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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088478
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ローラコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
B65G47/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203229
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148818
【氏名又は名称】株式会社太平製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 雅也
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA10
3F081BC04
3F081CC12
3F081DA02
3F081DA12
(57)【要約】
【課題】複数の回転ローラに跨って搬送されるベニヤ単板の搬送位置のみならず搬送姿勢をも容易かつ確実に矯正でき、搬送の高速化にも寄与することのできるローラコンベヤを提供する。
【解決手段】矯正板2は円盤状の外形23を有し、軸線Oに対し取付角θで傾斜して回転ローラ1に嵌め込み固定される。矯正板2の円盤中心C’は、回転ローラ1の外周面との間に形成される楕円状接合部21の楕円中心Cから長軸方向に離間距離Lだけずれて位置する。矯正板2は、円盤状の外形23を有しつつ、回転中心である軸線Oに対し非対称部位22を含む外形形状にて回転ローラ1と一体回転する。矯正板2の非対称部位22は、回転ローラ1の回転に伴い搬送面Sより上側における軌道に沿って周回する間に、接触面24に接触するベニヤ単板Pを矯正方向F’へと導く。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称であり、同時にその楕円状接合部の長軸及び短軸のうち少なくとも一方に関して非線対称であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とするローラコンベヤ。
【請求項2】
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称であり、同時にその楕円状接合部の長軸に関して線対称かつ短軸に関して非線対称であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とするローラコンベヤ。
【請求項3】
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心から自身の中心が長軸方向に所定距離離間した円盤状であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とするローラコンベヤ。
【請求項4】
前記鍔状部材の非対称部位は、前記回転ローラの回転に伴い搬送面より上側における軌道に沿って周回する間に、接触するベニヤ単板の搬送位置及び搬送姿勢を矯正しつつ搬送方向の下流側へ搬送する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のローラコンベヤ。
【請求項5】
前記取付角は、前記鍔状部材におけるベニヤ単板との接触面が前記回転ローラの軸線となす角であって、ベニヤ単板の外側において鋭角に形成される請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のローラコンベヤ。
【請求項6】
前記回転ローラに外嵌され固定されるスリーブの一方の端面が前記取付角を有する楕円状の切断面に形成され、
前記鍔状部材は、前記楕円状接合部が前記スリーブの切断面と固定され、前記スリーブを介して前記回転ローラと一体化される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のローラコンベヤ。
【請求項7】
ベニヤ単板が複数列で搬送される場合、前記鍔状部材は少なくとも各列に1個配置される請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のローラコンベヤ。
【請求項8】
