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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088150
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】コレットチャック
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/20 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B23B31/20 H
B23B31/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202838
(22)【出願日】2021-12-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 :令和3年5月14日 公開した場所 :電子メール 開催日 :令和3年9月7日 集会名、開催場所:見学会 株式会社NDK(徳島県名西郡石井町高川原字高川原1505番地) 販売日 :令和3年9月10日 販売した場所 :小松鋼機株式会社(石川県小松市光町20番地)
(71)【出願人】
【識別番号】321011158
【氏名又は名称】株式会社シンテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 章
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032JJ04
3C032JJ07
(57)【要約】
【課題】セグメントに分割したコレットチャックがバラバラになる状態を阻止して作業性を改善する。
【解決手段】ワークWKの空洞CV内に挿入されて、ドローバ220の挿抜により内面を押圧して保持するコレットチャック100は、外面13を、ワークWKに押圧して保持する外側湾曲面とし、内面14を、ドローバ220と連動して押圧される、該ドローバ220の挿入方向に沿って傾斜された内側湾曲面とした、硬質の複数のセグメント片10と、複数のセグメント片10を、外面13と内面14とを接続する側面15同士が対向する姿勢で、断面視において環状に並べたセグメント集合体1とした状態で、該セグメント集合体1の端部を束ねる弾性リング30とを備える。複数のセグメント片10は、それぞれ、環状に束ねられた状態で、隣接するセグメント片10の側面15同士の界面に、該隣接するセグメント片10同士を係止する係止部20を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を有するワークの、空洞内に挿入されて、ドローバの挿抜によりワーク空洞内の内面を押圧して保持するコレットチャックであって、
外面を、ワークに押圧して保持する外側湾曲面とし、
内面を、ドローバと連動して押圧される、該ドローバの挿入方向に沿って傾斜された内側湾曲面とした、硬質の複数のセグメント片と、
前記複数のセグメント片を、前記外面と内面とを接続する側面同士が対向する姿勢で、断面視において環状に並べたセグメント集合体とした状態で、該セグメント集合体の端部を束ねる弾性リングと、
を備え、
前記複数のセグメント片は、それぞれ、環状に束ねられた状態で、隣接するセグメント片の側面同士の界面に、該隣接するセグメント片同士を係止する係止部を備えてなるコレットチャック。
【請求項2】
請求項1に記載のコレットチャックであって、
前記係止部は、隣接するセグメント片同士が係止状態を保ったまま、一定の範囲で相対的に移動できるよう、遊びを設けてなるコレットチャック。
【請求項3】
請求項2に記載のコレットチャックであって、
前記複数のセグメント片が、隣接する第一セグメント片と、第二セグメント片を含んでおり、
前記第一セグメント片が、前記係止部として、T字状の突起を有する第一係止部を備えており、
前記第二セグメント片が、前記係止部として、前記第一係止部のT字状の左右をそれぞれ囲むよう、L字状の一対の係止片を有する第二係止部を備えてなるコレットチャック。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のコレットチャックであって、さらに、
隣接するセグメント片同士の界面にそれぞれ介在された、複数の板状弾性体を備えてなるコレットチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレットチャックに関する。
【0002】
