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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088418
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6474 20110101AFI20230620BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20230620BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230620BHJP
【FI】
H01R13/6474
H01R13/6581
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203102
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城田 昌直
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
(72)【発明者】
【氏名】山下 真直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC23
5E223AA01
5E223AB60
5E223DB13
5E223EB12
(57)【要約】
【課題】インピーダンスの不整合を抑制する。
【解決手段】シールドコネクタ1は、細長い金属板を板厚方向に屈曲させた形状であり、屈曲部53から互いに異なる方向へ延出した第1接続部51と第2接続部52とを有する内導体50,69と、内導体50,69が取り付けられる誘電体31,66と、誘電体31,66を包囲する外導体16とを備え、誘電体31,66は、第1接続部51を全周に亘って包囲するように収容する第1端子収容部46と、第2接続部52を収容する第2端子収容部35とを有し、第1端子収容部46は、第2端子収容部35と一体に成形された本体部材32,67と、本体部材32,67に対して第1接続部51の長手方向と交差する方向に組み付けられるカバー部材33,68とを備えて構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い金属板を板厚方向に屈曲させた形状であり、屈曲部から互いに異なる方向へ延出した第1接続部と第2接続部とを有する内導体と、
前記内導体が取り付けられる誘電体と、
前記誘電体を包囲する外導体とを備え、
前記誘電体は、前記第1接続部を全周に亘って包囲するように収容する第1端子収容部と、前記第2接続部を収容する第2端子収容部とを有し、
前記第1端子収容部は、前記第2端子収容部と一体に成形された本体部材と、前記本体部材に対して前記第1接続部の長手方向と交差する方向に組み付けられるカバー部材とを備えて構成されているシールドコネクタ。
【請求項2】
前記第1端子収容部と前記第1接続部には、前記第1接続部が前記第1端子収容部に対して前記第1接続部の長手方向へ相対変位することを規制する保持部が形成されている請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1接続部の側縁部を切り欠いた形状の切欠部と、前記第1端子収容部に形成され、前記切欠部を嵌合させる嵌合部とを備えて構成されている請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記保持部は、前記第1接続部に形成した係止孔と、前記第1端子収容部に形成され、前記係止孔に収容される係止突部とを備えて構成されている請求項2又は請求項3に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記係止孔が、前記第1接続部の長手方向に間隔を空けた円形の位置決め用係止孔と、長円形の公差吸収用係止孔とを含み、
円形をなす2つの前記係止突部のうち一方の前記係止突部が、前記位置決め用係止孔に対して二次元方向への相対変位を規制された状態に嵌合し、
円形をなす2つの前記係止突部のうち他方の前記係止突部が、前記公差吸収用係止孔に対して一方向への相対変位を規制された状態に嵌合される請求項4に記載のシールドコネクタ。
【請求項6】
前記本体部材には、前記第2接続部の延出方向とは反対方向へ開口し、前記第1接続部を収容する収容溝が形成され、
前記第2端子収容部には、前記第2接続部の延出端部を位置決めする位置決め部が形成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【請求項7】
前記位置決め部が、前記第2接続部の前記延出端部を貫通させる孔形状をなしている請求項6に記載のシールドコネクタ。
【請求項8】
前記第1接続部と前記第2接続部が、互いに鈍角をなす向きに延出している請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【請求項9】
