(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088285
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】目元用化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20230619BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230619BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230619BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230619BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/02
A61K8/25
A61Q1/10
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192882
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2021202499
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】金山 和貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 希子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC341
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC842
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB14
4C083CC14
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】マスカラはもちろん、アイライナー、アイシャドウのいずれとして用いても優れた安定性と使用性を実現することができ、しかも、加熱・冷却をすることなく室温で製造することができる固体状(ゲル状)の目元用化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る目元用化粧料は、
(A)揮発性油分、
(B)有機変性粘土鉱物、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、
(E)被膜剤、及び
(F)水性溶媒
を含み、
30℃、せん断速度0.1s-1でのせん断粘度が2000Pa・s以下であり、60℃で振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与えた際の複素粘性率が15Pa・s以上であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)揮発性油分、
(B)有機変性粘土鉱物、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、
(E)被膜剤、及び
(F)水性溶媒
を含み、
30℃、せん断速度0.1s-1でのせん断粘度が2000Pa・s以下であり、60℃で振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与えた際の複素粘性率が15Pa・s以上である目元用化粧料。
【請求項2】
30℃、せん断速度100s-1でのせん断粘度が5.0Pa・s以下である請求項1に記載の目元用化粧料。
【請求項3】
(D)極性油分がテトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、リンゴ酸ジイソステアリル、メトキシケイ皮酸エチルへキシル、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジピバリン酸PPG-3から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項4】
(C)非イオン性界面活性剤の含有量が目元用化粧料の全量に対して1.0質量%以上である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項5】
ワックス又は高分子ゲル化剤を含まないか、含む場合であっても目元用化粧料の全量に対して0.1質量%以下である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項6】
粉末を含まないか、粉末を含んでも目元用化粧料の全量に対して20質量%以下である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項7】
マスカラ専用化粧品、マスカラ及びアイライナー兼用化粧品、マスカラ及びアイシャドウ兼用化粧品、又は、マスカラ、アイライナー及びアイシャドウ兼用化粧品である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項8】
アイライナー専用化粧品又はアイシャドウ専用化粧品である、請求項1又は2に記載の目元用化粧料。
【請求項9】
(A)揮発性油分、
(B)有機変性粘土鉱物、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、
(E)被膜剤、及び
(F)水性溶媒
を含み、
30℃、せん断速度0.1s-1でのせん断粘度が2000Pa・s以下であり、60℃で振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与えた際の複素粘性率が15Pa・s以上である目元用化粧料の製造方法であって、(A)~(F)成分の混合を室温にて行う、目元用化粧料の製造方法。
【請求項10】
(A)~(F)成分の混合を、以下の順序に従って行う、請求項9に記載の目元用化粧料の製造方法。
(1)(A)揮発性油分、(B)有機変性粘土鉱物、(C)非イオン性界面活性剤、及び(E)被膜剤を混合し、
(2)(1)で得られた混合物に(D)極性油分を混合し、かつ
