(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088295
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】移動式のクレーン及びそのクレーン用の配設装置
(51)【国際特許分類】
B66C 23/74 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B66C23/74 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197002
(22)【出願日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】10 2021 132 913.2
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ボース ベルント
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205CA03
3F205CB02
3F205DA04
3F205GA01
3F205GA04
(57)【要約】
【課題】移動式のクレーンの操縦性の低下を抑える。
【解決手段】本発明は、移動式の車台と、車台に回転可能に支持されるとともにブームとバラスト装置とを有する上部構造体とを備える移動式のクレーン、特にクローラクレーンに関する。バラスト装置は、ホイスト装置によって1つまたは複数のカウンタウェイト要素を持ち上げたり配設したりするように構成される。本発明によれば、車台に接続されて、移動位置から配設位置へ、及びその逆へ移動可能な少なくとも1つの可動の配設部を備える配設装置が提供される。この点において、移動位置は、車台の長さが短くなり、クレーンが建設現場において移動可能であることを特徴とする一方、配設位置は、バラスト装置によって配設部にカウンタウェイト要素を配設でき、車台の長さが移動位置と比較して大きくなることを特徴とする。本発明は、さらに、このようなクレーンのための配設装置に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式の車台(12)と、その上に回転可能に支持されるとともにブーム(16)及びバラスト装置(20)を有する上部構造体(14)とを備え、バラスト装置(20)が、ホイスト装置(24)により1つまたは複数のカウンタウェイト要素(22、22’)を持ち上げまたは配設するように構成された、特にクローラクレーンである移動式のクレーン(10)であって、
前記車台(12)に接続され且つ少なくとも一つの可動の配設部(31、32)を有する配設装置(30)であって、前記配設部(31,32)が、前記車台(12)の長さを減少させる移動位置から、前記車台(12)の長さを増加させ且つバラスト装置(20)によってカウンタウェイト要素(22、22’)を前記配設部(31、32)の上に配設できる配設位置へと移動可能で、その逆も可能である配設装置(30)を特徴とするクレーン(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記配設装置(30)は、前記クレーンの運転中及び/または前記クレーン(10)の走行中に、前記車台(12)にとどまるように構成されているクレーン(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクレーン(10)において、
前記配設部(31、32)は、移動位置において前記車台の長手方向軸を実質的に横切って延び、且つ前記配設部(31、32)が特に前記車台の長手方向軸に実質的に平行に延びる配設位置へ外側に回転可能であり、前記配設部(31、32)は、カウンタウェイト要素(22、22’)を配設できる1つ以上の配設領域(40、41)を好ましくは上面に備えているクレーン(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のクレーン(10)において、
前記配設部(31、32)は、垂直の回転軸の周りで回転可能に支持され、前記回転軸は、好ましくは、前記車台の長手方向軸に対して特に前記配設装置(30)において中心から横方向へ外れているクレーン(10)。
【請求項5】
請求項4に記載のクレーン(10)において、
前記配設部(31、32)の回転動可能な支持は、一方が他方の上方に配置された好ましくは構成が異なる2つの別々の回転軸受(61、62)を介して行われるクレーン(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のクレーン(10)において、
下部の回転軸受(62)が上部の回転軸受(61)よりも厚く、前記上部の回転軸受(61)は、好ましくは主に水平方向の力を受け止めるように構成され、及び/または前記下部の回転軸受(62)は、水平及び垂直方向の力、特に前記配設部(31、32)に配設されたカウンタウェイト要素(22、22’)の重さの力を受け止めるように構成されているクレーン(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のクレーン(10)において、
前記配設部(31、32)が、移動位置と配設位置とにそれぞれロックできるロック手段(71、72)を有するクレーン(10)。
【請求項8】
請求項5または6を引用する請求項7に記載されたクレーン(10)において、
