(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088548
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】熱感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/06 20060101AFI20230620BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G08B17/06 K
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203352
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 大造
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AB01
5C085BA12
5C085CA15
5C085DA07
5C085DA10
5C085FA11
5C085FA13
5C085FA20
5G405AA01
5G405AA08
5G405AB01
5G405AD07
5G405CA21
5G405CA53
5G405DA07
5G405DA10
5G405FA03
5G405FA06
5G405FA07
(57)【要約】
【課題】素子サポート部材のような透光部材と天板との位置合わせが容易にでき、かつ、天板開口部で、透光部材を透過した光源からの光が視認しやすい熱感知器を提供する。
【解決手段】熱感知器は、熱を感知するセンサと光源とが実装される基板を収納する、開口部を有するケース本体と、ケース本体の下方に設けられ、光源の光を透光する透光部材で構成されるケース蓋と、ケース蓋の下方に位置する天板と、該天板に設けられ、センサを保護する保護部とを有するプロテクタと、を備える。ケース蓋は、センサが挿通される孔部を有し、該孔部は、下方に向かって延出した筒状部を備え、天板には、筒状部が配置される天板開口部が設けられ、筒状部は、天板の下面と面一になる高さで形成されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を感知するセンサと光源とが実装される基板を収納する、開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の下方に設けられ、前記光源の光を透光する透光部材で構成されるケース蓋と、
前記ケース蓋の下方に位置する天板と、該天板に設けられ、前記センサを保護する保護部とを有するプロテクタと、
を備える熱感知器であって、
前記ケース蓋は、前記センサが挿通される孔部を有し、該孔部は、下方に向かって延出した筒状部を備え、
前記天板には、前記筒状部が配置される天板開口部が設けられ、
前記筒状部は、前記天板の下面と面一になる高さで形成されている
熱感知器。
【請求項2】
前記孔部は、下方に向かって開口幅が次第に大きくなるすり鉢形状部を有し、該すり鉢形状部の下端から下方に向かって延出するように前記筒状部を備え、
前記ケース蓋は、前記すり鉢形状部の下端から外周側に向かって延びる枠部を有する
請求項1に記載の熱感知器。
【請求項3】
前記筒状部の外周面には、上側で外径が大きくなる第一の段部が設けられ、
前記天板の上面には、前記第一の段部と対向する第二の段部が設けられている
請求項1又は2に記載の熱感知器。
【請求項4】
前記ケース蓋は、前記ケース本体の内面に沿うように上方に延びた複数の脚部を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の熱感知器。
【請求項5】
前記基板には、外部へ引き出される配線の一端が接続され、
前記ケース本体の前記開口部の縁には、前記配線が配置される切り欠き部が形成され、
前記基板には、縁部に切り欠きが形成され、
前記ケース本体の内壁には、前記基板の前記切り欠きに配置される突起が上下方向に延びるように設けられている
請求項1~4のいずれか一項に記載の熱感知器。
【請求項6】
前記プロテクタの前記天板には、上方へ延び、先端部に互いに外向きとなる折り返し部が形成された一対のフックが設けられ、前記折り返し部の内角は鋭角であり、
