(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088547
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20230620BHJP
A47K 13/10 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203351
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】角田 英典
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AD13
2D038AA03
2D038KA02
2D038ZA00
(57)【要約】
【課題】誤検知を抑制できるトイレ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】トイレ室に設けられるトイレ装置であって、対象物の動きを検知可能な検知部と、便蓋開閉部と、を備え、前記便蓋開閉部によって開閉される便蓋は、使用者が前記トイレ室に入室しているときに動く使用動作と、前記使用者が前記トイレ室に入室していないときに動く非使用動作と、が可能であり、少なくとも前記便蓋の停止中の一部において、前記検知部が検出した検知信号に基づいて、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、前記便蓋が前記使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、前記便蓋が前記非使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が前記検知部の検知信号に基づいて検知されないことを特徴とするトイレ装置が提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられるトイレ装置であって、
対象物の動きを検知可能な検知部と、
便蓋開閉部と、
を備え、
前記便蓋開閉部によって開閉される便蓋は、使用者が前記トイレ室に入室しているときに動く使用動作と、前記使用者が前記トイレ室に入室していないときに動く非使用動作と、が可能であり、
少なくとも前記便蓋の停止中の一部において、前記検知部が検出した検知信号に基づいて、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、
前記便蓋が前記使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、前記便蓋が前記非使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が前記検知部の検知信号に基づいて検知されないことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記便蓋開閉部によって前記便蓋を開閉するための、前記使用者が操作する操作部をさらに備え、
前記使用動作は、前記使用者による前記操作部の操作によって前記便蓋が動くことを含む請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記便蓋が設置される便器のボウルにミストを噴霧する噴霧部をさらに備え、
前記非使用動作は、前記使用者が前記トイレ室から退室しているときに自動的に前記便蓋が動くことを含み、
前記噴霧部は、前記非使用動作によって前記使用者が前記トイレ室から退室しているときに自動的に前記便蓋が開いた状態において、前記ボウルにミストを噴霧することを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象の動きを検知可能な検知部を用いてトイレブース内の使用者の入退室を検知し、便蓋等を制御するトイレ装置(例えば温水洗浄便座システム)がある。検知部には、例えば、マイクロ波センサが用いられる。
【0003】
例えば、検知部は、使用者の入室を検知すると、トイレ装置の制御部に「入室」を通知する。すると、トイレ装置は、便蓋を開く。また、例えば、検知部は、使用者の退室を検知すると、トイレ装置の制御部に「退室」を通知する。すると、トイレ装置は便器内を洗浄し便蓋を閉める。これにより、使用者がトイレ装置を直接操作すること無く、快適にトイレを利用することが出来る。トイレ装置において、誤検知(誤判定)を抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、誤検知を抑制できるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、トイレ室に設けられるトイレ装置であって、対象物の動きを検知可能な検知部と、便蓋開閉部と、を備え、前記便蓋開閉部によって開閉される便蓋は、使用者が前記トイレ室に入室しているときに動く使用動作と、前記使用者が前記トイレ室に入室していないときに動く非使用動作と、が可能であり、少なくとも前記便蓋の停止中の一部において、前記検知部が検出した検知信号に基づいて、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、前記便蓋が前記使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が検知され、前記便蓋が前記非使用動作中である場合には、前記使用者の前記トイレ室への入室が前記検知部の検知信号に基づいて検知されないことを特徴とするトイレ装置である。
【0007】
このトイレ装置によれば、便蓋が非使用動作中には、使用者のトイレ室への入室が検知部の検知信号に基づいて検知されない。これにより、便蓋の動きが、使用者の入室と誤検知されることを抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記便蓋開閉部によって前記便蓋を開閉するための、前記使用者が操作する操作部をさらに備え、前記使用動作は、前記使用者による前記操作部の操作によって前記便蓋が動くことを含むトイレ装置である。