前記ロック手段(71、72)は、前記回転軸受(61、62)の1つ、特に上部の回転軸受(61)に形成される切り欠きを有するかまたは切り欠きであり、前記切り欠きは、好ましくは前記配設部(31、32)の対応位置においてロック要素(74)、特にロックボルトを押し込むことができるクレーン(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のクレーン(10)において、
前記配設装置(30)は、カウンタウェイト要素(22、22’)を配設位置に配設できる第1の配設部(31)及び第2の配設部(32)を備え、前記配設部(31、32)は、好ましくは互いに間隔をあけられ、特に前記配設装置(30)の横方向に対向して配置される垂直の回転軸の周りで回転可能であるクレーン(10)。
【請求項10】
請求項9に記載のクレーン(10)において、
前記配設装置(30)は、平行な2つのフレーム部(33、34)、特にフレーム板を有し、その前面側に前記配設部(31、32)がヒンジ接合方式で接続され、前記フレーム部(33、34)が前記車台(12)に好ましくは直接接続、特にボルトで締め付けられているクレーン(10)。
【請求項11】
請求項10に記載のクレーン(10)において、
前記フレーム部(33、34)は、前記車台の長手方向軸の方向に異なる長さを有し、前記配設部(31、32)の回転軸は、前記車台(12)からの距離が異なり、前記配設部(31、32)は、好ましくはプレート状であり、移動位置と配設位置においてそれぞれ互いに平行に位置合わせされるクレーン(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載のクレーン(10)において、
前記配設装置(30)は、前記配設装置(30)に配設されるべきカウンタウェイト要素(22’)の細かい位置決めのために、カウンタウェイト要素(22‘)の下面で対応するカウンタセンタリング要素と組み合わせるように構成された少なくとも1つのセンタリング要素(50)を備え、前記少なくとも1つのセンタリング要素(50)は、好ましくは前記配設装置(30)の上面に配置され、及び/または上向きに突出する突起として構成されるクレーン(10)。
【請求項13】
請求項10または11を引用する請求項12に記載されたクレーン(10)において、
少なくとも2つのセンタリング要素(50)が設けられ、少なくとも1つのセンタリング要素(50)は、前記各フレーム部(33、34)に固定接続されているクレーン(10)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載のクレーン(10)において、
前記配設装置(30)がバラスト要素(36)を備えて中央バラストとして機能し、前記配設装置(30)は、好ましくは2つの平行なフレーム部(33、34)、特にフレーム板を備え、その前面に各配設部(31、32)がヒンジ接合方式で接続され、前記バラスト要素(36)が前記フレーム部(33、34)の間に配置されているクレーン(10)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1つに記載のクレーン(10)用の配設装置(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に係る移動式のクレーン、特にクローラクレーンに関し、さらに前記クレーン用の配設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式のクレーンないし走行式のクレーンは、通常、車輪付きのシャーシまたはクローラシャーシを有する車台と、車台に回転可能に支持された上部構造体と、上部構造体に回動可能または上下動可能に取り付けられたブームと、カウンタウェイト装置とを有する。カウンタウェイトは、上部構造体のあらゆる位置でレバーアームを介して負荷トルクに対するカウンタートルクを生成して、上部構造体とともに回転する。
【0003】
ここで、カウンタウェイト装置を、上部構造体の外側に置かれたカウンタウェイト要素またはカウンタウェイトプレートを能動的に持ち上げたり配設したり(降ろして置いたり)できるバラスト装置として構成することが従来技術から知られている。このためのバラスト装置は、一般に、ホイスト装置として1つ以上のバラストシリンダを有し、前記バラストシリンダは、下方に延び、カウンタウェイト要素に係合し、それらを上部構造体まで上方に持ち上げることができる。このようなバラスト装置は、例えば特許文献1により公知である。
【0004】
車台が車輪付きのシャーシを有する移動式のクレーンでは、一般にカウンタウェイト要素を車台の上に直接に配設することができ、この位置からホイスト装置によって上部構造体まで持ち上げることができる。
【0005】
しかしながら、クローラクレーンでは、上部構造体のバラスト装置の範囲内に配設領域が標準で設けられていないため、カウンタウェイト要素は一般に地面に置かれ、そこからバラスト装置によって持ち上げなければならない。しかしながら、クローラクレーンが配置される建設現場には特に平らな面がないことが多いため、カウンタウェイトの配設または持ち上げに問題が生じることがある。
【0006】
クローラクレーンの上部構造体に取り付けるためにカウンタウェイトを地面に準備して積み重ねることには、さらに、上部構造体上のカウンタウェイトマウントの位置と積み重ねたカウンタウェイト要素との間に空間的な関係がないという一般的な欠点がある。前記要素を互いに位置合わせすることは、時には極めて複雑である。
【0007】
