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特開2023-8850排気ガスを浄化するための排気後処理ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008850
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】排気ガスを浄化するための排気後処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20230112BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20230112BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20230112BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20230112BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20230112BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F01N3/28 301W
F01N3/20 K ZAB
F01N3/08 B
F01N3/023 E
F01N3/035 E
B01D53/94 400
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099741
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】21183103.7
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト‐オーヴェ・ワルストロム
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA22
3G091CA03
3G091HA10
3G091HA15
3G091HA45
3G091HB01
3G190AA02
3G190BA46
3G190CA01
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
3G190CB41
3G190DA25
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148CA01
4D148CC32
4D148CC47
4D148CC52
4D148CC61
4D148CD05
4D148DA02
4D148DA03
4D148DA06
4D148DA07
4D148DA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気加熱要素に容易にアクセスすることができ、その保守又は交換を行うことができるようにする。
【解決手段】排気後処理ユニットは、ディーゼル微粒子捕集フィルタDPF30A及び/又はディーゼル酸化触媒DOC30Bである排出物低減モジュールと、選択触媒還元SCR触媒32と、排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素38と、少なくとも排出物低減モジュール及び電気加熱要素38を収容するケーシング40と、ケーシング40の点検開口42を覆うように取外し可能に配置され、点検開口42を通して排出物低減モジュールにアクセル可能である、点検蓋44とを備える。電気加熱要素38は、ケーシング40に対して取外し可能に配置され、かつ点検蓋44及び排出物低減モジュールの取外し時にアクセス可能となるように配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを浄化するための排気後処理ユニット(20,120,220)であって、
-ディーゼル微粒子捕集フィルタDPF(30A)及び/又はディーゼル酸化触媒DOC(30B)である排出物低減モジュール(30,130,230)と、
-選択触媒還元SCR触媒(32)と、
-前記排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素(38,38’,138,238)と、
-少なくとも前記排出物低減モジュール及び前記電気加熱要素を収容するケーシング(40)と、
-前記ケーシングの点検開口(42)を覆うように取外し可能に配置された点検蓋(44)であって、前記点検開口を通して前記排出物低減モジュールにアクセル可能である、点検蓋(44)と、
を備え、
前記電気加熱要素は、前記排出物低減モジュールの前記点検蓋とは反対側に配置され、前記ケーシングに対して取外し可能に配置され、かつ前記点検蓋及び前記排出物低減モジュールの取外し時にアクセス可能となるように配置されることを特徴とする、排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記排出物低減モジュール(30,130,230)及び前記電気加熱要素(38,138,238)を収容する取付ソケット(41)を備える、請求項1に記載の排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項3】
前記電気加熱要素は、前記ケーシングの外面(43)から前記電気加熱要素の上流の前記取付ソケット内に延びる少なくとも1つの電気接続部(C)によって電力供給される、請求項2に記載の排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項4】
前記ケーシングの前記外面を通る前記電気接続部を案内するための少なくとも1つのガイド要素(45,45A,45B,45’)を更に備え、前記電気加熱要素(38,138,238)及び前記少なくとも1つの電気接続部(C)は、前記ガイド要素(45,45A,45B)に取外し可能に取り付けられ、又は前記電気加熱要素(38’)、前記少なくとも1つの電気接続部(C)、及び前記ガイド要素(45’)は、前記ケーシングの前記外面に取外し可能に取り付けられる、請求項3に記載の排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項5】
前記取付ソケット(41)は、長軸(L)に沿って延び、前記少なくとも1つの電気接続部(C)は、前記長軸に沿った方向又は前記長軸と平行の方向において前記取付ソケットの内側に延びる、請求項3-4のいずれか1つに記載の排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項6】
前記排出物低減モジュール及び前記電気加熱要素は、前記取付ソケットに対して取外し可能に配置される、請求項2-5のいずれか1つに記載の排気後処置ユニット(20,120,220)。
【請求項7】
前記電気加熱要素(238)は、前記排出物低減モジュール(230)に取り付けられ、前記排出物低減モジュールと一緒に前記ケーシング(40)に対して取外し可能に配置される、先行する請求項のいずれか1つに記載の排気後処理ユニット(220)。
【請求項8】
前記排出物低減モジュールと前記電気加熱要素との間に配置された二次触媒(35,135)を更に備える、先行する請求項のいずれか1つに記載の排気後処理ユニット(
20,220)。
【請求項9】
アンモニアを前記SCR触媒に供給するために還元剤を噴射するように構成された噴射器(34)を更に備え、前記噴射器は、前記SCR触媒の上流かつ前記排出物低減モジュールの下流に配置される、先行する請求項のいずれか1つに記載の排気後処理ユニット(20)。
【請求項10】
車両用排気後処理ユニットを取り扱うための方法であって、前記排気後処理ユニットは、DPF及び/又はDOCである排出物低減モジュールと、選択触媒還元SCR触媒と、前記排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素と、少なくとも前記排出物低減モジュール及び前記電気加熱要素を収容するケーシングと、前記ケーシングの点検開口を覆うように取外し可能に配置された点検蓋であって、前記点検開口を通して前記排出物低減モジュールにアクセル可能である、点検蓋と、を備え、前記電気加熱要素は、前記排出物低減モジュールの前記点検蓋とは反対側に配置される、方法であって、
-前記点検蓋を取り外すステップ(S1)と、
-前記電気加熱要素にアクセスするために前記排出物低減モジュールを取り外すステップ(S2)と、
-前記電気加熱要素を前記ケーシングから取り外すステップ(S4)と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記電気加熱要素は、前記排出物低減モジュールに取り付けられ、前記排出物低減モジュールを取り外す前記ステップ(S2)及び前記電気加熱要素を取り外す前記ステップ(S4)は、同時に行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記排気後処理ユニットは、前記排出物低減モジュールと前記電気加熱要素との間に配置された二次触媒を更に備え、前記電気加熱要素は、前記二次触媒に取り付けられ、前記方法は、
-前記電気加熱要素を取り外す前記ステップ(S4)と同時に前記二次触媒を前記ケーシングから取り外すステップ(S3)
