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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088451
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】パレット交換装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20230620BHJP
   B23Q 3/00 20060101ALI20230620BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20230620BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230620BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B23Q7/00 E
B23Q3/00 A
B23Q17/00 A
B23Q11/00 N
B23Q17/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203180
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
3C029
3C033
【Fターム(参考)】
3C011BB12
3C016AA03
3C029EE06
3C029EE20
3C033AA16
3C033AA30
(57)【要約】
【課題】ワークが積載されるパレットを保持部材により保持するとともに、保持したパレットを昇降可能に、且つ、工作機械の加工テーブルの上側に位置する交換位置とパレット待機台の上側に位置する待機位置との間で移動可能に駆動するパレット移動昇降部を備えたパレット交換装置において、加工テーブル上の着座部に向けて異物除去流体が不必要に供給されるのを防止する。
【解決手段】パレット移動昇降部により加工完了後のワークを積載した第1パレットを交換位置にリフトアップした後、未加工ワークを積載した第2パレットを前記待機位置から交換位置に移動させて前記着座部に着座させる前に、異物検知装置を用いて着座部に異物の付着が有るか否かを検知し(ステップS5)、異物の付着が有ると検知された場合には、着座部の表面に異物除去流体を供給する一方(ステップS6)、異物の付着が無いと検知された場合には異物除去流体の供給を行わないようにする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが積載されるパレットを保持部材により保持するとともに、保持したパレットを昇降可能に、且つ、工作機械の加工テーブルの上側に位置する交換位置とパレット待機台の上側に位置する待機位置との間で移動可能に駆動するパレット移動昇降部を備えたパレット交換装置の動作方法であって、
前記加工テーブルの上面には、前記パレットの着座部が設けられており、
前記パレット交換装置は、前記着座部に付着した異物を検知可能な異物検知装置と、前記着座部の表面に異物除去流体を供給可能な流体供給装置とを有し、
前記ワークを積載した状態で前記加工テーブル上の前記着座部に着座した第1パレットを、前記工作機械よる当該ワークの加工完了後に、前記パレット移動昇降部により前記交換位置にリフトアップした後、前記待機位置に移動させてリフトダウンすることで前記パレット待機台に載置する一方、未加工ワークを積載した状態で前記パレット待機台に予め待機させておいた第2パレットを、前記第1パレットと入れ替わりで前記交換位置に移動させるとともに該移動後にリフトダウンして前記加工テーブル上の着座部に着座させることでパレット交換を行うパレット交換工程を備え、
前記パレット交換工程は、
前記パレット移動昇降部により加工完了後のワークを積載した前記第1パレットを前記交換位置にリフトアップした後、前記未加工ワークを積載した前記第2パレットを前記待機位置から前記交換位置に移動させて前記着座部に着座させる前に、前記異物検知装置を用いて前記着座部に異物の付着が有るか否かを検知する異物検知工程と、
前記異物検知工程にて前記異物の付着が有ると検知された場合には、前記第2パレットが前記着座部に着座する前に、前記流体供給装置により前記着座部に向けて異物除去流体を供給する一方、前記異物の付着が無いと検知された場合には該異物除去流体の供給を行わない流体供給工程とを含むことを特徴とするパレット交換装置の動作方法。
【請求項2】
前記パレット交換工程では、前記第2パレットが前記交換位置に到達する前の中間位置に到達したときにパレット移動昇降部によるパレット移動動作を中断し、この中断中に、前記異物検知工程にて異物の付着が無いと検知された場合には、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作を再開する一方、異物検知工程にて異物の付着有りと検知された場合には、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作の中断を継続したまま、前記流体供給工程及び異物検知工程を、当該異物検知工程にて異物の付着無しと検知されるまで繰り返し実行し、当該異物検知工程にて異物の付着無しと検知されると、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作を再開することを特徴とする請求項1記載の動作方法。
【請求項3】
前記異物検知工程は、前記パレット移動昇降部による前記第2パレットの前記待機位置から前記中間位置への移動動作が完了する前に開始される工程であることを特徴とする請求項2記載の動作方法。
【請求項4】
