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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088217
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】電動シャッター装置の巻取軸取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/174 20060101AFI20230619BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20230619BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
E06B9/174
E06B9/72
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202922
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】山本 理史
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義貴
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
(57)【要約】
【課題】電動モータに不具合が生じた場合の修繕費用を低減する。
【解決手段】一端部にシャフト31aを有し、かつ他端部にモータケース31bを有した巻取軸31の他端部を、複数の突起136aを有する既設ケース用ブラケット136が設けられた既設シャッターケース130の既設側板134に取り付けるための電動シャッター装置の巻取軸取付構造であって、モータケース31bには、嵌合部40が設けられ、モータケース31bと既設ケース用ブラケット136との間には、嵌合部40に嵌合されるケース取付部81と、既設ケース用ブラケット136の突起136aに係合するブラケット取付部82とを有したアダプタ80が介在されている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部にシャフトを有し、かつ他端部にモータケースを有した巻取軸の他端部を、複数の突起を有するケース用ブラケットが設けられたシャッターケースの側板に取り付けるための電動シャッター装置の巻取軸取付構造であって、
前記モータケースと前記ケース用ブラケットとの間には、前記モータケースに取り付けられるケース取付部と、前記ケース用ブラケットの突起に係合するブラケット取付部とを有したアダプタが介在されていることを特徴とする電動シャッター装置の巻取軸取付構造。
【請求項2】
前記モータケースには、前記シャフトを支持するためのシャフト用ブラケットが嵌合可能となる嵌合部が設けられ、
前記アダプタのケース取付部は、前記嵌合部に嵌合可能となる形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電動シャッター装置の巻取軸取付構造。
【請求項3】
前記ケース用ブラケットの突起は、同一の円周上において互いに間隔を確保した位置に設けられたものであり、
前記アダプタのブラケット取付部には、前記複数の突起の間に挿入可能となり、前記複数の突起の間に挿入した場合に前記突起に係合することにより前記ケース用ブラケットに対する前記円周に沿った方向の相対回転を規制する係合壁部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動シャッター装置の巻取軸取付構造。
【請求項4】
前記アダプタのケース取付部は、長方形状を成す基底壁部と、前記基底壁部の両側縁部から同一方向に向けて延在する2つの側壁部とを有し、
前記アダプタのブラケット取付部は、前記2つの側壁部の延在縁部からそれぞれ互いに離隔する方向に延在した2つの係合壁部を有し、個々の係合壁部に前記ケース用ブラケットの突起に係合する係合切欠部が設けられ、
前記モータケースの嵌合部は、前記2つの側壁部の外表面に当接する互いに対向した2つの当接面を有し、前記2つの当接面の相互間に前記アダプタが嵌合される凹状を成すものであり、
前記ケース取付部は、一方の端部が前記モータケースの周面に開口する一方、もう一方の端部が閉塞され、
