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特開2023-88309対象物の画像のzスタックの境界を判定するための方法、対応する光学機器およびそのためのコンピュータプログラム
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  • 特開-対象物の画像のzスタックの境界を判定するための方法、対応する光学機器およびそのためのコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088309
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】対象物の画像のzスタックの境界を判定するための方法、対応する光学機器およびそのためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20230619BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20230619BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20230619BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20230619BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20230619BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/26
G02B21/36
G02B7/28 J
G02B7/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198431
(22)【出願日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】21214515
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ミゲル セラ ジェティ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヘスラー
【テーマコード(参考)】
2H052
2H151
【Fターム(参考)】
2H052AB01
2H052AC05
2H052AC18
2H052AD03
2H052AD09
2H052AD16
2H052AF14
2H052AF21
2H052AF25
2H151AA12
2H151BA47
2H151BA66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、対象物の画像のzスタックの境界を自動的に判定する方法に関する。
【解決手段】画像のzスタックは、光学機器により異なる焦点位置において対象物を撮像することにより取得され、光学機器は、機器光学系を介して、異なる焦点位置において対象物を撮像するための機器光学系および焦点調節ユニットを備える。前記方法は、対象物の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像のセットを生成するステップと、不鮮明度‐W距離関数を、画像のセットの各画像に適用し、不鮮明度‐W距離関数により、各画像についての距離値を計算し、それぞれ異なる距離値を対応する画像の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付けるステップと、焦点位置を変数として有する不鮮明度‐W距離関数が1次極値と1次極値に隣接する2つの2次極値とを示す場合、zスタック境界を、2つの2次極値に割り当てられた焦点位置に応じて判定するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(130)の画像のzスタックの境界(110,120)を自動的に判定する方法であって、
前記画像のzスタックは、光学機器により異なる焦点位置において前記対象物を撮像することにより取得され、前記光学機器は、機器光学系を介して、異なる焦点位置において前記対象物を撮像するための機器光学系および焦点調節ユニットを備え、
前記方法は、
前記対象物(130)の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像(231)のセット(230)を生成するステップ(S1)と、
不鮮明度‐W距離関数(210)を前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用するステップ(S3)であって、前記不鮮明度‐W距離関数(210)は、前記焦点位置を変数として有し、焦点位置において最大または最小の鮮明度についての大域的極値を示し、加えて前記大域的極値に隣接する2次極値を示す、不鮮明度または鮮明度距離関数であり、前記不鮮明度‐W距離関数(210)により前記各画像(231)についての距離値が計算され、それぞれ異なる距離値が対応する画像(231)の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付けられるステップと、
前記焦点位置を変数として有する前記不鮮明度‐W距離関数(210)が1次極値(214)と前記1次極値(214)に隣接する2つの2次極値(212,216)とを示す場合、前記zスタック境界(110,120)を、前記2つの2次極値(212,216)に割り当てられた焦点位置に応じて判定するステップ(S4)と、
を含む方法。
【請求項2】
対象物(130)の画像のzスタックの境界(110,120)を自動的に判定する方法であって、
前記画像のzスタックは、光学機器により異なる焦点位置において前記対象物を撮像することにより取得され、前記光学機器は、機器光学系を介して、異なる焦点位置において前記対象物を撮像するための機器光学系および焦点調節ユニットを備え、
前記方法は、
前記対象物(130)の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像(231)のセット(230)を生成するステップ(S1)と、
不鮮明度距離関数(220)を前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用するステップ(S2)であって、前記不鮮明度距離関数(220)により前記各画像についての距離値が計算され、それぞれ異なる距離値が対応する画像(231)の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付けられ、前記不鮮明度距離関数は、焦点位置における最大または最小の鮮明度または不鮮明度についての1次極値を示すステップと、
前記焦点位置を変数として有する前記不鮮明度距離関数(220)が絶対極値(224)を示す場合、前記絶対極値の焦点位置から開始して、その両側で等しく積分されて前記焦点位置のすべてにわたる総積分の所定の部分に達するまで、前記不鮮明度距離関数の積分を適用するステップ(S31)と、
前記zスタック境界を、前記総積分の所定の部分の2つの限界に割り当てられた焦点位置に応じて判定するステップ(S4)と、
を含む方法。
【請求項3】
前記不鮮明度‐W距離関数(210)を前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用するステップ(S3)の前に、不鮮明度距離関数(220)が前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用され(S2)、前記不鮮明度距離関数(220)により前記各画像についての距離値が計算され、それぞれ異なる距離値が前記対応する画像(231)の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付けられ、
