(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088304
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】可動式補助レンズ装着具
(51)【国際特許分類】
G02C 9/00 20060101AFI20230619BHJP
G02C 7/08 20060101ALI20230619BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20230619BHJP
G02C 5/02 20060101ALI20230619BHJP
G02C 5/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G02C9/00
G02C7/08
G02C5/12
G02C5/02
G02C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197553
(22)【出願日】2022-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2021202454
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520362594
【氏名又は名称】青山 博喜
(71)【出願人】
【識別番号】520356504
【氏名又は名称】増永 憲治
(74)【代理人】
【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建
(74)【代理人】
【識別番号】100136216
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 恵美
(72)【発明者】
【氏名】青山 博喜
(72)【発明者】
【氏名】増永 憲治
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA00
2H006AB04
2H006AB05
(57)【要約】
【課題】本発明は、レンズフレームの形状に拘わらず簡単に眼鏡に着脱でき、コンパクトで意匠性が高いため、アクセサリ的に眼鏡に装着できる可動式補助レンズ装着具を提供する。
【解決手段】本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、左右のレンズフレーム部及びこれを中央で接続するブリッジから成るレンズフレームと、左右の箱足により該左右のレンズフレーム部に接続され、左右のノーズパッドを夫々取り付ける左右の箱と、を備える眼鏡において、前記眼鏡に装着する逆U字型細線を備える装着具と、左右の補助レンズを嵌合する補助フレームと、これらを連結する作動連結具と、から構成される可動式補助レンズ装着具である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のレンズフレーム部及びこれを中央で接続するブリッジから成るレンズフレームと、
左右の箱足により該左右のレンズフレーム部に接続され、左右のノーズパッドを夫々取り付ける左右の箱と、を備える眼鏡において、
前記眼鏡に装着する逆U字型可撓性形状保持細線(以下、「可撓性形状保持細線」を単に「細線」ともいう。)を備える装着具と、
左右の補助レンズを嵌合する補助フレームと、
これらを連結する作動連結具と、から構成される可動式補助レンズ装着具であって、
前記装着具を着用者の眼鏡の左右の箱足に装着することにより、該装着具の逆U字型細線が着用者と眼鏡の間に配置されると共にその凹部が眼鏡のブリッジ上方辺りに配置され、
該凹部に固定された前記作動連結具が、眼鏡のブリッジを跨いだ眼鏡の前方で前記補助フレームを固定し、
該作動連結具を動作させて、該補助フレームを該眼鏡のレンズフレームの前方に重複配置させることができる可動式補助レンズ装着具。
【請求項2】
前記装着具は、
前記眼鏡の左右の箱足に夫々装着するための左右の箱足装着手段と、
可撓性形状保持細線の左右の端部の中央に凹部を設けて変形した逆U字型であり、該左右の端部近傍に夫々該左右の箱足装着手段を取り付けた逆U字型細線とから構成され、
前記補助フレームは、
前記左右の補助レンズを嵌合する左右の補助フレーム部と、
これを中央で接続する補助ブリッジとから構成され、
前記作動連結具は、
該装着具を構成する逆U字型細線の凹部を固定する装着具固定部と、
該補助フレームを構成する補助ブリッジを固定する開閉可能な補助フレーム固定部とから構成され、
前記装着具の左右の箱足装着手段を、着用者の鼻元辺りに位置する眼鏡の左右の箱足に夫々装着することにより、該装着具の逆U字型細線が着用者と眼鏡の間に配置されると共にその凹部が眼鏡のブリッジ上方辺りに配置され、
