としては、他部品との取り付け自由度が高められる等、取り付け性が良好なものとされることが望まれる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、取り付け性が良好なサーボモータ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るサーボモータ装置は、モータを含む本体部と、前記本体部より突出され、前記本体部により回動自在に保持されて前記モータの動力を出力する出力軸と、を備え、前記本体部を貫通する貫通孔を有するものである。
上記の貫通孔が設けられることで、サーボモータ装置が例えば模型自動車の操舵機構やロボットの間接部分等の各種の可動機構におけるアクチュエータとして適用される場合において、サーボモータ装置と他部品との取り付け手法として貫通孔を利用した取り付け手法を採用可能となる。
【0007】
また、本発明に係る可動機構は、モータを含む本体部と、前記本体部より突出され、前記本体部により回動自在に保持されて前記モータの動力を出力する出力軸とを有し、前記本体部を貫通する貫通孔を有するサーボモータ装置と、前記モータの動力に基づき駆動される被駆動部と、を備えたものである。
このような可動機構によっても、サーボモータ装置について、上記した作用と同様の作用が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取り付け性が良好なサーボモータ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態としてのラジコンシステムの電気的な構成概要を説明するためのブロック図である。
図2】リンク機構を用いる操舵機構の構成例を示した図である。
図3】操舵輪の回動角度変化量の舵角依存性についての説明図である。
図4】実施形態の模型自動車の外観斜視図として、主に模型自動車における操舵機構近傍の様子を示した図である。
図5】実施形態としてのサーボモータ装置の外観構成の説明図である。
図6】実施形態としてのサーボモータ装置の内部部品配置の説明図である。
図7】実施形態における操舵輪の取り付け機構についての説明図である。
図8】直進時における左側の操舵輪近傍の様子を示した図である。
図9】右転舵時における左側の操舵輪近傍の様子を示した図である。
図10】ホイールハブ部を用いた操舵輪の取り付けについての説明図である。
図11】スクラブ半径の短縮化により得られる効果についての説明図である。
図12】実施形態の模型自動車が備える入力減衰機構についての説明図である。
図13】同じく、実施形態の模型自動車が備える入力減衰機構についての説明図である。
図14】変形例としての操舵機構の説明図である。
図15】本体部の別構成例を説明するための斜視図である。
図16】別構成例としてのサーボモータ装置に取付用部材が取り付けられた様子の説明図である。
図17】本体部のさらに別の構成例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を次の順序で説明する。
<1.ラジコンシステムの構成概要>
<2.実施形態としての可動機構>
<3.入力減衰機構について>
<4.変形例>
<5.実施形態のまとめ>
<6.本体部の別構成例>
【0011】
以下の説明では、本発明に係る可動機構の一例として、模型自動車の操舵機構を挙げる。また、本発明に係るサーボモータ装置の一例として、模型自動車の操舵機構において操舵輪を舵角方向に回動駆動するための駆動源として用いられる操舵用サーボモータを挙げる。
【0012】
<1.ラジコンシステムの構成概要>
図1は、実施形態としてのラジコン(ラジオコントロール)システム100の電気的な構成概要を説明するためのブロック図である。
ラジコンシステム100は、被操縦体としての模型自動車1と、模型自動車1を無線により操縦するためのコントローラとして機能する送信機2とを少なくとも備える。
【0013】
図示は省略するが、本例において模型自動車1は、前後各一対の計四つの車輪を備えた四輪車として構成され、前輪としての左右一対の車輪が模型自動車1を旋回させるための操舵輪Wとして設けられ、後輪としての左右一対の車輪が模型自動車1を走行させるための駆動輪として設けられている。
なお以下、左側の操舵輪Wについては「操舵輪WL」と、右側の操舵輪Wについては「操舵輪WR」と表記する。
【0014】
模型自動車1においては、送信機2からの操縦信号を受信する受信機10と、加速又は減速や操舵を行うためのサーボモータとしての走行用サーボモータ14、操舵用サーボモータ15とが少なくとも設けられる。
本例の模型自動車1において、操舵用サーボモータ15としては、左側の操舵輪WLを舵角方向に回動駆動するための操舵用サーボモータ15(以下「操舵用サーボモータ15L」と表記する)と、右側の操舵輪WRを舵角方向に回動駆動するための操舵用サーボモータ15(以下「操舵用サーボモータ15R」と表記する)とが設けられている。
走行用サーボモータ14は、模型自動車1に搭載された不図示のエンジンにおけるキャブレターを調整するためのサーボモータとされる。本例における模型自動車1はエンジン車であり、エンジンを駆動源として後輪が駆動される。この走行用サーボモータ14の回転制御により、模型自動車1の加速(アクセル)や減速(ブレーキ)をコントロールすることが可能とされる。
なお、模型自動車1としてはモータを駆動源として車輪を駆動する構成とすることも可能である。その場合、走行用のモータを制御するESC(スピードコントローラ)を設けるようにする。
【0015】
ここで、模型自動車1における受信機10の詳細は後述する。
【0016】
送信機2は、模型自動車1を無線により操縦するための操縦信号を高周波変調して電波として発信する。図示のように送信機2は、インタフェース部20、エンコーダ25、送信部26、及びアンテナ27を備えている。
【0017】
インタフェース部20は、操縦者としてのユーザからの操作入力の受け付けやユーザに対する各種情報の提示等といったユーザに対するインタフェース動作を行う。インタフェース部20には、二つの操作レバー21、二つのトリムスイッチ22、表示部23、及び設定操作部24が設けられる。
【0018】
操作レバー21としては、模型自動車1について操舵のコントロールを行うための操作レバー21Xと、加速や減速のコントロールを行うための操作レバー21Yとが設けられる。
図1の例では、操舵用の操作レバー21Xを矢印Xで示す方向(紙面横方向)に操作することで操舵輪Wの向きをコントロールすることが可能とされ、他方の操作レバー21Yを矢印Yで示す方向(紙面縦方向)に操作することで模型自動車1の加減速をコントロールすることが可能とされる。
なお、操舵や加減速用の操作子については、例示したレバー状の操作子に限定されるものではなく、例えばホイール状等の他の形態による操作子を用いることも可能である。
【0019】
ここで、本例では、模型自動車1の操舵用サーボモータ15が上記のように左右の操舵輪Wごとにそれぞれ設けられるため、操作レバー21Xの操作に応じては、左側の操舵用サーボモータ15Lを駆動するための信号と、右側の操舵用サーボモータ15Rを駆動するための信号とが別々に生成される。