前記焦点位置を変数として有する前記不鮮明度距離関数(220)が絶対極値(224)を示しかつ前記絶対極値の対応する焦点位置に関して対称である場合には、前記不鮮明度‐W距離関数(210)は、前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用されて(S3)、前記zスタック境界が判定される(S4)、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記不鮮明度‐W距離関数(210)が1次極値(214)と前記1次極値(214)に隣接する2つの2次極値(212,216)とを示す場合、前記方法は、前記不鮮明度‐W距離関数(210)の前記1次極値(214)が前記不鮮明度距離関数(220)の前記絶対極値(224)に対応するか否かを検証するさらなるステップを含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記不鮮明度距離関数の総積分の所定の部分を、60~80%の範囲もしくは60~70%の範囲または63%もしくは66%であるように選択する、
請求項2または3を引用する場合の請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記焦点位置を変数として有する前記不鮮明度距離関数(220)が絶対極値(224)を示しかつ前記絶対極値(224)の対応する焦点位置に関して対称でない場合、前記不鮮明度距離関数(220)の積分が適用されて(S31)、前記zスタック境界が判定される(S4)、
請求項2または3を引用する場合の請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記不鮮明度‐W距離関数(210)は、勾配法に基づく距離関数またはウェーブレット分解法に基づく距離関数の群から選択される、
請求項1を引用する場合の請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記不鮮明度距離関数(220)は、自己相関法に基づく距離関数の群から選択される、
請求項2または3を引用する場合の請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記対象物の撮像にとって最適な焦点は、請求項2または3を引用する場合に前記不鮮明度距離関数(220)がその絶対極値(224)を有する焦点位置として規定される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記zスタック境界(110,120)を判定するために、前記対象物の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像(231)のセット(230)を生成するステップ(S1)は、焦点位置の第1の範囲にわたって第1の焦点ステップサイズを使用して画像の第1のセットを生成することと、焦点位置の第2の範囲にわたって第2の焦点ステップサイズを使用して画像の第2のセットを生成することと、を含む、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記第2の焦点ステップサイズは、前記第1の焦点ステップサイズより小さい、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記焦点位置の第2の範囲は、前記焦点位置の第1の範囲より小さい、
請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記zスタックの境界を、前記画像の第1のセットおよび前記画像の第2のセットの各画像のセットについて判定する、
請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記対象物の画像(231)のセット(230)を生成するステップ(S1)の後、まず、前記不鮮明度距離関数(220)が前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用され(S2)、前記不鮮明度距離関数(220)が絶対極値(224)を有しかつ前記絶対極値(224)の対応する焦点位置に関して対称である場合、前記不鮮明度‐W距離関数(210)が前記画像のセット(230)の各画像(231)に適用され(S3)、
前記不鮮明度距離関数(220)が絶対極値(224)を有するものの対称でない場合、前記不鮮明度距離関数(220)の積分が適用されて(S31)、前記zスタック境界が判定され、
前記不鮮明度‐W距離関数(210)が適用されて(S3)前記不鮮明度‐W距離関数(210)が1次極値(214)に隣接する2つの2次極値(212,216)を有する場合、前記zスタック境界が前記2つの2次極値(212,216)に割り当てられた焦点位置に応じて判定され(S4)、
前記不鮮明度‐W距離関数(210)がこのような2つの2次極値を欠く場合、前記不鮮明度距離関数(220)にわたって積分が適用されて(S31)、前記zスタック境界が判定される(S4)、
請求項1および2または請求項3を引用する場合の請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
対象物(130)を撮像するための光学機器(800)であって、前記光学機器(800)は、
前記対象物(130)を撮像するための機器光学系(810,820)と、
前記対象物(130)が撮像される焦点位置を調節するための焦点調節ユニット(830)と、
前記対象物(130)の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像のセットを生成するように、前記機器光学系(820)および前記焦点調節ユニット(830)に動作可能に接続されており、かつ、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されたプロセッサ(840)と、
を備える光学機器(800)。
【請求項16】
前記光学機器(800)は、顕微鏡であり、
前記機器光学系(810,820)は、前記対象物の拡大画像を生成するように構成された顕微鏡対物レンズ(810)を含む、
請求項15記載の光学機器(800)。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、
プロセッサ上、特に請求項15または16記載の光学機器(800)のプロセッサ(840)上で実行される際に、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実行するためのプログラムコードを含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の画像のzスタックの境界を自動的に判定する方法であって、画像のzスタックは、光学機器により異なる焦点位置において対象物を撮像することにより取得される、方法に関する。本発明は、さらに、対応する光学機器および前記方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。とりわけ、本発明は、対象物の画像のzスタックが特にzスタック画像の画像処理により対象物の3次元イメージングのために取得される顕微鏡検査法の分野にある。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡撮像では、zスタックは、サンプル/対象物の同じx‐y位置にあるが、異なる焦点深度/z位置で連続的にキャプチャされた複数の画像のセットである。本出願において、焦点方向またはz軸の方向は、サンプルまたは対象物のx‐y面または「サンプル面」に対して垂直である。zスタック内でキャプチャされた画像は、典型的には、zスタックの境界内のサンプル/対象物の3次元表現を生成するために画像処理される。
【0003】