前記中間位置は、第2パレットによって加工テーブル上の着座部が上方から覆われない範囲で当該第2パレットが前記加工テーブルに最も近付くような位置であることを特徴とする請求項2又は3記載の動作方法。
【請求項5】
前記流体供給工程では、前記着座部の中心位置を基準として周方向に等分した3つ以上の領域のうち一の領域を除く他の領域のそれぞれに対して、異物除去流体を着座部の中心位置からオフセットした位置に直線状に流入させることにより、異物除去流体を該中心位置回りに旋回させるとともに前記一の領域において前記加工テーブルの内方側から外方側に向けて流出させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークが積載されるパレットを保持部材により保持するとともに、保持したパレットを昇降可能に、且つ、工作機械の加工テーブルの上側に位置する交換位置と予め定めたパレット待機台の上側に位置する待機位置との間で移動可能に駆動するパレット移動昇降部を備えたパレット交換装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパレット交換装置では、加工テーブルの上面に設けられた着座部にセットされた加工側パレットと、パレット待機台に予め待機させておいた待機側パレットとの交換動作を、パレット移動昇降部による昇降動作及び移動動作(例えば旋回移動)によって実行する。
【0003】
パレット交換動作は、通常、加工側パレットに積載されたワークの加工完了後に実行される。ワークの加工完了後に、加工時に発生した切屑等の異物が着座部に付着していると、待機側パレットをパレット移動昇降部により交換位置に移動させて該着座部に着座させる際に当該パレットと着座部との間に異物が噛み込んで着座不良が生じるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するべく、例えば特許文献1では、着座部として設けられたテーパコーンの上面にエア吹出し口を形成して、パレット支持台に設けられたエア供給路からこのエア吹出し口を介して上方にエアを吹出すことでテーパコーンの上面及びその周囲の異物を吹き飛ばすようにしている。このエアの吹出し動作は、パレット移動昇降部によって加工側パレットが着座部から交換位置にリフトアップされた状態で実行される(特許文献1の段落[0025]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-040180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すパレット交換装置の動作方法では、加工側パレット(第1パレット)に積載されたワークの加工が完了して当該加工側パレットがパレット移動昇降部によりリフトアップされる度に、エアの吹出し動作(異物除去流体の供給動作)が必ず実行される。このため、着座部の表面に異物が付着していない場合にまで異物除去流体の供給動作が実行されて、省エネ性の低下やサイクルタイムの増加といった問題を生じる。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであって、着座部に異物が付着していない場合にまで異物除去流体の供給動作が不必要に実行されるのを防止可能なパレット交換装置の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一局面は、
ワークが積載されるパレットを保持部材により保持するとともに、保持したパレットを昇降可能に、且つ、工作機械の加工テーブルの上側に位置する交換位置とパレット待機台の上側に位置する待機位置との間で移動可能に駆動するパレット移動昇降部を備えたパレット交換装置の動作方法であって、
前記加工テーブルの上面には、前記パレットの着座部が設けられており、
前記パレット交換装置は、前記着座部に付着した異物を検知可能な異物検知装置と、前記着座部の表面に異物除去流体を供給可能な流体供給装置とを有し、
前記ワークを積載した状態で前記加工テーブル上の前記着座部に着座した第1パレットを、前記工作機械よる当該ワークの加工完了後に、前記パレット移動昇降部により前記交換位置にリフトアップした後、前記待機位置に移動させてリフトダウンすることで前記パレット待機台に載置する一方、未加工ワークを積載した状態で前記パレット待機台に予め待機させておいた第2パレットを、前記第1パレットと入れ替わりで前記交換位置に移動させるとともに該移動後にリフトダウンして前記加工テーブル上の着座部に着座させることでパレット交換を行うパレット交換工程を備え、
前記パレット交換工程は、
前記パレット移動昇降部により加工完了後のワークを積載した前記第1パレットを前記交換位置にリフトアップした後、前記未加工ワークを積載した前記第2パレットを前記待機位置から前記交換位置に移動させて前記着座部に着座させる前に、前記異物検知装置を用いて前記着座部に異物の付着が有るか否かを検知する異物検知工程と、
前記異物検知工程にて前記異物の付着が有ると検知された場合には、前記第2パレットが前記着座部に着座する前に、前記流体供給装置により前記着座部に向けて異物除去流体を供給する一方、前記異物の付着が無いと検知された場合には該異物除去流体の供給を行わない流体供給工程とを含む動作方法に係る。
【0009】