前記嵌合部の閉塞端面と前記当接面との会合部には、それぞれ凹状となるように逃げ部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電動シャッター装置の巻取軸取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッター装置の巻取軸取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動シャッター装置には、巻取軸に電動モータが内蔵されたものがある。この種の電動シャッター装置では、シャッターケースの一方の側板にシャフト用ブラケットが設けられ、他方の側板にケース用ブラケットが設けられており、これらのブラケットを介して側板の間に巻取軸が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-138754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動シャッター装置の電動モータに不具合が生じた場合には、電動モータを含む巻取軸のみを交換することで対応することが好ましい。しかしながら、電動モータに不具合が生じるのは、電動シャッター装置を設置してからかなりの時間が経過している場合が多いため、交換が必要となる電動モータの供給が既に終了していることもあり得る。こうした状況下にあっては、型式が異なる電動モータや製造会社の異なる電動モータに置き換えて対応することが考えられる。しかしながら、電動モータの型式や製造会社が異なれば、既に側板に設けられているケース用ブラケットとモータケースとが合致しないことが多い。結局のところ、電動モータのみに不具合が生じた場合であっても、シャッターケースを含む電動シャッター装置全体の交換が必要とならざるを得ず、修繕費用が多大となる等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、電動モータに不具合が生じた場合の修繕費用を低減することのできる電動シャッター装置の巻取軸取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電動シャッター装置の巻取軸取付構造は、一端部にシャフトを有し、かつ他端部にモータケースを有した巻取軸の他端部を、複数の突起を有するケース用ブラケットが設けられたシャッターケースの側板に取り付けるための電動シャッター装置の巻取軸取付構造であって、前記モータケースと前記ケース用ブラケットとの間には、前記モータケースに取り付けられるケース取付部と、前記ケース用ブラケットの突起に係合するブラケット取付部とを有したアダプタが介在されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、側板に取り付けられたケース用ブラケットとモータケースとの間にアダプタを介在させることにより、既設された電動シャッター装置のシャッターケースに対してそのままの状態で巻取軸を取り付けることが可能となり、電動モータに不具合が生じた場合の修繕費用を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である巻取軸取付構造を適用した電動シャッター装置の縦断面図である。
図2図1に示した電動シャッター装置を室外側から見た分解斜視図である。
図3図1に示した電動シャッター装置に適用するシャッターケースを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はシャッターケースを構成する側板の一方を示す斜視図、(c)はシャッターケースを構成する側板のもう一方を示す斜視図である。
図4図1に示した電動シャッター装置の構成要素を示すもので、(a)は周囲に巻取ロールを配設した状態の巻取軸の斜視図、(b)は巻取軸の一方の端部となるモータケースの要部拡大斜視図である。
図5図1に示した電動シャッター装置において側板と巻取軸のシャフトとの連結部を示す要部平面図である。
図6図1に示した電動シャッター装置に適用する巻取軸においてモータケースの端面を示す拡大図である。
図7図1に示した電動シャッター装置において側板と巻取軸のモータケースとの連結部を示すもので、(a)はスラットガイドを省略して室外側から見た要部斜視図、(b)はスラットガイドを省略して建物側から見た要部斜視図である。
図8図1に示した電動シャッター装置において側板と巻取軸のモータケースとの連結部を室外側から見た斜視図である。
図9図1に示した電動シャッター装置において巻取軸のモータケースが連結される側板を内表面側から見た図である。
図10図1に示した電動シャッター装置の巻取軸とアダプタとを示すもので、(a)は巻取軸のモータケースとアダプタとの要部分解斜視図、(b)は巻取軸のモータケースにアダプタを嵌合させた状態の要部斜視図である。
図11】既設の電動シャッター装置に適用されていた既設シャッターケースを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は既設シャッターケースを構成する既設側板の一方を示す斜視図、(c)は既設シャッターケースを構成する既設側板のもう一方を示す斜視図である。
図12】既設のシャッターケースに取り付けられていた既設ケース用ブラケットとアダプタとの関係を示すもので、(a)は既設ケース用ブラケットを側板の内表面側から見た図、(b)はアダプタを側板の内表面側から見た図、(c)は既設ケース用ブラケットにアダプタを係合させた状態を側板の内表面側から見た図である。
図13図1に示した電動シャッター装置において巻取軸のモータケースに設けた嵌合部にアダプタを嵌合させた状態の要部断面図である。