前記第2端子収容部が、前記第2接続部の長手方向に沿い、且つ前記第1接続部の延出方向とは反対方向へ開放された溝状をなしている請求項8に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屈曲した形状の内導体端子と、内導体端子を収容する誘電体とを備えたシールドコネクタが開示されている。内導体端子は、内導体端子の屈曲部を押すことによって誘電体内に挿入されている。内導体端子は、金属板材をL字形に打ち抜いたものである。屈曲部において押圧力を付与する部位は、内導体端子の板厚方向と直角方向である。したがって、屈曲部に押圧力を付与したときに、内導体端子が変形する虞がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-146878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内導体端子が、金属製の平板部材を板厚方向に屈曲させて成形したものである場合、押圧部位が、板厚方向と同じ方向となる。そのため、内導体端子が、屈曲部に付与した押圧力によって変形する虞がある。この対策としては、内導体端子の幅方向両側縁部を方形状に切り欠いて、幅狭部を形成し、幅狭部の前端の段差部を押圧することが考えられる。しかし、この場合、内導体端子のうち幅狭部が形成されている領域と、内導体端子における幅狭部以外の領域との間でインピーダンスが不整合となり、通信性能が低下することが懸念される。
【0005】
本開示のシールドコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、インピーダンスの不整合を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールドコネクタは、
細長い金属板を板厚方向に屈曲させた形状であり、屈曲部から互いに異なる方向へ延出した第1接続部と第2接続部とを有する内導体と、
前記内導体が取り付けられる誘電体と、
前記誘電体を包囲する外導体とを備え、
前記誘電体は、前記第1接続部を全周に亘って包囲するように収容する第1端子収容部と、前記第2接続部を収容する第2端子収容部とを有し、
前記第1端子収容部は、前記第2端子収容部と一体に成形された本体部材と、前記本体部材に対して前記第1接続部の長手方向と交差する方向に組み付けられるカバー部材とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インピーダンスの不整合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1のシールドコネクタの組付け状態の斜視図である。
図2図2は、シールドコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、大型誘電体と大型内導体を分離した状態の斜視図である。
図4図4は、小型誘電体と小型内導体を分離した状態の斜視図である。
図5図5は、シールドコネクタの組付け状態の背面図である。
図6図6は、シールドコネクタの組付け状態の底面図である。
図7図7は、図5のA-A線断面図である。
図8図8は、大型本体部材に大型内導体を組み付けた状態の平面図である。
図9図9は、実施例1の大型内導体と比較対象内導体の特性インピーダンスをあらわすグラフである。
図10図10は、実施例2のシールドコネクタの分解斜視図である。
図11図11は、大型誘電体と大型内導体を分離した状態の斜視図である。
図12図12は、小型誘電体と小型内導体を分離した状態の斜視図である。
図13図13は、シールドコネクタの組付け状態の背面図である。
図14図14は、シールドコネクタの組付け状態の底面図である。
図15図15は、図13のB-B線断面図である。
図16図16は、大型本体部材に大型内導体を組み付けた状態をあらわす平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のシールドコネクタは、
(1)細長い金属板を板厚方向に屈曲させた形状であり、屈曲部から互いに異なる方向へ延出した第1接続部と第2接続部とを有する内導体と、前記内導体が取り付けられる誘電体と、前記誘電体を包囲する外導体とを備え、前記誘電体は、前記第1接続部を全周に亘って包囲するように収容する第1端子収容部と、前記第2接続部を収容する第2端子収容部とを有し、前記第1端子収容部は、前記第2端子収容部と一体に成形された本体部材と、前記本体部材に対して前記第1接続部の長手方向と交差する方向に組み付けられるカバー部材とを備えて構成されている。本開示の構成によれば、内導体を誘電体に組み付ける際には、内導体を板厚方向に押圧することなく、第1接続部を第1端子収容部に収容することができる。内導体における屈曲部又は屈曲部の近傍部位には、内導体を板厚方向へ押圧するための段差部を形成する必要がない。したがって、内導体のうち第1接続部と屈曲部と第2接続部とが連なる領域の幅寸法を、一定幅となるように設定することができる。これにより、内導体の屈曲部におけるインピーダンスの不整合を抑制することができる。
【0010】
(2)前記第1端子収容部と前記第1接続部には、前記第1接続部が前記第1端子収容部に対して前記第1接続部の長手方向へ相対変位することを規制する保持部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、保持部によって、第1端子収容部に第1接続部を確実に保持することができる。
【0011】
(3)(2)において、前記保持部は、前記第1接続部の側縁部を切り欠いた形状の切欠部と、前記第1端子収容部に形成され、前記切欠部を嵌合させる嵌合部とを備えて構成されていることが好ましい。この構成によれば、切欠部と嵌合部との係止作用によって、内導体を誘電体に対して位置決めした状態に保持することができる。
【0012】
(4)(2)又は(3)において、前記保持部は、前記第1接続部に形成した係止孔と、前記第1端子収容部に形成され、前記係止孔に収容される係止突部とを備えて構成されていることが好ましい。この構成によれば、係止孔と係止突部との係止作用によって、内導体を誘電体に対して位置決めした状態に保持することができる。
【0013】
