(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088242
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】筆記測定システム及び筆記測定方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
G01L5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101851
(22)【出願日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2021202324
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】村形 伸一
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB06
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】どのような筆記具を使用者が使用するとしても、使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データを得ることができる、筆記測定システム及び筆記測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の筆記測定システム9は、感圧センサ13を配設した測定テーブル1と、複数のマーカ5と、筆記具4に取り付けられた複数のマーカ5の動きを撮影する複数の撮影装置2a、2b、2cと、複数の撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に得られた撮影情報に基づいて複数のマーカ5の三次元時系列位置情報を生成する画像処理手段61と、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報、及び/又は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記する際に得られた三次元時系列位置情報に基づいて、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データを生成するデータ生成手段62と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆圧を測定するための感圧センサを配設した測定テーブルと、
筆記具に取り付ける複数のマーカと、
前記測定テーブルに対して角度の異なる位置に配置され、前記筆記具に取り付けられた前記複数のマーカの動きを撮影する複数の撮影装置と、
前記複数の撮影装置によって時系列的に得られた撮影情報に基づいて前記複数のマーカの三次元時系列位置情報を生成する画像処理手段と、
前記筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上にて筆記することにより得られた前記感圧センサからの出力情報、及び/又は、前記筆記具を用いて前記使用者が前記測定テーブル上にて筆記する際に得られた前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記使用者による前記筆記具の使用状態を示す筆記測定データを生成するデータ生成手段と、を備える筆記測定システム。
【請求項2】
前記データ生成手段が、前記感圧センサからの出力情報に基づいて、前記筆記測定データとして、前記使用者の筆圧に関する情報を生成する第一情報生成手段を有する、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項3】
前記データ生成手段が、前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記筆記測定データとして、前記筆記具を用いた前記使用者の筆記速度に関する情報、前記筆記具を用いた前記使用者の筆跡に関する情報、前記測定テーブルに対する前記筆記具の傾斜角度に関する情報、前記測定テーブル上の基準軸に対する前記筆記具の方位角度に関する情報、及び前記筆記具の所定の部位の三次元座標に関する情報のうち少なくとも1つを生成する第二情報生成手段を有する、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項4】
前記データ生成手段が生成した前記筆記測定データを表示する表示手段を備える、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項5】
前記データ生成手段が生成した前記筆記測定データを記憶する記憶手段を備える、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項6】
前記複数のマーカが少なくとも第1マーカ及び第2マーカを含み、
前記第1マーカが前記筆記具の先端部に、前記第2マーカが前記筆記具の後端部に取り付けられている、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項7】
前記測定テーブルが、前記感圧センサによって圧力変化を検出することが可能な矩形状の感圧領域を有しており、前記感圧領域の大きさが変更可能に構成されているか、又は前記感圧領域の前記測定テーブルにおける位置が変更可能に構成されている、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項8】
前記測定テーブルが、前記感圧センサによって圧力変化を検出することが可能な矩形状の感圧領域と、前記感圧領域の近傍において鉛直方向上向きに延設された突出部とを有しており、