前記ケース本体には、前記一対のフックのそれぞれが嵌合する穴が形成されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源を備える熱感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱感知器は、熱を検知するサーミスタ等からなるセンサを備え、火災で生じる熱気流の熱を検出することにより火災の発生を感知する。熱感知器において、ケース本体内に基板が配置され、ケース本体の下面に設けた開口部を介して感熱部が露出するように、基板にセンサが取り付けられる。このような熱感知器において、基板に実装された光源を備え、火災発生時に光源を点灯させるものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の熱感知器は、基板に装着されて光源からの光をガイドする素子サポート部材と、基板及び素子サポートを収容したケース本体の下方に配置される本体カバー(天板)と、を備えている。センサの感熱部は、天板に設けられた天板開口部から下方に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の熱感知器において、光をガイドする素子サポート部材は、基板に装着されてその全体がケース本体内に収容され、本体カバー(天板)よりも上方に配置される。したがって、本体カバーの組付時には、素子サポート部材における位置合わせ部位が作業者から視認し難いので位置合わせが行い難く、また、熱感知器の動作時には光の視認性が良くない、といった課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、素子サポート部材のような透光部材と天板との位置合わせが容易にでき、かつ、天板開口部で、透光部材を透過した光源からの光が視認しやすい熱感知器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の熱感知器は、熱を感知するセンサと光源とが実装される基板を収納する、開口部を有するケース本体と、前記ケース本体の下方に設けられ、前記光源の光を透光する透光部材で構成されるケース蓋と、前記ケース蓋の下方に位置する天板と、該天板に設けられ、前記センサを保護する保護部とを有するプロテクタと、を備える熱感知器であって、前記ケース蓋は、前記センサが挿通される孔部を有し、該孔部は、下方に向かって延出した筒状部を備え、前記天板には、前記筒状部が配置される天板開口部が設けられ、前記筒状部は、前記天板の下面と面一になる高さで形成されている。
【0007】
また、上記熱感知器において、前記孔部は、下方に向かって開口幅が次第に大きくなるすり鉢形状部を有し、該すり鉢形状部の下端から下方に向かって延出するように前記筒状部を備え、前記ケース蓋は、前記すり鉢形状部の下端から外周側に向かって延びる枠部を有する。
【0008】
また、上記熱感知器において、前記筒状部の外周面には、上側で外径が大きくなる第一の段部が設けられ、前記天板の上面には、前記第一の段部と対向する第二の段部が設けられている。
【0009】
また、上記熱感知器において、前記ケース蓋は、前記ケース本体の内面に沿うように上方に延びた複数の脚部を有する。
【0010】
また、上記熱感知器において、前記基板には、外部へ引き出される配線の一端が接続され、前記ケース本体の前記開口部の縁には、前記配線が配置される切り欠き部が形成され、前記基板には、縁部に切り欠きが形成され、前記ケース本体の内壁には、前記基板の前記切り欠きに配置される突起が上下方向に延びるように設けられている。
【0011】
また、上記熱感知器において、前記プロテクタの前記天板には、上方へ延び、先端部に互いに外向きとなる折り返し部が形成された一対のフックが設けられ、前記折り返し部の内角は鋭角であり、前記ケース本体には、前記一対のフックのそれぞれが嵌合する穴が形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、透光部材で構成されたケース蓋の孔部における筒状部が、天板の天板開口部に配置されて天板の下面と面一になるので、本体カバーの組付時には、天板開口部から筒状部が視認できるので位置合わせが容易にでき、かつ、熱感知器の動作時には天板開口部で、ケース蓋の孔部を透過した光源からの光が視認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る熱感知器の下面図である。
【
