(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088201
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】サポータ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20230619BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20230619BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A41D13/005
A41D13/05 125
A41D13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202900
(22)【出願日】2021-12-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、ムーンショット型研究開発事業「機能性スマートスキン」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲陽
(72)【発明者】
【氏名】西村 斉寛
(72)【発明者】
【氏名】野尻 晴太
(72)【発明者】
【氏名】倉又 菜津子
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA09
3B011AC02
3B011AC03
3B011AC18
(57)【要約】
【課題】ロボットと人との接触面の状態を必要に応じて変更することが可能なサポータを提供する。
【解決手段】サポータ1は、サポータ1の表面における摩擦、温度及び湿度を調節する摩擦温度湿度可変機構2を備え、摩擦温度湿度可変機構2は、袋状の布地3と、袋状の布地3の内部に設けられた複数の粒子を含む粒子パック40と、袋状の布地の外部に存在する電源と接続された加熱装置と、袋状の布地3の外部からの空気を袋状の布地3の内部に導入して噴出する第1の空気噴出チューブと、袋状の布地3の外部からの空気を乾燥状態空気にする空気乾燥装置を備え、乾燥状態空気を袋状の布地の内部に導入して噴出する第2の空気噴出チューブと、袋状の布地3の外部から注入される空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第3の空気噴出チューブと、第3の空気噴出チューブから噴出した空気によりサポータ内に保持された液体を噴出するスプレー機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物又は人に装着されて用いられるサポータであって、
前記サポータの表面における摩擦、温度及び湿度を調節する摩擦温度湿度可変機構を備え、
前記摩擦温度湿度可変機構は、
袋状の布地と、
前記袋状の布地の内部に設けられた複数の粒子を含む粒子パックと、
前記粒子パックの中の前記複数の粒子の間に設けられた、前記袋状の布地の外部に存在する電源と接続された加熱装置と、
前記粒子パックの外部で、かつ、前記袋状の布地の内部に設けられ、前記袋状の布地の外部からの空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第1の空気噴出チューブと、
前記袋状の布地の外部からの空気を乾燥状態空気にする空気乾燥装置を備え、前記乾燥状態空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第2の空気噴出チューブと、
前記粒子パックの外部で、かつ、前記袋状の布地の内部に設けられ、前記袋状の布地の外部から注入される空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第3の空気噴出チューブと、第3の空気噴出チューブから噴出した空気により前記サポータ内に保持された液体を噴出するスプレー機構と、を備える、
サポータ。
【請求項2】
前記第1、第2、および、第3の空気噴出チューブは、前記袋状の布地の外部に設けられた空気供給チューブから、前記空気供給チューブに設けられた分岐部において分岐されたチューブであり、前記第1、第2、および、第3の空気噴出チューブへ流入する空気を制御可能な少なくとも1つ以上の弁を具備する、
請求項1に記載のサポータ。
【請求項3】
前記第2の空気噴出チューブは、前記第1の空気噴出チューブに設けられた合流部において、前記第1の空気噴出チューブと合流するチューブであって、前記第2の空気噴出チューブにおいて、前記空気乾燥装置が前記分岐部と前記合流部の間に位置するように設けられる、
請求項2に記載のサポータ。
【請求項4】
前記スプレー機構は、
前記第3の空気噴出チューブからの空気が注入される注入口と、
前記注入口から続く流路,および,注入された空気が噴出される前記流路末端に設けられた噴出口を具備し、
前記流路中には、前記流路の他の部分よりも幅が細い狭窄部が設けられ、
前記流路における前記狭窄部から前記噴出口までの区間の一部から分岐する枝流路、および、前記枝流路につながる液体保持空間と、を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項5】
前記袋状の布地の表面の摩擦を上げる場合、前記第3の空気噴出チューブから注入される空気により、前記スプレー機構が所定の値より凝着力の高い前記液体を噴出する
