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特開2023-88306ガルバニック分離装置を備えた医療機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088306
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】ガルバニック分離装置を備えた医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A61B1/00 684
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198136
(22)【出願日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】20 2021 106 775.6
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】594008556
【氏名又は名称】リチャード ウルフ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Richard Wolf GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ノイロー
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・ゼント
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161JJ12
4C161NN03
4C161UU06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガルバニック分離を可能にし、低コスト、検査容易な医療機器を提案する。
【解決手段】患者と接触する適用装置と、適用装置と接続するガルバニック分離装置とを有する医療機器であって、分離装置が、適用装置と接続するための適用接続部と、装置と接続するための供給接続部とを有し、分離装置は、供給接続部から適用接続部をガルバニック的に分離している医療機器において、分離装置は、適用接続部と接続された、第1のアンテナを含む第1の無線ユニットと、供給接続部と接続された、第2のアンテナを含む第2の無線ユニットとを有し、それぞれの第1のアンテナ及びそれぞれの第2のアンテナは、支持体上で肉眼で認識可能に互いに離間されて、かつ互いの方に向けられて固定され、第1の無線ユニット及び第2の無線ユニットは、適用接続部と供給接続部との間で信号若しくはデータを伝送するように形成されていることを特徴とする、医療機器に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療される患者(4)と接触させることができる適用装置(6、58)と、
前記適用装置(6、58)と接続することができるガルバニック分離装置(8、38、42、48、52、62)と、
を有する医療機器(2)であって、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)が、前記適用装置(6、58)と接続するための少なくとも1つの適用接続部(10)と、装置(14)と接続するための少なくとも1つの供給接続部(12)と、を有し、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、前記供給接続部(12)から前記適用接続部(10)をガルバニック的に分離するように形成されている、医療機器(2)において、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、前記適用接続部(10)と接続された、第1のアンテナ(17、17a)を含む少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)と、前記供給接続部(12)と接続された、第2のアンテナ(19、19a)を含む少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)と、を有し、
それぞれの前記第1のアンテナ(17、17a)及びそれぞれの前記第2のアンテナ(19、19a)は、支持体(20、44)上で肉眼で認識可能に互いに離間されて、かつ互いの方に向けられて固定され、
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)は、前記適用接続部(10)と前記供給接続部(12)との間で信号若しくはデータを伝送するように形成されていることを特徴とする、医療機器(2)。
【請求項2】
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、2つの第1の無線ユニット(16)と2つの第2の無線ユニット(18)とを有し、
前記第1の無線ユニット(16)及び第2の無線ユニット(18)は、対にして互いに向き合わせられ、
