(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008833
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】取付用アタッチメント、ウインチおよび集材用作業車
(51)【国際特許分類】
A01G 23/00 20060101AFI20230112BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20230112BHJP
B66D 1/60 20060101ALI20230112BHJP
B66D 1/28 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A01G23/00 551F
E02F3/36 Z
A01G23/00 512Z
A01G23/00 513B
B66D1/60 D
B66D1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091383
(22)【出願日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2021111325
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】516215970
【氏名又は名称】有限会社ウエスト興業八頭
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】大野 憲一
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012FA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、アームとブームの屈伸動作を利用した集材に用いるウインチに関して、集材用作業車にこのウインチの着脱を容易に行うことができる取付用アタッチメント、集材用作業車に着脱が容易なウインチ、および、着脱が容易なウインチを備えた集材用作業車を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤが巻かれたボビン部1と、ボビン部1を囲むフレーム部2と、からなるウインチ10を、集材用作業車100の取付対象物である安全柵Aへ取り付けるための取付用アタッチメント50であって、安全柵Aと接触する取付部6と、ウインチを固定するウインチ固定部7と、取付部を安全柵Aへ着脱可能に固定する取付治具Bであるバンドと、からなる取付用アタッチメントを用いてウインチ10の固定を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤが巻かれたボビン部と、前記ボビン部を囲むフレーム部と、からなるウインチを、集材用作業車の取付対象物へ取り付けるための取付用アタッチメントであって、
前記取付対象物と接触する取付部と、
前記ウインチを固定するウインチ固定部と、
前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と、
からなることを特徴とする取付用アタッチメント。
【請求項2】
前記ウインチ固定部は、前記ウインチの角度調整を行う角度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の取付用アタッチメント。
【請求項3】
前記取付部は、前記取付対象物と係合するフック部を備えることを特徴する請求項1に記載の取付用アタッチメント。
【請求項4】
ワイヤが巻かれたボビン部と、
前記ボビン部を囲むフレーム部と、
を有し、
前記ボビン部が回転し前記ワイヤを前方から巻き取るウインチであって、
集材用作業車の取付対象物へ取り付けるための取付用アタッチメントを更に備えており、
前記取付用アタッチメントが、
前記取付対象物と接触する取付部と、
前記フレーム部に固定されるウインチ固定部と、
前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と
かならなることを特徴とするウインチ。
【請求項5】
旋回体に取り付けられたブームと、
前記ブームに取り付けられたアームと、
集材物を引き寄せるワイヤと、
前記ワイヤを巻き取るウインチと、を有し、
前記ブームと前記アームとによる屈伸動作および前記ワイヤの巻取動作により前記集材物を引き寄せる集材用作業車であって、
前記ウインチは、取付用アタッチメントを介して、前記集材用作業車の取付対象物へ取り付けられており、
前記取付用アタッチメントは、
前記取付対象物と接触する取付部と、
前記ウインチを固定するウインチ固定部と、
前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と、
からなることを特徴とする集材用作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインチの取付用アタッチメント、ウインチおよび集材用作業車、詳しくは集材用作業車にウインチの着脱を容易に行うことができる取付用アタッチメント、集材用作業車に着脱が容易なウインチ、着脱が容易なウインチを備えた集材用作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
林業において、集材用作業車の近くに木材を集める集材方法として、集材用作業車を用いたスイングヤーダがよく知られている。スイングヤーダは大掛かりな装置であり、またこの作業には資格が必要なこともあって、スイングヤーダを用いる程木材と集材用作業車が離れていないような場合には、一般的には特許文献1の
図7、特許文献2の
図4、特許文献3の
図1に記されるようにブームとアームを有した集材用作業車のブームや本体等に取り付けられたウインチを用いて集められる。具体的には、ウインチからワイヤを延ばし、アーム先端近傍等に取り付けられた滑車にワイヤを通して木材に引っ掛けた後でウインチによりワイヤを巻き取っている。
【0003】
このような集材方法はウインチの力のみで木材をよせることなるため、ウインチに大きな引張力が必要となることから、非常に高価なウインチが必要となる。そこで、本発明者は特許文献4のような集材用作業車および集材用作業車の集材方法について、自ら発明し、このような発明が公知となっている。
