(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088506
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】切断部材収集システム及び切断部材収集方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20230620BHJP
B23Q 41/00 20060101ALI20230620BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20230620BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20230620BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20230620BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20230620BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20230620BHJP
G05B 19/4097 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
B23K26/38 Z
B23Q41/00 A
B23Q7/00 E
B23Q7/04 K
B23Q15/00 303
G05B19/18 C
G05B19/18 Y
B23K26/70
G05B19/4097 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203287
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000150981
【氏名又は名称】日酸TANAKA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】美馬 真人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 義美
【テーマコード(参考)】
3C033
3C042
3C269
4E168
【Fターム(参考)】
3C033AA06
3C033BB03
3C033CC00
3C033HH26
3C042RA22
3C042RA29
3C042RH01
3C042RK24
3C042RK28
3C269AB11
3C269BB05
3C269EF55
3C269KK11
3C269QB02
4E168AD07
4E168CB03
4E168GA01
4E168GA02
4E168HA06
(57)【要約】
【課題】本発明に係る切断部材収集システム及び切断部材収集方法によれば、切断材料の切断不良や切断する順序の変更に応じて、切断材料を切断して形成された切断部材の収集作業を決定し短時間で効率的に行うシステムを提供することができる。
【解決手段】本発明に係る切断部材収集システム1は、切断材料Wを切断する切断装置100が取得する切断材料Wの配置情報によって、切断装置100に入力される切断用NCプログラムのプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラム作成部300と、切断材料Wから切断された複数の切断部材を、ピッキング装置200によって収集するピッキング用NCデータを作成するピッキング用データ作成部400と、連動可能なピッキング装置200の切断部材を収集するピッキング順序を決定し、ピッキング装置200のピッキング用NCプログラムを作成する連動スケジュール作成部500と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断材料を切断する切断装置が取得する前記切断材料の切断材料配置情報によって、前記切断材料のうち前記切断材料を切断する前記切断装置に入力される切断用NCプログラムのプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラム作成部と、
前記切断材料から切断された複数の切断部材を、ピッキング装置によって前記切断部材が載置可能なパレットへ収集するピッキング用NCデータを作成するピッキング用NCデータ作成部と、
前記切断用NCプログラムの前記プログラム実行順序と、前記ピッキング用NCデータと、に基づいて、前記プログラム実行順序と連動可能な前記ピッキング装置の前記切断部材を収集するピッキング順序を決定し、前記ピッキング装置のピッキング用NCプログラムを作成する連動スケジュール作成部と、
を備える切断部材収集システム。
【請求項2】
前記連動スケジュール作成部は、前記プログラム実行順序が変更すると、前記ピッキング順序も変更する機能を有する
請求項1に記載の切断部材収集システム。
【請求項3】
前記連動スケジュール作成部は、前記ピッキング装置によって取得される前記パレットのパレット配置情報をさらに取り込み、前記パレット配置情報の変更に応じて前記ピッキング用NCプログラムを作成する機能を有する
請求項1または請求項2に記載の切断部材収集システム。
【請求項4】
前記連動スケジュール作成部は、前記ピッキング装置によって相対位置が変わらない複数の前記パレットを上部に備えた位置決め板の位置決め板配置情報をさらに取り込み、前記ピッキング用NCプログラムを作成する機能を有する
請求項1から請求項3のいずれかの1項に記載の切断部材収集システム。
【請求項5】
前記連動スケジュール作成部は、前記切断装置で切断されなかった前記切断材料について順序をスキップ可能な機能を有する
請求項1から請求項4のいずれかの1項に記載の切断部材収集システム。
【請求項6】
切断材料を切断する切断装置が取得する前記切断材料の切断材料配置情報によって、前記切断材料のうち第一切断材料を切断する前記切断装置に入力される第一切断用NCプログラムと、第二切断材料を切断する前記切断装置に入力される第二切断用NCプログラムと、のプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラム作成工程と、
前記切断材料から切断された複数の切断部材を、ピッキング装置によって前記切断部材が載置可能なパレットへ収集するピッキング用NCデータを作成するピッキング用データ作成工程と、
前記切断スケジュールプログラム作成工程と、前記ピッキング用データ作成工程と、に基づいて、前記プログラム実行順序と連動可能な前記ピッキング装置の前記切断部材を収集するピッキング順序を決定し、前記ピッキング装置のピッキング用NCプログラムを作成する連動スケジュールを作成する工程と、