前記突出部が、前記使用者が前記筆記具を用いて前記測定テーブル上にて筆記する際に、前記使用者と前記感圧領域との間に位置するように配置されている、請求項1に記載の筆記測定システム。
【請求項9】
測定テーブルに配設された感圧センサが、複数のマーカが取り付けられた筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上で筆記することを検出して、出力情報を取得するステップと、
前記測定テーブルに対して角度の異なる位置に配置された複数の撮影装置が、前記筆記具に取り付けられた前記複数のマーカの動きを撮影するステップと、
画像処理手段が、前記複数の撮影装置によって時系列的に得られた撮影情報に基づいて前記複数のマーカの三次元時系列位置情報を生成するステップと、
データ生成手段が、前記筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上にて筆記することにより得られた前記感圧センサからの出力情報、及び/又は、前記筆記具を用いて前記使用者が前記測定テーブル上にて筆記する際に得られた前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記使用者による前記筆記具の使用状態を示す筆記測定データを生成するステップと、を備える筆記測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者による筆記具の使用状態を測定する筆記測定システム及び筆記測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールペンやシャープペンシル、万年筆等の筆記具においては、多種多様な形状や機能、特性を持った商品が開発されているが、使用者の筆記具の持ち方はそれぞれ異なり、また使用者によって筆圧や筆記速度、筆記角度もバラバラである。すなわち、使用者によって筆記具の使用状態は異なるのが通常であり、それゆえに、新たな筆記具の開発においては、使用者による筆記具の使用状態を測定して得られた筆記測定データを活かしたいというニーズがある。
【0003】
筆記具の使用状態を測定する手法として、例えば、特許文献1には、筆記動作中の筆記具に付与される摩擦状態及び振動状態を同時に計測して、当該筆記具の筆記時における筆記摩擦力や筆記のなめらかさ等の筆記特性を測定する方法が開示されている。また、特許文献2には、筆記時における筆圧、筆記角度、筆記具のねじれ角度を測定できる筆記測定装置が開示されている。当該筆記測定装置は、筆圧を測定するための感圧センサーを配設した測定テーブルと、少なくとも筆記角度を測定するための加速度センサーを配設した筆記具に装着可能な測定具とを備えており、所望の筆記具に測定具を装着し、測定テーブル上にて筆記することにより得られた感圧センサー及び加速度センサーからの出力データに基づいて、筆圧や筆記角度が算出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-267991号公報
【特許文献2】特開2002-188971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された筆記特性測定方法では、筆記具そのものに固有の筆記特性をデータとして得ることができるに過ぎず、使用者がどのような状態で筆記具を使用しているのかを客観的に示すデータを取得することはできない、という問題があった。
【0006】
上記の問題に関して、特許文献2に開示された筆記測定装置であれば、使用者がどのような状態で筆記具を使用しているのかを、筆圧や筆記角度といった数値化されたデータとして得ることができるようになっているものの、この筆記測定装置はキャップ形状の測定具を測定対象となる筆記具に装着する必要がある。すなわち、特許文献2の筆記測定装置は、当該測定具を取り付けることができる筆記具を使用して初めて筆記測定データを得ることができるものであり、そのような筆記具以外の筆記具を使用して筆記測定データを得ることはできない、という問題があった。また、この筆記測定装置の測定具からは加速度センサーに接続されたコードがセンサーアンプへと伸びており、測定時の筆記具の使用に制限がかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、どのような筆記具を使用者が使用するとしても、使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データを得ることができる、筆記測定システム及び筆記測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第一に本発明は、筆圧を測定するための感圧センサを配設した測定テーブルと、筆記具に取り付ける複数のマーカと、前記測定テーブルに対して角度の異なる位置に配置され、前記筆記具に取り付けられた前記複数のマーカの動きを撮影する複数の撮影装置と、前記複数の撮影装置によって時系列的に得られた撮影情報に基づいて前記複数のマーカの三次元時系列位置情報を生成する画像処理手段と、前記筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上にて筆記することにより得られた前記感圧センサからの出力情報、及び/又は、前記筆記具を用いて前記使用者が前記測定テーブル上にて筆記する際に得られた前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記使用者による前記筆記具の使用状態を示す筆記測定データを生成するデータ生成手段と、を備える筆記測定システムを提