本例において、操作レバー21Xは、操作量(変位)に応じて可変抵抗器の抵抗値を変化させて、操舵用サーボモータ15L、15Rごとの制御信号を出力するように構成されている。
また、操作レバー21Yとしても、操作量に応じて可変抵抗器の抵抗値を変化させて走行用サーボモータ14の制御信号を出力するように構成されている。
【0020】
上記のような操作レバー21X、21Yにより、送信機2においては、操舵用サーボモータ15L用、操舵用サーボモータ15R用、及び走行用サーボモータ14用の合計3チャンネル分の制御信号が生成される。
図中では、操作レバー21Xや操作レバー21Yの操作に基づき生成されるこれら各チャンネルの制御信号を信号CH1、CH2、CH3と示している。ここでは、信号CH1は走行用サーボモータ14の制御信号、信号CH2、CH3はそれぞれ操舵用サーボモータ15L、15Rの制御信号であるとする。
図示のようにこれらの信号CH1、CH2、CH3はエンコーダ25に入力される。
【0021】
なお、上記のチャンネルのアサインはあくまで説明上の一例であり、例えばCH1を操舵信号(左右分)、CH2を走行用信号とする等、チャンネルと信号の組み合わせは適宜変更可能である。
【0022】
また、インタフェース部20には、操作レバー21が操作されていないときの中立位置に対する可変抵抗器の抵抗値(サーボモータの制御信号の値)を調整するためのトリムスイッチ22が設けられている。このトリムスイッチ22は、本例では操作レバー21X、21Yごとに設けられている(図中22X,22Y参照)。
なお、上記した中立位置に対する可変抵抗器の抵抗値は、後述する設定操作部24を介した操作によって行われるように構成することもできる。
【0023】
さらに、インタフェース部20には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成された表示部23が設けられている。ユーザは、この表示部23に表示された設定画面を通じ、設定操作部24に設けられた各種の操作子を用いて模型自動車1の操縦に係る各種設定を行うことが可能とされている。例えば、操舵に係る設定として、操舵輪Wの最大切れ角の設定等を行うことが可能とされる。また、ここでの設定としては、操作レバー21Yによるブレーキ操作又はアクセル操作に応じて操舵輪WL、WRのトー角を変化させる制御(直進性を高める制御)を行うか否かの設定等も行うことが可能とされる。この場合、トー角の調整は、操舵用サーボモータ15L、15Rの制御信号にトー角調整用の信号を重畳することで実現される。
【0024】
送信機2において、エンコーダ25は、インタフェース部20から入力される各チャンネルの信号CH1、CH2、CH3を例えばパルス幅変換すると共に、これら信号CH1、CH2、CH3を所定のフレーム周期で時分割多重化して出力する。
時分割多重化された信号CH1、CH2、CH3は送信部26に入力され、送信部26は、時分割多重化後の信号CH1、CH2、CH3をAM変調(振幅変調)又はFM変調(周波数変調FM)し、変調後の信号を操縦信号としてアンテナ27より電波送出させる。
【0025】
模型自動車1において、受信機10は、アンテナ11、受信部12、及びデコーダ13を有している。
受信機10は、送信機2により送出された操縦信号をアンテナ11を介して受信及び復調し、復調した受信信号をデコーダ13に出力する。
【0026】
デコーダ13は、受信機10により受信された操縦信号を各チャンネルの信号CH1、CH2、CH3に分離し、分離された信号CH1、CH2、CH3を走行用サーボモータ14、操舵用サーボモータ15L、15Rのうち対応するサーボモータにそれぞれ出力する。具体的に本例では、信号CH1が走行用サーボモータ14に、信号CH2が操舵用サーボモータ15Lに、信号CH3が操舵用サーボモータ15Rにそれぞれ出力される。
これにより、操作レバー21Xの操作に応じて操舵用サーボモータ15L、15Rがそれぞれ駆動制御されることになり、操作レバー21Xの操作に応じた模型自動車1の操舵が実現される。
また、操作レバー21Yの操作に応じて走行用サーボモータ14が駆動制御されることで、模型自動車1が操作レバー21Yの操作に応じて加減速される。
【0027】
<2.実施形態としての可動機構>
ここで、模型自動車1の操舵機構については、先の特許文献1のように、操舵用サーボモータ15を車体(シャーシ)側に設け、操舵用サーボモータ15による回動駆動力を操舵用のリンク機構を介して操舵輪側に伝達する構成を採ることが考えられる。
図2では、このようなリンク機構を用いる操舵機構の例として、特許文献1の図6に開示された構成を例示している。
この図2を参照して理解されるように、リンク機構によっては、操舵用サーボモータ15による回動駆動力が左右方向の並進運動に変換されて左右の操舵輪Wが舵角方向に回動駆動されるものとなる。
【0028】
しかしながら、上記のようなリンク機構においては接続ガタが少なからず生じるものとなり、該接続ガタが操舵制御精度の低下を招くものとなる。
また、上記のリンク機構は、操舵用サーボモータ15の回動運動を左右方向の並進運動に変換して操舵輪Wを駆動するという性質上、操舵用サーボモータ15の出力軸の回動角変化に対する操舵輪Wの回動角度変化量が舵角に依存して変化してしまうことになり、この点も操舵制御精度の低下を招来する一因となる。
【0029】
図3は、このような操舵輪Wの回動角度変化量の舵角依存性についての説明図である。
この図3から分かるように、上記のリンク機構を用いる場合には、舵角が小さい領域では操舵用サーボモータ15の出力軸の回動角変化に対する操舵輪Wの回動角度変化量は比較的大きくなるのに対し、舵角が大きい領域では操舵用サーボモータ15の出力軸の回動角変化に対する操舵輪Wの回動角度変化量は比較的小さくなり、操舵輪Wの回動角度変化量が舵角に依存して変化してしまう。
【0030】
そこで、本実施形態では上記した課題に鑑み、模型自動車1の操舵機構として、操舵輪Wと車体側からのアーム部との間に操舵用サーボモータ15を配置する構成、つまり、いわばインホイールサーボとしての構成を採るものとする。
【0031】
図4から図9を参照し、実施形態としての模型自動車1が備える操舵機構50について説明する。
図4は、模型自動車1の外観斜視図として、主に模型自動車1における操舵機構50近傍の様子を示しており、図5は操舵用サーボモータ15の外観構成の説明図、図6は操舵用サーボモータ15の内部部品配置の説明図である。また、図7は、操舵輪の取り付け機構についての説明図、図8図9はそれぞれ直進時、右転舵時における左側の操舵輪WL近傍の様子を示した図である。
なお、図4では操舵用サーボモータ15に対する配線や受信機10及び走行用サーボモータ14の図示は省略している。
また図5において、図5A図5Bはそれぞれ操舵用サーボモータ15の上面図、側面図であり、図6は操舵用サーボモータ15の側面図である。さらに、図7において、図7Aは取り付け機構を上面視した図、図7Bは取り付け機構に用いる各種部材の説明図であり、図8において、図8A図8Bはそれぞれ左側の操舵輪WL近傍の上面図、後面図(車両後方側から見た図)である。