前記対のうちの1つが前記第1の無線ユニット(16)から前記第2の無線ユニット(18)へ信号若しくはデータを伝送するように形成され、前記対のうちのもう1つが前記第2の無線ユニット(18)から前記第1の無線ユニット(16)へ信号若しくはデータを伝送するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)はそれぞれ、送信及び受信ユニットとして形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の医療機器(2)。
【請求項4】
前記第1のアンテナ(17、17a)と前記第2のアンテナ(19、19a)との間にある無線区間(36)が0.5~60cm、特に好ましくは1~40cmの広がりを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項5】
前記支持体(20、44)は、前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)が予め定められた間隔をおいて組み付けられた単一の回路基板(44)として形成されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項6】
前記回路基板(44)は、前記第1の無線ユニット(16)と前記第2の無線ユニット(18)との間に空所(46)を有することを特徴とする、請求項5に記載の医療機器(2)。
【請求項7】
前記支持体(20、44)は、予め定められた間隔をおいて配置された第1の回路基板(26)と第2の回路基板(28)とを有し、前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)が前記第1の回路基板(26)上に配置され、前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)が前記第2の回路基板(28)上に配置されていることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項8】
前記第1のアンテナ(17、17a)及び前記第2のアンテナ(19、19a)は、前記支持体(20、44)上に印刷されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項9】
前記第1のアンテナ(17、17a)及び前記第2のアンテナ(19、19a)はそれぞれ、指向性無線接続を確立するためのホーン構造(50)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項10】
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、電力を前記供給接続部(12)から前記適用接続部(10)へ誘導的及び/又は容量的に伝送するように形成された、前記適用接続部(10)と接続された第1の結合ユニット(32)と前記供給接続部(12)と接続された第2の結合ユニット(34)とを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)の間の距離(d)と前記信号の波長(L)との比v=d/Lが1.73~127の範囲であることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)の間の領域に、1~23F/mの誘電率と0~0.01S/mの導電率とを有する材料が少なくとも部分的に充填されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の医療機器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された特徴を有する、治療される患者と接触させることができる適用装置と、適用装置と接続することができるガルバニック分離装置とを有する医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
潜在的に危険な電圧(「PGS」)で動作する医療機器では、電圧源と患者の間に直接的な導電性接続が存在しないことを確保しなければならない。内視鏡カメラの場合、例えば、電源部(Netzteil)と内視鏡光学系との間に少なくとも1つのガルバニック分離要素が設けられ、この要素が直接的な導電性接続を防止することが企図されている。とりわけ、IEC60601-1規格は、空間距離(Luftstrecke)と沿面距離(Kriechstrecke)、耐電圧、及び患者を通る可能性のある漏れ電流の基準を定める。電磁妨害の放射及び放出に対する電磁遮蔽若しくは耐性の実装は、ガルバニック分離を備えた電気器具では特に要求が高く、製造及び開発コストの上昇に結びついている。課題の1つは、とりわけ、遮蔽のために通常使用されるすべての電子部品を、送電網により設定された同じグランドに接続できるわけではないということである。例えば市販のコンピュータマウスなどの低電圧器具をつないだだけでもすでに不都合な妨害輻射が発生する可能性がある。
【0003】
