(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088237
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H03K 17/691 20060101AFI20230619BHJP
H03K 5/1252 20060101ALI20230619BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H03K17/691
H03K5/1252
H04L25/02 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054166
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】202111523827.7
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
(72)【発明者】
【氏名】政所 隆大
【テーマコード(参考)】
5J039
5J055
5K029
【Fターム(参考)】
5J039BC01
5J039KK20
5J055AX22
5J055EY01
5J055EY07
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ10
5J055GX01
5J055GX04
5K029AA02
5K029DD29
5K029HH11
5K029JJ03
5K029LL11
5K029LL15
(57)【要約】
【課題】一次側巻線及び二次側巻線を備えるトランスを介して、一対の有効パルスに基づく信号伝達を行う半導体装置を提供する。
【解決手段】一次側巻線と二次側巻線とを有するトランス(T1)と、一次側巻線に接続され、一次側巻線に駆動信号(SG1,SG2)を印加する駆動回路と、二次側巻線に接続され、二次側巻線で発生したパルスエッジ(CPs_out,CPr_out)を検出するパルスエッジ検出回路と、一対の有効パルスエッジのうちの各パルスエッジの極性に応じて、セット信号(SET)とリセット信号(RESET)のうちの一方を出力する信号生成回路(3)と、一対の有効パルスエッジのうちの2つのパルスは極性が逆であり、時間間隔が所定の時間範囲内であることを特徴とする信号生成回路(3)。これにより、セット信号やリセット信号を確実に出力できるとともに、ノイズ信号の影響を効果的に除去することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側巻線及び二次側巻線を備えるトランスと、
前記一次側巻線に接続されて、前記一次側巻線に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記二次側巻線接続に接続されて、前記二次側巻線に発生したパルスエッジを検出するパルスエッジ検出回路と、
一対の実効パルスエッジのうちの各パルスエッジの極性に応じて、セット信号及びリセット信号のうちの一方を出力し、ここで、当該一対の実効パルスエッジのうちの2つのパルスエッジの極性が逆となり、時間間隔が所定の時間範囲内である信号発生回路と、を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記駆動回路が、第1の駆動回路と第2の駆動回路とを含み、
前記第1の駆動回路が前記一次側巻線の一端に接続されて、前記一次側巻線へ第1の駆動信号を入力し、
前記第2の駆動回路が前記一次側巻線の他端に接続されて、前記一次側巻線へ第2の駆動信号を入力する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記信号発生回路は、
前記パルスエッジの立ち下がりに応答して、第1のラッチ信号を生成する第1の信号ラッチ部と、
前記パルスエッジの立ち下がりに応答して、前記第1のラッチ信号を遅延して、前記駆動信号の時間長さよりも小さい第1の遅延信号を前記第1の信号ラッチ部が生成させる第1の時間遅延部と、
前記パルスエッジの立ち上がりに応答して、第2のラッチ信号を生成する第2の信号ラッチ部と、