【0032】
操舵機構50は、模型自動車1が有するシャーシ1aの前端部近傍に配置される(図4参照)。
本例において、操舵機構50は、左右対称な構成とされており、左側、右側それぞれにおいて、少なくとも上側アーム51、下側アーム52、操舵用サーボモータ15、回転軸部71、及び操舵輪Wを有している。なお以下の説明において、操舵機構50における左右の構成要素を区別する場合には、左側の構成要素について符号末尾に「L」を、右側の構成要素について符号末尾に「R」をそれぞれ付す。
【0033】
ここで、図4には、模型自動車1の足回り関係の構成要素としてショックアブソーバ61(61L及び61R)とショックタワー62とを示しているが、これらの構成要素については後に改めて説明する。
【0034】
上側アーム51、下側アーム52は、それぞれ操舵輪Wをシャーシ1a側から支持するためのアーム部として機能し、上下方向に離隔して配置されている。これら上側アーム51、下側アーム52は、車体外側方向に延在するように根元部がシャーシ1a側に取り付けられており、それぞれ先端近傍の部分(シャーシ1a側から最も遠い部分)が先端部51a、先端部52aとして形成されている。
【0035】
本例では、これら上側アーム51の先端部51aと下側アーム52の先端部52aとの間に操舵用サーボモータ15が配置され、操舵用サーボモータ15に対し、回転軸部71を介して操舵輪Wが連結されている。
【0036】
操舵用サーボモータ15は、本体部15aと出力軸15bとを有する(図5参照)。出力軸15bは、本体部15aより突出され、モータの動力を出力する。換言すれば、モータが発する回動駆動力の出力シャフトとして機能する。本体部15aは、内部にモータ(後述するモータ156)を有し、出力軸15bを回動可能に保持する部分である。図示のように本体部15aは、本例では板状に形成されており、出力軸15bは本体部15aの上面から上方向に突出している。
なお、ここでの方向は、模型自動車1に取り付けられた際の方向に従ったものである。
【0037】
出力軸15bは、板状とされた本体部15aが有する六つの面のうち、本体部15aの厚み方向に平行な四つの面の何れかより突出している。本例の操舵機構50において、操舵用サーボモータ15は、出力軸15bが上方向に突出する向きに配置されている。換言すれば、操舵用サーボモータ15は、本体部15aの厚み方向に直交する二つの主面が、上下方向に平行となるように配置されているものである。
【0038】
ここで、操舵用サーボモータ15は、本体部15aを貫通する貫通孔151を有し、この貫通孔151内にベアリング70を有している(図5B参照)。
図6に示すように、貫通孔151は、本体部15aにおける主面の略中央を、本体部15aの厚み方向に貫通する孔部として形成されている。本例において、貫通孔151は、略円柱状の孔部として形成されている。
【0039】
図6に示すように本体部15aの内部には、モータ156と、モータ156による回転動力を出力軸15bに伝達すると共にモータ156の回動速度に対し出力軸15bの回動速度を減速させる減速機構157と、出力軸15bの回動角度を検出する例えばポテンションメータ(可変抵抗器)等による角度検出部158と、モータ156の駆動回路やその他電子部品が実装された回路基板159が設けられている。
貫通孔151は、これらモータ156、減速機構157、角度検出部158、及び回路基板159等、本体部15a内部の配置部品を避けて、本体部15aの主面における略中央に形成されている。換言すれば、これらモータ156、減速機構157、角度検出部158、及び回路基板159等の本体部15a内部の配置部品は、貫通孔151を本体部15aの主面略中央に形成できるように、該主面略中央となる位置を避けるように配置されている。
【0040】
ベアリング70は、例えば転がり軸受や滑り軸受等としてのベアリングとして構成され、本体部15aにおける貫通孔151に勘合されている。
ベアリング70の内輪の内側には、略円柱状の貫通孔としての内側孔70hが形成されている。この内側孔70hは、操舵輪Wの回転軸部71を挿通する回転軸部挿通孔として機能する。
【0041】
ここで、上記のように貫通孔151に対してベアリング70が勘合された状態では、貫通孔151を目視することはできない。しかしながら、図5Bに示されるように本体部15aにベアリング70が埋め込まれた構成において、本体部15aには、ベアリング70を配置するための貫通孔151が形成されていることは明らかである。
従って、図5Bに例示されるように本体部15aに対してベアリング70が埋め込まれた構成においては、本体部15aには、ベアリング70を配置するための貫通孔151が形成されているとみなすことができる。
【0042】
図7を参照し、操舵用サーボモータ15に対する操舵輪Wの取り付け機構について説明する。
なお、図7では左右の操舵輪WL,WRの取り付け機構のうち左側の取り付け機構のみを代表して説明するが、右側の取り付け機構については左側の取り付け機構と左右対称となることから、図示による説明は省略する。
また、図7Aにおいて、操舵輪W(WL)については、ホイール部分のみを示すと共に、上半分をカットしたカットモデルとして示している。
【0043】
回転軸部71は、操舵輪Wの回転軸部であって、棒状に形成されている(図7B参照)。具体的に、本例において回転軸部71は、略円柱状の部材として形成されている。
回転軸部71は、操舵用サーボモータ15の本体部15aと操舵輪Wとを連結するための部材として用いられる。
【0044】
回転軸部71において、操舵輪Wが接続される側の端部を先端部71bとする。また、本体部15aと接続される側の端部を根元部71cとする。
先端部71bには、操舵輪Wの締結に用いられるナット73を螺合するためのねじ山が形成されている。このようにねじ山が形成された先端部71bの径は、回転軸部71における先端部71bの根元部に対して小径とされている。すなわち、回転軸部71において、先端部71bとそれよりも根元側の部分との境界部には、先端部71との径差による段部71dが形成されている。
【0045】
また、回転軸部71には、根元部71cよりも先端側で且つ先端部71bよりも根元側となる位置にフランジ部71aが形成されている。
フランジ部71aは、回転軸部71の根元部71cがベアリング70の内側孔70hに挿通された場合において、回転軸部71が模型自動車のシャーシ1a側に変位してしまうことを防止するための位置規制部として機能する。フランジ部71aは、回転軸部71の根元端から先端側に本体部15aの厚さに応じた分だけオフセットされた位置に形成されている。
【0046】
回転軸部71の根元部71cには、回転軸部71の根元端から先端側に凸となる孔部71hが形成されている。この孔部71hは、回転軸部71の根元部71cを操舵用サーボモータ15の本体部15aに対して固定するためのボルト72を締結するための孔部とされ、この孔部71hの外周壁にはねじ溝が形成されている。
【0047】