(5)(4)において、前記係止孔が、前記第1接続部の長手方向に間隔を空けた円形の位置決め用係止孔と、長円形の公差吸収用係止孔とを含み、円形をなす2つの前記係止突部のうち一方の前記係止突部が、前記位置決め用係止孔に対して二次元方向への相対変位を規制された状態に嵌合し、円形をなす2つの前記係止突部のうち他方の前記係止突部が、前記公差吸収用係止孔に対して一方向への相対変位を規制された状態に嵌合されることが好ましい。この構成によれば、2つの係止突部の間隔にバラツキがあっても、公差吸収用係止孔によって吸収することができる。
【0014】
(6)前記本体部材には、前記第2接続部の延出方向とは反対方向へ開口し、前記第1接続部を収容する収容溝が形成され、前記第2端子収容部には、前記第2接続部の延出端部を位置決めする位置決め部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、第1接続部を収容溝に収容する過程で、第2接続部の延出端部を位置決め部によって位置決めすることができる。
【0015】
(7)(6)において、前記位置決め部が、前記第2接続部の前記延出端部を貫通させる孔形状をなしていることが好ましい。この構成によれば、第2接続部の延出端部を二次元方向において位置決めすることができる。
【0016】
(8)前記第1接続部と前記第2接続部が、互いに鈍角をなす向きに延出していることが好ましい。この構成によれば、第1接続部の延出端と第2接続部の延出端の位置を一定としたときに、第1接続部と第2接続部が直角をなす向きに延出するものよりも、内導体の全長を短くすることができる。また、内導体の屈曲部では、両接続部よりもインピーダンスが低くなるのであるが、屈曲部が両接続部を鈍角状に繋いでいるので、両接続部を直角に繋ぐものに比べるとインピーダンスの低下が抑制されている。これにより、両接続部と屈曲部との間におけるインピーダンスの不整合を小さく抑えることができる。
【0017】
(9)(8)において、前記第2端子収容部が、前記第2接続部の長手方向に沿い、且つ前記第1接続部の延出方向とは反対方向へ開放された溝状をなしていることが好ましい。この構成によれば、第2端子収容部を2部材で構成しなくても、第1接続部を、その板厚方向に移動させながら本体部材に組み付ける過程で、第2接続部を第2端子収容部に収容することができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1を、図1図9を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、前後の方向については、図1~4,6~8におけるX軸の正方向を前方と定義する。左右の方向については、図1~6,8におけるY軸の正方向を右方と定義する。上下の方向については、図1~5,7におけるZ軸の正方向を上方と定義する。
【0019】
本実施例1のシールドコネクタ1は、図1に示すように、1つのフード部材10と、1つのシールド端子15とを組み付けて構成されている。図1,7に示すように、フード部材10は、基部11と筒形接続部12とを有する単一部品である。基部11は、厚さ方向を前後方向に向けた壁状をなす。基部11には、4つの貫通孔13が上下左右に整列して形成されている。筒形接続部12は、基部11の外周縁から前方へ角筒状に突出している。
【0020】
図2に示すように、シールド端子15は、1つの外導体16と、左右に並ぶ一対の大型端子モジュール30と、左右に並ぶ一対の小型端子モジュール65とを組み付けて構成されている。外導体16は、ダイキャスト製の単一部品である。外導体16は、後面及び下面が開放された箱形本体部17と、箱形本体部17から前方へ角筒状に突出した4つの接続ポート18とを有する。図5,6に示すように、箱形本体部17の内部は、仕切壁19によって左右2つの収容空間20に仕切られている。4つの接続ポート18は、上下左右に整列配置されている。接続ポート18は、収容空間20に連通している。
【0021】
<大型端子モジュール30>
図2,3に示すように、大型端子モジュール30は、大型誘電体31と、大型内導体50と、導電性プレート59とを組み付けて構成されている。大型誘電体31は、大型本体部材32と、大型カバー部材33とを上下に組み付けて構成されている。大型本体部材32は、端子受け部34と、端子受け部34の後端から下方へ延出した形状の第2端子収容部35とを有する単一部品である。端子受け部34の左右両外側面には、一対のロック突起36が形成されている。
【0022】
端子受け部34の上面には、前後方向に延びる左右一対の第1収容溝37が形成されている。第1収容溝37の溝底面は、前後方向に延びている。第1収容溝37の前端は端子受け部34の前面に開放され、第1収容溝37の後端は端子受け部34の後面に開放されている。第1収容溝37は、全長に亘って上方へ開放されている。図3,8に示すように、第1収容溝37内には、第1収容溝37の左右両内側面から突出した一対の嵌合部38が形成されている。大型本体部材32を上から見た平面視において、嵌合部38は長方形をなす。嵌合部38の前面と後面は、前後方向に対して直交する平面によって構成されている。
【0023】
図3,7に示すように、第2端子収容部35には、上下方向に延びる左右一対の第2収容溝39が形成されている。第2収容溝39は、第1収容溝37の後端から斜め下後方へ延びる傾斜溝部40と、傾斜溝部40の下端から下方へ延びる鉛直溝部41とを有する。図7に示すように、大型本体部材32を側方から見た側面視において、傾斜溝部40の溝底面は、第1収容溝37の溝底面に対して鈍角をなして連なっている。鉛直溝部41の溝底面は、第1収容溝37の溝底面と直角をなし、傾斜溝部40の溝底面に対して鈍角をなして連なっている。第2収容溝39は、上方及び後方へ開放されている。第2収容溝39の上方への開放方向は、第1収容溝37の開放方向と同じ方向である。