(3)(2)で得られた混合物に(F)水性溶媒を混合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスカラだけでなくアイライナーやアイシャドウとしても使用できる固体状(ゲル状)の目元用化粧料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラは、睫毛を太く長くしたりカールさせたりすることにより目元を印象的に演出することのできる目元用化粧料である。マスカラの剤型としては、水中油型タイプ(特許文献1)、油中水型タイプ(特許文献2)、油性タイプ(特許文献3)のものが知られているが、なかでも油性タイプのものがカール効果や耐久性に優れるとされている。
【0003】
しかし、油性タイプのマスカラは、一般的に化粧料の硬度が高いために睫毛に対して過度に厚く不均一に付着する傾向があり、それによって、ダマを生じたり、睫毛同士が付着して不自然な仕上がりになる場合がある。また、油性タイプのマスカラは睫毛を太く見せたいというユーザーの要求を満たすには十分かもしれないが、近年では高いカール効果を有しつつ、睫毛の一本一本に適度で均一なボリューム感を付与し、自然な仕上がりとすることが好まれている。
【0004】
一方で、マスカラと同じ目元用化粧料に分類される化粧料として、アイライナーやアイシャドウが広く普及している。アイライナーは瞼の際に塗布することにより、瞳の輪郭を際立たせて目を大きく見せるなど、目元の印象を強める目元用化粧料である。アイシャドウは、目の周囲、特に瞼に陰影を付けることにより、顔全体を立体的に見せるなどの効果を有する目元用化粧料である。
マスカラ、アイライナー及びアイシャドウは睫毛と目の周囲という隣接する部位に塗布するものであることから、利便性、携帯性の観点から、1つのアイテムで兼用できるものが求められている。
【0005】
こうした要求に応えるべく、マスカラだけでなくアイライナーやアイシャドウとしても使用できる化粧料について検討が進められており、例えば、特定の皮膜形成性樹脂、固形状の炭化水素油、デキストリン脂肪酸エステル、粉体及び揮発性油剤を含有する化粧料(特許文献4)、シリコーン系皮膜剤、揮発性シリコーン系油分を含み、硬度が30以上100以下である組成物(特許文献5)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3~5に記載されている化粧料のように、従来の一般的な油性タイプの目元用化粧料は、マイクロクリスタリンワックス等の固形油分や、デキストリン脂肪酸エステルなどの高分子ゲル化剤等で油相を固化して製造されるため、これらを油相に添加する際には加熱溶解する必要があり、なおかつ、容器に充填して成形する際には冷却固化する必要があるため、製造に伴う環境への負荷が高い。また、固形油分が必須であるため、ダマを生じたり、睫毛同士が付着して不自然な仕上がりになる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-119140号公報
【特許文献2】特開平9-124444号公報
【特許文献3】特開2006-306829号公報
【特許文献4】特開2011-207865号公報
【特許文献5】特開2017-218413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、マスカラはもちろん、アイライナー、アイシャドウのいずれとして用いても優れた安定性と使用性を実現することができ、しかも、加熱・冷却をすることなく室温で製造することができる固体状(ゲル状)の目元用化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、揮発性油分、有機変性粘土鉱物、非イオン性界面活性剤、特定の極性油分、被膜剤、及び、水性溶媒を用いることにより、加熱・冷却をすることなく室温で目元用化粧料を製造できること、並びに、このような目元用化粧料のうち特定のせん断粘度及び複素粘性率を満たすものであれば、安定であり、かつ、マスカラ専用、またはアイライナーやアイシャドウとの兼用化粧品として用いても優れた使用性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(A)揮発性油分、
(B)有機変性粘土鉱物、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、
(E)被膜剤、及び
(F)水性溶媒
を含み、
30℃、せん断速度0.1s-1でのせん断粘度が2000Pa・s以下であり、60℃で振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与えた際の複素粘性率が15Pa・s以上である目元用化粧料を要旨とするものである。
【0011】
また、本発明は、前記目元用化粧料の製造方法であって、(A)~(F)成分の混合を室温にて行う製造方法の態様も含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る目元用化粧料は、上記構成とすることにより、マスカラとして使用した際には、睫毛に十分なカール効果とボリューム感を付与しつつ、ダマになりにくく、睫毛がしっかりとセパレートされた仕上がりを実現できる。また、安定性に優れている一方で、低硬度で柔らかいため、アイライナーやアイシャドウとして使用することもできる。アイライナーやアイシャドウとして使用した時には、瞼の動きにしなやかに追従することができ、使用性においても十分に優れている。
さらに、本発明に係る目元用化粧料は、油相に混合する際に加熱溶解を必要とするワックスや高分子ゲル化剤を配合する必要がないため、室温にて製造でき、製造に伴う環境負荷を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目元用化粧料は、(A)揮発性油分、(B)有機変性粘土鉱物、(C)非イオン性界面活性剤、(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、(E)被膜剤、及び(F)水性溶媒を含有し、特定のせん断粘度及び複素粘性率を満たす。以下に詳しく説明する。
なお、以下において、ポリオキシエチレンを「POE」、ポリエチレングリコールを「PEG」、ポリプロピレングリコールを「PPG」と略記する場合がある。
【0014】
<(A)揮発性油分>
(A)揮発性油分は室温(25℃)で揮発性を有する油分を指し、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油等が好ましく用いられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0015】