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、測定対象となる筆記具に複数のマーカを取り付けさえすれば、マーカの三次元時系列位置情報を得ることができ、測定テーブルに配設された感圧センサによって当該筆記具を用いて使用者が筆記することにより得られた感圧センサからの出力情報と、マーカの三次元時系列位置情報とから使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データが生成されるので、どのような筆記具を使用者が使用するとしても、使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データを得ることができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記データ生成手段が、前記感圧センサからの出力情報に基づいて、前記筆記測定データとして、前記使用者の筆圧に関する情報を生成する第一情報生成手段を有することが好ましい(発明2)。
【0011】
上記発明(発明1、2)においては、前記データ生成手段が、前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記筆記測定データとして、前記筆記具を用いた前記使用者の筆記速度に関する情報、前記筆記具を用いた前記使用者の筆跡に関する情報、前記測定テーブルに対する前記筆記具の傾斜角度に関する情報、前記測定テーブル上の基準軸に対する前記筆記具の方位角度に関する情報、及び前記筆記具の所定の部位の三次元座標に関する情報のうち少なくとも1つを生成する第二情報生成手段を有することが好ましい(発明3)。
【0012】
上記発明(発明1-3)においては、前記データ生成手段が生成した前記筆記測定データを表示する表示手段を備えていてもよい(発明4)。
【0013】
上記発明(発明1-4)においては、前記データ生成手段が生成した前記筆記測定データを記憶する記憶手段を備えていてもよい(発明5)。
【0014】
上記発明(発明1-5)においては、前記複数のマーカが少なくとも第1マーカ及び第2マーカを含み、前記第1マーカが前記筆記具の先端部に、前記第2マーカが前記筆記具の基端部に取り付けられていることが好ましい(発明6)。
【0015】
上記発明(発明1-6)においては、前記測定テーブルが、前記感圧センサによって圧力変化を検出することが可能な矩形状の感圧領域を有しており、前記感圧領域の大きさが変更可能に構成されていてもよいし、又は前記感圧領域の前記測定テーブルにおける位置が変更可能に構成されていてもよい(発明7)。
【0016】
上記発明(発明1-6)においては、前記測定テーブルが、前記感圧センサによって圧力変化を検出することが可能な矩形状の感圧領域と、前記感圧領域の近傍において鉛直方向上向きに延設された突出部とを有しており、前記突出部が、前記使用者が前記筆記具を用いて前記測定テーブル上にて筆記する際に、前記使用者と前記感圧領域との間に位置するように配置されていてもよい(発明8)。
【0017】
第二に本発明は、測定テーブルに配設された感圧センサが、複数のマーカが取り付けられた筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上で筆記することを検出して、出力情報を取得するステップと、前記測定テーブルに対して角度の異なる位置に配置された複数の撮影装置が、前記筆記具に取り付けられた前記複数のマーカの動きを撮影するステップと、画像処理手段が、前記複数の撮影装置によって時系列的に得られた撮影情報に基づいて前記複数のマーカの三次元時系列位置情報を生成するステップと、データ生成手段が、前記筆記具を用いて使用者が前記測定テーブル上にて筆記することにより得られた前記感圧センサからの出力情報、及び/又は、前記筆記具を用いて前記使用者が前記測定テーブル上にて筆記する際に得られた前記三次元時系列位置情報に基づいて、前記使用者による前記筆記具の使用状態を示す筆記測定データを生成するステップと、を備える筆記測定方法を提供する(発明9)。
【発明の効果】
【0018】
本発明の筆記測定システム及び筆記測定方法によれば、測定対象となる筆記具に複数のマーカを取り付けさえすれば、マーカの三次元時系列位置情報を得ることができ、測定テーブルに配設された感圧センサによって当該筆記具を用いて使用者が筆記することにより得られた感圧センサからの出力情報と、マーカの三次元時系列位置情報とから使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データが生成されるので、どのような筆記具を使用者が使用するとしても、使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る筆記測定システムの基本構成を概略的に示す説明図である。
【
図2】同実施形態に係る筆記測定システムに含まれる測定テーブルの構造を示す説明図である。
【
図3】同実施形態に係る筆記測定システムに含まれる端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】端末装置の果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するために記載された例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る筆記測定システム9の基本構成を概略的に示す説明図である。筆記測定システム9は、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データを得るためのシステムであり、筆圧を測定するための感圧センサ13を配設した測定テーブル1と、撮影装置2a、2b、2cと、端末装置3と、筆記具4に取り付ける複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)とを備える。