本体部15aに対する操舵輪Wの取り付けは、上記のように構成された回転軸部71と、ボルト72及びナット73を用いて行われる。
具体的には、回転軸部71の先端部71bを操舵輪WのセンターホールWhに挿通させた状態で、先端部71bに対してナット73を螺合することで、操舵輪Wを先端部71bにおいて固定させる。このとき、回転軸部71に形成された段部71dの径は、センターホールWhよりも大径であることから、段部71dは、操舵輪WのホイールにおけるセンターホールWhの外周部と当接し、回転軸部71(及び操舵輪W)が操舵用サーボモータ15に近づく方向に変位されてしまうことを防止するためのフランジ部として機能する。
【0048】
また、回転軸部71の根元部71cについては、本体部15aにおけるベアリング70の内側孔70hに挿通させ、その状態で、ボルト72を根元部71c内の孔部71hに螺合する。このとき、ボルト72は、頭部の径が、根元部71c(及びベアリング70の内側孔70h)よりも大径とされている。換言すれば、ボルト72は、根元部71c(及びベアリング70の内側孔70h)よりも大径とされた部分を有するものである。
【0049】
上記のようにボルト72を根元部71cの孔部71hに螺合することで、回転軸部71は根元部71cにおいて本体部15a側に固定される。このとき、根元部71cはベアリング70の内側孔70hに挿通されるため、回転軸部71、及びその先端部71bに固定された操舵輪Wは、本体部15aにより回転自在に保持されることになる。
【0050】
また、上記のようにボルト72を根元部71cの孔部71hに螺合した場合において、ボルト72の頭部は根元部71cの孔部71h及びベアリング70の内側孔70hよりも大径とされることから、ボルト72の頭部は、本体部15aにおける内側孔70hの形成部分よりも外周側となる部分に当接する。具体的に、本例においてボルト72の頭部は、ベアリング70の内輪に当接する。
これにより、回転軸部71、及びこれに固定された操舵輪Wが操舵用サーボモータ15から遠ざかる方向に変位してしまうことの防止が図られ、操舵輪Wが回転軸部71ごと模型自動車1から外れてしまうことの防止を図ることができる。
【0051】
なお、ボルト72は、請求項に言う「キャップ部」の一例である。キャップ部の回転軸部71に対する係止手法は、上記で例示したねじ山及びねじ溝を用いた係止手法に限らず、他の係止手法を採用することもできる。
【0052】
また、上記のようにボルト72を根元部71cの孔部71hに螺合した場合において、回転軸部71におけるフランジ部71aは、本体部15aにおける内側孔70hの形成部分よりも外周側となる部分、具体的に本例ではベアリング70の内輪に当接する。このようなフランジ部71aによって、回転軸部71及びこれに固定された操舵輪Wがシャーシ1a側に変位してしまうことが防止されるように、回転軸部71の軸方向における位置規制が実現される。
【0053】
なお、上記のような取り付け機構を採用していることで、本例では、一つの操舵用サーボモータ15を左右何れの操舵輪Wの取り付けにも対応可能とすることができる。
【0054】
続いて、アーム部との接続態様について説明する。
図5に示すように、出力軸15bの先端部には、上側アーム51との接続を行うための接続部15cが取り付けられている。接続部15cは、出力軸15bに直交する面に平行に配置された板状部152と、板状部152の端部から出力軸15bに平行な方向(本例では上方向)に延在するポール部153とを有する。
板状部152は、上面視で略長方形の形状を有し、長手方向における中央部において出力軸15bの先端部が接続されている。
ポール部153は、板状部152の長手方向における両端のうち一方の端部側に位置している。ポール部153は、その先端の近傍部分が先端部153aとして形成されている。
【0055】
また、本体部15aには、その下面においてピロボール154が形成されている。ピロボール154は、本体部15aの下面から下方向に突出して形成され、突出方向における先端部(つまり下端部)が略球状に形成されている。
【0056】
図8及び図9を参照し、上側アーム51及び下側アーム52と操舵用サーボモータ15との具体的な接続形態について説明する。なお以下の説明においても操舵機構50における左側の構成を代表として説明するが、右側の構成については左側に対し左右対称の関係となる以外は同様となることから図示による説明は省略する。
また、これら図8及び図9においては、車輪回転軸Arを示している。車輪回転軸Arは、模型自動車1の走行に伴い車輪が回転する際の回転軸を意味する。車輪回転軸Arは、車輪の径中心を貫く軸と換言できる。
【0057】
先ず、本例において、操舵用サーボモータ15Lの本体部15a、及び接続部15cにおける板状部152は、図8に示す直進時においては、それぞれ前後方向に略平行な方向を向いている。具体的に、直進時において、本体部15aは左右の側面が、板状部152は長手方向がそれぞれ前後方向に略平行とされる。本例において、直進時における板状部152の向きは、図示のようにポール部153を後端側に位置させる向きとされる。
【0058】
本例において、接続部15cにおけるポール部153の先端部153aは、上側アーム51Lの先端部51aに対し、ポール部153の回動を不能とするように接続されている。これにより、ポール部153に対し板状部152を介して連結された操舵用サーボモータ15Lの出力軸15bは、上側アーム51L側から回動不能に支持されることになる。
【0059】
一方、図8Bに示すように、操舵用サーボモータ15Lにおける本体部15aの下面に設けられたピロボール154は、下側アーム52Lの先端部52aに対して接続されている。具体的に、下側アーム52Lの先端部52aにはピロボール154の球状部を球面に沿った方向に摺動自在に勘合するための凹部Dが形成されており、ピロボール154はこの凹部Dを介して下側アーム52Lと接続されている。
これにより操舵用サーボモータ15Lの本体部15aは、下側アーム52L側から操舵回動軸と平行な軸(出力軸15bに平行な軸)を中心とした回動が自在に支持されている。
【0060】
ここで、操舵用サーボモータ15Lは、駆動信号が与えられると出力軸15bを回動させる駆動力を発生するが、上記のように出力軸15bが上側アーム51L側から回動不能に支持され、本体部15aが下側アーム52L側から回動自在に支持されていることで、そのような回動駆動力の発生に応じては、図9の右転舵時の様子として例示するように、本体部15aが操舵回動軸と平行な軸を中心に回動することになる。そして、このような本体部15aの回動に応じて、本体部15aの側面にホイールハブ部53を介して接続された操舵輪WLとしても、操舵回動軸と平行な軸を中心に回動することになる。
【0061】
なお、図8及び図9を参照して理解されるように、本例の操舵機構50における操舵回動軸は、図9A中に「As」で表す軸、すなわち、出力軸15bの回動中心軸となる。
以下、操舵回動軸には符号「As」を付す。
【0062】