図2】実施の形態1に係る熱感知器の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1の熱感知器を天井に設置した状態を示す模式図である。
【
図4】
図2の熱感知器のプロテクタの平面図である。
【
図5】
図4のプロテクタの天板のB-B断面を示す断面図である。
【
図8】
図1の熱感知器におけるプロテクタを外した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。
【
図11】
図1の熱感知器のA-A断面を示す断面図である。
【
図12】
図1の熱感知器におけるプロテクタ及びケース蓋を外した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。
【
図14】
図8の熱感知器に配線を接続した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る熱感知器100の下面図である。
図2は、実施の形態1に係る熱感知器100の構成を示す分解斜視図である。
図3は、
図1の熱感知器を天井に設置した状態を示す模式図である。
図4は、
図2の熱感知器100のプロテクタ60の平面図である。
図5は、
図4のプロテクタの天板のB-B断面を示す断面図である。
図6は、
図4のプロテクタ60の正面図である。
図7は、
図6のプロテクタ60の側面図である。以下、
図1~
図3に基づいて熱感知器100の概略構成について説明し、また、
図1~7に基づいてプロテクタ60の詳細な構成について説明する。
【0015】
図1に示される熱感知器100は、例えば建物内の監視空間に設置され、周囲の温度を監視する。熱感知器100は、周囲の温度が一定温度以上となった場合に、不図示の火災受信機に火災である旨の信号を出力する。
【0016】
図2に示されるように、熱感知器100は、開口部11を有するケース本体10と、基板20と、熱を検知するセンサ40と、光を放射する光源50と、ケース本体10の開口部11に配置されるケース蓋30と、センサ40を保護するプロテクタ60と、を備える。
【0017】
開口部11を介してケース本体10内に基板20が収納される。基板20には、センサ40及び光源50を含む各種電子部品が実装されている。ケース蓋30は、基板20が収納されたケース本体10に、着脱可能に取り付けられている。ケース蓋30は、ケース本体10の開口の全体又は一部を覆うように設けられる。ケース蓋30の中央部には、センサ40が挿通される第一孔部31が形成されている。プロテクタ60は、熱感知器100において突出するセンサ40の先端部を保護するために設けられる。プロテクタ60には、気流が通過する第二孔部69が形成されている。第二孔部69については後述する。また、後述するプロテクタ60の天板64の中央に設けられた天板開口部64aよりケース蓋30の第一孔部31を露出する。ここで第一孔部31とは、センサ40が挿通される孔の周囲の壁全体のことをいう。
【0018】
図3に示されるように、熱感知器100は、例えば、監視空間とは反対側に形成された天井200等に凹部202が設置される。具体的には、ケース本体10が天井200の凹部202に収容され、プロテクタ60が天井面201から監視空間に突出するように、天井200に熱感知器100が設置されている。
【0019】
各図中、矢印Z方向は、天井200に設置された場合における熱感知器100の高さ方向(上下方向)を表すものとして説明する。すなわち、
図3に示されるように熱感知器100が天井200に設置された状態では、床に近い方を下と定義している。ケース本体10の下に、プロテクタ60が取り付けられている。熱感知器100が天井200に設置された状態において、熱感知器100の上部外面を構成するケース本体10が天井200の凹部202の内面と対向し、熱感知器100の下部外面を構成するプロテクタ60が、監視空間である室内に露出する。また、各図中の矢印X方向は熱感知器100の幅方向(左右方向)を表し、矢印Y方向は熱感知器100の奥行方向(前後方向)を表すものと定義する。
【0020】
図2に示されるように、ケース本体10の開口部11はケース本体10の下面に形成されている。
図2に示される例では、ケース本体10は、下面が開口した箱形状を有している。ケース蓋30は、ケース本体10の下側すなわち開口側に設けられている。
【0021】