【0024】
第2収容溝39の下端部には、第2収容溝39の内部と大型本体部材32の外部とを仕切る底壁部42が形成されている。底壁部42には、左右一対の位置決め部43が形成されている。位置決め部43は、底壁部42を上下方向に貫通した孔状をなしている。
【0025】
図3に示すように、大型カバー部材33は、板状の蓋部44と、蓋部44の左右両側縁から下方へ延出した一対のロックアーム45とを有する単一部品である。大型カバー部材33は、大型本体部材32に対して端子受け部34を上から覆うように組み付けられる。大型カバー部材33を大型本体部材32に組み付けた状態では、ロックアーム45がロック突起36に係止することによって、大型カバー部材33と大型本体部材32が組付け状態にロックされる。蓋部44は、第1収容溝37の開口部を覆い隠す。端子受け部34と蓋部44とによって、左右一対の第1端子収容部46が構成される。
【0026】
図3,7に示すように、大型内導体50は、1枚の細長い金属板材からなり、金属板材の板厚方向と同方向に曲げることによって成形した単一部品である。大型内導体50は、第1接続部51と、第2接続部52と、屈曲部53とを有する。第1接続部51は、前後方向に細長く延びた形状である。第1接続部51の前端部には、幅狭のタブ54が形成されている。図3,8に示すように、第1接続部51の前後方向中央部には、左右対称な一対の切欠部55が形成されている。切欠部55は、第1接続部51の左右両側縁部を切り欠いた形状であり、平面視形状は長方形である。第1接続部51の切欠部55における幅寸法は、第1接続部51のうち切欠部55よりも後方の領域の幅寸法よりも小さい寸法である。第1接続部51のうち切欠部55の前端とタブ54の後端との間の領域は、前方に向かって幅寸法が小さくなるような台形をなしている。
【0027】
第2接続部52は、第1接続部51の後端から下方へ延出している。第2接続部52の上端と第1接続部51の後端とは、屈曲部53を介して連なっている。側面視において、第1接続部51の後端部と第2接続部52の上端部は、鈍角をなして連なっている。第2接続部52は、第2接続部52の上端側部位を構成する直線状の傾斜部56と、第2接続部52の下端側部位を構成する直線状の鉛直部57とを有する。傾斜部56と第1接続部51は90°に近い鈍角をなして連なっている。鉛直部57は、傾斜部56に対して180°に近い鈍角をなして連なっている。鉛直部57と第1接続部51は直角をなしている。鉛直部57の下端部には、幅狭の基板接続部58が形成されている。
【0028】
大型内導体50の幅寸法については、第1接続部51のうち切欠部55よりも後方の全領域と、傾斜部56の全領域と、屈曲部53と、鉛直部57のうち基板接続部58よりも上方の領域とが、同一の幅寸法に設定されている。したがって、これらの領域におけるインピーダンスは、概ね整合している。
【0029】
導電性プレート59は、金属板材に曲げ加工を施して成形した単一部品であり、外導体16としての機能を有する。図2に示すように、導電性プレート59は、基板部60と、基板部60の左右両側縁から後方へ延出した一対の側板部61とを有している。導電性プレート59は、大型本体部材32に対して前方から圧入によって組み付けられている。基板部60は、第2端子収容部35の前面に密着するように配置され、側板部61は、第2端子収容部35の左右両外側面に密着するように配置されている。
【0030】
<小型端子モジュール65>
小型端子モジュール65は、小型誘電体66と、小型内導体69とを組み付けて構成されている。図2,4に示すように、小型誘電体66は、小型本体部材67と、小型カバー部材68とを上下に組み付けて構成されている。小型本体部材67は、端子受け部34と、端子受け部34の後端から下方へ突出した形状の第2端子収容部35とを有する単一部品である。端子受け部34の左右両外側面には、一対のロック突起36が形成されている。
【0031】
端子受け部34の上面には、前後方向に延びる左右一対の第1収容溝37が形成されている。第1収容溝37の溝底面は、前後方向に延びている。第1収容溝37の前端は端子受け部34の前面に開放され、第1収容溝37の後端は端子受け部34の後面に開放されている。第1収容溝37は、全長に亘って上方へ開放されている。第1収容溝37内には、第1収容溝37の左右両内側面から突出した一対の嵌合部38が形成されている。大型本体部材32を上から見た平面視において、嵌合部38は長方形をなす。嵌合部38の前面と後面は、前後方向に対して直交する平面によって構成されている。
【0032】
第2端子収容部35には、上下方向に延びる左右一対の第2収容溝39が形成されている。図7に示すように、第2収容溝39は、第1収容溝37の後端から斜め下後方へ延びる傾斜溝部40と、傾斜溝部40の下端から下方へ延びる鉛直溝部41とを有する。大型本体部材32を側方から見た側面視において、傾斜溝部40の溝底面は、第1収容溝37の溝底面に対して鈍角をなして連なっている。鉛直溝部41の溝底面は、第1収容溝37の溝底面と直角をなし、傾斜溝部40の溝底面に対して鈍角をなして連なっている。第2収容溝39は、上方及び後方へ開放されている。第2収容溝39の上方への開放方向は、第1収容溝37の開放方向と同じ方向である。
【0033】
第2収容溝39の下端部には、第2収容溝39の内部と小型本体部材67の外部とを仕切る底壁部42が形成されている。底壁部42には、左右一対の位置決め部43が形成されている。位置決め部43は、底壁部42を上下方向に貫通した孔状をなしている。