【0004】
特許文献4の発明は、アームやブームの屈曲によりワイヤを引き寄せ、この引き寄せたワイヤをウインチで巻き取るだけなので、巻き取り力の弱いウインチを用いることができるので、安価な集材を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-315226号公報
【特許文献2】特開2003-73074号公報
【特許文献3】特開2015-40115号公報
【特許文献4】特許第6714460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3による集材においては、木材を寄せるためにはウインチに大きな引張力が必要となることから、ウインチも大きく重いものになってしまう。また、このようなウインチは通常、油圧を利用した油圧モータが内蔵されており、油圧ホースや油圧配管が必要となる。したがって、ウインチが集材中に動いたりしないよう、集材用作業車への取り付けも強固に行う必要がある。したがって、例えば、特許文献3の段落[0049]、[0050]に記載されているように、ウインチはボルトによる締着によりウインチ取付板へ強固に固定されることになる。そして、このウインチ取付板は集材用作業車を構成するスイングポストの左側板部と右側板部とに溶接等で固着されている。
一方、集材用作業車は、必ずしも集材作業だけに使用されるわけではないので、集材作業を行わない場合には、ウインチが不要な場合もある。
【0007】
しかしながら、そもそも特許文献1~3においては、一番重要な安全性のためにもウインチやウインチ取付板を強固に固定しておく必要があるため、当然ながら容易に着脱できるようにはなっておらず、ウインチやウインチ取付板を取り外すことは困難である。また、そもそもウインチやウインチ取付板の取り外しは想定されていない。
また、本発明者が自ら発明した特許文献4の発明を製品化した際にも、当初ウインチを作業車にボルトや溶接等で強固に固定していた。
【0008】
しかしながら、特許文献4のように、アームとブームの屈伸動作を利用した集材においては、そもそもウインチが小型で軽量なもので構わないことから、ウインチを使用しない場合にはウインチやウインチ取付板を取り外したいとの要望が生じた。
【0009】
そこで本発明は、アームとブームの屈伸動作を利用した集材に用いるウインチに関して、集材用作業車にこのウインチの着脱を容易に行うことができる取付用アタッチメント、集材用作業車に着脱が容易なウインチ、および、着脱が容易なウインチを備えた集材用作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の取付用アタッチメントは、ワイヤが巻かれたボビン部と、前記ボビン部を囲むフレーム部と、からなるウインチを、集材用作業車の取付対象物へ取り付けるための取付用アタッチメントであって、前記取付対象物と接触する取付部と、前記ウインチを固定するウインチ固定部と、前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と、からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の取付用アタッチメントによれば、取付部を集材用作業車の取付対象物へ固定している取付治具の固定を解除することで、取付用アタッチメントを集材用作業車から取り外すことができるので、取付用アタッチメントに固定されているウインチを集材用作業車から簡単に取り外すことができる。また、取付用アタッチメントのウインチ固定部からウインチを取り外すことでもウインチの取り外しを行うこともできる。
【0012】
また、本発明の取付用アタッチメントを用いることで、ウインチ取付のための特別な加工を集材用作業車側で必要としないで、ウインチの取り付けを行うことができる。集材用作業車は、所有するのではなくリース品であることも多いことから、集材用作業車側に何か加工を施すことは契約の関係上難しい。したがって、本発明による効果は、リース品の集材用作業車を用いる場合に特に有効である。
【0013】
また、本発明の取付用アタッチメントにおいては、前記ウインチ固定部は、前記ウインチの角度調整を行う角度調整手段を備えていることが好ましい。本発明の取付用アタッチメントによれば、ウインチの正面角度を調整することができるので、アームとブームの同一線上から外れた位置にウインチを取り付ける場合に、ワイヤの巻き取りを行いやすい角度にウインチを取り付けることができる。
【0014】
また、本発明の取付用アタッチメントにおいては、前記取付部は、前記取付対象物と係合するフック部を備えることが好ましい。このような構成によれば、集材用作業車に多く用いられている安全柵や保護用ポールを取付対象物として利用することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明のウインチは、ワイヤが巻かれたボビン部と、前記ボビン部を囲むフレーム部と、を有し、前記ボビン部が回転し前記ワイヤを前方から巻き取るウインチであって、集材用作業車の取付対象物へ取り付けるための取付用アタッチメントを更に備えており、前記取付用アタッチメントが、前記取付対象物と接触する取付部と、前記フレーム部に固定されるウインチ固定部と、前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具とかならなることを特徴とする。
本発明のウインチによれば、上記の取付用アタッチメントを用い場合と同様の効果を奏することができる。
【0016】
