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特開2023-88498ブラックマトリックス用顔料分散組成物及びその製造方法、ブラックマトリックス用レジスト組成物、並びにブラックレジスト膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088498
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ブラックマトリックス用顔料分散組成物及びその製造方法、ブラックマトリックス用レジスト組成物、並びにブラックレジスト膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20230620BHJP
   C09C 1/48 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C09D17/00
C09C1/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203272
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】辻 康人
(72)【発明者】
【氏名】杉江 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】戸田 光信
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037AA02
4J037CC13
4J037CC16
4J037CC23
4J037CC24
4J037CC26
4J037CC28
4J037DD17
4J037DD23
4J037DD24
4J037FF05
4J037FF15
(57)【要約】
【課題】光学濃度及び細線密着性に優れるブラックマトリックス用レジスト組成物が得られるブラックマトリックス用顔料分散組成物を提供すること。
【解決手段】カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、イオン捕捉剤、及び溶剤を含有し、前記カーボンブラックは、酸性カーボンブラックであり、前記イオン捕捉剤は、メジアン径が0.1~10μmである無機系化合物であり、かつ前記カーボンブラック100質量部に対して、1~15質量部であるブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、イオン捕捉剤、及び溶剤を含有し、
前記カーボンブラックは、酸性カーボンブラックであり、
前記イオン捕捉剤は、メジアン径が0.1~10μmである無機系化合物であり、かつ前記カーボンブラック100質量部に対して、1~15質量部であることを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項2】
前記カーボンブラックは、DBP吸油量が80ml/100g以下であることを特徴とする請求項1に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項3】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、アミン価が5~50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項4】
前記アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性カルド樹脂、及び/又はアルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有することを特徴とするブラックマトリックス用レジスト組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のブラックマトリックス用レジスト組成物を用いて得られることを特徴とするブラックレジスト膜。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物の製造方法であって、前記イオン捕捉剤の存在下、少なくとも、前記カーボンブラックを分散処理することを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックマトリックス用顔料分散組成物及びその製造方法、ブラックマトリックス用レジスト組成物、並びにブラックレジスト膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、バインダ樹脂及び溶剤等を含有するブラックマトリックス用顔料分散組成物を用いたレジスト組成物は、高い光学濃度(遮光性)や細線密着性(解像度)が要求され(特許文献1)、また、カーボンブラックを洗浄してカリウムイオンを低減させると、光学濃度(遮光性)等が向上できることが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-38289号公報
【特許文献2】特開2007-316620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにカーボンブラックを洗浄する場合、多量の水を使用する必要があり、さらに、洗浄、濾過、乾燥といった煩雑な操作が必要となる問題があった。また、組成物中のカリウムイオンを除去するために、一般的に、イオン交換樹脂を備えた樹脂塔に、組成物を通液させる方法も知られているが、多量のイオン交換樹脂を使用するため、イオン交換樹脂の調達や廃棄に高いコストを要する問題があった。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、光学濃度及び細線密着性に優れるブラックマトリックス用レジスト組成物が得られるブラックマトリックス用顔料分散組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、イオン捕捉剤、及び溶剤を含有し、前記カーボンブラックは、酸性カーボンブラックであり、前記イオン捕捉剤は、メジアン径が0.1~10μmである無機系化合物であり、かつ前記カーボンブラック100質量部に対して、1~15質量部であるブラックマトリックス用顔料分散組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有するブラックマトリックス用レジスト組成物に関する。
【0008】
さらに、本発明は、ブラックマトリックス用レジスト組成物を用いて得られるブラックレジスト膜に関する。
【0009】