を更に含む、請求項10-11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
-前記電気加熱要素を前記ケーシングに取り付けるステップ(S5)と、
-前記点検蓋を前記ケーシングに取り付けるステップ(S6)と
を更に含む、請求項10-12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
請求項1-9のいずれか1つに記載の排気後処理ユニット(20,120)を備える車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスを洗浄するための排気後処理ユニットに関する。更に、本発明は、車両用排気後処理ユニットを取り扱うための方法、排気後処理ユニットに用いられる電気加熱要素、及び排気後処理ユニットを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、通常、車両を推進するためのエンジンを備える。エンジンは、種々の手段、例えば、内燃エンジン内の液体燃料又は気体燃料によって、又は電気機械内の電力によって動力供給される。更に、車両が内燃エンジン及び電気機械の両方によって推進されるハイブリッド解決策も存在する。
【0003】
エンジンが燃焼エンジン、例えば、ディーゼルエンジンである場合、エンジンからの排出物を処理するために、車両に排気後処理システムEATSを備えるのが一般的である。ディーゼルエンジン用のEATSは、典型的には、ディーゼル酸化触媒DOC、ディーゼル微粒子捕集フィルターDPF、及び選択触媒還元SCR触媒を備える。尿素又はアンモニア含有物質のような還元剤がSCR触媒の上流に噴射され、触媒の働きによって、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を二原子窒素N、水、及び場合によっては(還元剤の選択に依存して)二酸化炭素COに変換するのを助長する。次いで、浄化された又は少なくとも排出物が低減された排気ガスは、車両の排気管を通ってEATS及び車両から排出される。ディーゼルエンジンと同様の排出物を生じる他の形式のエンジンも、同一又は同様のEATSを利用することができる。
【0004】
政府規制は、車両の燃費向上に対する絶え間ない要求と共にEATSのより効率的な操作の必要性を示唆している。例えば、EATSは、排気ガスの温度が低い時に、極めて低い負荷であっても急速に昇温し、高変換効率を有しなければならない。また、厳しいCO要件を満たすための極めて効率的なエンジンの必要性が、排気ガスの温度をより低くし、エンジンから排出されるNOxレベルをより高くし、そのために、SCR触媒の上流に多量の還元剤を注入する必要がある。更に、還元剤として尿素を用いる時、尿素を蒸発させて加水分解によってアンモニアを生じさせるために、尿素を加熱する必要がある。もしもその温度が低いなら、EATSの効果を低下させる結晶及び堆積物の生成をもたらす大きなリスクが生じる。
【0005】
低温の排気ガスに対処するために排気ガスを加熱し、これによって、関連する欠点を減らすために、電気加熱要素が用いられるとよい。しかしながら、EATSへの電気加熱要素の追加は、システムの複雑さを高め、及び/又は故障を招くおそれがあると共に保守又は交換を必要とする構成要素を追加することとなる。EATSの構成要素の故障は、多くの場合、費用の掛かる車両の休止を伴う時間の掛かる点検を必要とする。更に、構成要素の交換又は完全なEATSの交換にも繋がる構成要素の故障は、環境に対して好ましくない。
【0006】
従って、上記の欠点を軽減することを目的とする改良されたEATSが当業界において必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、周知の排気後処理システムに関して前述の欠点を少なくとも部分的に軽減し、改良された排気後処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、排気ガスを浄化するための排気後処理ユニットが提供される。排気後処理ユニットは、
-ディーゼル微粒子捕集フィルタDPF及び/又はディーゼル酸化触媒DOCである排出物低減モジュールと、
-選択触媒還元SCR触媒と、
-排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素と、
-少なくとも排出物低減モジュール及び電気加熱要素を収容するケーシングと、
-ケーシングの点検開口を覆うように取外し可能に配置された点検蓋であって、点検開口を通して排出物低減モジュールにアクセル可能である、点検蓋と、
を備え、
電気加熱要素は、ケーシングに対して取外し可能に配置され、かつ点検蓋及び排出物低減モジュールの取外し時にアクセス可能となるように配置される。
【0009】
これによって、排気後処理ユニットにおいて、電気加熱要素に容易にアクセスすることができ、その保守又は交換を行うことができる。従って、電気加熱要素によって排気ガスが低温であるという欠点を軽減しながら電気加熱要素への容易なアクセスを可能にする単純な構成を有する排気後処置ユニットが提供される。これによって、少なくとも電気加熱要素による排気ガスの加熱によって排気ガスの排出物を極めて効率的に除去することができる一方、点検蓋の取外し時に容易にアクセス可能であることによって電気加熱要素の追加的な複雑さを軽減することができる、改良された排気後処理ユニットが提供される。更に、電気加熱要素を排出物低減モジュールの上流に配置することによって、排出物低減モジュールを電気加熱要素によって加熱することができる。追加的又は代替的に、排出物低減モジュールと電気加熱要素との間に配置される任意の他の構成要素(例えば、後述の二次触媒)も電気加熱要素によって加熱することができる。
【0010】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュールは、排気後処理ユニット内において流路の下流側を向く第1の端面(又は下流面)を有する第1の端部分(又は下流端部分)と、流路の上流側を向く第2の端面(又は上流面)を有する反対側の第2の端部分(又は上流端部分)とを備え、電気加熱要素は、第2の端部分の上流に配置される。例えば、電気加熱要素は、第2の端面の方を向いている。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、点検蓋は、第1の端部分及び第1の端面と向き合って配置される。すなわち、排出物低減モジュールがケーシングの内側に配置される時、第1の端部分が点検蓋と向き合って配置され、第2の端部分が第1の端部分の上流に配置される。
【0011】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュール、すなわち、DPF及び/又はDOCは、ケーシングの内側に取外し可能に配置され、点検蓋の取外し時に点検開口を通過することができる。排出物低減モジュールは、ケーシングに組み入れられてしっかりと取り付けられた据付部材と据付部材内に取外し可能に配置される挿入部材とを備えてもよいことに留意されたい。このような実施形態では、挿入部材は、ケーシングの内側に取外し可能に配置され、点検蓋の取外し時に点検開口を通過することができる。従って、本明細書の全体を通して、排出物低減モジュールは、排出物低減モジュール又は排出物低減モジュールの挿入部材を指すものとする。
【0012】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、排出物低減モジュールの点検蓋とは反対側に配置される。すなわち、点検蓋及び電気加熱要素は、排出物低減モジュールの両側に配置される。このような構成は、有利である。何故なら、電気加熱要素及び電気加熱要素に電力供給するために用いられる任意の電気接続部は、例えば、排出物低減モジュールを取り外す時に点検蓋及び点検開口から離れて配置されるからである。すなわち、排出物低減モジュールがケーシングに対して取外し可能に配置され、かつ点検蓋の取外し時にアクセス可能となるように配置されるので、電気加熱要素と干渉することなく、排出物低減モジュールにアクセスすることができ、及び/又は排出物低減モジュールをケーシングから取り外すことができる。例えば、もし排出物低減モジュールのみの保守又は交換を行うのであれば、電気加熱要素とは無関係に、排出物低減モジュールにアクセスすることができ、又は排出物低減モジュールをケーシングから取り外すことができる。
【0013】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、(例えば、排気後処理ユニットの使用中に)電気加熱要素は、ケーシングの内側に配置され、(例えば、排気後処理ユニットの保守中に)排出物低減モジュール及び点検蓋を取り外した後、電気加熱要素を点検開口を通してケーシングから取り外すことができる。これによって、点検開口を介して、電気加熱要素に容易にアクセスすることができる。例えば、点検開口を介して電気加熱要素の保守を行うことができ、又は取り外した電気加熱要素に対して電気加熱要素の保守を行うことができる。従って、及び少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の保守及び/又は交換のために、電気加熱要素を点検開口を通してケーシングから取り外すことができる。従って、点検蓋は、電気加熱要素のための点検蓋の機能と排出物低減モジュールのための点検蓋の機能の両方を兼ね備えることとなる。