【0022】
図2は筆記測定システム9に含まれる測定テーブル1の構造を示す説明図であり、(a)は測定テーブル1の表面を、(b)は測定テーブル1の裏面を示している。測定テーブル1は、
図2(a)に示すように、その中央に矩形状の測定部11が設けられており、測定部11の裏面には、
図2(b)に示すように、円形孔12を形成して、測定部11の裏面に感圧センサ13が配設されている。感圧センサ13は、円盤131の中央の円形部132から四方に延設された延設部133に、市販されている一般的なひずみゲージ134を貼り付けて構成してある。ひずみゲージ134は、測定テーブル1の裏側に付設した基板14に形成したホイストーン回路(図示せず)に接続されている。測定部11は、このような感圧センサ13によって圧力変化を検出することが可能な感圧領域である。
【0023】
感圧センサ13から出たケーブル15は基板14を経てセンサアンプ16へと接続されている。センサアンプ16は、感圧センサ13から出力される出力電圧を増幅するとともに、感圧センサ13へと電源を供給するためのデバイスである。センサアンプ16で増幅された出力電圧のアナログ信号は、AD変換器(不図示)へと伝送されてデジタル信号に変換され、当該デジタル信号が端末装置3へと伝送される。AD変換器から端末装置3へのデジタル信号の伝送は通信ケーブルを介して行われてもよいし、公知の無線通信技術、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB、光無線通信(例えば、赤外線)等の無線通信方式を用いて伝送してもよい。
【0024】
撮影装置2a、2b、2cは、測定テーブル1に対して角度の異なる位置に配置され、筆記具4に取り付けられた複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の動きを時系列的に撮影するものである。撮影装置2a、2b、2cはそれぞれ、複数の発光素子をリング状の基板に実装してなるリング状の光源21a、21b、21cと、光源21a、21b、21cから照射された光がマーカ5に反射した反射光を受光する撮像素子22a、22b、22cと、マーカ5から反射してきた反射光を撮像素子22a、22b、22cへと導く撮影レンズ23a、23b、23cを有する。
【0025】
撮影装置2a、2b、2cは、測定テーブル1上で使用者が筆記具4を用いて筆記する際、筆記具4に取り付けられたマーカ5の動きを撮影できるよう(すなわち、その筆記具4の可動範囲を取り囲むよう)に、測定テーブル1の周囲に配置されている。
【0026】
筆記具4には、複数のマーカ5が取り付けられており、第1マーカ5aは筆記具4の先端部に、第2マーカ5bは筆記具4の基端部に、第3マーカ5cは筆記具4の先端部と基端部との間に、それぞれ取り付けられている。マーカ5は、光源21a、21b、21cから照射された光を光源方向に向かって反射するものであれば特に限定されるものではなく、例えば発泡スチロールを球状に形成したものやガラス、プリズム等の再帰性反射材で形成されていてもよいし、反射テープで形成されていてもよい。
【0027】
撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に撮影された複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の動きのデータである撮影情報は、端末装置3へと伝送される。撮影装置2a、2b、2cから端末装置3への撮影情報の伝送は通信ケーブルを介して行われてもよいし、公知の無線通信技術、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB、光無線通信(例えば、赤外線)等の無線通信方式を用いて撮影装置2a、2b、2cから端末装置3へと撮影情報を伝送してもよい。
【0028】
端末装置3は当該撮影情報に基づいて複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の三次元時系列位置情報を生成する。撮影装置2a、2b、2cによってマーカ5の動きを時系列的に撮影して撮影情報を取得し、その撮影情報に基づいてマーカ5の三次元時系列位置情報を生成する技術は、いわゆるモーションキャプチャと呼ばれるものである。なお、本実施形態においては、三つの撮影装置2a、2b、2cがスタンドやクランプ等の治具によって撮影装置間の位置関係を保持し続けられるように固定されており、この状態でマーカ5の動きを撮影するものとしているが、これに限られるものではなく、少なくとも2台の撮影装置を備えていれば、マーカ5の動きを時系列的に撮影して撮影情報から三次元時系列位置情報を生成することができる。なお、撮影装置の数を増やせば増やすほど、死角を作らずにマーカ5の動きを時系列的に撮影することができる。本実施形態においては、測定テーブル1の測定部11と、三つの撮影装置2a、2b、2cそれぞれとを結ぶ線の間の角度が15度以上の角度になるように、また三つの撮影装置2a、2b、2cからの視野中心がほぼ同一となるように、三つの撮影装置2a、2b、2cがそれぞれ配置されている。
【0029】
図3は筆記測定システム9に含まれる端末装置3の構成を示すブロック図である。端末装置3は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、記憶装置34と、表示処理部35と、表示部36と、入力部37と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス30が設けられている。