前記鍔状部材は、搬送方向に沿って連続する若しくは断続する複数の回転ローラ又はいずれか単一の回転ローラに対し個別に配置される請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のローラコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニヤ単板を搬送するローラコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の回転ローラによりローラコンベヤが構成される。そして、特許文献1に表されるように、ベニヤレース、ベニヤスライサ等によって切削されたベニヤ単板や、ベニヤドライヤ等から導出されたベニヤ単板がローラコンベヤに載置されて軸線と直交する搬送方向に搬送され、次工程に運ばれる。このとき、すべての回転ローラは一定速度で常時回転しているが、ベニヤ単板には前段加工工程での変形、寸法誤差、重心位置変動等が避けられず、またローラコンベヤにも組立誤差、歪、撓み等が発生する。
【0003】
このように、ローラコンベヤによるベニヤ単板の搬送が不安定になると、ベニヤ単板に搬送位置のずれ(ここでは軸線方向の変動を指す)や搬送姿勢の乱れ(例えばヨーイング、ローリング及びピッチングの各運動により発生する傾きを意味する)を生じやすくなる。また、ローラコンベヤによる搬送の末端部にゲートを備え、回転ローラを空転させながら複数列のベニヤ単板の先端位置をゲートで揃える場合には、ベニヤ単板がゲートに押し付けられることで位置のずれ、姿勢の乱れ、変形等が助長されるおそれもある。さらに、前段の加工工程によってはベニヤ単板の寸法変動が大きくなり、反り、曲がり、ねじれ、うねり等の変形を伴いやすくなる(特に搬送方向が繊維方向と平行な場合に両側縁部近傍で顕著となる)ので、このような変形を伴うベニヤ単板では搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れも大きくかつ頻繁になる傾向がある。
【0004】
特許文献1には、搬送列数(3列)に応じ軸線に直交して配置される複数(4個)の円盤を回転ローラに嵌着することが開示され、これによって搬送時におけるベニヤ単板の偏位(搬送位置のずれ)を防止することが可能となる。すなわち、これらの円盤は、ベニヤ単板が許容位置を超えて軸線方向に移動しないように制限するための障壁としての機能を果たす。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された円盤は回転ローラの軸線に直交して嵌着された状態で回転ローラと一体に回転するのみであり、接触したベニヤ単板を押し戻したりして搬送姿勢の乱れを修正する機能に関しては必ずしも十分とは言えない。特に上記したように変形を伴うベニヤ単板の場合には、搬送位置のずれとともに乗り越えが発生しないように障壁となる円盤を大径にする必要がある他、搬送姿勢の乱れや修正の遅れにより後続の搬送に渋滞、停滞等の悪影響を及ぼすことが懸念され、これらの結果搬送の高速化を図る際に支障をきたすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平2-25601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、複数の回転ローラに跨って搬送されるベニヤ単板の搬送位置のみならず搬送姿勢をも容易かつ確実に矯正でき、搬送の高速化にも寄与することのできるローラコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のローラコンベヤは、
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置(例えば軸端部)にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材(collar-shape member/例えば矯正板)が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称であり、同時にその楕円状接合部の長軸及び短軸のうち少なくとも一方に関して非線対称であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のローラコンベヤは、
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置(例えば軸端部)にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材(collar-shape member/例えば矯正板)が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称であり、同時にその楕円状接合部の長軸に関して線対称かつ短軸に関して非線対称であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とする。
【0010】