図14図11に示した既設シャッターケースの既設側板と巻取軸とを示すもので、(a)は分解斜視図、(b)は既設族板の既設ケース用ブラケットに巻取軸を取り付けた状態の斜視図である。
図15図11に示した既設シャッターケースの既設側板と巻取軸のモータケースに取り付けるアダプタとを示すもので、(a)は分解斜視図、(b)は既設族板の既設ケース用ブラケットにアダプタを取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る電動シャッター装置の巻取軸取付構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、電動シャッター装置の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、上枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である巻取軸取付構造を適用した電動シャッター装置を示すものである。ここで例示する電動シャッター装置は、引き違い窓等の建具の枠体10を対象としてその上部に付設するものである。電動シャッター装置が取り付けられる建具の枠体10には、上枠11よりも上方となる部分にシャッターボックス20が構成してある。シャッターボックス20は、電動シャッター装置を収容して支持するためのもので、左右の縦枠12の上端部を上枠11よりも上方に延在し、延在した縦枠12の上端部間にルーフ板21を架設することによって横長直方体状に構成してある。
【0011】
上述のシャッターボックス20に配置する電動シャッター装置は、シャッターケース30に設けた巻取軸31の周囲に対してシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しを行うものである。シャッターケース30は、図1図3に示すように、背板33の両側にそれぞれ互いに対向するように側板34を設けて構成したものである。シャッターケース30において左右の側板34の間の上方側及び室外側となる部分は、フロントカバー35aによって着脱可能に覆ってある。側板34の互いに対向する部分には、巻取軸31を支持するためのシャフト用ブラケット36が取り付けてある。巻取軸31は、電動モータ37及びそのコントロールユニット38を内蔵するとともに、外周部に巻取ロール39を回転可能に支持するもので、電動モータ37の駆動により巻取ロール39を相対的に双方向に回転させることが可能である。コントロールユニット38は、後述するリモコンや室内端末機器(図示せず)から与えられた指令に基づいて電動モータ37の回転方向及び回転速度を制御するものである。
【0012】
本実施の形態では、図4に示すように、巻取ロール39の一方の端部から円柱状のシャフト31aが突出し、かつ他方の端部から樹脂製の柱状を成すモータケース31bが突出した巻取軸31を適用しており、シャフト31a及びモータケース31bをそれぞれシャフト用ブラケット36に連結することにより、左右の側板34の間に巻取軸31が取り付けてある。より具体的に説明すると、シャフト用ブラケット36は、本来、シャフト31aを支持するためのもので、図3(b)、図3(c)に示すように、それぞれが横底壁部36aと、横底壁部36aの両側に設けた2つの側壁部36bと、個々の側壁部36bから横底壁部36aに対してほぼ直交する方向に屈曲するように設けた取付壁部36cとを有して構成してある。このシャフト用ブラケット36は、側壁部36bの間の支持開口36dが室外に向けて斜め上方に開口する状態で取付壁部36cを介して側板34の内表面34aにおいてほぼ中央となる部分に取り付けてある。シャフト用ブラケット36を側板34に取り付ける方法としては、スポット溶接等によって溶着しても良いし、ネジによって取り付けるようにしても良い。2つの側壁部36bの相互間隔は、巻取軸31のシャフト31aを収容することのできる寸法に形成してある。巻取軸31のシャフト31aは、図5に示すように、横底壁部36a及び2つの側壁部36bの間にシャフト31aを配置した状態で側壁部36b及びシャフト31aにわたって連結ピン36eを貫通させることによりシャフト用ブラケット36に着脱可能に取り付けることが可能である。
【0013】
一方、巻取軸31のモータケース31bには、図4(b)に示すように、端面及び周面に開口するように嵌合部40が設けてある。嵌合部40は、シャフト用ブラケット36の2つの側壁部36bの幅とほぼ同じ相互間隔を有して互いに対向する2つの当接面41と、個々の当接面41の一方の端部間を連結するように設けた閉塞端面42と、個々の当接面41の他方の端縁から互いに離隔する方向に延在した2つの開口端縁面43とを有した凹状を成すものである。図6に示すように、当接面41と閉塞端面42との入隅となる会合部には、それぞれ逃げ部44が設けてある。逃げ部44は、凹状となるように形成したもので、当接面41と閉塞端面42とが直接接触するのを阻止している。この嵌合部40を有したモータケース31bは、図6図7に示すように、2つの当接面41にそれぞれシャフト用ブラケット36の側壁部36bをそれぞれ当接し、かつ側壁部36bの端面を閉塞端面42に当接させた状態でシャフト用ブラケット36に嵌合することが可能である。さらに、モータケース31b及び側壁部36bにわたって連結ピン36fを貫通させることにより、シャフト用ブラケット36に対して着脱可能に取り付けることが可能である。