【0014】
排出物低減モジュールは、微粒子、例えば、ディ―ゼル粒子状物質又は煤を排気ガスから除去するように構成されたディ―ゼル微粒子捕集フィルタDPF及び/又は一酸化炭素及び炭化水素を二酸化炭素に変換するように配置構成されたディ―ゼル酸化触媒DOCである。従って、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュールは、例えば、DOCがDPFの上流に配置された組合せDPF/DOCである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュールは、DPFである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュールは、DOCである。排出物低減モジュールが組合せDPF/DOCである場合、DPF及びDOCは、必ずしも同じユニット内において組み合わされる必要がなく、別々のユニット内に含まれてもよく、この場合、これらの別々のユニットは、間隙によって互いに分離されるとよい。従って、排気ガスは、DOCに入り、このDOC内において排出物低減が行われ、続いてDOCを出て間隙内に入る。この後、排気ガスは、間隙からDPFに入り、DPF内において排出物低減が行われ、続いて、DPFを出る。1つの例示的な実施形態によれば、2つの別々のユニットは、例えば、間隙を介してDPFからDOCに延びる接続要素によって互いに取り付けられてもよい。しかしながら、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、組合せDPF/DOCのDPF及びDOCは、同一のユニット内に含まれる。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ケーシングは、排出物低減モジュール及び電気加熱要素を収容する取付ソケットを備える。
【0016】
これによって、排出物低減モジュール及び電気加熱要素をケーシングの内側に満足のゆくように配置することができる。電気加熱要素の使用中、電気加熱要素は、取付ソケット内の温度を180℃から300℃の間に維持するように配置構成されるとよい。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュール及び電気加熱要素は、取付ソケットに対して取外し可能に配置される。従って、電気加熱要素は、取付ソケットに対して取外し可能に配置されることによって、ケーシングに対して取外し可能に配置されるとよい。同様に、排出物低減モジュールは、取付ソケットに対して取
外し可能に配置されることによって、ケーシングに対して取外し可能に配置されるとよい。
【0018】
取付ソケットは、好ましくは、点検蓋が取付ソケットの口又は開口と向き合うようにケーシングの内側に配置される。従って、点検蓋の取外し時に排出物低減モジュールを取付ソケットの口又は開口、次いで、点検開口を通してケーシング及び取付ソケットから取り外すことができる。すなわち、点検開口及び取付ソケットの口又は開口は、好ましくは、同軸である。これによって、点検開口及び取付ソケットの口又は開口を通して、電気加熱要素にアクセスすることができる。続いて、電気加熱要素を取付ソケットの口又は開口、次いで、点検開口を通すことによってケーシング及び取付ソケットから取り外すことができる。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、取付ソケットの幾何学的形状は、排出物低減モジュールの幾何学的形状に適合している。これによって、排出物低減モジュールを取付ソケットの内側に効率的に配置することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、取付ソケットは、開円筒状又は管状に幾何学的に形作られる。同様に、排出物低減モジュールは、好ましくは、円筒状に形作られる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の幾何学的形状は、取付ソケットの幾何学的形状に適合されるとよい。例えば、電気加熱要素は、丸形状又は円形状に、例えば、コイル状に幾何学的に形作られるとよい。
【0020】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、取付ソケットは、ケーシングに組み入れられてしっかりと取り付けられる。取付ソケットは、前述した排出物低減モジュールの据付部材であることに留意されたい。代替的に、排出物低減モジュールの据付部材がケーシングの取付ソケットに組み入れられてしっかりと取り付けられてもよい。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、ケーシングの外面から電気加熱要素の上流の取付ソケット内に延びる少なくとも1つの電気接続部によって電力供給される。
【0022】
これによって、電気加熱要素と干渉することなく排出物低減モジュールにアクセスすることを可能にし及び/又は排出物低減モジュールをケーシングから取り出すことを可能にする手段が提供される。電気接続部が通るケーシングの外面は、ケーシングの外面部と呼ばれることもあり、典型的には、ケーシングの点検蓋とは反対側に配置される。従って、及び少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、点検蓋及び(電気接続部が貫通する)ケーシングの外面は、ケーシングの両側に配置される。電気接続部がケーシングの外面を通って電気加熱要素の上流の取付ソケット内に延びることによって、電気接続部は、点検蓋及び/又は点検開口と干渉せず、又は相互作用しない。これによって、電気加熱要素に電力供給するための有利な手段が提供される。典型的には、少なくとも1つの電気接続部は、少なくともケーシングの外面を貫通する。すなわち、少なくとも1つの電気接続部は、ケーシングの外側からケーシングの外面を通って電気加熱要素の上流の取付ソケット内に延びる。典型的には、ケーシングは、特定の壁厚を有し、この壁厚は、ケーシングの外面(又は外面部)からケーシングの対応する内面(又は内面部)までの距離として規定される。この内面又は内面部は、典型的には、取付ソケット及び取付ソケット内に配置された電気加熱要素と向き合うこととなる。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気接続部は、ケーシングの外面に離脱可能に取り付けられる。
【0024】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの電気接続部は、少なくとも2つの電気接続線、すなわち、電力線(又は相線)及び中性線を備え、電気加熱要素に電力供給される時に電流が電力線と中性線との間に流れるように構成される。
【0025】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理ユニットは、ケーシングの外面を通る電気接続部を案内するための少なくとも1つのガイド要素を更に備え、電気加熱要素及び少なくとも1つの電気接続部は、ガイド要素に取外し可能に取り付けられ、又は電気加熱要素、少なくとも1つの電気接続部、及びガイド要素は、ケーシングの外面に取外し可能に取り付けられる。
【0026】
これによって、電気接続部をケーシングの外側からケーシングの内側の電気加熱要素に十分に延ばしながら、電気加熱要素がケーシングに対して取外し可能に配置されることを可能にするための少なくとも2つの解決策が提供される。
【0027】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素及び少なくとも1つの電気接続部は、ケーシングの外面に配置された取付構造部によって、ケーシングに対して取外し可能に配置される。これによって、電気加熱要素及び少なくとも1つの電気接続部をケーシングの外面の取付構造部にアクセスすることによって、ケーシングから分離させることができる。従って、本方法は、ケーシングの外面の取付構造部によって電気加熱要素をケーシングから分離することを含むとよい。
【0028】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気接続部は、気密性を有する。例えば、少なくとも1つのガイド要素が気密特性をもたらす。
【0029】
電気加熱要素及びガイド要素に取外し可能に取り付けられた少なくとも1つの電気接続部に適用可能な少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ガイド要素は、ケーシングの外面を貫通する少なくとも1つのチューブ(又は電気接続線ごとに1つのチューブ、例えば、2つのチューブ)を備える。少なくとも1つのチューブは、例えば、外面に溶着された端板によってケーシングの外面に据え付けられ、かつしっかりと取り付けられるとよい。少なくとも1つのチューブの一端部分がネジ山を有し、(前記取付構造部を構成する)ナットが該ネジ山に装着される。ナットは、可能であれば、圧縮によって(すなわち、所謂圧着(compression fitting)によって)電気接続部と相互作用する1つ又は複数の内円錐部を備えるとよい。電気接続部をチューブから取り外す時、ナットを単にチューブから外すことによって、圧着が解除される。