また、本発明のウインチにおいて、前記フレーム部は、前記ボビン部を回転可能に支持する右側板と左側板とを含み、前記右側板および前記左側板には、前記取付治具と係合する取付治具設置部を備えることが好ましい。また、本発明のウインチにおいては、前記取付治具は、バンドであることが好ましい。これにより、簡単に取付部を取付対象物に付勢して固定することができる。なお、このバンドの構成としては、バンドの一方端にフックを備え、バンドの他方端に締結部を備える構成がより好ましい。更に、この場合、取付治具設置部としては、バンドの一方端のフックが係合する右側板或いは左側板の前端部からなる係合部と、バンドの他方端の締結部と係合するように右側板或いは左側板の前端部に取り付けられたフック状の係合部と、の構成が好ましい。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の集材用作業車は、旋回体に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられたアームと、集材物を引き寄せるワイヤと、前記ワイヤを巻き取るウインチと、を有し、前記ブームと前記アームとによる屈伸動作および前記ワイヤの巻取動作により前記集材物を引き寄せる集材用作業車であって、前記ウインチは、取付用アタッチメントを介して、前記集材用作業車の取付対象物へ取り付けられており、前記取付用アタッチメントは、前記取付対象物と接触する取付部と、前記ウインチを固定するウインチ固定部と、前記取付部を前記取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と、からなることを特徴とする。
【0018】
本発明の集材用作業車によれば、ウインチの着脱を容易に行うことができる。したがって、例えば、集材作業を行わない場合には、この集材用作業車からウインチを取り外して、この集材用作業車で他の作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実地形態に係るウインチが取り付けられた集材用作業車を示す図である。
【
図2】
図2Aは本発明の実地形態に係るウインチの要部を示す左前側からの斜視図であり、
図2Bは右前側からの斜視図である。
【
図3】第2実施形態の主要な構成を示す斜視図である。
【
図4】第3実施形態の主要な構成を示す斜視図である。
【
図5】第4実施形態の主要な構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aは第4実施形態における取付用アタッチメントの斜視図であり、
図6Bは取付用アタッチメントの正面図である。
【
図7】第4実施形態における集材用作業車へ取り付けている状態を示す斜視図である。
【
図8】第5実施形態の主要な構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0021】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の構成を、
図1および
図2を用いて説明する。
図1はウインチ10を備えた集材用作業車100を示す図であり、
図2はウインチ10の要部を示す図である。
【0022】
図1の集材用作業車100は、図示しない集材物などを集材用作業車100の近くに引き寄せる車である。集材用作業車100は、ゴムクローラで走行する走行体100aと、走行体100aに軸支され旋回可能な旋回体100bと、旋回体100bに設けられた運転席100cと、運転席100cの前面を覆う安全柵Aと、集材物を引き寄せるワイヤ(図示せず)と、このワイヤを巻き取るウインチ10と、旋回体100bに軸支され油圧式のブームシリンダによって屈曲可能なブーム(図示せず)と、ブームに軸支され油圧式のアームシリンダによって屈曲可能なアーム(図示せず)と、アタッチメントとしてアームに軸支され油圧式のパケットシリンダで屈曲可能バケット(図示せず)を備えている。
【0023】
なお、
図1の集材用作業車100の構成においては、走行体100aと旋回体100b以外のブームやアーム等はとくに図示していないが、これらの構成は特許文献1~4に記載されている構成と同様であることから省略している。
【0024】
このような集材用作業車100は、本発明者が発明した特許文献4にも記載しているように、ブームとアームとによる屈伸動作およびウインチ10によるワイヤの巻取動作により集材物を引き寄せることで集材作業を行う。
【0025】
そしてきこのような集材用作業車100においては、ブームとアームとによる屈曲動作で弛んだワイヤを巻き取るだけなので、回転力の弱いウインチ10でも十分にワイヤを巻き取ることができる。したがって、ウインチ10は、モータで駆動する小型、軽量なものを用いることができ、旋回体100bの安全柵A等に後述するバンド等により容易に取り付けることができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、ウインチ10はモータにより駆動するものを示すが、上述の通り回転力の弱いウインチで構わないことから、手動により巻き取るウインチであっても構わない。また、モータ駆動によるウインチの電源は、当然ながら集材用作業車1のバッテリを利用することもできるが、上記のように回転力の弱いウインチで構わないことから、ウインチ用の電源を別途確保してもよい。したがって、例えば、交換可能なバッテリを備えたウインチを用いることもできる。また、集材用作業車100による集材物は、当然ながら木材に限定されるわけではなく、また、集材物は林業以外の他の分野(例えば、土木分野)のものも当然ながら対象としている。
【0027】
次に、ウインチ10の具体的な取り付けについて説明する。ウインチ10は、集材用作業車100に取付用アタッチメント50を介して取り付けられている。より具体的には、ウインチ10は、取付用アタッチメント50を構成する取付部6を備え、取付部6を付勢して固定する取付治具Bにより、旋回体100bの安全柵Aに、着脱自在に取り付けることができる。
【0028】
この取付用アタッチメント50は、ウインチ10を集材用作業車100に取り付けるために用いる専用の道具であり、後述する集材用作業車100の取付対象物へ取り付けられる取付部6と、この取付用アタッチメント50にウインチ10を固定するウインチ固定部7と、で構成されている。
【0029】
このように、ウインチ10は、集材用作業車100へ直接固定されるのではなく、取付用アタッチメント50を介して集材用作業車100へ間接的に固定されることになる。したがって、ウインチ10の集材用作業車100からの取り外しは、ウインチ10を固定した取付用アタッチメント50を集材用作業車100から取り外すことによっても、また取付用アタッチメント50からウインチ10を取り外すことによっても実現することができる。
【0030】