上記では、本体部15aに形成されたピロボール154を下側アーム52に、接続部15cのポール部153を上側アーム51にそれぞれ接続する構成としたが、上記のような本体部15aの回動に伴い操舵輪Wを回動させる構成を実現する上では、逆に、ピロボール154を上側アーム51に、ポール部153を下側アーム52に接続することも可能である。この場合、上側アーム51の先端部51aにピロボール154を勘合するための凹部Dを形成し、下側アーム52の先端部52aにおいてはポール部153の回動を不能とするように先端部153aを接続する。すなわち、上記とは逆に、下側アーム52側から出力軸15bを回動不能に保持し、上側アーム51側から本体部15aを、出力軸15bを中心軸とした回動が自在となるように支持する構成である。
この点から理解されるように、本体部15aの回動に伴い操舵輪Wが回動する動作を実現するためには、操舵機構50が次のように構成されていればよい。すなわち、出力軸15bが、上側アーム51、下側アーム52のうち何れか一方のアーム側から回動不能に支持され、本体部15aが、上側アーム51、下側アーム52のうち何れか他方のアーム側から出力軸15bを中心軸とした回動が自在となるように支持された構成である。
【0063】
図4から図9の説明から理解されるように、本実施形態の操舵機構50は、インホイールサーボとしての構成を採るものである。
インホイールサーボとしての構成を採ることで、従来のように車体側に操舵用サーボモータを配置する場合に必要とされていた操舵用のリンク機構を不要とすることが可能となると共に、操舵用サーボモータの回動角と操舵輪の回動角とを同調させることが可能となる。
操舵用のリンク機構が不要となることで、当該リンク機構の接続ガタに起因した操舵制御精度の低下抑制を図ることができる。また、リンク機構が不要となることで、操舵輪の回動角度が舵角に依存して変化してしまうことの防止を図ることができる。従って、これらの面で、操舵制御精度の向上を図ることができる。
【0064】
また、本実施形態の操舵機構50においては、インホイールサーボの構成を採った場合における操舵用サーボモータ15に対する操舵輪Wの取り付け手法として、本体部15aが有する貫通孔151を利用した取り付け手法を採用している。具体的には、貫通孔151内に形成したベアリング70の内側孔70hに、操舵輪Wの回転軸部71を挿通する取り付け手法を採っている。
貫通孔151を利用した操舵輪Wの取り付け手法を採用することで、操舵回動軸Asから操舵輪Wの締結位置(本例ではナット73による締結位置)までの距離に相当するスクラブ半径の短縮化を図ることができる。
【0065】
ここで、インホイールサーボの構成を採る場合における操舵輪Wの取り付けに関しては、例えば図10に例示するような、ホイールハブ部53(図中では53L)を用いた取り付けを行うことが考えられる。ホイールハブ部53は、操舵輪Wを回転自在に保持する機構部である。
ホイールハブ部53を用いて操舵輪Wを操舵用サーボモータ15に取り付ける場合には、本体部15aの横側面(本例では主面)に対してホイールハブ部53を取り付け、さらに、ホイールハブ部53に対して操舵輪Wを回転自在に取り付けることになる。
このため、車輪回転軸Arの軸方向において、操舵用サーボモータ15から操舵輪Wの締結位置までの距離が比較的長くなり、スクラブ半径の拡大化を助長するものとなってしまう。
【0066】
これに対し、本実施形態のように本体部15aの貫通孔151に設けたベアリング70に回転軸部71を挿通する取り付け手法とした場合には、ホイールハブ部53を設けることを不要とできるため、車輪回転軸Arの軸方向において、操舵用サーボモータ15から操舵輪Wの締結位置までの距離を大幅に短くすることが可能となる、すなわち、ホイールハブ部53を用いる場合よりもスクラブ半径の短縮化を図ることができる。
【0067】
図11は、スクラブ半径の短縮化により得られる効果についての説明図であり、図11Aはスクラブ半径が大きい場合、図11Bはスクラブ半径が小さい場合について、それぞれ操舵輪WL,WRの回動態様を模式的に表している。
これら図11A図11Bを比較して分かるように、スクラブ半径を小さくすることで、操舵輪Wを回動させたときの操舵輪Wの位置の変化量を小さくすることができる。
このことから、スクラブ半径の短縮化が図られることで、操舵制御精度の向上を図ることができる。また、模型自動車1の操作者に対しては、良好な操舵フィーリングを提供することができる。
【0068】
<3.入力減衰機構について>
本実施形態では、操舵用サーボモータ15をアーム部と操舵輪Wとの間に配置した構成を採ることに対応して、操舵輪Wを介した路面からの入力を減衰するための入力減衰機構の構成を工夫している。
図12及び図13を参照し、実施形態の模型自動車1が備える入力減衰機構について説明する。
【0069】
図12において、図12Aは、操舵機構50における左側部分の近傍を正面視した図(車両前方側から見た図)である。なお、ホイールハブ部53L及び操舵輪WLの図示は省略している。
本実施形態の模型自動車1においては、入力減衰のための構成としてショックアブソーバ61L及びショックタワー62が設けられている。ショックアブソーバ61Lは、内部に液体等の緩衝材が封入されたシリンダー部とシリンダー部の外周に巻回されたスプリングとを有して構成され、スプリングに加わった衝撃をシリンダー部内における上記の液体又はガスにより生じる抗力により吸収することができるように構成されている。
ショックタワー62は、左右のショックアブソーバ61をシャーシ1a側と連結するための部材である。
【0070】
先ず前提として、実施形態の操舵機構50において、上側アーム51Lは、車体側端部51b(前述した根元部)、すなわち先端部51aとは逆側の端部が、該車体側端部51bを支点部とした上側アーム51Lの上下方向の揺動を可能とするようにシャーシ1aに対して連結されている。また、上側アーム51Lは、先端部51aが、該先端部51aを支点部とした上側アーム51Lの上下方向の揺動を可能とするようにポール部153の先端部153aに接続されている。すなわち、出力軸15bに連結されている。
【0071】
図8Bは、上側アーム51Lの先端部51aとポール部153の先端部153aとの接続形態の例を説明するための斜視図である。図示のように先端部153aには模型自動車1の前方側に突出する略円柱状のフック部160が形成され、上側アーム51Lの先端部51aにはフック部160に挿通される略円形の孔部Hが形成されている。この場合の先端部51aは、孔部Hがフック部160に挿通された状態で、例えばナット161等の挟持部材によりポール部153側と挟持されている。
例えばこのような構成により、上側アーム51Lは、先端部51aを支点部とした上下方向の揺動が可能となるようにポール部153の先端部153aに接続されている。
【0072】
また、下側アーム52Lは、車体側端部52b、すなわち先端部52aとは逆側の端部が、該車体側端部52bを支点部とした下側アーム52Lの上下方向の揺動を可能とするようにシャーシ1aに対して連結されている。また、下側アーム52Lは、先端部52aが、該先端部52aを支点部とした下側アーム52Lの上下方向の揺動を可能とするようにピロボール154に対して接続されている。すなわち、操舵用サーボモータ15Lの本体部15aに連結されている。