【0030】
電気加熱要素、少なくとも1つの電気接続部、及びケーシングの外面に取外し可能に取り付けられるガイド要素に適用可能な少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ガイド要素は、少なくとも1つのフランジを備え、該フランジは、典型的には、電気加熱要素の電気接続部にしっかりと取り付けられる。このフランジは、複数のネジ孔を備え、該ネジ孔内にねじ込まれる(前記取付構造部を構成する)ネジによってケーシングの外面に離脱可能に取り付けられるとよい。ガイド要素(並びに電気接続部及び電気加熱要素)をケーシングの外面から取り外す時、ネジを単にネジ孔から外すことによって、ガイド要素をケーシングから離脱させることができる。任意選択的に、ガスケットが用いられてもよい。
【0031】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、少なくとも1つの電気接続部に取外し可能に配置される。これによって、電気加熱要素をケーシングから取り外す代替的な方法が提供される。このような実施形態では、電気接続部及び任意のガイド要素は、ケーシングにしっかりと取り付けられ、電気加熱要素は、例えば、ネジ又は他の締結手段によって電気接続部に取外し可能に配置される。従って、電気加熱要素は、典型的には、取付ソケットの内側において電気接続部から分離される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、ケーシングの外面内に一体化される。
【0032】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、取付ソケットは、長軸に沿って延び、少なくとも1つの電気接続部は、長軸に沿った方向又は長軸と平行の方向において取付ソケットの内側に延びる。
【0033】
これによって、ケーシングからの電気加熱要素の取外しが容易化される。何故なら、電気接続部が電気加熱要素の取出し方向と同じ方向に延びているからである。すなわち、取付ソケットは、その長軸に沿って延びており、電気加熱要素は、電気加熱要素を長軸に沿った方向又は長軸と平行の方向において取付ソケットを通すことによって、ケーシングから取り外される。従って、電気接続部が電気加熱要素のケーシングからの取出し方向と同じ方向に延びていることによって、電気加熱要素のケーシングからの取出しが容易になる。例えば、電気接続部が取付ソケットの内面と干渉し、場合によっては取付ソケットに対して動かなくなるリスクが低減される。同様に、排出物低減モジュールは、排出物低減モジュールを長軸に沿った方向又は長軸と平行の方向においてケーシングを通することによって、ケーシングから取り外される。排出物低減モジュールの第1の端部分及び第2の端部分に着目すると、排出物低減モジュールは、第1の端部分を先にして取付ソケットから軸方向に取り出されるように構成される。同様に、排出物低減モジュールは、第2の端部分を先にして取付ソケット内に軸方向に挿入されるように構成される。
【0034】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、排出物低減モジュールに取り付けられ、排出物低減モジュールと一緒にケーシングに対して取外し可能に取り付けられる。
【0035】
これによって、排出物低減モジュールの取外し時に電気加熱要素を点検開口を通してケーシングから取り外すことができる。すなわち、電気加熱要素は、DPF及び/又はDOCに取り付けられるとよい。排出物低減モジュールが組合せDPF/DOCである実施形態では、電気加熱要素は、典型的には、DOCに取り付けられる。電気加熱要素が排出物低減モジュールに取り付けられる実施形態では、電気加熱要素は、好ましくは、排出物低減モジュールの第2の端部分に取り付けられる。
【0036】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュール及び電気加熱要素は、点検蓋に取り付けられ、点検蓋と一緒にケーシングに対して取外し可能に配置される。これによって、点検蓋の取外し時に電気加熱要素を点検開口を通してケーシングから取り外すことができる。
【0037】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理ユニットは、排出物低減モジュールと電気加熱要素との間に配置された二次触媒を更に備える。
【0038】
これによって、電気加熱要素は、二次触媒を加熱することができる。従って、電気加熱要素は、排出物低減モジュール及び/又は二次触媒の性能を改良するために、排出物低減モジュール及び二次触媒の上流に配置されるとよい。二次触媒は、好ましくは、取付ソケット内に配置される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、二次触媒は、ケーシングに対して取外し可能に配置され、点検蓋の取外し時に、典型的には、排出物低減モジュールの取外し時にケーシングの点検開口を通して取外し可能となるように配置されるとよい。これによって、点検蓋は、電気加熱要素、排出物低減モジュール、及び二次触媒に対して点検蓋の機能を共有することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、二次触媒は、二次SCR触媒である。
【0039】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、炭化水素、例えば、燃料の上流噴射と一緒に用いられる。すなわち、このような炭化水素の上流噴射は、電気加熱要素の上流で行われる。これは、電気加熱要素及び/又はDOCの放熱を更に高めることができる。
【0040】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、点検蓋は、取外し可能な締結具、例えば、クランプによって、ケーシングに取外し可能に配置される。
【0041】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理ユニットは、アンモニアをSCR触媒に供給するために還元剤を噴射するように構成された噴射器を更に備え、この噴射器は、SCR触媒の上流かつ排出物低減モジュールの下流に配置される。
【0042】
これによって、電気加熱要素は、電気加熱要素及び排出物低減モジュールを通る排気ガスを加熱することができ、その後、加熱された排気ガスが噴射された還元剤を加熱することとなる。これによって、還元剤は、加水分解によってアンモニアを生じる。従って、電気加熱要素は、噴射器の上流に配置される。従って、使用中、電気加熱要素は、排気ガスが噴射された還元剤の位置に達する前に排気ガスを加熱し、電気加熱要素から排気ガスにもたらされた熱が噴射された還元剤を加熱する。これによって、噴射された還元剤によって生じる汚損が軽減又は排除される。
【0043】
二次触媒が二次SCR触媒である少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理ユニットは、二次SCR触媒にアンモニアを供給するために還元剤を噴射するように構成された二次噴射器を更に備え、二次噴射器は、二次SCR触媒の上流に配置される。任意選択的に、二次噴射器は、排気後処理ユニットの上流に配置される。
【0044】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、還元剤は、無水アンモニア、アンモニア水、尿素、尿素水、及びディ―ゼル排気液の少なくとも1つである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、還元剤は、尿素又は尿素水であり、以下、一般的に尿素と呼ぶ。従って、電気加熱要素は、加熱された排気ガスを介して必要な熱を尿素に供給し、これによって、尿素が蒸発し、加水分解によってアンモニアを生じる。電気加熱要素の作動電力にもよるが、加熱された排気ガスが追加的にSCR触媒を加熱するとよい。
【0045】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、SCR触媒は、排出物低減モジュールの下流に配置される。SCR触媒は、触媒の働きによって、窒素酸化物NOxを二原子窒素N、水及び又は二酸化炭素COに変換する。使用中、噴射された還元剤(又はそれによって生じたアンモニア)が触媒と反応する。
【0046】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理ユニットは、排気ガス内のNOx濃度を制御するための種々の排気ガスパラメータ、例えば、NOxの温度及び圧力の関数として排気ガスの流路内に噴射される還元剤の導入を制御するように構成された制御装置を備える。排気ガスパラメータは、排気後処理ユニット内の種々の箇所における種々のセンサによって測定されるとよい。例えば、NOxセンサは、排気後処理ユニットの入口及び出口又はその近傍に配置されるとよい。温度センサ及び/又は圧力センサは、電気加熱要素又はSCR触媒の前後に配置されるとよい。