該凹部を、その装着具固定部により固定した前記作動連結具の補助フレーム固定部が、眼鏡のブリッジを跨いだ眼鏡の前方で前記補助フレームの補助ブリッジを固定し、
該補助フレーム固定部を開閉させることにより、眼鏡の前方に配置された該補助フレームが開閉し、その左右の補助フレーム部の配置を着用者の前方で上下方向に変化させ得る、請求項1に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項3】
前記補助フレームにおいて、
前記左右の補助フレーム部は、前記左右の補助レンズを夫々嵌合する楕円形であり、
前記補助ブリッジが該左右の補助フレーム部を接続する、請求項1又は請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項4】
前記補助フレームにおいて、
前記左右の補助フレーム部は、外端と内端を有し、この両端間で前記左右の補助レンズの下端部を夫々嵌合して支持する半楕円形であり、
前記補助ブリッジは、細線の左右の端部の中央に凹部を設けた逆U字型であり、下方に伸長した該細線の左右の端部近傍に、夫々該左右の補助フレーム部の内端を取り付けると共に、該凹部を前記作動連結具の補助フレーム固定部に取り付けた、
請求項1又は請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項5】
前記逆U字型細線を備える装着具において、
前記箱足装着手段はコの字型把持具であり、前記左右の箱足を把持して固定する、請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項6】
前記眼鏡と共にマスクを同時に着用する着用者が、その眼鏡に装着する請求項1に記載の可動式補助レンズ装着具において、
前記逆U字型細線の左右の端部に夫々左右の抑止パッドを取付けた可動式補助レンズ装着具であって、
前記左右の箱足装着手段が前記左右の箱足に固定された状態において、
前記左右の抑止パッドと前記左右の箱足装着手段間で、前記細線が共に顔面方向に湾曲されており、着用者の鼻の左右から前記マスクの鼻元辺りが該左右の抑止パッドにより抑止されて、該マスクと着用者の鼻元辺りに生じた隙間を塞ぐことを特徴とする可動式補助レンズ装着具。
【請求項7】
前記装着具固定部と、前記補助フレーム固定部とから構成される作動連結具において、
該装着具固定部は、前記逆U字型細線の凹部を固定する装着具固定部本体と、該装着具固定部本体から突出して、該凹部の中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、
該補助フレーム固定部は、前記補助フレームの補助ブリッジを固定する補助フレーム固定部本体と、該補助フレーム固定部本体から突出して、該補助ブリッジの中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、
該装着具固定部と該補助フレーム固定部が備えるすべての貫通突起部の開口に、一方から貫通させた雄ネジを、他方で雌ネジにより固定して、
該雌ネジを軸として、該補助フレーム固定部が該装着具固定部に対して着用者の前後に回動可能とした、請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項8】
着用者と眼鏡の間に配置された前記装着具の逆U字型細線は、その凹部が眼鏡のブリッジ上方で着用者の前方方向に屈折されており、
前記作動連結具の装着具固定部は、着用者の前方方向に屈折された該凹部を固定すると共に、着用者の左右方向に延伸する棒状支持体を有し、
該作動連結具の補助フレーム固定部は、該棒状支持体に固定されて前後方向に開閉する1又は複数の開閉型ヒンジであり、
該開閉型ヒンジが着用者の前後方向に開閉することにより、該ヒンジに固定された前記補助フレームを開閉させ得る、請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項9】
請求項8に記載の可動式補助レンズ装着具において、
前記作動連結具の装着具固定部は、着用者の前方方向に屈折された前記凹部と着用者の左右方向に延伸する棒状支持体とを固定して、該棒状支持体を該凹部に対して時計回り方向又は反時計回り方向の回転方向に回転させる回転型ヒンジであり、
前記補助フレームを固定する該作動連結具の補助フレーム固定部は、該棒状支持体に固定されて前後方向に開閉する1又は複数の開閉型ヒンジであり、
該回転型ヒンジが該棒状支持体を着用者の回転方向に回転させ、及び/又は、該開閉型ヒンジが着用者の前後方向に開閉することにより、該開閉型ヒンジに固定された前記補助フレームを回転及び/又は開閉させ得る、可動式補助レンズ装着具。