さらに、本発明は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物の製造方法であって、前記イオン捕捉剤の存在下、少なくとも、前記カーボンブラックを分散処理するブラックマトリックス用顔料分散組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、イオン捕捉剤、及び溶剤を含有し、前記カーボンブラックは、酸性カーボンブラックであり、前記イオン捕捉剤は、メジアン径が0.1~10μmである無機系化合物であり、かつ前記カーボンブラック100質量部に対して、1~15質量部である。本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、前記イオン捕捉剤によって酸性カーボンブラックの製造で混入するカリウムイオン等のイオンを含む物質を捕捉できるため、酸性カーボンブラックの洗浄等の操作を必要とせずとも、光学濃度及び細線密着性に優れるブラックマトリックス用レジスト組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、カーボンブラック、塩基性基含有顔料分散剤、酸性基含有顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、イオン捕捉剤、及び溶剤を含有する。
【0012】
<カーボンブラック>
前記カーボンブラックは、カルボキシル基等の酸性基を有する酸性カーボンブラックである。前記酸性カーボンブラックとしては、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知の酸性カーボンブラックを使用でき、例えば、現像性及び細線密着性を向上させる観点から、pHが5.0以下であることが好ましく、pHが1.0以上3.5以下であることがより好ましく、また、DBP吸油量が80ml/100g以下であることが好ましく、DBP吸油量が70ml/100g以下であることがより好ましく、また、粒子径が20~60nmであることが好ましい。なお、上記pHは、カーボンブラック1gを、炭酸を除いた蒸留水(pH7.0)20mlに添加してマグネチックスターラーで混合して水性懸濁液を調製し、ガラス電極を使用して25℃で測定することができる(ドイツ工業品標準規格 DIN ISO 787/9)。また、DBP吸油量とは、空隙容積を測定することでカーボンブラックのストラクチャーを間接的に定量化するもので、JIS K 6217-4に準拠して測定した数値である。また、上記粒子径は、顕微鏡観察によって測定又は算出した平均一次粒子径を意味する。これらの値につき、市販品の場合、カタログ値を参考とする。前記カーボンブラックは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
前記酸性カーボンブラックとしては、具体的には、コロンビアケミカルズ社製のRaven1080(pH2.4、平均一次粒子径28nm、DBP吸油量60ml/100g)、Raven1100U(pH2.9、平均一次粒子径32nm、DBP吸油量72ml/100g)、NEROX305(pH2.8、平均一次粒子径28nm、DBP吸油量58ml/100g)、NEROX3500(pH3.0、平均一次粒子径31nm、DBP吸油量43ml/100g)、キャボット社製のTPK1104R(pH3.0、平均一次粒子径約30nm、DBP吸油量38ml/100g、)、三菱ケミカル社製のMA14(pH2.8、平均一次粒子径40nm、DBP吸油量73ml/100g)、MA220(pH2.9、平均一次粒子径55nm、DBP吸油量93ml/100g)等が挙げられる。
【0014】
前記カーボンブラックは、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、ブラックマトリックス膜を形成した場合の遮光性を高める観点から、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、そして、顔料分散の観点から、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0015】
<塩基性基含有顔料分散剤>
前記塩基性基含有顔料分散剤は、前記カーボンブラックを分散できればよく、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知の塩基性基含有顔料分散剤を使用でき、例えば、アニオン性界面活性剤、塩基性基含有ポリエステル系顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系顔料分散剤、塩基性基含有ウレタン系顔料分散剤、塩基性基含有カルボジイミド系顔料分散剤等が挙げられる。前記塩基性基としては、1級、2級又は3級アミノ基が、特に分散性に優れる観点から好ましい。前記塩基性基含有顔料分散剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、良好な顔料分散性が得られる点から、高分子型の塩基性基含有顔料分散剤が好ましい。前記高分子型の塩基性基含有顔料分散剤としては、例えば、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、塩基性基含有ポリエステル系高分子顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系高分子顔料分散剤等が挙げられる。これらの中でも、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系高分子顔料分散剤が好ましい。前記塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤は、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、及びポリカーボネート鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を有する塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤がより好ましい。
【0017】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、ブラックマトリックス用顔料分散組成物を低粘度化することができ、塗膜中のカーボンブラックを高濃度にすることができる観点から、アミン価が5~50mgKOH/gであることが好ましく、アミン価が5~35mgKOH/gであることがより好ましい。なお、アミン価とは、遊離塩基及び塩基の総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に対して当量の水酸化カリウムのmg数で表したものである。