コレットチャックはワークを保持する保持体の一種であり、環状や筒状のワークの内面に挿入されて、内壁を押圧して保持する。また、マシニングセンター等の工作機械の主軸の保持孔に装着される工具ホルダーを保持する工具ホルダー保持体にも利用されている。このようなコレットチャックを工具ホルダー保持体に用いた一例を、図11図14に基づいて説明する。ここでは、図11図12に示す工作機械の主軸901の保持孔902に装着される工具ホルダーAの被係止部903に、ドローバ905の作動により係止して工具ホルダーAを保持する工具ホルダー保持体900を示している。工具ホルダー保持体900は、ドローバ905に被嵌されるものであり、ドローバ905の後退により先端部が外方へ移動して工具ホルダーAの被係止部903に係止する係止部904bが形成された複数の爪部材904と、ドローバ905に被嵌され、環状に設けられた爪部材904夫々の基端部を位置決め保持する位置決め保持部906aが形成された位置決め環状体906とで構成される。位置決め環状体906には、複数の爪部材904が、位置決め保持部906aにより位置決めされた状態で環状に配設される。爪部材904は、各爪部材904の基端部に貫通孔904aが形成されている。この貫通孔904aは、位置決め環状体906の先端側外周面に設けられた位置決め保持部906aに被嵌係止される。また環状に設けられた爪部材904には、弾性部材907が被嵌されて、各爪部材904が束ねられている。弾性部材907により、ドローバ905が前進し、被係止部903と係止部904bとの係止が解除された後、外方に位置している爪部材904夫々の先端部が内方に復帰するように構成されている。なお工具ホルダーAの被係止部903は、図13図14に示すように工具ホルダーAの基端部に凹部3aを形成して構成された周壁内面に形成されている。この凹部903aに、各爪部材904の先端部を挿入し、係止部904bを外方に移動させ且つ後退させた際、係止部904bは被係止部903に係止し、工具ホルダーAは保持される。
【0003】
工具ホルダー保持体900の斜視図を図15に、分解斜視図を図16に示す。爪部材904は、8個に分割形成されており、位置決め環状体906の周囲に環状に並列状態に配設されている。この状態で、弾性部材907が被嵌され、各爪部材904は束ねられた状態となる。
【0004】
しかしながら、爪部材904を複数に分割したことで、バラバラになり易くなるという問題があった。例えば、保持対象のワークの交換時や、装置の段取り替えなどの際に、弾性部材907から外れると、爪部材がバラバラになって、作業性を低下させる原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-110690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、セグメントに分割したコレットチャックがバラバラになることを阻止して作業性を改善したコレットチャックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の形態に係るコレットチャックによれば、空洞を有するワークの、空洞内に挿入されて、ドローバの挿抜によりワーク空洞内の内面を押圧して保持するコレットチャックであって、外面を、ワークに押圧して保持する外側湾曲面とし、内面を、ドローバと連動して押圧される、該ドローバの挿入方向に沿って傾斜された内側湾曲面とした、硬質の複数のセグメント片と、前記複数のセグメント片を、前記外面と内面とを接続する側面同士が対向する姿勢で、断面視において環状に並べたセグメント集合体とした状態で、該セグメント集合体の端部を束ねる弾性リングとを備え、前記複数のセグメント片は、それぞれ、環状に束ねられた状態で、隣接するセグメント片の側面同士の界面に、該隣接するセグメント片同士を係止する係止部を備えることができる。上記構成により、セグメント集合体は係止部により、隣接するセグメント片同士が係止された状態に維持されるため、セグメント集合体を一体的に取り扱い易くなってハンドリング性が向上する。特に弾性リングが外れた状態でも、セグメント片間が連結された状態に維持されるので、従来よりもセグメント片がバラバラになる事態を回避できる。
【0008】
また、第2の形態に係るコレットチャックによれば、上記構成において、前記係止部は、隣接するセグメント片同士が係止状態を保ったまま、一定の範囲で相対的に移動できるよう、遊びを設けている。上記構成により、セグメント片同士の連結状態を維持しつつ、ドローバの挿抜によるセグメント片同士の相対的な移動が許容され、コレットチャックとしての機能を維持しながら、バラバラになる事態を回避できる。
【0009】
