(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088204
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】吸盤
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20230619BHJP
F16B 47/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B25J15/06 D
F16B47/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202904
(22)【出願日】2021-12-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、ムーンショット型研究開発事業「機能性スマートスキン」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲陽
(72)【発明者】
【氏名】西村 斉寛
(72)【発明者】
【氏名】野尻 晴太
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
【テーマコード(参考)】
3C707
3J038
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT03
3C707FT04
3C707FU05
3J038AA02
3J038CA00
3J038CA06
3J038CA09
(57)【要約】
【課題】単一駆動源での正圧と負圧との切替が容易な吸盤を提供する。
【解決手段】吸盤1は、外界に向けて開口した注入口16、噴出口11及び吸引口13を有する板状部材を備え、吸引口13は、板状部材の上面に設けられ、板状部材の内部には、注入口16から注入された気体を噴出口11に導く主流路と、主流路14は部分的に流路が細くなる絞り部12と、主流路14において絞り部12から噴出口11に導かれる流路中から分岐し、吸引口13に接続される枝流路17と、を具備し、主流路14における、枝流路17への分岐点よりも噴出口11に近い下流箇所には、主流路14を塞ぐ弁20が設けられ、弁20は、注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以上である場合に、開状態となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界に向けて開口した注入口、噴出口及び吸引口を有する板状部材を備え、
前記板状部材の内部には、前記注入口から注入された気体を前記噴出口に導く主流路と、
前記主流路は部分的に流路が細くなる絞り部と、
前記主流路において前記絞り部から噴出口に導かれる流路中から分岐し、前記吸引口に接続される枝流路と、を具備し、
前記主流路における、前記枝流路への分岐点よりも前記噴出口に近い下流箇所には、前記主流路を塞ぐ弁が設けられ、
前記弁は、前記注入口から注入された気体が前記弁を押す圧力が所定値以上である場合に、開状態となる、
吸盤。
【請求項2】
前記弁は、弾性体からなる、
請求項1に記載の吸盤。
【請求項3】
前記板状部材上に、前記吸引口から見て、前記流路と反対側に設けられた、前記流路とつながる円形の溝と開口部を覆う薄膜を有する、
請求項1または2に記載の吸盤。
【請求項4】
さらに、前記吸引口の外部を覆う襞を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の吸盤。
【請求項5】
前記襞は、シリコーンからなる、
請求項4に記載の吸盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸盤に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット等に使用される吸盤が提案されている。特許文献1には、壁を登るロボットに用いられる吸盤が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Masahiro Fujita, Suguru Ikeda, Toshiaki Fujimoto, Toshihiko Shimizu, Shuhei Ikemoto & Takeshi Miyamoto (2018) Development of universal vacuum gripper for wall-climbing robot, Advanced