【0047】
電気加熱要素は、電気によって加熱されるように構成された加熱要素であることを理解されたい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、コイル又はプレートであって、該コイル又はプレートを通る電気によって加熱されるように構成された、コイル又はプレートを備える。従って、電気加熱要素は、使用中に排気ガスがコイル内を周方向に通ることによって又はコイル又はプレートを横切って通ることによって加熱されるように配置されるとよい。電気加熱要素は、他の形状、例えば、平坦な又は湾曲した加熱薄板の形状であってもよいし、又は異なる形式、例えば、抵抗発泡体の加熱要素から構成されてもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、正温度係数PTCに基づく要素である。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、誘導加熱に基づく誘導加熱要素と呼ばれるものであってもよい。
【0048】
従って、使用中、排気ガスは、排気後処理ユニット内を流れ、電気加熱要素を通過するように案内され、これによって、排気ガスは、電気加熱要素によって加熱される。電気加熱要素は、典型的には、排気後処理ユニットの流路内に配置された加熱面を備え、使用中、流路内の排気ガスは、この加熱面を超えて又はこの加熱面を横切って流れる。
【0049】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の作動電力は、300W から15000Wの間又は1000Wから15000Wの間である。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の作動電圧は、12V,24V,又は48Vである。
【0050】
例えば、電気加熱要素は、電気加熱要素の下流の流路を流れる排気ガスの温度を180℃から300℃の間に維持するように構成される。追加的又は代替的に、電気加熱要素は、SCR触媒内の温度を180℃から300℃の間に維持するように構成される。
【0051】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、電気加熱要素の上流又は下流(例えば、排出物低減モジュール及び/又は任意の二次触媒の上流又は下流)の測定温度が180℃未満であることに応じて排気ガスの加熱を開始するように制御される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、排出物低減モジュール及び/又は任意の二次触媒の測定温度が200℃未満又は180℃未満であることに応じて排気ガスの加熱を開始するように制御される。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、車両用排気後処理ユニットを取り扱うための方法が提供される。排気後処理ユニットは、DPF及び/又はDOCである排出物低減モジュールと、選択触媒還元SRC触媒と、排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素と、少なくとも排出物低減モジュール及び電気加熱要素を収容するケーシングと、ケーシングの点検開口を覆うように取外し可能に配置された点検蓋であって、点検開口を通して排出物低減モジュールにアクセス可能である、点検蓋とを備える。この方法は、
-点検蓋を取り外すステップと、
-電気加熱要素にアクセスするために排出物低減モジュールを取り外すステップと、
-電気加熱要素をケーシングから取り外すステップと
を含む。
【0053】
これによって、電気加熱要素に容易にアクセスすることが可能になり、電気加熱要素を保守及び/又は交換のためにケーシングから取り外すことができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、電気加熱要素の保守又は交換を行うステップを含む。従って、本方法は、排気後処理ユニットを点検するための方法と呼ばれることもある。電気加熱要素は、ケーシングに対して取外し可能に配置され、かつ点検蓋の取外し時に点検開口通してアクセス可能となるように配置される。本発明の第1の態様を参照して説明したように、ケーシングは、取付ソケット内に電気加熱要素及び排出物低減モジュールを収容するように配置されるとよい。従って、電気加熱要素にアクセスするために排出物低減モジュールを取り外すステップは、排出物低減モジュールを取付ソケットから取り外すことによって排出物低減モジュールをケーシングから取り外すことを含むとよい。同様に、電気加熱要素をケーシングから取り外すステップは、電気加熱要素を取付ソケットから取り外すことを含むとよい。「ケーシングから取り外す」という用語は、例えば、構成要素を取付ソケットから分離させることによって、該構成要素をケーシングの内側の位置からケーシングの外側の位置に取り外すことを意味することを理解されたい。
【0054】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本発明の第2の態様の方法の対象となる排気後処理ユニットは、本発明の第1の態様において述べた排気後処理ユニットと同じである。従って、本発明の第2の態様における排気後処理ユニットの効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して前述したものと殆ど同様である。本発明の第1の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第2の態様における排気後処理ユニットと概して互換性がある。
【0055】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、点検開口を通すことによってケーシングから取り外される。
【0056】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、排出物低減モジュールに取り付けられ、排出物低減モジュールを取り外すステップ及び電気加熱要素を取り外すステップは、同時に行われる。
【0057】
これによって、電気加熱要素をケーシングから取り外す簡単かつ効果的な方法が提供される。従って、排出物低減モジュールは、電気加熱要素と一緒にケーシングに対して取外し可能に配置され、排出物低減モジュールの取外し時に電気加熱要素をケーシングから取り外すことができる。
【0058】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排出物低減モジュール及び電気加熱要素は、点検蓋に取り付けられ、点検蓋を取り外すステップ及び排出物低減モジュール及び電気加熱要素を取り外すステップは、同時に行われる。
【0059】
これによって、電気加熱要素をケーシングから取り外す簡単かつ効果的な方法が提供される。従って、点検蓋は、電気加熱要素(及び排出物低減モジュール)と一緒にケーシングに対して取外し可能に配置され、点検蓋の取外し時に電気加熱要素をケーシングから取り外すことができる。
【0060】
排気後処理ユニットが排出物低減モジュールと電気加熱要素との間に配置された二次触媒を更に備え、かつ電気加熱要素が二次触媒に取り付けられる、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、
-電気加熱要素を取り外すステップと同時に二次触媒をケーシングから取り外すステップ
を更に含む。
【0061】
これによって、電気加熱要素をケーシングから取り外す簡単かつ効果的な方法が提供される。従って、二次触媒は、電気加熱要素と一緒にケーシングに対して取外し可能に配置され、二次触媒の取外し時に電気加熱要素をケーシングから取り外すことができる。すなわち、二次触媒は、点検蓋及び排出物低減モジュールの取外し時にケーシングの点検開口を通して取外し可能となるように配置される。従って、二次触媒の保守又は交換を行うことができる。二次触媒の実施形態は、本発明の第1の態様を参照して述べたので、ここでは繰り返して述べないこととする。
【0062】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、本発明の第1の態様を参照して述べたように少なくとも1つの電気接続部を介して電力供給されるように構成される。従って、電気接続部は、ケーシングの外面から電気加熱要素の上流の取付ソケット内に延びる。更に、排気後処理ユニットは、ケーシングの外面を通る電気接続部を案内するための少なくとも1つのガイド要素を更に備えてもよく、電気加熱要素及び少なくとも1つの電気接続部は、ガイド要素に取外し可能に取り付けられ、又は電気加熱要素、少なくとも1つの電気接続部、及びガイド要素は、ケーシングの外面に取外し可能に取り付けられる。
【0063】
従って、本方法は、電気加熱要素及び少なくとも1つの電気接続部をガイド要素から取り外すことによって、電気加熱要素をケーシング(又は取付ソケット)から分離させるステップを含んでもよい。これによって、電気接続部をガイド要素から分離させ、その後、電気加熱要素及び電気接続部をケーシング(及び取付ソケット)から取り外すことができる。代替的に、本方法は、電気加熱要素、少なくとも1つの電気接続部、及びガイド要素をケーシングの外面から取り外すことによって、電気加熱要素をケーシング(又は取付ソケット)から分離させるステップを含んでもよい。これによって、電気接続部及びガイド要素をケーシングの外面から分離させ、その後、電気加熱要素、電気接続部、及びガイド要素をケーシング(及び取付ソケット)から取り外すことができる。