そこで、特許文献2には、クローラクレーンの車台に、カウンタウェイトプレートを配設するためにカンチレバーフレームを設け、そこから、上部構造体の特定の回転位置でバラスト装置によってカウンタウェイトプレートを持ち上げることが提案されている。しかし、この解決手段では、カンチレバーフレームを複雑な方法でしか車台から分離できない欠点がある。そのため、カンチレバーフレームは一般に車台に取り付けられたままとなる。このことにより、車台が長くなり、建設現場での操縦性が低下する(車台の回転半径が大きくなる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国実用新案第29621600号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202008008595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景に対して、地面からのバラストを回避し、同時にクレーンの操縦性が損なわれないような種類の移動式のクレーンをさらに開発することが本発明の根本的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する移動式のクレーンと、請求項15の特徴を有する配設装置とによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項と以下の説明とから得られる。
【0011】
したがって、一方では、移動式の車台と、車台の上に回転可能に支持されるとともにブーム及びバラスト装置を有する上部構造体とを備える移動式のクレーン、特にクローラクレーンが提供される。バラスト装置は、ホイスト装置により1つまたは複数のカウンタウェイト要素を持ち上げまたは降ろして置く(配設する)ように構成されている。ホイスト装置は、例えば、1つまたは複数の油圧バラストシリンダにすることができる。
【0012】
本発明によれば、車台に接続される配設装置であって、移動位置から配設位置へ、及びその逆へ移動可能な少なくとも1つの可動の配設部を備える配設装置が提供される。この点に関し、移動位置は、車台の長さが減少し、特に最小化されることを特徴とする一方、配設位置は、バラスト装置によってカウンタウェイト要素を配設部に配設できる(またはそれによって持ち上げ可能である)ことと、車台の長さが移動位置と比較して大きくなり、特に必要な程度まで最大化されることを特徴としている。クレーンが移動位置において建設現場で移動可能である一方で、移動位置においては配設装置または配設部で支持可能なカウンタウェイト要素は存在しないことが好ましい。配設位置は、設置位置と呼ぶこともできる。
【0013】
本発明に係る解決手段によれば車台からのバラストが可能であり、このことにより、カウンタウェイト要素及びバラスト装置の互いに対する位置決めが容易になり、平坦面を必要としない。バラストが行われた後に配設装置を省スペースの移動位置に移動させることが同時に可能であるため、特に車台が従来型に対して長さが大幅に増えないので、バラスト状態でのクレーンの操縦性が良好になる。
【0014】
なお、この例では(少なくとも配設装置を車台に設置した状態において)配設装置を車台の一部とみなしている。したがって、配設装置の長さの増減は、車台の長さの増減に対応する。
【0015】
可動の配設部(以下、単に配設部と称する)は、旋回、移動または伸長、折り畳み、またはその他の動作が可能であることが実際に考えられる。また、複数の動作形態の組み合わせも考えられる。しかし、配設部は、特に垂直方向に配置された回転軸の周りで単に旋回し、移動位置と配設位置との間を往復移動するのが好ましい。配設部は、移動位置では内側に折り畳まれるのが好ましく、配設位置では外側に折り畳まれるのが好ましい。
【0016】
1つの可能な実施形態では、配設装置がクレーン運転中及び/またはクレーンの動作中に車台にとどまるように構成される。原則として、配設装置は、車台の固定部品であってよく、車台のフレームまたは中央フレーム部に例えば溶接されて、固定的に取り付けることができる。しかしながら、車台またはその中央フレーム部に取り外し可能に接続することが、自由度がより高いために好ましい。したがって、配設装置は、例えば、道路輸送のための軽量化のため、必要に応じてクレーンから完全に取り外すこともできる。この場合、配設装置は、車台、または車台のフレームもしくは中央フレーム部への取り外し可能な接続のための対応する接続手段を有するとよい。
【0017】
さらに他の可能な実施形態において、少なくとも1つの配設部が、移動位置において車台の長手方向軸を実質的に横切って延び、特に少なくとも1つの配設部が車台の長手方向軸に実質的に平行に延びる配設位置において、外へ旋回することができる。
【0018】
少なくとも1つの配設部は、好ましくは、カウンタウェイト要素を配設することができる1つ以上の配設領域を上面に有する。それによって、カウンタウェイト要素の1つまたは複数のための定められた配設面または接触面が明確になり、それ/それらを安定かつ確実な態様で支持でき、任意に配設できる。
【0019】
さらに他の可能な実施形態では、配設部が垂直の回転軸の周りで旋回可能に支持されるように設定される。ここで、回転軸は、好ましくは中心から外れており、すなわち車台の長手方向軸に対して横方向へ位置がずれ、特に配設装置の側方にある。移動位置において、配設部は、配設装置(または回転軸を有する配設装置のその部分)にあるのが好ましいのに対し、配設位置ではそこから突出する。
【0020】