Robotics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、単一駆動源での正圧と負圧との切替が難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、単一駆動源での正圧と負圧との切替が容易な吸盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吸盤は、外界に向けて開口した注入口、噴出口及び吸引口を有する板状部材を備え、前記板状部材の内部には、前記注入口から注入された気体を前記噴出口に導く主流路と、前記主流路は部分的に流路が細くなる絞り部と、前記主流路において前記絞り部から噴出口に導かれる流路中から分岐し、前記吸引口に接続される枝流路と、を具備し、前記主流路における、前記枝流路への分岐点よりも前記噴出口に近い下流箇所には、前記主流路を塞ぐ弁が設けられ、前記弁は、前記注入口から注入された気体が前記弁を押す圧力が所定値以上である場合に、開状態となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る吸盤は、単一駆動源での正圧と負圧との切替を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態における吸盤の構造を示す切り欠き断面図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態における吸盤のなじみ機構を示す上面図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態における吸盤の絞り部と噴出口とを示す上面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における吸盤の構造を示す別の切り欠き断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における吸盤の空気の吸引と放出とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
本実施の形態において、単一駆動源での正圧と負圧との切替が容易な吸盤について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、本明細書において、平行又は垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形又は直線などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0012】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。
【0013】
[構成]
図1は、実施の形態における吸盤の構造を示す切り欠き断面図である。まず、上盤部40と、下盤部50とからなるこの吸盤構造を吸盤1とする。上盤部40は、注入口16と、流路10となじみ機構30と、吸引口13とを備える。下盤部50は、上盤部40から接続する流路14(図示せず)と、絞り部12と、弁20と、噴出口11とを備える。流路14は、主流路の具体例である。
【0014】
上盤部40は、50mm四方の正方形の形状の板である。上盤部40は、樹脂、金属、またはシリコーン等で形成される。上盤部40は、下盤部50の板状の形状が延びる方向と垂直な方向において、下盤部50の上に設置される。
【0015】
下盤部50は、50mm四方の正方形の形状の板である。下盤部50は、樹脂、金属、またはシリコーン等で形成される。なお、吸盤1は、下盤部50のみを備え、上盤部40を備えなくてもよい。吸盤1が上盤部40を備えないときは、下盤部50の流路14の端部に注入口16が設けられる。下盤部50は、板状部材の具体例である。または、上盤部40と下盤部50とは、一体の部品として、一体成型で形成されてもよい。
【0016】
上盤部40と下盤部50とがシリコーン等で形成されることにより、吸盤1は、柔らかさを実現することができる。また、上盤部40と下盤部50とがシリコーン等で形成されることにより、人体への接触の際の抵抗を低減することができる。
【0017】
流路10は、上盤部40に設けられた溝である。流路10の端部には空気が注入される注入口16が設けられる。流路10は、上盤部40の辺の中央部に凹部として設けられ、上盤部40の中央に向かって直線で延びる。流路10は、なじみ機構30と接続し、また、流路14と接続している。
【0018】
なじみ機構30は、上盤部40の中央に設けられた円形の溝である。円形の溝は、流路10と接続しており、流路10の端部から注入された空気がなじみ機構30を構成する円形の溝に流入する。シリコーン等で形成された薄膜がなじみ機構30を覆うように形成されることで、なじみ機構30の薄膜が膨らみ、接触部の凹凸形状になじみながら吸引を行うことができる。
【0019】
吸引口13は、上盤部40の中央に設けられた円形の貫通孔である。吸引口13は、上盤部40の上面に設けられる。吸引口13は、吸盤1が上盤部40を備えない場合、下盤部50である板状部材の上面に設けられる。吸引口13から、吸盤1の内部に向かって、吸盤1の外部の空気が吸引される。または、吸引口13から、吸盤1の内部の空気が外部に向かって放出される。吸引口13は、下盤部50の板状の形状が延びる方向と垂直な方向にのび、流路14と接続する枝流路17を形成してもよい。
【0020】
絞り部12は、流路14よりも狭い幅の流路である。流路14を通過した空気は、絞り部12で、圧力が高められる。絞り部12は、流路14と接続する溝と、溝の上部と側部とを囲む垂直壁で構成されてもよい。なお、絞り部12は、溝を有さず、下盤部50の板状の形状が延びる方向と垂直な方向における下盤部50の上部に設けられた壁と天井によって形成された通路として実現されてもよい。
【0021】
弁20は、弾性体からなる。弁20は、例えば、シリコーン、ゴム、または、薄い金属等で実現されてもよい。弁20は、矩形の形状をしていてもよい。弁20は、絞り部12と、噴出口11との間に設けられる。弁20の幅は、弁20が設置される位置の噴出口11の幅と実質的に一致する。