このパレット交換装置の動作方法によれば、パレット移動昇降部によるパレット昇降動作及びパレット移動動作によって、加工テーブル上の着座部に着座した第1パレットとパレット待機台に載置された第2パレットとの交換動作がパレット交換工程にて実行される。具体的には、パレット交換工程において、パレット移動昇降部により着座部に着座した第1パレットをリフトアップして交換位置に移動させた後、待機位置へと移動させる一方、パレット待機台に載置された第2パレットをリフトアップして待機位置に移動させた後、第1パレットと入れ替わりで交換位置に移動させ、該移動後に、該第2パレットをリフトダウンさせて加工テーブル上の着座部に着座させる。そして、本発明のパレット交換装置の動作方法では、前記パレット移動昇降部により加工完了後のワークを積載した前記第1パレットを前記交換位置にリフトアップした後、前記未加工ワークを積載した前記第2パレットを前記待機位置から前記交換位置に移動させて前記着座部に着座させる前に、前記異物検知装置を用いて前記着座部に異物の付着が有るか否かの検知処理が実行される。流体供給工程では、着座部の異物の付着の有無に応じて流体供給装置の作動制御を行う。すなわち、流体供給工程では、前記異物検知工程にて着座部に異物の付着が有ると判定された場合には、流体供給装置により着座部の表面に異物除去流体を供給する一方、前記異物検知工程にて着座部への異物の付着が無いと判定された場合には、流体供給装置による異物除去流体の供給を行なわないようになっている。これにより、着座部に異物が付着していない場合にまで、異物除去流体の供給動作が不必要に実行されるのを防止することができる。延いては、異物除去流体を供給するための流体供給装置の作動時間を低減して省エネ性能の向上及びサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0010】
前記パレット交換工程では、前記第2パレットが前記交換位置に到達する前の中間位置に到達したときにパレット移動昇降部によるパレット移動動作を中断し、この中断中に、前記異物検知工程にて異物の付着が無いと検知された場合には、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作を再開する一方、異物検知工程にて異物の付着有りと検知された場合には、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作の中断を継続したまま、前記流体供給工程及び異物検知工程を、当該異物検知工程にて異物の付着無しと検知されるまで繰り返し実行し、当該異物検知工程にて異物の付着無しと検知されると、前記パレット移動昇降部によるパレット移動動作を再開することが好ましい。
【0011】
これによれば、パレット交換工程において、第2パレットが交換位置に到達する前の中間位置に到達したときにパレット移動昇降部によるパレット移動動作が中断される。そして、この中断中に、異物検知工程にて異物着座部に対する異物の付着無しと検知された場合には、パレット移動昇降部によるパレット移動動作が再開される一方、異物の付着有りと検知された場合には、流体供給工程が実行されて着座部の表面に異物除去流体が供給される。この流体供給工程は、異物検知工程にて異物の付着無しと検知されるまで繰り返し実行される。したがって、着座部に異物が付着した状態でパレットの着座動作(リフトダウン動作)が実行されて異物の噛み込みが生じるのを確実に防止することができる。
【0012】
前記異物検知工程は、前記パレット移動昇降部による前記第2パレットの前記待機位置から前記中間位置への移動動作が完了する前に開始されることが好ましい。
【0013】
これによれば、第2パレットが中間位置に到達する前に異物検知工程の実行が開始される。したがって、第2パレットが中間位置に到達した後に、異物検知工程を開始する場合に比べてサイクルタイムを短縮することができる。
【0014】
前記中間位置は、第2パレットによって加工テーブル上の着座部が上方から覆われない範囲で当該第2パレットが前記加工テーブルに最も近付くような位置であることが好ましい。
【0015】
これによれば、異物検知工程にて異物検知処理を実行している間、第2パレットを加工テーブルを加工テーブルに極力近付けて停止させておくことができる。よって、異物検知工程の終了後は、第2パレットを加工テーブルの上側の前記交換位置に迅速に移動させることができる。
【0016】
前記流体供給工程では、前記着座部の中心位置を基準として周方向に等分した3つ以上の領域のうち一の領域を除く他の領域のそれぞれに対して、異物除去流体を着座部の中心位置からオフセットした位置に直線状に流入させることにより、異物除去流体を該中心位置回りに旋回させるとともに前記一の領域において前記加工テーブルの内方側から外方側に向けて流出させることが好ましい。
【0017】
これによれば、流体供給工程において、着座部の中心位置を基準として周方向に等分した3つ以上の領域のうち一の領域を除く他の領域のそれぞれに対して異物除去流体が流入される。このとき、異物除去流体は着座部の中心位置からオフセットした位置に直線状に流入されるので、該中心位置回りの旋回流が発生する。この旋回流は、前記複数の領域のうち異物除去流体が供給されない前記一の領域から流出する。そうして、着座部に付着した異物をこの旋回流によって周方向の全体に亘って吹き飛ばすことができる。しかも、この異物除去流体の旋回流は、前記一の領域において加工テーブルの内方側から外方側に向けて流出するようになっている。これにより、前記旋回流によって吹き飛ばした異物が加工テーブル上の着座部に再付着するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るパレット交換装置の動作方法によれば、パレット移動昇降部により加工完了後のワークを積載した第1パレットを交換位置にリフトアップした後、未加工ワークを積載した第2パレットを前記待機位置から前記交換位置に移動させて前記着座部に着座させる前に、前記着座部に異物の付着が有るか否かを検知し、異物の付着が有ると検知した場合には、前記着座部の表面に異物除去流体を供給する一方、異物の付着が無いと検知した場合には異物除去流体の供給を行わないようにしたことで、着座部に異物が付着していない場合にまで異物除去流体の供給動作が不必要に実行されるのを防止することができる。延いては、異物除去流体を供給するための流体供給装置の作動時間を低減して省エネ性の向上及びサイクルタイムの短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態1に係る動作方法が適用されるパレット交換装置を備えた工作機械の概略平面図である。