【請求項10】
2枚の突起板
と両者を接続する支持部とからなり、前記装着具の逆U字型細線の凹部を固定する、平面視コの字型の装着具固定部と、
前記補助フレームを固定する補助フレーム固定部と、
この両者を接続し、接続具本体及びこれから相互に直角に、着用者の前方方向と上方方向に起立した2つの貫通突起部からなる接続具と、
から構成される回転型作動連結具において、
該補助フレーム固定部は、
該補助フレームの補助ブリッジを固定する補助フレーム固定部本体と、該補助フレーム固定部本体から突出して、該補助ブリッジの中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、
該平面視コの字型の装着具固定部は、
該2枚の突起板にネジ孔が設けられており、
一方の突起板が該逆U字型細線の凹部と平行にこれを固定し、
他方の突起板が、着用者に対して、該凹部の前方で、該接続具を該凹部に対して左右方向に回動可能に支持し、着用者の時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる回転型ヒンジであり、
該接続具は、
着用者の上方方向に起立した貫通突起部の開口と該2枚の突起板に設けたネジ孔に雄ネジを貫通させ、該装着具固定部(回転型ヒンジ)に対して着用者の左右方向に回転可能に装着することができると共に、
着用者の前方方向に起立した貫通突起部と該補助フレーム固定部の貫通突起部の開口に雄ネジを貫通させて、該補助フレーム固定部を該装着具固定部に対して前後方向に回動可能に支持し、着用者の前後方向に開閉可能に装着することができる、
請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項11】
前記貫通突起部の開口及び/又は前記ネジ孔に貫通させる雄ネジに、緩衝バネを被着して貫通させた、請求項7又は請求項10に記載の可動式補助レンズ装着具。
【請求項12】
前記作動連結具が、表面と裏面とこの両面を接続する側面とから成る円筒形開閉型作動連結具と、横棒と縦棒から成るT字具とから構成され、
該円筒形開閉型作動連結具の補助フレーム固定部は、該裏面に前記補助ブリッジを嵌合する横溝を有し、該横溝が前記補助ブリッジを嵌合し、
該円筒形開閉型作動連結具の装着具固定部は、該横溝と直角に該裏面に刻設された縦溝と、該横溝と平行に該側面に貫通された貫通孔とを有し、該T字具の横棒を該貫通孔に貫通させると共にその縦棒を該縦溝に嵌合させることができ、該縦棒の先端を前記装着具の逆U字型細線の凹部に取り付け得る、請求項2に記載の可動式補助レンズ装着具であって、
該T字具の縦棒がその縦溝に嵌合される開状態の前記円筒形開閉型作動連結具を、その貫通孔に貫通させた該T字具の横棒周りに回転させることにより、該T字具の先端を取り付けた前記装着具を眼鏡に装着した着用者の前方に回転させることができ、
該円盤型作動連結具の横溝にその補助ブリッジが嵌合された前記補助フレームを閉状態に遷移させ得る、可動式補助レンズ装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠視用又は老眼用の補助レンズや特定周波数をカットする補助レンズを可動式に眼鏡に装着可能な可動式補助レンズ装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズは、主に近視用レンズ、老眼用レンズ(遠視用レンズ)、サングラスやパソコン画面用レンズなど特定周波数をカットするレンズに分類される。これらのレンズを装着した眼鏡を別々に持ち歩くのは不便なので、一つの眼鏡に多機能のレンズを兼用させる発明が多々開示されている。
【0003】
中でも、老眼となって近くが見えにくくなった近視の老人のために、レンズにグラデーションを付けた遠近両用眼鏡が一般的になっているが、レンズ下方部が老眼用となっており、使いづらいという着用者も一定数いるようである。また、調光式レンズにより色を付けたサングラスも多数開発されている。
【0004】
更に、本来必要なレンズに外付け式に他の機能のレンズを補充する補助レンズ装着具も利用されている。例えば、つる無しのサングラスを眼鏡の内側に落とし込んで使用するもの、インナーフレームを着脱するもの(特許文献1)等もあるが、着用する眼鏡に外付けする可動式(跳ね上げ式)のサングラスを外付けする可動式補助レンズ装着具がよく利用されている。しかし、可動式の補助レンズ装着具は、レンズフレームに装着するので、一定の条件を満たすレンズフレームにしか装着できず、ファッション性にも乏しいという問題がある。
【0005】