前記パルスエッジの立ち上がりに応答して、前記第2のラッチ信号を遅延して、前記駆動信号の時間長さよりも小さい第2の遅延信号を前記第2の信号ラッチ部が生成させる、第2の時間遅延部と、
前記第1のラッチ信号、前記第2の遅延信号及び第3の遅延信号に応答し、第3のラッチ信号を生成する第3の信号ラッチ部と、
前記パルスエッジの立ち上がりに応答し、前記駆動信号的時間長さよりも大きい前記第3の遅延信号を生成する第3の時間遅延部と、
前記第2のラッチ信号、前記第1の遅延信号及び第4の遅延信号に応答し、第4のラッチ信号を生成する第4の信号ラッチ部と、
前記パルスエッジの立ち下がりに応答し、前記駆動信号の時間長さよりも大きい前記第4の遅延信号を生成する第4の時間遅延部と、
前記第3のラッチ信号及び前記第4のラッチ信号に応じて、前記セット信号又は前記リセット信号を出力する第5信号ラッチ部と、を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第5信号ラッチ部がRSフリップフロップであり、
前記第5信号ラッチ部のセット端子が前記第3のラッチ信号を受信し、
前記第5信号ラッチ部のリセット端子が前記第4のラッチ信号を受信する、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3の信号ラッチ部が第1のAND回路、第3のDフリップフロップ及び第3のRSフリップフロップを含み、
前記第1のAND回路が前記第2の遅延信号及び前記第1のラッチ信号を受信し、前記第1のAND回路の出力端子が前記第3のDトリガーのクロック入力端子に接続されて、
前記第3のDフリップフロップのQ端子が前記第3のRSフリップフロップのS端子に接続される、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4の信号ラッチ部が第2のAND回路、第4のDフリップフロップ及び第4のRSフリップフロップを含み、
前記第2のAND回路が前記第1の遅延信号及び前記第2のラッチ信号を受信し、前記第2のAND回路の出力端子が前記第4のDフリップフロップのクロック入力端子に接続されて、
前記第4のDフリップフロップ(FFr3)のQ端子が前記第4のRSフリップフロップのS端子に接続される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4のDフリップフロップのQ端子が前記第3の時間遅延部の入力端子及び第1のNOT回路の入力端子に接続されて、前記第3の時間遅延部の出力端子及び前記第1のNOT回路の出力端子が第1のOR回路の入力端子にそれぞれ接続されて、前記第1のOR回路の出力端子が前記第3のRSフリップフロップのR端子に接続される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3のDフリップフロップのQ端子が第2のNOT回路の入力端子に接続され、
前記第2のNOT回路の出力端子が第4の時間遅延部の入力端子及び第3のNOT回路の入力端子に接続されて、前記第4の時間遅延部の出力端子及び前記第3のNOT回路の出力端子が第2のOR回路の入力端子にそれぞれ接続されて、前記第2のOR回路の出力端子が前記第4のRSフリップフロップのR端子に接続される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の半導体装置を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本願は、電子回路分野に関し、特に信号伝達の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスの一次側巻線で受信した正パルスまたは負パルスを二次側巻線に伝達して、セット信号(SET)またはリセット信号(RESET)を生成することができる。
特許文献1(US6720816 B2)には、上述した原理を有する回路が開示されている。
図1は、特許文献1の回路構成の模式図であり、
図2は、特許文献1における各信号のタイミング図である。
図1及び