ここで安全柵Aは、集材用作業車100にウインチ10を取り付ける場合の、集材用作業車Aにおける具体的な対象(取付対象物)の一例である。本実施形態においては、集材用作業車100の取付対象物として、林業における集材用作業車100に多く取り付けられている運転席100cを守る安全柵Aとしている。そして、この安全柵Aは、
図2Aに示すように水平に延びる複数の水平バーA1と垂直に延びる複数の垂直バーA2を備える格子状となっている。
【0031】
取付治具Bは、具体的には本実施形態においてはバンドを用いている。このバンドからなる取付治具Bによって、取付対象物である安全柵Aへ接触させたウインチ10を安全柵Aに付勢させて着脱可能に固定することになる。また、このバンドからなる取付治具Bは、一方端にフックB1を備え、他方端にラチェット式の締結部B2を備えたバンドであり、このようなバンドの具体例としてはラッシングベルトがある。
【0032】
図2Aは、ウインチ10の左前斜視図であり、
図2Bは右前斜視図である。なお、
図2Aについては、
図1における取り付け場所の具体例として安全柵Aも図示しているが、
図2Bにおいては構造をわかりやすく説明するため安全柵Aを除いて図示している。
【0033】
ウインチ10は、ボビン部1と、フレーム部2と、モータ部3と、からなる。ウインチ10は、モータ部3の回転駆動が伝達されることでボビン部1が回転し、集材物が繋がれたワイヤをウインチ10の前方から巻き取る。
【0034】
ボビン部1は、回転可能な円筒状のものであり、ワイヤを巻き付けておくものである。モータ部3は、モータ、ボビン部1の回転軸に取り付けられたスプロケット、モータの回転をスプロケットに伝達するチェーンなどで構成されている。
【0035】
フレーム部2は、ボビン部1を軸支するものであり、ウインチ10のフレームとなる。本実施形態においては、底板21、右側板22、左側板23と連結棒24で構成される。より具体的には、フレーム部2は、両端が曲げられた金属板をコの字状に曲げることで、底板21と右側板22と左側板23とを構成している。そして、右側板22と左側板23は、連結棒24とボルトによって連結され、ワイヤが巻き付けられるボビン部1を回転可能に支持するように囲む。また、本実施形態においては更に、フレーム部2にはワイヤが繰り出される範囲を規制するための上下2本のガイド25が右側板22と左側板23に保持されている。そして、ウインチ10は、このフレーム部2を介して取付対象物となる安全柵Aに取付用アタッチメント50を介して設置されることになる。
【0036】
そして、フレーム部2は、ウインチ10の後面に、安全柵Aと接触する取付部6を備える。より具体的に説明していく。ウインチ10を集材用作業車100に取り付ける取付用アタッチメント50は、安全柵Aへ取り付けられる取付部6と、ウインチ10を固定するウインチ固定部7を有している。この取付用アタッチメント50がウインチ10の後面に位置することになる。
【0037】
この取付部6は、安全柵Aである集材用作業車100の取付対象物と直接に接する接触面を主に構成しており、具体的には、ウインチ10の右側板22および左側板23の後端部に位置し、底板21に対して略垂直に延びる垂直面部61を備える。そして、垂直面部61の上端には、安全柵Aと係合するフック部62を備える。このため、取付用アタッチメント50は、取付部6のフック部62によって取付対象物である安全柵Aへこの取付用アタッチメント50を取り付けることができる。
【0038】
ウインチ固定部7は、ウインチ固定部7を形成する右固定板71と左固定板72と底固定板73(図示せず)を有している。
図2に示すように、この右固定板71は一方の垂直面部61と固着しており、左固定板72は他方の垂直面部61と固着しており、底固定板は両方の垂直面部61と固着している。そして、この右固定板71がフレーム部2の右側板22と、左固定板72がフレーム部2の左側板23と、底固定板がフレーム部2の底板21と、それぞれボルトによって固定される。このため、取付用アタッチメント50は、ウインチ固定部7の右固定板71、左固定板72、底固定板73(図示せず)によってウインチ10をこの取付用アタッチメント50へ固定することができる。
【0039】
また、フレーム部2は、ウインチ10を安全柵Aに付勢する取付治具Bを設置する取付治具設置部4を備える。この取付治具設置部4は、具体的には、右側板22および左側板23において、取付用アタッチメント50の取付部6とは異なり、ウインチ100の前面の位置にそれぞれ設けられており、取付治具Bの一方端および他方端と係合可能な構成となっている。
【0040】
より具体的には、右側板22に位置する取付治具設置部4は、
図2Bに示すように、取付治具Bの締結部B2と係合するように右側板22の前端部に取り付けられたフック状の係合部4aである。この係合部4aは、
図2Bに示すように右側板22にボルトで固定されている。また左側板23に位置する取付治具設置部4は、
図2Aに示すように、取付治具Bの一方端のフックB1が係合する左側板23の前端部からなる係合部4bである。
【0041】
このような構成においては、ウインチ10は、まず取付用アタッチメント50へ固定する。具体的には、ウインチ10のフレーム部2の右側板22を取付用アタッチメント50のウインチ固定部7を形成する右固定板71と、左側板23を左固定板72と、底板21を底固定板と、にそれぞれボルトによって固定する。
【0042】
そして、取付用アタッチメント50が固定されたウインチ10は、取付用アタッチメント50の取付部6の垂直面部61の上端にある両フック部62をそれぞれ安全柵Aの水平バーA1に係合させ、取付用アタッチメント5の取付部6を取付対象物である安全柵Aに接触させて設置する。
【0043】
そして更に、まず取付治具Bのバンドの他方端となる締結部B2側を右側板22の係合部4aに係合する(
図2Bを参照)。つぎに、取付治具Bのバンドの一方端となるフックB1側を安全柵Aの隣り合う垂直バーA2の間を通した後、垂直バーA2の後ろ側を通して、更に隣り合う垂直バーA2の間を通してウインチ10側に引き出す。そして、引き出したフックB1側を左側板23の前端部4bに係合させる(