(プロテクタ60の構成)
図2に示されるように、プロテクタ60は、ケース蓋30の下方に配置されている。プロテクタ60は、ケース蓋30の第一孔部31と対向するようにケース蓋30の下方に配置された保護板62と、保護板62よりも上方に配置された天板64と、保護板62を支持する複数の支柱63と、を有する。
図3に示されるように、天板64は、ケース本体10に取り付けられ、熱感知器100が天井200に設置された状態で、天井200の凹部202を覆うように、ケース本体10の下方に配置される。複数の支柱63は、保護板62と天板64とを接続する。複数の支柱63及び保護板62は、センサ40及びセンサ40の先端部である感熱部41を指等の外的要因から保護する保護部61を構成している。
【0022】
また、
図2及び
図4に示されるように、天板64の中央には天板開口部64aが形成されている。
図2に示されるように、天板64は円盤形状を有している。天板開口部64aには、ケース蓋30の中央部に設けられた第一孔部31を介してケース本体10から突出したセンサ40が挿通される。また、天板開口部64aには、第一孔部31の下部が配置される。
【0023】
また、
図5に示されるように、天板64の天板開口部64aの内壁には、上面64s1側に第二の段部64rが形成されており、天板開口部64aは、上部における開口幅Di2aが下部における開口幅Di2bよりも大きくなるように形成されている。天板64の第二の段部64rには、後述する
図8に示されるケース蓋30の第一の段部32pが配置される。
【0024】
また、
図4、
図6及び
図7に示されるように、プロテクタ60の天板64には、複数のフック65a、65b、65c及び65dが設けられており、これらのフック65a~65dにより、プロテクタ60がケース本体10(
図3参照)に取り付けられる。複数のフック65a~65dは、天板64の上面64s1から上方へ延びるように設けられ、各フック65a、65b、65c又は65dの先端部には、外側へ折り返された折り返し部65a1、65b1、65c1又は65d1が形成されている。また、
図4に示されるように、プロテクタ60の天板64の上面64s1には、複数の位置決め凹部66が形成されている。フック65a~65dによりプロテクタ60がケース本体10(
図3参照)に取り付けられる際、天板64の位置決め凹部66に、後述する
図8に示されるケース本体10に形成された位置決め凸部17が挿入されることで、ケース本体10とプロテクタ60とが位置決めされる。
【0025】
図4に示される例では、プロテクタ60は、天板開口部64aの両側に設けられる一対のフックを、2組有している。左側のフック65aと右側のフック65bとから成る左右方向の一対のフック、及び、前側のフック65cと奥側のフック65dとから成る前後方向の一対のフックのそれぞれにおいて、対向する2つのフックの折り返し部は、互いに外向きとなっている。
図6に示されるように、左右方向(矢印X方向)の一対のフックでは、2つのフック65a及び65bの折り返し部65a1及び65b1の内角θ1が略直角となっている。具体的には、内角θ1は、直角(すなわち90°)、又は90°よりも若干大きい鈍角(例えば、90°より大きく92°以下の鈍角)である。一方、
図7に示されるように、前後方向(矢印Y方向)の一対のフックでは、2つのフック65c及び65dの折り返し部65c1及び65d1の内角θ2が鋭角となっている。
【0026】
なお、天板64に設けられる一対のフックの組数は、2組に限定されない。一対のフックの組数は、例えば、1組でもよいし、3組以上であってもよい。また、天板64に設けられるフックの数は、ケース本体10の形状に応じて適宜決定すればよく、3以上の奇数であってもよい。また、
図4、
図6及び
図7に示される例では、2組の対を成すフックのうち、前後方向の一対のフックにおいて折り返し部65c1及び65d1の内角θ2が鋭角となる構成とされていたが、左右方向の一対のフックにおいて折り返し部65a1及び65b1の内角θ1が鋭角とされてもよい。また、対を成すフックの組数が2組以上である場合、少なくとも1組において対向するフックにおける折り返し部の内角が鋭角となっていればよい。
【0027】
図7に示されるように、一対のフックにおいて折り返し部65c1及び65d1の内角θ2を鋭角としたことで、折り返し部65c1及び65d1が、後述する