配設部は、1つまたは複数の低摩擦の青銅のブッシュで支持することができる。
【0021】
さらに他の可能な実施形態では、少なくとも1つの配設部の旋回可能な支持が、一方が他方の上方に配置される2つの別々の回転軸受を介して行われるように設定される。ここで、旋回軸を全体として2つに分割し、その場合に分割された回転軸の1つを各回転軸受に割り当てることが可能である。回転軸受は、異なる構成、すなわち同一形状でないことが好ましい。配設部ごとに2つの回転軸受を設けることが好ましく、原理的には配設部ごとに2つ以上の回転軸受を設けることも考えられる。
【0022】
さらに他の可能な実施形態では、下部の回転軸受が上部の回転軸受よりも厚く形成されるように設定される。これは、特に下部の回転軸受が上部の回転軸受よりも少なくとも垂直方向において厚さが大きいことを意味する。
【0023】
上部の回転軸受は、好ましくは、主に水平方向の力を受け止めるように構成される。その代わりに、またはそれに加えて、下部の回転軸受は、水平方向及び垂直方向の力、特に、配設部に配設されたカウンタウェイト要素の垂直方向に作用する重さの力を主に受けるように構成することができる。
【0024】
さらに他の可能な実施形態において、少なくとも1つの配設部は、移動位置及び配設位置でそれぞれロックすることができるロック手段を有するように設定される。ここで、ロックは、例えばロックボルトを設置することによって手動で、またはアクチュエータを介して行われるように定めることができる。
【0025】
同様に、少なくとも1つの配設部がアクチュエータ、特に油圧シリンダによって回転し、配設部のロックをアクチュエータの固定またはロックによって行うことも考えられる。
【0026】
しかしながら、少なくとも1つの配設部をロックするために、特にロックボルトを手動で設置し、対応するボルト取付部に押し込むことができる場合に、最も簡単な構成になる。
【0027】
さらに他の可能な実施形態では、ロック手段が回転軸受の1つに、特に上部の回転軸受に形成されるように定められる。それらは回転軸受に固定してもよいし、回転軸受と一体的に形成してもよい。
【0028】
ロック手段は、切り欠き、特にボルト取付部を有するか、または切り欠き、特にボルト取付部であることが好ましく、この切り欠き、特にボルト取付部は、配設部の対応する移動位置または配設位置に、ロック要素、特にロックボルトを押し込むことができる。
【0029】
さらに他の可能な実施形態において、配設装置は、第1及び第2の配設部、つまり少なくとも2つの可動の配設部を有し、その上にカウンタウェイト要素を配設位置で配設できるように定められる。配設部は、好ましくは、互いに間隔を空けて配置され、特に配設装置の対向配置された側面の横方向に位置している垂直(すなわち平行)の回転軸の周りで旋回能である。好ましくは正確に2つの可動の配設部が設けられる。
【0030】
さらに他の可能な実施形態において、配設装置は、2つの平行なフレーム部、特に板状のフレーム部またはフレーム板を備え、その前面側に配設部がヒンジ接合態様で接続されるように設定される。
【0031】
フレーム板は、好ましくは車台に直接接続され、特にボルトで接続される。
【0032】
「板状のフレーム部」または「フレーム板」という用語は、ここでは広く解釈されるべきであり、実際の(連続した)板には限定されない。平坦なフレーム部には、むしろ、例えば格子状要素または枠組み要素など、切り欠き及び/またはブレーシングが含まれる。しかし、フレーム部は、好ましくは、配設部の回転軸を受ける厚い金属板または側壁である。
【0033】
フレーム部は、特に、載置されたカウンタウェイト要素によって作用する力を車台の構造体または中央フレーム部に伝達する。
【0034】
さらに他の可能な実施形態において、フレーム部は、車台の長手方向軸の方向に異なる範囲または長さを有し、配設部の回転軸は車台または中央フレーム部から異なる距離(すなわち、上部構造体の回転軸からも異なる距離)を有するように設定される。それによって、配設部を移動位置で「一つ後ろに」配置することが可能であり、すなわち内側に折り畳まれた配設部が共通の平面内に位置しない。
【0035】
配設部は、好ましくは板状であり、移動位置及び配設位置においてそれぞれ互いに平行に位置し、すなわち配設部の平坦な側面が互いに向き合う。移動位置における平行な配設部の互いの距離は、特に配設位置における距離よりも小さい。
【0036】
したがって、配設部は、特に移動位置からその配設位置に外へ90°回転する。しかし、原則的に、配設位置の最大回転角度は、90°より大きくても小さくてもよく、例えば、45°と90°の間、または90°と135°の間の最大回転角度も考えられる。これは、載置されるカウンタウェイト要素のサイズと形状、及び車台の幅にも依存することがある。最終的には、外へ回転している配設部または配設位置にある配設部に、カウンタウェイト要素を確実かつ安定した態様で支持できることが保証されなければならない。
【0037】
さらに他の可能な実施形態において、配設装置は、配設装置に配設されるカウンタウェイト要素の細かい位置決めのために、対応するカウンタセンタリング要素とカウンタウェイト要素の下側で協働するように構成された少なくとも1つのセンタリング要素を有するように定められる。それによって、バラスト装置のホイスト装置が正確にカウンタウェイト要素を持ち上げることが保証される。カウンタウェイト要素は、センタリング要素によって正確に位置合わせされるので、手動による複雑な位置合わせを省略できる。
【0038】