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8~16の炭化水素油が好ましく、炭素数10~16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。
【0016】
(A)揮発性油分は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して35.0質量%以上が好ましく、40.0質量%以上がより好ましく、50.0質量%以上がさらに好ましく、また、70.0質量%以下が好ましく、65.0質量%以下がより好ましく、60.0質量%以下がさらに好ましい。よって配合量範囲としては、35.0質量%~70.0質量%、40.0質量%~65.0質量%等が挙げられる。
【0017】
<(B)有機変性粘土鉱物>
(B)有機変性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、下記一般式(1)で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものを使用することができる。
(X,Y)2―3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (1)
(但し、X=Al,Fe(III),Mn(III),Cr(III)、Y=Mg,Fe(II),Ni,Zn,Li、Z=K,Na,Ca)
【0018】
具体的にはモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の天然または合成(この場合、式中の(OH)基がフッ素で置換されたもの)のモンモリロナイト群(市販品ではビーガム、クニピア、ラポナイト等がある)およびナトリウムシリシックマイカやナトリウムまたはリチウムテニオライトの名で知られる合成雲母(市販品ではダイモナイト:トピー工業(株)等がある)等の粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られる。
【0019】
ここで用いられる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(2)で表されるものである。
【化1】
(式中、R
1は炭素数10~22のアルキル基またはベンジル基、R
2はメチル基または炭素数10~22のアルキル基、R
3およびR
4は炭素数1~3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【0020】
かかる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、更にはジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。本発明の実施にあたっては、これらのうち1種又は2種以上が任意に選択される。
【0021】
(B)有機変性粘土鉱物の代表的なものとしては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。なかでも、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトが特に好ましい。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)が好ましい。
【0022】
(B)有機変性粘土鉱物は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して4.0質量%以上が好ましく、6.0質量%以上がより好ましく、また、9.0質量%以下が好ましく、7.0質量%以下がより好ましい。よって配合量範囲としては、4.0質量%~9.0質量%、6.0質量%~7.0質量%等が挙げられる。
【0023】
<(C)非イオン性界面活性剤>
(C)非イオン性界面活性剤は、HLBが8以下、より好ましくはHLBが0.5~7の親油性の非イオン性界面活性剤が好ましい。
(C)非イオン性界面活性剤としては、例えば、
モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;
ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;
モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びその誘導体(例えばトリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油);
ジポリヒドロキシステアリン酸エステル類、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート等の高分子親油性界面活性剤;
セチルポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えばPEG-10ジメチコン)、架橋型ポリエーテル変性シリコーン等のポリエーテル系のシリコーン;
ポリグリセリン変性シリコーン(例えばビスブチルジメチコンポリグリセリル-3)、アルキル共変性ポリグリセリン変性シリコーン等のポリグリセリン系のシリコーン等が挙げられる。
【0024】
(C)非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましく、また、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がさらに好ましい。よって配合量範囲としては、1.0質量%~5.0質量%、2.0質量%~4.0質量%等が挙げられる。
【0025】
<(D)極性油分>
(D)極性油分は、室温(25℃)で液状又は半固形状であり、なおかつ、IOBが0.16以上、好ましくは0.20以上、さらに好ましくは0.30以上の極性油分を指す。IOBが0.16以上であれば、(B)有機変性粘土鉱物同士の相互作用を高めてネットワークを効率よく形成することにより、優れたゲル化能を引き出すことができる。なおIOBの上限は特に限定されないが、(A)揮発性油分との相溶性の観点から好ましくは1.0以下、より好ましくは0.6以下である。
【0026】