前述のように下側アーム52Lは凹部Dにおいてピロボール154の球状部を摺動可能に勘合しているため、下側アーム52Lは、先端部52aを支点部とした上下方向の揺動が可能となるように操舵用サーボモータ15Lの本体部15aに連結されている。
【0073】
上記のような構成が採られた上で、ショックアブソーバ61Lは、下端部61aが、下側アーム52Lの上記した車体側端部52bを支点部とした上下方向の揺動、及び先端部52aを支点部とした上下方向の揺動を可能とするように下側アーム52Lに連結されている。換言すれば、ショックアブソーバ61Lの下端部61aは、該下端部61aと下側アーム52Lとの接続部分を支点部とした下側アーム52の上下方向の揺動を可能とするように下側アーム52に対して連結されている。
そして、ショックアブソーバ61Lは、上端部61bが、上側アーム51Lを介さずにショックタワー62に接続されている(つまり車体側に連結されている)。
【0074】
上記により説明したサスペンション構造は、いわゆるダブルウィッシュボーン式のサスペンション構造である。
ダブルウィッシュボーン式は平行リンクを応用した方式であるため、路面の凹凸により操舵輪Wが上下してもキャンバー角が変化しないように図ることができる。
図13は、その説明図であり、操舵輪WLが路面の凸部を通過した際(図13A)、凹部を通過した際(図13B)の操舵及び入力減衰機構の様子を図12Aと同様の正面視により示している。これら図13A及び図13Bより、路面凹凸に対し操舵輪WLのキャンバー角が変化しないことが分かる。
【0075】
また、上記したダブルウィッシュボーン式のサスペンション構造によれば、ショックアブソーバ61の上端部61bが上側アーム51Lに連結されていないため、上側アーム51と下側アーム52との間に操舵用サーボモータ15を挿入する構成が採られても、路面からの入力減衰動作を阻害しないようにできる。
【0076】
なお、先に説明したように、上側アーム51Lの先端部51aをピロボール154を介して本体部15aに連結し、下側アーム52Lの先端部52aを出力軸15bに連結するという構成を採ることもできる。その場合において上記のようなダブルウィッシュボーン式のサスペンション構造を実現する上では、上側アーム51Lは、先端部51aが、該先端部51aを支点部とした上側アーム51Lの上下方向の揺動を可能とするように本体部15aに対して連結されればよく、また、下側アーム52Lは、先端部52aが、該先端部52aを支点部とした下側アーム52Lの上下方向の揺動を可能とするように出力軸15bに対して連結されればよい。
【0077】
なお、入力減衰機構について、右側の構成については上記により説明した左側の構成に対して左右対称の関係となること以外は同様となることから図示による説明は省略する。
【0078】
<4.変形例>
本発明は上記した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得る。
例えば上記では、出力軸15bと上側アーム51との連結について、接続部15cを介して出力軸15bを上側アーム51に連結する構成を例示したが、図14に示す変形例のように、出力軸15bの先端部を上側アーム51の先端部51aに直接的に接続した構成を採ることもできる。具体的に、この場合の出力軸15bの先端部は、上側アーム51の先端部51aに対し、出力軸15bの回動を不能とするように接続される。これにより、図8等で説明した構成を採る場合と同様に、操舵に応じて本体部15aと操舵輪Wとが連動して動く構成が実現される。
【0079】
また、上記では、操舵機構50が左右対称な構成とされる例を挙げたが、本発明に係る操舵機構は、左右の少なくとも一部に非対称な構成が含まれていてもよい。
また、上記では、四輪車としての模型自動車1に本発明を適用する例を挙げたが、本発明は、操舵輪を1以上備え且つ2輪以上の車輪を有する模型自動車に好適に適用することができる。
【0080】
また、上記では、本発明を模型自動車の操舵機構に適用する場合を例示したが、本発明に係るサーボモータ装置、可動機構については、それぞれ、操舵機構への適用に限定されるものではない。例えば、ロボットの関節部としての可動機構や、当該可動機構において所定の部品の駆動源として用いられるサーボモータ装置への適用が考えられる。
模型自動車の操舵機構以外の可動機構や操舵用サーボモータ以外のサーボモータ装置への適用であっても、サーボモータ装置の本体部に貫通孔を設けた構成とすることで、サーボモータ装置と他部品との取り付け手法として貫通孔を利用した取り付け手法を採用可能となる。具体的には、サーボモータ装置の外面を介して他部品を取り付ける手法のみでなく、貫通孔を介した他部品の取り付け手法を採用可能となる。
従って、可動機構におけるサーボモータ装置と他部品との取り付けに関して自由度の向上を図ることができる。
【0081】
<5.実施形態のまとめ>
以上で説明したように、実施形態としてのサーボモータ装置(操舵用サーボモータ15)は、モータ(同156)を含む本体部(同15a)と、本体部より突出され、本体部により回動自在に保持されてモータの動力を出力する出力軸(同15b)と、を備え、本体部を貫通する貫通孔(同151)有するものである。
上記の貫通孔が設けられることで、サーボモータ装置が例えば模型自動車の操舵機構やロボットの間接部分等の各種の可動機構におけるアクチュエータとして適用される場合において、サーボモータ装置と他部品との取り付け手法として貫通孔を利用した取り付け手法を採用可能となる。
従って、可動機構におけるサーボモータ装置と他部品との取り付けに関して自由度の向上を図ることができ、取り付け性が良好なサーボモータ装置を実現することができる。
【0082】
また、実施形態としてのサーボモータ装置においては、本体部は板状に形成され、貫通孔は、本体部の厚み方向を貫通している(図5及び図6等参照)。
これにより、貫通孔の長さを最小限に抑えることが可能となる。すなわち、本体部の厚み方向に直交する方向に貫通孔を形成する場合よりも貫通孔の長さを短くすることができる。
従って、貫通孔が形成されることに伴う本体部の強度低下の抑制を図ることができる。
【0083】
さらに、実施形態としてのサーボモータ装置においては、貫通孔内にベアリング(同70)を有している。
上記のベアリングを介して、サーボモータ装置の本体部に回転体を回転自在に取り付けることが可能とされる。
従って、例えば模型自動車の操舵機構において操舵輪を回転自在に保持するサーボモータ装置等、所定の回転体を回転自在に保持するサーボモータ装置を実現するのに好適である。
【0084】
さらにまた、実施形態としてのサーボモータ装置においては、ベアリングが有する内輪の内側に形成された孔部である内側孔(同70h)が、模型自動車における操舵輪の回転軸部(同71)を挿通する回転軸部挿通孔とされている。
これにより、模型自動車の操舵機構において操舵輪を回転自在に保持するサーボモータ装置を実現可能となる。