顕微鏡のユーザは、典型的には、zスタックの限界または境界の画定にいたるまで、サンプルの観察に相当な量の時間を費やす。最初に、例えば最適な焦点の焦点位置、例えばサンプルの中心における中心面のz位置を手動でまたは自動的に判定し、ついで、zスタックの範囲およびzスタック内の多数の画像/スライスを画定することにより、中心面から対称的に開始して、zスタックの境界を拡大する場合がある。しかしながら、このような方法は、特にzスタックの境界に関してかつ/または特に手動で行われる場合、非常に時間がかかるサンプル自体に対しては適応化されないことが多い。さらに、このような方法は、自動取得プロセス、例えば大規模なスクリーニングにとって問題となることがある。取得の限界を手動で判定する場合、ユーザは、事前にサンプルを観察して対象物深度のおおよその程度を学習する必要がある。サンプルが焦点面の大きな変動を有する異なる領域を有する場合、対応するzスタックの限界を設定することは、時間のかかる労力を要する。一方、このような場合に固定されたzスタック限界を設定すると、サンプル領域に応じて空の画像またはサンプルの境界を含まないzスタックがもたらされ、画像情報の欠落につながるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に、顕微鏡検査法において、対象物/サンプルの画像のzスタックの境界(boundary)/境界(border)/限界を自動的に判定するための改善された方法を提供することである。この画像のzスタックは、光学機器、例えば顕微鏡により、異なる焦点位置において対象物を撮像することにより取得される。本発明の別の目的は、改善された対応する光学機器および前記方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項に係る方法、光学機器およびコンピュータプログラムにより解決される。本発明の実施形態は、各従属請求項および本明細書における説明の主題である。
【0006】
サンプル/対象物のx‐y位置におけるzスタックの適切な境界を自動的に判定するために、対象物の画像のセットが生成され、各画像が異なる焦点位置でキャプチャされる。この目的で、光学機器は、機器光学系を介して、異なる焦点位置において対象物を撮像するための機器光学系および焦点調節ユニットを備える。すなわち、対象物のzスタックまたは画像のセットが、判定されたzスタック境界内の異なる焦点位置において、対象物を撮像することにより取得される画像の別のzスタックの境界を自動的に判定するために取得される。zスタック境界を判定するために取得された画像は、後の時点でzスタック自体の画像として使用することもできるしまたは使用しなくてもよい。
【0007】
zスタック取得の方式は、多くの場合、顕微鏡検査法においてオートフォーカシングに使用される。サンプルの所定のx‐y位置において、顕微鏡ステージまたは顕微鏡の対物レンズが焦点方向に異なるz位置に走査されている間、画像が取得される。得られたzスタックについて、各画像に適用される特定の距離関数を、変数としての焦点位置と共に使用することができる。このような距離関数により、zスタックの画像の画像コントラスト、エントロピー、空間周波数コンテンツ等についての情報を抽出することが可能となる。種々の距離関数が、特に、異なる顕微鏡撮像モードおよびノイズ耐性の観点から評価されてきた(例えば“Analysis of focus measure operators for shape-from-focus”, Said Pertuz et al., in Pattern Recognition 46 (2013) 1415-1432を参照のこと)。
【0008】
本発明者らは、オートフォーカシングに使用される幾つかの距離関数をzスタックの境界の自動的な判定に使用できることを見出した。本発明者らは、オートフォーカシングに使用される距離関数の中から、2種類の距離関数、すなわち「不鮮明度距離関数」および「不鮮明度‐W距離関数」を特定することができることを見出した。
【0009】
いわゆる「不鮮明度距離関数」を使用することにより、その大域的最小値から、zスタック内の最小の不鮮明度、すなわち最大の鮮明度の焦点位置、このため典型的には撮像される対象物の焦点面の位置が得られる。最良の結果が、画定された境界の球形または楕円形対象物、例えば細胞または細胞クラスタとして定義することができる基準対象物について達成される。「鮮明度距離関数」は、反対符号の「不鮮明度距離関数」に対応するため、「不鮮明度距離関数」なる用語に包含されるべきである。対象物の焦点が合っているとき、キャプチャされた画像は、大きな画像コントラスト、大きな範囲の強度値および鮮明なエッジを示すはずである。したがって、適切な不鮮明度(または鮮明度)距離関数は焦点に対して特に感度が高く、焦点の隣の両側で単調に低下し、最適には、ピークに関して対称であり、局所的極値を示さない。不鮮明度距離関数として使用することができる距離関数の群を以下に与える。
【0010】
「不鮮明度‐W距離関数」は、不鮮明度または鮮明度距離関数のサブファミリと見なすことができ、このサブファミリは、大域的極値、例えば焦点位置における最大鮮明度についての大域的最大値を示し、さらに、局所的極値、例えば大域的最大値に隣接する2つの局所的最小値を示す(この例の距離関数は「W」の形式を有する。これが、不鮮明度‐W距離関数の名称が選択される理由である。一方、反対符号のこのような距離関数が考慮される場合、得られた「M」形式のために、「不鮮明度-M距離関数」と称することができる。このため、不鮮明度-M距離関数は、「不鮮明度‐W距離関数」なる用語に包含されるべきである)。再度、最良の結果が、画定された境界の球形または楕円形対象物、例えば、細胞または細胞クラスタとして定義することができる基準対象物について達成される。このような「不鮮明度‐W距離関数」を使用して、本発明者らは、2つの局所的極値/最小値に割り当てられた焦点位置が、対応する画像をそのバックグラウンドから依然として区別することができる程度に十分に鮮明である対象物の境界を表しまたは示すことを見出した。すなわち、対応する焦点位置をzスタックの適切な境界の判定に使用することができる。Zスタック境界を、2つの局所的極値に割り当てられた焦点位置に応じてまたは大部分が焦点位置にあると判定することができる。本明細書において、「1次極値」は、大域的最大値または大域的最小値のための別の用語であり、一方、「2次極値」なる用語は、局所的最大値または局所的最小値を指定する。
【0011】
まとめると、本発明の実施形態によれば、上記定義された不鮮明度‐W距離関数を、光学機器により異なる焦点位置において取得された画像のセットの各画像に適用し、不鮮明度‐W距離関数により、各画像についての距離値を計算し、それぞれ異なる距離値を対応する画像の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付け、焦点位置を変数として有する不鮮明度‐W距離関数が1次極値と当該1次極値に隣接する2つの2次極値とを示す場合、zスタック境界を、2つの2次極値に割り当てられた焦点位置に応じて判定する。1次極値が最大値である場合、2つの2次極値は典型的には最小値であり、逆もまた同様である。
【0012】
本発明により、ユーザがサンプル/対象物を事前に観察し、サンプル/対象物の範囲について推測しまたはサンプルの中心から対称的に始まるzスタックを画定することを必要とせずに、zスタック境界を純粋に自動的に判定することが可能となる。本発明に係る方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを使用することにより、ユーザは、単に、サンプルの所定の位置でzスタック撮像を選択することができ、本発明に係る方法により、さらなるユーザ入力なしに、zスタックの限界または境界が自動的に判定されるであろう。このため、光学機器、特に顕微鏡を操作するユーザの使い勝手が非常に向上する。zスタック撮像を行うとき、ユーザは、zステップ間隔および/または所定のzスタック内の画像/スライスの数を規定するのみでよい。一方、特定のサンプルおよび/または撮像モードの経験に基づいて、デフォルトで、このようなステップ間隔または画像/スライスの数を設定することも好都合でありうる。