を備える切断部材収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断部材収集システム及び切断部材収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切断装置などを用いて、切断材料を切断加工やパンチング加工などのブランク加工したのち、ベンディングなどの別加工を続けて行い、さらに仕分け等の作業を一つのラインにまとめて行う複合加工設備が広く知られている。例えば、特許文献1に記載の複合加工システムは、板金のパンチング加工でブランク加工した後で、ベンディング加工し、ジョイントバラシ作業及びパーツ仕分け作業等の後工程を板金加工ラインに備えていることが記載されている。また、特許文献1に記載の複合加工システムは、データの一元管理によって、作業設備制御機能を備えており、NCT穴明け/切断や曲げ等の各作業工程から仕分け集積装置までの加工スケジュールを作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の複合加工システムは、仕分け集積装置の指示をあらかじめ作成された加工スケジュールを基に作成するため、例えば、製品への切断作業において、切断したい製品の順序を直前で変更した場合、作業者は、その後の加工工程順序や集積作業の順序までスケジュール変更しなければならず、工程毎の順序変更に時間を要するという点で問題があった。また、切断した製品に切断不良等の不具合があり、その製品の集積ができない場合において、作業者は、その後の製品をスキップさせるスケジュールを作り直す必要があるという点で問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、切断材料の切断不良や切断する順序の変更に応じて、切断材料を切断して形成された切断部材の収集作業を決定し短時間で効率的に行うシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る切断部材収集システムは、切断材料を切断する切断装置が取得する前記切断材料の切断材料配置情報によって、前記切断材料のうち前記切断材料を切断する前記切断装置に入力される切断用NCプログラムのプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラム作成部と、前記切断材料から切断された複数の切断部材を、ピッキング装置によって前記切断部材が載置可能なパレットへ収集するピッキング用NCデータを作成するピッキング用データ作成部と、前記切断用NCプログラムの前記プログラム実行順序と、前記ピッキング用NCデータとに基づいて、前記プログラム実行順序と連動可能な前記ピッキング装置の前記切断部材を収集するピッキング順序を決定し、前記ピッキング装置のピッキング用NCプログラムを作成する連動スケジュール作成部と、を備える。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係る切断部材収集システムは、前記連動スケジュール作成部は、前記プログラム実行順序が変更すると、前記ピッキング順序も変更する機能を有する。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、第一または第二の態様に係る切断部材収集システムは、前記連動スケジュール作成部が、前記ピッキング装置によって取得される前記パレットのパレット配置情報をさらに取り込み、前記パレット配置情報の変更に応じて前記ピッキング用NCプログラムを作成する機能を有する。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、第一乃至三のいずれかの態様に係る切断部材収集システムは、前記連動スケジュール作成部が、前記ピッキング装置によって相対位置が変わらない複数の前記パレットを上部に備えた位置決め板の位置決め板配置情報をさらに取り込み、前記ピッキング用NCプログラムを作成する機能を有する。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、第一乃至四のいずれかの態様に係る切断部材収集システムは、前記連動スケジュール作成部が、前記切断装置で切断されなかった前記切断材料について順序をスキップ可能な機能を有する。
【0011】
本発明の第六の態様に係る切断部材収集方法は、切断材料を切断する切断装置が取得する前記切断材料の切断材料配置情報によって、前記切断材料のうち第一切断材料を切断する前記切断装置に入力される第一切断用NCプログラムと、第二切断材料を切断する前記切断装置に入力される第二切断用NCプログラムと、のプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラム作成工程と、前記切断材料から切断された複数の切断部材を、ピッキング装置によって前記切断部材が載置可能なパレットへ収集するピッキング用NCデータを作成するピッキング用データ作成工程と、前記切断スケジュールプログラム作成工程と、前記ピッキング用データ作成工程と、に基づいて、前記プログラム実行順序と連動可能な前記ピッキング装置の前記切断部材を収集するピッキング順序を決定し、前記ピッキング装置のピッキング用NCプログラムを作成する連動スケジュールを作成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る切断部材収集システム及び切断部材収集方法によれば、切断材料の切断不良や切断する順序の変更に応じて、切断材料を切断して形成された切断部材の収集作業を決定し短時間で効率的に行うシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切断部材収集システムを示す斜視図である。
【
図2】同切断部材収集システムの一例を説明する概略構成図である。
【
図3】同切断部材収集システムの切断装置の切断用CAD/CAM、ピッキング用CAD/CAM、切断装置、ピッキング装置及びラインスケジュールPCのフローを説明する図である。
【
図4】同切断部材収集システムにおいて、切断作業及び収集作業をする前の切断装置及びピッキング装置を模式的に示す図である。
【
図5】
図4において、同切断部材収集システムの切断装置が複数の切断材料のうち1つを切断した状態を示す図である。
【
図6】
図4において、同切断部材収集システムの切断装置が切断材料を切断し、ピッキング装置が切断された切断部材をパレット上へ収集した状態を示す図である。
【
図7】本発明の切断部材収集システムの変形例を説明する図である。
【
図8】本発明の切断部材収集システムの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る切断部材収集システム1を示す斜視図である。
図2は、切断部材収集システム1の一例を説明する概略構成図である。ここで、切断部材収集システム1の切断装置100は、定盤10上の切断材料Wを切断する装置であり、切断装置100の駆動部130及び切断ヘッド110を直交三軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に移動する。ピッキング装置200は、切断材料Wを切断して形成された切断部材Sを収集(ピッキング)し、所定位置まで移動する装置であり、ピッキング装置200の駆動部230及びピッキングヘッド210を直交三軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に移動する。
【0016】
切断装置100及びピッキング装置200がレールRに沿って移動する方向を走行方向とし、X軸方向と定義する。また、X軸方向において切断装置100及びピッキング装置200が走行する右側を走行右側X1とし、走行右側X1と反対側の、走行する左側を走行左側X2とする。また、X軸方向に対して水平面上で垂直に交わる軸を横行方向とし、Y軸方向と定義する。Y軸方向において切断装置100及びピッキング装置200が横行する手前側を手前側Y1とし、手前側Y1と反対側へ横行する奥側を奥側Y2とする。また、X軸方向及びY軸方向に直交する上下方向をZ軸方向と定義する。Z軸方向において、切断装置100の切断ヘッド110及びピッキング装置200のピッキングヘッド210が上下運動する上側を上側Z1とし、上側Z1と反対側の、上下運動する下側を下側Z2とする。
【0017】
本発明の一実施形態に係る切断部材収集システム1は、鋼板等の切断材料Wを切断装置100で切断したのち、切断材料Wを切断して形成された複数の切断部材Sをピッキング装置200で収集し、所定位置まで移動させるためのシステムである。切断部材収集システム1は、定盤10と、複合パレット20と、切断装置100と、ピッキング装置200と、切断用CAD/CAM300(切断用プログラム作成部)と、ピッキング用CAD/CAM400(ピッキング用データ作成部)と、ラインスケジュールPC500(連動スケジュール作成部)と、を備える。ここで、切断部材収集システム1は、作業者(不図示)の事務所と、作業場と、に渡って配置されている。定盤10と、複合パレット20と、切断装置100と、ピッキング装置200とは、