【0009】
操作部の操作は、トイレ室に入室した使用者によって行われる。そのため、このトイレ装置によれば、トイレ室内の使用者の操作によって便蓋が動いているときには、使用者のトイレ室への入室が検知されるため、使用者の入室検知をより確実に行うことができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記便蓋が設置される便器のボウルにミストを噴霧する噴霧部をさらに備え、前記非使用動作は、前記使用者が前記トイレ室から退室しているときに自動的に前記便蓋が動くことを含み、前記噴霧部は、前記非使用動作によって前記使用者が前記トイレ室から退室しているときに自動的に前記便蓋が開いた状態において、前記ボウルにミストを噴霧することを特徴とするトイレ装置である。
【0011】
このトイレ装置によれば、使用者が退室中に便蓋が開いた状態で噴霧部がボウル面にミストを噴霧することで、便器をきれいに保つことができる。また、使用者の退室中にミストを噴霧するために便蓋が開く非使用動作中においては、使用者のトイレ室への入室が検知されない。このとこにより、ミストを噴霧するための便蓋の開動作が使用者の入室と誤検知されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、誤検知を抑制できるトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るトイレ装置を例示する斜視図である。
【
図2】実施形態に係る便座装置の一部を例示する平面図である。
【
図3】実施形態に係るトイレ装置を例示するブロック図である。
【
図4】実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図5】実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図6】実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図7】実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図8】
図8(a)~
図8(e)は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置を例示する斜視図である。
トイレ装置100は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称する)150の上に設けられている。トイレ装置100は、例えば便座装置を含む。トイレ装置100は、便器150を含んでもよい。トイレ装置100は、例えば温水洗浄便座システムでもよい。
【0015】
トイレ装置100は、トイレ室TRに設置される。なお、トイレ室という範囲はトイレブースを含む。トイレ装置100がトイレブースに設けられる場合、トイレ室TRは、トイレブースでよい。
【0016】
トイレ装置100は、便座10と、便蓋15と、本体部20と、を有する。本体部20は、便座10及び便蓋15の後方に設けられている。便座10及び便蓋15のそれぞれは、本体部20に対して回動可能に軸支されている。
図1は、便座10が閉じた状態(下げられた状態)、かつ、便蓋15が開いた状態(上げられた状態)を示す。
【0017】
本願明細書の説明において、「上方」「下方」「前方」「後方」「右側方」及び「左側方」などの方向を用いる。これらの方向は、開いた状態の便蓋15に背を向けて閉じた状態の便座10に座った使用者から見た方向である。
【0018】
本体部20は、ケーシング21(筐体)を有し、ケーシング21の内部に、使用者の局部(例えば「おしり」等)を洗浄する局部洗浄機能や、便座10及び便蓋15を電動で開閉する電動開閉機能などを有する。
【0019】
図2は、実施形態に係る便座装置の一部を例示する平面図である。
図2は、本体部20のケーシング21の内部の様子を模式的に示す。また、破線により便座10を示す。
図2に示すように、本体部20の内部には、温水ヒータ30、回路部32、除菌装置33、ノズル34、ノズルモータ35、噴霧部36、流路切替ユニット38、便座開閉部50、便蓋開閉部60、及び、検知部70などが設けられている。
【0020】
回路部32は、例えばマイコン等を含む制御部321(電気回路)を有する。制御部321は、検知部70、及び操作部500(
図3参照)等からの信号に基づいて、電磁弁23、温水ヒータ30、ノズルモータ35、流路切替ユニット38、便座開閉部50、便蓋開閉部60等の動作を制御する。
【0021】
本体部20には、水道や貯水タンクなどと接続された給水管13から、給水部22を介して水が供給される。給水部22の下流側には、電磁弁23が設けられている。電磁弁23は、制御部321からの信号に基づいて、その下流への給水と止水とを切り替える。
【0022】
電磁弁23の下流には、温水ヒータ30が設けられている。温水ヒータ30は、供給された水を加熱して、温水に変換する。温水ヒータ30は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器が用いられてもよい。
【0023】
温水ヒータ30の下流には、流路切替ユニット38が設けられている。流路切替ユニット38は、ノズル34や噴霧部36、ノズル洗浄室39へ流れる水の流路の切り替えや開閉を行う。また、この例では、流路切替ユニット38は、その下流における流量を調整する流量調整ユニットとしても機能する。ただし、流路切替ユニットと流量切替ユニットとは別々に設けられてもよい。
【0024】
流路切替ユニット38の下流には、ノズル34、ノズル洗浄室39、及び噴霧部36が設けられている。ノズル34は、ノズルモータ35からの駆動力を受け、便器150のボウル151内に進出したり、ケーシング21の内部に後退することができる。つまり、ノズルモータ35は、回路部32からの信号に基づいてノズル34を進退させることができる。
【0025】