【0030】
CPU31は、電源が端末装置3に投入されると、ROM32又は記憶装置34に記憶された各種のプログラムをRAM33にロードして実行する。本実施形態では、CPU31は、ROM32又は記憶装置34に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する画像処理手段61、データ生成手段62(第一情報生成手段63、第二情報生成手段64)、表示手段65、記憶手段66(
図3に示す)の機能を実現する。
【0031】
記憶装置34は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU31が実行するプログラムやCPU31が参照するデータを格納する。また、記憶装置34には、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報(前述の通り、AD変換器から端末装置3へと伝送されたデジタル信号)、撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に撮影された複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の動きのデータである撮影情報、複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の三次元時系列位置情報、さらには、後述する使用者の筆圧に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報、測定テーブル1に対する筆記具4の傾斜角度に関する情報、測定テーブル1上の基準軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報、及び筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報等が記憶される。
【0032】
表示処理部35は、CPU31から与えられる表示用データを表示部36に表示する。表示部36は、例えば、マトリクス状に画素単位で配置された薄膜トランジスタを含むLCD(Liquid Crystal Display)モニタであり、表示用データに基づいて薄膜トランジスタを駆動することで、表示されるデータを表示画面に表示する。
【0033】
端末装置3が釦入力方式の装置である場合には、入力部37は、ユーザの操作入力を受け入れるための方向指示釦及び決定釦等の複数の指示入力釦を含む釦群と、テンキー等の複数の指示入力釦を含む釦群とを備え、各釦の押下(操作)入力を認識してCPU31へ出力するためのインタフェース回路を含む。端末装置3がタッチパネル入力方式の装置である場合には、入力部37は、主として表示画面に指先又はペンで触れることによるタッチパネル方式の入力を受け付ける。タッチパネル入力方式は、静電容量方式等の公知の方式であってもよい。また、端末装置3が音声入力可能な装置である場合には、入力部37は、音声入力用のマイクを含むように構成されてもよいし、外付けのマイクを介して入力された音声データをCPU31へ出力するためのインタフェース回路を備えてもよい。
【0034】
端末装置3で実現される機能について、
図4を参照して説明する。
図4は端末装置3の果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
図4の機能ブロック図では、画像処理手段61及びデータ生成手段62が本発明の筆記測定システムの主要な構成に対応しており、第一情報生成手段63、第二情報生成手段64、表示手段65、記憶手段66は必ずしも必須の構成ではないが、本発明をさらに好ましくするための構成要素である。
【0035】
画像処理手段61は、撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に得られた撮影情報に基づいて複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の三次元時系列位置情報を生成する機能を備える。画像処理手段61の機能は、例えば以下のように実現される。
【0036】
まず、端末装置3は、撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に撮影された複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の動きのデータである撮影情報を、撮影装置2a、2b、2cからそれぞれ受信する。例えば、撮影装置2aから受信した第1マーカ5aの撮影情報(画像データ)について、端末装置3のCPU31はフレーム単位で二値化処理を行い、第1マーカ5aの二次元位置情報(具体的には、二値化処理で白とした部分の重心の位置座標)を算出して記憶装置34に記憶する。これを全ての撮影装置から受信した全てのマーカの撮影情報について行い、撮影装置2a、2b、2cそれぞれから見た第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cそれぞれについての二次元位置情報を記憶装置34に記憶する。各撮影装置で得た各マーカの二次元位置情報と、あらかじめ算出しておいた各撮影装置の位置関係の情報(キャリブレーション結果)を組み合わせることで、第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cそれぞれについての三次元時系列位置情報が生成され、CPU31は当該三次元時系列位置情報を記憶装置34に記憶する。このようにして、画像処理手段61は、撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に得られた撮影情報に基づいて複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の三次元時系列位置情報を生成することができる。