ところで、川釣りなどをする場合、日中は日差しにより川面の強い反射を防御するサングラスが必要だが、夕方になるとサングラスは不要となり、代わりに老眼鏡が必要となるなど、3種以上の機能のレンズが必要となる場合がある。グラデーションの付いた両用レンズが苦手の人は、3種類の眼鏡又はレンズを使い分けなければならず、持ち運びやレンズの付け替えにはなはだ不便である。
【特許文献1】特開2005-292750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、レンズフレームの形状に拘わらず簡単に眼鏡に着脱でき、コンパクトで意匠性が高いため、アクセサリ的に眼鏡に装着できる可動式補助レンズ装着具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.可動式補助レンズ装着具
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、左右のレンズフレーム部及びこれを中央で接続するブリッジから成るレンズフレームと、左右の箱足により該左右のレンズフレーム部に接続され、左右のノーズパッドを夫々取り付ける左右の箱と、左右のレンズフレーム部に接続した左右のテンプルと、を備える眼鏡において、
前記眼鏡に装着する逆U字型可撓性形状保持細線(以下、「可撓性形状保持細線」を単に「細線」ともいう。)を備える装着具と、左右の補助レンズを嵌合する補助フレームと、これらを連結する作動連結具と、から構成される可動式補助レンズ装着具であって、
前記装着具を着用者の眼鏡の左右の箱足に装着することにより、該装着具の逆U字型細線が着用者と眼鏡の間に配置されると共にその凹部が眼鏡のブリッジ上方辺りに配置され、該凹部に固定された前記作動連結具が、眼鏡のブリッジを跨いだ眼鏡の前方で前記補助フレームを固定し、該作動連結具を動作させて、該補助フレームを該眼鏡のレンズフレームの前方に重複配置させることができる。なお、逆U字型細線(逆U字型可撓性形状保持細線)は、例えば針金などの可撓性でかつ形状保持性の細線状金属を逆U字型に成型して得ることができ、その材料は特に限定されない。
【0008】
本発明に係る可動式補助レンズ装着具において、前記装着具は、前記眼鏡の左右の箱足に夫々装着するための左右の箱足装着手段と、細線(可撓性形状保持細線)の左右の端部の中央に凹部を設けて変形した逆U字型であり、該左右の端部近傍に夫々該左右の箱足装着手段を取り付けた逆U字型細線とから構成され、
前記補助フレームは、前記左右の補助レンズを嵌合する左右の補助フレーム部と、これを中央で接続する補助ブリッジとから構成され、
前記作動連結具は、該装着具を構成する逆U字型細線の凹部を固定する装着具固定部と、該補助フレームを構成する補助ブリッジを固定する開閉可能な補助フレーム固定部とから構成され、前記装着具の左右の箱足装着手段を、着用者の鼻元辺りに位置する眼鏡の左右の箱足に夫々装着することにより、該装着具の逆U字型細線が着用者と眼鏡の間に配置されると共にその凹部が眼鏡のブリッジ上方辺りに配置され、
該凹部を、その装着具固定部により固定した前記作動連結具の補助フレーム固定部が、眼鏡のブリッジを跨いだ眼鏡の前方で前記補助フレームの補助ブリッジを固定し、該補助フレーム固定部を開閉させることにより、眼鏡の前方に配置された該補助フレームが開閉し、その左右の補助フレーム部の配置を、着用者の前方で上下方向に変化させることができる。
【0009】
2.補助フレーム
(楕円型補助フレーム)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記補助フレームにおいて、
前記左右の補助フレーム部は、前記左右の補助レンズを夫々嵌合する楕円形であり、前記補助ブリッジは、楕円形の該左右の補助フレーム部を接続してもよい。
【0010】
(半楕円型補助フレーム)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記補助フレームにおいて、
前記左右の補助フレーム部は、外端と内端を有し、この両端間で前記左右の補助レンズの下端部を夫々嵌合して支持する半楕円形であり、前記補助ブリッジは、細線の左右の端部の中央に凹部を設けて変形した逆U字型であり、下方に伸長した該細線の左右の端部近傍に、夫々該前記左右の補助フレーム部の内端を取り付けると共に、該凹部を前記作動連結具の補助フレーム固定部に固定してもよい。
【0011】
3.装着具
(箱足装着手段)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記装着具において、前記箱足装着手段はコの字型把持具であり、前記左右の箱足を把持して固定し得る。
【0012】