図2を参照)。つまり、垂直バーA2を取付用アタッチメント50の取付部6と取付治具Bのバンドとで挟む様に配置する。最後に締結部B2の操作により、取付部6およびバンドからの安全柵Aへの付勢力を高め、取付用アタッチメント5に固定されたウインチ10を安全柵Aに固定する。
【0044】
また、ウインチ10は、締結部B2の操作により、安全柵Aへの付勢力を弱めることにより、取付用アタッチメント50に固定されたウインチ10の安全柵Aへの固定を解除することができる。
【0045】
このように、本実施形態のウインチ10は、取付用アタッチメント50の取付部6を集材用作業車100の取付対象物である安全柵Aとまず接触させて、この接触状態において、次に取付治具Bであるバンドにより安全柵Aに付勢させることにより取り付けることになる。つまり、接触と付勢によりウインチ10を固定している。
【0046】
したがって、取付治具Bの付勢の解除により、取付用アタッチメント50を介して集材用作業車100に固定されているウインチ10を簡単に安全柵Aから取り外すことができる。つまり、ウインチ10は着脱を非常に容易に行うことができ、また、集材用作業車100においては、ウインチ10の着脱が非常に容易となっている。
【0047】
なお、本実施形態においては、右側板22おける取付治具設置部4は、取付治具Bの締結部B2を係合するために、右側板22の前端部取り付けられたフック状の係合部4aとなっているが、他の構成を採用することもできる。例えば、左側板23と同様に、右側板22の前端部を利用した係合部とする構成である。この場合、取付治具Bの他方端である締結部B2に、例えば右側板22に係合するフック部を設けておくことになる。
【0048】
また、左側板23における取付治具設置部4は、取付治具BのフックB1を係合するために、左側板23の前端部を利用した係合部4bとなっているが、他の構成を採用することもできる。例えば、左側板23の前端部に前方や側方に突出する突出部を設け、この突出部を取付治具設置部4とする構成である。この場合、取付治具Bの一方端は、フックB1ではなく、例えば突出部と係合する開口構造となる。また、左側板23における取付治具設置部4は、右側板22のようなフック状の係合部4aとしても構わない。
【0049】
また、本実施形態においては、集材用作業車100における取付対象物として安全柵Aとしているが、必ずしも安全柵Aに限定されるわけではない。集材用作業車100によっては安全柵Aを備えていないものもあり、林業分野においては安全柵Aが標準的になっているが、土木分野においては、安全柵Aがないものも多い。したがって、集材用作業車100の旋回体100bにおけるフレームの一部など、他の位置を取付対象物とすること可能である。また、集材用作業車100に取付用のフレームや板を溶接などにより固定し、これを取付対象物とすることもできる。そして、このような構成において取付対象物が板のような略水平面となっている場合には、取付用アタッチメント50の取付部6は、フック部62を備えなくてもよい。なお、後述する第3実施形態においては、安全柵A以外の取付対象物の例について具体的に説明する。
【0050】
また、ウインチ10の取り付けは、本実施形態のように必ずしも旋回体100bである必要はなく、特許文献1などでのウインチの取り付けのように図示していないがブームに取り付けることも当然ながら可能である。また、本実施形態においては取付治具Bとしてバンドを用いたが、例えば針金のような糸状のものを用いることもできる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のウインチ10Bを、
図3を用いて説明する。
図3はウインチの右前斜視図である。第2実施形態のウインチ10Bにおいては、第1実施形態のウインチ10と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「B」を付す。
【0052】
第2実施形態のウインチ10Bと第1実施形態のウインチ10の主な相違点は、第1実施形態のウインチ10は、取付治具Bとしてバンドを用いて安全柵Aに固定されるのに対して、第2実施形態のウインチ10Bは、取付治具BBとして所謂バネカンを用いて取付対象物ABに固定される点である。このバネカンとは、トラックの荷台の側壁を構成する所謂「あおり」の固定に用いられるものである。
図3に示すように、第2実施形態のウインチ10Bは、取付用アタッチメント50Bが第1実施形態の取付部6に代わって取付部6Bを備えている。
【0053】
フレーム部2Bは、ウインチ10Bの後面に、取付対象物ABと接触する取付部6Bを備える。そして、この取付部6Bは、ウインチ10Bを取付対象物ABに固定する取付治具BBが設置される取付治具設置部4Bを備える。
【0054】
より具体的に説明していく。ウインチ10Bを集材用作業車100に取り付ける取付用アタッチメント50Bは、取付対象物ABへ取り付けられる取付部6Bと、ウインチ10Bを固定するウインチ固定部7Bを有している。この取付用アタッチメント50Bがウインチ10Bの後面に位置することになる。
【0055】
取付部6Bは、
図3に示すようウインチ10Bの右側板22Bおよび左側板23Bの後端に位置し、底板21Bに対して略垂直に延びる垂直面部61Bを備える。この垂直面部61Bは、それぞれ右側板22Bおよび左側板23Bの外側より延伸する。垂直面部61Bの上端には、取付対象物ABと係合するフック部62Bを備える。このため、取付用アタッチメント50Bは、取付部6Bのフック部62Bによって取付対象物ABへこの取付用アタッチメント50Bを取り付けることができる。
【0056】
ウインチ固定部7Bは、ウインチ固定部7Bを形成する右固定板71Bと左固定板72Bと底固定板73B(図示せず)を有している。
図3に示すように、この右固定板71Bは一方の垂直面部61Bと固着しており、左固定板72Bは他方の垂直面部61Bと固着しており、底固定板は両方の垂直面部61Bと固着している。そして、この右固定板71Bがフレーム部2Bの右側板22Bと、左固定板72Bがフレーム部2Bの左側板23Bと、底固定板がフレーム部2Bの底板21Bと、それぞれボルトによって固定される。このため、取付用アタッチメント50Bは、ウインチ固定部7Bの右固定板71B、左固定板72B、底固定板によってウインチ10Bをこの取付用アタッチメント50Bへ固定することができる。