ノズル34の先端部には、複数の吐水口が設けられている。複数の吐水口は、おしり洗浄に用いられるおしり洗浄吐水口や、ビデ洗浄に用いられるビデ洗浄吐水口などである。流路切替ユニット38の下流には、これら複数の吐水口に水を導く複数の流路37(おしり洗浄流路やビデ洗浄流路)が設けられている。
【0026】
ノズル34は、ケーシング21から進出した状態で、流路切替ユニット38から供給された水をいずれかの吐水口から吐水し、便座10に座った使用者の局部(例えば「おしり」など)を洗浄することができる。流路切替ユニット38が、流路を切り替えることで、吐水を行う吐水口が切り替えられる。例えば、流路切替ユニット38が、流路をおしり洗浄流路に切り替えることで、おしり洗浄吐水口から水が吐水され、流路をビデ洗浄流路に切り替えることで、ビデ洗浄吐水口から水が吐水される。
【0027】
また、流路切替ユニット38の下流には、ノズル洗浄室39へ水を導く流路(表面洗浄流路)が設けられる。流路切替ユニット38が、流路を表面洗浄流路に切り替えることで、ノズル洗浄室39に水が供給される。ノズル洗浄室39は、その内部に設けられた吐水部から水を噴射し、ノズル34の外周表面(胴体)を洗浄する。
【0028】
また、流路切替ユニット38の下流には、噴霧部36へ水を導く流路(噴霧流路)が設けられる。流路切替ユニット38が、流路を噴霧流路に切り替えることで、噴霧部36に水が供給される。噴霧部36は、供給された水をミスト状にして便器150のボウル151内等に向けて吐水する。なお、実施形態においてミストの粒径は、特に限定されず、ミストは、霧状または滴状でもよい。
例えば、流路切替ユニット38の上流には、除菌水を生成する除菌装置33を設けてもよい。流路切替ユニット38の下流に供給される水は、除菌装置で生成された除菌水でもよい。つまり、噴霧部36が噴霧する水は、除菌水でもよい。除菌装置は、例えば次亜塩素酸などを含む除菌水を生成する。除菌装置としては、例えば電解槽ユニットが挙げられる。電解槽ユニットは、制御部321からの通電の制御によって、陽極板と陰極板との間の空間(流路)を流れる水道水を電気分解する。なお、除菌水は、次亜塩素酸を含むものには限定されない。除菌水は、例えば銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水またはアルカリ水などでもよい。除菌装置は電解槽に限らず、除菌水を生成可能な任意の構成でよい。
【0029】
便座開閉部50(駆動部)は、便座10を軸支する回転軸51を有する。また、便座開閉部50の内部には、回転軸51と係合する機構(モータやギア等)が設けられている。便座開閉部50の内部のモータが、制御部321からの信号に基づいて動作することにより、便座10を開閉することができる。
同様に、便蓋開閉部60(駆動部)は、便蓋15を軸支する回転軸61を有する。また、便蓋開閉部60の内部には、回転軸61と係合する機構(モータやギア等)が設けられている。便蓋開閉部60の内部のモータが、制御部321からの信号に基づいて動作することにより、便蓋15を開閉することができる。
【0030】
便座開閉部50には、便座10の動きや位置などを検知可能なセンサが設けられてもよい。このセンサとしては、例えば、回転軸51(又は回転軸51を駆動するモータ等)の回転角度を検知可能な回転検知部を用いることができる。同様に、便蓋開閉部60には、便蓋15の動きや位置などを検知可能なセンサが設けられてもよい。このセンサとしては、例えば、回転軸61(又は回転軸61を駆動するモータ等)の回転角度を検知可能な回転検知部を用いることができる。より具体的には、例えば回転検知部として、ホールICなどの磁気方式のロータリエンコーダ、または、フォトインタラプタなどの光電方式のロータリエンコーダなどが挙げられる。例えば、制御部321には、回転検知部により検知された便座10及び便蓋15の動きや位置などの開閉状態の情報が入力される。
【0031】
また、トイレ装置100は、便器洗浄ユニット14を有する(
図3参照)。
便器洗浄ユニット14は、例えば、便器150のボウル内に洗浄水を供給可能なバルブ(駆動部)を有する。便器洗浄ユニット14は、ボウル内に洗浄水を供給する便器洗浄を実行する。便器洗浄によって、ボウル内の汚物が便器外へ排出され、ボウル表面が洗浄される。
【0032】
図3は、実施形態に係るトイレ装置を例示するブロック図である。
検知部70は、例えば人体などの検知の対象物の動きを検知可能なセンサである。検知部70は、所定の検知領域に向かって電波を放射し、検知領域内に入った人体などの対象物(位置など)を検知する。検知部70は、例えばドップラー効果を利用し、被検知体の動き(移動した距離や速度など)を検知することができる。検知部70は、例えば、マイクロ波の周波数帯域を利用したマイクロ波センサである。あるいは、検知部70は、ミリ波帯域の電波を利用したミリ波センサであってもよい。電波は、木材や樹脂、陶器等の比誘電率が比較的低い物質を透過する。このため、検知部70は、樹脂製のケーシング21の内部に配置されていても、ケーシング21を透過した電波によって人体の移動状態を検知することができる。ただし、実施形態において検知部70は、必ずしも電波センサに限定されない。検知部70は、トイレ室TR内の対象物の動きを検知可能な任意のセンサでよい。
【0033】
検知部70から放射された電波は、検知部70を中心として同心円状に広がる。または、検知部70は、放射する電波に指向性を持たせることもできる。例えば、前方に向けて放射される電波の強度は、他の方向に向けて放射される電波の強度よりも高くてもよい。
【0034】
図3に示すように、検知部70から放射された電波(送信波TW)が、人体などの被検知体により反射されると、反射波RWが形成される。検知部70は、放射した電波の被検知体からの反射波RWを受信して、被検知体に関する検知信号S1(センシング信号)を検出する。検知信号S1は、例えば、送信波TWと反射波RWとにより形成される定在波信号およびドップラー信号を含む。例えば、検知信号の強度(電圧値)が所定の閾値を超えた場合に、検知対象物の動きがあったと判定することができる。これにより、使用者の入退室の動作を検知することができる。