さらに、上記課題を解決するために、本発明のローラコンベヤは、
平面視で互いに平行な軸線を有する複数の円柱状又は円筒状の回転ローラに跨って載置されたベニヤ単板を前記軸線と直交する搬送方向に搬送する際に、少なくともいずれか1本の回転ローラにおいてその軸線方向の所定位置(例えば軸端部)にベニヤ単板の搬送位置を規定するための扁平な鍔状部材(collar-shape member/例えば矯正板)が配置されたローラコンベヤであって、
前記鍔状部材は、対応する回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、当該回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心から自身の中心が長軸方向に所定距離離間した円盤状であって、回転中心である前記軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて前記回転ローラと一体回転することを特徴とする。
【0011】
そして、これらに共通して上記鍔状部材の非対称部位は、回転ローラの回転に伴い搬送面より上側における軌道に沿って周回する間に、接触するベニヤ単板の搬送位置及び搬送姿勢を矯正しつつ搬送方向の下流側へ搬送することとなる。
【0012】
このように、鍔状部材は、回転ローラの軸線に対し所定の取付角で傾斜して嵌め込み固定されるとともに、回転中心である軸線に対し非対称部位を含む外形形状にて回転ローラと一体回転するものである。よって、搬送中のベニヤ単板に搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れが生じても、回転ローラの搬送面より上側における軌道に沿って周回する鍔状部材の非対称部位と接触するとき、ベニヤ単板は非対称部位によって持ち上げられたり押し戻されたりする作用を受けることにより、搬送位置のずれのみならず搬送姿勢の乱れを容易かつ確実に矯正(修正)される。したがって、鍔状部材全体を大きく形成したり、回転ローラの間隔を広げたりして、ローラコンベヤを大型化する必要がない。また、搬送位置とともに搬送姿勢もほぼ同時に矯正することができるので、これらの矯正の遅れにより後続の搬送に渋滞、停滞等の悪影響を及ぼすこともなく、搬送の高速化にも対応できる。
【0013】
その際に、鍔状部材の外形形状について、回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称とし、同時にその楕円状接合部の長軸及び短軸のうち少なくとも一方に関して非線対称とすることによって、回転中心である軸線に対し非対称部位が形成される。このようにして鍔状部材には全周のうち一部の範囲に非対称部位が形成され、この非対称部位は回転ローラの回転に伴い、搬送面より上側ではベニヤ単板(の側面)と向き合って約半周し、搬送面より下側ではベニヤ単板と向き合うことなく約半周する軌道を描いて周回する。そして、搬送面より上側の軌道に沿って周回するとき、非対称部位はあたかも搬送面を地平線としたときに日の出から日の入りに至る太陽の如き様相を呈し、接触するベニヤ単板を持ち上げたり押し戻したりして搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れを矯正(修正)できる。
【0014】
また、鍔状部材の外形形状において、回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心に関して非点対称とし、同時にその楕円状接合部の長軸に関して線対称かつ短軸に関して非線対称とすることによって、回転中心である軸線に対し非対称部位が形成される。この場合には、短軸に関して線対称かつ長軸に関して非線対称とする場合と比較して、非対称部位の位置を楕円状接合部の中心(回転中心)から遠くに設定でき、また非対称部位の面積を広くとれる。よって、接触するベニヤ単板を持ち上げたり押し戻したりして搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れを矯正(修正)する能力が相対的に大きくなる。
【0015】
さらに、鍔状部材の外形形状において、回転ローラの外周面との間に形成される楕円状接合部の中心から自身の中心が長軸方向に所定距離離間した円盤状とすることによって、回転中心である軸線に対し非対称部位が形成される。この場合には、円盤状の単純形状とすることによって非対称部位を製造容易かつ安価に形成できる。
【0016】
ここで、上記取付角は、鍔状部材におけるベニヤ単板との接触面が回転ローラの軸線となす角であって、ベニヤ単板の外側において鋭角に形成される。
【0017】
