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  • 特開-チェーンガイド機構のフレーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088526
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】チェーンガイド機構のフレーム
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/18 20060101AFI20230620BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
F16H7/18 B
F02F7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203316
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】フォルクマー ニガー
(72)【発明者】
【氏名】大澤 誠吾
(72)【発明者】
【氏名】林 聖桓
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗裕
(72)【発明者】
【氏名】大島 裕司
【テーマコード(参考)】
3G024
3J049
【Fターム(参考)】
3G024AA73
3G024DA10
3G024FA15
3J049AA08
3J049BE02
3J049BE03
3J049BE06
3J049BE08
3J049CA02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、チェーンに十分な張力がかからない場合でも、従動スプロケットが脱落せず、確実に従動スプロケットとスプロケット保持部との適正な位置関係を保つことができるチェーンガイド機構のフレームを提供すること。
【解決手段】チェーンガイド機構のフレーム100であって、本体部110は、固定側スプロケット保持部120と、揺動側スプロケット保持部130とを有し、固定側スプロケット保持部120は、従動スプロケットS1を第1接点121aで支持する固定側第1支持部121と、第1接点121aよりも外側の第2接点122aで支持する固定側第2支持部122とを有し、従動スプロケットS1を第1接点121aと第2接点122aとで支持し正立状態とした際、従動スプロケットS1の重心SCにかかる重力SGのベクトルが、第1接点121aと第2接点122aとの間を指向すること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、従動スプロケットを支持するスプロケット保持部とを有するチェーンガイド機構のフレームであって、
前記本体部には、揺動チェーンガイドを取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部と、固定チェーンガイドとを有し、
前記スプロケット保持部は、前記固定チェーンガイド側に設けられた固定側スプロケット保持部と、前記揺動チェーンガイド保持部側に設けられた揺動側スプロケット保持部とを有し、
前記固定側スプロケット保持部は、少なくとも前記固定側スプロケット保持部に配置した前記従動スプロケットを下方側から第1接点で支持する固定側第1支持部と、前記第1接点よりも外側に配置された第2接点で支持する固定側第2支持部とを有し、
前記従動スプロケットを前記固定側第1支持部および前記固定側第2支持部とで同時に支持し正立状態とした際、前記従動スプロケットの重心にかかる重力のベクトルが、前記第1接点と前記第2接点との間を指向することを特徴とするチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項2】
前記従動スプロケットを前記固定側第1支持部および前記固定側第2支持部とで同時に支持した際、前記従動スプロケットの重心にかかる前記従動スプロケットの重力と前記チェーンから前記従動スプロケットにかかる張力との合力のベクトルが、前記第1接点と前記第2接点との間を指向することを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項3】
前記固定側第1支持部は、前記固定側第2支持部に近づくに従って、前記固定側第1支持部および前記固定側第2支持部で支持している状態の前記スプロケットの重心から離れるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項4】
前記固定側スプロケット保持部には、前記従動スプロケットに上方側から接触可能な固定側第3支持部をさらに有し、
前記固定側第3支持部は、前記従動スプロケットが前記固定側第2支持部から離脱して前記固定側スプロケット保持部の内側へ所定量移動した際、前記従動スプロケットに接触可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチェーンガイド機構のフレーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのタイミングシステム等に使用されるチェーンガイド機構のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンのタイミングシステム等に使用されるチェーンガイド機構として、特許文献1のようなタイミングチェーン機構が公知である。