【0034】
小型カバー部材68は、板状の蓋部44と、蓋部44の左右両側縁から下方へ延出した一対のロックアーム45とを有する単一部品である。小型カバー部材68は、小型本体部材67に対して端子受け部34を上から覆うように組み付けられる。小型カバー部材68を小型本体部材67に組み付けた状態では、ロックアーム45がロック突起36に係止することによって、小型カバー部材68と小型本体部材67が組付け状態にロックされる。蓋部44は、第1収容溝37の開口部を覆い隠す。端子受け部34と蓋部44とによって、左右一対の第1端子収容部46が構成される。
【0035】
図4,7に示すように、小型内導体69は、1枚の細長い金属板材からなり、金属板材の板厚方向と同方向に曲げることによって成形した単一部品である。小型内導体69は、第1接続部51と、第2接続部52と、屈曲部53とを有する。第1接続部51は、前後方向に細長く延びた形状である。第1接続部51の前端部には、幅狭のタブ54が形成されている。第1接続部51の前後方向中央よりも後端側の部位には、左右対称な一対の切欠部55が形成されている。切欠部55は、第1接続部51の左右両側縁部を切り欠いた形状であり、平面視形状は長方形である。第1接続部51の切欠部55における幅寸法は、第1接続部51のうち切欠部55よりも後方の領域の幅寸法よりも小さい寸法である。第1接続部51のうち切欠部55の前端とタブ54の後端との間の領域は、前方に向かって幅寸法が小さくなるような台形をなしている。
【0036】
第2接続部52は、第1接続部51の後端から下方へ延出している。第2接続部52の上端部と第1接続部51の後端部とは、屈曲部53を介して連なっている。側面視において、第1接続部51の後端部と第2接続部52の上端部は、鈍角をなして連なっている。第2接続部52は、第2接続部52の上端側部位を構成する直線状の傾斜部56と、第2接続部52の下端側部位を構成する直線状の鉛直部57とを有する。傾斜部56と第1接続部51は90°に近い鈍角をなして連なっている。鉛直部57は、傾斜部56に対して180°に近い鈍角をなして連なっている。鉛直部57と第1接続部51は直角をなしている。鉛直部57のうち上端部を除いた領域には、幅狭の基板接続部58が形成されている。
【0037】
小型内導体69の幅寸法については、第1接続部51のうち切欠部55よりも後方の全領域と、傾斜部56の全領域と、屈曲部53と、鉛直部57のうち基板接続部58よりも上方の領域とが、同一の幅寸法に設定されている。したがって、これらの領域におけるインピーダンスは、概ね整合している。
【0038】
<実施例1の作用及び効果>
大型端子モジュール30の組付け手順を説明する。大型カバー部材33を大型本体部材32から外した状態で、大型内導体50を大型本体部材32に対して上方から仮組みする。このとき、大型内導体50の第1接続部51を第1収容溝37に嵌め込み、第2接続部52を第2収容溝39に嵌め込み、第2接続部52の基板接続部58を位置決め部43に挿入する。第2収容溝39は第1収容溝37と交差する方向へ延びているが、第2収容溝39は、後方だけでなく、第1収容溝37と同じく上方へも開放されているので、第2接続部52の組付けに支承はない。第2収容溝39内では、傾斜部56の全体が傾斜溝部40に収容され、鉛直部57のうち基板接続部58よりも上方の部位が、鉛直溝部41に収容される。
【0039】
大型内導体50を大型本体部材32に組み付けた後に、大型カバー部材33を大型本体部材32に組み付ける。大型カバー部材33と大型本体部材32は、ロックアーム45とロック突起36との係止によって、組付け状態に保持される。これにより、大型誘電体31の組付けが完了すると同時に、大型内導体50と大型誘電体31が一体化される。大型内導体50と大型誘電体31の組付けと前後して、導電性プレート59を大型本体部材32に組み付ける。以上により、大型端子モジュール30の組付けが完了する。
【0040】
大型カバー部材33の蓋部44が第1収容溝37の上面の開口を塞ぐことによって、第1端子収容部46が構成される。第1端子収容部46内には、第1接続部51が収容される。第1接続部51は、蓋部44によって上方への離脱を規制される。第1端子収容部46内では、切欠部55と嵌合部38との嵌合によって、大型内導体50(第1接続部51)が、大型誘電体31に対して前後方向及び左右方向への相対移動を規制される。タブ54は、第1端子収容部46から前方へ突出する。基板接続部58は、位置決め部43に嵌合させることによって、前後方向及び左右方向において位置決めされる。第2端子収容部35の下端面から下方へ突出し、回路基板(図示省略)に対して接続可能となる。
【0041】
次に、小型端子モジュール65の組付け手順を説明する。小型カバー部材68を小型本体部材67から外した状態で、小型内導体69を小型本体部材67に対して上方から仮組みする。このとき、小型内導体69の第1接続部51を第1収容溝37に嵌め込み、第2接続部52を第2収容溝39に嵌め込み、第2接続部52の基板接続部58を位置決め部43に挿入する。第2収容溝39は第1収容溝37と交差する方向へ延びているが、第2収容溝39は、後方だけでなく、第1収容溝37と同じく上方へも開放されているので、第2接続部52の組付けに支承はない。第2収容溝39内では、傾斜部56の全体が傾斜溝部40に収容され、鉛直部57のうち基板接続部58よりも上方の部位が、鉛直溝部41に収容される。
【0042】
小型内導体69を小型本体部材67に組み付けた後に、小型カバー部材68を小型本体部材67に組み付ける。小型カバー部材68と小型本体部材67は、ロックアーム45とロック突起36との係止によって、組付け状態に保持される。これにより、小型誘電体66の組付けが完了すると同時に、小型導体と小型誘電体66が一体化される。以上により、小型端子モジュール65の組付けが完了する。