図2図2は、パレット旋回昇降部を示す斜視図である。
図3図3は、加工テーブル上の着座部にパレットが装着された状態を示す縦断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線で切断した矢印方向から見た概略図である。
図5図5は、APC制御装置の制御構成を示すブロック図である。
図6A図6Aは、未加工ワークを積載したパレットを交換位置に保持し、加工完了後のワークを積載したパレットを待機位置に保持した状態を示すパレット交換装置の概略平面図である。
図6B図6Bは、未加工ワークを積載したパレットを中間位置にて停止させた状態を示すパレット交換装置の概略平面図である。
図7図7は、APC制御装置により実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態2における回転テーブル部を示す平面図である。
図9図9は、実施形態3を示す図6B相当図である。
図10図10は、他の実施形態における回転テーブル部の着座部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る動作方法が適用されるパレット交換装置20(APC:Automatic Pallet Changerとも称される。)を備えた工作機械1の概略平面図である。
【0021】
この工作機械1は、横型のマシニングセンタであって、ベッド2、コラム3、主軸頭5、スライドテーブル7、及びパレット交換装置20などを備えている。尚、図1では、本実施形態において主要な構成となる要素のみを図示している。
【0022】
前記ベッド2は、直線状をした第1ベッド2a、及び長手方向が第1ベッド2aに直交するように連結された第2ベッド2bから構成されている。前記スライドテーブル7は前記第2ベッド2b上に配設されており、ガイドレール8による案内の下、前記第1ベッド2aに対して進退する方向、即ち、水平な矢示Z軸方向に移動可能に設けられ、図示しないZ軸送り機構によって、前記Z軸方向に移動する。また、スライドテーブル7上には、回転テーブル部71(加工テーブルの一例)が設けられ、この回転テーブル部71には、ワークWを積載したパレット100がクランプ固定される。回転テーブル部71は、パレット100を所定の回転角度位置に回転割り出して位置決めする機構を有しており、回転テーブル部71の上面には、後述するようにパレット100が着座する着座部72が設けられている。
【0023】
前記コラム3は、前記第1ベッド2a上に配設され、ガイドレール4による案内の下、前記Z軸と水平に直交する矢示X軸方向に移動可能に設けられ、図示しないX軸送り機構によって、前記X軸方向に移動する。また、前記主軸頭5は、工具Tが装着される主軸6を回転自在に支持するとともに、前記X軸及びZ軸に直交する鉛直なY軸方向に移動可能に前記コラム3に保持されており、図示しないY軸送り機構によって、前記Y軸方向に移動する。また、主軸6は図示しない主軸モータによって駆動される。そして、前記X軸送り機構、Y軸送り機構、Z軸送り機構及び主軸モータ(いずれも図示せず)は、数値制御装置50(図5参照)によってその作動が制御される。
【0024】
斯くして、この工作機械1では、数値制御装置50(図5参照)による制御の下、前記主軸頭5がX軸-Y軸平面内で移動するとともに、スライドテーブル7がZ軸方向に移動し、このように主軸頭5及びスライドテーブル7が三次元空間内で相対的に移動することによって、スライドテーブル7に装着されたパレット100上のワークWが、主軸6に装着された工具Tによって加工される。
【0025】
前記パレット交換装置20は、前記Z軸プラス方向において、前記第2ベッド2bにおける前記ガイドレール8の延長上に設けられたパレット待機台21と、パレット100を昇降可能に保持するとともに回転テーブル部71とパレット待機台21との間で移動可能に旋回させるパレット旋回昇降部22(パレット移動昇降部の一例)と、回転テーブル部71上の各着座部72の画像を撮像するためのカメラ26と、各着座部72に付着した異物を除去するための洗浄装置27(流体供給装置の一例。図4参照)と、APC制御装置30(図5参照)とを有している。
【0026】
パレット旋回昇降部22は、パレット待機台21と前記ガイドレール8との間の第2ベッド2b上に立設された回転台23と、この回転台23の上端部に設けられた交換アーム24(保持部材の一例)と、交換アーム24を前記回転台23を介して旋回させる旋回アクチュエータ(図示しない)と、該回転台23を軸方向に昇降させる昇降アクチュエータ(図示しない)とを含んでいる。この旋回アクチュエータ及び昇降アクチュエータは、駆動モータや駆動シリンダ等により構成され、その作動形態としては例えば油圧式、電動式又は空圧式などを採用することができる。そして、パレット旋回昇降部22は、APC制御装置30による制御の下、旋回アクチュエータ及び昇降アクチュエータを駆動してパレット交換動作を実行する。
【0027】
前記交換アーム24は、アルファベットのH字状をした平面形状を有し、その両方の開口部を挟んで対向する一対のアーム部がパレット100を保持する保持部24aとして機能する。交換アーム24の幅方向の両端面24bは、該幅方向の内側に台形状に凹んでいる。
【0028】
交換アーム24の各保持部24aは、前記パレット100の下面における幅方向の両端部に形成された係合溝100a(図3参照)に係合可能に構成されている。交換アーム24のスライドテーブル7側に位置する保持部24aは、前記スライドテーブル7がZ軸プラス方向の移動端に位置したときに、回転テーブル部71上に装着されたパレット100の両端部の係合溝100aに係合する。スライドテーブル7の前記移動端への移動は、数値制御装置50による制御の下、ワークWの加工が完了した後に自動的に実行される。