【0003】
この特許文献1に記載のチェーンガイド機構(タイミングチェーン機構)のフレームは、本体部(チェーンダンパ13)と、本体部(チェーンダンパ13)の上部に従動スプロケット(カムスプロケット10a、10b)を保持するスプロケット保持部を有し、仮組立て状態で、スプロケット保持部に従動スプロケット(カムスプロケット10a、10b)を、駆動スプロケット保持部に駆動スプロケット(クランクスプロケット12)を配置した状態でチェーン(タイミングチェーン11)が回しかけられるものである。
また、本体部(チェーンダンパ13)のチェーン(タイミングチェーン11)の張り側には、チェーン(タイミングチェーン11)の張り側をガイドする固定チェーンガイド(ガイド部13a)が設けられ、チェーン(タイミングチェーン11)の弛み側には、揺動軸(揺動支点部)を固定され揺動可能となりチェーン(タイミングチェーン11)をガイドするとともに張力付勢機能を有する揺動チェーンガイド(チェーンスリッパ14)が設けられている。
また、本体部(チェーンダンパ13)は揺動チェーンガイド(チェーンスリッパ14)の揺動軸(揺動支点部)に揺動可能に枢支され、本体部(チェーンダンパ13)には、本体部(チェーンダンパ13)が揺動軸(揺動支点部)の回りに反時計方向に揺動することにより従動スプロケット(カムスプロケット10a、10b)を支承可能な支承部13dと、揺動チェーンガイド(チェーンスリッパ14)のチェーン(タイミングチェーン11)の弛み側への揺動を規制可能な規制部13bが設けられている。
【0004】
また、揺動チェーンガイド(チェーンスリッパ14)の揺動軸(揺動支点部)には、チェーンストッパガイド16が揺動可能に枢支されており、チェーンストッパガイド16には、揺動軸(揺動支点部)の回りに時計方向に揺動することにより駆動スプロケット(クランクスプロケット12)を支持可能な支持部16cが設けられているとともに、係止部16aが設けられている。
このチェーンストッパガイド16の係止部16aと本体部(チェーンダンパ13)の係止部13cとはスプリング17で接続されており、チェーンストッパガイド16は揺動軸(揺動支点部)回りに時計方向に付勢されているとともに、本体部(チェーンダンパ13)は揺動軸(揺動支点部)回りに反時計方向に付勢されている。
これによって、従動スプロケット(カムスプロケット10a、10b)はチェーン(タイミングチェーン11)に押圧される力を受け支承部13dと挟持され、駆動スプロケット(クランクスプロケット12)もチェーン(タイミングチェーン11)に押圧される力を受け支持部16cと挟持されるため、内燃機関への組付け前に駆動スプロケット(クランクスプロケット12)や従動スプロケット(カムスプロケット10a、10b)の位置がずれることなく仮組状態を維持できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-63128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のチェーンガイド機構のフレームは、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1に記載のチェーンガイド機構のフレームは、本体部と別部材であるチェーンストッパガイドが設けられ、本体部とチェーンストッパガイドとをスプリングで接続する構成のため、部品点数が増加し、コストアップしてしまう虞があった。
そこで、チェーンストッパガイドを設けずに本体部にスプロケット保持部と駆動スプロケット保持部を設け、揺動チェーンガイドは本体部に設けた揺動チェーンガイド保持部に接続されるチェーンガイド機構のフレームも公知である。
【0007】
しかしながら、揺動チェーンガイドでチェーンを付勢する前の状態では、仮組み途中のチェーンの自重による不十分な張力が従動スプロケットにかかり、従動スプロケットがスプロケット保持部から脱落してしまう虞があった。
また、エンジン等に取り付けるまでに移送する際にチェーンに十分な張力を発生させるように力を与える治具等を使用した場合でも、振動等によって治具が外れてチェーンにかかる張力が不十分となり、スプロケットがスプロケット保持部から脱落してしまう虞があった。