請求項1~4のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項6】
前記袋状の布地の表面の摩擦を下げる場合、前記第1の空気噴出チューブが前記空気を噴出する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項7】
前記加熱装置は、
前記電源からの電力を熱に変換する電気抵抗をもつ導電性線条体である、
請求項1~6のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項8】
前記袋状の布地の表面の温度を上げる場合、前記加熱装置が前記外部の電源により発熱する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項9】
前記袋状の布地の表面の温度を下げる場合、前記第3の空気噴出チューブから注入される空気により、前記スプレー機構が前記液体を噴出し、
前記第2の空気噴出チューブが前記乾燥状態空気を噴出する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項10】
前記袋状の布地の表面の湿度を上げる場合、前記第3の空気噴出チューブから注入される空気により、前記スプレー機構が前記液体を噴出する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項11】
前記袋状の布地の表面の湿度を下げる場合、前記第2の空気噴出チューブが前記乾燥状態空気を噴出する、
請求項1~10のいずれか1項に記載のサポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
人の動作を介助するロボット等が提案されている。特許文献1には、装着型支援ロボット装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、ロボットと人との接触面の状態を必要に応じて変更することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ロボットと人との接触面の状態を必要に応じて変更することが可能なサポータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るサポータは、物又は人に装着されて用いられるサポータであって、前記サポータの表面における摩擦、温度及び湿度を調節する摩擦温度湿度可変機構を備え、前記摩擦温度湿度可変機構は、袋状の布地と、前記袋状の布地の内部に設けられた複数の粒子を含む粒子パックと、前記粒子パックの中の前記複数の粒子の間に設けられた、前記袋状の布地の外部に存在する電源と接続された加熱装置と、前記粒子パックの外部で、かつ、前記袋状の布地の内部に設けられ、前記袋状の布地の外部からの空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第1の空気噴出チューブと、前記袋状の布地の外部からの空気を乾燥状態空気にする空気乾燥装置を備え、前記乾燥状態空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第2の空気噴出チューブと、前記粒子パックの外部で、かつ、前記袋状の布地の内部に設けられ、前記袋状の布地の外部から注入される空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第3の空気噴出チューブと、第3の空気噴出チューブから噴出した空気により前記サポータ内に保持された液体を噴出するスプレー機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係るサポータは、ロボットと人との接触面の状態を必要に応じて変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるサポータの構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態におけるサポータの概略を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるサポータの詳細を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態におけるサポータの腕に巻く使用例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態におけるサポータの腰に巻く使用例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態におけるサポータのベンチュリ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
本実施の形態において、ロボットと人との接触面の状態を必要に応じて変更することが可能なサポータについて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、本明細書において、平行又は垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形又は直線などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0012】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。