【0013】
実際には、本発明の方法に係る画像のセットへの適用に適した1つの不鮮明度‐W距離関数のみが存在するわけではないことに留意されたい。このため、2つ以上の不鮮明度‐W距離関数を、上記定義された不鮮明度距離関数の群から選択することができる。ついで、2つ以上のこのような不鮮明度‐W距離関数を画像のセットに適用し、少なくとも幾つかの、例えば少なくとも2つの不鮮明度‐W距離関数が一致する2次極値を有する焦点位置を選択することが好都合でありうる。
【0014】
さらに、画像のセットが取得される範囲を、焦点面の周りの領域に限定することが好都合でありうる。焦点面を、上記説明された不鮮明度距離関数を焦点方向においてより大きなステップサイズで取得することができる画像のセットに適用することにより見出すことができる。適用される不鮮明度距離関数は、焦点面における絶対極値を有する必要があり、最適には、この絶対極値に隣接するさらなる極値を有してはならない。このような不鮮明度距離関数を適用することにより、焦点面を容易に特定することができる。代替的には、ユーザは、焦点面を視覚的に特定することができる。本発明によれば、対象物の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像のセットを生成するステップは、焦点面を含む焦点位置の範囲をカバーすべきである。不鮮明度‐W距離関数の1次極値は、典型的には、不鮮明度距離関数の絶対極値と同じ焦点位置にあることに留意されたい。
【0015】
例えば、選択された不鮮明度‐W距離関数が2つの2次極値を示さないかまたは明確には示さない、対象物および/または撮像方法に応じた事例が生じうる。この場合、既に上記にて説明したように、適切な不鮮明度‐W距離関数のセットから別の不鮮明度‐W距離関数を選択することができる。
【0016】
代替的にはまたは冗長検査のために、上記にて定義された不鮮明度距離関数を画像のセットの各画像に適用し、不鮮明度距離関数により各画像についての距離値を計算し、それぞれ異なる距離値を対応する画像の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付け、焦点位置を変数として有する不鮮明度距離関数が絶対極値を示す場合、不鮮明度距離関数の積分を絶対極値の焦点位置から開始し、その両側で等しく積分されて焦点位置のすべてにわたる総積分の所定の部分に達するまで適用する。ついで、zスタック境界を、総積分の所定の部分の2つの限界に割り当てられた焦点位置に応じて判定する。
【0017】
実施形態において、この代替方法を、不鮮明度‐W距離関数を使用する最初に言及した方法の結果を確認する場合または期待に反して、不鮮明度‐W距離関数が(各実験設定において)2つの2次極値を示さないかもしくは十分に明確に示さない場合のいずれかに適用することができる。ただし、最初に不鮮明度‐W距離関数を適用することなく、不鮮明度距離関数に基づく積分法を使用することができることに留意されたい。
【0018】
この実施形態では、典型的には、サンプル/対象物の最適な焦点位置または焦点面における絶対極値を有する不鮮明度距離関数を、この絶対極値の焦点位置から開始し、その両側で等しく積分されて総積分の所定の割合に達するまで積分する。画像のセットのすべての焦点位置にわたる総積分を、事前に、並列にまたは事後に計算する。不鮮明度距離関数が、この絶対極値の焦点位置に関して対称であることは利点であるが、必須ではない。対称な場合、絶対極値の焦点位置に対する総積分の所定の部分の2つの限界の距離は、(本質的に)同じである。特に、この場合、zスタック境界を、総積分の所定の部分の2つの限界に割り当てられた焦点位置として判定することができる。一般的には、特に、非対称不鮮明度距離関数の場合、zスタック境界を、2つの積分限界に割り当てられた、発見された焦点位置に応じて判定する。以下に、例を、さらに詳細に説明するものとする。
【0019】
実施形態において、不鮮明度‐W距離関数が1次極値と当該1次極値に隣接する2つの2次極値とを示す場合、不鮮明度‐W距離関数の1次極値が、不鮮明度距離関数の絶対極値に対応するか否かを検証するために、不鮮明度距離関数を追加で適用することが依然として有意義である場合がある。当該検証は、両距離関数を焦点面または最適焦点値付近で取得された画像のセットに適用し、2次極値の焦点位置付近で取得された画像のセットには適用しないという目的に役立つ。
【0020】
不鮮明度‐W距離関数を適用する同様の実施形態では、不鮮明度‐W距離関数を画像のセットの各画像に適用するステップの前に、不鮮明度距離関数を、画像のセットの各画像に(追加で)適用することができ、上記にて定義された不鮮明度距離関数により、各画像についての距離値を計算し、それぞれ異なる距離値を対応する画像の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付け、焦点位置を変数として有する不鮮明度距離関数が絶対極値を示しかつ当該絶対極値の対応する焦点位置に関して対称であり、特に、絶対極値に隣接する2つの2次極値を示さずまたはより一般的には、2次極値を何ら示さない場合には、不鮮明度‐W距離関数を、zスタック境界を判定するために、画像のセットの各画像に適用する。最初に上記の手法で不鮮明度距離関数を適用し、ついで、zスタック境界を判定するために不鮮明度‐W距離関数を適用するこの実施形態は、有益であることが証明されており、zスタック境界を判定する際に良好な結果がもたらされる。この実施形態を、以下でより詳細に検討するものとする。
【0021】
不鮮明度距離関数を積分することによりzスタックの境界を判定する代替的または付加的な方法に関して、不鮮明度距離関数の総積分の所定の部分を、60~80%もしくは60~70%の範囲でまたは63%(1/eに対応)もしくは66%(2/3)になるように選択することができる。後者の2つの値が好ましいが、実験設定に応じて別の値に置き換えることができる。
【0022】
実際には、サンプルの種類および撮像モードに応じて、焦点位置を変数として有する不鮮明度距離関数は、絶対極値を示すものの当該絶対極値の対応する焦点位置に関して対称でないことがある。このような場合には、不鮮明度距離関数の積分をzスタック境界の判定に依然として適用することができる。一方、絶対極値を示す不鮮明度距離関数を見出すことができない場合、通常、zスタック境界を判定することができないことが示されている。
【0023】
実施形態において、不鮮明度‐W距離関数は、勾配法に基づく距離関数またはウェーブレット分解法に基づく距離関数の群から選択される。
【0024】
実施形態において、不鮮明度距離関数は、自己相関法に基づく距離関数の群から選択される。
【0025】
別の実施形態では、対象物を撮像するための最適焦点が、不鮮明度距離関数がその絶対極値を有する焦点として定義される。
【0026】
別の実施形態では、対象物の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像のセットを生成するステップは、焦点位置の第1の範囲にわたって第1の焦点ステップサイズを使用して画像の第1のスタックを生成することと、焦点位置の第2の範囲にわたって第2の焦点ステップサイズを使用して画像の第2のスタックを生成することとを含む。実施形態において、第2のステップサイズは、第1のステップサイズより小さい。実施形態において、焦点の第2の範囲は、焦点の第1の範囲より小さい。これは、焦点面の周りの領域に集中することにより、画像取得の速度を高めるのに役立ち、焦点面を、画像の第1のスタックを生成した後に迅速に見出すことができる。その後、焦点面の周りの領域が、より高い精度で走査される。
【0027】