【0008】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、チェーンに十分な張力が発生していない状態や、不意にチェーンに加えている張力が解除された場合であっても、従動スプロケットが脱落せず、確実に従動スプロケットとスプロケット保持部との適正な位置関係を保つことができるチェーンガイド機構のフレームを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のチェーンガイド機構のフレームは、本体部と、従動スプロケットを支持するスプロケット保持部とを有するチェーンガイド機構のフレームであって、前記本体部には、揺動チェーンガイドを取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部と、固定チェーンガイドとを有し、前記スプロケット保持部は、前記固定チェーンガイド側に設けられた固定側スプロケット保持部と、前記揺動チェーンガイド保持部側に設けられた揺動側スプロケット保持部とを有し、前記固定側スプロケット保持部は、少なくとも前記固定側スプロケット保持部に配置した前記従動スプロケットを下方側から第1接点で支持する固定側第1支持部と、前記第1接点よりも外側に配置された第2接点で支持する固定側第2支持部とを有し、前記従動スプロケットを前記固定側第1支持部および前記固定側第2支持部とで同時に支持し正立状態とした際、前記従動スプロケットの重心にかかる重力のベクトルが、前記第1接点と前記第2接点との間を指向することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るチェーンガイド機構のフレームは、本体部に、従動スプロケットを挟持するスプロケット保持部を有し、スプロケット保持部は、固定側スプロケット保持部と、揺動側スプロケット保持部とを有し、固定側スプロケット保持部は、固定側スプロケット保持部に配置した従動スプロケットを下方側から第1接点で支持する固定側第1支持部と、第1接点よりも外側に配置された第2接点で支持する固定側第2支持部とを有し、従動スプロケットを固定側第1支持部および固定側第2支持部とで同時に支持し正立状態とした際、従動スプロケットの重心にかかる重力のベクトルが、第1接点と第2接点との間を指向するため、固定側第1支持部および固定側第2支持部とで同時に支持された従動スプロケットは、チェーンが巻きかけられていない状態であっても、正立状態でスプロケット保持部から脱落することがなく、正立状態で常に第1接点と第2接点とで支持された状態を維持することができる。
【0011】
請求項2に記載の構成によれば、従動スプロケットを固定側第1支持部および固定側第2支持部とで同時に支持した際、従動スプロケットの重心にかかる従動スプロケットの重力とチェーンから従動スプロケットにかかる張力との合力のベクトルが、第1接点と第2接点との間を指向するため、チェーンの自重に伴う張力が従動スプロケットを押圧する状態であっても、正立状態で確実に従動スプロケットがスプロケット保持部から脱落することがなく、正立状態で常に第1接点と第2接点とで支持された状態を維持することができる。
請求項3に記載の構成によれば、固定側第1支持部は、固定側第2支持部に近づくに従って、固定側第1支持部および固定側第2支持部で支持している状態の従動スプロケットの重心から離れるように形成されているため、例えば、固定側第2支持部の形状が構造上変更困難な場合であっても、固定側第1支持部の形状を変更するのみで、第1接点および第2接点と、従動スプロケットの重心との位置を簡単に調整することができる。
【0012】
請求項4に記載の構成によれば、固定側スプロケット保持部には、従動スプロケットに上方側から接触可能な固定側第3支持部をさらに有し、固定側第3支持部は、従動スプロケットが固定側第2支持部から離脱して固定側スプロケット保持部の内側へ所定量移動した際、従動スプロケットに接触可能に構成されているため、チェーンが強い張力を従動スプロケットに与えた場合であっても、固定側第3支持部によって移動量を制限でき、従動スプロケットが過度に所定の位置から移動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100の全体図。
図2】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100の、チェーンに十分な張力が与えられた状態を示す全体図。
図3】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100の、チェーンに十分な張力が与えられていない状態を示す全体図。
図4】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100の、チェーンに十分な張力が与えられていない状態のA部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100について、図面に基づいて説明する。
なお、図2および図3は、説明のため、揺動チェーンガイドを記載していない。
【0015】
チェーンガイド機構のフレーム100は、図1に示すように、本体部110と、本体部110の上面に設けられたトップガイド115と、本体部110の側面の一方に設けられた固定チェーンガイド111と、本体部110の固定チェーンガイド111と反対側の側面に揺動チェーンガイド112を取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部114とを有し、本体部110の上部の固定チェーンガイド111側には固定側スプロケット保持部120が設けられ、本体部110の上部の揺動チェーンガイド保持部114側には揺動側スプロケット保持部130が設けられ、本体部110の下部には駆動スプロケットDSを保持可能な駆動スプロケット保持部135が設けられている。