【0013】
[構成]
まず、実施の形態におけるサポータの構成要素について説明する。
図1は、実施の形態におけるサポータ1の構造を示す概略図である。サポータ1は、物又は人に装着されて用いられるサポータ1であって、サポータ1の表面における摩擦、温度及び湿度を調節する摩擦温度湿度可変機構2を備える。摩擦温度湿度可変機構2は、袋状の布地3と、粒子パック40と、導電性線条体10と、空気噴出チューブ30と、スプレー機構20と、を備える。
【0014】
布地3は、ガーゼ等の綿、絹または合成繊維等からなる。布地3は、袋状である。布地3は、粒子パック40と、導電性線条体10と、空気噴出チューブ30と、スプレー機構20とを内包する。例えば、布地3は、110mm×80mm×10mmの袋状の形状を実現する。
【0015】
粒子パック40は、袋状の布地3に内包されて設けられる。粒子パック40は、複数の粒子を含む。粒子パックの中には、粒子が充填される。粒子は、例えば、玄米等の穀物の粒、または、ビーズでもよい。粒子パックは、袋状の布地3の表面積の半分程度を覆う大きさでもよい。粒子パック40に充填された粒子は、袋状の布地3に荷重がかかった際に、空気噴出チューブ30の断面がつぶれて送風を行えなくなることを防止する。また、粒子は、袋状の布地3の粒子パック40が設けられている箇所全体に、空気を薄く広げる役割を果たす。
【0016】
導電性線条体10は、粒子パック40の中の複数の粒子の間に設けられる。導電性線条体10は、サポータ1の外部に存在する電源と接続しており、通電することにより発熱する。導電性線条体10は加熱装置の具体例である。例えば、加熱装置は、電源からの電力を熱に変換する電気抵抗をもつ導電性線条体である。
【0017】
空気噴出チューブ30は、サポータ1の外部から供給された空気を噴出するためのチューブである。空気噴出チューブ30は、粒子パックの外部または内部で、かつ、袋状の布地3の内部に設けられる。空気噴出チューブ30は、樹脂、ゴム、または、シリコーン等からなる。空気噴出チューブ30は金属からなってもよい。空気噴出チューブ30は、袋状の布地3の外部からの空気を袋状の布地3の内部に導入して噴出する。空気噴出チューブ30は、柔軟性があり、布地3の中に自在な形状で設置されうる。空気噴出チューブ30は、チューブ上に複数の穴を有し、複数の穴から空気を噴出させる。
【0018】
サポータ1は、複数の空気噴出チューブ30を備えてもよい。このとき、粒子パックの外部で、かつ、袋状の布地の内部に設けられ、袋状の布地の外部からの空気を袋状の布地の内部に導入して噴出する第1の空気噴出チューブと、袋状の布地の外部からの空気を乾燥状態空気にする空気乾燥装置を備え、乾燥状態空気を袋状の布地3の内部に導入して噴出する第2の空気噴出チューブと、粒子パックの外部で、かつ、袋状の布地の内部に設けられ、袋状の布地の外部から注入される空気を袋状の布地の内部に導入して噴出する第3の空気噴出チューブと、を備えてもよい。
【0019】
また、第1、第2、および、第3の空気噴出チューブは、袋状の布地の外部に設けられた空気供給チューブから、空気供給チューブに設けられた分岐部において分岐されたチューブであり、第1、第2、および、第3の空気噴出チューブへ流入する空気を制御可能な少なくとも1つ以上の弁を具備してもよい。
【0020】
また、第2の空気噴出チューブは、第1の空気噴出チューブに設けられた合流部において、第1の空気噴出チューブと合流するチューブであって、第2の空気噴出チューブにおいて、空気乾燥装置が分岐部と合流部の間に位置するように設けられた構造を有する。
【0021】
スプレー機構20は、液体噴出チューブ22を備える。液体噴出チューブ22は、樹脂、ゴム、または、シリコーン等からなる。液体噴出チューブ22は金属からなってもよい。スプレー機構20の内部には、液体を保持する領域が設けられている。液体は外部からシリンジやチューブ等で挿入できる。
【0022】
液体噴出チューブ22は、粒子パック40の外部で、かつ、袋状の布地3の内部に設けられ、袋状の布地3の外部から供給される圧縮空気により、内部に保持されている液体を噴出する。袋状の布地3に噴出される液体の凝着力により、袋状の布地3と対象物の間の摩擦が上がる。また、袋状の布地3に噴出される液体により、袋状の布地3と対象物の間の湿度が上がる。
【0023】
液体噴出チューブ22は、柔軟性があり、布地3の中に自在な薄い形状で設置されうる。液体噴出チューブ22は、チューブ上に複数の穴を有し、複数の穴から液体を噴出させる。ここで、液体とは、例えば、純水、化粧水、または、乳液等である。
【0024】
第3の空気噴出チューブから空気を注入する空気注入口81と、空気注入口81から続く流路、および、注入された空気が噴出される流路末端に設けられた噴出口83を具備し、流路中には、流路の他の部分よりも幅が細くなる狭窄部82が設けられ、流路における狭窄部82から噴出口83までの区間の一部から分岐する枝流路85、および、枝流路85につながる液体保持空間、を有する。ここで、液体保持空間には外部から液体を注入するための液体注入口80を設けても良い。ここで、空気注入口81は、注入口の具体例である。