従って、インホイールサーボの実現化を図ることができ、従来のように車体側に操舵用サーボモータを配置する場合に必要とされていた操舵用のリンク機構を不要とすることができる。操舵用のリンク機構が不要となることで、当該リンク機構の接続ガタに起因した操舵制御精度の低下抑制を図ることができる。また、リンク機構が不要となることで、操舵輪の回動角度が舵角に依存して変化してしまうことの防止を図ることができる。従って、これらの面で、操舵制御精度の向上を図ることができる。
さらに、リンク機構が不要となることで、操舵輪を180度回動させることもできる。
また、上記構成によれば、リンク機構が不要となると共に、左右の操舵輪を独立して操舵駆動できる。このことで、アッカーマン比の調整を操舵用サーボモータの回動角度調整として電気的に行うことができる(つまり走行中の調整として行うことができる)。
ここで、アッカーマン比は、左右の操舵輪の切れ角の差を意味する。仮に、或る操舵量に対して左右の操舵輪の切れ角を同じとしてしまうと、左右の操舵輪は同じ半径の円を描くこととなる。このとき、アウト側の操舵輪が描く円弧の中心とイン側の操舵輪が描く円弧の中心との間には車幅分の差が生じているため、アウト側の操舵輪の軌跡とイン側の操舵輪の軌跡とは、ある時点で交差するものとなり、アウト側の操舵輪の軌跡がイン側の操舵輪の軌跡よりも内側を回るようになってしまう。このことから理解されるように、左右の操舵輪の切れ角を同じとしてしまうと、模型自動車をスムーズに旋回させることが困難となってしまう。
そこで、例えば模型自動車をスムーズに旋回させる等、模型自動車の操舵特性を所望の特性とするための左右操舵輪の切れ角調整が、アッカーマン比の調整として行われるものである。
また、上記構成によれば、特許文献1の図6に示される構成のように一つのサーボモータの出力により左右の操舵輪を回動駆動する操舵機構との比較では、左右の操舵輪の回動角度を独立して調整することができる。さらに、左右の操舵輪の回動角度を独立して調整できることで、走行中においてもトー角の調整を電気的に行うことができる。
また、回転軸部をベアリングの内側孔に挿通できることで、例えば、操舵輪を回転自在に保持するホイールハブ部を介して本体部と操舵輪とを連結する構成を採る場合よりも、スクラブ半径の短縮化を図ることができる。
スクラブ半径の短縮化が図られることで、操舵制御精度の向上を図ることができる。
また、ホイールスペーサを用いることでスクラブ半径の調整を容易に行うことができる。
さらに、サーボモータ装置がホイールハブ部の機能を兼ねる構成となるため、ホイールハブが不要なって部品点数の削減が図られると共に、バネ下重量の低減に繋がり、模型自動車の操作性の向上を図ることができる。
【0085】
また、実施形態としての可動機構(操舵機構50)は、モータを含む本体部と、本体部より突出され、本体部により回動自在に保持されてモータの動力を出力する出力軸とを有し、本体部を貫通する貫通孔を有するサーボモータ装置(操舵用サーボモータ15)と、モータの動力に基づき駆動される被駆動部(操舵輪W、回転軸部71)と、を備えたものである。
このような可動機構によっても、サーボモータ装置について、上記した作用と同様の作用が得られる。
従って、サーボモータ装置の取り付け性が良好な可動機構を実現することができる。
【0086】
また、実施形態としての可動機構においては、本体部は板状に形成され、貫通孔は、本体部の厚み方向を貫通している。
これにより、貫通孔の長さを最小限に抑えることが可能となる。
従って、貫通孔が形成されることに伴う本体部の強度低下の抑制を図ることができる。
【0087】
さらに、実施形態としての可動機構においては、貫通孔内にベアリングを有している。
上記のベアリングにより、サーボモータ装置の本体部に回転体を回転自在に取り付けることが可能とされる。
従って、例えば操舵輪を操舵駆動するためのサーボモータ装置によって操舵輪を回転自在に保持する模型自動車の操舵機構等、サーボモータ装置により所定の回転体を回転自在に保持する可動機構を実現することができる。
【0088】
さらにまた、実施形態としての可動機構は、模型自動車における操舵機構として構成され、ベアリングが有する内輪の内側に形成された孔部である内側孔に模型自動車における操舵輪の回転軸部が挿通されている。
これにより、模型自動車の操舵機構についてインホイールサーボを実現することが可能となる。
従って、インホイールサーボの実現化を図ることができ、従来のように車体側に操舵用サーボモータを配置する場合に必要とされていた操舵用のリンク機構を不要とすることができる。操舵用のリンク機構が不要となることで、当該リンク機構の接続ガタに起因した操舵制御精度の低下抑制を図ることができる。また、リンク機構が不要となることで、操舵輪の回動角度が舵角に依存して変化してしまうことの防止を図ることができる。従って、これらの面で、操舵制御精度の向上を図ることができる。
さらに、リンク機構が不要となることで、操舵輪を180度回動させることもでき、また、アッカーマン比の調整を操舵用サーボモータの回動角度調整として電気的に行うことができる(つまり走行中の調整として行うことができる)。
また、上記構成によれば、特許文献1の図6に示される構成のように一つのサーボモータの出力により左右の操舵輪を回動駆動する操舵機構との比較では、左右の操舵輪の回動角度を独立して調整することができる。さらに、左右の操舵輪の回動角度を独立して調整できることで、走行中においてもトー角の調整を電気的に行うことができる。
また、回転軸部がベアリングの内側孔に挿通されていることで、例えば、操舵輪を回転自在に保持するホイールハブ部を介して本体部と操舵輪とを連結する構成を採る場合よりも、スクラブ半径の短縮化を図ることができる。
スクラブ半径の短縮化が図られることで、操舵制御精度の向上を図ることができる。
また、ホイールスペーサを用いることでスクラブ半径の調整を容易に行うことができる。
さらに、サーボモータ装置がホイールハブ部の機能を兼ねる構成となるため、ホイールハブが不要なって部品点数の削減が図られると共に、バネ下重量の低減に繋がり、模型自動車の操作性の向上を図ることができる。
【0089】
また、実施形態としての可動機構においては、サーボモータ装置は、模型自動車の車体側から操舵輪に向けて延びるアーム部と操舵輪との間に位置され、アーム部として、上下方向に離隔された第一アーム部と第二アーム部とを備え、出力軸は、第一アーム部と第二アーム部のうち何れか一方のアーム部側から回動不能に支持され、本体部は、第一アーム部と第二アーム部のうち何れか他方のアーム部側から出力軸を中心軸とした回動が自在となるように支持されている。
上記のように出力軸が上下何れか一方のアーム部側から回動不能に支持され、本体部が上下何れか他方のアーム部側から出力軸を中心軸とした回動が自在となるように支持されていることで、この場合の可動機構においては、操舵に応じて、本体部が出力軸を中心軸として回動することになる。そして、操舵輪の回転軸部は本体部に対しベアリングを介して連結されていることから、操舵輪は、操舵に応じた本体部の回動に連動して回動する。