図1に示すように作業場へ配置されている。切断用CAD/CAM300と、ピッキング用CAD/CAM400と、ラインスケジュールPC500とは、事務所に配置されていてもよいし、作業場であってもよい。事務所と作業場との間は物理的な距離があり、作業者が事務所と作業場との間を移動するのに時間を要するものとする。なお、事務所の場所は、特に限定されず、作業場の近くにあってもよいし、作業者の自宅等であってもよい。また、作業場の場所においても特に制限されない。
【0018】
[定盤10]
定盤10は、
図1に示すように、切断材料Wを載置するための台である。定盤10は、定盤10が設置可能な作業場に配置されている。定盤10は、例えば、水平方向に沿う水平面(以下、単に水平面という)上に延在し、矩形形状に形成されている。また、Y軸方向において、定盤10の手前側Y1と奥側Y2とには、一対のレールRが配置されている。なお、定盤10は、水平面上に延在していなくてもよい。また、定盤10は、矩形形状に形成されていなくてもよい。
【0019】
[複合パレット20]
複合パレット20は、
図1及び
図2に示すように、定盤10の手前側Y1のレールRよりも手前側Y1に配置され、切断部材Sを載置する台である。複合パレット20は、ピッキング装置200が収集作業しやすいように、切断部材Sの近くに配置される。また、複合パレット20は、複合パレット20を設置可能な広さの作業場へ配置されている。複合パレット20は、位置決め板21と、パレット22と、を備える。
【0020】
位置決め板21は、水平面上に延在し、矩形形状に形成されている。位置決め板21は、形成された四つの辺からなる正方形であり、4つの角部を有する。ここで、例えば、位置決め板21は、X軸方向の走行右側X1の1辺と、Y軸方向の奥側Y2の1辺と、によって構成された角部であって、Z軸方向の任意の基準点からの高さの位置に第一点P1(x1、y1、z1)を有する。また、位置決め板21は、X軸方向の走行左側X2の1辺と、Y軸方向の手前側Y1の1辺と、によって構成され、第一点P1に対して位置決め板21の中央部から対称に備えられた角部であって、Z軸方向の任意の基準点からの高さの位置に第二点P2(x2、y2、z2)を有する。なお、第一点P1は、X軸方向の走行右側X1の1辺と、Y軸方向の手前側Y1の1辺と、Z軸方向の任意の基準点からの高さの位置と、によって構成されていてもよく、このとき第二点P2が第一点P1に対してX軸方向及びY軸方向からなる水平面上において、位置決め板21の中央部から対称となるように備えられた角部であればよい。また、位置決め板21は、必ずしも短形形状でなくてもよい。例えば、位置決め板21は、X軸方向の両辺と、Y軸方向両辺とが異なる長さを有する長方形であってもよいし、縁部に備えられた第一点P1と、水平面上において、第一点P1に対して位置決め板21の中心部から対称に備えられた第二点P2とを有した円形状であってもよい。位置決め板21は、上記以外の形状(例えば、多角形)を適用してもよい。
【0021】
パレット22は、位置決め板21の上部に載置され、水平面上に延在し、位置決め板21よりも小さい矩形形状に形成されている。パレット22は、例えば
図1に示すように、位置決め板21上に、相対位置が変わらないように4つ所定位置へ配置されている。パレット22は、切断部材Sの形状に応じて仕分けられており、切断部材Sは、形状に応じたパレット22上へ収集される。また、パレット22は、位置決め板21と同様に、矩形形状以外の形状(例えば、多角形や円形)を適用してもよい。
【0022】
切断材料Wは、例えば鋼板等の板状の部材である。また、切断部材Sは、切断装置100が切断材料Wを切断して形成された複数の部材のことをいう。
【0023】
[切断装置100]
切断装置100は、
図1及び
図2に示すように、定盤10上へ載置された鋼板等の切断材料Wを切断する装置である。切断装置100は、本実施形態では、切断装置100が設置可能な作業場に配置されている。切断装置100は、切断ヘッド110と、切断トーチ120と、駆動部130と、切断材料位置検出部140と、切断装置主制御部150と、を備えている。
【0024】
切断ヘッド110は、例えば、切断トーチ120が搭載されている。切断ヘッド110は、定盤10の上方に配置され、
図1に示すように、定盤10に対してX軸方向及びY軸方向に移動可能である。
【0025】
切断トーチ120は、例えば、レーザー切断によって切断材料Wを切断するレーザートーチである。また、切断トーチ120は、切断ヘッド110とともに定盤10上をX軸方向及びY軸方向に移動可能であるとともに、Z軸方向に移動して任意に高さが変更可能であり、切断材料Wに形成する切断形状に沿って移動することができる。また、切断トーチ120は、必要に応じて鉛直方向に対する傾きを変えることができる。なお、切断トーチ120は、レーザートーチに限定されることなく、プラズマトーチ、ガストーチであってもよい。
【0026】
駆動部130は、一対のレールRに配置され、駆動モーター(不図示)を有する。駆動部130は、後述する駆動制御部154に基づいて、切断装置100をX軸方向、Y軸方向へ移動可能となるように構成されている。また、駆動部130は、切断ヘッド110をZ軸方向へ移動可能に構成されている。
【0027】
切断材料位置検出部140は、例えば切断ヘッド110に備えられ、従来公知の技術によって任意の方向へ移動する切断ヘッド110の動きに合わせて切断材料Wの位置を検出する。切断材料位置検出部140は、例えば、位置検出センサ(不図示)等が備えられている。切断材料Wの位置は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3方向において切断材料Wの位置を座標で管理されている。切断材料位置検出部140は、検出値から切断材料Wの座標情報(切断材料配置情報)を算出し、切断装置100の切断装置主制御部150へ出力する。ここで、切断材料Wの位置を検出し、切断材料配置情報を算出することを、以下切断材料ティーチング作業という。なお、切断材料位置検出部140は、切断材料Wの位置を検出し、切断材料配置情報を算出できるものであれば、特に位置検出センサに限定されない。例えば、切断材料位置検出部140は、画像認識等による位置検出であってもよいし、作業者が切断材料Wを計測し、マウスやキーボード等を用いて、直接計測値を入力することで位置検出をしてもよい。
【0028】
切断装置主制御部150は、外部から取得したプログラム、データまたは情報を読み込み、切断装置100を制御する装置(コンピュータ)である。切断装置主制御部150は、表示部151と、操作部152と、記憶部153と、駆動制御部154と、切断スケジュールプログラム作成部155と、通信部156と、を備える。
【0029】
表示部151は、切断装置100の情報を表示する。作業者(不図示)は、表示部151に表示される情報から、切断装置100及び切断装置主制御部150等に関する情報を把握することができる。表示部151は、例えば液晶パネルである。なお、表示部151は、液晶パネルに限定されない。
【0030】
操作部152は、例えば液晶パネルに装着されて、液晶パネルに表示される情報に従って入力操作を行うことができるタッチパネルである。操作部152は、切断作業に必要な切断材料Wの製品情報や、切断不良情報等の入力を行うために、切断装置100の作業者によって操作される。作業者は、操作部152を操作することで、切断装置主制御部150に対して様々な情報を入力することができる。ここで、切断不良情報とは、例えば、切断不良で正常に切断されていない切断部材Sがあった場合に、後述するラインスケジュールPC500へ入力される切断不良の切断部材Sの情報である。なお、切断不良情報は、切断装置100が自ら切断不良の切断部材Sを検出し、切断装置主制御部150へ入力されてもよい。また、操作部152は、表示部151とは別体のマウス、キーボード、または操作ボタン等であってもよい。