別の実施形態では、対象物の境界を、画像の第1のスタックおよび第2のスタックの画像の各セットについて判定する。このため、当該プロセスを、以下のように、2またはそれ以上の粒度ステップで最適化することができる。
【0028】
実施形態の第1のステップにおいて、約30スライス/画像のスタックが、対物レンズの限界の間、すなわち、600μmの範囲内のより大きなステップサイズ、例えば20μmで取得される。本発明の実施形態によれば、zレンジファインダが適用され、第1のzスタック限界が得られる。zレンジファインダにより、例えば2つのzスタック境界としてスライス3および18が提供され、zスタックは300μm幅である。
【0029】
第2のステップにおいて、より薄いステップサイズが適用される(ここでは、例えば、300μmの範囲にわたって3.6μmであり、合計84個の画像が得られる)。zレンジファインダが2回目として適用され、また、zスタック境界が例えばスライス25および60として提供される。
【0030】
最終的に、出力は、対象物についてのzスタックの下側境界および上側境界の両方である。一般的には、スライス番号の代わりに、z方向における顕微鏡ステージ座標で位置を得ることもできることに留意されたい。また、これは、2つのスライス間の距離値の補間およびマイクロメートル単位での最適な等価z値を見出すことも含むことができる。
【0031】
実施形態においては、対象物の画像のセットを生成するステップ後、不鮮明度距離関数が画像のセットの各画像に適用され、不鮮明度距離関数が絶対極値を有しかつ当該絶対極値の対応する焦点位置に関して対称であり、特に2次極値を何ら示さない場合、不鮮明度‐W距離関数が画像のセットの各画像に適用され、一方、不鮮明度距離関数が絶対極値を有するものの対称でない場合、不鮮明度距離関数の積分がzスタック境界の判定に適用され、不鮮明度‐W距離関数が適用される場合、不鮮明度‐W距離関数が1次極値に隣接する2つの2次極値を有するか否かが検証される。その場合、zスタック境界が、2つの2次極値に割り当てられた焦点位置に応じて(またはそうであるとして)判定され、不鮮明度‐W距離関数がこのような2つの2次極値を有さない場合、不鮮明度距離関数にわたって積分を適用してzスタック境界が判定される。
【0032】
さらに、本発明は、対象物を撮像するための光学機器に関する。光学機器は、対象物を撮像するための機器光学系と、対象物が撮像される焦点位置を調節するための焦点調節ユニットと、対象物の異なる焦点位置においてキャプチャされた各画像のセットを生成するように、機器光学系および焦点調節ユニットに動作可能に接続されており、かつ上記の本発明に係る方法の実施形態のいずれか1つを実行するように構成された、プロセッサと、を備える。
【0033】
実施形態において、光学機器は顕微鏡であり、機器光学系は、顕微鏡光学系、特に対象物の拡大画像を生成するように構成された顕微鏡対物レンズを含む。
【0034】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムがプロセッサ上で、特に本発明に係る光学機器のプロセッサ上で実行された場合、本発明に係る上記の方法の実施形態を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムに関する。
【0035】
実施形態の上記の特徴は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の概念の範囲に依然として含まれる他の実施形態を達成するために、全体的にまたは部分的に組み合わせることができることに留意されたい。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆるすべての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0037】
幾つかの態様を方法の文脈で説明してきたが、これらの態様は、このような方法に従って動作するように構成されている装置またはデバイスの説明も表すことが明らかである。
【0038】
さらなる実施形態およびその利点は、以下の図に関連して、以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】顕微鏡による画像のzスタックの取得のためのサンプルを保持するサンプルキャリアの例を模式的に示す図である。
図2】画像のセット内のzスタック境界の判定に使用される不鮮明度‐W距離関数および不鮮明度距離関数を模式的に示す図である。
図3】ワークフローのフロー図(図3の左側)および距離関数の対応するグラフ(右側)を模式的に示す。
図4】本発明に係る方法の実施形態の別のワークフローのフロー図を模式的に示す。
図5】本発明に係る方法の別の実施形態のフロー図(左側)および対応する距離関数のグラフ(右側)を模式的に示す。
図6】本発明に係る方法の別の実施形態のフローチャート(左側)および対応する距離関数の対応するグラフ(右側)を模式的に示す。
図7】例示的な不鮮明度距離関数の積分によるzスタック境界の判定の例を模式的に示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る光学機器の例としての顕微鏡を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、図面は、包括的に説明され、同じ参照符号は、同じまたは少なくとも機能的に同じ要素を指定する。詳細な説明は、顕微鏡による対象物の撮像に関するが、他の光学機器を想定することができる。
【0041】
図1に、サンプルを保持するための傾斜サンプルキャリア140が模式的に示されている。また、傾斜焦点面/レベル150(「F」を参照のこと)は、オートフォーカシング法により決定される。この実施形態では、サンプルは、焦点方向に変化する広がりを有し、このため、典型的には、焦点マップを顕微鏡撮像のためにオートフォーカシング法により生成することができる。顕微鏡は、サンプルの撮像に使用され、対物レンズの対物レンズ範囲限界160を有する。画像のzスタックが取得されるサンプルは、130(目的の対象物)で指定されている。所望のzスタック境界は、下側境界としての120、上側境界としての110であってよい。実際には、目的の対象物130の対象物境界は、zスタック境界と一致するかまたはこのようなzスタック境界110,120の外側もしくは内側のいずれかであることができる。図1の模式図では、対象物境界はzスタック境界110,120内にある。
【0042】
以下の説明では、このようなzスタック境界110,120を、本発明の実施形態により自動的に判定することのできる方法について検討する。
【0043】
図2では、下方に水平方向で、対象物130の例示的な画像が示されている。対象物130は、球形であって明確に画定された境界を有する上記にて検討した典型的な基準対象物を表しており、対象物の拡大画像を生成するように構成された顕微鏡光学系を通して、図1に示されたz方向に異なる焦点位置において撮影される。目視検査から、画像が最も鮮明である焦点面が、およそ10番目の画像の焦点位置にあることが明らかになる(ここでは示されていないが、11番目または12番目の画像であることもある)。図2には、合計31個の画像(画像0~画像30)の8つの画像のみが示されていることが留意される。ユーザが、図2の画像0~30を視覚的に検査することにより、対象物130の撮像にとって最適な焦点面の焦点位置を容易に特定することができるが、対象物境界の徹底的な検査によってのみ、ユーザは、図1に示されたzスタック境界110,120を判定することが可能となる。一方、Zスタック境界110,120は、本発明の方法の以下の実施形態を適用することにより見出すことができる。
【0044】