図2において、UsはトランスTrfの二次側巻線の電圧を示し、Upは一次側巻線の電圧を示す。回路ASTは駆動信号を生成し、駆動信号は正パルスまたは負パルスであり、パルス幅はいずれもTであり、パルス周期はTrである。K1,K2は比較器であり、それぞれ基準電圧+Urefと-Urefが入力される。G2,G3はNAND回路である。ZG1,ZG2は遅延回路であり、いずれも遅延τが発生する,また、ZG1およびZG2の出力端子はそれぞれRSフリップフロップ(RS-FF)のS端子およびR端子に接続され、RSフリップフロップのQ端子から信号Uoutが出力され、信号Uoutはリセット信号(すなわち信号Uoutがローレベル)またはセット信号(すなわち信号Uoutがハイレベル)である。
特許文献1において、
図2に示すように、Usの立ち上がりエッジに基づいてセット信号をトリガし、Usの立ち下がりエッジに基づいてリセット信号をトリガする。これにより、入力信号UinをRSフリップフロップのQ端子に単一の巻線で伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、Usの1つの立ち上がりエッジのみに基づいてセット信号をトリガし、Usの1つの立ち下がりエッジのみに基づいてリセット信号をトリガすることにより、例えば、ノイズによって立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジが発生した場合に、セット信号またはリセット信号を誤ってトリガし易いという誤動作を招きやすい問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その課題を解決し、ノイズ信号の影響を効果的に除去し、セット信号とリセット信号を確実に出力できる信号伝達を行える半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一態様によれば、半導体装置は、一次側巻線及び二次側巻線を備えるトランスと、一次側巻線に接続されて、一次側巻線に駆動信号を印加する駆動回路と、二次側巻線接続に接続されて、二次側巻線に発生したパルスエッジを検出するパルスエッジ検出回路と、一対の実効パルスエッジのうちの各パルスエッジの極性に応じて、セット信号及びリセット信号のうちの一方を出力し、ここで、当該一対の実効パルスエッジのうちの2つのパルスエッジの極性が逆となり、時間間隔が所定の時間範囲内である信号発生回路と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トランスの二次側巻線側において、一対の有効パルスにおける各パルスの極性に応じて、セット信号又はリセット信号を出力するので、セット信号又はリセット信号を確実に出力することができ、かつ、ノイズ信号の影響を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、特許文献1の回路構成の概略図である。
【
図2】
図2は、特許文献1における各信号のタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1の半導体装置の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の信号生成回路3の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の半導体装置100における各部信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、以下の説明書により、本出願の前述および他の特徴が明らかになるであろう。明細書および図面において、本出願の特定の実施形態が具体的に開示されており、本出願は、本願の原則を適用することができる一部の実施形態を示しているが、本明細書は、記載の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本願は、添付の権利が求める範囲に含まれる全ての修正、変形、及び均等物を含むことを理解されたい。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図3は、本実施形態の半導体装置の概略図である。