【0025】
[構造]
次に、サポータ1の構造について説明する。
図2は、実施の形態におけるサポータ1の概略を示す断面図である。上述したように、サポータ1には、スプレー機構20と、導電性線条体10と、粒子パック40と、空気噴出チューブ30とが内包される。
【0026】
まず、袋状の布地3の表面のうちサポータ1が対象物100と接する面に近い表面の内側に、粒子パック40が設置される。そして、粒子パック40の中に、導電性線条体10が設置される。導電性線条体10は、粒子パック40に充填された粒子の中に偏りなく這わせるように設置されてもよい。
【0027】
次に、サポータ1が対象物100と接する面と反対側の、粒子パック40の面に沿うように、スプレー機構20が設置される。スプレー機構20は、液体噴出チューブ22を有し、液体噴出チューブ22は、粒子パック40に接する面のうち、スプレー機構20の設置された側の面から、粒子パック40が対象物100と接する面の方に伸びるように設置されてもよい。
【0028】
そして、スプレー機構20に接する面のうち、スプレー機構20が粒子パック40と接する側に、空気噴出チューブ30が設置される。空気噴出チューブ30からチューブ31を通して、スプレー機構20に空気が送風される。そして、スプレー機構20に保持された液体は、チューブ31から送られてくる圧縮空気により液体噴出チューブ22を介して、袋状の布地3と対象物が接する面に噴出される。
【0029】
なお、スプレー機構20と、導電性線条体10と、粒子パック40と空気噴出チューブ30との設置方法は、上記の方法に限られない。
【0030】
次に、サポータ1の構造の別の例について説明する。
図3は、実施の形態におけるサポータ1の詳細を示す断面図である。摩擦温度湿度可変機構2は、液体を放出するためのスプレー機構20を有する。スプレー機構20には、コットン24が設置される。スプレー機構20には、サポータ1の外部から純水等の液体が供給され、コットン24が純水等の液体で濡らされる。
【0031】
液体噴出チューブ22は、液体噴出チューブ22がスプレー機構20と接続する挿入部23から、純水等の液体を吸い上げる。液体噴出チューブ22は、噴出口70まで延在し、噴出口70において、純水等の液体を布地50に噴出する。噴出口70には、ウェス60が設けられてもよい。
【0032】
スプレー機構20と、布地50との間には、粒子パック40が設置される。粒子パックには例えば玄米41が充填される。そして、粒子パック40に充填された玄米41の間に、空気噴出チューブ30と導電性線条体10とが設置される。空気噴出チューブ30は、噴出口70まで延在し、噴出口70において、空気を噴出する。
【0033】
[温度、湿度および摩擦の調整]
次に、サポータ1の温度、湿度および摩擦の調整について説明する。
【0034】
サポータ1が対象物100と接する面の摩擦を上昇させる場合、スプレー機構20は、液体噴出チューブ22から純水を放出する。
図3で説明した通り、スプレー機構20は、噴出口70から布地50に対して純水を放出するため、布地50が純水で濡れた状態となる。つまり、袋状の布地3の表面の摩擦を上げる場合、第3の空気噴出チューブから注入される空気により、スプレー機構20が液体を噴出する。このとき、純水の凝着力が大きいため、対象物100との接触面が濡れて、サポータ1が対象物100と接する面の摩擦が上昇する。
【0035】
サポータ1が対象物100と接する面の摩擦を低下させる場合、空気噴出チューブ30が乾燥空気を放出する。ここで、空気噴出チューブ30は、第1の空気噴出チューブでもよい。
図3で説明した通り、空気噴出チューブ30は、噴出口70から布地50に対して乾燥空気を放出するため、布地50が乾いた状態となる。このとき、サポータ1が対象物100と接する面が乾燥することによって、水による凝着力が下がるとともに,放出した空気により、接触領域に空気潤滑状態が生じ、サポータ1が対象物100と接する面の摩擦が低下する。
【0036】
サポータ1が対象物100と接する面の温度を上昇させる場合、導電性線条体10が外部の電源により発熱する。導電性線条体10は、サポータ1の外部の電源からの電力によって通電することで、発熱する。つまり、袋状の布地3の表面の温度を下げる場合、第3の空気噴出チューブから注入される空気により、スプレー機構が液体を噴出し、第2の空気噴出チューブが乾燥状態空気を噴出する。このとき、導電性線条体10の発熱によって、サポータ1が対象物100と接する面の温度が上昇する。
【0037】
サポータ1が対象物100と接する面の温度を低下させる場合、スプレー機構20が液体噴出チューブ22から液体を噴出し、空気噴出チューブ30が空気を噴出する。
図3で説明したように、スプレー機構20は、噴出口70から布地50に対して純水ミストを放出する。
【0038】
そして、空気噴出チューブ30は、噴出口70から布地50に対して乾燥空気を放出するため、放出された純水ミストが気化する状態となる。このとき、サポータ1が対象物100と接する面が気化熱で冷却されることにより、サポータ1が対象物100と接する面の温度が低下する。なお、放出した純水ミストにより布地50が濡れ、それが放出した乾燥空気で乾く際の気化熱による冷却により、サポータ1が対象物100と接する面の温度が低下する場合もある。
【0039】