本発明において「液状又は半固形状」とは、見かけ上、液体、もしくは、液体ではないが流動性をもち重力により容易にその形状を変えるものを意味する。一般的には、融点が55℃以下、好ましくは50℃以下の油分が該当する。液状又は半固形状であるため、他の油性成分と混合する際に、加熱溶解する必要がない。
【0027】
また、本発明において「IOB」とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、IOB値=無機性値/有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」p11~17、三共出版、1984年発行参照)。
【0028】
このような条件を満たす(D)極性油分の例としては、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル(IOB=0.35)、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(IOB=0.32)、トリイソステアリン酸グリセリル(IOB=0.26)、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル(IOB=0.24)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(IOB=0.16)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(IOB=0.26)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(IOB=0.30)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル(IOB=0.22)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(IOB=0.35)、リンゴ酸ジイソステアリル(IOB=0.28)、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(IOB=0.28)、トリエチルヘキサノイン(IOB=0.35)、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(IOB=0.35)、ジピバリン酸PPG-3(IOB=0.52)等が挙げられる。
なかでも、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルのような、常温で半固形状の油分が特に好ましい。
【0029】
(D)極性油分は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して3.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましく、また、10.0質量%以下が好ましく、9.0質量%以下がより好ましい。よって配合量範囲としては、3.0質量%~10.0質量%、5.0質量%~9.0質量%等が挙げられる。
【0030】
<(E)被膜剤>
(E)被膜剤は、化粧料に通常用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP/ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、PVP/エイコセン共重合体、PVP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体、PVP/ヘキサデセン共重合体、PVP/VA共重合体、PVP/ビニルアセテート/イタコン酸共重合体、スチレン/PVP共重合体等のPVP系被膜剤;アクリル酸エチル/アクリル酸アミド/アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸エチル/メタクリル酸エチル共重合体、アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸オクチル/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸オクチル/スチレン共重合体、アクリル酸ブチル/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ブチル/ヒドロキシメタクリル酸エチル共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸メトキシエチル/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ラウリル/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリスチレンアクリル酸樹脂等のアクリル酸系被膜剤;ポリ酢酸ビニル等の酢酸ビニル系被膜剤;ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸オクチル酸、ジエチル硫酸ビニルピロリドン/N,N’-ジメチルアミノメタクリル酸共重合体等のメタクリル酸系被膜剤;ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル共重合体、ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル共重合体等のビニルメチルエーテル系被膜剤;スチレン/メチルスチレン/インデン共重合体等のスチレン系被膜剤;シクロヘキサン系アルキッド樹脂等のアルキッド樹脂系被膜剤;トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン化プルラン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー等のシリコーン樹脂系被膜剤等が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、炭化水素油やシリコーン油に溶解した市販品原料が販売されているトリメチルシロキシケイ酸やシリコーン化プルランが好ましい。特に、重量平均分子量(ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値)が10000以上であるトリメチルシロキシケイ酸、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー、トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランが好ましい。