(抑止パッド)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記眼鏡と共にマスクを同時に着用する着用者が、その眼鏡に装着する上記可動式補助レンズ装着具において、前記逆U字型細線の左右の端部に夫々左右の抑止パッドを取付けた可動式補助レンズ装着具であって、
前記左右の箱足装着手段が前記左右の箱足に固定された状態において、
前記左右の抑止パッドと前記左右の箱足装着手段間で、前記細線が共に顔面方向に湾曲されており、着用者の鼻の左右から前記マスクの鼻元辺りが該左右の抑止パッドにより抑止されて、該マスクと着用者の鼻元辺りに生じた隙間を塞ぐことを特徴とする。
【0013】
4.連結具
(作動連結具の補助フレーム固定部)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記装着具固定部と、前記補助フレーム固定部とから構成される作動連結具において、
該装着具固定部は、前記逆U字型細線の凹部を固定する装着具固定部本体と、該装着具固定部本体から突出して、該凹部の中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、該補助フレーム固定部は、前記補助フレームの補助ブリッジを固定する補助フレーム固定部本体と、該補助フレーム固定部本体から突出して、該補助ブリッジの中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、該装着具固定部と該補助フレーム固定部が備えるすべての貫通突起部の開口に、一方から貫通させた雄ネジを、他方で雌ネジにより固定して、該雌ネジを軸として、該補助フレーム固定部が該装着具固定部に対して着用者の前後に回動可能とした。
【0014】
(開閉型連結具)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具において、着用者と眼鏡の間に配置された前記装着具の逆U字型細線は、その凹部が眼鏡のブリッジ上方で着用者の前方方向に屈折されており、前記作動連結具の装着具固定部は、屈折された該凹部を固定して左右方向に延伸する棒状支持体を有し、該作動連結具の補助フレーム固定部は、該左右方向に延伸する棒状支持体に固定されて前後方向に開閉する1又は複数の開閉型ヒンジであり、該開閉型ヒンジが着用者の前後方向に開閉することにより、該ヒンジに固定された前記補助フレームを開閉させ得る。なお、「左右方向」とは、着用者の左右方向であり、装着具の逆U字型細線の凹部の中点における接線方向と一致する。
【0015】
(回転型作動連結具)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具において、前記作動連結具の装着具固定部は、着用者の前方方向に屈折された前記凹部と着用者の左右方向に延伸する棒状支持体とを固定して、該棒状支持体を該凹部に対して時計回り方向又は反時計回り方向の回転方向に回転させる回転型ヒンジであり、前記補助フレームを固定する該作動連結具の補助フレーム固定部は、該棒状支持体に固定されて前後方向に開閉する1又は複数の開閉型ヒンジであり、該回転型ヒンジが該棒状支持体を着用者の回転方向に回転させ、及び/又は、該開閉型ヒンジが着用者の前後方向に開閉することにより、該開閉型ヒンジに固定された前記補助フレームを回転及び/又は開閉させ得る。
【0016】
(回転型作動連結具の接続具)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、2枚の突起板と両者を接続する支持部とからなり、前記装着具の逆U字型細線の凹部を固定する、平面視コの字型の装着具固定部と、前記補助フレームを固定する補助フレーム固定部と、この両者を接続し、接続具本体及びこれから相互に直角に、着用者の前方方向と上方方向に起立した2つの貫通突起部からなる接続具と、から構成される回転型作動連結具において、
該補助フレーム固定部は、該補助フレームの補助ブリッジを固定する補助フレーム固定部本体と、該補助フレーム固定部本体から突出して、該補助ブリッジの中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備え、該平面視コの字型の装着具固定部は、該2枚の突起板にネジ孔が設けられており、一方の突起板が該逆U字型細線の凹部と平行にこれを固定し、他方の突起板が、着用者に対して、該凹部の前方で、該接続具を該凹部に対して左右方向に回動可能に支持し、着用者の時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる回転型ヒンジであり、該接続具は、着用者の上方方向に起立した貫通突起部の開口と該2枚の突起板に設けたネジ孔に雄ネジを貫通させ、該装着具固定部(回転型ヒンジ)に対して着用者の左右方向に回転可能に装着することができると共に、着用者の前方方向に起立した貫通突起部と該補助フレーム固定部の貫通突起部の開口に雄ネジを貫通させて、該補助フレーム固定部を該装着具固定部に対して前後方向に回動可能に支持し、着用者の前後方向に開閉可能に装着することができる。