【0029】
斯くして、前記交換アーム24の保持部24aにそれぞれパレット100が係合した状態で、前記パレット旋回昇降部22により交換アーム24を上方に移動させると、図2に示すように、これら両保持部24aにそれぞれパレット100が保持された後、回転テーブル部71上のパレット100は当該回転テーブル部71の上方の交換位置にリフトアップされ、パレット待機台21上のパレット100は当該パレット待機台21の上方の待機位置にリフトアップされる。尚、図2では分かり易いようにワークWを省略している。
【0030】
次に、前記パレット旋回昇降部22により交換アーム24を図2の時計回り方向に180°旋回させると、交換アーム24の両端部に保持されたパレット100の位置が入れ替わる。そうして、両パレット100を交換位置と待機位置との間で入れ替えた後、パレット旋回昇降部22により交換アーム24を下方に移動させると、両パレット100がそれぞれリフトダウンされて回転テーブル部71及びパレット待機台21に載置される。こうして、回転テーブル部71上のパレット100と、パレット待機台21上のパレット100とが交換される。
【0031】
また、工作機械1は、前記ベッド2及びその上方の空間がカバー体9(図1参照)によって囲まれており、前記コラム3、スライドテーブル7、パレット待機台21、回転台23、交換アーム24、パレット100及びワークWなどが、このカバー体9によって閉塞された空間内に位置している。また、前記回転台23及び交換アーム24の上面には、仕切り板25が立設されており、更に、この仕切り板25の下方には、第2ベッド2b上に立設された固定仕切り板(図示しない)が設けられており、この仕切り板25と固定仕切り板とによって、前記カバー体9により囲まれた空間内が、前記コラム3及びスライドテーブル7などが設けられる加工側領域K1と、パレット待機台21などが設けられる待機側領域K2とに仕切られている。仕切り板25の上端部には、その旋回時に後述するカメラ26(図4参照)との干渉を回避するための一対の切欠部25aが形成されている。一対の切欠部25aは、仕切り板25の旋回中心位置を挟んで両側に位置していて上側に開放するコ字状に形成されている。
【0032】
カバー体9のうち、Z軸プラス方向側の壁面を形成する部分には、待機側領域K2内にアクセスするための開閉扉10が設けられており、この開閉扉10を開くことによって、その開口部を介して、オペレータがパレット待機台21上のパレット100に対して、ワークWの着脱を行うことができるようになっている。
【0033】
図1及び図2に示すように、回転テーブル部71には、パレット100を着座させるための前記着座部72が合計で4つ設けられている。4つの着座部72は、回転テーブル部71の軸心を中心として周方向に90°間隔で配置されている。
【0034】
4つの着座部72は、パレット100の位置決め機能とクランプ機能とを有している。
各着座部72の構成は同様であるため、以下ではそのうちの1つについて図3を参照しながら構成を説明する。
【0035】
着座部72は、回転テーブル部71に固定された着座シリンダ73によって構成され、着座シリンダ73の内部には、パレット100をクランプ固定するためのピストン74が軸方向に移動可能に収容されている。着座シリンダ73は、円筒状の位置決め筒部73aと、位置決め筒部73aの下端部から径方向外側に鍔状に吐出する円錐台状のフランジ部73bと、フランジ部73bの下面に接続された内筒部73cと、該内筒部73cに下方から外嵌される有底外筒部73dなどから構成される。前記位置決め筒部73aは、パレット100の下面に取付けられた位置決め部材101の位置決め孔101aに嵌合することで当該パレット100の水平面内の位置決めを行う。また、前記フランジ部73bは、その上面73fが前記位置決め部材101の下面に当接することで、パレット100の高さ方向の位置決め行う。
【0036】
ピストン74は、着座シリンダ73により位置決めされたパレット100をロックボール75を介してクランプ状態とアンクランプ状態とに切り替えるための部材である。ロックボール75は、着座シリンダ73の位置決め筒部73aに軸方向から見て放射状に形成された各貫通孔73iに保持され、径方向に進退可能に構成されている。前記位置決め部材101の位置決め孔101aの内周面には、各ロックボール75が係合可能なロック凹部101bが形成されている。
【0037】
そして、パレット旋回昇降部22により未加工ワークWを積載したパレット100が旋回駆動されて回転テーブル部71上にリフトダウンされると、位置決め部材101の位置決め孔101aに、着座シリンダ73の位置決め筒部73aが係合するとともに、位置決め部材101の下面がフランジ部73bの上面73fに当接する。これにより、回転テーブル部71に対するパレット100の位置決めが完了する。この状態で、着座シリンダ73の下降油圧室73gに油圧が供給されることで、各ロックボール75がピストン74の上端部の外周面により径方向外側に押し出されて、位置決め部材101に形成されたロック凹部101bに嵌合する。これにより、位置決め部材101が上下方向に移動不能にロックされ、パレット100が着座シリンダ73に固定される。一方、パレット100の固定が完了した後、上昇油圧室73hに油圧が供給されると、ピストン74が上昇してロックボール75がピストン74の外周面に形成された溝部74aに逃がされる(図3の状態)。これにより、ロックボール75とロック凹部101bとの嵌合が解除されるので、位置決め部材101が上方に移動可能になりパレット100の固定が解除される。
【0038】