【0037】
データ生成手段62は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報、及び/又は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記する際に得られた三次元時系列位置情報に基づいて、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データを生成する機能を備える。すなわち、データ生成手段62は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報のみに基づいて筆記測定データを生成することもあるし、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記する際に得られた三次元時系列位置情報のみに基づいて筆記測定データを生成することもあるし、感圧センサ13からの出力情報及び画像処理手段61が生成した三次元時系列位置情報の両方に基づいて筆記測定データを生成することもあるということになる。
【0038】
データ生成手段62は、具体的には第一情報生成手段63と、第二情報生成手段64とを備える。第一情報生成手段63は、感圧センサ13からの出力情報に基づいて、上述の筆記測定データとして、使用者の筆圧に関する情報を生成する機能を備える。また、第二情報生成手段64は、画像処理手段61が生成した三次元時系列位置情報に基づいて、上述の筆記測定データとして、筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報、測定テーブル1に対する筆記具の傾斜角度に関する情報、測定テーブル1上の基準軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報、及び筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報のうち少なくとも1つを生成する機能を備える。
【0039】
第一情報生成手段63の機能は、例えば以下のように実現される。まず、端末装置3は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報を、センサアンプ16及びAD変換器(不図示)を経て、デジタル信号として受信する。端末装置3のCPU31は、受信した感圧センサ13からの出力情報を時系列で並べ、使用者の筆圧に関する情報、例えば所定の時点における筆圧であったり、所定の期間における筆圧の変化量であったりを算出する。このようにして、第一情報生成手段63は、感圧センサ13からの出力情報に基づいて、使用者の筆圧に関する情報を生成する。
【0040】
第二情報生成手段64の機能は、例えば以下のように実現される。まず、端末装置3は、画像処理手段61によって生成された複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)それぞれの三次元時系列位置情報を記憶装置34から読み出す。第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cの三次元時系列位置情報には各マーカの三次元座標が含まれているため、端末装置3のCPU31は、筆記具4の所定の時点における姿勢であったり、所定の期間における筆記具4の所定の部位の動きであったりを把握することができる。具体的には、次のようにして、端末装置3のCPU31が、筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報、測定テーブル1に対する筆記具の傾斜角度に関する情報、測定テーブル1上の基準軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報、及び筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報をそれぞれ生成する。
【0041】
筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報は、筆記具4の先端部に取り付けられた第1マーカ5aの三次元座標を時系列で並べ、単位時間内の第1マーカ5aの移動量を計算し、その移動量を単位時間で割り戻すことにより算出することができる。また、筆記具4の先端部に取り付けられた第1マーカ5aの三次元座標を時系列で並べることにより、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報を得ることができる。
【0042】
測定テーブル1に対する筆記具の傾斜角度に関する情報は、筆記具4の先端部に取り付けられた第1マーカ5aの三次元座標と、筆記具4の基端部に取り付けられた第2マーカ5bの三次元座標とから、所定の時点における筆記具4と測定テーブル1の表面とのなす角度を計算することにより算出することができる。また、測定テーブル1上の基準軸、例えばY軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報は、筆記具4の先端部に取り付けられた第1マーカ5aの三次元座標と、筆記具4の基端部に取り付けられた第2マーカ5bの三次元座標とから、所定の時点における筆記具4と測定テーブル1上のY軸を基点にした筆記具4の角度を計算することにより算出することができる。さらに、筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報は、第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cの三次元座標と、あらかじめ算出しておいた筆記具4における所定の部位と第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cとの位置関係を組み合わせることで、所定の部位の三次元座標を算出することができる。