少なくとも1つのセンタリング要素は、好ましくは、配設装置の上側に配置され、及び/または上方に突出する突起として形成されている。その中を配設の際に突起が移動する対応の凹部を、カウンタウェイト要素にカウンタセンタリング要素として設けることができる。凹部は、センタリング要素の配置または導入を容易にするために、開口部の付近を面取りまたは円錐形にすることができる。
【0039】
さらに他の可能な実施形態において、少なくとも2つのセンタリング要素が設けられる。この点において、少なくとも1つのセンタリング要素は、フレーム部のそれぞれに固定接続され、すなわちセンタリング要素は配設部と共に移動しない。センタリング要素の位置は高い精度を必要とするので、可動の配設部へ取り付けることは適切ではない。
【0040】
したがって、センタリング要素と配設部との分離は、理想的には、上部構造体の回転軸に対するセンタリング要素の相対位置が常に同一になるようにされる。この効果は、さらに、カウンタウェイト要素の位置合わせの際に発生する力が、配設部の回転軸受を介して伝達されないようにすることに繋がる。センタリング要素は、さらに、そのスペース要件のために配設部に取り付けることができず、その結果、フレーム部に溶接構造として効果的に固定される。これによって配設部の間の硬直を回避でき、ルーズな部品の数が少なくなる。
【0041】
さらに他の可能な実施形態では、配設装置がバラスト要素を有し、中央バラストとして機能するように設定される。この点において、任意の構造体を、対応する重さの力の発生を主な機能とするバラスト要素と見なすことが可能である。中央バラストは、上部構造体または積荷と共に移動せず、むしろ一般に車台の質量を増やし、積荷の位置/場所とは無関係に作用する。
【0042】
このような中央バラストは、原則として車台における前部と後部の両方に設けることができ、一つの中央バラスト(例えば後部のもの)または両方の中央バラスト装置のいずれかを配設装置として形成できる。
【0043】
バラスト要素は、配設装置の軸受構造に一体化することができ(固定接続されて一体に形成される)、または例えばボルト及び/またはねじにより配設装置の軸受構造に取り外し可能に接続できる。
【0044】
配設装置は、中央バラスト自体として、または中央バラストの一部として考えることができる。
【0045】
配設装置は、上述のように、好ましくは、2つの平行なフレーム部、特にフレーム板を有し、その前面側には、それぞれの配設部がヒンジ接合態様で接続され、バラスト要素はフレーム部の間に配置される。フレーム部及びバラスト要素は、互いに固定的または取り外し不可に接続でき、あるいは、例えばボルト及び/またはねじにより互いに取り外し可能に接続することができる。
【0046】
配設装置は、その代わりに、車台の中央フレーム部に直接に取り付けることもできる。ここでは、原則的に、少なくとも1つの回転可能な配設部を車台の中央フレーム部にヒンジ接合態様で直接に接続することが考えられる。好ましくは、2つの回転可能な配設部が順に設けられ、それらの回転軸は、上述のように、有利なことに互いに位置をずらして配置されている。このような実施形態では、回転軸の位置を容易にずらすために、2つの配設部のうちの1つだけをフレーム部に固定することも可能である。しかしながら、フレーム部の代わりに、後方に位置がずれた配設部は、中央フレーム部の突起部または中央フレーム部に接続された別の要素で回転可能に支持することも可能である。
【0047】
少なくとも1つの配設部は、手動で、またはアクチュエータ、特に油圧シリンダによって移動可能にしてもよい。
【0048】
本発明は、さらに、本発明に係るクレーン用の配設装置に関する。この点において、明らかに本発明に係るクレーンの場合と同じ効果と特性がもたらされるので、この点について説明を繰り返すことは省略する。
【0049】
本発明のさらに他の特徴、詳細、及び効果は、図を参照して以下に説明する実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、従来技術で公知のクローラクレーンの側面図である。
【
図2】
図2は、クローラクレーンとしての好ましい実施形態に係る本発明のクレーンの側面図である。
【
図3】
図3は、クローラクレーンとしての好ましい実施形態に係る本発明のクレーンの側面図である。
【
図4】
図4は、移動位置にある好ましい実施形態に係る本発明の配設装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、配設位置にある
図4の配設装置を示す図である。
【
図6】
図6は、移動位置にある本発明の配設装置を備えた車台の平面図である。
【
図7】
図7は、配設装置のフレーム部の1つを通る断面の斜視図である。
【
図8】
図8は、配設位置において2つのカウンタウェイト要素が配設された本発明の配設装置の、カウンタウェイト要素を通る断面斜視図である。
【
図9】
図9は、
図3のクレーンの、配設装置の領域における拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
特許文献2から知られている種類のクローラクレーン1が
図1に示されている。クレーン1は、2つのクローラキャリア18を有するクローラシャーシを備えた車台12を有する。車台12には、回転接続部7(
図6参照)を介して上部構造体14が垂直の回転軸13の周りで回転可能に支持されている。上部構造体14は、水平軸の周りで上下動可能なブーム6(ここでは伸縮式ブーム)とバラスト装置20とを有する。
【0052】