ガルバニック分離機能に加えて、大量のデータを伝送する必要がたびたびある。ガルバニック分離区間を介してデータを伝送できる部品がありはするが、これらはコストがかかるか、又は実現可能なデータレートがかなり制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを背景として、本発明は、簡単に実現でき、それでも効果的なガルバニック分離を可能にし、低コストで製造でき、それに加えて簡単に検査できる医療機器を提案するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する医療機器によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明、及び図面に記載されている。
【0006】
本発明による医療機器は、治療される患者と接触させることができる適用装置(Anwendungseinrichtung)と、適用装置に接続することができるガルバニック分離装置と、を有し、分離装置は、適用装置と接続するための少なくとも1つの適用接続部(Anwendungsanschluss)と、装置と接続するための少なくとも1つの供給接続部(Versorgungsanschluss)と、を有し、分離装置は、適用接続部を供給接続部からガルバニック的に分離するように形成されている。本発明によれば、分離装置は、適用接続部と接続された、第1のアンテナを含む少なくとも1つの第1の無線ユニットと、供給接続部と接続された、第2のアンテナを含む少なくとも1つの第2の無線ユニットと、を有し、それぞれの第1のアンテナ及びそれぞれの第2のアンテナは、支持体上で肉眼で認識可能に互いに離間されて、かつ互いの方に向けられて固定され、少なくとも1つの第1の無線ユニット及び少なくとも1つの第2の無線ユニットは、適用接続部と供給接続部との間で信号若しくはデータを伝送するように形成されていることが企図されている。
【0007】
それぞれの第1のアンテナとそれぞれの第2のアンテナが支持体上で「肉眼で」認識可能に互いに離間されているという特徴は、ここでは例えばアンテナ間の距離を認識するために、これらを顕微鏡で検査するために取り外す必要がないことを意味し得る。典型的には、これはすでに0.5mmを超える距離に該当する。しかし殊に、アンテナ間の距離は少なくとも0.5cmであり、これは通常の視力で、肉眼で、かついかなる視覚補助手段も用いずに見ることができる。殊に、距離は、自由に見ることができるように設けられ、覆い隠されず、すなわち、機器の試験時に、機器のハウジングにあるかもしれない開口部は別として、部品を事前に取り外すことなく直接見える。殊に、それぞれの第1のアンテナ及びそれぞれの第2のアンテナは、互いの方に向けられて固定される。これは、例えば、第1のアンテナが無線信号を送信及び/又は受信するための第1の主無線方向を定義し、第2のアンテナが無線信号を送信及び/又は受信するための第2の主無線方向を定義し、第1の主無線方向は、第2の主無線方向に対して同軸で反対方向に方向調整されていると解されるべきである。
【0008】
適用装置は、様々な、かつ異なる態様で形成することができる。例えば、これは内視鏡装置及び/又はセンサ、電極、撮像装置、超音波変換器などを有することができる。適用装置は、そのそれぞれの創案に基づいて、信号若しくはデータの提供を可能にすることができる。患者と直接接触させることができ、かつガルバニック分離装置を組み込むことができる他の任意の装置が考えられる。その一方で、ガルバニック分離装置を、適用装置と接続可能なコンポーネント、例えば処理ユニットに組み込むこともできる。例えば、ガルバニック分離装置は、直接隣り合う器具間でのデータ又は信号の伝送も可能にすることができる。器具は、信号若しくはデータ伝送が行われる空所を含む金属ハウジングを有することができる。したがって、器具を互いに正しく方向合わせした場合、データ伝送を実現することができる。方向調整は、ガイド、凹部、又は磁石によって容易にすることができる。ガルバニック分離装置は、例えば片側がハウジング脚部に組み込まれてもよい。
【0009】
ガルバニック分離装置は、適用装置と適用装置に接続される装置との間で信号若しくはデータを伝送するために用いられる。したがって、分離装置は、患者側での適用装置の電気的に安全な動作を可能にするインターフェースを形成する。
【0010】
特別な特徴の1つは、少なくとも1つの第1の無線ユニットと少なくとも1つの第2の無線ユニットの使用にあり、これらはそれぞれアンテナと接続され、支持体上で肉眼で認識可能に互いに離間されている。それにより、互いにガルバニック分離された2つの領域間の機械的及び電気的分離が、複雑な試験を行わなくても全く明らかになり、したがって容易に確認できる。したがって、上術の従来技術による機器の場合のように、技術的に複雑な試験を行うことなく医療機器を承認することができる。
【0011】
無線ベースの接続は、無線電力の低い短距離無線を介して行うことができる。0.01μW~300mW、特に0.02μW~193mWの範囲の無線電力を実現することが考えられる。それに対応するデータ伝送用のモジュールが知られている。短距離無線は、例えば57GHz及び64GHz範囲の無線周波数を持つ、例えば60GHz VバンドなどのGHz範囲で動作できる。これには、金属層によって放出を容易に遮蔽できるという利点がある。したがって、ガルバニック分離装置自体は、それが導電性ハウジングにより取り囲まれている場合に、妨害輻射を放出しない。