図3に示すように、半導体装置100は、トランスT1と、駆動回路1と、パルス波形検出回路2と、信号発生回路3とを備えている。トランスT1は、一次側巻線Pと二次側巻線Sとを有する。
駆動回路1は、一次側巻線Pに接続され、一次側巻線Pに駆動信号が印加され、駆動信号は、例えば、第1入力信号SG1又は第2入力信号SG2に基づいて生成される。
パルスエッジ検出回路2は、二次側巻線Sに接続されており、二次側巻線Sで発生したパルスエッジを検出する。例えば、パルスエッジ検出回路2は、検出結果を出力することができ、CPs_outまたはCPr_out、そのうちCPs_outは、立ち下りエッジが検出されたことを示すパルスエッジであり、CPr_outは立ち上りエッジを検出したパルスエッジを表している。
【0011】
本願では、駆動回路1から出力される駆動信号により、二次側巻線Sにパルスエッジを発生させることができるが、一次側巻線Pまたは二次側巻線Sに混入したノイズ信号により、二次側巻線Sにパルスエッジを発生する可能性がある。
信号生成回路3は、一対の有効パルスエッジにおける各パルスエッジの極性に応じて、セット信号(SET)とリセット信号(RESET)の一方を出力する。ここで、一対の有効パルスエッジのうちの2つのパルスエッジは、2つの条件を満たす。
条件1: 2つのパルスエッジの極性が逆であり、例えば、1つのパルスエッジが立ち上がりパルスエッジであり、もう1つのパルスエッジが立ち下がりパルスエッジである。
条件2: 2つのパルスの時間間隔T0は、所定の時間範囲[DL1,DL3]内であり、例えば、DL1<T0≦DL3である。さらに、2つのパルスエッジの時間間隔が所定の時間範囲[DL1,DL3]の外、例えば、T0<DL1、または、DL3<T0の場合、2つのパルスエッジは、一対の有効なパルスエッジではない。
本願の実施例1では、極性が逆の2つのパルスエッジからセット信号またはリセット信号を判断するので、1つの立ち上がりパルスエッジまたは1つの立ち下がりパルスエッジのみから判断するよりも判断結果がより確実になる。また、本出願は、時間の短いノイズ信号又は時間の長いノイズ信号によるパルスエッジの間隔が所定の時間範囲外であれば、ノイズ信号の影響を効果的に除去することができる。
【0012】
本実施形態では、
図3に示すように、駆動回路1は、第1駆動回路11および第2駆動回路12を含む。第1駆動回路11は、トランスT1の一次側巻線Pの一端に接続され、一次側巻線Pに第1駆動信号が入力される。第2駆動回路12は、一次側巻線Pの他端に接続され、一次側巻線Pに第2駆動信号が入力される。第1駆動信号および第2駆動信号は、同じ方向のパルス信号であってもよく、例えば、いずれも順方向のパルス信号であってもよしとし、いずれも負方向のパルス信号であってもよい。これにより、第1駆動信号及び第2駆動信号は、一次側巻線Pにおいて逆方向の電流を形成することができる。
第1駆動信号は、第1入力信号SG1に基づいて生成され、第1入力信号SG1は、入力信号Vsgの立ち上がりに応じて生成され、第1入力信号SG1の順方向パルスの時間長はTsg1であり、第1駆動信号の時間長はTsg1である。第2の駆動信号は、第2の入力信号SG2に基づいて生成され、第2の入力信号SG2は、入力信号Vsgの立ち下がりに応じて生成され、第2の入力信号SG2の順方向パルスの時間長はTsg2であり、第2の駆動信号の時間長はTsg2である。本実施形態では、Tsg1とTsg2は等しくてもよく、等しくなくてもよい。
入力信号Vsgは、半導体装置100の外部回路で生成することができ、入力信号Vsgに基づいて第1の入力信号SG1およびSG2を生成する方法は、関連技術を参照することができる。
本実施形態では、
図3に示すように、第1駆動回路11は、トランジスタQ1およびQ3を含み、Q1およびQ3は、相補的な金属酸化物半導体(CMOS)構造を形成することができ、第1入力信号SG1は、このCMOS構造の入力端に入力することができ、第1駆動信号は、このCMOS構造の出力端から出力することができる。第2駆動回路12は、トランジスタQ2,Q4を含むことができ、トランジスタQ2,Q4は相補的な金属酸化物半導体(CMOS)構造を形成することができ、第2入力信号SG2をCMOS構造の入力端に入力することができ、第2駆動信号をCMOS構造の出力端から出力することができる。なお、第1駆動回路11及び第2駆動回路12の構成は、これに限定されない。