図12に示されるケース本体10のフック穴14c、14dに挿入されると、その縁に引っ掛かる。したがって、
図3に示されるようにケース本体10に取り付けたプロテクタ60が、ケース本体10から外れることが抑制される。
【0028】
また、
図2に示されるように、プロテクタ60の天板64には、ケース本体10側の面(
図4に示される上面64s1)から外周側へ延びるバネ67が2つ設けられている。
図2に示される例では、天板64の上面64s1における前縁及び後縁に、外側へ延びる帯状のバネ67が設けられている。
図3に示されるようにケース本体10が天井200の凹部202に収容された状態では、プロテクタ60の天板64に設けられた2つのバネ67が凹部202の左右の内面を押すことで、天井200の凹部202により天板64が保持される。よって、天井200の凹部202から、天板64と、天板64に取り付けられたケース本体10と、が抜け落ちることが抑制される。
【0029】
なお、バネの形状は特にこれに限定されない。また、熱感知器100の天井200への取り付け構成は、このような構成に限定されない。また、
図1及び
図3に示されるように、天板64の外径Do2はケース本体10の最大幅よりも大きい寸法とされ、ケース本体10及び天井200の凹部202が利用者から見えない構成とされる。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、保護板62の中央には保護板開口部62oが形成され、保護板62は円盤形状を有している。
図1に示される保護板62の外径Do1、内径(保護板開口部62oの開口幅Di1)、あるいは外径Do1と内径(開口幅Di1)との差は、所定の仰角で熱感知器100を利用者が見た場合に、プロテクタ60の第二孔部69(
図2参照)を介してケース蓋30の第一孔部31が見えるように決定される。なお、
図2に示される保護板開口部62o及び複数の支柱63間の隙間63gのうち、少なくとも一方を介して利用者から第一孔部31が見えるように構成されていればよい。ここで、所定の仰角とは、熱感知器100を利用者が見上げる角度であり、例えば、床から3メートルの高さに設置された熱感知器100を、熱感知器100から横に15メートル離れた位置にいる利用者が見上げる角度としてもよい。保護板62の内径すなわち保護板開口部62oの開口幅は、試験指等が入り、感熱部41に触れるのを防止できる寸法(例えば8mm以下)とされるのが好ましい。
【0031】
図4に示されるプロテクタ60の平面視において、保護板62の保護板開口部62oの中心と、天板64の天板開口部64aの中心とは、上下方向(
図3に示される矢印Z方向)に延びる直線上に位置する。そして、
図1に示されるように熱感知器100の下面視において、保護板62の保護板開口部62oの中心と、天板64の天板開口部64a(
図4参照)の中心と、ケース蓋30の第一孔部31の中心とは、上下方向(
図3に示される矢印Z方向)に延びる直線上に位置する。そして、この直線に沿うようにセンサ40が配置される。
【0032】
図4に示されるように、保護板62の内径すなわち保護板開口部62oの開口幅Di1は、天板64の内径すなわち天板開口部64aの下部の開口幅Di2b以下の寸法とされることが好ましい。また
図1に示されるように、保護板開口部62oの開口幅Di1、及び
図4に示される天板開口部64aの開口幅Di2bはいずれも、挿通されるセンサ40の先端部の径(
図2に示される感熱部41の径)よりも大きく、好ましくは、ケース蓋30の内径すなわち第一孔部31の最小開口幅Di0よりも大きい寸法とされる。このような構成により、
図1に示されるように熱感知器100の下面視において、プロテクタ60の保護板開口部62oを介して、ケース蓋30におけるプロテクタ60よりも内側に位置する部分、具体的には、第一孔部31の内壁部分が熱感知器100の外部から視認できるようになっている。
【0033】
図2、
図3、
図6及び
図7に示されるように、プロテクタ60の支柱63は、例えば板状の部材で構成され、複数の支柱63は、隣り合う支柱63間に隙間63gを有して放射状に配置されている。隙間63gは、試験指等が入るのを防止できる寸法(例えば8mm以下)とされるのが好ましい。支柱63は、例えば、不透光部材で構成される。
図6及び
図7に示されるように、各支柱63は、天板64の下面64s2において天板開口部64aの周部から下方へ延びて、保護板62の上面における保護板開口部62o(