【0017】
(緩衝バネ)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、前記貫通突起部の開口及び/又は前記ネジ孔に貫通させる雄ネジに、緩衝バネを被着して貫通させるのが好適である。
【0018】
(円筒形開閉型作動連結具)
本発明に係る可動式補助レンズ装着具において、前記作動連結具が、表面と裏面とこの両面を接続する側面とから成る円筒形開閉型作動連結具と、横棒と縦棒から成るT字具とから構成され、該円筒形開閉型作動連結具の補助フレーム固定部は、該裏面に前記補助ブリッジを嵌合する横溝を有し、該横溝が前記補助ブリッジを嵌合し、該円筒形開閉型作動連結具の装着具固定部は、該横溝と直角に該裏面に刻設された縦溝と、該横溝と平行に該側面に貫通された貫通孔とを有し、該T字具の横棒を該貫通孔に貫通させると共にその縦棒を該縦溝に嵌合させることができ、該縦棒の先端を前記装着具の逆U字型細線の凹部に取り付け得る、上記可動式補助レンズ装着具であって、
該T字具の縦棒がその縦溝に嵌合される開状態の前記円筒形開閉型作動連結具を、その貫通孔に貫通させた該T字具の横棒周りに回転させることにより、該T字具の先端を取り付けた前記装着具を眼鏡に装着した着用者の前方に回転させることができ、該円盤型作動連結具の横溝にその補助ブリッジが嵌合された前記補助フレームを閉状態に遷移させ得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、眼鏡に装着する逆U字型細線を備える装着具と、左右の補助レンズを嵌合する補助フレームと、これらを連結する作動連結具とから構成され、装着具の箱足装着手段を着用者の眼鏡の左右の箱足に装着することにより、逆U字型細線を着用者と眼鏡の間に配置することができる。そして逆U字型細線の凹部が眼鏡のブリッジ上方辺りに配置され、凹部に固定された作動連結具が、眼鏡のブリッジを跨いだ眼鏡の前方で補助フレームを固定し、作動連結具を動作させることにより、補助フレームを眼鏡のレンズフレームの前方に重複するように配置させることができる。
【0020】
補助フレームに嵌合する補助レンズは、主に近視用、老眼用(遠視用)、サングラスやパソコン画面用レンズなど特定周波数をカットする等、それぞれの機能を有するレンズである。補助フレームを眼鏡のレンズフレームの前方に重複するように配置することで、補助フレームに嵌合するこれらの補助レンズを、眼鏡のレンズに重複させ、それぞれの補助レンズの機能を発揮させることができる。
【0021】
上述のように、本発明に係る可動式補助レンズ装着具において、作動連結具は、装着具固定部と、補助フレーム固定部とから構成される。装着具固定部は、逆U字型細線の凹部を固定する装着具固定部本体と、この装着具固定部本体から突出して、凹部の中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備える。また、補助フレーム固定部は、補助フレームの補助ブリッジを固定する補助フレーム固定部本体と、この補助フレーム固定部本体から突出して、補助ブリッジの中点における接線方向に開口した1又は複数の貫通突起部を備える。そして、装着具固定部と補助フレーム固定部が備える全ての貫通突起部の開口に、一方から貫通させた雄ネジを、他方で雌ネジにより固定して、雌ネジを軸として、補助フレーム固定部が装着具固定部に対して回動可能とすることができる。
【0022】
本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、装着具固定部と補助フレーム固定部が備える全ての貫通突起部の開口に貫通させる雄ネジに、緩衝バネを被着し、装着具固定部と補助フレーム固定部が備える全ての貫通突起部の開口に、一方から貫通させた雄ネジを、他方で雌ネジにより固定してもよい。このように、緩衝バネを雄ネジに被着することにより、補助フレーム固定部と装着具固定部間の圧力を高め、補助フレームの回動位置における姿勢保持力を向上させることができる。
【0023】
補助フレームに嵌合する補助レンズにおいて、作動連結具の装着具固定部は、屈折された凹部に固定されて左右方向に延伸する棒状支持体を、時計回り方向又は反時計回り方向の回転方向に回転させる回転型ヒンジとすることができる。補助フレームを固定する該作動連結具の補助フレーム固定部を、左右方向に延伸する棒状支持体に固定されて前後方向に開閉する1又は複数の開閉型ヒンジとすれば、この棒状支持体を、回転型ヒンジが着用者の回転方向に回転させ、及び/又は、開閉型ヒンジが着用者の前後方向に開閉することにより、開閉型ヒンジに固定された補助フレームを回転及び/又は開閉させることができる。