【0018】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、前記カーボンブラック100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましい。
【0019】
<酸性基含有顔料分散助剤>
前記酸性基含有顔料分散助剤は、顔料の分散性をより改善する目的で使用され、例えば、ラクタムブラック、ペリレン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物、アゾナフトール系化合物、ジオキサジン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物及びその金属錯体、アントラキノン、ナフタレン、アクリドン、又はトリアジン等の色素に、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基が導入された化合物(酸性基を有する色素誘導体)や、それらを有機アミン等で中和した化合物が挙げられる。前記酸性基を有する色素誘導体としては、カーボンブラックの分散性が良好である観点から、スルホン酸基を有するフタロシアニン系(フタロシアニン骨格を有する)色素誘導体が好ましい。前記酸性基含有顔料分散助剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
前記酸性基含有顔料分散助剤は、前記カーボンブラック100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
【0021】
<アルカリ可溶性樹脂>
前記アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液に溶解できるものであれば特に制限はないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基(-P(=O)(OH))等のアニオン性基の1種又は2種以上を含有する樹脂が好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像性の観点から、10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0023】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、レジスト膜の形成性の観点から、3,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、アルカリ現像液への溶解性を高める観点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。
【0024】
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μm、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0025】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、アルカリ可溶性ポリイミド前駆体、アルカリ可溶性ポリベンゾオキサゾール樹脂、アルカリ可溶性ポリベンゾオキサゾール前駆体、アルカリ可溶性カルド樹脂、アルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、アルカリ可溶性ポリシロキサン樹脂、アルカリ可溶性ノボラック樹脂、アルカリ可溶性(メタ)アクリル樹脂、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、アルカリ可溶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、塗膜の耐熱性の観点から、アルカリ可溶性カルド樹脂、アルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
【0026】
前記アルカリ可溶性カルド樹脂とは、カルド骨格を有するアルカリ可溶性樹脂のことをいい、カルド骨格とは、環状構造を構成する環炭素原子である4級炭素原子に、2つの芳香族基が単結合で繋がった骨格をいう。アルカリ可溶性カルド樹脂の具体例としては、例えば、ADEKA ARKLS WR-301(ADEKA社製)、オグゾールCR-TR1、CR-TR2、CR-TR3、CR-TR4、CR-TR5、CR-TR6(以上、大阪ガスケミカル社製)が挙げられる。
【0027】
前記アルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とは、エチレン性不飽和モノカルボン酸が有するカルボキシル基を、エポキシ樹脂が有するエポキシ基に開環付加させることによりエチレン性不飽和基を導入し、さらにエポキシ基の開環により生じた水酸基の少なくとも一部に、多塩基性カルボン酸(又はその無水物)を付加させることによりカルボキシル基を導入して得られる酸変性エポキシ樹脂のうち、上記カルド骨格を有さず、上記アルカリ可溶性樹脂に相当する樹脂のことをいう。前記アルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂において、母体原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。エポキシ樹脂を変性するために用いるエチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく挙げられる。多塩基性カルボン酸(又はその無水物)としては、例えば、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物が好ましく挙げられる。これらの中でも、細線密着性を向上させる観点から、ビフェニル骨格を有するアルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。前記アルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の具体例としては、例えば、ZAR-1494H、ZAR-2001H、ZFR-1491H、ZCR-1797H、ZCR-1569H、ZCR-1798H(以上、日本化薬社製)が挙げられる。また、好ましい具体例としては、下記構造式のいずれかで表される部分構造を有するアルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