【0012】
第1のアンテナと第2のアンテナとの間の中間空間は、絶縁区間若しくは伝送区間として機能する。中間空間は、少なくとも空間距離及び沿面距離の通常の基準を満たすように設計することができる。中間空間に、単に空気を満たしてもよいが、例えばプラスチック、特に回路基板材料などの特定の材料を入れることもできる。
【0013】
供給接続部に、特に好ましくは2相スイッチ及び/又は好ましくは2相ヒューズが追加的に設けられる場合が好ましい。
【0014】
分離装置は、2つの第1の無線ユニットと2つの第2の無線ユニットとを有することができ、第1の無線ユニットと第2の無線ユニットは対にして互いに向き合わせられ、対のうちの1つが第1の無線ユニットから第2の無線ユニットへ信号若しくはデータを伝送するように形成され、対のうちのもう1つが第2の無線ユニットから第1の無線ユニットへ信号若しくはデータを伝送するように形成されている。したがって、分離装置は、信号若しくはデータを2方向に伝送できる二重伝送を実現することができる。この場合、信号若しくはデータを両方向に同時に伝送することができる。
【0015】
少なくとも1つの第1の無線ユニット及び少なくとも1つの第2の無線ユニットをそれぞれ送受信ユニットとして設計することができる。それにより、信号若しくはデータの伝送を、基本的に両方向に行うことができる。第1の無線ユニットと第2の無線ユニットからなる単一の対のみが存在する場合、半二重接続を実現することができる。
【0016】
第1のアンテナと第2のアンテナとの間に存在する無線区間(Funkstrecke)は、0.5~60cm、特に好ましくは1~40cmの広がりを有することができる。少なくとも0.5cmの距離にわたる無線区間の広がりは、肉眼で非常に容易に認識できる。これは、分離装置の試験を大幅に簡素化する。ここに最大60cmと記載される広がりは、必要な無線電力を大幅に制限することができる。それに伴い、特にアンテナが強い指向性を示す場合効果的なガルバニック分離と無線電力の最小化の両方を達成できる。
【0017】
支持体は、少なくとも1つの第1の無線ユニットと少なくとも1つの第2の無線ユニットが予め定められた間隔をおいて組み付けられた単一の回路基板として設計することができる。所望の無線接続を確立するために、第1の無線ユニット及び第2の無線ユニット、あるいはそれらのアンテナを回路基板上の意図した位置に取り付けるだけでよいので、これは機械的に特に簡単である。これに加えて、支持体の形状は、医療機器に非常に容易に適合させることができ、特に適用装置に組み込むことができる。
【0018】
回路基板は、第1の無線ユニットと第2の無線ユニットとの間に空所を有することができる。この空所は、ガルバニック分離のさらに改善された光学検査を達成するために用いることができる。特に、空所は、第1の無線ユニットと第2の無線ユニットとの間の分離を肉眼で認識可能である矩形の切抜き部を有することができる。この場合、アンテナは好ましくは、空所の互いに向かい側に位置するエッジの縁側に配置され、したがって空所上にその無線区間を形成する。
【0019】
支持体は、予め定められた間隔をおいて配置され、互いに機械的に接続された第1の回路基板と第2の回路基板とを有することができ、少なくとも1つの第1の無線ユニットが第1の基板上に配置され、少なくとも1つの第2の無線ユニットが第2の回路基板上に配置されている。特に比較的大きい、若しくは長い医療機器の場合、単一の回路基板の代わりに、機械的に予め定められた間隔をおいて配置及び固定され互いに離された2つの回路基板を使用することが有意義であり得る。例えば、一方の回路基板を適用装置の遠位端に配置し、他方の回路基板を近位端の方向にずらすことが考えられ得る。この場合、適用装置はハウジングを備えることができ、ハウジングは、2つの回路基板を取り囲むとともに、回路基板の取り付けを可能にする取付け点を内部に有している。
【0020】
第1のアンテナ及び第2のアンテナは支持体上に印刷することができる。印刷は、エッチング又はその他の製造プロセスによって、導電性粒子を塗布及び固定することによって達成できる。これにより、安価で空間的にコンパクトな分離装置を特に簡単に製造できる。これは特に、断面が小さい適用装置での実現を可能にする。
【0021】
さらに、第1のアンテナ及び第2のアンテナはそれぞれ、指向性無線接続を確立するためのホーン構造を有することができる。ホーン構造は、アンテナの強い指向性をサポートする。この場合、データレートを高めることができる。データレートをさらに高めるために、垂直偏波と水平偏波を有する2つの異なるホーン構造が使用されるマルチリンク適用を実現することが考えられる。ホーン構造に加えて、アンテナが組み込まれたホーンアンテナを使用することもできます。
【0022】
分離装置は、電力を供給接続部から適用接続部へ誘導的及び/又は容量的に伝送するように形成された、適用接続部と接続された第1の結合ユニットと、供給接続部と接続された第2の結合ユニットとを有することができる。結果として、2つの結合ユニットは、電力をワイヤレスで伝送することを可能にする。それによって、供給接続部と適用装置との間の直接接続を必要とすることなしに、遠位に配置された照明装置、センサ装置、又は他のあらゆる種類の電力消費体に電力を供給することができる。その場合、特に、互いに結合可能な2つのコイルを含む誘導伝送を実現することが考えられる。2つのコイルを一直線に並べることができ、それにより、供給接続部に印加された電圧が、適用装置と接続された対応するコイルに誘導される。