【0016】
本体部110の各所には、エンジンに固定する際の取付孔H1、H2、H3が設けられている。
揺動チェーンガイド112は、揺動軸113を介して揺動チェーンガイド保持部114に揺動可能に取り付けられており、回しかけられたチェーンCHを押圧可能に構成されている。
【0017】
固定側スプロケット保持部120は、固定側従動スプロケットS1を保持可能に構成されており、固定側従動スプロケットS1を任意の位置で支持および、またはチェーンCHと挟持可能な固定側第1支持部121、固定側第2支持部122、固定側第3支持部123が配置されている。
固定側第2支持部122は取付孔H1の上方に設けられ、固定側第1支持部121は固定側第2支持部122よりも内側に設けられ、固定側第3支持部123は固定側第1支持部121よりもさらに内側に設けられている。
【0018】
揺動側スプロケット保持部130は、揺動側従動スプロケットS2を保持可能に構成されており、揺動側従動スプロケットS2を任意の位置で支持および、またはチェーンCHと挟持可能な揺動側第1支持部131、揺動側第2支持部132が配置されている。
揺動側第1支持部131は、揺動側第2支持部132よりも外側に設けられている。
【0019】
チェーンCHは、駆動スプロケットDS、固定側従動スプロケットS1、揺動側従動スプロケットS2を囲み、トップガイド115、固定チェーンガイド111、揺動チェーンガイド112に沿うように回しかけられている。
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100による、固定側スプロケット保持部120による固定側従動スプロケットS1の保持方法について、図2乃至図4に基づいて説明する。
【0021】
まず、揺動チェーンガイド112から押圧力を受けると、チェーンCHは揺動チェーンガイド112に本体部110側に押し込まれた分緊張するため、駆動スプロケットDS、固定側従動スプロケットS1、揺動側従動スプロケットS2をそれぞれ駆動スプロケット保持部135、固定側スプロケット保持部120、従動側スプロケット保持部130の内側に押し付ける向きへ張力STで押圧する。
【0022】
このとき、固定側従動スプロケットS1は固定側スプロケット保持部120の内側方向へ若干量移動し、図2に示すようにチェーンCHと固定側第3支持部123とで挟持される位置、または、チェーンCHと固定側第1支持部121および固定側第3支持部123とで挟持される位置に収まる。
これによって、固定側従動スプロケットS1は、固定側スプロケット保持部120から脱落することなく安定して保持することができる。
なお、固定側第3支持部123の突出量によって、チェーンCHと挟持した際の固定側従動スプロケットS1の移動量を調整することができ、エンジンへチェーンガイド機構を取り付ける際の固定側従動スプロケットS1の位置ずれを抑制することができる。
【0023】
また、揺動側従動スプロケットS2も揺動側スプロケット保持部130の内側方向へ若干量移動し、図2に示すようにチェーンCHと揺動側第2支持部132とで挟持される位置、または、チェーンCHと揺動側第1支持部131および揺動側第2支持部132とで挟持される位置に収まり、駆動スプロケットDSも駆動スプロケット保持部135の内側方向へ押圧され、チェーンCHと駆動スプロケット保持部135とで挟持される。
【0024】
次に、揺動チェーンガイド112によるチェーンCHへの押圧が不十分な場合の固定側従動スプロケットS1の挙動について、図3および図4に基づいて説明する。
揺動チェーンガイド112によるチェーンCHへの押圧が不十分な場合、チェーンCHはトップガイド115および固定チェーンガイド111に沿って所定量弛む。
また、揺動チェーンガイド112がチェーンCHから完全に離脱していない場合は、チェーンCHは揺動チェーンガイド112にも沿った状態で弛む。
【0025】
このとき、図3に示すように、固定側従動スプロケットS1、揺動側従動スプロケットS2、駆動スプロケットDSにチェーンCHから与えられていた張力は減少し、固定側従動スプロケットS1には張力ST1よりも低い張力ST2がチェーンCHからかけられることになる。
【0026】
張力ST2がチェーンCHと固定側第3支持部123とによる固定側従動スプロケットS1の挟持に不十分な力の場合、固定側従動スプロケットS1は固定側第3支持部123から離脱して固定側スプロケット保持部120の外側に向かって移動し、図4に示すように、固定側第1支持部121の第1接点121aおよび固定側第2支持部122の第2接点122aと接触する。
固定側従動スプロケットS1の形状が変わらない限り、固定側第1支持部121および固定側第2支持部122と同時に固定側従動スプロケットS1が接触するときの第1接点121aおよび第2接点122aはそれぞれ一点に定まる。
【0027】
固定側従動スプロケットS1には、重力SGと、チェーンCHの張力ST2がかかっており、それぞれ固定側従動スプロケットS1の重心SCからの力のベクトルとして示すことができる。