前記アルカリ可溶性樹脂は、前記カーボンブラック100質量部に対して、1~70質量部であることが好ましく、2~40質量部であることがより好ましい。
【0030】
<イオン捕捉剤>
前記イオン捕捉剤は、メジアン径が0.1~10μmである無機系化合物である。前記イオン捕捉剤は、陽イオン及び陰イオンの少なくとも一方を捕捉できるものであればよく、イオン捕捉能を有する陽イオン捕捉剤、陰イオン捕捉剤、両イオン捕捉剤が挙げられる。無機系化合物としては、例えば、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属原子を含む無機系化合物が挙げられる。これらの中でも、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属原子を含む無機系化合物が好ましい。前記イオン捕捉剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができ、市販品の場合、カタログ値を参考とする。
【0031】
前記イオン捕捉剤は、前記カーボンブラック100質量部に対して、1~15質量部である。前記イオン捕捉剤は、前記カーボンブラック100質量部に対して、細線密着性を向上させる観点から、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、そして、光学濃度を向上させる観点から、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。
【0032】
<溶剤>
前記溶剤は、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知の溶剤を使用できる。前記溶剤は、顔料を安定的に分散させ、前記塩基性基含有顔料分散剤や前記アルカリ可溶性樹脂を十分に溶解させることができる観点から、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、含窒素系溶剤等が好ましい。前記溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
前記エステル系溶剤としては、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、蟻酸n-アミル等が挙げられる。前記エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等が挙げられる。前記エーテルエステル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。前記ケトン系溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、δ-ブチロラクトン等が挙げられる。前記芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等が挙げられる。前記含窒素系溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0034】
前記溶剤の割合は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、工程性の観点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、そして、分散安定性の観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
<エポキシ樹脂>
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物には、細線密着性を向上させる観点から、エポキシ樹脂を使用してもよい。とくに、高抵抗用途では、エポキシ樹脂を配合することが好ましい。前記エポキシ樹脂は、エポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ樹脂である。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノール化合物(フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS等)とアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、サリチルアルデヒド等)との縮合物のグリシジルエーテル化物、二官能フェノールのグリシジルエーテル化物、二官能アルコールのグリシジルエーテル化物、三官能以上のポリフェノールのグリシジルエーテル化物、及びこれらの水素添加物又はハロゲン化物等が挙げられる。前記エポキシ樹脂は、脂環又は芳香環を有する多官能エポキシ樹脂であってもよく、また、脂環であるジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ樹脂であってもよく、なかでも、細線密着性を向上させる観点から、芳香環を有する多官能エポキシ樹脂が好ましい。前記エポキシ樹脂の具体例としては、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト80MF、エポライト4000、エポライト3002(以上、共栄社化学社製)、デナコールEX-212L、デナコールEX-214L、デナコールEX-216L、デナコールEX-850L、デナコールEX-321L(以上、ナガセケムテックス社製)、GAN、GOT、NC3000、NC6000、EPPN502H、EPPN-503(以上、日本化薬社製)、エピコート828、エピコート1002、エピコート1750、エピコート1007、YX8100-BH30、E1256、E4250、E4275(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロンEXA-9583、エピクロンN695、HP7200、HP4032(以上、大日本インキ化学工業社製)、VG3101(三井化学社製)、テピックS、テピックG、テピックP(以上、日産化学工業社製)、ポトートYH-434L(東都化成社製)等が挙げられる。なお、前記エポキシ樹脂は、インダン構造やビフェニル構造を有しないことが、反応性等の点において好ましい。
【0036】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、下記式1~7で示される芳香環を有する多官能エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【0044】