【0013】
パルスエッジ検出回路2は、第1比較器CPsおよび第2比較器CPrを含むことができる。抵抗R1及び抵抗R2は、2次側巻線Sの両端にそれぞれ接続されており、抵抗R1及び2次側巻線Sの接続点は、第1比較器CPsの「-」端及び第2比較器CPrの「+」端に接続されている。これにより、2次側巻線Sで発生した電圧を第1比較器CPsの“-”端と第2比較器CPrの“+”端に導入することができる。また、抵抗R2はコンデンサC1と並列に接続されていてもよい。
抵抗R3,R4,R5は直列に接続され、抵抗R3の一端は抵抗R1の一端に接続され、図示しない制御電源の正極電圧に接続される。抵抗R5の一端は抵抗R2の一端に接続され、図示しない制御電源の負極電圧に接続される。抵抗R3とR4の接続点は第2比較器CPrの“-”端に接続され、抵抗R4とR5の接続点は第1比較器CPsの"+"端に接続される。これにより、第1比較器CPsの"+"端に第1基準電圧Ref_Lを入力することができる、第2比較器CPrの"-"端に第2基準電圧Ref_Hを入力する。
二次側巻線Sで発生する立ち下がりパルス電圧がRef_Lより小さいときの場合、第1比較器CPsの出力端はハイレベル信号を出力する。二次側巻線Sで発生する立ち上がりパルスの電圧がRef_Hより大きい場合、第2比較器CPrの出力端はハイレベル信号を出力する。二次側巻線Sで発生するパルス沿いの電圧が第2基準電圧Ref_Hと第1基準電圧Ref_L間の場合、第1比較器CPsと第2比較器CPrの出力端はともにローレベル信号を出力する。これにより、電圧の小さいパルスエッジ(例えばノイズ信号が発生するため)は、第1比較器CPsおよび第2比較器CPrにハイレベル信号を出力させない。
【0014】
図4は、信号生成回路3の概略図である。
図4に示すように、信号発生回路3は、第1信号ラッチ部31、第1時間遅延部DELAY1、第2信号ラッチ部32、第2時間遅延部DELAY2、第3信号ラッチ部33、第3時間遅延部DELAY3、第4信号ラッチ部34、第4時間遅延部DELAY4及び第5信号ラッチ部FF5を含む。
第1信号ラッチ部31は、二次側巻線Sにおいて立ち下がりパルスエッジに応じて、第1ラッチ信号、例えば信号FFs2_Qを生成する。
第1の時間遅延部DELAY1は、二次側巻線Sにおいて立ち下がりパルスエッジに応答して、第1ラッチ信号FFs2_Qを遅延させて、駆動信号の時間長(例えば、第1の駆動信号SG1の時間長Tsg1)よりも時間長DL1が小さい、第1の信号ラッチ部31に第1の遅延信号を生成させる。
第2信号ラッチ部32は、二次側巻線Sにおいて立上りパルスエッジに応答して、第2ラッチ信号、例えば信号FFr2_Qを生成する。
第2の時間遅延部DELAY2は、二次側巻線Sにおいて立上りパルスエッジに応答して、第2のラッチ信号FFr2_Qを遅延させて、駆動信号の時間長(例えば、第2の駆動信号SG2の時間長Tsg2)よりも時間長DL2が小さい、第2の信号ラッチ部32に第2の遅延信号を生成させる。
第3信号ラッチ部33は、第1ラッチ信号、第2遅延信号及び第3遅延信号に応答して、第3ラッチ信号、例えばFFs4_Qを生成する。
第3時間遅延部DELAY3は、二次側巻線Sにおいて立ち上がりパルスエッジに応答して、駆動信号の時間長(例えば、第1駆動信号SG1の時間長Tsg1)よりも大きい時間長DL3を生成する。
第4信号ラッチ部34は、第2ラッチ信号、第1遅延信号および第4遅延信号に応答して、第4ラッチ信号、例えばFFr4_Qを生成する。
第4時間遅延部DELAY4は、二次側巻線Sにおいて立ち下がりパルスエッジに応答して、駆動信号の時間長(例えば、第2駆動信号SG2の時間長Tsg2)よりも大きい時間長DL4を生成する。
第5信号ラッチ部FF5は、第3ラッチ信号および第4ラッチ信号に基づいてセット信号(SET)または前記リセット信号(RESET)を出力する。例えば、第5信号ラッチ部FF5はRSフリップフロップであり、第5信号ラッチ部FF5のセット端子Sは第3ラッチ信号を受信し、第5信号ラッチ部FF5のリセット端子Rは第4ラッチ信号を受信する。