【0023】
分離装置が、ハウジングによって取り囲まれてもよい。ハウジングは、適用装置内に配置可能な別個のハウジングであってもよい。分離装置を、アンテナ間の無線区間が外側から見えるようにハウジングによって取り囲むことも考えられる。例えば、ハウジングを透明な非導電性プラスチックで満たすことが考えられる。ハウジングは、適用装置に割り当てられたハウジングであってもよく、その中には分離装置のみが配置され、必ずしもそれ自体の別個のハウジングを含まない。
【0024】
無線区間を完全に又は部分的に取り囲むハウジングは、電磁遮蔽を達成するために、導電率が0.0004S/mを超える金属導電性であってもよい。ハウジングはさらに、プラスチックハウジングであってもよい。好ましい肉厚は、0.5mmを超え、例えば約3mmまでであり得る。良好な洗浄性を達成するために、ハウジング表面にアルコール、アルデヒド、水及び界面活性剤に対する耐薬品性を与えることが特に好ましい。
【0025】
少なくとも1つの第1の無線ユニットと少なくとも1つの第2の無線ユニットとの間の距離dと信号の波長Lとの比v=d/Lが1.73~127の範囲である場合が有利である。これにより、優れた信号若しくはデータ伝送を実現することができる。
【0026】
少なくとも1つの第1の無線ユニットと少なくとも1つの第2の無線ユニットとの間の領域を、1~23F/mの誘電率と0~0.01S/mの導電率とを有する材料で少なくとも部分的に満たすことができる。これは、特に好ましくは空気、プラスチック、又は回路基板材料であり得る。
【0027】
さらに好ましくは、この領域を、無線区間に沿った400nm~750nm範囲の光の吸収係数I/Iが値0.7を超えない媒体で満たすことができる。
【0028】
分離装置は、好ましくは、室温及び常圧での送信電力の減衰が0.01~10dB/kmとなるように形成されている。
【0029】
以下、本発明を図面に示された実施例をもとにして詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、医療機器の模式的概略図である。
図2図2は、ガルバニック分離装置の模式図である。
図3図3は、ガルバニック分離装置の模式図である。
図4図4は、ガルバニック分離装置の模式図である。
図5図5は、ガルバニック分離装置の模式図である。
図6図6は、ガルバニック分離装置の模式図である。
図7図7は、適用装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、患者4を治療するための医療機器2を示す。医療機器2は、患者4と接触させることができる適用装置6を有する。適用装置6と接続可能なガルバニック分離装置8が非常に模式的に示されている。その際、分離装置8は、適用装置6と接続するための適用接続部10と、装置14と接続するための供給接続部12とを有する。この場合、分離装置8は、適用接続部10を供給接続部12からガルバニック分離するように形成されている。ここで、分離装置8は、装置14の一部として形成されている。しかしながら、分離装置8が適用装置6の一部であることも考えられる。
【0032】
分離装置8は、適用接続部10と接続された第1の無線ユニット16と、供給接続部12と接続された第2の無線ユニット18とを有する。第1の無線ユニット16は第1のアンテナ17を有し、第2の無線ユニット18は第2のアンテナ19を含む。分離装置8は、ここでは模式的に示されるにすぎず、それによりこの図では正確なアンテナ構造を認識できない。これは後続の図でより詳細に示される。
【0033】
第1のアンテナ17と第2のアンテナ19は、支持体20上で肉眼で認識可能に互いに離間して配置され、互いの方に向けられている。それによって、第1の無線ユニット16と第2の無線ユニット18は、適用接続部10と供給接続部12との間で信号若しくはデータを伝送するように形成されている。適用接続部10と供給接続部12との間に直接的な電気的接続はない。
【0034】
供給接続部12には、例示的に、電圧源24と接続されていて、対応する電圧若しくは電力を供給接続部12に供給するプリント回路基板22のアセンブリが設けられている。しかしながら、患者4は、ガルバニック分離装置8により、電圧源24と直接接触しない。
【0035】
第1の無線ユニット16と第2の無線ユニット18はそれぞれ、機械的固定具21によって互いに接続されている回路基板として形成されている。したがって、回路基板及び固定具21は、支持体20を形成する。
【0036】