【0057】
取付治具設置部4Bは、取付部6Bの垂直面部61Bに位置し、垂直面部61Bが開孔した開孔部BB1とバネカン部BB2を備える。バネカン部BB2は、開孔部BB1を介して突出する取付対象物ABのバネカン受けの突起AB1と係合する。そして、バネカン部BB2は、ばね力の操作により、取付用アタッチメント50Bに固定されたウインチ10Bを取付対象物ABへ付勢して固定する。また、バネカン部は、ばね力の操作により、取付用アタッチメント50Bに固定されたウインチ10Bの取付対象物AAへの固定を解除することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、取付部6Bを取付対象物ABに付勢する取付治具BBとしてバネカンの例を示したが、バネカン以外にも例えば、所謂あおりハンドルのような構成を採用することができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のウインチ10Cを、
図4を用いて説明する。
図4はウインチ10Cの左前斜視図である。第3実施形態のウインチ10Cにおいては、第1実施形態のウインチ10と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「C」を付す。
【0060】
本実施形態では、取付用アタッチメント50Cが後述する取付対象物であるウインチ載置板ACへ取り付けられる取付部6Cと、この取付用アタッチメント50Cにウインチ10Cを固定するウインチ固定部7Cと、で構成されており、この取付部6Cとウインチ固定部7Cが一体で形成されている。
【0061】
具体的には、
図4に示すように、取付用アタッチメント50Cは、上面視においてコの字状の部材で形成されている。そして、コの字状部材の折れ曲がった両端が、それぞれウインチ固定部7Cの右固定板71Cと左固定板72Cとなり、右固定板71Cと左固定板72Cの間が取付部6Cとなる。
【0062】
そして、この取付用アタッチメント50Cは、ウインチ固定部7Cの右固定板71Cがウインチ10Cを構成するフレーム部2Cの右側板22Cと、左固定板72Cが左側板23Cと、それぞれボルトによって固定されている。
【0063】
このような本実施形態においては、ウインチ10Cのボビン部1Cを囲むフレーム部2Cが、底板21C、右側板22C、左側板23C、連結棒24Cとともに、取付用アタッチメント50Cの取付部6Cからなる背面板27としても機能する。
【0064】
また、第3実施形態においては、
図4には図示していない集材用作業車に取付対象物として、側面視において逆T字状となっているウインチ載置板ACが備わっている。この逆T字状のウインチ載置板ACは、水平に伸びる一方の水平面AC1と、水平に伸びる他方の水平面AC2と、垂直に伸びる垂直面AC3からなる。
【0065】
そして、ウインチ載置板ACは、他方の水平面AC2と垂直面AC3において集材用作業車の旋回体あるいはブームに溶接やボルトによって事前に固定されている。
【0066】
このようなウインチ載置板ACからなる取付対象物を備えた集材用作業車に対し、ウインチ10Cの取り付けは、まず、水平面AC1に取付用アタッチメント50Cに固定されたウインチ10Cを載置するとともに垂直面AC3にウインチ10Cの背面板27としても機能する取付用アタッチメント50Cの取付部6Cを接触させる。そして、第1実施形態と同様に、図示していないバンドからなる取付治具BCによって、ウインチ載置板ACへ付勢して行われることになる。
第3実施形態のこのような構成においても、ウインチ10Cの着脱を容易に行うことができる。
【0067】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のウインチ10Dを、
図5、
図6、
図7を用いて説明する。
図5はウインチ10Dの左前斜視図である。
図6Aはウインチ10Dを固定する取付用アタッチメント50Dの左前斜視図であり、
図6Bはその正面図である。なお、
図6Bにおいては、後述の庇板82を図示していない。
図7は、取付用アタッチメント50Dを介してウインチ10Dを集材用作業車における取付対象物となる安全柵ADへ取り付けている状態を示した斜視図である。第4実施形態のウインチ10Dにおいては、第1実施形態や他の実施形態と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「D」を付す。
【0068】
ウインチ10Dは、第1実施形態のウインチ10と同様、ボビン部1Dと、フレーム部2Dと、モータ部3Dと、からなり、このフレーム部2Dは、底板21D、右側板22D、左側板23D、連結棒24D、ガイド25Dで構成されている。そして、このウインチ10Dは、安全柵ADに取付用アタッチメント50Dを介して取り付けられている。
【0069】
この取付用アタッチメント50Dは、集材用作業車の取付対象物である安全柵ADへ取り付けられる取付部6Dと、この取付用アタッチメント50Dにウインチ10Dを固定するウインチ固定部7Dと、この取付部6Dとウインチ固定部7Dとを支持する基板8で構成されている。
【0070】
この基板8は、略垂直に延びる矩形状の金属板で形成されたものである。この基板8の上方には、後述する長孔状の幅調整孔81がそれぞれ左右に2つ形成されている。また、基板8の上方には、ウインチ10D側に伸びる矩形状の庇板82が固定されている。なおこの庇板82は、断面逆L字状の部材からなり、垂直面で基板8とボルト91で固定されている。なお、
図6Bにおいては、庇板82を図示していない。また、庇板82には、前後方向に伸びる長孔状の角度調整孔83が2つ形成されており、この角度調整孔83は前方に向かって若干内側に傾斜している。
【0071】
また、取付部6Dは、安全柵ADと直接に接する接触面を主に構成しており、具体的には、略垂直に延びる2つの垂直面部61Dを備え、この垂直面部61Dの上端には、安全柵ADを係合するフック部62Dを備えている。したがって、取付用アタッチメント50Dは、取付部6Dのフック部62Dによって取付対象物である安全柵ADへこの取付用アタッチメント50Dを取り付けることができる。
【0072】