【0043】
表示手段65は、データ生成手段62が生成した筆記測定データを表示する機能を備える。表示手段65の機能は、例えば端末装置3のCPU31が、データ生成手段62(第一情報生成手段63及び第二情報生成手段64)が生成した筆記測定データ、すなわち、使用者の筆圧に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報、測定テーブル1に対する筆記具の傾斜角度に関する情報、測定テーブル1上の基準軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報、及び筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報を、表示用データとして表示処理部35に与えて表示部36に表示させることによって実現される。
【0044】
記憶手段66は、データ生成手段62が生成した筆記測定データを記憶する機能を備える。記憶手段66の機能は、例えば端末装置3のCPU31が、データ生成手段62(第一情報生成手段63及び第二情報生成手段64)が生成した筆記測定データ、すなわち、使用者の筆圧に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆記速度に関する情報、筆記具4を用いた使用者の筆跡に関する情報、測定テーブル1に対する筆記具の傾斜角度に関する情報、測定テーブル1上の基準軸に対する筆記具4の方位角度に関する情報、及び筆記具4の所定の部位の三次元座標に関する情報を、記憶装置34に記憶させることによって実現される。
【0045】
次に、本実施形態の筆記測定システム9により行われる主要な処理のフローの一例について説明する。まず、測定テーブル1に配設された感圧センサ13が、複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)が取り付けられた筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上で筆記することを検出して、出力情報を取得する(ステップS101)。
【0046】
同時に、測定テーブル1に対して角度の異なる位置に配置された撮影装置2a、2b、2cが、筆記具4に取り付けられた複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の動きを撮影する(ステップS102)。
【0047】
続いて、端末装置3(画像処理手段61)が、撮影装置2a、2b、2cによって時系列的に得られた撮影情報に基づいて複数のマーカ5(第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5c)の三次元時系列位置情報を生成する(ステップS103)。
【0048】
端末装置3(データ生成手段62)が、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報、及び/又は、筆記具4を用いて使用者が測定テーブル1上にて筆記する際に得られた三次元時系列位置情報に基づいて、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データを生成する(ステップS104)。具体的な筆記測定データの生成の流れは前述の通りである。
【0049】
筆記測定システム9による筆記測定データの取得時に、使用者の利き手と反対の手が測定テーブル1の測定部11に干渉してしまい、そのために筆記測定データがうまく取得できないという問題が生じることがある。具体的には、例えば使用者が右利きの場合、右手に筆記具を持って測定テーブル1上にて筆記するが、そのとき、左手は筆記スペースの左側に添えることが多い。この添えた左手が測定部11に触れてしまうと、感圧センサ13が右手に持った筆記具を検出せずに左手を検出してしまったり、あるいは検出対象が二つになってしまったことによって感圧センサ13がうまく作動しなかったりする。このような問題が生じることを回避すべく、本実施形態に係る筆記測定システム9には、使用者の利き手と反対の手による測定部11への干渉を防止する仕組みが採用されている。
【0050】
測定テーブル1の測定部11の左側端辺11aの近傍には、
図2(a)に示すように、測定部11の一部を覆うことが可能な板状部材111が着脱自在に取り付けられている。測定テーブル1の表面において、測定部11の左側端辺11aの上下には、左側端辺11aを挟んで対向するように平行に設けられた2本のレール部材112a、112bが固定されている。2本のレール部材112a、112bはそれぞれ断面コの字形状を呈し、板状部材111の上側端辺111a及び下側端辺111bが、2本のレール部材112a、112bのコの字の溝にそれぞれ摺動可能に嵌合している。
【0051】
板状部材111をレール部材112a、112bの左端に寄せると、板状部材111は測定部11を覆うことがなく、板状部材111をレール部材112a、112bの右端に寄せると、板状部材111は測定部11の一部(測定部11の左側端部)を覆うことができる。このような板状部材111の移動によって、感圧領域である測定部11の大きさが変更可能に構成されていることにより、例えば使用者が右利きの場合であれば、測定部11の左側に添えた左手が測定部11に触れることを、板状部材111によって測定部11の一部(測定部11の左側端部)を覆うことで防止することができる。使用者が左利きの場合は、測定テーブル1自体を回転させて板状部材111が測定部11の右側端部を覆うようにすることにより、同様の効果が奏される。