【0015】
図4に示すように、第1信号ラッチ部31は、第1RSフリップフロップFFs1および第1DフリップフロップFFs2を含む。第1時間遅延部DELAY1は、第1RSフリップフロップFFs1のQ端子から出力される信号を遅延させて第1RSフリップフロップFFs1のR端子に入力し、第1RSフリップフロップFFs1のQ端子に第1遅延信号を出力させる。
第2信号ラッチ部32は、第2RSフリップフロップFFr1および第2DフリップフロップFFr2を含む。第2時間遅延部DELAY2は、第2RSフリップフロップFFr1のQ端子から出力される信号を遅延させて第2RSフリップフロップFFr1のR端子に入力し、第2RSフリップフロップFFr1のQ端子に第2遅延信号を出力させる。
第3信号ラッチ部33は、第1アンド回路AND1、第3DフリップフロップFFs3、および第3RSフリップフロップFFs4を含む。
第1アンド回路AND1は第2遅延信号FFr1_Qと第1ラッチ信号FFs2_Qとを受信し、第1アンド回路AND1の出力端子は、第3DフリップフロップFFs3のクロック入力端子ckに接続される。
第3DフリップフロップFFs3のQ端子と第3RSフリップフロップFFs4のS端子とは、例えば、両者の間は直接接続されている。
第4信号ラッチ部34は、第2アンド回路AND2、第4DフリップフロップFFr3、および第4RSフリップフロップFFr4を含む。
第2アンド回路AND2は、第1遅延信号FFs1_Qと第2ラッチ信号FFr2_Qとを受信し、第2アンド回路AND2の出力端子は、第4DフリップフロップFFr3のクロック入力端子ckに接続される。
第4DフリップフロップFFr3のQ端子と第4RSフリップフロップFFr4のS端子とは接続されており、例えば両者の間は第4ノット回路NOT4を介して接続されている。
第4DフリップフロップFFr3のQ端子は第3時間遅延部DELAY3の入力端子と第1ノット回路NOT1の入力端子とに接続され、第3時間遅延部DELAY3の出力端子と第1ノット回路NOT1の出力端子はそれぞれ第1オア回路OR1の入力端子に接続され、第1オア回路OR1の出力端子は第3RSフリップフロップFFs4のR端子に接続される。
第3DフリップフロップFFs3のQ端子は、第2ノット回路NOT2の入力端子に接続されている。第2ノット回路NOT2の出力端子は、第4時間遅延部DELAY4の入力端子と第3ノット回路NOT3の入力端子とに接続され、第4時間遅延部DELAY4の出力端子と第3ノット回路NOT3の出力端子とは、それぞれ第2オア回路OR2の2つの入力端子に接続されている。第2オア回路OR2の出力端子は、第4RSフリップフロップFFr4のR端子に接続されている。
【0016】
図5は、本願の半導体装置100における各部信号のタイミングチャートである。次に、本発明の実施形態に係る半導体装置100の動作原理について、
図5に示すタイミングチャートに従って説明する
図5に示すように、時刻t1において入力信号Vsgがローレベルからハイレベルになると、立ち上がりパルスエッジが発生し、第1入力信号SG1がトリガされ、第1入力信号SG1がトランジスタQ1およびQ3のゲート、すなわちQg1およびQg3に入力される。第1入力信号SG1の時間長はTsg1である。
第1入力信号SG1の立ち上がりエッジは、トランスT1の二次側巻線Sにおいて立ち下がりパルスエッジ、すなわち、
図5のT1(S)に示すように生成される。この立ち下がりパルスは発生する電圧が第1基準電圧Ref_Lより負極方向に大きいので(
図5の「Cpr,CPs input」に示す)、第1比較器CPsの出力端子は、順方向のパルス(
図5のCPs_outに示す)を出力する。
第1比較器CPsの出力CPs_outは第1RSフリップフロップFFs1のセット端子Sに入力され、
図5の信号FFs1_Qに示すように第1RSフリップフロップFFs1のQ端子の出力信号がハイレベルとなり、このハイレベル信号が第1DフリップフロップFFs2のクロック入力端子ckに入力され、
図5のFFs2_Qに示すように第1DフリップフロップFFs2のQ端子の出力信号FFs2_Qがローレベルからハイレベルとなる。