サポータ1が対象物100と接する面の湿度を上昇させる場合、スプレー機構20が液体噴出チューブ22から液体を噴出する。つまり、袋状の布地の表面の湿度を上げる場合、第3の空気噴出チューブから注入される空気により、スプレー機構が液体を噴出する。
図3で説明したように、スプレー機構20は、噴出口70から布地50に対して純水ミストを放出するため、布地50が純水で湿った状態となる。このとき、サポータ1が対象物100と接する面に純水ミストが滞留することにより、サポータ1が対象物100と接する面の湿度が上昇する。
【0040】
サポータ1が対象物100と接する面の湿度を低下させる場合、空気噴出チューブ30が空気を噴出する。つまり、袋状の布地3の表面の湿度を下げる場合、第2の空気噴出チューブが乾燥状態空気を噴出する。
図3で説明したように、空気噴出チューブ30は、噴出口70から布地50に対して乾燥空気を放出するため、布地50が乾いた状態となる。このとき、サポータ1が対象物100と接する面が乾燥することにより、サポータ1が対象物100と接する面の湿度が低下する。
【0041】
[使用]
次に、サポータ1の使用方法について、説明する。
図4Aは、実施の形態におけるサポータ1の腕に巻く使用例を示す図である。
図4Aに示されるように、サポータ1は、例えば、人の腕に巻いて使用されてもよい。サポータ1は、上腕部に巻かれてもよいし、下腕部に巻かれてもよい。サポータ1は、広げたときに矩形の形状をしている布地3の長辺を折り曲げて巻かれてもよい。このとき、サポータ1は、導電性線条体10、空気噴出チューブ30、および、液体噴出チューブ22が、布地3が巻かれる方向に平行になるように巻かれてもよい。
【0042】
図4Bは、実施の形態におけるサポータ1の腰に巻く使用例を示す図である。
図4Bに示されるように、サポータ1は、例えば、人の腰に巻いて使用されてもよい。サポータ1は、広げたときに矩形の形状をしている布地3の長辺を折り曲げて巻かれてもよい。このとき、サポータ1は、導電性線条体10、空気噴出チューブ30、および、液体噴出チューブ22が、布地3が巻かれる方向に平行になるように巻かれてもよい。
【0043】
[ベンチュリ装置]
次に、サポータ1に備えられるスプレー機構20について説明する。
図5は、実施の形態におけるサポータ1のスプレー機構20を示す図である。スプレー機構20は、矩形の板状の形状であり、50mm×50mm×5mmの形状でもよい。スプレー機構20は、液体注入口80と、空気注入口81と、狭窄部82と、噴出口83と、凹部84とを有する。
【0044】
液体注入口80は、サポータ1の外部から供給される液体が注入される注ぎ口である。液体注入口80は、幅2mmの溝でもよい。液体注入口80には、外形2mmのシリコーンチューブが設置されてもよい。
【0045】
空気注入口81は、幅2mmの溝でもよい。空気注入口81は、噴出口83に接続し、噴出口83の延びる方向と反対側に向かって延びる溝であり、狭窄部82を通じて噴出口83と接続される。空気注入口81には、外形2mmのシリコーンチューブが設置されてもよい。狭窄部82は、幅0.2mmの隙間である。狭窄部82は、空気注入口81と、噴出口83との間に位置する。狭窄部82は、空気注入口81より狭く、空気注入口81は、噴出口83よりも狭い。空気注入口81は、注入口の具体例である。
【0046】
噴出口83は、幅4mmの溝でもよい。噴出口83には、外径4mmのシリコーンチューブが設置されてもよい。
【0047】
凹部84は、30mm×25mmの平面視で矩形の形状をした凹部である。凹部84は、液体注入口80と、噴出口83と接続している。凹部84には、水を含ませたコットンが設置されてもよい。また、凹部84は、液体保持空間の具体例である。
【0048】
枝流路85は、流路における狭窄部82から噴出口83までの区間の一部から分岐する。また、枝流路85は凹部84に接続する。枝流路85は、凹部84から、液体を狭窄部82、噴出口83へと供給する。
【0049】
液体噴出チューブ22は、狭窄部82から、液体注入口80から注入された液体をベンチュリ効果によって吸い上げ、噴出口83から吸い上げた液体を噴出する。
【0050】
[効果等]
実施の形態におけるサポータ1は、物又は人に装着されて用いられるサポータ1であって、サポータ1の表面における摩擦、温度及び湿度を調節する摩擦温度湿度可変機構2を備え、摩擦温度湿度可変機構2は、袋状の布地3と、袋状の布地3の内部に設けられた複数の粒子を含む粒子パック40と、粒子パック40の中の複数の粒子の間に設けられた、前記袋状の布地の外部に存在する電源と接続された加熱装置と、粒子パック40の外部で、かつ、袋状の布地3の内部に設けられ、袋状の布地3の外部からの空気を袋状の布地3の内部に導入して噴出する第1の空気噴出チューブと、袋状の布地3の外部からの空気を乾燥状態空気にする空気乾燥装置を備え、乾燥状態空気を袋状の布地の内部に導入して噴出する第2の空気噴出チューブと、粒子パック40の外部で、かつ、袋状の布地3の内部に設けられ、袋状の布地3の外部から注入される空気を前記袋状の布地の内部に導入して噴出する第3の空気噴出チューブと、第3の空気噴出チューブから噴出した空気によりサポータ1内に保持された液体を噴出するスプレー機構と、を備える。
【0051】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物と接触する面の温度、湿度、および、摩擦を調節することができる。