【0031】
記憶部153は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段であり、プログラムやデータを記憶する。記憶部153は、例えば、切断材料Wの材質、形状または厚さ等の切断材料Wの切断に必要なデータがデータベース(不図示)として格納されている。なお切断装置主制御部150は、記憶部153が有するデータベースを切断用CAD/CAM300から取得することで、記憶部153を設けなくてもよい。
【0032】
駆動制御部154は、通信部156が取得する情報や記憶部153に基づいて、切断装置100の駆動部130の移動を制御する。
【0033】
切断スケジュールプログラム作成部155は、切断材料位置検出部140によって取得された切断材料配置情報から、後述する複数の切断材料Wの切断用NCプログラム実行順序(プログラム実行順序)を決定するプログラムである。作成された切断スケジュールプログラムは、通信部156よってラインスケジュールPC500へ送信される。なお、切断スケジュールプログラム作成部155は、操作部152や通信部156から取得した情報に応じて、常時複数の切断材料Wの切断用NCプログラム実行順序を自動または手動で変更可能である。
【0034】
通信部156は、図示しない通信ケーブル等を介して、切断用CAD/CAM300と、ピッキング装置200と、ラインスケジュールPC500と、へ接続され、切断装置100及び切断材料Wの配置情報、切断作業開始や完了等の切断作業情報、切断不良情報、または切断スケジュールプログラム等のデータの送受信を行う。通信部156は、切断装置主制御部150内の情報が更新されるたびに常時情報を送受信する。例えば、通信部156は、切断スケジュールプログラム作成部155よりプログラム実行順序の変更が入力されると、その情報をラインスケジュールPC500へ自動送信する。また通信部156は、切断不良情報が入力されると、その情報をラインスケジュールPC500へ自動送信する。なお、通信部156は、上記以外の装置が接続されていてもよい。また通信部156は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネットまたは電話回線等を介して通信を行ってもよい。
【0035】
[ピッキング装置200]
ピッキング装置200は、
図1及び
図2に示すように、定盤10上の切断材料Wを切断して形成された切断部材Sを、位置決め板21の上部に載置されたパレット22まで収集する装置である。ピッキング装置200は、本実施形態では、ピッキング装置200が設置可能な広さを持ち、切断装置100と同じ作業場へ配置されている。ピッキング装置200は、X軸方向において切断装置100よりも走行左側X2に配置され、切断装置100と同様に、定盤10上を移動する。ピッキング装置200は、ピッキングヘッド210と、吸着部220と、駆動部230と、パレット位置検出部240と、ピッキング装置主制御部250と、を備える。なお、ピッキング装置200の配置は、特に限定されない。ピッキング装置200は、例えば、X軸方向において切断装置100よりも走行右側X1に配置されていてもよい。
【0036】
ピッキングヘッド210は、例えば、Z軸方向の下側Z2へマグネット等の吸着部220を搭載しており、定盤10の上側Z1に配置され、Z軸方向に移動可能である。なお、ピッキングヘッド210は、駆動部230のY軸方向への移動により、定盤10の手前側Y1のレールRよりもさらに手前側Y1と、定盤10の奥側Y2のレールRよりもさらに奥側Y2と、への移動も可能である。
【0037】
吸着部220は、例えば、マグネット等を使用した吸着装置である。吸着部220は、図示しない制御部で吸着操作を制御されている。吸着部220は、マグネット等の吸着装置に限定されず、切断部材Sをピッキング可能な装置であればよい。
【0038】
駆動部230は、一対のレールRに配置され、駆動モーター(不図示)を有する。駆動部230は、ピッキング装置200の駆動制御部252に基づいて、ピッキング装置200をX軸方向、Y軸方向へ移動可能となるように構成されている。また、駆動部230は、ピッキングヘッド210をZ軸方向へ移動可能に構成されている。
【0039】
パレット位置検出部240は、例えばピッキングヘッド210に備えられ、複合パレット20の位置決め板21の座標情報を検出する。パレット位置検出部240は、例えば、位置検出センサ(不図示)等が備えられている。位置決め板21の座標位置は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3方向において、複合パレット20の位置を切断装置100の切断材料位置検出部140で使用される座標と同じ座標で管理されている。パレット位置検出部240は、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の2点を検出する。パレット位置検出部240は、検出した位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の検出値から、位置決め板21の座標情報(位置決め板配置情報)を算出し、ピッキング装置200のピッキング装置主制御部250へ出力する。ここで、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の2点を検出し、位置決め板配置情報を算出することを、以下パレットティーチング作業という。なお、パレット位置検出部240は、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の2点の位置を検出し、位置決め板配置情報を算出できるものであれば、特に位置検出センサに限定されない。例えば、パレット位置検出部240は、カメラを用いた画像認識等による位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の2点の位置検出であってもよいし、作業者が位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の2点の位置を計測し、マウスやキーボード等を用いて、直接計測値を入力することで位置検出をしてもよい。
【0040】
ピッキング装置主制御部250は、外部から取得したプログラム、データまたは情報を読み込み、ピッキング装置200を制御する装置(コンピュータ)である。ピッキング装置主制御部250は、記憶部251と、駆動制御部252と、パレット配置算出部253と、通信部254と、を備える。また、ピッキング装置主制御部250は、図示しないコンピュータ本体とマウス、キーボード等の入出力装置を備えている。
【0041】
記憶部251は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段であり、プログラムやデータを記憶する。記憶部251は、例えば、パレット22の相対位置やパレット番号等の必要データがデータベース(不図示)として格納されている。
【0042】
駆動制御部252は、通信部254が取得する情報や記憶部251に基づいて、ピッキング装置200の駆動部230の移動を制御する。
【0043】
パレット配置算出部253は、取得した位置決め板配置情報から記憶部251に格納されたパレット22の相対位置によって、位置決め板21の上部に載置されたパレット22の配置を算出する。得られたパレット配置情報は、通信部254を介してラインスケジュールPC500へ送信される。
【0044】