【0035】
図3に示す例では、検知部70は、送信部71と、受信部72と、判断部73と、通信部74と、を有する。送信部71は、トイレ装置100の前方に向けて電波を放射するために、例えば10.5GHzまたは24.1GHzの電気信号である送信信号を生成する発振回路と、発振回路から出力される送信信号を10.5GHzまたは24.1GHzなどの電波として放射するアンテナと、を有する。
【0036】
受信部72は、送信部71から放射された送信波TWが使用者などの被検知体によって反射された反射波RWを受信し、これを電気信号に変換した受信信号を出力する。例えば、受信信号と送信信号とに基づいて検知信号S1が検出される。検出された検知信号S1は、判断部73に入力される。
【0037】
例えば、検知信号S1に基づいて、対象物の接近や離反などの移動や、その移動距離などを検知することができる。例えば、判断部73は、検知信号S1に基づいて、使用者の入室動作または退室動作があったか否かを判断する。例えば、判断部73は、検知信号S1に基づいて、使用者がトイレ室に入室しているか否か(人体の有無)を判断する。判断部73には、例えばマイコンなどを含む電気回路が用いられる。
【0038】
このように、検知部は、対象物の動きの情報を含む検知信号S1を検出する。例えば、少なくとも便蓋15の停止中の一部においては、検知部70が検出した検知信号S1に基づいて、使用者のトイレ室TRへの入室が検知される。例えば、便蓋15の停止中、かつ、誤検知を招く恐れのあるトイレ装置の機能動作(後述)の停止中には、検知信号S1に基づいて使用者のトイレ室TRへの入退室が検知される。
【0039】
検知部70には、適宜、A/D変換手段や、人体検知に必要な帯域以外の周波数成分を除去する周波数フィルタが設けられてもよい。判断部73における判断に用いられる信号は、必要に応じて、デジタル信号に変換されたり、一部の周波数成分が除去されたものでもよい。
【0040】
通信部74は、判断部73と通信して、判断部73の判断結果を受信する。通信部74は、回路部32と通信可能に設けられた通信部322と通信可能である。通信部74は、判断部73から受信した判断結果を、通信部322に送信する。このようにして、回路部32の制御部321に、判断部73における判断結果、すなわち、検知部70の検知結果が通知される。検知部70は、検知中(例えば誤検知を招く恐れのあるトイレ装置の機能動作の停止中)には、所定時間毎に(例えば3ms程度の周期で)使用者の入退室の有無を検知し、その検知結果を制御部321に通知する。
【0041】
なお、判断部73と通信部74との間の通信方式、通信部74と通信部322との間の通信方式、及び通信部322と制御部321との間の通信方式は、それぞれ任意である。通信は、各要素を無線で接続するものでもよいし有線で接続するものでもよい。通信部74及び通信部322には、任意の通信モジュールを用いることができる。また、通信部74及び通信部322は、必要に応じて設けられ、適宜省略されてもよい。
【0042】
トイレ装置100は、便蓋開閉部60によって便蓋15を開閉するための、使用者が操作する操作部500を有する。例えば、操作部500は、トイレ装置100の各機能を操作するためのリモコンである。使用者は、操作部500に設けられたボタンを操作することで、各機能の実行や停止を指示する制御信号を制御部321に送ることができる。より具体的には、操作部500は、便蓋15を開く開ボタン、便蓋15を閉じる閉ボタン、及び、便器洗浄を実行する便器洗浄ボタンなどを有する。
【0043】
制御部321は、通信部74及び通信部322を介して通知された判断部73の判断結果や、操作部500からの制御信号に基づいて、トイレ装置100の各機能を動作させる。例えば、制御部321は、使用者がトイレ室に入室して、人体有りと判定されると、便蓋開閉部60(駆動部)を制御して便蓋15を開く。すなわち、制御部321は、便蓋開閉部60に、便蓋15の開を指示する駆動信号を送信する。また、例えば、制御部321は、人体有りの状態から使用者がトイレ室から退室して、人体無しと判定されると、便蓋開閉部60を制御して便蓋15を閉じ、便器洗浄ユニット14を制御して便器洗浄を実行する。すなわち、制御部321は、便蓋開閉部60に、便蓋15の閉を指示する駆動信号を送信し、便器洗浄ユニット14(駆動部)に、便洗浄の実行を指示する駆動信号を送信する。また、例えば、使用者が操作部500の開ボタンまたは閉ボタンを操作すると、便蓋15の開または閉を指示する制御信号が制御部321に送信される。制御部321は、その制御信号に応じて便蓋開閉部60に駆動信号を送信して、便蓋15を開く、または閉じる。また、例えば、使用者が操作部500の便器洗浄ボタンを操作すると、便器洗浄の実行を指示する制御信号が制御部321に送信される。制御部321は、その制御信号に応じて便器洗浄ユニット14に駆動信号を送信して、便器洗浄を実行する。
【0044】
トイレ装置100の機能部の動作には、使用者がトイレ室TRに入室しているときに動く「使用動作」と、使用者がトイレ室TRに入室していないときに動く「非使用動作」と、がある。なお、上記の機能部は、例えば、便座10、便蓋15、便座開閉部50、便蓋開閉部60、便器洗浄ユニット14、ノズル34、ノズルモータ35、噴霧部36及び流路切替ユニット38の少なくともいずれかである。以下の説明では、使用動作及び非使用動作が、便蓋15の動きである場合を例に挙げて説明する。すなわち、便蓋15は、使用動作と非使用動作とを実行可能である。
【0045】
使用動作は、使用者が入室しているときに自動又は手動で行われる。使用動作は、使用者のトイレ利用があるときの動作である。使用動作は、例えば、使用者の動作に応じた便蓋15の動作を含む。具体的には、使用動作は、使用者による操作部500の操作によって便蓋15が動くこと(開動作及び閉動作の少なくともいずれか)である。使用動作は、検知部70によって検知された使用者の入室によって便蓋15が自動で動くことでもよい。また、使用動作は、使用者が便蓋15を直接手で掴んで開く場合など、使用者が手動で便蓋15に力を加えたことによって便蓋15が動くことでもよい。