前記カメラ26は、着座部72の表面(特に、位置決め筒部73aの外周面73e及びフランジ部73bの上面73f)を撮像してその画像データをAPC制御装置30に送信する。このカメラ26は、図4に示すように、カバー体9における加工側領域K1の天井壁を構成する部分に取付けられている。カメラ26の光軸は、スライドテーブル7をZ軸方向のプラス側の移動端に移動させた状態で、該スライドテーブル7に搭載された回転テーブル部71の軸線と同軸になる。
【0039】
前記洗浄装置27は、前記天井壁におけるカメラ26の側方(X軸方向のプラス側)に取付けられている。洗浄装置27は、洗浄液の噴射方向を制御可能なプログラマブルノズル27a(以下、単にノズル27aという)を有している。そして、洗浄装置27は、APC制御装置30からの指令を受けて、回転テーブル部71上の各着座部72のうち洗浄が必要な着座部72の表面に向けてクーラント液等の洗浄液を噴射可能に構成されている。
【0040】
図5に示すように、APC制御装置30は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成されていて、数値制御装置50、パレット旋回昇降部22、カメラ26及び洗浄装置27に信号の授受可能に接続されている。
【0041】
APC制御装置30は、駆動制御部31、異物検知部32、及び洗浄制御部33を機能部として有している。これら各機能部による処理は、APC制御装置30がコンピュータプロブラムを実行することで実現される。
【0042】
具体的には、駆動制御部31は、数値制御装置50からのパレット交換指令を受けて、パレット旋回昇降部22の旋回アクチュエータ及び昇降アクチュエータを制御することで該パレット旋回昇降部22にパレット交換動作を実行させる。パレット交換動作の開始時及び終了時までは、図6Aに示すように、交換アーム24の長手方向が工作機械1のZ軸方向を向いている。駆動制御部31は、パレット交換動作の途中に、後述する異物検知部32による異物検知処理を実行するために、未加工ワークWを積載したパレット100が待機位置と交換位置との間の中間位置(図6B参照)に到達したところで交換アーム24の旋回動作を中断する。本例では、中間位置は、待機位置にあったパレット100が旋回軸回りに図の時計回り方向に90°旋回した位置とされている。尚、図6A及び図6Bでは見易さを考慮してパレット待機台21は省略している。
【0043】
異物検知部32は、前記交換アーム24の旋回動作の中断中に、カメラ26に各着座部72の表面の画像を撮像させ、撮像した当該画像と、基準画像とを比較すること各着座部72の表面に異物が付着しているか否かを検知する。基準画像は、異物が付着していない着座部72の表面の画像であって予め記憶部(図示しない)に記憶されている。異物検知部32は、撮像画像と基準画像との差分画像中における着座部72の表面に対応する部分に切屑等の異物の画像が存在するか否かをパターンマッチングにより判別する。尚、異物の検知手法は、パターンマッチングに限ったものでななく、例えば、着座部72に異物が付着した画像と異物が付着していない画像とをコンピュータに入力して機械学習を行うことで異物検知用の学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて異物検知を行うようにしてもよい。そうして、本実施形態では、この異物検知部32及びカメラ26が異物検知装置として機能する。
【0044】
前記洗浄制御部33は、異物検知部32による検知結果を基に洗浄装置27の作動制御を行う。具体的には、洗浄制御部33は、着座部72の表面に異物の付着が有るとの検知結果を異物検知部32より取得した場合には、4つの着座部72のうち当該異物が付着している着座部72の位置を特定する。そして、洗浄制御部33は、ノズル27aの向きを制御してその先端を当該特定した着座部72に向けた後、洗浄液を所定時間(例えば3~5秒)噴射する。ここで、ノズル27aの向きは、着座部72におけるパレット100の位置決め面(本例では、位置決め筒部73aの外周面73e及びフランジ部73bの上面73f)に洗浄液が当たるように設定することが好ましい。
【0045】
また、洗浄制御部33は、異物検知部32にて異物の付着有りと検知された着座部72が複数存在する場合には、該複数の着座部72に対して所定の順序で洗浄液を順次供給する。
【0046】
斯くして前記パレット交換装置20を搭載した工作機械1では、ワークWの加工が完了すると、数値制御装置50による制御の下、スライドテーブル7がZ軸方向のプラス側の移動端に移動することで、加工完了後のワークWを積載した回転テーブル部71上のパレット100が交換アーム24の加工領域側の保持部24aに保持され(図6B参照)、その後、数値制御装置50よりAPC制御装置30にパレット交換指令が出力される。
【0047】
APC制御装置30では、数値制御装置50よりパレット交換指令を受信すると(図7のステップS1でYES)、駆動制御部31よりパレット旋回昇降部22に対して交換アーム24の上昇指令を出力し(ステップS2)、これにより、交換アーム24の加工領域側の保持部24aに保持されたパレット100(第1パレット)が交換位置にリフトアップされ、交換アーム24の待機領域側の保持部24aに保持されたパレット100(第2パレット)が待機位置にリフトアップされる。
【0048】