これによって、ベニヤ単板が搬送方向を外れて側方に移動しようとするとき、接触先端部を少し持ち上げつつ元の方向に戻るように鍔状部材の接触面が回転するので、ベニヤ単板を無理なく元の方向(正規の搬送方向)に戻すことができる。
【0018】
そして、上記回転ローラに外嵌され固定されるスリーブの一方の端面が取付角を有する楕円状の切断面に形成され、
鍔状部材は、楕円状接合部がスリーブの切断面と(例えば溶接によって)固定され、スリーブを介して回転ローラと一体化される。
【0019】
このようにスリーブを介在させることによって、鍔状部材を所定の取付角に保持しつつ回転ローラと容易に一体化できる。
【0020】
なお、ベニヤ単板が複数列で搬送される場合、上記鍔状部材は少なくとも各列に1個配置される。
【0021】
また、上記鍔状部材は、搬送方向に沿って連続する若しくは断続する複数の回転ローラ又はいずれか単一の回転ローラに対し個別に配置される。
【0022】
これらによって鍔状部材が複数配置されることになり、ベニヤ単板の搬送を一層安全かつ高速で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るローラコンベヤの一例を模式的に表す平面説明図。
図2図1の側面図。
図3図1の主要部を拡大して表示し、矯正板がスタート位置としての第一回転位置にあるときの平面図。
図4図3をIV-IV線で切断した正面視断面図。
図5図3をV-V線で切断した側面視断面図。
図6図4のVI方向矢視図。
図7図3から矯正板が90°正回転した第二回転位置にあるときの平面図。
図8図7から矯正板がさらに90°正回転した第三回転位置にあるときの平面図。
図9図8から矯正板がさらに90°正回転した第四回転位置にあるときの平面図。
図10】ローラコンベヤの第一変更例を模式的に表す平面説明図。
図11】ローラコンベヤの第二変更例を模式的に表す平面説明図。
図12】ローラコンベヤの第三変更例を模式的に表す平面説明図。
図13】ローラコンベヤの第四変更例を模式的に表す平面説明図。
図14】ローラコンベヤの第五変更例を模式的に表す平面説明図。
図15】ローラコンベヤの第六変更例を模式的に表す平面説明図。
図16】ローラコンベヤの第七変更例を模式的に表す平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例)
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るローラコンベヤの全体構造の一例を模式的に表す平面図であり、図2はその側面図である。
【0025】
図1図2に示すローラコンベヤ100は、搬送方向Fと直交方向に配設された複数本(例えば6本)の回転ローラ1から構成される。そのうちのいずれかの回転ローラ1には、ローラ軸10の一端側に駆動チェンスプロケット13が設けられ、原動機11の回転が駆動チェン12を介して駆動チェンスプロケット13に伝達される。各ローラ軸10の他端側にはそれぞれ伝動チェンスプロケット14が設けられ、伝動チェン15が巻回されている。駆動チェンスプロケット13の回転は、伝動チェンスプロケット14、伝動チェン15を介して各ローラ軸10に同時に伝達されるので、各回転ローラ1は同一方向に同一速度で一斉に回転し、複数列(例えば2列)に載置されたベニヤ単板Pを搬送方向Fに搬送する。なお、2列に並んで搬送されるベニヤ単板Pの先頭位置を揃えるために、搬送方向最下流側の回転ローラ1のさらに下流側にゲート16を配置する場合がある。
【0026】
図1に示すように、互いに平行な軸線Oを有する複数(例えば3本)の円筒状の回転ローラ1に跨って2列にベニヤ単板Pが載置され、繊維方向が軸線Oと直交する搬送方向Fと平行になるような状態で搬送される。そして、いずれか1本(例えば最上流側)の回転ローラ1には、軸線方向の複数個所(例えば各列のベニヤ単板Pにつき左右いずれか片側に1個所で合計2個所)に、ベニヤ単板Pの搬送位置を規定するための扁平な矯正板2(鍔状部材)がそれぞれ配置される。
【0027】
図3図9には、図1に表された2個の矯正板のうち、左列ベニヤ単板Pの左側に位置する矯正板2が拡大して表示される。そのうち図3は矯正板の非対称部位(後述する)がローラコンベヤの搬送面に対して最高位に位置する第一回転位置(スタート位置)にあるときの平面図であり、図7は矯正板が図3から90°正回転した第二回転位置にあるときの平面図、図8は矯正板が図7からさらに90°正回転した第三回転位置にあるときの平面図、図9は矯正板が図8からさらに90°正回転した第四回転位置にあるときの平面図をそれぞれ表す。
【0028】
なお、図3(第一回転位置を表す平面図)において、IV-IV線で切断した正面視断面図が図4、V-V線で切断した側面視断面図が図5にそれぞれ表される。また、図4のVI方向矢視図が図6に表される。