さらに、第3の形態に係るコレットチャックによれば、上記何れかの形態において、前記複数のセグメント片が、隣接する第一セグメント片と、第二セグメント片を含んでおり、前記第一セグメント片が、前記係止部として、T字状の突起を有する第一係止部を備えており、前記第二セグメント片が、前記係止部として、前記第一係止部のT字状の左右をそれぞれ囲むよう、L字状の一対の係止片を有する第二係止部を備えることができる。上記構成により、第一セグメント片と第二セグメント片を、遊びを有する状態で機械的に連結することが可能となる。
【0010】
さらにまた、第4の形態に係るコレットチャックによれば、上記何れかの形態において、さらに、隣接するセグメント片同士の界面にそれぞれ介在された、複数の板状弾性体を備えることができる。上記構成により、隣接するセグメント片同士の界面を板状弾性体で保護し、硬質のセグメント片同士が直接接触して欠損などを生じる事態を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るコレットチャックの斜視図である。
図2図1のコレットチャックの垂直断面図である。
図3図2のコレットチャックでワークを保持する状態を示す模式断面図である。
図4図2のコレットチャックでワーク保持を解除する状態を示す模式断面図である。
図5図1のコレットチャックの分解斜視図である。
図6図5のチャック集合体の斜視図である。
図7図6のチャック集合体の一部断面側面図である。
図8図6のチャック集合体の垂直断面図である。
図9図6のチャック集合体の平面図である。
図10図6のチャック集合体の係止部を示す拡大図である。
図11】従来のコレットチャックの使用状態を説明する模式断面図である。
図12】従来のコレットチャックの使用状態を説明する模式断面図である。
図13】従来のコレットチャックの使用状態を説明する模式断面図である。
図14】従来のコレットチャックの使用状態を説明する模式断面図である。
図15】従来のコレットチャックを示す斜視図である。
図16】従来のコレットチャックを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに限定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態]
【0013】
本発明の一実施形態に係るコレットチャック100を、図1図6に示す。これらの図において、図1は本発明の一実施形態に係るコレットチャック100の斜視図、図2図1のコレットチャック100の垂直断面図、図3図2のコレットチャック100でワークWKを保持する状態を示す模式断面図、図4図2のコレットチャック100でワークWKの保持を解除する状態を示す模式断面図、図5図1のコレットチャック100の分解斜視図、図6図5のチャック集合体の斜視図を、それぞれ示している。これらの図に示すコレットチャック100は、セグメント集合体1とチャック集合体200で構成される。図3図4に示すように、空洞を有するワークWKの空洞CV内に挿入されて、チャック集合体200のドローバ220の挿抜によりワーク空洞CV内の内面を保持する。具体的には、図3のように、ドローバ220を上方からセンタリングボディ230に挿入する(図においてドローバ220を上から下に降下させる)ことで、セグメント集合体1の外面をワーク空洞CV内の内面に押圧して保持する(チャック状態)。逆に図4のように、ドローバ220を抜き取る(図において上昇させる)ことで、セグメント集合体1の外面をワーク空洞CV内から離間させて、保持状態を解除する(アンチャック状態)。
(チャック集合体200)
【0014】
チャック集合体200は、図1図5に示すように、エンドプレート210と、ドローバ220と、その周囲を覆うセンタリングボディ230を備える。エンドプレート210は、ナット211とシャフト212とCワッシャ213を備えており、これらでもってエンドプレート210をドローバ220に固定する。ドローバ220は、図示しない昇降機構と接続されて、図3図4に示すようにベース240から上下に昇降される。さらにエンドプレート210は、セグメント片固定ボルト214でもって、セグメント集合体1の上面に固定されている。さらにまたセグメント片10が、エンドプレート210に拡開自在に連結されている。センタリングボディ230は中心に挿通孔231を開口しており、この挿通孔231に挿通されたドローバ220を挿抜方向に移動可能としている。この例では、センタリングボディ230側は固定され、ドローバ220がセンタリングボディ230に対して上下に摺動自在としている。
【0015】
なお本明細書において、昇降や上下方向の移動とは、センタリングボディ230とドローバ220との相対的な移動を意味する。すなわち、センタリングボディ230側を保持してドローバ220側を上昇あるいは降下させる構成や、逆にドローバ220側を保持してセンタリングボディ230側を降下あるいは昇降させる構成、さらにはドローバ220とセンタリングボディ230の両方を移動させる構成を包含する。