【0022】
弁20は、流路14から噴出口11に向かって空気が流れる方向に逆らう力を発生するように設置されている。弁20は、流路14における、枝流路17への分岐点よりも噴出口11に近い下流箇所に設けられる。弁20は、注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以上である場合に、開状態となる。
【0023】
[構造]
図2Aは、実施の形態における吸盤1のなじみ機構30を示す上面図である。上述したように、なじみ機構30は、上盤部40の中央に設けられた円形の溝である。吸盤1は、上盤部40に、吸引口13から見て、流路14と反対側に設けられた、流路14とつながる円形の溝であるなじみ機構30を有する。なお、なじみ機構30の、下盤部50の板状の形状が延びる方向と垂直な方向における上部には、接触部の凹凸となじむための薄膜を設ける。また、前項の薄膜の上部に吸引領域を拡張するための襞が設けられてもよい。襞は、吸引口13の外部を覆う。襞は、円形または矩形のシリコーン製の膜でもよく、吸引口を設けるために中央部に円形または矩形の穴を有するのが良い。
【0024】
図2Aに示されるように、例えば、吸引口の外形は12mm、なじみ機構30の溝の外形は20mmでもよい。また、流路10の幅は、2mmでもよく、なじみ機構30の溝の幅は2mmでもよい。また、絞り部12の幅は、4mmでもよい。
【0025】
また、なじみ機構30の溝の深さは、1mmでもよい。
【0026】
図2Bは、実施の形態における吸盤の絞り部12と噴出口11とを示す上面図である。上述したように、絞り部12は、流路14よりも狭い幅の流路である。絞り部12は、流路10と接続する流路14と接続している。流路14と絞り部12との接続箇所は、流路14の幅より狭い。
【0027】
絞り部12は、平面視において、流路14が延びる方向の、絞り部12からみて流路14と反対の方向にのびる溝を有してもよい。当該溝の幅は、流路14と同一、または、流路14より狭い幅でもよい。
【0028】
また、絞り部12は、流路14と接続する溝の両側に、絞り部12の中央部の流路と接続する矩形の空間15を有してもよい。また、矩形の空間15の上部と側部には、壁が設けられてもよい。
【0029】
絞り部12は、噴出口11と接続する。噴出口11は、絞り部12との接続箇所を頂点とする扇形の溝であってもよい。または、噴出口11は、絞り部12との接続箇所を頂点とする扇形の輪郭を形成する壁と天井とで形成される空間であってもよい。噴出口11が形成する扇形の内角は、例えば、60度でもよい。
【0030】
絞り部12と噴出口11との接続箇所には弁20が設けられる。弁20は、噴出口11の内部であって、噴出口11の絞り部12との接続箇所の近傍に設置されてもよい。弁20の高さは、噴出口11の深さと同一であり、弁20の幅は、弁20が設置される位置における噴出口11の幅と同一である。または、弁20の高さは、噴出口11の深さより1mmほど低くてもよい。
【0031】
弁20は、一部切り込み部を有し、弾性変形により噴出口11の空間における開口部が形成される構造である。なお、弁20は、弁20が設置される位置において、噴出口11が形成する流路の空間を実質的に完全にふさいでもよい。なお、弁20の形状は上記の形状に限られない。例えば、弁20は、柱形状であり、中央部に設けられる開口部が空気圧力により左右に開くような構造でもよい。
【0032】
なお、流路14の幅は2mmでもよく、流路14の長さは、10mmでもよい。また、絞り部12の絞り口の大きさは、2mm×0.4mmでもよい。空間15の大きさは、3mm×12mmでもよい。空間15と絞り部12との接続部分の幅は1mmでもよい。また、噴出口11の絞り部12との接続部から噴出口11の出口部分までの長さは、19mmでもよい。噴出口11の絞り部12との接続部から弁20までの長さは、5mmでもよい。
【0033】
図3は、実施の形態における吸盤1の構造を示す別の切り欠き断面図である。注入口16から注入された空気は、流路10を通って、下盤部50の流路14(図示せず)に流入する。また、注入口16から注入された空気の一部は、なじみ機構30に流入する。なじみ機構30は、内壁31と外壁32とが囲むことによって形成された溝と当該溝の上部を覆う薄膜とで構成される。
【0034】
流路14に流入した空気は、絞り部12に流入する。注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以下である場合、絞り部12に流入した空気の実質的に全てが空間15に流入し、吸引口13から放出される。
【0035】
また、注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以上である場合、外部の空気が空間15に向かって、吸引口13から吸引される。
【0036】
注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以下である場合、弁20は設置された位置から傾斜せず、弁20の弾性変形により形成される噴出口11の空間における開口部が、弁20が設置された位置からさらに傾斜するときと比較して、相対的に狭くなる。