【0043】
小型カバー部材68の蓋部44が第1収容溝37の上面の開口を塞ぐことによって、第1端子収容部46が構成される。第1端子収容部46内には、第1接続部51が収容される。第1接続部51は、蓋部44によって上方への離脱を規制される。第1端子収容部46内では、切欠部55と嵌合部38との嵌合によって、小型内導体69(第1接続部51)が、小型誘電体66に対して前後方向及び左右方向への相対移動を規制される。タブ54は、第1端子収容部46から前方へ突出する。基板接続部58は、位置決め部43に嵌合させることによって、前後方向及び左右方向において位置決めされる。第2端子収容部35の下端面から下方へ突出し、回路基板(図示省略)に対して接続可能となる。
【0044】
大型端子モジュール30と小型端子モジュール65の組付けが完了した後、両端子モジュール30,65を外導体16に組み付ける。組付けの際には、まず、小型端子モジュール65の第1端子収容部46を、外導体16の後方から収容空間20内に挿入し、下段側の接続ポート18に嵌合させる。第1端子収容部46から突出したタブ54が、接続ポート18内に収容される。第2端子収容部35は、収容空間20内に収容される。次に、大型端子モジュール30の第1端子収容部46を、外導体16の後方から収容空間20内に挿入し、上段側の接続ポート18に嵌合させる。第1端子収容部46から突出したタブ54が、接続ポート18内に収容される。第2端子収容部35は、収容空間20内に収容される。以上により、シールド端子15の組付けが完了する。
【0045】
両端子モジュール30,65と外導体16との組付けと前後して、外導体16とフード部材10とを組み付ける。組付けの際には、各接続ポート18を、フード部材10の貫通孔13に嵌合し、箱形本体部17の前面をフード部材10の基部11の後面に密着させた状態に保持する。以上により、シールドコネクタ1の組付けが完了する。
【0046】
<実施例1の作用及び効果>
本実施例1のシールドコネクタ1は、大型内導体50と、大型誘電体31と、外導体16と、小型内導体69と、小型誘電体66とを備えている。大型内導体50と小型内導体69は、細長い金属板を板厚方向に屈曲させた形状であり、屈曲部53から互いに異なる方向へ延出した第1接続部51と第2接続部52とを有する。大型誘電体31には大型内導体50が取り付けられ。小型誘電体66には小型内導体69が取り付けられる。外導体16は、大型誘電体31と小型誘電体66を包囲して、シールド機能を発揮する。
【0047】
大型誘電体31と小型誘電体66は、第1接続部51を全周に亘って包囲するように収容する第1端子収容部46と、第2接続部52を収容する第2端子収容部35とを有している。大型誘電体31の第1端子収容部46は、第2端子収容部35と一体に成形された大型本体部材32と、大型本体部材32に対して第1接続部51の長手方向と交差する方向に組み付けられる大型カバー部材33とを備えている。小型誘電体66の第1端子収容部46は、第2端子収容部35と一体に成形された小型本体部材67と、小型本体部材67に対して第1接続部51の長手方向と交差する方向に組み付けられる小型カバー部材68とを備えている。
【0048】
大型内導体50を大型誘電体31に組み付ける際には、大型内導体50を板厚方向に押圧することなく、第1接続部51を第1端子収容部46に収容することができる。大型内導体50における屈曲部53又は屈曲部53の近傍部位には、大型内導体50を板厚方向へ押圧するための段差部を形成する必要がない。したがって、大型内導体50のうち第1接続部51と屈曲部53と第2接続部52とが連なる領域の幅寸法を、一定幅となるように設定することが実現できた。これにより、大型内導体50の屈曲部53におけるインピーダンスの不整合を抑制することができる。
【0049】
小型誘電体66に対する小型内導体69の組付けも、大型誘電体31に対する大型内導体50の組付けと同じ手順で行われる。小型内導体69における屈曲部53又は屈曲部53の近傍部位には、小型内導体69を板厚方向へ押圧するための段差部を形成する必要がない。したがって、小型内導体69のうち第1接続部51と屈曲部53と第2接続部52とが連なる領域の幅寸法を、一定幅となるように設定することが実現できた。これにより、小型内導体69の屈曲部53におけるインピーダンスの不整合を抑制することができる。
【0050】
図9に示すグラフは、本実施例1の大型内導体50における特性インピーダンスと、本実施例1とは異なる形状の比較対象内導体(図示省略)の特性インピーダンスと比較をあらわす。図9において、実線は、大型内導体50の特性インピーダンスをあらわし、破線は、比較対象内導体の特性インピーダンスをあらわす。比較対象内導体の基本形状と寸法は、本実施例1の大型内導体50と同じである。両者の相違点は、大型内導体50が、第1接続部51に切欠部55を形成しているのに対し、比較対象内導体には切欠部55が形成されていない。また、大型内導体50における第1接続部51の後端部、屈曲部53及び第2接続部52の上端部の幅寸法が一定寸法である。これに対し、比較対象内導体は、第1接続部の後端部、屈曲部及び第2接続部の上端部の左右両側縁部を段差状に切り欠き、第1接続部51を後方から押す形状となっている。図9に示すように、大型内導体50の特性インピーダンスの変動幅は、比較対象内導体の特性インピーダンスの変動幅よりも小さく抑えられている。よって、大型内導体50の通信性能は、比較対象内導体に比べると安定し、優れている。
【0051】