前記エポキシ樹脂は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物又は後述するブラックマトリックス用レジスト組成物に含まれるカーボンブラック100質量部に対して、ブラックマトリックスとしての抵抗値の観点から、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、そして、顔料濃度による黒色度の観点から、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。
【0045】
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物には、さらに、必要に応じて、レベリング剤、前記エポキシ樹脂及び前記アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤を添加してもよい。ただし、臭気性の観点から、チオール化合物(例えば、分子量が1000以下のチオール化合物)は含まないほうが好ましい。
【0046】
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、前記カーボンブラック、前記塩基性基含有顔料分散剤、前記酸性基含有顔料分散助剤、前記アルカリ可溶性樹脂、前記イオン捕捉剤及び前記溶剤の合計の割合は、75質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、前記エポキシ樹脂を配合する場合、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、前記カーボンブラック、前記塩基性基含有顔料分散剤、前記酸性基含有顔料分散助剤、前記アルカリ可溶性樹脂、前記イオン捕捉剤、前記溶剤及び前記エポキシ樹脂の合計の割合は、75質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0047】
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、上記の各成分をロールミル、ニーダー、高速攪拌機、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散装置等を用いて、分散処理して調製すればよい。とくに、前記カーボンブラックに含まれるイオンを含む物質を効率良く捕捉し、光学濃度及び細線密着性を向上させる観点から、前記イオン捕捉剤の存在下、少なくとも、前記カーボンブラックを分散処理することが好ましい。
【0048】
<ブラックマトリックス用レジスト組成物>
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含む。なお、前記カーボンブラックの割合は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物の固形分中、30質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
【0049】
<光重合性化合物>
前記光重合性化合物は、ブラックマトリックス用レジスト組成物に使用される公知の光重合性化合物を使用でき、例えば、光重合性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。前記光重合性化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
光重合性不飽和結合を1個有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が挙げられる。
【0051】
光重合性不飽和結合を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
【0052】
光重合性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、例えば、前記モノマーを適宜重合させて得られたものが挙げられる。
【0053】
前記光重合性化合物は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物の固形分中、2~20質量%であることが好ましく、4~15質量%であることがより好ましい。
【0054】
前記光重合開始剤は、ブラックマトリックス用レジスト組成物に使用される公知の光重合開始剤を使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、トリアジン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤等が挙げられる。前記光重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
前記光重合開始剤は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物の固形分中、0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
【0056】
前記ブラックマトリックス用レジスト組成物は、アルカリ現像液による現像性の観点から、上記のアルカリ可溶性樹脂をさらに添加してもよい。また、前記アルカリ可溶性樹脂の合計は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物の固形分中、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物は、塗装性を向上させる観点から、上記の溶剤をさらに添加してもよい。前記溶剤の合計の割合は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0057】
前記ブラックマトリックス用レジスト組成物には、さらに、必要に応じて、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤を添加してもよい。
【0058】
前記ブラックマトリックス用レジスト組成物は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤等の各成分を、攪拌装置等を用いて、攪拌混合して調製すればよい。
【0059】
<ブラックレジスト膜>
本発明のブラックレジスト膜は、前記ブラックマトリックス用レジスト組成物を用いて得られる。前記ブラックレジスト膜は、表面抵抗値が5.0×10Ω/□以上であることが好ましく、1.0×1010Ω/□以上であることがより好ましく、1.0×1011Ω/□以上であることがさらに好ましい。とくに、高抵抗用途では、表面抵抗値が1.0×1012Ω/□以上であることが好ましく、1.0×1013Ω/□以上であることがより好ましい。