上部構造体14で、ホイスト装置24によりそれ自体は知られた態様で(すなわち、上部構造体14に上部構造体バラストを形成するように)、板状のカウンタウェイト要素22、22’をバラスト装置20で持ち上げたり配設したりすることができる。
図9に示されているように、ホイスト装置24は、バラスト装置20に配置され、そのピストンロッドが下方に延びることのできる1つまたは複数の油圧バラストシリンダ24を有する。ピストンロッドは、それ自体は知られた態様で、(カウンタウェイト要素22、22’に対して上部構造体14を正しい位置にした状態で)カウンタウェイトプレート22、22’の対応する凹部を通って動作し、カウンタウェイト要素とロックまたは係合させることができる。このことは、例えば、特許文献1に従って行うことができるが、他の任意の方法で行うこともできる。カウンタウェイトプレート22、22’は、バラストシリンダのピストンロッドを引き込むことによって、バラスト装置20のバラストマウントへ、したがって上部構造体14へ持ち上げられる。
【0053】
この点で、カウンタウェイトプレート22、22’をバラスト装置20またはバラストマウントに接続できるようにすることができる。その代わりに、またはそれに加えて、カウンタウェイトプレート22、22’が上部構造体14にとどまるように、バラストシリンダの圧力が例えば対応する油圧リザーバで維持されるようにすることができる。
【0054】
図1に示すクレーン1では、クローラキャリア18の間の車台12(より正確には車台12の中央フレーム部6、
図6参照)にカンチレバーフレーム3が固定され、前記カウンタウェイトプレート22,22’を前記車台12に載置可能である。カンチレバーフレーム3は、上面にカウンタウェイトプレート22、22’を支持するのに適した配設領域4を有し、カウンタウェイトプレート22、22’を上部構造体14の回転軸13に対して設定位置に移動させる1つ以上のセンタリング要素5を備えている。しかしながら、このカンチレバーフレーム3は、複雑な方法でしか車台12から取り外すことができないので、通常は車台12に残る。そのため、車台12が長手方向に長くなり、クレーン1の操縦性に悪影響を及ぼす。
【0055】
このために、
図2~
図3に側面図を示す本発明に係るクレーン10では、カンチレバーフレーム3の代わりに(ただし同じ位置、すなわちクローラキャリア18の間に)折り畳み式の配設装置30が設けられ、前記配設装置30は、カウンタウェイトプレート22,22’を支持するために車台12の長さを大きくする配設位置(
図2~
図3に示す)に移動でき、且つクレーン10を移動するために車台の長さを小さくする移動位置に移動可能である。このことにより、本発明に係る装置では、クレーン10の操縦性を低下させず特許文献2の効果が得られる。
【0056】
図2は、配設装置30が配設位置にある状態の本発明に係るクレーン10を示し、カウンタウェイトプレート22、22’がバラストシリンダ24によって持ち上げられている状態を示している。
図3では、カウンタウェイトプレート22,22’は対照的に配設装置30に配設された状態である。
図3に従ってはい節されたウェイトプレート22,22’の拡大図を
図9に示す。
【0057】
(移動位置の)
図4及び(配設位置の)
図5は、好ましい実施形態に係る本発明の配設装置30の斜視図である。配設装置30が固定された車台12、より正確にはその中央フレーム部6の平面図を
図6に示している。
【0058】
本発明に係る配設装置30は、同時に、ここで示している実施形態におけるクレーン10用の中央バラストとして構成され、対応するバラスト要素36を有する。配設装置30は、その側部、すなわちクローラキャリア18に面するバラスト要素36の側面に、バラスト要素36の側壁33,34ともいうことのできるプレート状のフレーム部33,34を備えている。これらの側壁33,34は、発生する力を確実に受け止めてその力を車台12の中央フレーム部6に伝達できるように比較的厚く形成されている。側壁33,34は、接続手段を有し、この接続手段を介して、配設装置30が中央フレーム部6に面する端部または前面において、中央フレーム部6の対応する接続手段8に解放可能に接続できる。
【0059】
バラスト要素36は、フレーム部33,34に固定すなわち解放不可に、または解放可能に、例えばネジ及び/またはボルトで接続できる。バラスト要素36は配設装置30の支持構造と一体化することができる。
【0060】
本発明に係る配設装置30は、「折り畳み式のカウンタウェイト配設領域」の機能または組み立て品を中央バラストと連携させることによって既存のクレーンに簡単に後付けすることができる。このために、クローラクレーン10の中央フレーム部6には、作り直された中央バラストが取り付けられる。
【0061】
他の実施形態では、配設部31、32を、フレーム部33、34なしで車台12の中央フレーム部6にヒンジ接合態様で直接に接続でき、つまり、特に配設装置30を、バラスト要素36及び側壁33、34なしで車台12に取り付けることが可能である。
【0062】
図6に示されているように、さらなる中央バラストまたは第2の配設装置30を任意に固定できるように(または、中央フレーム部6の一方側または他方側で必要に応じて単一の配設装置30を固定できるように)、中央フレーム部6の反対側にも接続手段8が同様に設けられている。
【0063】
あるいは、バラスト要素36なしで配設装置30を設け、配設装置30を中央フレーム部に固定的に(すなわち解放不可に)締結することもできる。