第1端子収容部46と第1接続部51には、第1接続部51が第1端子収容部46に対して第1接続部51の長手方向(前後方向)へ相対変位することを規制する保持部が形成されている。保持部は、第1接続部51の側縁部を切り欠いた形状の切欠部55と、第1端子収容部46に形成された嵌合部38とを備えて構成されている。切欠部55は嵌合部38に嵌合される。切欠部55と嵌合部38との係止作用によって、大型内導体50を大型誘電体31に対して位置決めした状態に確実に保持することができるとともに、小型内導体69を小型誘電体66に対して位置決めした状態に確実に保持することができる。
【0052】
大型本体部材32と小型本体部材67には、第1接続部51を収容する第1収容溝37が形成されている。第1収容溝37は、第2接続部52の延出方向(下方)とは反対方向(上方)へ開口している。第2端子収容部35には、第2接続部52の基板接続部58(延出端部)を位置決めする位置決め部43が形成されている。第1接続部51を第1収容溝37に収容する過程で、第2接続部52の基板接続部58を位置決め部43によって位置決めすることができる。位置決め部43は、基板接続部58を貫通させる孔形状をなしているので、基板接続部58を二次元方向(前後方向及び左右方向)において位置決めすることができる。
【0053】
第1接続部51と第2接続部52は、屈曲部53から互いに鈍角をなす向きに延出している。この構成によれば、第1接続部51の延出端(前端)と第2接続部52の延出端(下端)の位置を一定としたときに、第1接続部51と第2接続部52が直角をなす向きに延出するものよりも、大型内導体50及び小型内導体69の全長を短くすることができる。大型内導体50の屈曲部53及び小型内導体69の屈曲部53では、第1接続部51及び第2接続部52よりもインピーダンスが低くなる。しかし、屈曲部53は第1接続部51と第2接続部52を鈍角状に繋いでいるので、両接続部51,52を直角に繋いた場合に比べるとインピーダンスの低下が抑制されている。これにより、両接続部51,52と屈曲部53との間におけるインピーダンスの不整合を小さく抑えることができる。
【0054】
第2端子収容部35は、第2接続部52の長手方向(上下方向)に沿い、且つ第1接続部51の延出方向とは反対方向(後方)へ開放された溝状をなしている。この構成によれば、第1接続部51を、その板厚方向に移動させながら大型本体部材32又は小型本体部材67に組み付ける過程で、第2接続部52を第2端子収容部35に収容することができる。よって、第2端子収容部35は、2部材で構成する必要がなく、単一部品にすることが実現されている。
【0055】
[実施例2]
本開示を具体化した実施例2を、図10図16を参照して説明する。本実施例2のシールドコネクタ2は、大型内導体88を大型誘電体82に保持する保持部と、小型内導体97を小型誘電体94に保持するための保持部の構成とを、上記実施例1とは異なる構成としたものである。本実施例2のシールドコネクタ2の第2端子収容部35は、大型内導体88及び小型内導体97の延出端部を位置決めするための位置決め部を有していない。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成、部位については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0056】
本実施例2において、前後の方向については、図10~12,14~16におけるX軸の正方向を前方と定義する。左右の方向については、図10~14,16におけるY軸の正方向を右方と定義する。上下の方向については、図10~13,15におけるZ軸の正方向を上方と定義する。
【0057】
本実施例2のシールドコネクタ2は、実施例1と同一のフード部材10と、1つのシールド端子80とを組み付けて構成されている。シールド端子80は、実施例1と同一の外導体16と、左右に並ぶ一対の大型端子モジュール81と、左右に並ぶ一対の小型端子モジュール93とを組み付けて構成されている。
【0058】
大型端子モジュール81は、大型誘電体82と、大型内導体88と、実施例1と同一の導電性プレート59とを組み付けて構成されている。大型誘電体82の基本構造は、実施例1の大型誘電体31と同じ構造である。大型誘電体82は、大型本体部材83と、大型カバー部材84とを上下に組み付けて構成されている。大型本体部材83は、端子受け部34と、端子受け部34の後端から下方へ延出した形状の第2端子収容部35とを有する単一部品である。
【0059】
図11に示すように、端子受け部34の上面には、前後方向に延びる左右一対の第1収容溝85が形成されている。第1収容溝85の溝底面は、前後方向に延びている。第1収容溝85の前端は端子受け部34の前面に開放され、第1収容溝85の後端は端子受け部34の後面に開放されている。第1収容溝85は、全長に亘って上方へ開放されている。第1収容溝85には、溝底面から上方へ突出する一対の係止突部86が形成されている。一対の係止突部86は、前後方向に間隔を空けて配置されている。各係止突部86は、平面視形状が円形をなす円柱形である。
【0060】
大型内導体88の基本形状は、実施例1の大型内導体88と同じである。大型内導体88の第1接続部89には、位置決め用係止孔90と公差吸収用係止孔91とが前後方向に間隔を空けて形成されている。位置決め用係止孔90の平面視形状は、円形である。位置決め用係止孔90の内径は、係止突部86の外径と同じ寸法である。公差吸収用係止孔91の平面視形状は、前後方向に細長い長円形である。公差吸収用係止孔91の左右方向の幅寸法は、係止突部86の外径と同じ寸法である。公差吸収用係止孔91の前後方向の長さ寸法は、係止突部86の外径よりも大きい寸法である。 第2接続部92は、第1接続部89の後端から斜め下後方へ延出している。