また、信号FFs1_Qは、第1時間遅延部DELAY1を通って、遅延時間DL1経過後、第1RSフリップフロップFFs1のリセット端子Rに入り、FFs1_Qがローレベルになる。従って、信号FFs1_Qのハイレベルの時間長はDL1、すなわち信号FFs1_Qは第1の遅延信号となる。
信号FFs1_Qは第2アンド回路AND2の一方の入力端子に入力され、第2DフリップフロップFFr2のQ端子から出力される信号FFr2_Qは第2アンド回路AND2の他方の入力端子に入力、信号FFr2_Qは依然としてハイレベルを維持しているので、第2アンド回路AND2が出力する信号はハイレベルであり、このハイレベルは時刻t1の時点から時間長DL1となる。
AND2出力のハイレベルにより第4のDフリップフロップFFr3のQ端子の出力信号FFr3_Qはローレベルからハイレベルとなり、このハイレベル信号は第1ノット回路NOT1、第3時間遅延部DELAY3、第1オア回路OR1を経てRSフリップフロップFFs4のリセット端子Rの信号がローレベルとなり、このローレベル信号はt1時点から、かつ、時間長がDL3となる。
【0017】
図5に示すように、時刻t2において第1入力信号SG1の立ち下がりエッジは、T1(S)に示すトランスT1の二次側巻線Sにおいて立ち上がりパルスエッジになる。この立ち上がりパルスは発生する電圧が第2基準電圧Ref_Hより大きいので(
図5の「Cpr,CPs_input」に示す)、第2比較器CPrの出力端子は順方向のパルス(
図5のCPr_outに示す)を出力する。
第2比較器の出力信号CPr_outは、第2RSフリップフロップFFr1のQ端子の出力信号(
図5のFFr1_Qに示す)が時刻t2からハイレベルとなり、このハイレベル信号が、第2DフリップフロップFFr2のクロック入力端子ckに入力され、第2DフリップフロップFFr2のQ端子の出力信号(
図5のFFr2_Qに示す)がハイレベルからローレベルとなる。
信号FFr1_Qは第2時間遅延部DELAY2を介して遅延時間DL2を経過後、第2RSフリップフロップFFr1のリセット端子Rに入り、信号FFr1_Qがローレベルになるので、信号FFr1_Qのハイレベルの時間長はDL2、すなわち信号FFr1_Qは第2の遅延信号となる。
また、信号FFr1_Qは第1アンド回路AND1の一方の入力端子に入力され、第1DフリップフロップFFs2のQ端子から出力される信号FFs2_Qが第1アンド回路AND1の他方の入力端子に入力される。ここで、信号FFs2_Qは依然としてハイレベルを維持しているので、第1アンド回路AND1から出力される信号はハイレベルになり、このハイレベルはt2時点から時間長DL2となる。
第1アンド回路AND1出力のハイレベルにより第3DフリップフロップFFs3のQ端子の出力信号FFs3_Qはローレベルからハイレベルとなり、このハイレベルは第3RSフリップフロップFFs4のセット端子Sに入力され、第3RSフリップフロップFFs4の出力端子Qの信号FFs4_Qは、時刻t2においてローレベルからハイレベルとなり、第5信号ラッチ部FF5の端子Qの信号FF5_Qは、時刻t2においてローレベルからハイレベル、すなわち信号FF5_Qは、
図3の半導体装置100が出力するセット信号となる。信号FF5_Qは、ハイレベルのゲート電圧を形成するためにドライバDRVに出力されてもよい。
【0018】
トランスT1の二次側巻線Sが順方向パルスを発生する時刻t2とt1との間の時間間隔がDL3よりも大きい場合、第3RSフリップフロップFFs4のリセット端子信号FFs4_Rがハイレベルに復帰することで信号FFs4_Qはローレベルを維持し、このとき、この順方向パルスはノイズ信号によるものと考えられる。従って、第3の時間遅延部DELAY3の遅延時間DL3により、ノイズ信号による間隔時間の長い一対のパルスエッジを遮蔽することができる。また、第1の時間遅延部DELAY1の遅延時間DL1により、ノイズ信号による時間間隔が短い(すなわち、時間間隔がDL1未満)一対のパルスエッジを遮蔽することができる。これにより、第1の時間遅延部と第3の時間遅延部とを設けることにより、時間間隔が所定の時間範囲内(例えば、所定の時間範囲が[DL1,DL3])である一対の有効パルスエッジを特定することができ、入力信号がSG1であると判断することができる。