【0046】
一方、非使用動作は、使用者が入室していないときに自動で行われる。言い換えれば、非使用動作は、使用者のトイレ利用がないときの動作である。非使用動作は、例えば、使用者の動作以外に基づく便蓋15の動作を含む。具体的には、非使用動作は、使用者がトイレ室TRから退室しているときに自動的に便蓋15が動くことである。例えば、検知部70によって使用者の入室が所定時間以上検知されないときに、制御部321は、便蓋開閉部60に便蓋15を開く駆動信号を送信する。これにより、便蓋開閉部60によって便蓋15が開く。つまり、非使用動作は、例えば、使用者が入室したと所定時間以上判断されないとき(すなわち使用者の退室が所定時間以上継続していると判断されるとき)に、制御部321に制御されて便蓋15が開く動作である。非使用動作は、例えば、リモコンの操作や入室といった使用者の動作によらない便蓋15の動作である。非使用動作は、検知部70の検知信号S1に基づいて使用者の退室が検知された場合に、自動で便蓋を閉じる動作を含んでもよい。
【0047】
噴霧部36は、例えば、使用者がトイレ室TRから退室しているときに、便蓋15が非使用動作によって自動的に開いた状態において、ボウル151にミストを噴霧する。すなわち、例えば、制御部321は、使用者の入室が所定時間以上検知されないときに、便蓋開閉部60を制御して便蓋15を開き、流路切替ユニット38を制御して噴霧部36にミストを噴霧させる。このように、使用者が所定時間以上トイレ室に入室しないと判断されるときにボウル151にミストを噴霧することで、便器の汚れを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、例えば便蓋15の開動作中に、少なくとも便蓋15の動作実施種別の情報に基づいて、使用者のトイレ室TRへの入室の検知(判断)が実行される。なお、動作実施種別の情報は、便蓋15の動作が使用動作であるか非使用動作であるかを示す情報である。動作実施種別の情報は、例えば、制御部321から判断部73に通知される。判断部73は、その動作実施種別の情報に基づいて検知(判断)の実行・非実行を判断する。
【0049】
より具体的には、例えば便蓋15の少なくとも開動作中において、便蓋15が使用動作中である場合には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知(判断)される。すなわち、例えば便蓋15の使用動作が行われる場合には、制御部321は、便蓋15が使用動作中であることを示す情報を判断部73に通知する。その情報に応じて、判断部73は、便蓋15の使用動作中には、使用者の入室動作があったと判断する。便蓋15の使用動作中には、例えば、判断部73は、使用者が入室している人体有りと判断する。そして、その判断結果が制御部321に通知される。なお、使用動作中における使用者の入室の判断は、検知部70の検知信号S1に基づいてもよいし、操作部500が操作されたことや、便蓋15等が手動で動かされたことに基づいてもよい。
【0050】
一方、例えば便蓋15の少なくとも開動作中において、便蓋15が非使用動作中である場合には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知信号S1に基づいて検知されない。すなわち、例えば便蓋15の非使用動作が行われる場合には、制御部321は、便蓋15が非使用動作中であることを示す情報を判断部73に通知する。その情報に応じて、判断部73は、便蓋15の非使用動作中には、当該非使用動作中の検知信号S1に基づいて、使用者のトイレ室TRへの入室動作があったか否かを判断しない。例えば、便蓋15の非使用動作中には、判断部73は、当該非使用動作中の検知信号S1に基づいて、使用者がトイレ室TRに入室しているか否か(人体の有無)の判断を行わない。当該非使用動作中の検知信号S1に基づく判断結果が制御部321に通知されない。非使用動作中には、検知部70は電波の送信及び受信の少なくとも一方を実行しなくてもよい。
【0051】
ところで、対象物の動作を検知する検知部は、物体の動きを捉えるため、例えば便蓋の開閉などの動きも捉えてしまう。そのため、便蓋の動きが、使用者の動きと誤検知(誤判断)される恐れがある。例えば、検知部が、使用者の退室中に便蓋が開く動作を、使用者の入室と誤って判断してしまう恐れがある。
【0052】
これに対して、実施形態に係るトイレ装置100では、上述したように、便蓋15が使用動作中である場合には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知され、便蓋15が非使用動作である場合には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知されない。
【0053】
このように、実施形態によれば、便蓋15の非使用動作中には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知部70の検知信号S1に基づいて検知されない。これにより、便蓋15の動きが、使用者の入室と誤検知(誤判断)されることを抑制できる。従って、使用者の誤検知によって、トイレ装置が誤動作することを抑制できる。一方、便蓋15の使用動作中においては、使用者のトイレ室への入室が判断される。これにより、例えば便蓋の駆動中に常に入室を判断しないような場合に比べて、使用者の入室をより十分に把握できる。
【0054】
また、上述したように、使用動作は、使用者による操作部500の操作によって便蓋15が動くことを含む。操作部500の操作は、トイレ室TRに入室した使用者によって行われる。そのため、実施形態によれば、トイレ室TR内の使用者の操作によって便蓋15が動いているときには、使用者のトイレ室TRへの入室が検知されるため、使用者の入室検知をより確実に行うことができる。よって、トイレ装置が誤動作することをより抑制できる。