通信部254は、図示しない通信ケーブル等を介して、切断装置100と、ラインスケジュールPC500と、へ接続され、情報やデータの送受信を行う。なお、通信部254は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネットまたは電話回線等を介して通信を行ってもよい。なお、通信部254は、上記以外の装置が接続されていてもよい。
【0045】
また本実施形態では、ピッキング装置200は、切断装置100によって入力される切断不良情報を自ら検出する機能をさらに備えていてもよい。この場合は、ピッキング装置200は、検出した切断不良情報を通信部254よりラインスケジュールPC500へ送信される。
【0046】
[切断用CAD/CAM300(切断用プログラム作成部)]
切断用CAD/CAM300(切断用プログラム作成部)は、切断材料Wを切断装置100によって切断するためのNCプログラムを作成する。切断用CAD/CAM300は、CAD(Computer-Aided Design)機能と、CAM(Computer-Aided Manufacturing)機能とを備えた装置(コンピュータ)である。切断用CAD/CAM300は、例えば、作業者の事務所に設置されている。
【0047】
切断用CAD/CAM300は、
図1に示すように、記憶部310と、切断用NCデータ作成部320と、切断用NCプログラム作成部330と、通信部340と、を備える。また、切断用CAD/CAM300は、例えば、図示しないコンピュータ本体とマウス、キーボード等の入出力装置を備えている。
【0048】
記憶部310は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段であり、プログラムやデータを記憶する。記憶部310は、例えば、切断材料Wの板番号、材質、形状または厚さ等の切断に必要なデータがデータベース(不図示)として格納されている。記憶部310のデータベースは、必要に応じて通信部340より外部へ送信される。
【0049】
切断用NCデータ作成部320は、記憶部310へ格納されたデータベースに基づいて、切断装置100が切断材料Wを切断するための切断用NCデータを作成する。
【0050】
切断用NCプログラム作成部330は、1つの切断材料Wに複数の切断用NCデータを組み合わせ、切断材料Wへの切断パターンを決定する切断用NCプログラムを作成する。切断用NCプログラム作成部330は、切断用NCデータを読み込み、切断用NCプログラムを生成すると、通信部340を介して切断装置100へ出力される。
【0051】
通信部340は、図示しない通信ケーブル等を介して、切断装置100と、ピッキング用CAD/CAM400と、へ接続され、情報やデータの送受信を行う。通信部340は、切断装置100へ切断用NCプログラムの送信を行う。また、通信部340は、ピッキング用CAD/CAM400へ切断用NCデータの送信を行う。なお、通信部340は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネットまたは電話回線等を介して、切断装置100と、ピッキング用CAD/CAM400とへ送受信を行ってもよい。また、通信部340は、上記以外の装置が接続されていてもよい。
【0052】
なお、切断用CAD/CAM300は、CAD機能やCAM機能を発揮するためのソフトウェアがイントールされたパーソナルコンピュータであってもよいし、CAD機能及びCAM機能を発揮するための専用マシンであってもよい。
【0053】
[ピッキング用CAD/CAM400(ピッキング用データ作成部)]
ピッキング用CAD/CAM400(ピッキング用データ作成部)は、切断用CAD/CAM300と同様の機能を備えた装置(コンピュータ)である。ピッキング用CAD/CAM400は、切断部材Sをピッキング装置200によってどのようにピッキングするかを決定するためのピッキング用NCデータを作成する。ピッキング用CAD/CAM400は、切断用CAD/CAM300と同様に、例えば、作業者の事務所に設置されている。
【0054】
ピッキング用CAD/CAM400は、
図2に示すように、記憶部410と、ピッキング用NCデータ作成部420と、通信部430と、を備える。また、ピッキング用CAD/CAM400は、例えば、図示しないコンピュータ本体とマウス、キーボード等の入出力装置を備えている。
【0055】
記憶部410は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段であり、プログラムやデータを記憶する。記憶部410は、例えば、切断材料Wを切断して形成された切断部材Sの部材番号、形状、厚さ、または位置や、パレット22の相対位置やパレット番号等の必要なデータがデータベース(不図示)として格納されている。記憶部410のデータベースは、必要に応じて通信部430より外部へ送信される。なおピッキング用CAD/CAM400は、記憶部410が有するデータベースを切断用CAD/CAM300から取得することで、記憶部410を設けなくてもよい。
【0056】
ピッキング用NCデータ作成部420は、記憶部410へ格納されたデータベースと、切断用CAD/CAM300から取得した切断用NCデータと、に基づいて、ピッキング装置200が切断部材Sをどのようにピッキングするかを決定するピッキング用NCデータを作成する。
【0057】
通信部430は、図示しない通信ケーブル等を介して、切断用CAD/CAM300と、ピッキング用CAD/CAM400と、へ接続され、情報やデータの送受信を行う。通信部430は、ラインスケジュールPC500へピッキング用NCデータの送信を行う。なお、通信部430は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネットまたは電話回線等を介して、ラインスケジュールPC500へピッキング用NCデータの送信を行ってもよい。また、通信部430は、上記以外の装置が接続されていてもよい。
【0058】
なお、ピッキング用CAD/CAM400は、CAD機能やCAM機能を発揮するためのソフトウェアがイントールされたパーソナルコンピュータであってもよいし、CAD機能及びCAM機能を発揮するための専用マシンであってもよい。
【0059】
[ラインスケジュールPC500(連動スケジュール作成部)]
ラインスケジュールPC500(連動スケジュール作成部)は、
図1及び
図2に示すように、切断用CAD/CAM300とピッキング用CAD/CAM400と同様の機能を備えた装置(コンピュータ)である。ラインスケジュールPC500は、例えば、ピッキング装置200及び切断装置100の作業順序を作業者が確認・変更できるように作業場へ配置されている。ラインスケジュールPC500は、切断装置100と、ピッキング装置200とがそれぞれ行う作業が干渉しないように作業可能な連動スケジュールを作成する。また、ラインスケジュールPC500は、切断部材Sを収集するパターンを決定するピッキング用NCプログラムを作成する。ラインスケジュールPC500は、
図2に示すように、操作部510と、表示部520と、記憶部530と、通信部540と、連動スケジュールプログラム作成部550と、ピッキング用NCプログラム作成部560と、を備える。
【0060】
操作部510は、マウスやキーボード等からなる操作手段であり、情報を付加する操作を行う。また、操作部510は、連動スケジュールプログラム及びピッキング用NCプログラムが作成された後も情報を付加可能であり、情報は記憶部530へ格納される。
【0061】
表示部520は、コンピュータ本体の液晶などの表示画面からなる表示手段である。
【0062】
記憶部530は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段であり、操作部510で入力された情報や、通信部540より取得したプログラムまたはデータ等を記憶する。
【0063】