【0029】
図4図6に示すように、矯正板2は円盤状の外形23を有し、軸線Oに対し取付角θで傾斜して回転ローラ1に嵌め込み固定される。このとき、矯正板2(外形23)の円盤中心C’は、回転ローラ1の外周面との間に形成される楕円状接合部21の楕円中心Cから長軸LA方向に任意の離間距離L(例えば長軸LAの長さの1/6~1/4)だけずれて位置する。このずれによって矯正板2は、円盤状の外形23を有しつつ、回転中心である軸線Oに対し非対称部位22を含む外形形状にて回転ローラ1と一体回転する。なお、取付角θは、矯正板2におけるベニヤ単板Pとの接触面24が回転ローラ1の軸線Oとなす角であって、ベニヤ単板Pの外側(回転ローラ1の左端側)において鋭角(例えばθ=65°~80°)に形成される(図4参照)。
【0030】
同じく図4図6に示すように、回転ローラ1に軸端部側から外嵌され、複数(例えば2個)の固定ねじ32によって固定されるスリーブ3の一方の端面が取付角θを有する楕円状の切断面31に形成される。矯正板2は、楕円状接合部21がスリーブ3の切断面31と溶接によって固定され、スリーブ3を介して回転ローラ2と一体化される。
【0031】
ところで、上記した矯正板2の外形23について次のように表現することもできる。矯正板2の外形23は、回転ローラ1の外周面との間に形成される楕円状接合部21の楕円中心Cに関して非点対称(点対称でない)であり、同時に楕円状接合部21の長軸LAに関して線対称かつ短軸SAに関して非線対称(線対称でない)であって、回転中心である軸線Oに対し非対称部位22を含む外形形状にて回転ローラ1と一体回転する(図6参照)。
【0032】
このようにして矯正板2には全周のうち一部の範囲に非対称部位22が形成され、この非対称部位22は回転ローラ1の回転に伴い、搬送面Sより上側ではベニヤ単板P(の側面)と向き合って約半周し(図3図7参照)、搬送面Sより下側ではベニヤ単板Pと向き合うことなく約半周する(図8図9参照)軌道を描き、この周回回転を繰り返す。そして、搬送面Sより上側の軌道に沿って周回するとき、非対称部位22はあたかも搬送面Sを地平線としたときに日の出から日の入りに至る軌道を巡る太陽の如き様相を呈し(図3図4参照)、接触面24に接触するベニヤ単板Pを持ち上げたり押し戻したりして搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れを矯正(修正)できる。
【0033】
図3の第一回転位置(スタート位置)は、矯正板2の非対称部位22がローラコンベヤ100(回転ローラ1)の搬送面Sに対して最高位に位置する状態(太陽の動きに譬えれば南中に相当)を表す。矯正板2の非対称部位22は、回転ローラ1の回転に伴い搬送面Sより上側における軌道(図3のスタート位置を挟んで前後各90°、すなわち図9図3図7の軌道)に沿って周回する間に、接触面24に接触するベニヤ単板Pの搬送位置及び搬送姿勢を矯正しつつ(図4の矯正方向F’参照)搬送方向Fの下流側へ搬送する。
【0034】
具体的には、図3又は図4に示す第一回転位置において、ベニヤ単板Pの搬送位置が矯正板2寄り(左寄り)にずれている場合や搬送姿勢が搬送方向Fから(左向きに)傾いている場合に、ベニヤ単板Pの先端部分が矯正板2の接触面24である非対称部位22と接触する。このとき非対称部位22は、ベニヤ単板Pの先端部分を一度搬送面Sよりも上方へ持ち上げるように次いで軸線Oの右方向へ押し戻すように矯正方向F’へ導き、第二回転位置に至る間に搬送位置及び搬送姿勢を矯正する(図7参照)。非対称部位22が搬送面Sより下側に位置する第三回転位置ではベニヤ単板Pは非対称部位22に接触しない(図8参照)。なお、ベニヤ単板Pに反り等の変形を伴っている場合でも非対称部位22は同様に機能する。また、図1に示す左右の矯正板2,2(及びその非対称部位)は左右対称に回転ローラ1に固定され、同一の機能を有する。
【0035】
このように、搬送中のベニヤ単板Pに搬送位置のずれや搬送姿勢の乱れが生じても、回転ローラ1の搬送面Sより上側における軌道に沿って周回する矯正板2の非対称部位22と接触するとき、ベニヤ単板Pは非対称部位22によって持ち上げられたり押し戻されたりする作用を受けることにより、搬送位置のずれのみならず搬送姿勢の乱れを容易かつ確実に矯正(修正)される。したがって、矯正板2全体を大きく形成したり、回転ローラ1の間隔を広げたりして、ローラコンベヤ100を大型化する必要がない。また、搬送位置とともに搬送姿勢もほぼ同時に矯正することができるので、これらの矯正の遅れにより後続の搬送に渋滞、停滞等の悪影響を及ぼすこともなく、搬送の高速化にも対応できる。なお、搬送速度は、1枚のベニヤ単板Pが通過する間に矯正板2(非対称部位22)が数回転する程度が望ましい。