その後、駆動制御部31よりパレット旋回昇降部22に対して、未加工ワークWを搭載したパレット100が中間位置まで移動するようにパレット旋回昇降部22に対して交換アーム24の旋回指令を出力する(ステップS3)。これにより、交換アーム24が図6Bに示す中間位置にて一旦停止する。そうして、交換アーム24が中間位置に停止した後、異物検知部32にてカメラ26からの撮像画像を取得し、取得した撮像画像を基に上述した異物検知処理が実行する(ステップS4)。この結果、異物検知部32にて異物の付着が無いと検知された場合には(ステップS5でNO)、ステップS7に進んで、駆動制御部31よりパレット旋回昇降部22に対して交換アーム24の旋回を再開させる旨の指令を出力し(ステップS7)、これにより、交換アーム24が中間位置から交換位置まで旋回し、その後、駆動制御部31よりパレット旋回昇降部22に対して交換アーム24の下降指令が出力を出力することで(ステップS8)、交換アーム24がリフトダウンしてパレット交換動作が完了する。
【0049】
一方、異物検知部32にて、異物の付着有りと検知された場合には(ステップS5でYES)、洗浄制御部33より洗浄装置27に対して異物除去指令が出力され、この結果、異物の付着した着座部72に向けて洗浄装置27のノズル27aから洗浄液が所定時間、噴射される。この洗浄液の噴射処理は、異物検知部32にて異物の付着無いと検知されるまで繰り返し実行され、異物の付着無いと検知された後は(ステップS5でNOとなった後)、上述したステップS7及びS8に進んでパレット交換動作を完了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のパレット交換装置20の動作方法によれば、パレット旋回昇降部22により加工完了後のワークWを積載した加工領域側のパレット100を交換位置にリフトアップした後、当該パレット100と入れ替わりで、未加工ワークWを積載した待機領域側のパレット100を待機位置から交換位置に移動させて回転テーブル部71の着座部72に着座させる前に、異物検知部32にて着座部72に異物の付着が有るか否かの検知処理を実行し、異物の付着が有ると検知された場合には、未加工ワークWを積載した前記パレット100が着座部72に着座する前に、洗浄装置27により前記着座部72に向けて洗浄液を供給する一方、異物の付着が無いと検知された場合には該洗浄液の供給を行わないようにした。
【0051】
これによれば、ワークWの加工完了後に回転テーブル部71の着座部72に付着した切屑などの異物を、洗浄装置27より噴射した洗浄液によって除去することができる。よって、着座部72とパレット100とのに異物が噛み込んで着座不良が生じるのを防止することができる。また、異物検知部32にて着座部72に異物の付着が無いと検知された場合には、洗浄装置27による洗浄液の供給動作は実行されないので、洗浄装置27の不必要な作動を抑制して省エネ性能の向上及びサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0052】
また、異物検知部32による異物検知処理及び洗浄装置27による洗浄処理は、当該異物検知部32にて異物の付着無いと検知されるまで繰り返し実行される。
【0053】
これにより、着座部72に異物が付着した状態でパレット100の着座動作(リフトダウン動作)が実行されるのを確実に防止することができる。
【0054】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係るパレット交換装置20の回転テーブル部71を示す平面図である。この実施形態は、洗浄装置27の構成が実施形態1とは異なっている。尚、以下の実施形態において、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
すなわち、前記実施形態1では、洗浄装置27はプログラマブルノズル27aによって洗浄液の噴射方向を変更可能に構成されていたが、本実施形態では、プログラマブルノズル27aに替えて、噴射方向が固定された固定ノズル27bを採用している。
【0056】
固定ノズル27bは、各着座部72に対して3つずつ合計で12個設けられている。各着座部72に対する3つの固定ノズル27bは、着座部72の中心位置を基準として周方向に等分した4つの領域r1~r4のうち一の領域r4を除く他の3つの領域r1~r3に洗浄液を流入させるように配置されている。3つの固定ノズル27bは、隣接するノズル27bの軸線が90°をなすとともに、各着座部72の中心位置を通る等分線(図8の二点鎖線)に対して同じ距離だけオフセットされて配置されている。
【0057】
そして、3つの固定ノズル27bは、着座部72の中心位置からオフセットした位置に洗浄液を直線状に流入させることにより、該洗浄液を該中心位置回りに旋回させるとともに前記一の領域r4において回転テーブル部71の径方向の内側から外側(内方側から外方側の一例)に向けて流出可能に構成されている。
【0058】
そして、実施形態1と同様に、異物検知部32にて着座部72に異物の付着が有ると検知された場合には、洗浄制御部33による制御の下、洗浄装置27が作動して各固定ノズル27bより洗浄液が噴射される一方、異物の付着が無いと検知された場合には各固定ノズル27bからの洗浄液の噴射は実行されない。
【0059】
したがって、本実施形態では、前記実施形態1と同様に、洗浄装置27の不必要な作動を無くして省エネ性の向上及びサイクルタイムの短縮を図ることができる。尚、本例では、着座部72に異物の付着有りと検知された場合に、12個の固定ノズル27b全てから洗浄液を噴射するようにしているが、これに限ったものではなく、異物が付着した着座部72に対応する固定ノズル27bのみから洗浄液を噴射するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、各着座部72の周囲に洗浄液による旋回流を生じさせて、各着座部72に付着した異物を周方向の全体に亘って吹き飛ばすことができる。しかも、この洗浄液の旋回流は、前記一の領域r4において回転テーブル部71の内方側から外方側に向けて流出するようになっている。これにより、洗浄液の旋回流によって吹き飛ばした異物が回転テーブル部71の着座部72に再付着するのを防止することができる。