【0024】
このような、回転型ヒンジと開閉型ヒンジを同時に備える本発明の可動式補助レンズ装着具1は、跳ね上げ式サングラスを外付けした近眼用眼鏡に装着することもできる。サングラスが不要のときは、これを跳ね上げて、例えば老眼レンズの補助レンズのみを眼鏡の近眼用レンズに重ねて用いることができる。上記のように、川釣りなどをする場合、日中は日差しにより川面の強い反射を防御するサングラスが必要になるので、このとき、回転型ヒンジを使って補助レンズをサングラスの回転に支障にならない鉛直方向に回転させ、サングラスを眼鏡の近眼用眼鏡レンズに重ねることができる。そして、更に回転型ヒンジにより補助レンズを逆回転させて元の位置に戻して、サングラスと重ねることもできる。
【0025】
本発明の可動式補助レンズ装着具は、逆U字型細線の左右の端部に夫々左右の抑止パッドを取付けてもよい。左右の箱足装着手段が前記左右の箱足に固定された状態において、
左右の抑止パッドと左右の箱足装着手段間で、前記細線が共に顔面方向に湾曲されるので、着用者の鼻の左右からマスクの鼻元辺りが左右の抑止パッドにより抑止されて、マスクと着用者の鼻元辺りに生じた隙間を塞ぐことができる。
【0026】
以上のように、本発明に係る可動式補助レンズ装着具は、レンズフレームの形状に拘わらず簡単に眼鏡の左右の箱足に着脱でき、意匠性が高いため、アクセサリ的に眼鏡に装着できる。また、コンパクトで軽量であるため、眼鏡ケースに眼鏡と共に収納して持ち運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る可動式補助レンズ装着具の使用態様正面図。
【
図2】本発明に係る可動式補助レンズ装着具の正面図。
【
図3】本発明に係る可動式補助レンズ装着具の開状態における背面側斜視図。
【
図4】実施例に係る可動式補助レンズ装着具の閉状態における正面図。
【
図5】実施例に係る可動式補助レンズ装着具の閉状態における平面図。
【
図6】実施例に係る可動式補助レンズ装着具の開閉の状態遷移を表す側面図。
【
図7】可動式(跳ね上げ式)のサングラス(開状態)を外付けした眼鏡に装着した、実施例に係る可動式補助レンズ装着具の閉状態における使用態様正面図。
【
図8】可動式(跳ね上げ式)のサングラス(開状態)を外付けした眼鏡に装着した、実施例に係る可動式補助レンズ装着具の回転状態における使用態様背面図。
【
図9】他の実施例に係る円筒形開閉型作動連結具の裏面図、正面図、及び側面図。
【
図10】他の実施例に係る可動式補助レンズ装着具の開状態における底面図。
【
図11】逆U字型の細線の左右の端部に夫々取付けられた抑止パッドが、着用者が眼鏡と共に着用したマスクを抑止する状態を描いた使用態様正面図。
【
図12】他の実施例に係る可動式補助レンズ装着具の、(a)分解正面図、(b)組み立て後正面図。
【
図13】他の実施例に係る回転可能な可動式補助レンズ装着具の、(a)分解平面図、(b)補助フレーム及び補助フレーム固定部の分解正面図、(c)組み立て後正面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明に係る可動式補助レンズ装着具の実施形態について説明する。なお、以下各図面を通して同一の構成要素には同一の符号を使用するものとする。
(1)可動式補助レンズ装着具の実施形態
【0029】
本発明に係る可動式補助レンズ装着具1は、
図1に表すように、左右のレンズフレーム部102L、102R及びこれを中央で接続するブリッジ102Bから成るレンズフレーム102と、左右の箱足108L、108Rにより左右のレンズフレーム部102L、102Rに接続され、左右のノーズパッド106L、106Rを夫々取り付ける左右の箱107L、107Rと、を備える眼鏡100に装着して用いる。
図1において、眼鏡100の左右のレンズフレーム部102L、102Rには、左右のテンプル104L、104Rが接続されている。
【0030】
本発明の可動式補助レンズ装着具1の正面図を
図2に、その背面側斜視図を
図3に示す。可動式補助レンズ装着具1は、眼鏡100に装着する逆U字型可撓性形状保持細線(以下、単に「逆U字型細線」ともいう。)12を備える装着具10と、左右の補助レンズ201L、201Rを嵌合する補助フレーム20と、これらを連結する作動連結具30と、から構成される。
【0031】
本発明の可動式補助レンズ装着具1は、