【0052】
板状部材111は、必ずしもレール部材112a、112bを用いて測定テーブル1に取り付けられていなくてもよく、独立した部材として板状部材111を用意しておき、必要に応じて測定部11の一部を覆うように使用者が測定テーブル1上に配置するだけでもよい。この場合、使用者が右利きであっても左利きであっても、測定テーブル1の向きを変える必要はない。また、測定部11の右側端辺の上下に別のレール部材を設けておき、そちらにも板状部材111を嵌合させられるように構成しておいてもよい。
【0053】
また、使用者の利き手と反対の手による測定部11への干渉を防止するために、感圧領域である測定部11の測定テーブル1における位置が変更可能に構成されていてもよい。このような構成であれば、例えば使用者が右利きの場合、測定部11の測定テーブル1における位置を右側にずらし、例えば使用者が左利きの場合、測定部11の測定テーブル1における位置を左側にずらすことができるので、測定部11の近くに添えた手が測定部11に触れることを防止することができる。測定部11の測定テーブル1における位置が変更可能な構成とは、具体的には、上述のレール部材を測定テーブル1の左端から右端まで、すなわち測定部11の全長をカバーするように配置し、板状部材111で測定部11の左端部と右端部とを選択的に覆うことができるような構成が考えられる。また、測定テーブル1に測定部11よりも大きな開口を設け、当該開口内を測定部11が移動可能とした構成であってもよい。
【0054】
あるいは、感圧領域である測定部11の近傍において、鉛直方向上向きに延設された突出部を、使用者が筆記具を用いて測定テーブル1上にて筆記する際に、使用者と設定部との間に位置するように配置しておいてもよい。例えば使用者が右利きの場合、測定部11の手前左側(すなわち、
図2においてレール部材112bが設置されているあたり)に突出部を設けることにより、使用者は突出部が邪魔になって左手を測定テーブル1付近に添えることができなくなるので、使用者の利き手と反対の手による測定部11への干渉が防止される。
【0055】
突出部の形状は特に限定されるものではないが、例えば平板状の突出部を鉛直方向上向きに立設していてもよいし、複数の棒状の突出部を鉛直方向上向きに立設していてもよいし、鉛直方向上向きに厚みを有する塊状の突出部を測定部11の近傍に配設していてもよい。また、突出部は使用者が右利きであっても左利きであっても機能するように、測定テーブル1の表面に着脱自在に構成されていることが望ましい。例えば、測定部11の手前左側と手前右側にそれぞれ取付孔を穿設しておき、当該取付孔に突出部の一部を嵌合させることで測定テーブル1に突出部を固定する構成としてもよいし、単に突出部を測定テーブル1の表面に載置するだけであってもよい。
【0056】
以上説明してきた筆記測定システム9によれば、測定対象となる筆記具4に複数のマーカ5を取り付けさえすれば、マーカ5の三次元時系列位置情報を得ることができ、測定テーブル1に配設された感圧センサ13によって筆記具4を用いて使用者が筆記することにより得られた感圧センサ13からの出力情報と、マーカ5の三次元時系列位置情報とから使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データが生成されるので、どのような筆記具を使用者が使用するとしても、使用者による当該筆記具の使用状態を示す筆記測定データを得ることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、筆記具4に取り付けるマーカ5は第1マーカ5a、第2マーカ5b、第3マーカ5cとしたが、少なくとも第1マーカ5a及び第2マーカ5bを含み、第1マーカ5aが筆記具4の先端部に、第2マーカ5bが筆記具4の基端部に取り付けられていれば、筆記具4の先端部に取り付けられた第1マーカ5aの三次元座標と、筆記具4の基端部に取り付けられた第2マーカ5bの三次元座標とから、筆記具4の位置や姿勢を把握することができるため、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データを精度良く得ることが可能である。本実施形態のようにマーカ5を筆記具4に三つ以上取り付け、それら三つ以上のマーカ5が一直線に並ばないように配置すれば、筆記具4の軸に沿った回転方向の動きも把握することができるため、使用者による筆記具4の使用状態を示す筆記測定データをより細かく得ることが可能になる。
【0058】
以上、本発明に係る筆記測定システムについて図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、本実施形態においては、一の端末装置3が画像処理手段61及びデータ生成手段62を実現するものとしたが、これに限られるものではなく、画像処理手段を実現する装置と、データ生成手段を実現する装置とが別々であってもよい。また、端末装置3は、例えば汎用のパーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等であってもよいし、本筆記測定システム専用の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
9 筆記測定システム
1 測定テーブル
2a、2b、2c 撮影装置
3 端末装置
4 筆記具
5 マーカ
5a 第1マーカ
5b 第2マーカ
5c 第3マーカ