【0055】
また、上述したように、非使用動作は、使用者がトイレ室TRから退室しているときに自動的に便蓋15が動くことを含む。噴霧部36は、使用者がトイレ室TRから退室しているときに、非使用動作によって自動的に便蓋15が開いた状態において、ボウル151にミストを噴霧する。このように、使用者が退室中に便蓋15が開いた状態で噴霧部36がボウル151にミストを噴霧することで、便器をきれいに保つことができる。例えば、便蓋15が開いた状態でミストを噴霧することで、便蓋15が閉じた状態でミストを噴霧する場合に比べて、便座10の表面または便器150のリムにもミストが付着しやすくなり、便座10または便器150のリム等の広い範囲もきれいにすることができる。
【0056】
また、実施形態によれば、使用者の退室中にミストを噴霧するために便蓋15が開く非使用動作中においては、使用者のトイレ室TRへの入室が検知されない。このとこにより、ミストを噴霧するための便蓋15の開動作が使用者の入室と誤検知されることを抑制できる。
【0057】
例えば、制御部321は、使用者の入室中には、噴霧部36にミストを噴霧させない制御を行う。これにより、使用者に噴霧部36からのミストが掛かってしまうことを抑制できる。一方、使用者の退室中に非使用動作によって便蓋15が開いた場合に、その便蓋15の動きが使用者の入室と誤判定されると、ミストの噴霧が中止(禁止)されるという誤動作に繋がる恐れがある。これに対して、実施形態によれば、上述したようにミストを噴霧するための便蓋15の開動作が使用者の入室と誤検知されることを抑制できるため、誤ってミストを噴霧できないという誤動作を抑制することができる。
【0058】
例えばトイレ装置の機能動作によって、トイレ装置の部材(便座、便蓋、ケーシング、ノズル等)や、トイレ装置内の水が動くことがある。その動きによって、反射波の状態が変化するため、検知部の検知信号が変化する。これにより、検知精度が低下し、人体の誤検知が生じる恐れがある。例えば、トイレ装置の機能動作と、人体の動きと、を判別できず、使用者がいないにも拘わらず人体有りと判定する誤検知が生じる場合がある。人体の誤検知は、トイレ装置の機能の誤動作を招くことがある。
【0059】
このような誤検知を招く恐れのあるトイレ装置の機能動作としては、例えば、ノズル34、ノズルモータ35、噴霧部36、流路切替ユニット38、便座10、便蓋15、便座開閉部50、便蓋開閉部60、及び便器洗浄ユニット14の少なくともいずれかの動作が挙げられる。具体的には、便器洗浄ユニット14による便器洗浄、便蓋開閉部60による便蓋15の開閉動作、及び便座開閉部50による便座10の開閉動作などは、検知部70の検知信号S1に影響を与える可能性がある。
【0060】
そこで、誤検知を招く恐れのあるトイレ装置の機能動作中には、検知部の検知信号による検知(判断)を行わないという方法が考えられる。例えば、制御部は、検知部の判断部に対して、トイレ装置の機能動作が実行中であるか否かといった動作状態を通知する。その動作状態を受信した判断部は、誤検知を招く恐れのある機能動作の実行中においては、検知信号に基づいた判断を行わない、または判断結果を制御部に通知しない。これにより、人体の誤検知やトイレ装置の誤動作を抑制することができる。例えば、制御部は、判断部に対して便器洗浄中であることを通知し、判断部は、その通知を受信すると、便器洗浄中には入退室の判断を行わない。
【0061】
ただし、例えば便蓋の駆動中において常に判断部が使用者の入室を判断しない場合には、使用者の入退室の把握が不十分となる恐れもある。そこで、例えば、便蓋が開した場合(開く動作中)は、人がトイレを利用している(入室した)ため便蓋が開したものと仮定して、入室と強制的に判断する、また、便蓋が閉した場合(閉じる動作中)は、人がトイレを利用し終わった(退室した)ため便蓋が閉したものと仮定して、退室と強制的に判断する、という方法も考えられる。すなわち、制御部は、判断部に対して便蓋が駆動中であることを通知し、判断部は、その通知を受信すると、便蓋の駆動中においては検知部の検知信号に基づかずに、便蓋の開閉動作に基づいて入退室の判断を行う。しかしながら、このような便蓋の開閉動作に基づく入退室の判断は、前提が崩れると成立しなくなる。例えば、使用者の退室中においてトイレ装置が自動で便蓋を開くことがあると、使用者が入室したという誤判断が生じてしまう。結果として、検知部は、制御部に誤って入退室を通知することとなり、トイレ装置の誤作動が生じる恐れがある。
【0062】
これに対して、実施形態によれば、既に述べたように、便蓋15が非使用動作によって開く場合には、使用者のトイレ室TRへの入室が検知されない。そのため、便蓋15の動きが、使用者の入室と誤検知(誤判断)されることを抑制できる。
【0063】
なお、
図3に表したブロック図は一例であり、適宜変更することができる。例えば、制御部321及び判断部73などの機能ブロックの少なくとも一部は、適宜、分割して別に設けられてもよいし、統合して一体として設けられてもよい。例えば、判断部73の機能の少なくとも一部を制御部321に統合してもよい。例えば、判断部73における入退室の判断は、制御部321で行われてもよい。ただし、制御部321と判断部73とを別々に設けることで、例えば、各回路の負荷を抑えたり、検知部70をモジュール化したりしやすい。また、例えば、判断部73の少なくとも一部を、検知部70とは別体として設けてもよい。制御部321及び判断部73の少なくとも一部は、トイレ装置100(本体部20)とは別に設けられ、トイレ装置100(本体部20)とネットワーク接続されたものでもよい。
【0064】
図4は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
図4は、制御部321における便蓋の駆動判定を表す。
操作部500(リモコン)から、便蓋15の駆動を指示する制御信号、すなわち便蓋開閉部60の駆動を指示する制御信号が入力された場合(ステップS101:Yes)、制御部321は、便蓋15を駆動する指示ありと判定し、その指示による便蓋15の動作の動作実施種別が「使用者利用有り」(すなわち使用動作)であると判定する(ステップS102)。