【0016】
一方、センタリングボディ230は、図5の分解斜視図に示すように、中心にドローバ220を通す挿通孔231を開口した筒状に本体232を形成される。また筒状本体232の側面の上方には、先すぼみに傾斜された上部傾斜面233を形成している。さらに筒状本体232の下部には、円周方向に延出された鍔部235を設けている。この鍔部235の側面には、鍔部固定ボルト238を螺合するボルト穴236を開口している。図2の垂直断面図に示すように、センタリングボディ230は鍔部固定ボルト238でもってベース240に固定される。またセンタリングボディ230の上部傾斜面233の周囲には、セグメント集合体1が配置される。このコレットチャック100は、図3図4に示すように、固定されたセンタリングボディ230の周囲にセグメント集合体1を配置し、ドローバ220を昇降させることで、ドローバ220の先端に固定されたエンドプレート210を昇降させ、このエンドプレート210に固定されたセグメント集合体1をベース240に対して相対的に昇降させて、セグメント集合体1を拡開させる。
【0017】
具体的には、図3に示すようにセンタリングボディ230が固定された状態でドローバ220を矢印に示すように降下させると、一緒にセグメント集合体1も降下され、図3の要部拡大図に示すようにセグメント片10が、センタリングボディ230の傾斜面に沿って降下されることで、外側(図において破線矢印で示す右方向)に拡開されてワークWKが保持される、すなわちチャック状態となる。一方で、図4に示すようにチャック集合体200のドローバ220を矢印に示すように上昇させると、セグメント片10も一緒に上昇されて、図4の要部拡大図に示すようにセグメント片10がセンタリングボディ230の傾斜面に沿って(図において破線矢印で示す左方向)移動する結果、ワークWKが開放される、すなわちチャック状態が解除される(アンチャック状態)。
(セグメント集合体1)
【0018】
セグメント集合体1を、図6図9に示す。これらの図に示すように、複数のセグメント片10が、側面15同士が対向する姿勢で、図9のように断面視において環状に並べられて、全体として筒状のセグメント集合体1を構成している。図6の斜視図に示す例では、6個のセグメント片10を、互いに係止部20と弾性リング30で連結してセグメント集合体1を構成している。なおセグメント集合体を構成するセグメント片の数は、6個に限られず、5個以下、あるいは7個以上としてもよい。
【0019】
各セグメント片10は、図6の斜視図及び図8の断面図に示すように、端面にバームクーヘン状の円弧片11を形成している。円弧片11は、チャック集合体200のエンドプレート210のセグメント片固定ボルト214と螺合されるねじ穴12を開口している。
【0020】
各セグメント片10は、硬質の部材、好ましくは金属で構成される。また各セグメント片10は、図7図8に示すように外面13と、内面14と、側面15を有する。外面13は、ワークWKに押圧して保持する外側湾曲面としている。内面14は、ドローバ220の挿入方向に沿って傾斜された内側湾曲面としている。内側湾曲面は、チャック集合体200のセンタリングボディ230に形成された上部傾斜面233を一致する傾斜角度としている。セグメント片10を連結したセグメント集合体1の、内側湾曲面で構成される内面14は、ドローバ220と共に上下に移動されることで、センタリングボディ230の上部傾斜面233に押圧されて、図3図4に示すように、拡開方向に移動する。
【0021】
上述した図3図4等の例では、ドローバ220をセグメント集合体1に連結して、ドローバ220と連動してセグメント片10の内面を押圧することで、チャック状態とアンチャック状態を切り替える構成を説明した。この構成ではドローバ220とセグメント集合体1を共に移動させ、センタリングボディ230の上部傾斜面233に沿ってセグメント片10をワーク空洞CVの内径方向に移動させることでチャック状態とアンチャック状態を切り替える。ただ本発明は、チャック状態とアンチャック状態を切り替える構成を上記構成に限定せず、既知の他の構成を適宜利用できる。例えば、ドローバをセグメント集合体から分離して、ドローバのみを挿抜方向に移動させると共に、ドローバ自体に傾斜面を設けて、ドローバで直接セグメント片を押圧するようにしても、同様にチャック状態とアンチャック状態を切り替えることができる。
【0022】
さらに各セグメント片10には、図8の拡大断面図に示すように、肩部に弾性リング30を保持するための段差部16が形成されている。
(弾性リング30)
【0023】