【0064】
上部構造体14の回転軸13から離れた側壁33、34の端部(ここで示している実施形態では中央フレーム部6への接続手段の反対側に位置する端部)には、折りたたみ式の金属シート31、32とも呼ぶことができるプレート状の配設部31、32が回転可能に支持されている。このために、各側壁33,34は2つに分割された回転軸(上下の回転軸)を有し、この回転軸は各側壁33,34の金属シートに一体化されている。対応する支持部は低摩擦のブロンズブッシュにすることができる。
【0065】
重量を小さくし、力を側壁33,34に最適に伝達するために、この例の配設部31,32は概ね三角形の形状であるか、側部が面取りされているが、長方形などの他の形状も当然考えられる。
【0066】
移動位置では、配設部31,32は折り畳まれてバラスト要素36に接する(
図4及び
図6参照)。このために、側壁33,34は、配設部31,32を内側へ折り畳むことができるように、車台の長手方向へバラスト要素36を越えて突出している。移動位置では、配設部31,32の表面は、互いにバラスト要素36の前面を向く。この移動位置において配設装置30(したがって車台12全体)の長さは最小になり、配設部31,32を設けない場合よりもごく僅かに大きくなるだけである。
【0067】
配設位置(
図5及び
図7参照)において、配設部31,32は、それらの回転軸を中心として外側に90°折られて平行に位置合わせされ、車台の長手方向軸に沿って延びる。これが配設装置30(及び車台12)の最大長に対応する。
【0068】
配設部31,32は、それぞれ、上部の回転軸に対応する上部の回転軸受61と、下部の回転軸に対応する下部の回転軸受62とを有する。上部の回転軸受61は、主に水平方向の力を受け止めるように構成されている。下部の回転軸受62は、主に垂直方向の力(実質的に配設部に配設されたカウンタウェイトプレート22、22’の重さの力)を受け止めるために設けられている。このために、下部の回転軸受62は、上部の回転軸受61よりも厚さ/高さが大きい。下部の回転軸受62は、当然、上部の回転軸受61とともに、対の力からの水平方向の反対向きの力も受け止めなければならない。
【0069】
その代わりに、またはそれに加えて、上部の回転軸及び下部の回転軸は、異なる作用の力を最適に受け止めて取り込むことができるように、異なる太さにすることができる。
【0070】
配設部31、32は、移動位置と配設位置とでそれぞれロックすることができる。このために、この例に示す実施形態では、第1及び第2のロック手段71,72として機能する2つのそれぞれの凹部またはボルト取付部71,72が上部の回転軸受61に形成されている。さらに、2つの側壁33,34のそれぞれにハンドルを有するロックボルト74が設けられ、ロックボルト74は、移動位置では第1のボルト取付部71に、配設位置では第2のボルト取付部72に押し込んで、対応する配設部31,32をその位置にロックできる。側壁33,34は、ロックボルト74を完全に受け止めるのに十分な厚さを有している。
【0071】
ここに示されている実施形態において、ロックボルト74は、ボルト取付部71、72の中へ手動で押し込まれる。配設部31、32は、同様に、移動位置と配設位置とに手動で回転される。しかしながら、ロック及び/または回転は、その他に、対応するアクチュエータ、例えば油圧シリンダによって行うこともできる。
【0072】
ロックされた配設位置が、
図7に左側壁34を通る断面で示されており、ここでは、側壁34の垂直孔に支持されたロックボルト74が、左の配設部32の第2のボルト取付部72を通って延び、左の配設部32をロックすることが分かる。これは右の配設部31も同様である。第1のボルト取付部71は、この位置では、外側に折られた配設部31,32の内側にある。
【0073】
原理的には、ボルト取付部71,72は下部の回転軸受62にも形成することができ、ロックボルト74をこれに対応して側壁33,34の下部領域で支持できる。
【0074】
両配設部31,32は、それぞれの回転軸の周りで回転動作を行う。その結果、回転軸13からの必要な距離のために、また、それら自身の必要な長さのために、それらは移動位置において共通の平面上には配置されない。このため、配設部31、32の回転軸の一方は、配設部31の回転軸の他方よりも、回転軸13またはバラスト要素36からの距離が大きい(
図6を参照)。したがって、対応する配設部31は、回転軸13から見て、またはバラスト要素36から見て、他方の配設部31の手前にある。これを実現するために、側壁34(
図6では左の側壁)は、他方の側壁33よりも長い。
【0075】
既に述べたように、各側壁33、34は、ロックボルト74のための取付部としても機能する。複雑な溶接構造を避けるため、側壁33、34は特に厚い。したがって、ロックボルト74の受け部のための孔が側壁33、34の金属シートに直接取り入れられて、それでも確実な接続のために十分な材料が残る。
【0076】
中央バラスト30の全体は、設定された課題を満たすことができるように、公知のクレーンと比較して新しい構成を有する。これには、厚い側壁33,34と、車台12または中央フレーム部6に対する厚い接続要素8と、側壁33,34の異なる構成と、ヒンジ接合で接続された配設部31,32と、ロック機構71,72,74とが含まれる。
【0077】