【0037】
注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以上である場合、弁20は設置された位置からさらに傾斜し、弁20と噴出口11とが形成する流路の隙間が、弁20が設置された位置から傾斜しないときと比較して、相対的に広くなる。
【0038】
例えば、上盤部40の厚みは、2mmでもよく、下盤部50の厚みは、3mmでもよい。このとき、下盤部50の噴出口11に設けられた弁20の高さは2mmでもよい。これにより、吸盤1は、薄さを実現することができる。
【0039】
[吸引と放出]
図4は、実施の形態における吸盤1の空気の吸引と放出とを示す図である。
図4の(a)は、吸盤1が対象物を吸引する場合について示している。まず、注入口16から所定の圧力以上の高圧の圧縮空気が注入される。そして、注入口16から流路10に流入した空気は、下盤部50の流路14に流入する。
【0040】
次に、流路14に流入した空気は、絞り部12に流入する。絞り部12に流入した空気は、噴出口11に流入する。このとき、噴出口11に設けられた弁20を開く。つまり、絞り部12に流入した空気は、弁20を通過する。これにより、噴出口11から、注入口16から注入された空気が噴出するだけでなく、絞り部12にて流速が上がり、空気の圧力が下がることで負圧が発生することで、吸引口13から吸盤1の外部の空気が、吸盤1の内部に吸引される。
【0041】
吸引口13から吸引された空気は、空間15を通って、絞り部12に流入する。そして、吸引口13から吸引された空気は、噴出口11から吸盤の外部に噴出する。これにより、注入口16から高圧の圧縮空気が注入される場合、吸盤1は対象物を吸引することができる。
【0042】
図4の(b)は、吸盤1が対象物を放出する場合について示している。まず、注入口16から所定の圧力以下の低圧の圧縮空気が注入される。そして、注入口16から流路10に流入した空気は、流路14に流入する。
【0043】
次に、流路14に流入した空気は、絞り部12に流入する。絞り部12に流入した空気は、噴出口11に流入する。このとき、噴出口11に設けられた弁20を開かないため、絞り部12に流入した空気は実質で気に全て逆流する。つまり、絞り部12に流入した空気は、弁20を通過しない。これにより、吸引口13から、注入口16から注入された空気が噴出する。
【0044】
弁20から逆流した空気は、空間15を通って、吸引口13に流入する。そして、吸引口13に流入した空気は、そのまま吸引口13から吸盤の外部に噴出する。これにより、注入口16から低圧の圧縮空気が注入される場合、吸盤1は対象物を放出することができる。
【0045】
[効果等]
本開示の一態様における吸盤1は、外界に向けて開口した注入口16、噴出口11及び吸引口13を有する板状部材を備え、吸引口13は、板状部材の上面に設けられ、板状部材の内部には、注入口16から注入された気体を噴出口11に導く主流路と、主流路14は部分的に流路が細くなる絞り部12と、主流路14において絞り部12から噴出口11に導かれる流路中から分岐し、吸引口13に接続される枝流路17と、を具備し、主流路14における、枝流路17への分岐点よりも噴出口11に近い下流箇所には、主流路14を塞ぐ弁20が設けられ、弁20は、注入口16から注入された気体が弁20を押す圧力が所定値以上である場合に、開状態となる。
【0046】
これにより、吸盤1は、注入口16に注入する空気の圧力の高低を切り替えることで、弁20の開閉を調整することで、吸引口13の正圧と負圧とを切り替えることができる。よって、吸盤1は、単一駆動源での正圧と負圧との切替を容易に実現することができる。
【0047】
また、例えば、本開示の一態様における吸盤1において、弁20は、弾性体からなる。
【0048】
これにより、吸盤1に、一体成型で形成された弁を用いることができる。よって、吸盤1は、単一駆動源での正圧と負圧との切替を容易に実現することができる。
【0049】
本開示の一態様における吸盤1は、板状部材上に、吸引口13から見て、流路14と反対側に設けられた、流路14とつながる円形の溝と開口部を覆う薄膜を有する。
【0050】
これにより、本開示の一態様における吸盤1は、吸盤1が吸引する対象物表面に凹凸があっても、空気の漏れを最小化することができ、従来よりも効率的に吸引することができる。
【0051】
本開示の一態様における吸盤1は、さらに、吸引口13の外部を覆う襞を備える。
【0052】
これにより、本開示の一態様における吸盤1は、対象物との接触領域が増えるため吸引力が向上し、吸盤1が吸引する対象物をより確実に吸引することができる。
【0053】
本開示の一態様における吸盤1において、襞は、シリコーンからなる。
【0054】
これにより、本開示の一態様における吸盤1は、柔らかさを実現することができる。
【0055】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示の吸盤は、介護用ロボット等が、人の日常動作を補助する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 吸盤
10、14 流路
11 噴出口
12 絞り部
13 吸引口
15 空間
20 弁
30 なじみ機構
31 内壁
32 外壁
40 上盤部
50 下盤部