【0014】
また、モータケース31bの端面には、ケーブル挿通孔51及びワイヤ挿通孔52が設けてある。ケーブル挿通孔51は、図9に示すように、巻取軸31に内蔵した電動モータ37やコントロールユニット38に対して電源を供給するための電源ケーブル61やそのコネクタ61a、室内端末機器等の外部機器とコントロールユニット38との間を接続する端末通信ケーブル62等々のケーブルをモータケース31bの内外に挿通させるためのもので、モータケース31bの周縁部に複数設けてある。ワイヤ挿通孔52は、巻取軸31に対する巻取ロール39の制動状態を解除してシャッターカーテン32を手動操作する際に引っ張り操作する操作ワイヤ63をモータケース31bの内外に挿通させるためのもので、モータケース31bのほぼ中心となる部分に唯一設けてある。
【0015】
シャッターカーテン32は、図1に示すように、複数のスラット32aを相互に連結することによって構成したもので、一方の端部が巻取ロール39に連結してある。電動モータ37の駆動により巻取軸31に対して巻取ロール39が回転すると、巻取ロール39の周囲に対してシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しを行うことが可能である。図1及び図2に示すように、左右の縦枠12には、室外側となる部分にそれぞれガイドレール13が設けてある。巻取ロール39から繰り出されたシャッターカーテン32は、両側の縁部がガイドレール13に挿入された状態にあり、枠体10の開口部を閉塞することが可能である。図1に示すように、巻取ロール39の外周面と背板33及びフロントカバー35aとの間には、巻取ロール39にシャッターカーテン32をすべて巻き取った場合にもシャッターカーテン32が背板33及びフロントカバー35aに接触しないように巻き取り空間32Aが確保してある。また、シャッターケース30の側板34の相互間には、シャッターカーテン32よりも大きな相互間隔が確保してあり、巻取ロール39に巻き取ったシャッターカーテン32が側板34の内表面34aに接触することもない。なお、図2中の符号35bは、側板34において縦枠12よりも室外側に突出した部分の外表面を覆うサイドカバーである。
【0016】
図8に示すように、モータケース31bを支持する一方の側板34(本実施の形態では室外側から見た場合に右側の側板)には、他方の側板34に対向する内表面34aに3つのスラットガイド70A,70B,70Cが巻取軸31を取り囲むように周方向に並設してある。これらのスラットガイド70A,70B,70Cは、シャッターカーテン32と側板34との間の隙間に配設することにより、側板34との間に図示せぬ収容空間を構成するものである。これらの収容空間には、図9に示すように、モータケース31bのケーブル挿通孔51から外部に引き出した電源ケーブル61とそのコネクタ61a及び端末通信ケーブル62が収容してあるとともに、上述した操作ワイヤ63の中間部が収容してある。また、室外側のスラットガイド70Bには、コントロールユニット38をリモコンや室内端末機器等の外部機器に接続するための通信機器等の電子部品64が収容してある。
【0017】
上記のように構成した電動シャッター装置では、図示せぬリモコンや室内端末機器を通じて建物の内部から操作を行えば、電子部品64及びコントロールユニット38を通じて電動モータ37が操作に応じた方向及び回転速度で回転する。これにより、巻取軸31の巻取ロール39に対するシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しが行われることになり、枠体10の開口部が適宜開閉されることになる。これらの動作の間、シャッターケース30の内部においては、シャッターカーテン32が移動することになる。しかしながら、電源ケーブル61、端末通信ケーブル62、操作ワイヤ63、電子部品64は、いずれもスラットガイド70A,70B,70Cと側板34との間の収容空間に配設してある。従って、シャッターカーテン32とこれらケーブル61,62、操作ワイヤ63、電子部品64とが接触する事態を招来する懸念がない。
【0018】
また、巻取軸31のシャフト31aとモータケース31bとで共通のシャフト用ブラケット36を適用することができるため、部品点数が増えることがなく、製造コストの点で有利となる。しかも、モータケース31bの嵌合部40とシャフト用ブラケット36とを互いに嵌合させるようにしているため、巻取軸31と側板34との間をより強固に取り付けることが可能となり、耐久性の点でも有利となる。さらに、嵌合部40において当接面41と閉塞端面42との入隅となる会合部には、それぞれ逃げ部44が設けてある。従って、巻取軸31と巻取ロール39との相対回転に伴ってシャフト用ブラケット36の側壁部36bが当接面41に押圧されることになるものの、当接面41と閉塞端面42との会合部に応力が集中する事態が防止される。これにより、電動シャッター装置の使用が長期にわたった場合にもモータケース31bに損傷を来すおそれがない。