【0019】
図5に示すように、時刻t3において入力信号Vsgがハイレベルからローレベルとなり、第2入力信号SG2がトリガされ、第2入力信号SG2がトランジスタQ2およびQ4のゲート、すなわちQg2およびQg4に入力される。ここで、第2入力信号SG2の時間長はTsg2である。
時刻t3において、トランスT1の二次側巻線Sが立ち上がりパルスエッジを発生するが、以降の各信号についての説明は、時刻t2の関連説明を参照することができる。
図5に示すように、時刻t4の第2入力信号SG2の立ち下がりエッジにおいて、トランスT1の二次側巻線Sにおいて立ち下がりパルスエッジ、すなわちT1(S)に示すように発生する。以降の各信号についての説明は、時刻t1の説明を参照することができる。
【0020】
時刻t4において、第4RSフリップフロップFFr4の端子Qがハイレベルに出力され、第5信号ラッチ部FF5の端子Qの信号FF5_Qがハイレベルからローレベル、すなわち信号FF5_Qは、
図3の半導体装置100が出力するリセット信号となる。信号FF5_Qは、ローレベルのゲート電圧を形成するためにドライバに出力される。
第1入力信号SG1と同様に、第2の時間遅延部DELAY2と第4の時間遅延部DELAY4とを設けることにより、時間間隔が所定の時間範囲内(例えば、所定の時間範囲が[DL2,DL4])の一対の有効パルスエッジを特定することができ、入力信号がSG2であると判断することができる。このようにして、時間間隔が短い(例えば、時間間隔がDL2未満)又は時間間隔が長い(例えば、時間間隔がDL4より大きい)ノイズ信号によるパルスエッジを遮蔽することができる。
【0021】
本発明の実施の形態1による、トランスの二次側巻線側において、一対の有効パルスエッジにおける各パルスの極性に基づいて、セット信号又はリセット信号を出力し、この一対の有効パルスエッジにおける2つのパルスは極性が逆であり、時間間隔が所定の時間範囲内であるため、極性が逆の2つのパルスエッジに基づいてセット信号又はリセット信号を判断する。従って、本願の判断結果は、1つの立ち上がりエッジ又は1つの立ち下がりエッジのみに基づいて判断するよりも信頼性が高く、また、時間の短いノイズ又は時間の長いノイズ信号によるパルスエッジの間隔が所定の時間範囲外であるため、ノイズ信号の影響を効果的に除去することができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本願の実施形態2は、実施形態1の半導体装置100を備え、これを統合した電子機器を提供する。
電子機器は、入力信号Vsgを生成するための入力回路をさらに備えることができる。また、電子機器は、半導体装置100から出力されたセット信号またはリセット信号に基づいて発生したゲート電圧をバックエンド回路に供給して、バックエンド回路におけるトランジスタのオンまたはオフを制御するバックエンド回路を備えていてもよい。
本願の実施例2によれば、ノイズ信号の影響を効果的に除去し、リセット信号とセット信号の精度を向上させ、電子機器の信頼性を向上させることができる。
【0023】
以上、特定の実施形態に関連して本願について説明したが、これらの説明はすべて例示的であり、本願の保護範囲の制限ではないことを当業者は認識すべきである。当業者は、本願の精神及び原理に基づいて、本願に対して種々の変形及び修正を行うことができ、これらの変形及び修正も本願の範囲内にある。
【符号の説明】
【0024】
1 駆動回路
2 パルスエッジ検出回路
3 信号発生回路
11 第1駆動回路
12 第2駆動回路
31 第1信号ラッチ部
32 第2信号ラッチ部
33 第3信号ラッチ部
34 第4信号ラッチ部
FF5 第5信号ラッチ部
100 半導体装置
C1 コンデンサ
CPr、CPs 比較器
AND1~2 アンド回路
DELAY1~4 時間遅延部
FFr1、FFr4、FFs1、FFs4 RSフリップフロップ
FFr2~3、FFs2~3 Dフリップフロップ
NOT1~4 ノット回路
OR1~2 オア回路
Q1~4 トランジスタ
R1~R5 抵抗
T1 トランス