図2は、ガルバニック分離装置8の実施例を幾分詳細に示している。ここでは、第1の無線ユニット16が配置された第1の回路基板26が示されている。第1のアンテナ17は、図面平面上で右に向けられ、そこで、第2のプリント回路基板28上に配置された第2の無線ユニット18の第2のアンテナ19を指し示す。別の第1の無線ユニット16aは、第1の回路基板26上に配置され、別の第1のアンテナ17aを有する。これには、別の第2の無線ユニット18aに割り当てられた第2のアンテナ19aが向けられる。この配置により、2つの単方向の第1の無線ユニット16及び16aと2つの単方向の第2の無線ユニット18及び18aを使用する場合でも、供給接続部12と適用接続部10との間で双方向の無線接続を実現することができる。
【0037】
これに加えて、第1の結合ユニット32と第2の結合ユニット34とを有する結合装置30が設けられている。どちらも、互いに一直線に並べて配置され、かつ電力を供給接続部12から適用接続部10へワイヤレスで伝送するように形成されたコイルとして形成されている。
【0038】
2つの回路基板26及び28の間には、肉眼で認識でき、かつ少なくとも0.5cmの広がりを有する絶縁区間36若しくは無線区間36が設けられている。無線ユニット16、16a、18及び18aならびに結合ユニット32及び34は、この絶縁区間36を介して信号若しくはデータ及び電力をワイヤレスで伝送し、それによりガルバニック分離が行われる。機械的固定具21は非導電性に形成されている。これらは、例えば、回路基板材料、プラスチック、又は他の非導電性材料から作製することができ、コンポーネントを互いに有利に固定することを可能にするにすぎない。
【0039】
図3は、単一の第1の無線ユニット16と単一の第2の無線ユニット18のみが設けられたガルバニック分離装置38の異形を示す。これらは、例えば双方向に動作し、したがって、より単純な構成で双方向通信を可能にする。電圧源24及び供給接続部12と接続されたスイッチ40は、例示的に設けられているにすぎない。
【0040】
図4は、第1の無線ユニット16及び第2の無線ユニット18が双方向に通信することができ、かつ単一の回路基板44上に配置されたガルバニック分離装置42を模式的に示す。この装置は、視覚的に知覚できる絶縁区間36上に切抜き部46を有する。
【0041】
図5は、図4の分離装置42をベースにしたガルバニック分離装置48を示す。ここでは、それぞれ1つのホーン構造50が設けられ、それぞれ第1の無線ユニット16若しくは第2の無線ユニット18に配置されている。両方のホーン構造50は、それぞれの無線ユニット16若しくは18から発せられる電波を方向調整するために用いられる。これによって、特に、同時に無線電力を低減して、より高いデータレートを実現することができる。
【0042】
これに代えて、図6によるガルバニック分離装置52は、中間空間36の縁側に配置されて互いに方向調整されている印刷されたアンテナ54若しくは56を有することもできる。
【0043】
図7は、内視鏡の形態の適用装置58を示す。ここでは、遠位の電子装置60、例えば光学系61が配置された撮像装置が遠位端に配置され、ガルバニック分離装置62を介して、近位に配置された供給接続部12と結合されている。近位の電子装置63は、ケーブル64を介して電圧接続部又は処理ユニットと直接接続することができる供給接続部12に直接設けられている。適用装置58の長さは、約60cmまで大きくすることができる。この実施例では、絶縁区間36は、この長さのほとんどの部分にわたって延びることができ、したがって約60cmまでになり得る。適用装置58は、少なくとも部分的に金属材料から作られたハウジング66を備えることができる。遠位の電子ユニット60に電力を供給するための配線68は、近位の電子装置63又は外部の処理ユニットに組み込まれた結合装置30と接続することができる。
【符号の説明】
【0044】
2 医療機器
4 患者
6 適用装置
8 分離装置
10 適用接続部
12 供給接続部
14 装置
16、16a 第1の無線ユニット
17、17a 第1のアンテナ
18、18a 第2の無線ユニット
19、19a 第2のアンテナ
20 支持体
21 機械的固定具
22 回路基板
24 電圧源
26 第1の回路基板
28 第2の回路基板
30 結合装置
32 第1の結合ユニット
34 第2の結合ユニット
36 絶縁区間
38 ガルバニック分離装置
40 スイッチ
42 ガルバニック分離装置
44 単一回路基板
46 切抜き部
48 ガルバニック分離装置
50 ホーン構造
52 ガルバニック分離装置
54 印刷された第1のアンテナ
56 印刷された第2のアンテナ
58 適用装置
60 電子装置
61 光学系
62 ガルバニック分離装置
63 近位の電子装置
64 ケーブル
66 ハウジング
68 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療される患者(4)と接触させることができる適用装置(6、58)と、
前記適用装置(6、58)と接続することができるガルバニック分離装置(8、38、42、48、52、62)と、
を有する医療機器(2)であって、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)が、前記適用装置(6、58)と接続するための少なくとも1つの適用接続部(10)と、装置(14)と接続するための少なくとも1つの供給接続部(12)と、を有し、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、前記供給接続部(12)から前記適用接続部(10)をガルバニック的に分離するように形成されている、医療機器(2)において、