【0065】
操作部500から、便蓋15の駆動を指示する制御信号が入力されない場合(ステップS101:No)、制御部321は、ステップS103に進む。
【0066】
操作部500から、便蓋15の駆動の停止を指示する制御信号、すなわち便蓋開閉部60の駆動の停止を指示する制御信号が入力された場合(ステップS103:Yes)、制御部321は、便蓋15を停止する指示ありと判定し、その指示によって便蓋15を停止させる動作の動作実施種別を「使用者利用有り」であると判定する(ステップS104)。
【0067】
操作部500から、便蓋15の駆動の停止を指示する制御信号が入力されない場合(ステップS103:No)、制御部321は、ステップS105に進む。
【0068】
例えばトイレ装置100は、動作Aを実施可能である。この動作Aは、使用者利用無しのトイレ装置100の動作であり、便蓋15の動きを伴う動作である。一例としては、動作Aは、使用者が退室中に便蓋15を開いて噴霧部36からミストを噴霧する動作である。ただし動作Aは、ミストの噴霧に限らない。
【0069】
動作Aによる便蓋15の駆動の指示があった場合、すなわち動作Aの実行に伴い便蓋開閉部60を駆動すると判断された場合(ステップS105:Yes)、制御部321は、便蓋15を駆動する指示ありと判定し、その指示による便蓋15の動作の動作実施種別が「使用者利用無し」(すなわち非使用動作)であると判定する(ステップS106)。
【0070】
動作Aによる便蓋15の駆動の指示がない場合(ステップS105:No)、制御部321は、ステップS107に進む。
【0071】
動作Aによる便蓋15の駆動の停止の指示があった場合、すなわち動作Aの実行に伴い便蓋開閉部60の駆動を停止すると判断された場合(ステップS107:Yes)、制御部321は、便蓋15を停止する指示ありと判定し、その指示によって便蓋15を停止させる動作の動作実施種別を「使用者利用無し」であると判定する(ステップS108)。
【0072】
動作Aによる便蓋15の駆動停止の指示がない場合(ステップS107:No)、制御部321は、駆動信号を判定する工程を終了する。
【0073】
なお、便蓋15の駆動という範囲は、例えば便蓋15を開くこと及び閉じることの少なくとも一方を含む。この例では、便蓋15の駆動は、便蓋15を開くことである。便蓋15の駆動は、便蓋15を閉じることでもよい。
【0074】
図5は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
図5は、制御部321におけるデータ送信の判定を表す。
制御部321は、便蓋15を駆動する指示ありと判定した場合(ステップS201:Yes)、その指示の動作実施種別によって、送信するデータを判定する。すなわち、その指示の動作実施種別が「使用者利用有り」であると判定した場合(ステップS202:YES)、制御部321は、便蓋開閉部60に便蓋15の駆動を指示する駆動信号を送信し、判断部73に動作実施種別、すなわち便蓋15が使用動作を行うこと(または使用動作中であること)を通知する(ステップS203)。例えば、その通知を受信した判断部73は、当該使用動作中において、使用者の入室の有無を検知(判断)し、その検知結果を制御部321に通知する。
【0075】
動作実施種別が「使用者利用有り」ではなく(ステップS202:No)、「使用者利用無し」であると判定した場合(ステップS204:Yes)、制御部321は、便蓋開閉部60に便蓋15の駆動を指示する駆動信号を送信し、判断部73に動作実施種別、すなわち便蓋15が非使用動作を行うこと(または非使用動作中であること)を通知する(ステップS205)。例えば、その通知を受信した判断部73は、当該非使用動作中において、使用者の入室の有無を検知信号S1に基づいて検知(判断)しない。例えば、判断部73は、当該非使用動作中において、検知信号S1に基づく検知結果を制御部321に通知しない。
【0076】
動作実施種別が「使用者利用有り」でも「使用者利用無し」でもない場合には(ステップS204:No)、制御部321は、送信するデータを判定する工程を終了する。
【0077】
制御部321は、便蓋15を駆動する指示ありと判定せずに(ステップS201:No)、便蓋15を停止する指示ありと判定した場合(ステップS206:Yes)、その指示の動作実施種別によって、送信するデータを判定する。すなわち、その指示によって便蓋15を停止させる動作の動作実施種別が「使用者利用有り」であると判定した場合(ステップS207:YES)、制御部321は、便蓋開閉部60に便蓋15の駆動の停止を指示する信号を送信し、判断部73に動作実施種別、すなわち便蓋15が使用動作を行うこと(または使用動作中であること)を通知する(ステップS208)。例えば、その通知を受信した判断部73は、当該使用動作中において、使用者の入室の有無を検知(判断)し、その検知結果を制御部321に通知する。
【0078】
動作実施種別が「使用者利用有り」ではなく(ステップS207:No)、「使用者利用無し」であると判定した場合(ステップS209:Yes)、制御部321は、便蓋開閉部60に便蓋15の駆動の停止を指示する信号を送信し、判断部73に動作実施種別、すなわち便蓋15が非使用動作を行うこと(または非使用動作中であること)を通知する(ステップS210)。例えば、その通知を受信した判断部73は、当該非使用動作中において、使用者の入室の有無を検知信号S1に基づいて検知(判断)しない。例えば、判断部73は、当該使用動作中において、検知信号S1に基づく検知結果を制御部321に通知しない。
【0079】
動作実施種別が「使用者利用有り」でも「使用者利用無し」でもない場合には(ステップS209:No)、制御部321は、送信するデータを判定する工程を終了する。
便蓋15を駆動する指示も、便蓋15を停止する指示もない場合(ステップS206:No)、制御部321は、送信するデータを判定する工程を終了する。