【0064】
従って、本方法は、電気接続部をガイド要素から分離又は遊離させ、又はガイド要素をケーシングの外面から分離又は遊離させるステップを含むとよい。
【0065】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、
-電気加熱要素をケーシングに取り付けるステップと、
-点検蓋をケーシングに取り付けるステップと
を更に含む。
【0066】
これによって、点検又は保守が行われた電気加熱要素を再びケーシングに取外し可能に取り付けることができ、又は古い電気加熱要素に代わる新しい電気加熱要素をケーシングに取外し可能に取り付けることができる。電気加熱要素をケーシングに取り付けるステップは、電気加熱要素を点検開口を通して、可能であれば、取付ソケット内に移動させることによって、電気加熱要素をケーシング内に挿入することを含んでもよい。従って、点検蓋は、電気加熱要素をケーシングに取り付けるステップの後に(又は電気加熱要素が点検蓋に取り付けられる場合、電気加熱要素をケーシングに取り付けるステップと同時に)ケーシングに取り付けられることとなる。典型的には、点検蓋は、点検開口を覆うことによってケーシングに取り付けられる。
【0067】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による排気後処理ユニットに用いられる電気加熱要素が提供される。
【0068】
本発明の第3の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して前述したものと殆ど同様である。本発明の第1の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第3の態様と概して互換性がある。
【0069】
従って、排気後処理ユニットは、DPF及び/又はDOCである排出物低減モジュールと、選択触媒還元SCR触媒と、排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素と、少なくとも排出物低減モジュール及び電気加熱要素を収容するケーシングと、ケーシングの点検開口に取外し可能に配置された点検蓋であって、点検開口を通して排出物低減モジュールにアクセス可能な点検蓋と、を備える。電気加熱要素は、この排気後処理ユニットに取外し可能に取付け可能であり、例えば、点検開口を通ることが可能であるとよく、ケーシングの内側に、可能であれば、取付ソケット内に取外し可能に配置されるとよい。典型的には、電気加熱要素は、排出物低減モジュールの上流、可能であれば、取付ソケット内に配置されるように形作られかつ寸法決めされる。
【0070】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による排気後処理ユニットにおける電気加熱要素の使用が提供される。
【0071】
本発明の第4の態様の効果及び特徴は、本発明の第1,第2,及び第3の態様に関連して前述したものと殆ど同様である。本発明の第1,第2,第3の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第4の態様と概して互換性がある。
【0072】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様による排気後処理ユニットを備える車両が提供される。
【0073】
本発明の第5の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して前述したものと殆ど同様である。本発明の第1の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第5の態様と概して互換性がある。
【0074】
本発明の第2の態様において述べた方法ステップの順序は、本開示に記載される順序に制約されるものではない。ステップの1つ又は複数は、別段の定めのない限り、本発明の範囲から逸脱することなくそれらの順番が入れ替わってもよいし、又は異なる順序で行われてもよい。しかしながら、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、方法ステップは、本発明の第2の態様に記載される順序で行われる。
【0075】
本開示の更なる利点及び特徴は、以下の記載及び添付の図面において開示かつ検討される。
【0076】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の例示的な実施形態による排気後処理ユニットを備える車両の略側面図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による排気後処理ユニットの略断面図である。
図3】本発明の例示的な実施形態に適用可能な電気加熱要素をケーシングから取り出す例を概略的に示す図である。
図4A】本発明の例示的な実施形態に適用可能な電気加熱要素を電気接続部を介してケーシングに取り付け、及び電気加熱要素をケーシングから取り外す例を概略的に示す図である。
図4B】本発明の例示的な実施形態に適用可能な電気加熱要素を電気接続部を介してケーシングに取り付け、及び電気加熱要素をケーシングから取り外す例を概略的に示す図である。
図5A】本発明の排気後処理ユニットの異なる例示的な実施形態の略断面図である。
図5B】本発明の排気後処理ユニットの異なる例示的な実施形態の略断面図である。
図6】本発明の1つの例示的な実施形態による方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1を参照すると、ここでは本開示に記載される種類の排気後処理ユニット20が有利に適用される大型トラック1として具体化される車両1が示される。しかしながら、排気後処理ユニット20は、他の種類の車両、例えば、バス、軽量トラック、乗用車、船舶用途、等に組み入れられてもよい。図1の車両1は、エンジン10、具体的には、ディーゼルエンジン10を備えるが、この車両は、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気機械(図示せず)を更に備えるハイブリッド車であってもよい。ディーゼルエンジン10は、典型的には燃料タンク内に含まれるディーゼル燃料によって動力供給され、任意の電気機械は、典型的には少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置又はエネルギー変換装置、例えば、バッテリ又は燃料電池から供給される電気によって動力供給される。
【0079】
図1では、車両1は、少なくともディーゼルエンジン10からの排気ガスを浄化するための排気後処理ユニット20を備える。排気後処理ユニット20は、DPF及び/又はDOCである排出物低減モジュール30と、排出物低減モジュール30の下流に配置された(以下、SCR触媒32と呼ぶ)選択触媒還元触媒32とを少なくとも備える。排出物低減モジュール30は、ディーゼルエンジン10の排気ガスから微粒子、すなわち、ディーゼル粒子状物質又は煤を除去するように配置構成され、及び/又は一酸化炭素及び炭化水素を二酸化炭素に変換するように配置構成される。SCR触媒32は、触媒の働きによって、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を二原子窒素N、水及び/又は二酸化炭素COに変換するように配置構成される。還元剤、典型的には、無水アンモニア、アンモニア水、尿素、尿素水、又はディーゼル排気液が、エンジン排気ガスに添加され、SCR触媒32内の触媒に吸収される。排気後処理ユニット20は、車両の排気後処理システム内に含まれるとよく、排気後処理システムは、更なる構成要素、例えば、配管及び他の排出物低減構成要素を備えてもよい。
【0080】
図2において、図1の排気後処理ユニット20が更に詳細に示される。排気後処理ユニット20は、排気ガスを受け入れるための入口22と、排気後処理ユニット20から少なくとも部分的に浄化された排気ガスを排出するための出口24と、排気ガスを入口22から出口24に移送するための流路26とを備える。排気後処理ユニット20は、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルタ)30A及びDOC(ディーゼル酸化触媒)30Bを備える排出物低減モジュール30と、排出物低減モジュール30の下流に配置されたSCR触媒32とを更に備える。図2において、DPF30A及びDOC30Bは、間隙30Cによって互いに分離したユニットである。しかしながら、DPF30Aは、DOC30Bと同じユニット内に配置されてもよいし、及び/又は間隙30Cを橋渡しする接続要素によって互いにしっかりと取り付けられてもよい。更に、SCR触媒32にアンモニアを供給するために、排気後処理ユニット20は、前述したように、還元剤を噴射するための噴射器34を備える。還元剤は、例えば、尿素であるとよい。排気後処理ユニット20は、排出物低減モジュール30の上流に配置された二次触媒35を更に備える。図2では、二次触媒35は、DOC30Bに取り付けられる。二次触媒35は、例えば、二次SCRであるとよい。更に、電気加熱要素38が、排出物低減モジュール30の上流にかつ図2では二次触媒35の上流に配置される。従って、二次触媒35は、排出物低減モジュール30と電気加熱要素38との間に配置される。排出物低減モジュール30、SCR触媒32、二次触媒35、及び電気加熱要素38は、ケーシング40内に収容される。