画像231のセット230が生成された後、各画像231がz方向(図1を参照のこと)のそれぞれ異なる焦点位置においてキャプチャされ、不鮮明度‐W距離関数210が画像のセット230の各画像231に適用される。不鮮明度‐W距離関数210により、各画像231についての距離値(y軸)が計算され、それぞれ異なる距離値が、グラフの下の画像231のセット230から分かるように、対応する画像の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付けられる。図2のグラフに、焦点位置を変数(x軸)として有する不鮮明度‐W距離関数210が示されている。不鮮明度‐W距離関数210は、1次極値または最大値214と当該1次極値214に隣接する2つの2次極値または最小値212および216とを明確に示しており、典型的な「W」型がもたらされている。本発明者らは、図1のzスタック境界110,120を、2つの2次極値212および216に割り当てられた焦点位置に応じて判定することができることを見出した。
【0045】
例えば、2つの最小値212,216に割り当てられた焦点位置を、zスタック境界120および110として直接に使用することができる。実験設定に応じて、別の対象物130の形状およびトポロジーは、図1および図2に関連して検討された例から逸脱する場合があることに留意されたい。また、顕微鏡撮像モードも、画像231のセット230で撮影された画像231に影響を及ぼす。このため、不鮮明度‐W距離関数210の挙動は、実際には、異なる対象物130に適用するときかつ/または異なる顕微鏡撮像モード下で異なる場合がある。このような異なる実験設定により、もはや2次極値および/または1次極値を明確に示さない、不鮮明度‐W距離関数210がもたらされることがある。同様の考察が、図2に示された不鮮明度距離関数220にも適用される。本発明の実施形態により、以下に説明されるように、このような異なる実験設定に対処することさえ可能となる。
【0046】
また、適切な不鮮明度距離関数220も、画像のセット230の各画像231に適用し、不鮮明度距離関数220によっても、各画像231についての距離値を計算し、それぞれ異なる距離値を、図2から分かるように、対応する画像231の異なる画像鮮明度または不鮮明度に関連付ける。焦点位置を変数(x軸)として有する不鮮明度距離関数220は、焦点位置における絶対極値224を示しかつ当該焦点位置が最適な焦点を表す。オートフォーカシングの目的で、最適な焦点を、不鮮明度(または鮮明度)距離関数220を画像231のセット230に適用することにより、容易に判定することができる。一方、不鮮明度距離関数220自体によっては、対象物の画像のzスタックの境界に関する指示を何ら得られない。それにもかかわらず、本発明者らは、特に、例えば、本実験設定のために、不鮮明度‐W距離関数210を適用可能でない場合、図2に示されているような不鮮明度距離関数220のみを適用することにより、zスタックの境界110,120を判定する代替法を見出した。このような場合については、以下でさらに詳細に検討するものとする。
【0047】
図2から最も良く分かるように、不鮮明度距離関数220は、その大域的最大値から最大の鮮明度の焦点位置が得られるため、むしろ「鮮明度距離関数」であり、焦点に特に感度が高く、焦点の隣の両側で単調に低下し、ピークに関して全く対称であり、局所的極値を何ら示さない。このため、図2の実施形態における不鮮明度距離関数220は、本発明の意味において「不鮮明度距離関数」として使用することができる、ある種の距離関数の良好な代表である。
【0048】
不鮮明度‐W距離関数210は、不鮮明度距離関数220とほぼ同じ焦点位置における最大鮮明度についての大域的最大値を示す。加えて、不鮮明度‐W距離関数210は、大域的最大値214に隣接する2つの局所的最小値212,216を示す。これらの局所的極小値212,216は、対応する画像231が依然として十分に鮮明であり、その結果、対象物の画像をそのバックグラウンドから区別することができる対象物130のエッジを示す。したがって、図2の実施形態の不鮮明度‐W距離関数210は、不鮮明度‐W距離関数として使用することができる、ある種の距離関数の良好な候補である。
【0049】
実施形態において、不鮮明度‐W距離関数210は、勾配法に基づく距離関数またはウェーブレット分解法に基づく距離関数の群から選択される。とりわけ、勾配法に基づく距離関数の中でも、x方向およびy方向それぞれにおける画像の1次導関数、このため、空間周波数を使用する距離関数が有益であることが証明されている。実施形態において、不鮮明度‐W距離関数は、“Analysis of focus measure operators for shape-from-focus”, Said Pertuz et al., in Pattern Recognition 46 (2013) 1415-1432の第1427頁の式A.13に記載されている関数である。ウェーブレット分解法に基づく距離関数は、主に、離散ウェーブレット変換(DWT)係数の統計的特性に基づいている。第1のレベルのDWTでは、画像は4つの部分画像に分解される。第1のレベルのDWTに基づく距離関数は、不鮮明度‐W距離関数としての使用に有益であることが証明されている。このような実施形態では、不鮮明度‐W距離関数は、“Analysis of focus measure operators for shape-from-focus”, Said Pertuz et al., in Pattern Recognition 46 (2013) 1415-1432の第1430頁の式A.40に記載されている関数である。さらに、実施形態において、不鮮明度距離関数は、自己相関法に基づく距離関数の群から選択される。このような自己相関法では、画像自己相関が、例えば、隣接する列または行のピクセル値を自己相関させることにより計算される。実施形態において、不鮮明度距離関数は、“Analysis of focus measure operators for shape-from-focus”, Said Pertuz et al., in Pattern Recognition 46 (2013) 1415-1432の第1428頁の式A.14に記載されている関数である。
【0050】
図3に、本発明に係る方法の実施形態に係るフローチャートが示されている。S1は、第1のステップを指定する。第1のステップにおいて、対象物130の画像231のセット230が生成される(図1および図2を参照のこと)。各画像が、異なる焦点またはz位置においてキャプチャされる。不鮮明度‐W距離関数を適用するステップS3の前に、ステップS2において、不鮮明度距離関数220(図2を参照のこと)が、画像のセット230の各画像231に適用される。図3の実施形態におけるステップS2に使用される不鮮明度距離関数の別の例が、図3の右側に参照符号320で示されている。次のステップにおいて、不鮮明度距離関数が絶対極値を示すか否かが評価される。この場合、絶対極値は、関数320の最大値である。次に、不鮮明度距離関数320が良好な近似に対して対称であるか否かが評価される。この場合も、この評価で評価肯定的な応答が得られれば、方法はステップS3に進む。その前に、不鮮明度距離関数320がその絶対極値に隣接する2次極値を何ら示さないか否かを追加で評価することが好都合であることもある。なぜならば、そうでないなら、選択された不鮮明度距離関数は、むしろ、不鮮明度‐W距離関数のカテゴリに入るためである。
【0051】
ステップS3において、不鮮明度‐W距離関数310を適用することにより、(S3)において図3の右側に示された対応するグラフを得ることができる。このグラフは、不鮮明度距離関数320および重畳された不鮮明度‐W距離関数310を示している。
【0052】
次に、1次極値に隣接する2つの2次極値を有するか否かに関して、不鮮明度‐W距離関数310が評価される。不鮮明度‐W距離関数310は1次最大値と最大値に隣接する2つの局所的最小値とを示すため、方法は、ステップS3について図3の右側に示された距離関数310の2つの最小値に割り当てられた焦点位置に応じて(ここでは同一であるとして)、zスタック境界を判定するステップS4に続く。zスタック境界110,120の焦点位置はそれぞれfminおよびfmaxである。