図1のように、装着具10を着用者の眼鏡100の左右の箱足108L、108Rに装着することにより、装着具10の逆U字型細線12が着用者と眼鏡100の間に配置されると共に、その凹部13が眼鏡100のブリッジ102B上方辺りに配置される。そして、凹部13に固定された作動連結具30が、眼鏡100のブリッジ102Bを跨いだ眼鏡100の前方で補助フレーム20を固定し、作動連結具30を動作させて、補助フレーム20を眼鏡100のレンズフレームの前方に重複配置させることができる。
【0032】
本発明に係る可動式補助レンズ装着具1において、装着具10は、眼鏡100の左右の箱足108L、108Rに夫々装着するための左右の箱足装着手段11L、11Rと、細線(可撓性形状保持細線)3の左右の端部の中央に凹部13を設けて変形した逆U字型であり、左右の端部近傍に夫々左右の箱足装着手段11L、11Rを取り付けた逆U字型細線12とから構成される。
【0033】
補助フレーム20は、左右の補助レンズ201L、201Rを嵌合する左右の補助フレーム部20L、20Rと、これを中央で接続する補助ブリッジ20Bとから構成される。また、作動連結具30は、装着具10を構成する逆U字型細線12の凹部13を固定する装着具固定部34と、補助フレーム20を構成する補助ブリッジ20Bを固定する開閉可能な補助フレーム固定部32とから構成される。
【0034】
本発明の可動式補助レンズ装着具1は、上記
図1のように、装着具10の左右の箱足装着手段11L、11Rを、着用者の鼻元辺りに位置する眼鏡100の左右の箱足108L、108Rに夫々装着することにより、装着具10の逆U字型細線12が着用者と眼鏡100の間に配置されると共に、その凹部13が眼鏡100のブリッジ102B上方辺りに配置される。なお、
図1においては、見やすさの便宜のため、左右の箱足装着手段11L、11Rが左右の箱足108L、108Rに装着されていない状態を示す。
【0035】
このように装着具10を箱足108(108L、108R)に装着した可動式補助レンズ装着具1は、凹部13に、その装着具固定部34が固定された作動連結具30の補助フレーム固定部32が、眼鏡100のブリッジ102Bを跨いだ眼鏡100の前方で補助フレーム20の補助ブリッジ20Bを固定し、補助フレーム固定部32を開閉させることができる。そして、この開閉動作により、眼鏡100の前方に配置された補助フレーム20が開閉し、その左右の補助フレーム部20L、20Rの配置を、着用者の前方で上下方向に変化させることができる。
【0036】
以下、本発明に係る可動式補助レンズ装着具1の各構成要素について、実施例を交えて説明する。
(1―1)補助フレーム
【0037】
(楕円型補助フレーム)
引き続き
図1~
図3を参照すると、本実施形態の可動式補助レンズ装着具1の補助フレーム20において、左右の補助フレーム部20L、20Rは、左右の補助レンズ201L、201Rを夫々嵌合する楕円形である。補助ブリッジ20Bは、楕円形の左右の補助フレーム部20L、20Rの夫々の上部に固定され、左右の補助フレーム部20L、20Rを接続する。
【実施例0038】
(半楕円型補助フレーム)
図4、
図5に正面図と平面図を夫々示すように、補助フレーム20において、左右の補助フレーム部20L、20Rは、外端20оと内端20iを有し、この両端20о、20i間で左右の補助レンズ201L、201Rの下端部を夫々支持する半楕円形であってもよい。本実施例に係る可動式補助レンズ装着具1において、補助ブリッジ20Bは、細線3の左右の端部の中央に凹部24を設けて変形した逆U字型であり、下方に伸長した左右の細線3の端部近傍に、夫々左右の補助フレーム部20L、20Rの内端20iを取り付けると共に、凹部24を作動連結具30の補助フレーム固定部32に取り付けてもよい。
(1―2)装着具
【0039】
上述のように、本実施形態に係る可動式補助レンズ装着具1において、装着具10は、細線(可撓性形状保持細線)3の左右の端部の中央に凹部13を設けて変形した逆U字型細線12と、左右の端部近傍に取り付けた左右の箱足装着手段11L、11Rとから成る(
図3、
図10参照)。細線3の左右の端部が着用者の顔面を傷つけないように、
図10に示す装着具10のように、細線3の左右の端部に左右のキャップ15L、15Rを装着してもよい。
【0040】
(箱足装着手段)
本実施形態の可動式補助レンズ装着具1の装着具10において、箱足装着手段11L、11Rは、コの字型把持具であり、
図1に示す眼鏡100の左右の箱足108L、108Rを把持して固定することができる。
図1に箱足装着手段11L、11Rと左右の箱足108L、108Rの関係が図示されているが、上述のように、
図1は便宜上、左右の箱足装着手段11L、11Rが左右の箱足108L、108Rを把持していない状態を示している。