【0081】
排気後処理ユニット20は、典型的には、以下のように操作される。ディーゼルエンジンからの(浄化されるべき)排気ガスが、入口22を介して排気後処理ユニット20に入り、電気加熱要素38を通って加熱される。その後、排気ガスは、二次触媒35を通過し、次いで、排出物低減モジュール30をDOC30B、間隙30C、及びDPF30Aの順に通過する。従って、排気ガスが加熱されるという事実によって、排気ガスが流路26に沿って尿素が噴射器34によって噴射される位置まで連続して流れる前の排出物低減モジュール30及び二次触媒35の性能が改良される。従って、噴射された還元剤は、加熱された排気ガスと混合され、電気加熱要素38によって供給された熱は、尿素を蒸発させて加水分解によってアンモニアを生じさせるのに十分であるように適合されるとよい。その後、アンモニア及び排気ガスは、NOxの触媒還元のためにSCR触媒32に入り、次いで、浄化された排気ガスは、出口24を介して排気後処理ユニット20から排出される。
【0082】
図2において、ケーシング40は、排気後処理ユニット20の少なくともいくつかの構成要素、ここでは、排出物低減モジュール30、二次触媒35、及び電気加熱要素38を収容する取付ソケット41を備える。これによって、構成要素30,35,38をケーシング40の内側に満足のゆくように配置することができる。取付ソケット41は、図2において、管状又は円筒状に形作られ、長軸Lに沿って延びている。更に、電気加熱要素38は、ケーシング40の外面43から電気加熱要素38の上流の取付ソケット41内に延びる少なくとも1つの電気接続部Cによって電力供給される。電気接続部Cは、2つの電気接続線、すなわち、電力線(又は[+]で示される相線)及び中性線([-]で示される)を備えるが、以下、簡単に電気接続部Cと呼ぶ。電気接続部Cは、以下に更に検討されるように、長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向において取付ソケット内に延びている。電気接続部Cは、図2において、ガイド要素45によってケーシング40及び外面43を貫通する(典型的には、図3に示されるように、1つのガイド要素が各電気接続線に対して設けられる)。従って、ガイド要素45は、ケーシング40及び外面43を通る電気接続部Cを案内することとなる。
【0083】
種々の理由から、排出部低減モジュール30、二次触媒35、及び/又は電気加熱要素38がアクセス可能性を有することが望ましい。従って、ケーシング40は、少なくとも排出物低減モジュール30が(ケーシング40から取り外される時に)通ることができる点検開口42を備える。これによって、排出物低減モジュール30を保守又は交換のためにケーシング40から取り外すことができ、及び/又は設置のためにケーシング40内に挿入することができる。点検開口42は、取外し可能に配置された点検蓋44によって閉鎖可能である。換言すれば、点検蓋44は、点検開口42を覆うように取外し可能に配置される。従って、点検蓋44は、ケーシング40とは別の構成要素と見なされる。
【0084】
電気加熱要素38は、取付ソケット41に対して取外し可能に配置されることによって、例えば、取付ソケット41及び/又はケーシング40から分離可能であることによって、ケーシング40に対して取り外し可能に配置される。同様に、排出物低減モジュール30(すなわち、図2の例ではDPF30A及びDOC30B)は、取付ソケット41に対して取外し可能に配置されることによって、例えば、取付ソケット41及び/又はケーシング40から分離可能であることによって、ケーシング40に対して取外し可能に配置される。更に、典型的には、二次触媒35は、取付ソケット41に対して取外し可能に配置されることによって、例えば、取付ソケット41及び/又はケーシング40から分離可能であることによって、ケーシング40に対して取外し可能に配置される。従って、電気加熱要素38は、ケーシング40の内側かつ取付ソケット41の内側に、点検蓋44、排出物低減モジュール30、及び二次触媒35の取外し時に点検開口42を通してアクセス可能となるように、配置される。これによって、電気加熱要素38をケーシング40及び取付ソケット41から取り外し、その交換及び/又は保守を行うことができる。
【0085】
以下、図2の排気後処理ユニット20を取り扱う手順について、図3を参照して簡単に説明する。この方法は、ケーシング40及び/又は取付ソケット41内の電気加熱要素38にアクセスするための方法と呼ばれることもある。最初、図3に示されるように、点検蓋44がケーシング40から取り外される。続いて、排出物低減モジュール30がケーシング40及び取付ソケット41から、DPF30Aを最初に取り外してその後DOC30Bを取り外すことによって、取り外される。図3の実施形態ではDOC30Bが二次触媒35に取り付けられているので、二次触媒35は、排出物低減モジュール30及びDOC30Bと一緒にケーシング40及び取付ソケット41から取り外される。これによって、例えば、排出物低減モジュール30及び二次触媒35に保守又は交換のためにアクセスすることが可能になる。しかしながら、二次触媒35は、任意選択的であり、排気後処理ユニット20から省略されてもよいことに留意されたい。更に、DOC30B又はDPF30Aのいずれかが排気後処理ユニット20から省略されてもよい。従って、排気後処理モジュール30は、単にDPFであってもよいし又はDOCであってもよい。
【0086】
いったん排出物低減モジュール30及び二次触媒35がケーシングから取り外されたなら、点検開口42を介して電気加熱要素38にアクセスすることが可能である。図3の実施形態では、電気加熱要素30は、電気接続部Cに取り付けられ、従って、電気接続部Cと一緒にケーシング40に対して取外し可能に配置される。更に詳細には、ガイド要素45は、2つの電気接続線の一方を案内するための第1のガイド要素45Aと、2つの電気接続線の他方を案内するための第2のガイド要素45Bとを備える。電気加熱要素38及び2つの電気接続線を有する電気接続部Cは、第1及び第2のガイド要素45A,45Bに取外し可能に取り付けられる。従って、排出物低減モジュール30及び二次触媒35の取外しに続いて、電気接続部Cをガイド要素45A,45Bから分離させることによって、電気加熱要素38を点検開口42を介してケーシング40及び取付ソケット41から取り外すことができる。これによって、例えば、電気加熱要素38に保守又は交換のためにアクセスすることが可能になる。図3に示されるように、電気接続部Cが長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向において取付ソケット41の内側に延びているので(又はむしろ、第1及び第2の電気接続線が長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向に延びているので)、電気接続部Cが第1及び第2のガイド要素45A,45Bを通ることが可能となるように、電気加熱要素38を長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向においてケーシング40及び取付ソケット41内を外方に通すことによって、電気加熱要素38を軸方向に取り外すことができる。従って、電気加熱要素38の取外し中に電気接続部Cが取付ソケット41の内面と干渉して場合によっては動きが取れなくなることが回避される。
【0087】
図4A,4Bに示される他の実施形態では、電気加熱要素38’、少なくとも1つの電気接続部C、及びガイド要素45’は、ケーシングの外面43に取外し可能に取り付けられる。ここで、ガイド要素45’は、電気加熱要素38’の電気接続部Cにしっかりと取り付けられた少なくとも1つのフランジ46’を備える。更に、フランジ46’は、ネジ60によって外面43の取付部分43’に取り付けられるように構成される。従って、フランジ46’は、複数のネジ孔を備え、ネジをネジ孔にねじ込むことによって外面43の取付部分43’に離脱可能に取り付られる。これによって、図4Bに示されるように、ネジを外してフランジ46’を取付部分43’から離脱させることによって、電気加熱要素38をガイド要素45’及び電気接続部Cと一緒にケーシング及び外面43から取り外すことができる。従って、図3を参照して説明したように、電気加熱要素38’を長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向においてケーシング40及び取付ソケット41内を外方に通すことによって、電気加熱要素38’を軸方向に取り外すことができる。
【0088】
