IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

<>
  • 特開-練りローラ制御 図1
  • 特開-練りローラ制御 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088308
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】練りローラ制御
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20230619BHJP
   B41F 31/13 20060101ALI20230619BHJP
   B41F 35/02 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B41F33/00 230
B41F31/13
B41F35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198430
(22)【出願日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】10 2021 132 914.0
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ディッシンガー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ハイラー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ポステルス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ルック
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250DC01
2C250EA10
2C250EA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】印刷機の練りローラを制御するための方法に関する。
【解決手段】印刷機の練りローラを制御するための方法では、練りローラの少なくとも1つの反転点(U1)の位相位置が、印刷運転の進行中に自動化されて変更される。この場合、位相位置の変更は、版胴の回転の規定の回数ごとに行われる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機(3)の練りローラ(5)を制御するための方法において、
前記練りローラ(5)の少なくとも1つの反転点(U1)の位相位置を印刷運転の進行中に自動化して変更し、前記位相位置の変更を版胴(4)の回転の規定の回数ごとに行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記回数は多くとも8回であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記練りローラ(5)の前記位相位置の変更を、同一の印刷ユニット(1)内に位置する別の練りローラ(6)の位相位置の変更と異なる運動法則に従って制御することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記練りローラ(5)の前記位相位置と、別の印刷ユニット(2)内に位置する別の練りローラ(7)の位相位置との間に位相ずれが存在していることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記位相位置の変更を連続的に行うことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の練りローラを制御するための方法に関する。
【0002】
相応の制御によって、練りローラの軸方向運動の反転点の位相位置を変更することができる。位相位置とは、版胴のどの回転角度において練りローラがその反転点に位置しているのかを意味している。
【0003】
独国特許発明第3614555号明細書には、開始時点とも呼ばれる位相位置が機械の調整時に調整される制御法が記載されている。
【0004】
多くの場合には、これによって、ゴースト縞を回避することができる。しかしながら、ゴースト発生の傾向を特に強く示すインキおよび印刷版の使用時にはそうはいかない。
【0005】
本発明の課題は、このようなインキおよび印刷版でも有効な方法を提供することである。
【0006】
この課題は、印刷機の練りローラを制御するための方法において、練りローラの少なくとも1つの反転点の位相位置を印刷運転の進行中に自動化して変更し、位相位置の変更を版胴の回転の規定の回数ごとに行うことを特徴とする、装置によって解決される。
【0007】
本発明による方法の利点は、これによって、不利な材料(インキ、印刷版)の使用時でも、より高い印刷品質が得られるということである。
【0008】
一改良形態では、回数は、多くとも版胴の8回転である。
【0009】
さらに、印刷運転中の位相位置の変更は連続的に行われてよい。
【0010】
練りローラの位相位置の変更は、この練りローラと同一の印刷ユニット内に位置する別の練りローラの位相位置の変更と異なる運動法則に従って制御されてよい。
【0011】
この場合、練りローラのうち、インキ着けの割合が高い方の練りローラは、ゴースト発生の回避に関して最適化された運動法則によって制御されてよく、かつ/または練りローラのうち、インキ着けの割合が低い方の練りローラは、インキ退色の低減(英語:gradual fading)に関して最適化された運動法則によって制御されてよい。
【0012】
練りローラの位相位置と、別の印刷ユニット内に位置する別の練りローラの位相位置との間には、位相ずれが存在していてよい。この場合、印刷機の両方の印刷ユニットは同じ構造であり、両方の練りローラは、各々の印刷ユニットにおいて同じ組込み位置を有していることが想定される。印刷ユニット同士の間の位相ずれの利点は、例えば、練りローラの静止時間に基づき結果的に生じるエラー画像が払拭されることである。
【0013】