【0080】
図6は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
図6は、検知部70における検知状態の判定を表す。
制御部321において、便蓋15を駆動する指示ありと判定された場合(ステップS301:Yes)、判断部73は、制御部321からの動作実施種別の通知に基づいて、検知状態を判定する。すなわち、動作実施種別が「使用者利用有り」(使用動作)である場合(ステップS302:Yes)、判断部73は、当該使用動作中において、使用者の入室の有無を検知(判断)する。この例では、判断部73は、検知状態を検知と判定する(ステップS303)。すなわち、判断部73は、使用者の入室が有った(または人体有り)と判定する。動作実施種別が「使用者利用有り」でない場合(ステップS302:No)には、判断部73は、使用者の入室の有無を検知信号S1に基づいて検知(判断)しなくてよい。
【0081】
制御部321において、便蓋15を駆動する指示ありと判定されず(ステップS301:No)、便蓋15を停止する指示ありと判定された場合(ステップS304:YES)、この例では、判断部73は、検知状態を非検知と判定している(ステップS305)。すなわち、判断部73は、使用者の入室が無い(または人体無し)と判定している。ただし、便蓋15を停止する指示ありの場合においても、ステップS302、S303と同様に、制御部321からの動作実施種別の通知に基づいて、検知状態を判定してもよい。
【0082】
制御部321において、便蓋15を駆動する指示も、便蓋15を停止する指示もありと判定されない場合(ステップS304:No)、検知部70は、
図6の工程を終了する。例えば、便蓋15の停止中、かつ、誤検知を招く恐れのあるトイレ装置100のその他の機能動作(例えば便器洗浄)の停止中においては、検知信号S1に基づいて、使用者のトイレ室への入退室が検知(判断)される。すなわち、検知状態が検知(入室有り)であるか非検知(入室無し)であるかが判定される。例えば、便蓋15の停止中、かつ、誤検知を招く恐れのあるトイレ装置100のその他の機能動作の作動中(例えば便器洗浄中)においては、検知信号S1に基づいて、使用者のトイレ室への入退室が検知されなくてよい。
【0083】
図7は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
図7は、検知部70におけるデータ送信の判定を表す。
検知部70の検知状態が検知の場合、(ステップS401:Yes)、判断部73は、その検知状態、すなわち入室が有ったことを制御部321に送信する(ステップS402)。検知部の検知状態が検知ではなく(ステップS401:No)、非検知の場合、(ステップS403:Yes)、判断部73は、その検知状態、すなわち入室が無いことを制御部321に送信する。
【0084】
検知部70の検知状態が検知でも非検知でも無い場合(ステップS403:No)、検知部70は、
図7の工程を終了する。例えば、判断部73が使用者の入室の有無を検知信号S1に基づいて判断しない場合、判断部73は、検知信号S1に基づいた判断結果を制御部321に送信しなくてもよい。
【0085】
図8(a)~
図8(e)は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するタイミングチャートである。
例えば、
図8(a)に表したように、時刻T1において、使用者がリモコンを操作して便蓋15の駆動を指示する。これにより、時刻T1~時刻T2の間における便蓋15の駆動を指示する制御信号が制御部321に入力される。すると、
図8(c)に表したように、便蓋15を駆動する便蓋開閉部60に、時刻T1~時刻T2の間における便蓋15の駆動を指示する駆動信号が入力される。また、
図8(d)に表したように、時刻T1~時刻T2の間における便蓋15の動作の動作実施種別は、使用動作(使用者の操作有り)であると判定される。動作実施種別の通知を受けて、判断部73は、使用者のトイレ室への入室の有無を判断する。例えば、
図8(e)に表したように、判断部73は、時刻T1~時刻T2の間において、検知状態を検知(人体有り)と判定する。なお、
図8(b)に表したように、時刻T1~時刻T2の間においては、動作Aは実施されない。
【0086】
例えば、
図8(b)に表したように、時刻T3において、動作Aの実施が指示される。これにより、例えば、
図8(c)に表したように、便蓋15を駆動する便蓋開閉部60に、時刻T3~時刻T4の間における便蓋15の駆動を指示する駆動信号が入力される。また、
図8(d)に表したように、時刻T3~時刻T4の間における便蓋15の動作の動作実施種別は、非使用動作(使用者の操作無し)であると判定される。動作実施種別の通知を受けて、判断部73は、検知信号S1に基づく使用者のトイレ室への入室の有無を判断しない。例えば、
図8(e)に表したように、判断部73は、時刻T3~時刻T4の間において、検知信号S1によらずに、検知状態を非検知(人体無し)と判定する。判断部73は、時刻T3~時刻T4において、判定した検知状態(人体無し)を制御部321に送信する。なお、
図8(a)に表したように、時刻T3~時刻T4の間においては、使用者がリモコンを操作して便蓋15の駆動を指示しない。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0088】
10 便座
13 給水管
14 便器洗浄ユニット
15 便蓋
20 本体部
21 ケーシング
22 給水部
23 電磁弁
30 温水ヒータ
32 回路部
33 除菌装置
34 ノズル
35 ノズルモータ
36 噴霧部
37 流路
38 流路切替ユニット
39 ノズル洗浄室
50 便座開閉部
51 回転軸
60 便蓋開閉部
61 回転軸
70 検知部
71 送信部
72 受信部
73 判断部
74 通信部
100 トイレ装置
150 便器
151 ボウル
321 制御部
322 通信部
500 操作部
S1 検知信号
TR トイレ室
TW 送信波
RW 反射波