【0019】
図10に示すように、この電動シャッター装置には、アダプタ80が用意してある。アダプタ80は、図11に示すように、一方の側板134にケース用ブラケット136が取り付けられた既設の電動シャッター装置のシャッターケース130に対して上述の巻取軸31を交換用として取り付ける際に必要となるものである。シャッターケース130の他方の側板134には、シャフト31aを支持するためのシャフト用ブラケット、例えば上述した電動シャッター装置と同じシャフト用ブラケット36が取り付けてある。以下においては必要に応じて既設されていた電動シャッター装置の構成要素についても説明するが、上述した電動シャッター装置の構成要素との相違を明確化する目的で、既設されていた電動シャッター装置の構成要素に「既設」という用語を付与する場合がある。
【0020】
既設ケース用ブラケット136は、交換対象となる既設巻取軸(図示せず)の既設モータケースを既設側板134に取り付ける際に用いられていた専用のもので、図11図12に示すように、略円板状を成し、周縁部において同一の円周上の互いに等間隔となる複数の位置(本実施の形態では6位置)に突起136aを有している。突起136aは、円板の中心に向けて凸となるように形成した略半円弧の円筒状を成すもので、既設側板134の内表面134aからほぼ直角となる方向に向けて突出されている。突起136aの相互間となる既設ケース用ブラケット136の周縁部には、突起136aと同一方向に向けて突出するように周壁部136bが設けてある。周壁部136bの突出寸法は、突起136aの突出寸法の1/2程度である。
【0021】
アダプタ80は、図10に示すように、モータケース31bの嵌合部40に嵌合可能となるケース取付部81と、既設ケース用ブラケット136に係合可能となるブラケット取付部82とを一体に成形したものである。ケース取付部81は、長方形状を成す基底壁部81aと、基底壁部81aの両側縁部から同一方向に向けて互いにほぼ平行に延在した2つの側壁部81bとを有して構成してある。2つの側壁部81bは、図13に示すように、モータケース31bの嵌合部40に配置した場合に2つの当接面41に当接し、かつ延在端部がモータケース31bの端面から突出するように形成してある。基底壁部81aにおいてモータケース31bのワイヤ挿通孔52に対向する部分には、ワイヤ挿通用切欠部81cが形成してある。ブラケット取付部82は、図10図12に示すように、個々の側壁部81bから基底壁部81aに対してほぼ平行、かつ互いに離反する方向に屈曲して延在するように2つの係合壁部82aを設けることによって構成してある。2つの係合壁部82aは、個々の先端部に係合切欠部82bを有したもので、これらの係合切欠部82bを既設ケース用ブラケット136に設けられた突起136aの周面に係合させるとともに、先端部を周壁部136bの内周面に係合させた状態で、対向する2つの突起136aの間に挿入することが可能である。このアダプタ80をモータケース31bに取り付けるには、ケース取付部81を嵌合部40に嵌合させた状態でモータケース31b及び側壁部81bにわたって連結ピン(図示せず)を貫通させれば良い。
【0022】
図14図15に示すように、上述のアダプタ80をモータケース31bに取り付けた巻取軸31は、アダプタ80のブラケット取付部82を既設ケース用ブラケット136に係合させ、この状態からもう一方の端部のシャフト31aを既設シャフト用ブラケット36に取り付ければ、既設シャッターケース130に対して相対移動が規制された状態で既設側板134の相互間に取り付けられた状態となる。従って、既設された電動シャッター装置の既設電動モータにのみ不具合が生じた場合には、上述のアダプタ80を適用することにより、既設電動モータを含む既設巻取軸のみを、上述した巻取軸31に交換することで対応することが可能となり、既設シャッターケース130についてはそのまま適用することで修繕費用を押さえることが可能となる。
【0023】
なお、上述した実施の形態では、モータケース31bにシャフト用ブラケット36が嵌合可能となる嵌合部40を設けているため、モータケース31bを側板34に取り付ける場合にもシャフト用ブラケット36を適用することができ、側板34の双方にはシャフト用ブラケット36のみを設ければ良い等、製造作業がきわめて容易となるばかりでなく、部品の共用化から製造コストを低減することも可能となる。しかしながら、モータケース31bには、シャフト用ブラケット36が嵌合可能となる嵌合部40を設ける必要はなく、また、必ずしも凹状のものである必要もない。例えば、アダプタのケース取付部がモータケースを挟持するように取り付けられるように構成されているものであっても構わない。さらに、凹状の嵌合部40を設ける場合に上述した実施の形態では、閉塞端面42と当接面41との会合部に凹状となるように逃げ部44を設けているため、シャフト用ブラケット36またはアダプタ80を嵌合させた状態で電動モータ37を駆動した場合にも、閉塞端面42と当接面41との会合部に応力が集中することに起因したモータケース31bの損傷を防止することができるが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0024】