通信部540は、図示しない通信ケーブル等を介して、切断装置100と、ピッキング装置200と、ピッキング用CAD/CAM400と、へ接続され、データの送受信を行う。また、通信部540は、切断装置100及びピッキング装置200へ連動スケジュールプログラムの送信を行う。さらに、通信部540は、ピッキング装置200へピッキング用NCプログラムの送信を行う。なお、通信部540は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネットまたは電話回線等を介して通信を行ってもよい。また、通信部430は、上記以外の装置が接続されていてもよい。さらに、通信部430は、切断装置100またはピッキング装置200の少なくとも一方と通信可能であればよい。また、通信部430は、ラインスケジュールPC500が有する情報を必要に応じて上記以外の装置へ送信できる。
【0064】
連動スケジュールプログラム作成部550は、切断装置100から取得した切断材料配置情報及び切断用スケジュールプログラムと、ピッキング装置200から取得したパレット配置情報と、ピッキング用CAD/CAM400から取得したピッキング用NCデータと、に基づいて、切断装置100と、ピッキング装置200とがそれぞれ行う作業が干渉しないように作業可能な連動スケジュールプログラムを作成する。また、連動スケジュールプログラム作成部550は、切断装置100から変更した切断用スケジュールプログラムを取得すると、切断用スケジュールプログラムに基づいて、もともと作成されていた連動スケジュールプログラムを更新する。また、連動スケジュールプログラム作成部550は、通信部540より取得する情報やデータに応じて連動スケジュールプログラムを手動または自動で更新する。
【0065】
ピッキング用NCプログラム作成部560は、1つの切断材料Wを切断して形成された複数の切断部材Sに対して、切断装置100から取得した切断材料配置情報、ピッキング用CAD/CAM400から取得したピッキング用NCデータ及びピッキング装置200から取得したパレット配置情報を組み合わせ、ピッキング装置200の吸着部220がピッキングする位置、及びピッキングした切断部材Sを載置するパレット22の位置、及び複数の切断部材Sのピッキング順序等を決定するプログラムである。作成されたピッキング用NCプログラムは、通信部540を介して、ピッキング装置200へ送信される。また、ピッキング用NCプログラム作成部560は、切断装置100から切断不良情報を取得した場合、切断不良情報に基づいて、もともと作成されていたピッキング用NCプログラムの中から切断材料Wのうち切断不良の切断部材Sをスキップするピッキング用NCプログラムを新たに作成する。なお、ピッキング用NCプログラム作成部560は、切断装置100から変更した切断用スケジュールプログラムや通信部540より取得する情報やデータの変更に応じてピッキング用NCプログラムを更新してもよい。
【0066】
次に、本実施形態に係る切断部材収集システム1の作用について
図3から
図6を参照して説明する。
図3は、切断部材収集システム1の切断装置100の切断用CAD/CAM300、ピッキング用CAD/CAM400、切断装置100、ピッキング装置200及びラインスケジュールPC500のフローを説明する図である。
図4は、切断部材収集システム1において、切断作業及び収集作業をする前の切断装置100及びピッキング装置200を模式的に示す図である。
図5は、
図4において、切断部材収集システム1の切断装置100が複数の切断材料Wのうち1つを切断した状態を示す図である。
図6は、
図4において、切断部材収集システム1の切断装置100が切断材料Wを切断し、ピッキング装置200が切断材料Wを切断して形成された切断部材Sをパレット22上へ収集した状態を示す図である。
【0067】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、定盤10上にX軸方向にそって切断材料Wを二つ設置する。これらの切断材料Wは、X軸方向の走行左側X2を第一切断材料W1、走行右側X1を第二切断材料W2とする。また、第一切断材料W1を切断して形成された複数の切断部材Sを第一切断部材S1とし、第二切断材料W2を切断して形成された切断部材Sを第二切断部材S2とする。さらに、複合パレット20は、第一切断部材S1が載置される第一複合パレット20a、第二切断部材S2が載置される第二複合パレット20bを備えている。
【0068】
(ステップS101、ステップS102)
ステップS101において、まず切断作業及び収集作業の実施前に、作業場から離れた事務所へ設置された切断用CAD/CAM300及びピッキング用CAD/CAM400は、NCプログラムやNCデータ等の作成を行う。切断用CAD/CAM300は、切断用NCデータ作成部320において、切断用NCデータを作成する。次に、ステップS102において、切断用NCプログラム作成部330は、ステップS101で作成された切断用NCデータ及び切断用CAD/CAM300の記憶部310等のデータベースに基づいて、第一切断材料W1への切断パターンを決定する第一切断用NCプログラムを生成する。また、切断用NCプログラム作成部330は、同様に、第二切断材料W2への切断パターンを決定する第二切断用NCプログラムを生成する。
【0069】
(ステップS201)
また、ステップS201において、ピッキング用CAD/CAM400は、ピッキング用NCデータ作成部420によってピッキング用NCデータを作成する。
【0070】
次に、作業場へ配置されたラインスケジュールPC500によってプログラムが作成され、切断装置100と、ピッキング装置200と、を用いて、切断材料Wの切断作業及び切断部材Sの収集作業が実施される。まず、切断装置100における切断材料Wの切断作業について、
図3のステップS103からステップS109、ステップS301、及び
図4から
図6を参照して説明する。
【0071】
(ステップS103、ステップS104)
まず、ステップS103において、切断装置100は、切断材料ティーチング作業を行う。切断装置100の駆動制御部154は、
図4に示すように、X軸方向の走行左側X2から走行右側X1へ向けて切断装置100を移動させ、切断装置100へ備えられた切断ヘッド110を第一切断材料W1及び第二切断材料W2上で移動させる。ステップS104において、切断ヘッド110に配置された切断材料位置検出部140が、切断材料Wを公知の手段によって読み取り、切断材料配置情報を取得する。
【0072】
(ステップS105)
次に、ステップS105において、切断装置100の切断スケジュールプログラム作成部155は、切断用CAD/CAM300より取得した第一切断用NCプログラム及び第二切断用NCプログラムのプログラム実行順序を決定する切断スケジュールプログラムを作成する。切断スケジュールプログラム作成部155は、例えば、初めに第一切断用NCプログラムを実行し、次に、第二切断用NCプログラムを実行するという順序のプログラムを作成する。
【0073】
(ステップS301)
ステップS301において、ラインスケジュールPC500は、切断装置100から出力された切断材料配置情報、切断用スケジュールプログラム、後述するステップS203においてピッキング装置200から出力されたパレット配置情報、及びピッキング用CAD/CAM400から出力されたピッキング用NCデータ等の必要データを取得する。連動スケジュールプログラム作成部550は、これらの情報、データ及びプログラムに基づいて、連動スケジュールプログラムを作成する。切断装置100は、ラインスケジュールPC500が作成した連動スケジュールプログラムを取得する。
【0074】
(ステップS106、ステップS107)
ステップS106において、