弾性リング30は、セグメント集合体1の端部を束ねるための部材である。弾性リング30は、環状のスプリングコイルやゴムなどで構成される。図5に示すように弾性リング30を各セグメント片10の段差部16に係止して、各セグメント片10が分離しないよう締結する。
(係止部20)
【0024】
また各セグメント片10は、環状に束ねられた状態で、隣接するセグメント片10の側面15同士の界面に、該隣接するセグメント片10同士を係止する係止部20を備えている。このような構成により、セグメント集合体1は係止部20により、隣接するセグメント片10同士が係止された状態に維持されるため、セグメント集合体1を一体的に取り扱いし易くなってハンドリング性が向上する。特に弾性リング30が外れた状態でもセグメント片10間が連結された状態に維持されるので、従来よりもセグメント片10がバラバラになる事態を回避できる。
【0025】
係止部20は、隣接するセグメント片10同士が係止状態を保ったまま、一定の範囲で相対的に移動できるよう、遊びGPを設けている。このような構成により、セグメント片10同士の連結状態を維持しつつ、ドローバ220の挿抜によるセグメント片10同士の相対的な移動が許容され、コレットチャック100としての機能を維持しながら、バラバラになる事態を回避できる。
【0026】
また係止部20は、図10の拡大図に示すように、隣接するセグメント片10の一方に設けられた第一係止部20Aと、他方のセグメントに設けられた第二係止部20Bと対により構成されている。ここで、隣接する一対のセグメント片10の一方を第一セグメント片10A、他方を第二セグメント片10Bとすると、第一セグメント片10Aに設けられた第一係止部20Aは、T字状の突起21を設けている。また第二セグメント片10Bに設けられた第二係止部20Bは、第一係止部20AのT字状突起21の左右をそれぞれ囲むよう、L字状の一対の係止片22を設けている。このような構成により、第一セグメント片10Aと第二セグメント片10Bを、遊びGPを有する状態で機械的に連結することが可能となる。
【0027】
図6の例では、セグメント片10がT字状突起21を左右の側面15に設けているものと、一対の係止片22を左右の側面15に設けているものの2種類を用意する例を示している。ただ本発明はこの構成に限られず、左右の側面15の一方にT字状突起21を、他方に一対の係止片22を設けるセグメント片10を準備してもよい。この構成であれば、一種類のセグメント片10を準備すれば足り、設計や管理を容易に行える利点が得られる。
(板状弾性体40)
【0028】
また隣接するセグメント片10同士の界面に、複数の板状弾性体40をそれぞれ介在させることが好ましい。板状弾性体40は、図7に示すように、セグメント片10同士の対向面よりも一回り小さい大きさに形成される。これにより、板状弾性体40がセグメント集合体1から突出する事態を回避できる。また板状弾性体40は、ゴム板などで構成できる。このような構成により、隣接するセグメント片10同士の界面を板状弾性体40で保護し、硬質のセグメント片10同士が直接接触して欠損などを生じる事態を避けることが可能となる。また、使用時に異物の混入を防ぐ効果も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のコレットチャックは、加工対象のワークを保持する保持体として、あるいはマシニングセンター等の工作機械の主軸の保持孔に装着される工具ホルダーを保持する工具ホルダー保持体として、好適に利用できる。
【符号の説明】
【0030】
100…コレットチャック
1…セグメント集合体
10…セグメント片;10A…第一セグメント片;10B…第二セグメント片
11…円弧片
12…ねじ穴
13…外面
14…内面
15…側面
16…段差部
20…係止部;20A…第一係止部;20B…第二係止部
21…T字状突起
22…係止片
30…弾性リング
40…板状弾性体
200…チャック集合体
210…エンドプレート
211…ナット
212…シャフト
213…Cワッシャ
214…セグメント片固定ボルト
220…ドローバ
230…センタリングボディ
231…挿通孔
232…筒状本体
233…上部傾斜面
235…鍔部
236…ボルト穴
238…鍔部固定ボルト
240…ベース
900…工具ホルダー保持体
901…主軸
902…保持孔
903…被係止部;903a…凹部
904…爪部材;904a…貫通孔;904b…係止部
905…ドローバ
906…位置決め環状体;906a…位置決め保持部
907…弾性部材
WK…ワーク;CV…ワーク空洞
GP…遊び
A…工具ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16