また、垂直面部61Dは、基板8の幅調整孔81を介してボルト92で基板8に固定されている。そして、幅調整孔81が左右に伸びる長孔状となっているため、ボルト92の固定位置を変えることで2つの垂直面部61Dの間隔を調整することができる。このように、取付用アタッチメント50Dには、幅調整孔81と垂直面部61Dからなる取付幅調整手段が取付部6Dに設けられている。したがって、安全柵ADの垂直バーA2Dの間隔に合わせて、取付用アタッチメント50を安全柵ADに取り付けることができる。
【0073】
次に、ウインチ固定部7Dについて説明する。第1実施形態のウインチ固定部7は、右固定板71と左固定板72と底固定板73(図示せず)で形成されていた。一方、本実施形態のウインチ固定部7Dでは、右固定板71Dと左固定板72Dが金属板の両端を曲げたコの字状部材の両端で形成されている。そして、右固定板71Dと左固定板72Dとを繋ぐ面が上面板74となる。この上面板74は、基板8の庇板82の角度調整孔83を介して基板8にボルト93で固定されている。
【0074】
また、底固定板73Dは、基板8の下方に溶接により固定されている。そして、この底固定板73Dには、基板8の2つの角度調整孔83と同じ位置に同じ大きさで形成された2つの長孔からなる角度調整孔84が設けられている。
【0075】
そして、
図5に示すように、右固定板71Dがフレーム部2Dの右側板22Dと、左固定板72Dがフレーム部2Dの左側板23Dと、底固定板73Dがフレーム部2Dの底板21Dと、それぞれボルト94によって固定される。このため、取付用アタッチメント50Dは、ウインチ固定部7Dの右固定板71D、左固定板72D、底固定板73Dによってウインチ10Dをこの取付用アタッチメント50へ固定することができる。
【0076】
この時、ウインチ10Dの右側板22Dと左側板23Dが固定される右固定板71Dと左固定板72Dは上面板74で一体となっており、この上面板74は、庇板82の角度調整孔83を介してボルト93で固定されている。また、ウインチ10Dの底板21Dは、底固定板73Dに形成された角度調整孔84を介してボルト94で固定されている。
【0077】
つまり、ウインチ10Dは、ウインチ固定部7Dの角度調整孔83を介してボルト93で、また、ウインチ固定部7Dの角度調整孔84を介してボルト94で固定されることになる。したがって、角度調整孔83における左右のボルト93の位置を左右で異ならせ、また、このボルト93の位置に対応させて、角度調整孔84側でも左右のボルト94の位置を左右で異ならせることで、ウインチ10Dの固定角度(ウインチ10Dの正面の角度)を変えることができる。つまり、例えば、右固定板71D側のボルト93は後方側に、左固定板72D側のボルト93は前方側にずらして固定することで、ウインチ10Dの正面が右側に傾くことになる。
【0078】
このように、取付用アタッチメント50Dには、角度調整孔83、84からなるウインチ10Dの取付角度を調整する角度調整手段がウインチ固定部7Dに設けられている。したがって、安全柵ADの水平バーA1Dの左右方向におけるどの位置に取り付けたとしても、ウインチ10Dの角度を調整して固定することができる。また、取付対象物が安全柵AD以外であったとしても、ウインチ10Dの角度を調整して固定することができる。
【0079】
ウインチ固定部7Dが有する角度調整手段についてもう少し詳しく述べる。本発明における集材用作業車は、ブームとアームとによる屈曲動作で弛んだワイヤを巻き取ることにより集材作業を行うことになる。したがって、ワイヤを巻き取るウインチの理想的な位置は、ブームとアームとの同一線上であるが、ウインチ10Dの取付位置は、様々な制約を受けるため、ブームとアームとの同一線上に必ずしも取付られるわけではない。このため、本実施形態の安全柵ADのようにブームとアームとの同一線上から外れてウインチ10Dを固定した場合に、ウインチ10Dが正面を向いたままでは、ワイヤの巻き取りがスムーズに行えない状況が生じ得る。したがって、角度調整手段によりウインチ10Dの正面を若干ブームとアーム側に向けて固定することで、ワイヤの巻き取りをスムーズに行うことができる。なお、角度調整手段については、当然ながら本実施形態の構成に限定されるわけではなく、例えば、ウインチ固定部が鉛直方向の回転軸を介して基板8に支持されることでウインチ固定部自身の角度を変えることでウインチ10Dの角度を調整する構成等を採用することもできる。
【0080】
また、本実施形態では、
図6に示すように、取付部6Dを取付対象物である安全柵ADへ着脱可能に固定する取付治具BDとして、取付用アタッチメント50Dと一体に設けられた取付治具BDを介して安全柵ADに取り付けられている。
【0081】
取付治具BDは、具体的には、基板8の裏面側に溶接で固定された長い板状の固定棒51と、長い板状の着脱棒52からなる。そして、この固定棒51と着脱棒52は、それぞれに設けられた一対の長孔の固定孔を介してボルト95で固定可能となっている。したがって、
図7に示すように、まず取付用アタッチメント50Dのフック部62Dを安全柵ADの水平バーA1Dに係合し、次に安全柵ADに取付用アタッチメント50Dが接触した状態で、固定棒51と安全柵ADの裏面側に配置した着脱棒52とで垂直バーA2Dを挟み込んで固定することで、ウインチ10Dを安全柵ADへ固定することができる。この時、ボルト95のネジ部が貫通する固定孔が長孔となっているので、垂直バーA2Dとの干渉を回避して固定することができる。
【0082】
そして、ウインチ10Dは、取付治具BDの固定棒51から着脱棒52を外すことにより、取付用アタッチメント50Dに固定されたウインチ10Dの安全柵ADへの固定を解除することができる。
【0083】
このように、ウインチ10Dは、集材用作業車からの着脱を非常に容易に行うことができ、また、集材用作業車においては、ウインチ10Dの着脱が非常に容易となっている。
【0084】
なお、本実施形態においては、集材用作業車における取付対象物として安全柵ADとしているが、必ずしも安全柵ADに限定されるわけではない。例えば、安全柵ADの有無に関わらず、運転席の前に逆U字状の保護用ボールが取り付けられている集材用作業車も多く、この保護用ポールを取付対象物としてウインチ10Dの固定に用いることもできる。
【0085】