【0032】
(E)被膜剤は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して1.5質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、また、30.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以下がより好ましい。よって配合量範囲としては、1.5質量%~30.0質量%、3.0質量%~20.0質量%等が挙げられる。
【0033】
<(F)水性溶媒>
(F)水性溶媒は、化粧料、医薬品分野において用いられる水性溶媒であれば特に限定されるものでなく、水はもちろん、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコールのほか、炭酸プロピレン等の極性溶媒等を挙げることができる。特に、水、炭酸プロピレン、エタノールが好ましい。
【0034】
(F)水性溶媒は、1種又は2種以上を用いることができ、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、また、3.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。よって配合量範囲としては、0.5質量%~3.0質量%、1.0質量%~2.5質量%等が挙げられる。
【0035】
<任意配合成分>
本発明の目元用化粧料には、上記(A)~(F)成分以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、化粧料に通常用いられる成分を配合することができる。例えば、ワックス、高分子ゲル化剤、粉末、香料、色材、色素等を必要に応じて適宜配合することができる。ただし、ワックス、高分子ゲル化剤、粉末を配合する場合には以下に記載する点に留意すべきである。
【0036】
<ワックス又は高分子ゲル化剤>
本発明の目元用化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲であればワックス又は高分子ゲル化剤(例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パルミチン酸デキストリンなど)を配合してもよい。ただし、高融点のワックス又は高分子ゲル化剤は製造時に加熱・冷却が必要になるため、融点が40℃以上のものは配合しないことが好ましい。また、ワックス又は高分子ゲル化剤の含有量が多いと、後述するせん断粘度や複素粘性率を実現することが難しくなる場合があり、化粧料の硬度が高くなってダマを生じたり、セパレート感が得られにくくなる場合があるため、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して0.1質量%以下、さらには0.05質量%以下に抑えるのが好ましい。
【0037】
<粉末>
本発明の目元用化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲であれば粉末を配合してもよい。ただし、粉末の含有量が多いと化粧料の硬度が高くなりダマを生じたり、セパレート感が得られにくくなるなど、使用性が損なわれるため、その合計含有量は、目元用化粧料の全量に対して20質量%以下、さらには15質量%以下に抑えるのが好ましい。
粉末は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フルオロアパタイト、ハイドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等)、無機白色系顔料(例えば、酸化亜鉛等)、無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等)、天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0038】
<せん断粘度>
本発明の目元用化粧料は、30℃、せん断速度0.1s-1における化粧料のせん断粘度が2000Pa・s以下であり、より好ましくは1500Pa・s以下であり、さらに好ましくは1000Pa・s以下である。この条件におけるせん断粘度の下限は特に限定されないが、好ましくは500Pa・s以上、より好ましくは700Pa・s以上である。30℃、せん断速度0.1s-1におけるせん断粘度が、2000Pa・s以下であれば、化粧料の塗布具への付着性が良好になり、化粧料を睫毛に塗布しやすくなる。
【0039】
さらに、本発明の目元用化粧料は、30℃、せん断速度100s-1における化粧料のせん断粘度が5.0Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは4.0Pa・s以下であり、さらに好ましくは3.0Pa・s以下である。この条件におけるせん断粘度の下限は特に限定されないが、好ましくは1.0Pa・s以上、より好ましくは1.5Pa・s以上である。30℃、せん断速度100s-1におけるせん断粘度が、5.0Pa・s以下であれば、睫毛になめらかに塗布することができるためより好ましい。さらに、このなめらかさは皮膚に塗布した場合にも発揮され、アイシャドウやアイライナーとして使用した場合にも良好な使用感触を与えることができる。
【0040】
なお、本発明におけるせん断粘度は、コーンプレート冶具(φ25mm、θ=2rad)を備えたレオメーター(例えば、アントンパール(Antonpaar)社のレオメーターMCR-301)を用いて測定した値である。
【0041】
<複素粘性率>
本発明の目元用化粧料は、60℃で振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与えた際の複素粘性率が15Pa・s以上であり、好ましくは25Pa・s以上であり、より好ましくは45Pa・s以上であり、さらに好ましくは70Pa・s以上である。この条件における複素粘性率の上限は特に限定されないが、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以下である。60℃での複素粘性率が15Pa・s以上であれば、高温環境下でも分散された色材や被膜剤、液状油分が化粧料から分離することなく、高い安定性が期待できる。
低ひずみ領域での複素粘性率の温度依存性は、静置状態で保管された化粧料の温度に対する安定性の評価に適した指標であると考えられる。