【0053】
不鮮明度距離関数320を、不鮮明度‐W距離関数310を適用する前に、画像のセット230に適用する理由は、以下のように考えることができる。まず、不鮮明度距離関数320を適用することにより、焦点面の焦点位置を、不鮮明度距離関数320の最大値の焦点位置として容易に見出すことができる。zスタック境界を判定するために評価される画像のセットは、不鮮明度距離関数320の最大値の焦点位置の周りの焦点領域において取得されるはずである。このため、画像のセットを取得するための焦点位置の範囲のシフトは、不鮮明度距離関数320を最初に適用した後に可能である。さらに、本発明者らは、図3のステップS3に示されているように、不鮮明度‐W距離関数310を適用することにより、zスタック境界判定につきより速く、大部分がより信頼できる結果が得られることを見出した。第3に、図3のステップS2に示されているように、画像のセットから不鮮明度距離関数320がもたらされると、実際には、不鮮明度距離関数のサブ群に属すると見なすことのできる図3の関数310のような不鮮明度‐W距離関数が、1次極値と当該1次極値に隣接する2つの明確な2次極値とを有することに関する要件を満たす可能性が最も高い。
【0054】
図4には、ステップS2における不鮮明度距離関数の評価の結果、不鮮明度距離関数がそのピークに関して対称ではない場合についての、本発明に係る方法の別の実施形態のフローチャートが模式的に示されている。ステップS1およびS2は、図3の実施形態で検討されたステップS1およびS2に相当する。しかしながら、不鮮明度距離関数が対象物の画像231のセット230に適用されると、この場合には、この実験設定についての不鮮明度距離関数420を示す、(S2)における図4の右側に示されるグラフが得られる。本発明者らは、特にこのような場合、zスタック境界の判定に適した不鮮明度‐W距離関数を見出すことがほとんど不可能であることを見出した。代わりに、絶対極値、ここでは最大値を示す既存の不鮮明度距離関数420がzスタック境界の判定に使用される。対称性評価が否定的な応答を返したため、方法は、絶対極値/最大値の焦点位置fから開始し、その両側で等しく積分されて画像のセットの焦点位置のすべてにわたる総積分の所定の部分/割合に達するまで不鮮明度距離関数420を積分することにより、ステップS31に続く。総積分の一部を63%または66%と規定することが有益であることが証明されているが、実験設定に応じて、他の値、好ましくは60%~80%または60%~70%の範囲の他の値をとってもよい。ついで、zスタック境界fminおよびfmaxが、焦点位置に応じてまたは総積分の所定の部分の2つの限界に割り当てられた焦点位置として、ステップS4において判定される。積分法は、図7に関連して、以下でより詳細に説明するものとする。
【0055】
図4の実施形態に関連して検討された積分法を、不鮮明度‐W距離関数(図3を参照のこと)を適用する代わりに、ステップS2の直後に適用することができることにも留意されたい。ここから、積分法を適用する別のケースを図5に関連して検討するものとする。
【0056】
図5に、本発明に係る方法の別の実施形態のフローチャートが示されている。ステップS1からステップS3までのフローチャートは図3のフローチャートと同一である。したがって、図3の実施形態に関連したステップS1からS3までの検討が明示的に参照される。不鮮明度距離関数を画像231のセット230に適用すると、(S3)における図5の右側のグラフに示されているような関数520が得られる。不鮮明度距離関数520は、絶対極値を有し、その最大値に関して対称であって、ステップS3において不鮮明度‐W距離関数が適用される。しかしながら、この実験設定の場合、得られた不鮮明度‐W距離関数510は、1次極値/最大値に隣接する2つの2次極値を示さない。別の適切な不鮮明度‐W距離関数の選択を試みることができるが、ステップS31へ進むこと、すなわち実際には図4の実施形態のステップS31に記載された積分法へ進むことがより容易かつ迅速である。このため、図5に示されている不鮮明度距離関数520の積分法の説明に関しては、この実施形態が参照される。積分法の結果として、ステップS4において、zスタック境界fminおよびfmaxが判定される。
【0057】
図6には、本発明に係る方法のさらに別の実施形態のフローチャートが模式的に示されている。図6のフローチャートは、図3図5の組み合わせたフローチャートの完全なワークフローである。このため、図6に示されているワークフローの詳細については、上記検討が参照される。以下では、ワークフロー全体を簡単に説明するのみである。対象物130の画像231のセット230を生成するステップ(図6に示さず)の後、まず、不鮮明度距離関数220が画像のセットの各画像に適用される。不鮮明度距離関数220が絶対極値224(図2を参照のこと)を有し、この絶対極値224の対応する焦点に関して対称であり、特に絶対極値に隣接する2次極値を示さない場合、ワークフローはステップS3に進む。一方、不鮮明度距離関数が絶対極値を示すことができない場合、ワークフローは、ステップS5において、zスタックの境界を見出すことができないとして終了する。一方、不鮮明度距離関数が、図4に示された不鮮明度距離関数420のように、その絶対極値に属する焦点に関して対称でない場合、ワークフローはステップS31に移り、図4の実施形態に関連して詳細に検討したように、積分法が不鮮明度距離関数に適用される。
【0058】
ステップS3において、1次極値に隣接する2つの2次極値を有さない不鮮明度‐W距離関数が再度適用された場合、ワークフローは、図5の実施形態で既に検討したように、ステップS31に移る。一方、ステップS3において適用された不鮮明度‐W距離関数210が1次極値に隣接する2つの2次極値を示す場合、ワークフローはステップS4に進み、2つの2次極値に割り当てられた焦点位置に応じてまたはこの焦点位置として、zスタック境界が判定される。
【0059】
図7に、図4(ステップS31)および図5(これもステップS31)の実施形態に関連して上述した、不鮮明度距離関数に適用される積分法が示されている。図7には、不鮮明度距離関数720に適用される積分アルゴリズムのステップが示されており、最大値724がその絶対極値として示されている。図7のグラフ(1)は、値0~1(y軸)の範囲で正規化されて、信号が平滑化された後の不鮮明度距離関数720を示している。
【0060】
まず、画像のセットの焦点位置の全範囲にわたる関数720の総積分が計算される。ついで、大域的最大値724から開始して、カバーされた面積が最初に66%以上になるまで左右に段階的に移動することにより、積分が行われる。この場合も、66%は、上記にて検討したように例示的な値に過ぎない。66%積分の対応する限界は、zスタックの潜在的な位置である(図7のグラフ(2)を参照のこと)。実際のzスタック境界が、図7のグラフ(3)に示されているように、これらの2つの潜在的な焦点位置に応じて判定される。
【0061】
冗長検査として、図7のグラフ(2)に示されているように、前ステップで判定された潜在的なfmin位置から開始して、潜在的な限界fminの前により高い焦点値が存在するか否かを評価し、潜在的な限界fmaxの後ろにより高い焦点値の点が存在するか否かが検査される。これは、明らかに、ピーク724の両側で単調に低下する関数720のケースとはなりえない。一方、このようなより高い焦点が存在する場合、対応する焦点位置が新たな限界となる。ついで、図7のグラフ(2)に示された潜在的な限界fminおよびfmaxが対称でない場合、図7のグラフ(3)に示された最終的な限界fminおよびfmaxがピーク724の周りで対称となるように、この限界のうちの少なくとも一方がより制限的な数値に設定される。図7のグラフ(2)および(3)に示された例では、潜在的な上方限界fmaxを、最終的な限界fmaxより低い数値すなわちより制限的な数値に設定した。
【0062】