以上のように、本発明に係る電動シャッター装置の巻取軸取付構造は、一端部にシャフトを有し、かつ他端部にモータケースを有した巻取軸の他端部を、複数の突起を有するケース用ブラケットが設けられたシャッターケースの側板に取り付けるための電動シャッター装置の巻取軸取付構造であって、前記モータケースと前記ケース用ブラケットとの間には、前記モータケースに取り付けられるケース取付部と、前記ケース用ブラケットの突起に係合するブラケット取付部とを有したアダプタが介在されていることを特徴としている。
この発明によれば、側板に取り付けられたケース用ブラケットとモータケースとの間にアダプタを介在させることにより、既設された電動シャッター装置のシャッターケースに対してそのままの状態で巻取軸を取り付けることが可能となり、電動モータに不具合が生じた場合の修繕費用を低減することが可能となる。
【0025】
また本発明は、上述した電動シャッター装置の巻取軸取付構造において、前記モータケースには、前記シャフトを支持するためのシャフト用ブラケットが嵌合可能となる嵌合部が設けられ、前記アダプタのケース取付部は、前記嵌合部に嵌合可能となる形状を有していることを特徴としている。
この発明によれば、モータケースを側板に取り付ける場合にシャフト用ブラケットを適用することができるため、シャッターケースに巻取軸を取り付ける場合には側板にそれぞれシャフト用ブラケットを取り付けておけば良く、製造作業がきわめて容易となるばかりでなく、部品の共用化から製造コストを低減することも可能となる。
【0026】
また本発明は、上述した電動シャッター装置の巻取軸取付構造において、前記ケース用ブラケットの突起は、同一の円周上において互いに間隔を確保した位置に設けられたものであり、前記アダプタのブラケット取付部には、前記複数の突起の間に挿入可能となり、前記複数の突起の間に挿入した場合に前記突起に係合することにより前記ケース用ブラケットに対する前記円周に沿った方向の相対回転を規制する係合壁部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、モータケースに予めアダプタを取り付けた状態でアダプタのブラケット取付部を、複数の突起の間に挿入しさえすれば、側板に対する巻取軸の相対回転を規制することが可能となり、モータケースを側板のケース用ブラケットに取り付ける際の作用性の点で有利となる。
【0027】
また本発明は、上述した電動シャッター装置の巻取軸取付構造において、前記アダプタのケース取付部は、長方形状を成す基底壁部と、前記基底壁部の両側縁部から同一方向に向けて延在する2つの側壁部とを有し、前記アダプタのブラケット取付部は、前記2つの側壁部の延在縁部からそれぞれ互いに離隔する方向に延在した2つの係合壁部を有し、個々の係合壁部に前記ケース用ブラケットの突起に係合する係合切欠部が設けられ、前記モータケースの嵌合部は、前記2つの側壁部の外表面に当接する互いに対向した2つの当接面を有し、前記2つの当接面の相互間に前記アダプタが嵌合される凹状を成すものであり、前記ケース取付部は、一方の端部が前記モータケースの周面に開口する一方、もう一方の端部が閉塞され、前記嵌合部の閉塞端面と前記当接面との会合部には、それぞれ凹状となるように逃げ部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、2つの側壁部を介してモータケースとアダプタとが接合されるため、両者の接合面積を大きく確保することができ、強度上の点で有利となる。しかも、モータケースにおいて閉塞端面の両入隅部に逃げ部を設けるようにしているため、応力が集中することに起因したモータケースの損傷を防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0028】
30 シャッターケース、31 巻取軸、31a シャフト、31b モータケース、34 側板、34a 内表面、36 シャフト用ブラケット、37 電動モータ、40 嵌合部、41 当接面、42 閉塞端面、44 逃げ部、80 アダプタ、81 ケース取付部、81a 基底壁部、81b 側壁部、82 ブラケット取付部、82a 係合壁部、82b 係合切欠部、130 既設シャッターケース、134 既設側板、136 既設ケース用ブラケット、136a 突起
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