【0061】
図12に示すように、小型端子モジュール93は、小型誘電体94と、小型内導体97とを組み付けて構成されている。小型誘電体94の基本構造は、実施例1の小型誘電体66と同じ構造である。小型誘電体94は、小型本体部材95と、小型カバー部材96とを上下に組み付けて構成されている。小型本体部材95は、端子受け部34と、端子受け部34の後端から下方へ延出した形状の第2端子収容部35とを有する単一部品である。
【0062】
端子受け部34の上面には、前後方向に延びる左右一対の第1収容溝85が形成されている。第1収容溝85の溝底面は、前後方向に延びている。第1収容溝85の前端は端子受け部34の前面に開放され、第1収容溝85の後端は端子受け部34の後面に開放されている。第1収容溝85は、全長に亘って上方へ開放されている。第1収容溝85には、溝底面から上方へ突出する一対の係止突部86が形成されている。一対の係止突部86は、前後方向に間隔を空けて配置されている。各係止突部86は、平面視形状が円形をなす円柱形である。
【0063】
小型内導体97の基本形状は、実施例1の小型内導体69と同じである。小型内導体97の第1接続部89には、位置決め用係止孔90と公差吸収用係止孔91とが前後方向に間隔を空けて形成されている。位置決め用係止孔90の平面視形状は、円形である。位置決め用係止孔90の内径は、係止突部86の外径と同じ寸法である。公差吸収用係止孔91の平面視形状は、前後方向に細長い長円形である。公差吸収用係止孔91の左右方向の幅寸法は、係止突部86の外径と同じ寸法である。公差吸収用係止孔91の前後方向の長さ寸法は、係止突部86の外径よりも大きい寸法である。
【0064】
大型端子モジュール81の第1端子収容部98は、端子受け部34と大型カバー部材84とを組み付けることによって構成されている。小型端子モジュール93の第1端子収容部98は、端子受け部34と小型カバー部材96とを組み付けることによって構成されている。第1端子収容部98と第1接続部89には、第1接続部89が第1端子収容部98に対して第1接続部89の長手方向へ相対変位することを規制する保持部が形成されている。保持部は、第1接続部89に形成した係止孔90,91と、第1端子収容部98に形成され、係止孔90,91に収容される係止突部86とを備えて構成されている。この構成によれば、係止孔90,91と係止突部86との係止作用によって、内導体88,97を誘電体82,94に対して位置決めした状態に保持することができる。
【0065】
係止孔は、第1接続部89の長手方向に間隔を空けた円形の位置決め用係止孔90と、長円形の公差吸収用係止孔91とを含む。円形をなす2つの係止突部86のうち一方(前側)の係止突部86が、位置決め用係止孔90に対して二次元方向(前後方向及び左右方向)への相対変位を規制された状態に嵌合する。2つの係止突部86のうち他方(後側)の係止突部86は、公差吸収用係止孔91に対して一方向(左右方向)への相対変位を規制された状態に嵌合される。2つの係止突部86の間隔にバラツキがあっても、公差吸収用係止孔91によってバラツキを吸収することができる。
【0066】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれることが意図される。
実施例1及び2において、第1接続部と第2接続部が、互いに直角をなす向きに延出してもよい。
実施例1及び2において、第2端子収容部を、複数の部材を組み付けて構成してもよい。
実施例1において、第1接続部に係止孔を形成してもよい。
実施例2において、第1接続部に側縁部の切欠部を形成してもよい。
実施例2において、全ての係止孔が円形をなすものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…シールドコネクタ
2…シールドコネクタ
10…フード部材
11…基部
12…筒形接続部
13…貫通孔
15…シールド端子
16…外導体
17…箱形本体部
18…接続ポート
19…仕切壁
20…収容空間
30…大型端子モジュール
31…大型誘電体(誘電体)
32…大型本体部材(本体部材)
33…大型カバー部材(カバー部材)
34…端子受け部
35…第2端子収容部
36…ロック突起
37…第1収容溝(収容溝)
38…嵌合部(保持部)
39…第2収容溝
40…傾斜溝部
41…鉛直溝部
42…底壁部
43…位置決め部
44…蓋部
45…ロックアーム
46…第1端子収容部
50…大型内導体(内導体)
51…第1接続部
52…第2接続部
53…屈曲部
54…タブ
55…切欠部(保持部)
56…傾斜部
57…鉛直部
58…基板接続部
59…導電性プレート
60…基板部
65…小型端子モジュール
66…小型誘電体(誘電体)
67…小型本体部材(本体部材)
68…小型カバー部材(カバー部材)
69…小型内導体(内導体)
80…シールド端子
81…大型端子モジュール
82…大型誘電体(誘電体)
83…大型本体部材(本体部材)
84…大型カバー部材(カバー部材)
85…第1収容溝(収容溝)
86…係止突部
88…大型内導体(内導体)
89…第1接続部
90…位置決め用係止孔(保持部、係止孔)
91…公差吸収用係止孔(保持部、係止孔)
92…第2接続部
93…小型端子モジュール
94…小型誘電体(誘電体)
95…小型本体部材(本体部材)
96…小型カバー部材(カバー部材)
97…小型内導体(内導体)
98…第1端子収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16