また、本実施形態においては、固定棒51と着脱棒52からなる取付治具BDを用いたが、第1実施形態のようなバンドからなる取付治具Bを用いることもできる。また、本実施形態においては、取付治具Bを構成する固定棒51は基板8に溶接で固定されていたが、固定棒51が基板8から着脱可能な構成としてもよく、取付治具としてバンドを用いる場合には、着脱可能な固定棒51を基板8から外して用いてもよい。また、取付治具として本実施形態の取付治具BDやバンドの他、例えば針金のような糸状のものを用いても構わない。
【0086】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のウインチ10Eを、
図8を用いて説明する。
図8はウインチ10Eの左前斜視図である。第5実施形態のウインチ10Eにおいては、第1実施形態や他の実施形態と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「E」を付す。また、ウインチ10Eは、第3実施形態の取付対象物であるウインチ載置板ACと同様のウインチ載置板AEに固定される例を示している。
【0087】
ウインチ10Eは、第1実施形態のウインチ10と同様、ボビン部1Eと、フレーム部2Eと、モータ部3Eと、からなり、このフレーム部2Eは、底板21E、右側板22E、左側板23E、連結棒24E、ガイド25Eで構成されている。そして、このウインチ10Eは、ウインチ載置板AEに取付用アタッチメント50Eを介して取り付けられている。
【0088】
この取付用アタッチメント50Eは、ウインチ載置板AEへ取り付けられる取付部6Eと、この取付用アタッチメント50Eにウインチ10Eを固定するウインチ固定部7Eが一体で形成されている。
【0089】
この取付部6Eは、第4実施形態の基板8と同様に、略垂直に延びる矩形状の金属板8Eで形成されたものである。そして、基板8Eの上方には、ウインチ10E側に伸びる庇板82Eが基板8Eにボルト93Eで固定されている。また、庇板82Eには、前後方向に伸びる長孔状の角度調整孔83Eが2つ形成されており、この角度調整孔83Eは前方に向かって若干内側に傾斜している。
【0090】
ウインチ固定部7Eは、第4実施形態のウインチ固定部7Dと同様に、右固定板71Eと左固定板72Eが金属板の両端を曲げたコの字状部材の両端で形成されている。そして、右固定板71Eと左固定板72Eとを繋ぐ面が上面板74Eとなる。この上面板74Eは、庇板82Eの角度調整孔83Eを介して取付板6Eにボルト93Eで固定されている。
【0091】
また、
図8では図示していないが、ウインチ固定部7Eは、第4実施形態と同様に基板8Eの下方に溶接により固定された底固定板73Eが備わっている。そして、この底固定板73Eには、2つの角度調整孔83Eと同じ位置に同じ大きさで形成された2つの長孔からなる角度調整孔84E(図示せず)が設けられている。
【0092】
そして、
図8に示すように、右固定板71Eがフレーム部2Eの右側板22Eと、左固定板72Eがフレーム部2Eの左側板23Eと、底固定板73Eがフレーム部2Eの底板21Eと、それぞれボルト94Eによって固定される。
【0093】
この時、ウインチ10Eは、第4実施形態のウインチ10Dと同様に、ウインチ固定部7Eの角度調整孔83Eを介してボルト93Eで、また、ウインチ固定部7Eの角度調整孔84E(図示せず)を介してボルト94E(図示せず)で固定されることになる。したがって、角度調整孔83Eにおけるボルト93Eの位置と、角度調整孔84Eにおけるボルト94Eの位置とにより、ウインチ10Eの固定角度(ウインチ10Eの正面の角度)を変えることができる。
【0094】
このように、取付用アタッチメント50Eにも、取付用アタッチメント50Dと同様に、角度調整孔83E、84Eからなるウインチ10Eの取付角度を調整する角度調整手段をウインチ固定部7Eが備えた構成となっている。
【0095】
また、本実施形態においては、取付用アタッチメント50Eの取付部6Eを形成する基板8Eが、ウインチ10Eのフレーム部2Eを構成する背面板27Eとしても機能することにもなる。
【0096】
そして、本実施形態においても第3実施形態と同様に、ウインチ載置板AEからなる取付対象物を備えた集材用作業車に対し、ウインチ10Eの取り付けは、まず、水平面AE1に取付用アタッチメント50Eに固定されたウインチ10Eを載置するとともに垂直面AE3にウインチ10Eの背面板27Eとしても機能する取付用アタッチメント50Eの取付部6Eの基板8Eを接触させる。そして、図示していないバンドからなる取付治具BEによって、ウインチ載置板AEへ付勢して行われることになる。なお、本実勢形態においても、第1実施形態と同様、フレーム部2Eに取付治具設置部が備わっている。
【0097】
以上のように、本発明におけるウインチや集材用作業車は、特許文献1~3のように、集材用作業車の取付対象物に対して、ボルトや溶接のように強固に直接固定するものではなく、取付対象物と接触する取付部と、ウインチを固定するウインチ固定部と、取付部を取付対象物へ着脱可能に固定する取付治具と、からなる取付用アタッチメントを用いてウインチの取付を行う構成となっている。したがって、取付治具での固定を解除することでウインチを取り外すことができ、また、ウインチ固定部での固定を解除することでもウインチを取り外すことができる。
【0098】
なお、実施形態においては、ウインチと取付用アタッチメントを別体として説明したが、本発明は取付用アタッチメントを備えたウインチとすることもできる。この場合、取付用アタッチメントのウインチ固定部はウインチのフレーム部に固定されていることになる。
【符号の説明】
【0099】
100:集材用作業車
10:ウインチ
1:ボビン部
2:フレーム部
21:底板
22:右側板
23:左側板
24:連結棒
25:ガイド
27:背面板
3:モータ部
4:取付治具設置部
50:取付用アタッチメント
51:固定棒
52:着脱棒
6:取付部
61:垂直面部
62:フック部
7:ウインチ固定部
71:右固定板
72:左固定板
73:底板固定板
8:基板
81:幅調整孔
82:庇板
83、84:角度調整孔
91、92、93、94:ボルト
A、AD:安全柵
AC、AE:ウインチ載置板
B、BB、BD:取付治具