【0036】
また、矯正板2の外形23を円盤状の単純形状とすることによって非対称部位22を製造容易かつ安価に形成できる。さらに、スリーブ3を介在させることによって、矯正板2を所望の取付角θに保持しつつ回転ローラ1と容易に一体化できる。
【0037】
(変更例)
以上の実施例で説明したローラコンベヤ100において、ベニヤ単板Pの搬送列数や矯正板2の個数、配置位置等は適宜変更できる。例えば次のような変更も可能である。
【0038】
図10に示す第一変更例では、3列で搬送され、各列のベニヤ単板Pに対し矯正板2が左右いずれか片側に1個ずつ、最上流の回転ローラ1において軸線方向計3個所に設置される。図10において、左列及び中央列ではベニヤ単板Pの左側、右列ではベニヤ単板Pの右側にそれぞれ矯正板2が配置される。また、図11に示す第二変更例では、4列で搬送され、各列のベニヤ単板Pに対し矯正板2が左右いずれか片側に1個ずつ、最上流の回転ローラ1において軸線方向計4個所に設置される。図11において、最右列ではベニヤ単板Pの右側、それ以外の3列ではベニヤ単板Pの左側にそれぞれ矯正板2が配置される。
【0039】
一方、図12及び図13では、図1の矯正板2,2が異なる回転ローラ1,1に設置される。図12に示す第三変更例では、搬送方向Fに沿って連続する2本の回転ローラ1,1(最上流に位置する回転ローラ1及びその下流に位置する回転ローラ1)に1個ずつ配置される。また、図13に示す第四変更例では、搬送方向Fに沿って断続する2本の回転ローラ1,1(最上流に位置する回転ローラ1及び1本おいて下流に位置する回転ローラ1)に1個ずつ配置される。
【0040】
次に、図14及び図15では、単列のベニヤ単板Pに対しいずれも片側に位置する複数の矯正板が、異なる回転ローラに個別に設置される。図14に示す第五変更例では、搬送方向Fに沿って連続する3本の回転ローラ1,1,1に、3個の矯正板2,2,2が取付位置を右端部から少しずつ中央寄りにずらしながら個別に配置される。また、図15に示す第六変更例では、搬送方向Fに沿って断続する2本の回転ローラ1,1(最上流に位置する回転ローラ1及び1本おいて下流に位置する回転ローラ1)の同じ位置(右端部)に、2個の矯正板2,2が個別に配置される。
【0041】
そして、図16に示す第七変更例では、図10(第一変更例)にさらに3個の矯正板2が付加されている。その結果、図16では、3列で搬送され、各列のベニヤ単板Pに対し矯正板2が左右両側に設けられ、最上流の回転ローラ1において軸線方向の計6個所に設置される。言い換えると、左列に係るベニヤ単板Pの左側、及び右列に係るベニヤ単板Pの右側にはそれぞれ1個の矯正板2が配置されるとともに、左列に係るベニヤ単板Pと中央列に係るベニヤ単板Pとの間、及び右列に係るベニヤ単板Pと中央列に係るベニヤ単板Pとの間にはそれぞれ一対の矯正板2,2が配置され、計6個の矯正板2,2,……はすべて最上流の回転ローラ1に取り付けられる。
【0042】
図16において、搬送列間に設けられる一対の矯正板2,2は、各列に係るベニヤ単板Pとの間に搬送隙間W,Wを確保しつつ、スリーブ3,3を介して背中合わせ状に回転ローラ1と一体化される。なお、図16のように搬送列間に設けられる一対の矯正板2,2を回転ローラ1と一体化する場合に限り、背中合わせで隣接する一対のスリーブ3,3は、単一化されかつ両側の端面がともに取付角θ(図4参照)を有する楕円状の切断面31(図6参照)に形成された、合体スリーブ3’とすることができる。
【0043】
本発明に係るローラコンベヤ100は、前段及び後段に設けられる工程や装置によって限定されない。なお、矯正板2は円盤状の外形形状に限定されず、多様な形状が利用可能である。例えば、矯正板2の外形23は、楕円状接合部21の短軸SAに関して線対称かつ長軸LAに関して非線対称(線対称でない)であってもよい。あるいは、矯正板2は回転ローラ1の全周を囲んでいなくてもよく、スリーブ3を介さずに回転ローラ1の外周面に直接固定してもよい。また、矯正板2の個数、取付位置等は実施例や変更例に限定されない。さらに、以上で説明した実施例及び変更例は、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 回転ローラ
10 ローラ軸
2 矯正板(鍔状部材)
21 楕円状接合部
22 非対称部位
23 外形
24 接触面
3 スリーブ
31 切断面
32 固定ねじ
100 ローラコンベヤ
O 軸線
P ベニヤ単板
θ 取付角
F 搬送方向
F’ 矯正方向
C 楕円中心
C’ 円盤中心
L 離間距離
LA 長軸
SA 短軸
S 搬送面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16