【0061】
(実施形態3)
図9は、実施形態3を示す図6B相当図である。この実施形態では、パレット旋回昇降部22により未加工ワークWを積載したパレット100を一時停止させる中間位置が前記実施形態1とは異なっている。
【0062】
すなわち、前記実施形態1では、前記中間位置は、未加工ワークWを積載したパレット100が待機位置(図7A参照)から図の時計回り方向に90°旋回した位置とされているのに対し、本実施形態では、回転テーブル部71上の全ての着座部72がパレット100により上方から覆われない範囲で当該パレット100が回転テーブル部71に最も近付くような位置を中間位置として設定している。ここで、最も近付くような位置とは、厳密に最も近い位置を基準として例えば0°~5°の角度誤差に収まるような位置である。尚、図9の例では、中間位置においてパレット100を回転テーブル部71に極力近付けるために、交換アーム24の幅方向の両端面24bの凹みを前記実施形態1よりも大きくとっている。
【0063】
これによれば、パレット旋回昇降部22による旋回動作の中断後、該旋回動作を再開してパレット100を交換位置に移動させるまでの時間を実施形態1に比べて低減することができる。よって、実施形態1と同様の作用効果を得ながら、パレット交換に要する時間をより一層低減することができる。
【0064】
(他の実施形態)
前記各実施形態では、パレット旋回昇降部22によるパレット100の前記中間位置への移動動作が完了した後に、異物検知部32による異物検知処理を開始するようにしているが、これに限ったものではなく、前記中間位置への移動動作が完了する前に異物検知処理を開始するようにしてもよい。具体的には、加工完了後のワークWを積載したパレット100が回転テーブル部71上から退避して全ての着座部72が露出した時点でカメラ26に撮像処理を実行させるようにすればよい。この動作方法によれば、異物検知部32による異物検知処理を出来るだけ早いタイミングで開始することでサイクルタイムを短縮することができる。
【0065】
前記各実施形態では、異物検知部32は、カメラ26による撮像画像を基に各着座部72に異物の付着が有るか否かを検知するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、光学センサを使用して異物の付着の有無を検知するようにしてもよい。具体的には、例えば光学センサにより着座部72の表面形状を計測したり、各着座部72を挟んで対向配置した発光部と受光部との間の光路が異物により遮断されているか否かを判定したりすることが考えられる。
【0066】
前記各実施形態では、パレット旋回昇降部22によりパレット100が中間位置まで移動されたところで交換アーム24の旋回動作を中断し、その状態で異物検知部32による異物検知処理を実行するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、交換アーム24の旋回を中断せずにパレット100が待機位置から交換位置まで移動する間に、異物検知部32による異物検知処理を完了し、異物の付着有りと検知された場合にのみ交換アーム24の旋回を中断して洗浄装置27による洗浄処理を実行するようにしてもよい。
【0067】
前記各実施形態では、洗浄装置27による洗浄に際して、着座部72におけるパレット100の位置決め面に洗浄液を直接供給するようにしているが、これに限ったものではなく、前記位置決め面に付着した異物を除去可能であれば如何なる箇所に洗浄液を供給してもよい。
【0068】
前記各実施形態では、洗浄装置27により着座部72の外部から洗浄液を噴射(供給)するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば図10に示すように、洗浄装置27は、着座部72の内部に形成された洗浄液供給路73jを通じて着座部72の表面(図10の例では、着座シリンダ73のフランジ部73bの上面73f)に洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0069】
前記各実施形態では、異物除去流体としてクーラントなどの洗浄液を採用するようにしているが、これに限ったものではなく、エアなどの気体を採用してもよい。
【0070】
また、前記各実施形態では、旋回式のパレット交換装置20を例示したが、これに限られるものでは無く、一般的にシャトル式と称されるパレット交換装置であっても良い。
【0071】
前記各実施形態では、パレット100を回転テーブル部71に装着する例を示したが、これに限ったものではなく、例えば、回転テーブル部71を廃止してスライドテーブル7にパレット100を直接装着するようにしてもよい。この場合、スライドテーブル7が加工テーブルに相当する。
【0072】
また、前記各実施形態では、パレット交換装置20を搭載する工作機械1として横型のマシニングセンタを例示したが、これに限ったものではなく、立型のマシニングセンタなど、他の工作機械に適用することができ、また、工作機械に限られず、パレットプール装置など工作機械以外の装置にも適用することができる。
【0073】
尚、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
r1 他の領域
r2 他の領域
r3 他の領域
r4 一の領域
W ワーク
1 工作機械
20 パレット交換装置
21 パレット待機台
22 パレット旋回昇降機構部(パレット移動昇降部)
24 交換アーム(保持部材)
26 カメラ(異物検知装置)
27 洗浄装置(流体供給装置)
30 APC制御装置(異物検知装置)
71 回転テーブル部(加工テーブル)
72 着座部
100 パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10