従って、上記構成によれば、本体部の貫通孔内に形成されたベアリングに操舵輪の回転軸部を連結することでスクラブ半径の短縮化を図る構成を採る場合において、サーボモータ装置を駆動源として操舵輪が適切に回動駆動されるようにすることができる。
【0090】
さらに、実施形態としての可動機構においては、回転軸部の両端部のうち、ベアリングにおける内側孔に挿通された側の端部である根元側端部に対し、当該根元側端部よりも大径とされた部分を有するキャップ部材(ボルト72)が係止されている。
上記のように回転軸部の根元側端部に係止されたキャップ部材によって、操舵輪に作用する路面抵抗等に起因して操舵輪がサーボモータ装置から遠ざかる方向に変位してしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、操舵輪が回転軸部ごと模型自動車から外れてしまうことの防止を図ることができる。
【0091】
<6.本体部の別構成例>
これまでの説明では、操舵用サーボモータ15の本体部15aは、操舵輪Wの回転軸部71を取り付けるための貫通孔151を有していたが、回転軸部71のような、サーボモータ装置に他部品を取り付けるための部材(以下「取付用部材」と表記)の取り付けのために、本体部に貫通孔151を形成することは必須ではない。
【0092】
例えば、図15図16に示すように、取付用部材を取り付けるための取付部160が形成された操舵用サーボモータ15Aを提案することができる。
なお、以下の説明において、これまでに説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
図15は、操舵用サーボモータ15Aの斜視図であり、図16は操舵用サーボモータ15Aに取付用部材(ここでは回転軸部71A)が取り付けられた状態を示す図である。
図15に示すように、操舵用サーボモータ15Aは、例えば側面に取付部160が形成された本体部15aAを有している。図示のように取付部160は、本体部15aAの側方に突出するように設けられている。
この場合、本体部15aAには、貫通孔151は形成されていない。
【0094】
本例では、取付部160には、取付用部材としての回転軸部71Aを螺合するためのねじ溝が形成された取付口160aが形成されている。
【0095】
なお、取付部160は本体部15aAと一体であってもよいし別部材として本体部15aAに接着等の手段により固定されたものであってもよい。
【0096】
図示は省略するが、回転軸部71Aには、操舵輪Wが取り付けられる側の端部とは逆側の端部に螺合用のねじ山が形成されており、これにより、図16A及び図16Bに示すように、回転軸部71Aを本体部15aAに螺合により取り付け可能とされている。
【0097】
上記のように取付部160を介して回転軸部71Aを取り付ける場合には、操舵輪W側にベアリングを設ける。すなわち、回転軸部71Aの先端部(取付部160に取り付けられる側の端部とは逆側の端部)を、ベアリングを介して操舵輪Wに取り付ける構成を採る。
なお、この場合、操舵輪Wが回転しても回転軸部71Aは回転しない。但し、回転軸部71Aとしては、操舵輪Wの回転軸となる位置に配置されることから、ここでは「回転軸部」との用語を用いている。
【0098】
上記構成によれば、サーボモータ装置の本体部に貫通孔151を形成する必要がなくなるため、本体部内に貫通孔151を設けるスペースを確保する必要がなくなり、サーボモータ装置の小型化を図ることができる。また、貫通孔151を設けることに伴うサーボモータ装置内部部品のレイアウト制約の緩和を図ることができ、サーボモータ装置の設計自由度の向上を図ることができる。
【0099】
なお、回転軸部71Aの本体部15aAに対する取り付け手法は螺合に限定されるものではなく、例えば接着やビス等を用いた取り付け等の他の手法を採ることもでき、特定手法に限定はされない。
【0100】
ここで、サーボモータ装置の本体部に取付用部材の取り付けのための貫通孔151を形成しない場合の構成としては、図17に示すように、取付用部材(図中、回転軸部15aa)を一体に形成した操舵用サーボモータ15Bの構成も挙げることができる。
図示のように操舵用サーボモータ15Bが有する本体部15aBには、例えば側面から突出する回転軸部15aaが一体に形成されている。
この場合も、図15図16に示した構成と同様に、回転軸部15aaとしての取付用部材の先端部にベアリングを介して操舵輪Wに取り付けられる。
【0101】
図17に示す構成を採った場合には、取付用部材(回転軸部15aa)を本体部15aBと一体成型できるため、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
【0102】
なお、図15から図17に示した構成についても、模型自動車の操舵機構以外への適用が考えられる。その場合、図15図16に示した構成については、取付部160の形成位置は、本体部15aAの側面に限定されるものではなく、取付部160に取り付けられた取付用部材を介し接続された他部品と、出力軸15b又は出力軸15bにより駆動される部品との干渉が防止される位置であれば、他の位置とすることができる。同様に、図17に示す構成において、回転軸部15aaとして例示した取付用部材の形成位置は、本体部15aBの側面に限定されず、取付用部材を介して接続された他部品と、出力軸15b又は出力軸15bにより駆動される部品との干渉が防止される位置であれば他の位置とすることができる。
【0103】
また、操舵機構以外への適用を考えた場合、取付用部材を介して接続された部品が動力を有することも考えられ、その場合には、本体部15aAや本体部15aBが回動又は回転されるケースも想定される。
【0104】
ここで、操舵機構以外への適用を考えた場合、取付用部材の形状は多様に考えられる。例えば、回転軸部71Aや回転軸部15aaのような円柱状等の柱状形状を始めとして、立方体や直方体の形状や球形状、或いは一部が柱状で一部が球状等、異なる形状部が組み合わされた形状等とすることが考えられる。
【符号の説明】
【0105】
1 模型自動車
15(15L,15R),15A,15B 操舵用サーボモータ
W(WL,WR) 操舵輪
Wh センターホール
50 操舵機構
51(51L,51R) 上側アーム
52(52L,52R) 下側アーム
51a,52a 先端部
51b,52b 車体側端部
53(53L,53R) ホイールハブ部
61(61L,61R) ショックアブソーバ
62 ショックタワー
61a 下端部
61b 上端部
70 ベアリング
70h 内側孔
71(71L,71R),71A 回転軸部
71a フランジ部
71b 先端部
71c 根元部
71d 段部
71h 孔部
72 ボルト
73 ナット
15a 本体部
15aa 回転軸部
15b 出力軸
15c 接続部
15d 支持部
151 貫通孔
152 板状部
153 ポール部
153a 先端部
154 ピロボール
156 モータ
157 減速機構
158 角度検出部
159 回路基板
160 取付部
160a 取付口
D 凹部
Ar 車輪回転軸
As 操舵回動軸
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