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、前記適用接続部(10)と接続された、第1のアンテナ(17、17a)を含む少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)と、前記供給接続部(12)と接続された、第2のアンテナ(19、19a)を含む少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)と、を有し、
それぞれの前記第1のアンテナ(17、17a)及びそれぞれの前記第2のアンテナ(19、19a)は、支持体(20、44)上で肉眼で認識可能に互いに離間されて、かつ互いの方に向けられて固定され、
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)は、前記適用接続部(10)と前記供給接続部(12)との間で信号若しくはデータを伝送するように形成されていることを特徴とする、医療機器(2)。
【請求項2】
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、2つの第1の無線ユニット(16)と2つの第2の無線ユニット(18)とを有し、
前記第1の無線ユニット(16)及び第2の無線ユニット(18)は、対にして互いに向き合わせられ、
前記対のうちの1つが前記第1の無線ユニット(16)から前記第2の無線ユニット(18)へ信号若しくはデータを伝送するように形成され、前記対のうちのもう1つが前記第2の無線ユニット(18)から前記第1の無線ユニット(16)へ信号若しくはデータを伝送するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)はそれぞれ、送信及び受信ユニットとして形成されていることを特徴とする、請求項1記載の医療機器(2)。
【請求項4】
前記第1のアンテナ(17、17a)と前記第2のアンテナ(19、19a)との間にある無線区間(36)が0.5~60cm広がりを有することを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項5】
前記支持体(20、44)は、前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)が予め定められた間隔をおいて組み付けられた単一の回路基板(44)として形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項6】
前記回路基板(44)は、前記第1の無線ユニット(16)と前記第2の無線ユニット(18)との間に空所(46)を有することを特徴とする、請求項5に記載の医療機器(2)。
【請求項7】
前記支持体(20、44)は、予め定められた間隔をおいて配置された第1の回路基板(26)と第2の回路基板(28)とを有し、前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)が前記第1の回路基板(26)上に配置され、前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)が前記第2の回路基板(28)上に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の医療機器(2)。
【請求項8】
前記第1のアンテナ(17、17a)及び前記第2のアンテナ(19、19a)は、前記支持体(20、44)上に印刷されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項9】
前記第1のアンテナ(17、17a)及び前記第2のアンテナ(19、19a)はそれぞれ、指向性無線接続を確立するためのホーン構造(50)を有することを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項10】
前記分離装置(8、38、42、48、52、62)は、電力を前記供給接続部(12)から前記適用接続部(10)へ誘導的及び/又は容量的に伝送するように形成された、前記適用接続部(10)と接続された第1の結合ユニット(32)と前記供給接続部(12)と接続された第2の結合ユニット(34)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)の間の距離(d)と前記信号の波長(L)との比v=d/Lが1.73~127の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の無線ユニット(16)及び前記少なくとも1つの第2の無線ユニット(18)の間の領域に、1~23F/mの誘電率と0~0.01S/mの導電率とを有する材料が少なくとも部分的に充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器(2)。
【外国語明細書】