図5に示すように、切断装置100の切断装置主制御部150は、切断用スケジュールプログラムに基づいて、第一切断用NCプログラムを実行する。切断装置100は、通信部156より切断開始等の切断作業情報をピッキング装置200へ送信する。駆動制御部154は、まず、切断装置100を制御してX軸方向の走行左側X2から走行右側X1へ向けて移動させ、第一切断材料W1を切断する。ステップS107において、切断装置100は、第一切断材料W1を切断すると、通信部156より切断完了等の切断作業情報をピッキング装置200へ送信してステップS108に進む。
【0075】
(ステップS108)
ステップS108において、
図6に示すように、第一切断材料W1を切断した切断装置100は、次の切断材料Wがある場合は、ステップS106へ進み、次の切断材料Wに対して切断作業を実施する。例えば、本実施形態では、切断装置100は、第一切断材料W1を切断したのち、ステップS105で作成した切断用スケジュールプログラムに基づいて、つぎの切断材料Wである第二切断材料W2へ切断作業を行う。駆動制御部154は、切断装置100を制御して第一切断材料W1よりもさらにX軸方向の走行右側X1へ向けて移動させ、第二切断材料W2を切断する。切断装置100は、第二切断材料W2を切断すると、通信部156より切断完了等の切断作業情報をピッキング装置200へ送信する。
【0076】
(ステップS109)
ステップS109において、
図6に示すように、切断装置100は、次の切断材料Wが切断用スケジュールプログラム上にない場合は、レールR上においてピッキング装置200が行う収集作業の邪魔にならない位置まで退避し、通信部156より退避完了等の切断作業情報をピッキング装置200へ送信して切断作業を完了する。
【0077】
次に、ピッキング装置200における切断部材Sの収集作業について
図3のステップS202からステップS208、ステップS301からステップS303、及び
図4から
図6を参照して説明する。
【0078】
(ステップS202、ステップS203)
ステップS202において、ピッキング装置200は、パレットティーチング作業を行う。
図4に示すように、ピッキング装置200の駆動制御部252は、X軸方向の走行左側X2から走行右側X1へ向けてピッキング装置200を移動させ、ピッキング装置200へ備えられたピッキングヘッド210を第一複合パレット20a及び第二複合パレット20b上で移動させる。ステップS203において、ピッキングヘッド210に配置されたパレット位置検出部240が、第一複合パレット20a及び第二複合パレット20bのそれぞれ位置決め板21が有する第一点P1及び第二点P2の座標情報(位置決め板配置情報)を取得する。その後、パレット配置算出部253が、取得した位置決め板配置情報をもとにパレット配置情報を算出する。パレット配置情報は、通信部254を介してラインスケジュールPC500へ送信される。
【0079】
(ステップS301、ステップS302)
前述したステップS301と同様に、ラインスケジュールPC500は、切断装置100から出力された切断材料配置情報と切断用スケジュールプログラム、ピッキング装置200から出力されたパレット配置情報、及びピッキング用CAD/CAM400から出力されたピッキング用NCデータ等の必要データを取得する。ラインスケジュールPC500は、取得した情報によって連動スケジュールプログラムを作成する。また、ステップS302において、ラインスケジュールPC500は、切断材料配置情報と、ピッキング用NCデータと、パレット配置情報とを組み合わせ、第一切断部材S1及び第二切断部材S2のピッキング用NCプログラムをそれぞれ作成する。ピッキング装置200は、ラインスケジュールPC500の通信部540を介して送信された連動スケジュールプログラム及びピッキング用NCプログラムを取得する。
【0080】
(ステップS204)
ここで、ステップS204において、作業者や切断装置100から切断不良情報が入力されたり、ピッキング装置200が自ら切断不良を検出したりした場合に、切断不良情報がラインスケジュールPC500へ送信される。次に、ステップS303へ進む。一方、ステップS204において、ラインスケジュールPC500へ切断不良情報が入力されない場合は、ステップS205へ進む。
【0081】
(ステップS303)
ステップS303において、ラインスケジュールPC500は、取得した切断不良情報に基づいて、もともと作成されていたピッキング用NCプログラムの中から第一切断材料W1のうち切断不良の第一切断部材S1をスキップするピッキング用NCプログラムを新たに作成する。ピッキング用NCプログラムは、ラインスケジュールPC500の通信部540を介して、ピッキング装置200へ送信される。次に、ステップS205へ進む。
【0082】
(ステップS205、ステップS206)
ステップS205において、ピッキング装置200は、ピッキング用NCプログラムまたは新た作成されたピッキング用NCプログラムに応じて収集作業を行う。ピッキング装置200は、切断装置100より取得した切断完了や退避完了等の切断作業情報に基づいて、作業を開始する。ピッキング装置200は、例えば、ステップS303において第一切断材料W1のうち切断不良の第一切断部材S1をスキップするピッキング用NCプログラムを取得した場合は、第一切断部材S1の一部をスキップし、第一切断材料W1を切断して形成された第一切断部材S1の収集作業を行う。ピッキング装置200は、収集作業が完了すると、通信部254より作業完了等の収集作業情報を外部へ送信して収集作業を完了する。
【0083】
(ステップS207、ステップS208)
ステップS207において、第一切断部材S1を収集したピッキング装置200は、次の切断部材Sがある場合は、ラインスケジュールPC500で作成されたピッキング用NCプログラムに応じて収集作業を実施する。例えば、本実施形態では、ピッキング装置200は、第一切断部材S1を収集したのち、ステップS301及びステップS302で作成した連動スケジュールプログラムとピッキング用NCプログラムとに基づいて、つぎの切断部材Sである第二切断部材S2の収集作業を行う。収集する切断部材Sがない場合は、ステップS208へ進み、ピッキング装置200は、収集作業を終了する。
【0084】
本実施形態では、作業場へ配置されたラインスケジュールPC500が、まず、ピッキング用CAD/CAM400から出力されたピッキング用NCデータ等のデータを取得する。その後、ラインスケジュールPC500は、同じく作業場へ配置された切断装置100より切断材料配置情報及び切断用スケジュールプログラムを取得し、ピッキング装置200よりパレット配置情報等の必要データを取得することで、連動スケジュールプログラム及びピッキング用NCプログラムを作成する。そのため、切断材料Wの切断スケジュールの順序が作業場において急遽変更となった場合でも、ラインスケジュールPC500は、切断装置100より切断材料配置情報と、切断用スケジュールプログラムとを再取得し、連動スケジュールプログラム及びピッキング用NCプログラムを新たに作成することができる。よって、従来のように、切断材料Wの切断スケジュールの変更に合わせて後工程である収集作業に用いられるピッキング用NCプログラムを作成しなおさなくても、作業者は、作業場に配置されたラインスケジュールPC500で容易に作成することができる。また、ラインスケジュールPC500は作業場へ配置されているため、作業者は、作業場でピッキング用NCプログラムを短時間のうちに変更することができる。
【0085】
また、本実施形態では、切断装置100が切断材料ティーチング作業を行い、切断材料配置情報をラインスケジュールPC500へ出力する。ラインスケジュールPC500は、切断材料配置情報を基にピッキング用NCプログラムを作成し、ピッキング装置200へ送信する。そのため、ピッキング装置200は、切断材料ティーチング作業を行わなくても、切断材料配置情報を取得したラインスケジュールPC500によってピッキング用NCプログラムを実行することができる。