練りローラは、印刷運転中に版胴上にて転動する着けローラに接触していてよい。この着けローラの軸方向の往復運動は、着けローラが版胴のクランプ通路を乗り越える最中に着けローラの方向転換が行われるように、練りローラによる周面摩擦を介して発生させられてよい。好ましくは、着けローラは、インキ装置の全ての着けローラのうち、最大のインキ着けを伴う着けローラである。
【0014】
インキ装置の、版胴の回転方向で見て最後の着けローラに接触する練りローラは、所定の運動法則に従って、より小さな回転数比によって、例えば、版胴のそれぞれ4回転ごとの練りローラの軸方向横振りによって制御されてよい。
【0015】
インキ装置の、版胴の回転方向で見て最初の着けローラに接触する練りローラは、所定の運動法則に従って、より大きな回転数比によって、例えば、版胴のそれぞれ2回転ごとの練りローラの軸方向横振りによって制御されてよい。
【0016】
前述した各々の改良形態は、別のあらゆる改良形態と組合せ可能である。
【0017】
本発明を一実施例に基づき図面と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】印刷機概要を示す図である。
図2】練りローラの運動線図である。
【0019】
印刷機3には、印刷ユニット1と印刷ユニット2とが含まれている。これらの印刷ユニット1,2はオフセット印刷ユニットである。印刷機3は枚葉印刷機である。
【0020】
印刷ユニット1は、版胴4と、練りローラ5,6を備えた割り当てられたインキ装置とを備えている。練りローラ5の回転RはモータM1によって発生させられ、練りローラ5の軸方向運動AはモータM2によって発生させられる。
【0021】
重要なのは、練りローラ5の両方の運動A,Rが、互いに異なるモータM1,M2によって発生させられるということである。これによって、練りローラ5を機械と同期させずに軸方向に動かすことができる一方で回転に関して機械と同期させて動かすことができることが実現される。
【0022】
モータM1は、版胴4および/または練りローラ6の回転も発生させてよい。
【0023】
印刷ユニット2は印刷ユニット1と同じ構造であり、印刷ユニット2の練りローラ7は、インキ装置ローラ列において練りローラ5と同じ位置にある。
【0024】
モータM2は制御装置8によって、図2に示した運動法則に従って制御される。
【0025】
図2には、横座標が機械角度を表し、縦座標が練りローラ変位を表す線図が示してある。版胴4のそれぞれ360°の12回転に相当する0°~4320°の角度範囲が図示してある。
【0026】
練りローラ5は、一方の反転点U1と、逆側の反転点U2との間で軸方向に往復するように横振りする。
【0027】
曲線K1は、本発明による制御に相当しており、曲線K2は、従来の制御に相当していて、比較のためにのみ記入してある。両方の曲線K1,K2は、練りローラが版胴の2回転(720°)の範囲内で1回の完全な軸方向横振りを実施する1/2回転数比の横振り推移を示している。曲線K2は正弦曲線であり、曲線K1は正弦曲線ではなく、正弦関数の変調から結果的に生じる。
【0028】
0°、1080°、2160°、3240°および4320°、つまり、1080°全ての機械角度では、曲線K1,K2が、ゼロ交差にて互いに同期している。
【0029】
0°と1080°との間ならびに2160°と3240°との間では、曲線K2が、曲線K1に対して進角を伴っている。これは、例えば、従来の形式で制御される練りローラがゼロ交差を伴う360°および720°では、本発明により制御される練りローラ5がまだゼロ交差を伴わず、やや遅れて初めてゼロ交差を伴うことを意味している。進角は、曲線K2に従って制御される練りローラが、1620°において反転点U1に位置しており、曲線K1に従って制御される練りローラ5が、すでに機械角度βにおいて反転点U1に位置していることでも明らかである。機械角度βは1620°よりも小さく、1440°~1620°である。
【0030】
1080°と2160°との間ならびに3240°と4320°との間では、曲線K2が、曲線K1に対して遅角を伴っている。これは、例えば、従来の形式で制御される練りローラが、1440°および1800°でゼロ交差を伴っており、本発明により制御される練りローラ5が、このゼロ交差の直前ですでにゼロ交差していることを意味している。遅角は、曲線K2に従って制御される練りローラが、3060°において反転点U1に位置しており、曲線K1に従って制御される練りローラ5が、機械角度αで初めて反転点U1に位置していることでも明らかである。機械角度αは3060°よりも大きく、3060°~3240°である。
【0031】
+PV1、-PV2および+PV3によって、それぞれ曲線K1,K2同士の間の位相ずれが示してある。認めることができるように、これらの位相ずれは、それぞれ異なる大きさと、それぞれ異なる符号とを有している。
【0032】
曲線K1,K2同士の間には、同期性を有する前述した点を除いて、推移全体にわたって、連続的に変化する大きさを有する位相ずれが存在している。
【0033】
版胴4の1回転あたりの最大の位相ずれは、好ましくは5°よりも大きい。
【0034】
曲線K1は、数学的な方程式または数値テーブルの形態で制御装置8に格納されていてよい。
【0035】
練りローラ7は、曲線K1により表された運動法則に従って制御されてよいものの、練りローラ5に対して相対的に規定の機械角度オフセットを伴って制御されてよい。
【0036】
練りローラ6は、曲線K1と異なる運動法則に従って制御されてよい。この場合、この運動法則も、曲線K2の単純な正弦形状から逸脱して変調された正弦関数である。
【0037】
本発明による制御によって、有利には、ゴースト縞の回避に関して特に効果的である、いわゆる浮動練り(schwebend. Verreibung)が達成される。この浮動練り時には、練りローラ5の軸方向横振りの周期期間が時間的に可変であってよく、つまり、時間的に一定の従来の周期期間から逸脱していてよい。
【符号の説明】
【0038】
1 印刷ユニット
2 印刷ユニット
3 印刷機
4 版胴
5 練りローラ
6 練りローラ
7 練りローラ
8 制御装置
A 軸方向運動
K1 曲線
K2 曲線
M1 モータ
M2 モータ
PV1 位相ずれ
PV2 位相ずれ
PV3 位相ずれ
R 回転
U1 反転点
U2 反転点
α 機械角度
β 機械角度
図1
図2
【外国語明細書】