図4参照)の周部とつながっている。そして、保護板62の外径Do1は、放射状に配置された複数の支柱63により形成される外径Do3よりも大きい寸法とされる。このような構成により、熱感知器100の複数の支柱63を、下方から視認する利用者から見えにくくすることができるので、美観をよくすることができ、意匠性が向上する。
【0034】
図3に示されるように、プロテクタ60の保護板62、複数の支柱63、及び天板64と、ケース蓋30の第一孔部31(
図2参照)とにより、プロテクタ60内に、気流の流通空間SPが形成されている。そして、熱感知器100が天井200に設置された状態において、保護板開口部62o(
図2参照)を介して垂直気流が流通空間SPに流入する。ここで垂直気流とは、天井面201と直角に交わる方向に流れる気流のことをいう。また、支柱63間に形成された隙間63gを介して、水平気流が流通空間SPに流入し、また流通空間SPの気流が熱感知器100の外へ流出する。ここで水平気流とは、天井面201と平行な方向に流れる気流のことをいう。つまり、
図2に示されるように、保護板62に設けられた保護板開口部62o、及び複数の支柱63間の隙間63gはそれぞれ、プロテクタ60において気流が流通する第二孔部69として機能する。
【0035】
なお、プロテクタ60の構成は、上記の構成に限定されない。所定の仰角で熱感知器100を利用者が見た場合にプロテクタ60の第二孔部69を介してケース蓋30の第一孔部31が見える構成について、
図2を参照して説明したが、例えば、センサ40の受熱に影響を与えない範囲で支柱63の太さを太くし、あるいは支柱63の本数を増やすことで、隙間63gを介して利用者からセンサ40は見えにくいが光は見える構成としてもよい。
【0036】
図8は、
図1の熱感知器100におけるプロテクタ60を外した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。
図9は、
図2の熱感知器100のケース蓋30の斜視図である。
図10は、
図9のケース蓋30の側面図である。
図11は、
図1の熱感知器100のA-A断面を示す断面図である。
図12は、
図1の熱感知器100におけるプロテクタ60及びケース蓋30を外した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。
図13は、
図12の熱感知器100の下面図である。
図14は、
図8の熱感知器100に配線を接続した状態を下側斜め方向から示す概略斜視図である。以下、
図1~
図14に基づいて、ケース蓋30、基板20、センサ40、光源50、およびケース本体10の構造について詳しく説明する。
【0037】
(ケース蓋30の構成)
図8~
図11に示されるように、ケース蓋30の中央部に形成された第一孔部31の開口は、熱感知器100の組み立て時においてセンサ40が挿通できるように、センサ40においてケース蓋30から突出する感熱部41の径以上の開口幅を有している。ケース蓋30は、第一孔部31の外周面32oから外周側に向かって延びる枠部34を有し、第一孔部31の開口からセンサ40の感熱部41を外側へ露出させつつ枠部34により基板20の下面21の一部を覆う構成とされる。
図11に示されるように、ケース蓋30の中央部に形成された第一孔部31において、センサ40のリード部42と対向する内周側の面と、下端31bとが、ケース蓋30において流通空間SPに露出する。
【0038】
図8に示される例では、枠部34は四角形状の平面形状を有し、この枠部34の中央に第一孔部31が形成されている。なお、ケース蓋30において枠部34と第一孔部31とを別部材で構成してもよい。また、枠部34の形状は四角形状に限定されない。
【0039】
ケース蓋30は、透光部材で構成されている。
図8~
図11に示されるように、第一孔部31は、下方に向かって開口幅が次第に大きくなるすり鉢形状部33と、すり鉢形状部33の下端33bから下方に向かって延出する筒状部32と、を有している。なお、
図11に示される例では、すり鉢形状部33の壁部が傾斜することにより、壁部の上端面31aが水平方向から傾斜している。そのため、