【0052】
実施の形態におけるサポータ1において、第1、第2、および、第3の空気噴出チューブ30は、袋状の布地3の外部に設けられた空気供給チューブから、空気供給チューブに設けられた分岐部において分岐されたチューブであり、第1、第2、および、第3の空気噴出チューブ30へ流入する空気を制御可能な少なくとも1つ以上の弁を具備する。
【0053】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、外部から供給された空気を、サポータの内部に空気噴出チューブから噴出することができる。
【0054】
実施の形態におけるサポータ1において、第2の空気噴出チューブは、第1の空気噴出チューブに設けられた合流部において、第1の空気噴出チューブと合流するチューブであって、第2の空気噴出チューブにおいて、空気乾燥装置が分岐部と合流部の間に位置するように設けられる。
【0055】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、乾燥空気をサポータ1の内部に充満させることができる。
【0056】
実施の形態におけるサポータ1において、スプレー機構20は、第3の空気噴出チューブからの空気が注入される空気注入口81と、空気注入口81から続く流路、および、注入された空気が噴出される流路末端に設けられた噴出口83を具備し、流路中には、流路の他の部分よりも幅が細い狭窄部82が設けられ、流路における狭窄部82から噴出口83までの区間の一部から分岐する枝流路、および、枝流路につながる液体保持空間と、を有する。
【0057】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、ベンチュリ効果によって、液体保持空間に蓄えられた液体を吸い上げて、空気注入口81から注入される空気によって、吸い上げた液体を噴出することができる。
【0058】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の摩擦を上げる場合、前記第3の空気噴出チューブから注入される空気により、前記スプレー機構が所定の値より凝着力の高い前記液体を噴出する。
【0059】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の摩擦を上げることができる。
【0060】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の摩擦を下げる場合、第1の空気噴出チューブ30が空気を噴出する。
【0061】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の摩擦を下げることができる。
【0062】
実施の形態におけるサポータ1において、加熱装置は、電源からの電力を熱に変換する電気抵抗をもつ導電性線条体である。
【0063】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、内部の温度を上昇させることができる。
【0064】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の温度を上げる場合、加熱装置が外部の電源により発熱する。
【0065】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の温度を上げることができる。
【0066】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の温度を下げる場合、前記第3の空気噴出チューブから注入される空気により、スプレー機構が液体を噴出し、第2の空気噴出チューブが乾燥状態空気を噴出する。
【0067】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の温度を下げることができる。
【0068】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の湿度を上げる場合、第3の空気噴出チューブから注入される空気により、スプレー機構が液体を噴出する。
【0069】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の湿度を上げることができる。
【0070】
実施の形態におけるサポータ1について、袋状の布地3の表面の湿度を下げる場合、第2の空気噴出チューブが乾燥状態空気を噴出する。
【0071】
これにより、実施の形態におけるサポータ1は、対象物100との接触面の湿度を下げることができる。
【0072】
[その他]
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のサポータは、介護用ロボット等が、人の日常動作を補助する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 サポータ
2 摩擦温度湿度可変機構
3、50 布地
10 導電性線条体
20 スプレー機構
22 液体噴出チューブ
23 挿入部
24 コットン
30 空気噴出チューブ
40 粒子パック
41 玄米
60 ウェス
70、83 噴出口
81 空気注入口
82 狭窄部
84 凹部
85 枝流路