図5Aに代替的実施形態による排気後処理ユニット120が示される。排気後処理ユニット120は、図2-3の排気後処理ユニット20とよく似ており、同一の参照番号は、同一の又は対応する構成要素を指すために用いられ、以下、これらの実施形態間の違いのみについて詳細に説明する(なお、排気後処理ユニット120の違っている部分のみが、図5Aに示される)。図5Aの実施形態では、排気後処理ユニット120は、排出物低減モジュール130及び二次触媒135を備える。排出物低減モジュール130は、DPF及び/又はDOCであり、ケーシング40の取付ソケット41の内側において二次触媒135から分離されている。更に、図5Aにおいて、電気加熱要素138は、二次触媒135内に取り付けられるか又は組み入れられる。これによって、電気加熱要素138を二次触媒135と一緒にケーシング40及び取付ソケット41から取り外すことができる。従って、二次触媒135、電気加熱要素138、及び電気接続部Cを第1及び第2のガイド要素45A,45Bから分離させ、これらの構成要素を長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向においてケーシング40及び取付ソケット41内を外方に通すことによって、これらの構成要素を軸方向に取り外すことができる。
【0089】
図5Bに更に他の実施形態による排気後処理ユニット220が示される。排気後処理ユニット220は、図2-3の排気後処理ユニット20によく似ており、同一の参照番号は、同一の又は対応する構成要素を指すために用いられ、以下、これらの実施形態間の違いのみについて詳細に説明する(なお、排気後処理ユニット220の違っている部分のみが、図5Bに示される)。図5Bの実施形態では、排気後処理ユニット120は、排出物低減モジュール230を備える(なお、二次触媒は、取付ソケット41内において排出物低減モジュール230の上流に配置されていない)。排出物低減モジュール230は、DPF及び/又はDOCであり、ケーシング40の取付ソケット41の内側に配置される。更に、図5Bにおいて、電気加熱要素238は、排出物低減モジュール230に取り付けられる。これによって、電気加熱要素238を排出物低減モジュール230と一緒にケーシング40及び取付ソケット41から取り外すことができる。従って、排出物低減モジュール230、電気加熱要素238、及び電気接続部Cを第1及び第2のガイド要素45A,45Bから分離させ、長軸Lに沿った方向又は長軸Lと平行の方向においてケーシング40及び取付ソケット41内を外方に通すことによって、これらの構成要素を軸方向に取り外すことができる。
【0090】
二次触媒35,135及び排出物低減モジュール30,130,230は、構造的及び機能的に互いに別であり、ガイド要素45,45A,45B,45’とも構造的及び機能的に別であることに留意されたい。従って、排気後処理ユニット20,120,220は、任意選択的に二次触媒35,135を備えてもよいし又は備えなくてもよく、及び/又はガイド要素45,45A,45B,45’ を備えてもよいし又は備えなくてもよい。更に、DPF30A及びDOC30Bは、構造的及び機能的に互いに別であり、図5A-5Bの排出物低減モジュール130,230内にDPF30A/DOC30Bとして組み合わされてもよいし、又は一方が他を含まずに図2の排出物低減モジュール30内に含まれてもよい。
【0091】
図6のフローチャートを参照すると、車両用排気後処理ユニットを取り扱う又は点検するための方法のステップが概略的に示される。排気後処理ユニットは、例えば、(場合によっては図4A-4Bの電気加熱要素38’の構成を有する)図2-3の排気後処理ユニット20、図5Aの排気後処理ユニット120、及び図5Bの排気後処理ユニット220である。従って、排気後処理ユニットは、DPF及び/又はDOCである排出物低減モジュールと、選択触媒還元SCR触媒、排出物低減モジュールの上流に配置された電気加熱要素と、少なくとも排出物低減モジュール及び電気加熱要素を収容するケーシングと、ケーシングの点検開口を覆うように取外し可能に配置された点検蓋であって、点検開口を通して排出物低減モジュールにアクセス可能である、点検蓋とをを備える。
【0092】
ステップS1において、点検蓋が取り外される。これによって、少なくとも排出物低減モジュールに保守及び/又は交換のためにアクセスすることができる。
【0093】
ステップS2において、電気加熱要素にアクセスするために、排出物低減モジュールが取り外される。排出物低減モジュールは、ケーシングから取り外され、これによってその保守又は交換を行うことができる。
【0094】
ステップS4において、電気加熱要素がケーシングから取り外される。これによって電気加熱要素の保守又は交換を行うことができる。
【0095】
典型的には、電気加熱要素及び排出物低減モジュールが取付ソケット内に配置されているので、排出物低減モジュールを取り外すステップS2は、排出物低減モジュールを取付ソケットから取り外すことを含み、電気加熱要素を取り外すステップS4は、電気加熱要素を取付ソケットから取り外すことを含む。
【0096】
更に、図2,5Aの排気後処理ユニット20,120を参照して説明したように、排気後処理ユニットは、排出物低減モジュ―ルと電気加熱要素との間に配置された二次触媒を備えてもよい。従って、任意選択的なステップS3において、二次触媒がケーシングから取り外される。
【0097】
1つの例示的な実施形態では、電気加熱要素は、排出物低減モジュールに取り付けられてもよい。従って、排出物低減モジュールを取り外すステップS2及び電気加熱要素を取り外すステップS4は、同時に行われてもよい。追加的又は代替的に、電気加熱要素は、二次触媒に取り付けられてもよい。これによって、二次触媒をケーシングから取り外すステップS3及び電気加熱要素を取り外すステップS4は、同時に行われてもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、排出物低減モジュール及び二次触媒に取り付けられ、排出物低減モジュールを取り外すステップS2、電気加熱要素を取り外すステップS4、及びに二次触媒を取り外すステップS3は、同時に行われる。
【0098】
従って、ステップS1は、例えば、図3に示されるように(排出物低減モジュールを取り外すステップS2の前に点検蓋が取り外される)第1の手順S1であるとよく、従って、ステップS2が、第2の手順S2であるとよい。代替的に、ステップS1及びステップS2が同時に行われてもよく、この場合、点検蓋は、排出物低減モジュールと一緒に取り外される。更に、ステップS3は、第3の手順であってもよいし、ステップ2の後の手順であってもよい。この場合、二次触媒は、第2の手順S2の後又は組み合わされたステップS1,S2の後にケーシングから取り外される。更に、ステップS4は、第4の手順であってもよいし、又はステップS2又はS3の後の手順であってもよい。この場合、電気加熱要素は、第2の手順S2又は第3の手順S3に続いてケーシングから取り外される。二次触媒がケーシング内の排出物低減モジュールの上流に存在しない更なる代替例では、点検蓋は、排出物低減モジュールを介して電気加熱要素に取り付けられ、点検蓋を取り外すステップS1、排出物低減モジュールを取り外すステップS2、及び電気加熱要素S4を取り外すステップS4は、同時に行われる。
【0099】
任意選択的なステップS5において、電気加熱要素は、ケーシングに取り付けられるか又はケーシングに再び取り付けられる。従って、このような任意選択的なステップS5は、少なくとも電気加熱要素S4を取り外すステップS4に続いて行われる。例えば、電気加熱要素は、ケーシング及び取付ソケット内に挿入されるとよい。
【0100】
任意選択的なステップS6において、点検蓋は、ケーシングに取り付けられる。もし電気加熱要素が、例えば、排出物低減モジュールを介して点検蓋に取り付けられていたなら、任意選択的なステップS5は、任意選択的なステップS6と同時に行われてもよい。
【0101】
本発明は、図面に示される前述の実施形態に制限されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の請求項の範囲内において多くの変更及び修正がなされ得ることを認識するであろう。例えば、排気後処理ユニットは、ディーゼルエンジン以外のエンジンの排気ガスを浄化するために用いられてもよい。例えば、この排気後処理ユニットは、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化高圧ガス)、DME(ジメチルエーテル)及び/又はH(水素)に基づく内燃エンジンの排気からのNOx排出物を変換することによって排気ガスを浄化するために用いられてもよい。
【0102】
加えて、開示された実施形態の変更例は、図面、開示内容、及び添付の請求項の検討から請求される本発明の概念を具体化する際に、当業者によって理解され、かつ当業者に影響を与えることになるだろう。請求項において、「備える(comprising)」という用語は、他の要素又は他のステップを排除するものではなく、不定冠詞「a, an」は、複数を排除するものではない。いくつかの手段が互いに異なる従属請求項に記載されるが、これは、単なる事実にすぎず、これらの手段の組合せを用いても利点を得ることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】