【0086】
また、本実施形態では、ピッキング装置200は、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2を検出して位置決め板配置情報を取得し、その後記憶部251のデータベースへ格納されたパレット22の相対位置からパレット配置情報を算出できる。そのため、ピッキング装置200は従来のように複数のパレット22の座標情報を1つ1つ取得しなくても、1回のパレットティーチング作業だけでパレット配置情報を取得でき、パレットティーチング作業に要する時間を大幅に削減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、作業者や切断装置100から切断不良情報が入力されたり、ピッキング装置200が自ら切断不良を検出したりした場合に、切断不良情報がラインスケジュールPC500へ送信される。すると、ラインスケジュールPC500は、切断不良情報に基づいて、もともと作成されていたピッキング用NCプログラムの中から切断材料Wのうち切断不良の切断部材Sをスキップするピッキング用NCプログラムを新たに作成する。そのため、ピッキング用NCプログラムをはじめから作成しなおさなくても、ラインスケジュールPC500は、容易に短時間でピッキング用NCプログラムを作成することができる。
【0088】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0089】
(変形例)
本発明の切断部材収集システム1においては、切断材料Wの数は特に限定されない。例えば、
図7に示すように、定盤10上に切断材料Wが3つ以上備えられていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、切断部材収集システム1は、一つの切断材料Wに対して、1つの複合パレット20は、Y軸方向において定盤10と、切断材料Wとの間に配置されていてもよい。また、上記実施形態では、複合パレット20は、1つの切断材料Wに対して、1つの複合パレットを備えているが、本発明では、特に限定されない。例えば、本発明の切断部材収集システムは、1つの切断材料に対して、複数の複合パレットを備えていてもよいし、1つの複合パレットに対して、複数の切断材料を備えていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、複合パレット20は、定盤10の手前側Y1のレールRよりも手前側Y1に配置されていたが、本発明の複合パレット20の配置は特に限定されない。例えば、
図8に示すように、ピッキング装置200のピッキングヘッド210が移動可能な範囲において、定盤10上に配置されていてもよい。この場合においても、切断部材収集システム1は、ラインスケジュールPC500を用いて、切断材料Wを切断して形成された切断部材Sを収集する順序を決定する連動スケジュールプログラムを作成することができる。
【0092】
また、上記実施形態では、ピッキング装置200がパレット位置検出部240において、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2の検出値から、位置決め板配置情報を算出し、パレット配置算出部253において、パレット配置情報を取得しているが、パレット配置情報の取得方法については特に限定されない。例えば、ピッキング装置200は、パレット位置検出部240において、パレット22の位置を1つずつパレットティーチング作業することでパレット配置情報を取得してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、パレット位置検出部240は、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2を検出するが、本発明のパレット位置検出部は検出する検出点を第一点P1のみ検出してもよいし、第一点P1及び第二点P2に加えて複数の点を検出してもよい。また、第一点P1及び第二点P2は、位置決め板21の角部でなくてもよい。さらに、第二点P2は、第一点P1に対して位置決め板21の中央部から対称に備えられているが、対称でなくてもよい。
【0094】
また、本発明のパレット位置検出部は、さらに位置決め板の座標情報に加えて、X軸方向の定盤の高さを検出及び算出してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、パレット22は、位置決め板21上に4つ所定位置へ配置されているが、本発明のパレットの個数は、特に限定されない。本発明のパレットは、2つ以上備えられていればよい。また、本発明のパレットは、1つのパレットに対して、1つの種類だけでなく、複数の種類の切断部材を載置できる。複合パレット20は、Y軸方向において定盤10と、切断材料Wとの間に配置されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、位置決め板21は、Y軸方向において定盤10よりも手前側Y1にあって、切断材料Wと略並列となるように配置されているが、本発明の位置決め板は、特に限定されない。例えば、本発明の位置決め板は、2つ以上備えられていればよい。
【0097】
また、上記実施形態では、事務所が作業場から離れた場所であったが、事務所の場所は特に限定されず、作業場の近くにあってもよいし、作業者の自宅等であってもよい。また、作業場の場所においても特に制限されない。
【0098】
また、上記実施形態では、ラインスケジュールPC500は、作業場へ個別に配置されていたが、特に限定されず、例えばラインスケジュールPC500は、ピッキング装置200に備えられてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、ピッキング装置200が、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2を検出して位置決め板配置情報を取得し、パレット配置情報を算出しているが、特に限定されず、例えば、切断装置100が、位置決め板21の第一点P1及び第二点P2を検出し、パレット配置情報を算出してもよい。
【0100】
いずれの上記実施形態においても、本発明の切断部材収集システム及び切断部材収集方法によれば、切断材料の切断不良や切断する順序の変更に応じて、切断材料を切断して形成された切断部材の収集作業を決定し短時間で効率的に行うシステムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係る切断部材収集システム及び切断部材収集方法によれば、切断材料の切断不良や切断する順序の変更に応じて、切断材料を切断して形成された切断部材の収集作業を決定し短時間で効率的に行うシステムを提供することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 切断部材収集システム
10 定盤
20 複合パレット
21 位置決め板
22 パレット
100 切断装置
110 切断ヘッド
120 切断トーチ
140 切断材料位置検出部
150 切断装置主制御部
155 切断スケジュールプログラム作成部
200 ピッキング装置
210 ピッキングヘッド
220 吸着部
240 パレット位置検出部
250 ピッキング装置主制御部
253 パレット配置算出部
300 切断用CAD/CAM(切断用NCプログラム作成部)
320 切断用NCデータ作成部
330 切断用NCプログラム作成部
400 ピッキング用CAD/CAM(ピッキング用NCデータ作成部)
420 ピッキング用NCデータ作成部
500 ラインスケジュールPC(連動スケジュールプログラム作成部)
550 連動スケジュールプログラム作成部
560 ピッキング用NCプログラム作成部
P1 第一点
P2 第二点
R レール
W 切断材料
S 切断部材