【実施例0060】
以下に本発明を実施例等によって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0061】
<実施例1-1~1-11、比較例1-1~1-6>
<ブラックマトリックス用顔料分散組成物の調製>
表1及び2に示す各種原料を、表1及び2に示す配合組成(質量%)となるように混合した後、ビーズミルで練肉し、各実施例及び比較例のブラックマトリックス用顔料分散組成物を調製した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
表1及び2中、NEROX305は、酸性カーボンブラック(吸油量58ml/100g、pH2.8、平均一次粒子径28nm、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製);
TPK1104Rは、酸性カーボンブラック(吸油量:38ml/100g、pH3.0、平均一次粒子径約30nm、キャボット社製);
IXEPLAS B1は、両イオン捕捉剤(ジルコニウム/ビスマス系、メジアン径0.4μm、東亞合成社製);
IXE-100は、陽イオン捕捉剤(ジルコニウム系、メジアン径1μm、東亞合成社製);
IXE-500は、陰イオン捕捉剤(ビスマス系、メジアン径1.5μm、東亞合成社製);
IXE-550は、陰イオン捕捉剤(ビスマス系、メジアン径1.5μm、東亞合成社製);
IXE-600は、両イオン捕捉剤(アンチモン/ビスマス系、メジアン径1μm、東亞合成社製);
IXE-700Fは、陰イオン捕捉剤(アルミニウム/マグネシウム系、メジアン径1.5μm、東亞合成社製);
IXE-770Fは、陰イオン捕捉剤(アルミニウム/マグネシウム系、メジアン径6μm、東亞合成社製);
IXE-6136は、両イオン捕捉剤(ジルコニウム/ビスマス系、メジアン径2.1μm、東亞合成社製);
DB167は、ポリエステル鎖を有するアミノ基含有ポリウレタン系高分子分散剤(ビックケミー社製、固形分のアミン価25mgKOH/g、固形分52質量%);
SS5000Sは、スルホン酸基を有するフタロシアニン系色素誘導体(ルブリゾール社製);
BYK2100は、スルホン酸基を有するフタロシアニン系色素誘導体(ビックケミー社製);
ZCR-1569Hは、ビフェニル骨格を有するアルカリ可溶性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(固形分69%、日本化薬社製);
EPPN-503は、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;を示す。
【0065】
<実施例2-1~2-11、比較例2-1~2-6>
<ブラックマトリックス用レジスト組成物の調製>
表3及び4に示す各種原料を、表3及び4に示す配合組成(質量%)となるように、高速撹拌機を用いて混合した後、孔径0.5μmのフィルターで濾過し、各実施例及び比較例のブラックマトリックス用レジスト組成物を調製した。
【0066】
また、上記で得られたブラックマトリックス用レジスト組成物を用い、以下の評価方法にしたがって、各項目を評価した。結果を表3及び4に示す。
【0067】
<レジストパターンの光学濃度(OD値)の評価>
上記の各ブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたレジスト膜を得た。得られた各ベタ部のレジスト膜の光学濃度(OD値)をマクベス濃度計(TD-931、商品名、マクベス社製)で測定した。光学濃度(OD値)が4.0以上であることを合格基準とした。
【0068】
<ブラックレジスト膜の細線密着性(A)及び(B)の評価>
上記の各ブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(EAGLE XG)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。次いで、1μmから20μmの線幅について1μm間隔のラインパターンを有するフォトマスクを用いて、高圧水銀灯を用い、UV積算光量100mJ/cmで露光した。その後、23℃、0.05%水酸化カリウム水溶液中、1kgf/cmのシャワー現像圧にて現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)から現像を開始し、細線密着性(A)の評価においては、ブレイクポイントの1.3倍の時間になったところで現像を終了し、細線密着性(B)の評価においては、ブレイクポイントの30秒後になったところで現像を終了した。その後、1kgf/cm圧のスプレー水洗を行った。ガラス基板上に残存する最小のラインパターンのサイズ(μm)を評価した。細線密着性(A)の評価は、ブレイクポイントが50±25秒で、最小のラインパターンのサイズが10μm以下であることを合格基準とした。また、細線密着性(B)の評価は、ブレイクポイントが20±10秒で、最小のラインパターンのサイズが8μm以下であることを合格基準とした。
【0069】
<ブラックレジスト膜の表面抵抗値の測定>
上記の各ブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(EAGLE XG)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光(UV積算光量80mJ/cm)し、更に230℃で60分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたブラックレジストパターン(ブラックマトリックス)を作製した。作製した各ブラックレジストパターンの表面抵抗値を本体:微小電流計 R8340、オプション:シールドボックス R12702A(いずれもアドバンス社製)にて測定した。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表3及び4中、DPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
OXE02は、オキシムエステル系光重合開始剤『IRGACURE OXE02』(BASFジャパン社製);
WR-301は、アルカリ可溶性カルド樹脂『ADEKA ARKLS WR-301』(固形分44%、ADEKA社製);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;を示す。