ここでは、運転の不具合も考慮しなければならない。カウンタウェイト取り付け装置またはバラスト装置20は、太いバラストシリンダ24を有する。上部構造体14が、カウンタウェイトプレート22、22’にこの目的のために設けられた切り欠きに移動するための正しい位置にない場合、バラストシリンダ24はカウンタウェイトプレート22、22’を押して、すべての構成要素の荷重を大きくする。配設装置30は、このような場合に適しており、すべての主要な要素は対応する寸法に設定されている。
【0078】
配設部31,32は、最も下に配設されたカウンタウェイトプレート22’に接するか、またはそのカウンタウェイトプレート22’が支持される配設領域40、41を上面に有する。これにより、カウンタウェイトのための定められた接触面が得られる。各配設部31,32は、回転軸の領域における後部の配設領域40と、(平面視で)反対側に位置する端部に前部の配設領域41とを有している。回転軸が上部構造体の回転軸13からさらに間隔を空けて(
図5の左側に)配置された配設部32の後部の配設領域40は、回転軸の位置のずれを補うために、他方の配設部の後部の配設領域40より短い。ただし、これは必須ではない。さらに、配設部ごとに2つ以上の配設領域を設けるか、及び/または異なる配置にすることも当然考えられる。配設領域40,41の配設部31,32ごとの間隔は、上部構造体14への設置前にカウンタウェイトプレート22、22’の確実な接触が保証されるように選択される。
【0079】
カウンタウェイトプレート22、22’を正確に配置するため、または上部構造体14の回転軸13に対するカウンタウェイトプレートの位置合わせと配置を正確に定めるため、ひいてはカウンタウェイトプレート22、22’の対応する切り欠きにバラストシリンダ24がスムーズに係合できるようにするため、2つのセンタリング要素50が設けられる。
【0080】
センタリング要素50は、側壁33、34に、実際にはロックボルト74の領域に外向きに取り付けられている(
図4~
図5参照)。センタリング要素50は、それら自体、上部構造体14の回転軸13に対する位置に高い精度を必要とする。そのため、回転可能な配設部31、32への取り付けは望ましくはないだろう。したがって、センタリング要素50は、配設部31、32から離れ、代わりに側壁33、34に固定接続または溶接される。この解決手段は、さらに、カウンタウェイトプレート22、22’の位置合わせの際に生じる力が回転軸受61、62を介して伝導されないようにするという効果をもたらす。センタリング要素50は、さらに、そのスペース要件のために、配設部31,32に感覚的に取り付けられないことがある。
【0081】
センタリング要素50は、側壁33,34に横方向に溶接された締結片52の上面に配置され、上方に突出している。ここで示している実施形態では、センタリング要素50は実質的に円筒形であり、導入部の面取り(すなわち、上端が面取りされて、より容易なねじ込みを可能にする)を有しているが、他の形状も考えられる。最下段のカウンタウェイトプレート22’は、下面側の対応する箇所に相補的な凹部またはカウンタボア26を有し、センタリング要素50は、カウンタウェイトプレート22’を降ろして配設するときにその中へ移動する(
図8の断面図を参照)。
【0082】
クレーン作業者が自機のブーム16を用いて車台12上にカウンタウェイトプレート22,22’を積み重ねる場合、クレーン作業者は最初のカウンタウェイトプレート22’をそのおおよその位置で下降させる。このとき、カウンタウェイトプレート22’の凹部26がセンタリング要素50に接触し、カウンタウェイトプレート22’がその組立位置に位置合わせされる。カウンタウェイトプレート22’は、さらに下降することによって配設領域40、41に載る。さらに他のカウンタウェイトプレート22が同様にして積み重ねられる。最も下のカウンタウェイトプレート22’には、上部構造体14への接続のために、先行技術で知られている接続手段をさらに設けることもできる(
図9参照)。前記のさらに他のカウンタウェイトプレート22には、特に、積み重ねられた状態で最も下のカウンタウェイトプレート22’の接続要素が貫通して突出する凹部であってバラストスタック22、22’を上部構造体14に固定するのに役立つ凹部を設けてもよい。
【0083】
前記のさらに他のカウンタウェイトプレート22’は、同一に形成したものでもよいし、異なるように形成したものでもよい。
【0084】
連続する側壁33,34または金属の側板の代わりに、他の構成、例えば格子状ないしチェック状のフレーム構造を用いることもできる。このことは、配設部31,32に代替的または付加的に適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 クローラクレーン(従来技術)
3 カンチレバーフレーム
4 配設領域
5 センタリング要素
6 中央フレーム部
7 回転接続部
8 接続手段
10 移動式のクレーン(クローラクレーン)
12 車台
13 回転軸
14 上部構造体
16 ブーム
18 クローラシャーシ
20 バラスト装置
22 カウンタウェイト要素
22’ 最も下のカウンタウェイト要素
24 ホイスト装置(バラストシリンダ)
26 センタリングカウンタ要素(凹部)
30 配設装置
31 第1の配設部
32 第2の配設部
33 第1のフレーム部(側壁)
34 第2のフレーム部(側壁)
36 バラスト要素
40 後部の配設領域
41 前部の配設領域
50 センタリング要素
52 締結片
61 上部の回転軸受
62 下部の回転軸受
71 第1のロック手段(ボルト取付部)
72 第2のロック手段(ボルト取付部)
74 ロック要素(ロックボルト)
【外国語明細書】