このとき、重力SGとチェーンCHの張力ST2の合力MPを、図4に示すように、第1接点121aおよび第2接点122aの間を指向するように固定側従動スプロケットS1を固定側第1支持部121および固定側第2支持部122で支持していれば、固定側従動スプロケットS1は固定側スプロケット保持部120から外れることがなく、固定側第1支持部121および固定側第2支持部によって支持された状態、すなわち、チェーンガイド機構の仮組み状態を維持でき、固定側従動スプロケットの位置が大きくずれることなく容易にエンジンに取り付けることができる。
【0028】
なお、第1接点121aおよび第2接点122aの位置は、固定側第1支持部121および固定側第2支持部122の形状変更で適宜変更可能であるが、例えば、取付孔H1の近くに固定側第2支持部122が形成されている場合は、固定側第1支持部121のみを、固定側第2支持部122に近づくに従って、固定側第1支持部121および固定側第2支持部122で支持している状態の固定側従動スプロケットS1の重心から離れるように形成することで、第1接点121aおよび第2接点122aの位置の調整が可能である。
特に、チェーンガイド機構のフレーム100が予め所定の基本形状で形成されている場合、固定側第1支持部121を上記のような形状に切削加工することのみで、様々な製品仕様においても固定側従動スプロケットS1が従動スプロケット保持部120から脱落することを防止でき、エンジンへの取り付け作業を効率的に実施できる。
また、チェーンCHが巻きかけられていない状態でも、固定側従動スプロケットS1にかかる重力のベクトルが第1接点121aおよび第2接点122aの間を指向していれば、正立状態において固定側従動スプロケットS1が固定側スプロケット保持部120から脱落することはない。
【0029】
なお、揺動側従動スプロケットS2も、チェーンCHが弛むことによって揺動側スプロケット保持部130の外側方向へ若干移動するが、巻きかけられているチェーンCHが揺動チェーンガイド112に沿う形で揺動側従動スプロケットS2を下方側からも支持するとともに、揺動側第1支持部131でも支持しているため、正立状態において揺動側従動スプロケットS2が揺動側スプロケット保持部130から脱落することはない。
【0030】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0031】
なお、上述した実施形態では、固定側第1支持部のみ加工することで第1接点および第2接点の位置を調整するものとして説明したが、第1接点および第2接点の位置の調整方法はこれに限定されず、例えば、固定側第2支持部の形状変更のみで第1接点および第2接点の位置を調整してもよく、第1接点および第2接点と同時に固定側従動スプロケットを支持する第3接点を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、固定側スプロケット保持部には、固定側第3支持部が設けられ、チェーンと固定側第3支持部とで固定側従動スプロケットを挟持するものとして説明したが、固定側スプロケット保持部の構成はこれに限定されず、例えば、固定側第3支持部を設けなくてもよく、チェーンと固定側第1支持部とで固定側従動スプロケットを挟持してもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、固定側第2支持部の近くには取付孔が設けられているものとして説明したが、取付孔の数や位置はこれに限定されず、例えば、揺動側第1支持部の近くに取付孔を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、本体部の上面にはトップガイドが設けられ、本体部の側面には固定チェーンガイドが設けられているものとして説明したが、チェーンガイド機構のフレームの構成はこれに限定されず、例えば、トップガイドがなくてもよく、固定チェーンガイドがなくてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 ・・・ チェーンガイド機構のフレーム
110 ・・・ 本体部
111 ・・・ 固定チェーンガイド
112 ・・・ 揺動チェーンガイド
113 ・・・ 揺動軸
114 ・・・ 揺動チェーンガイド保持部
115 ・・・ トップガイド
120 ・・・ 固定側スプロケット保持部
121 ・・・ 固定側第1支持部
121a ・・・ 第1接点
122 ・・・ 固定側第2支持部
122a ・・・ 第2接点
123 ・・・ 固定側第3支持部
130 ・・・ 揺動側スプロケット保持部
131 ・・・ 揺動側第1支持部
132 ・・・ 揺動側第2支持部
135 ・・・ 駆動スプロケット保持部
S1 ・・・ 固定側従動スプロケット
S2 ・・・ 揺動側従動スプロケット
DS ・・・ 駆動スプロケット
CH ・・・ チェーン
H1、H2、H3 ・・・ 取付孔
SC ・・・ 固定側従動スプロケットの重心
SG ・・・ 固定側従動スプロケットにかかる重力
ST1、ST2 ・・・ 固定側従動スプロケットにかかるチェーンからの張力
MP ・・・ 固定側従動スプロケットにかかる重力とチェーンからの張力の合力

図1
図2
図3
図4