図8には、本発明に係る光学機器の一実施形態として、顕微鏡800が模式的に示されている。顕微鏡800は、対象物130を撮像するための機器光学系810,820を備える。機器光学系は、特に、フロントレンズ812を有する対物レンズ810と、画像検出器820と、を含む。この実施形態では、サンプルまたは対象物130を、顕微鏡ステージ860上に置き、光源852および照明光学系850により照明することができる。対物レンズ810は、サンプル130の透過光撮像のための光軸802を画定する。
【0063】
顕微鏡800は、ここではコントローラの形態にあるプロセッサ840と、焦点調節ユニット830と、をさらに備える。この実施形態の焦点調節ユニット830は、顕微鏡ステージ860を矢印832の方向に移動させるためのzドライブを備える。原則として、対物レンズ810も、z方向に移動させることができる。zドライブの移動により、対象物130が撮像される焦点位置を調節することができる。
【0064】
コントローラ/プロセッサ840は、画像231のセット230を生成するように、機器光学系、ここでは画像検出器820および焦点調節ユニット830に動作可能に接続されている。各画像231が、異なる焦点またはz位置においてキャプチャされる(図2を参照のこと)。コントローラ/プロセッサ840は、図8に例示的に示されているごとく、zスタック範囲115の下側境界120および上側境界110を自動的に判定するために、本発明に係る方法の実施形態に係る画像231のこのセット230を処理するようにさらに構成されている。
【0065】
zスタック境界110,120が判定された後、zスタック画像取得が開始され、例えば、zスタック範囲115内で撮像された対象物130の一部の3次元表現が生成される。
【0066】
本発明に係るコンピュータプログラムは、特に、本発明に係る方法の実施形態を実施するために、コントローラ/プロセッサ840上、一般的には、コンピュータシステム840上で実行される。
【0067】
コンピュータシステム840は、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実施するように構成されている。コンピュータシステム840は、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。コンピュータシステム840と顕微鏡800は別個の存在物であってもよいが、1つの共通のハウジング内に一体化されていてもよい。コンピュータシステム840は、顕微鏡800の中央処理システムの一部であってもよく、かつ/またはコンピュータシステム840は、顕微鏡800のセンサ、アクター、カメラまたは照明ユニット等の、顕微鏡800の従属部品の一部であってもよい。
【0068】
コンピュータシステム840は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備える局所的コンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータまたは携帯電話)であってもよく、または分散コンピュータシステム(例えば、局所的クライアントおよび/または1つまたは複数のリモートサーバファームおよび/またはデータセンター等の様々な場所に分散されている1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるクラウドコンピューティングシステム)であってもよい。コンピュータシステム840は、任意の回路または回路の組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、コンピュータシステム840は、任意の種類のものとすることができる、1つまたは複数のプロセッサを含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、プロセッサは、例えば、顕微鏡または顕微鏡部品(例えばカメラ)のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または任意の他の種類のプロセッサまたは処理回路等のあらゆる種類の計算回路を意図していてもよいが、これらに限定されない。コンピュータシステム840に含まれ得る他の種類の回路は、カスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよく、例えばこれは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、双方向無線機および類似の電子システム等の無線装置において使用される1つまたは複数の回路(通信回路等)等である。コンピュータシステム840は、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態のメインメモリ等の特定の用途に適した1つまたは複数の記憶素子を含み得る1つまたは複数のストレージデバイス、1つまたは複数のハードドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディアを扱う1つまたは複数のドライブ等を含んでいてもよい。コンピュータシステム840はディスプレイ装置、1つまたは複数のスピーカーおよびキーボードおよび/またはマウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識装置を含み得るコントローラ、またはシステムのユーザがコンピュータシステム840に情報を入力すること、およびコンピュータシステム840から情報を受け取ることを可能にする任意の他の装置も含んでいてもよい。
【0069】
ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0070】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0072】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0073】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0074】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0075】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0076】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0077】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0078】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0079】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0081】
110,fmin zスタックの上側境界
115 zスタック範囲
120,fmax zスタックの下側境界
130 目的の対象物、サンプル
140 サンプルキャリア
150 焦点面
160 対物レンズ範囲限界
210 不鮮明度‐W距離関数
212 2次極値
214 1次極値
216 2次極値
220 不鮮明度距離関数
224 絶対極値
230 画像のセット
231 画像
310,510 不鮮明度‐W距離関数
320,520 不鮮明度距離関数
720 不鮮明度距離関数
724 絶対極値
800 顕微鏡、光学機器
802 光軸
810 対物レンズ
812 フロントレンズ
820 画像検出器
830 焦点調節ユニット
832 移動方向
840 プロセッサ、コントローラ、コンピュータシステム
850 照明光学系
852 光源
860 顕微鏡ステージ
S1~S5,S31 方法のステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】