【0042】
<製造方法>
従来の目元用化粧料は、ワックス等の固形油分や、パルミチン酸デキストリンなどの高分子ゲル化剤等で油相を固化して製造されるため、これらを油相に添加するには加熱溶解する必要があり、その後さらに、容器に充填して成形する際に冷却固化する必要があった。
一方、本発明の目元用化粧料は、ワックスや高分子ゲル化剤を配合する必要がなく、加熱溶解を必要とせずに混合が可能な(A)~(F)成分を含む。このため、本発明の目元用化粧料は、(A)~(F)成分の混合を室温にて行うことができ、加熱や冷却のためにエネルギーを消費する必要が無いことから、製造に伴う環境負荷を小さく抑えることができる。
【0043】
本発明の目元用化粧料の製造方法は、具体的には、以下のような手順とするのが好ましい。
(1)(A)揮発性油分、(B)有機変性粘土鉱物、(C)非イオン性界面活性剤、及び(E)被膜剤を混合する。
(2)(1)で得られた混合物に(D)極性油分を混合する。
(3)(2)で得られた混合物に(F)水性溶媒を混合する。
上記の手順に沿って(D)極性油分を他の油性成分よりも後に配合することにより、室温でも(B)有機変性粘土鉱物を良好に分散させることができる。
【0044】
<用途>
本発明の目元用化粧料は、特に、マスカラ専用化粧品、マスカラ及びアイライナー兼用化粧品、マスカラ及びアイシャドウ兼用化粧品、マスカラ、アイライナー及びアイシャドウ兼用化粧品とすることができる。もっとも、マスカラとして用いない態様、例えばアイライナー専用化粧品、アイシャドウ専用化粧品、アイライナー及びアイシャドウ兼用化粧品とすることも可能である。
【実施例0045】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。各実施例について具体的に説明する前に、採用した評価方法について説明する。
【0046】
(1)せん断粘度
調製した目元用化粧料の30℃、せん断速度0.1s-1及び100s-1におけるせん断粘度を、アントンパール社製、応力制御型レオメーターMCR301(φ25mm、θ=2rad コーンプレート)を用いて測定した。
【0047】
(2)複素粘性率
調製した目元用化粧料の複素粘性率を、アントンパール社製、応力制御型レオメーターMCR301(φ25mm、θ=2rad コーンプレート)を用い、20℃から70℃の範囲を昇温速度5℃/minで単純昇温し、振り角5%、周波数1Hzの正弦ひずみを与え、60℃における値を測定した。
【0048】
(3)経時安定性
調製した目元用化粧料を50℃で4週間保存し、保存後に外観の油浮きを確認した。
[評価基準]
A:油浮きは確認されなかった
B:わずかに油浮きが確認された
C:油浮きが著しく、離漿を生じた
【0049】
(4)使用性
化粧品評価専門パネル10名に実施例及び比較例の目元用化粧料を睫毛に適用してもらい、カール効果、セパレート感、ボリューム感を以下の基準に従って5段階評価し、全パネルの評点の平均点を以下の3段階の判断基準に従って判定した。
(評価基準)
評価結果 : 評点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
判定 : 評点の平均点
A : 4以上
B : 3以上~4未満
C : 3未満
【0050】
<実施例1~11及び比較例1~6>
下記の表1及び表2に記載の組成を有する目元用化粧料を調製し、上記評価方法に従って評価した。
【0051】
【0052】
【0053】
上記表1及び表2に示されるように、(A)揮発性油分、(B)有機変性粘土鉱物、(C)非イオン性界面活性剤、(D)室温で液状又は半固形状のIOBが0.16以上の極性油分、(E)被膜剤、及び(F)水性溶媒を含み、十分なせん断粘度、複素粘性率を満たすものは、経時安定性と使用性の全てに優れていた(実施例1~11)。
なお、表には記載していないが、これらの目元用化粧料をアイシャドウ又はアイライナーとして瞼に塗布したところ、瞼の動きにしなやかに追従することができ、良好な使用性を示した。
一方、(C)非イオン性界面活性剤を含まない場合(比較例1)、(B)有機変性粘土鉱物及び(D)極性油分の配合量が不十分な場合(比較例5)、(A)揮発性油分が少なくワックスや高分子ゲル化剤を高配合した場合(比較例6)には、ゲル化したものの、経時安定性、使用性のいずれかが劣っていた。また、(F)水性溶媒を含まない場合(比較例2)、及び、(D)極性油分を含まない場合(比較例3、4)には、化粧料が十分にゲル化しなかった。このため、比較例2~4については各項目の評価を行わなかった。
【0054】
以下に、本発明の目元用化粧料の処方を例示する。本発明はこれらの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。なお、配合量は全て化粧料全量に対する質量%で表す。
【0055】
処方例1:アイライナー
(成分名) 配合量(質量%)
(1)ジメチコン 38.0
(2)水添ポリイソブテン 8.0
(3)ジステアルジモニウムヘクトライト 7.0
(4)PEG-10ジメチコン 3.0
(5)疎水化処理顔料 7.0
(6)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 9.0
(7)トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン イソドデカン溶液(30%) 14.9
(8)シリカ 10.0
(9)1,3-ブチレングリコール 1.5
(10)水 1.5
(11)トコフェロール 0.05
(12)BHT 0.05
【0056】
処方例2:アイシャドウ
(成分名) 配合量(質量%)
(1)水添ポリイソブテン 46.0
(2)ジステアルジモニウムヘクトライト 7.0
(3)ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3 3.0
(4)疎水化処理パール剤 7.0
(5)ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 9.0
(6)トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン イソドデカン溶液(30%) 14.9
(7)シリカ 10.0
(8)1,3-ブチレングリコール 1.5
(9)水 1.5
(10)トコフェロール 0.05
(11)BHT 0.05