図11に示される例では、正確には、すり鉢形状部33の上端部分は、下方に向かって開口幅が次第に小さくなる形状を有し、すり鉢形状部33における上端部分よりも下側の部分は、下方に向かって開口幅が次第に大きくなる形状を有している。このような構成とした場合、ケース本体10にケース蓋30を取り付けるときにセンサ40を第一孔部31に通しやすい。
【0040】
図11に示されるように、すり鉢形状部33において光源50側すなわち上端での開口幅(すなわち第一孔部31の最小開口幅Di0)は、センサ40の先端部の太さよりも大きく、プロテクタ60の保護板開口部62oの開口幅Di1と同じ、もしくはこの開口幅Di1よりも小さい寸法とされる。筒状部32の下端は、第一孔部31の下端31bである。
図11に示される例では、筒状部32は、すり鉢形状部33の下端33bとつながる上端から、下端31bまで、一定の開口幅Di32を有した円筒形状を有している。
【0041】
図11に示されるように、第一孔部31の筒状部32は、枠部34よりも下方へ突出するように設けられ、天板64に設けられた天板開口部64aに配置される。筒状部32は、筒状部32の下端31bの面が天板64の下面64s2と面一になるような高さHに形成されている。
図11に示される例では、筒状部32は、プロテクタ60の天板64の厚みTとほぼ同じ大きさの高さHを有しており、上下方向(矢印Z方向)で筒状部32の全体が天板64の天板開口部64aに差し込まれる構成とされている。このように、天板64に設けられたセンサ40を通す天板開口部64aに、第一孔部31の筒状部32が配置されて天板64の下面64s2から筒状部32の下端31bの面が露出する構成により、熱感知器100の組立時において、天板64の中央に設けられた天板開口部64aを介して筒状部32の大部分が作業者から視認し易くなる。よって、ケース蓋30とプロテクタ60との位置合わせが容易となる。
【0042】
また、
図8~11に示されるように、筒状部32の外周面32oには、第一の段部32pが設けられている。
図10に示される例では、第一の段部32pは、筒状部32の外周面32oにおける上端部に、外周側へ突出するように形成される。そして、筒状部32は、第一の段部32pが設けられた枠部34側の外径D32aが、下側の部分の外径D32bよりも大きくなるように構成されている。
図11に示されるように、筒状部32の外周面32oに設けられた第一の段部32pと、天板64の上面64s1に設けられた第二の段部64rとが対向するように、ケース蓋30の枠部34の下方に、プロテクタ60の天板64が配置される。
【0043】
なお、第一の段部32pは、天板64の第二の段部64rと噛み合うような形状及び位置に設けられていればよく、第一の段部32pの形状および位置は図示された態様に限定されない。具体的には、第一の段部32pは、ケース蓋30においてプロテクタ60の天板64と対向する面に、突出するように又は凹むように設けられていればよい。第一の段部32pは、例えば、ケース蓋30における枠部34の下面に、下方へ突出するように設けられてもよい。
【0044】
ケース蓋30と天板64とを上下方向に合わせた際に第一の段部32pと第二の段部64rとが噛み合うことで、天板64と平行な方向において、すなわち水平方向において、ケース蓋30とプロテクタ60との大まかな位置合わせができる。なお、最終的なケース蓋30とプロテクタ60との配置は、プロテクタ60がケース本体10に固定されることにより決まる。
【0045】
ケース本体10の内側の空間が利用者から直接見えないように天板64と第一孔部31とが配置できればよい。したがって、ケース蓋30の第一の段部32pとプロテクタ60の第二の段部64rとは、水平方向におけるケース蓋30とプロテクタ60との大まかな位置合わせができればよく、嵌合しなくてもよい。その場合、プロテクタ60は、複数のフック65a~65dによりケース本体10に取り付けることで、ケース蓋30に対して固定される。
【0046】
ところで、
図11に示される例では、筒状部32の高さHが、プロテクタ60の天板64の厚みTと同じ高さとされていたが、筒状部32の下端31bの面が天板64の下面64s2と面一であれば、筒状部32の高さHは天板64の厚みTと同じ高さでなくてもよい。例えば、筒状部32の上下方向の一部のみが天板開口部64aに差し込まれるように構成されてもよく、この場合、枠部34の下面からの第一の段部32pの高さHを、天板64の上面64s1からの第二の段部64rの深さDs(
図5参照)よりも大きくすることで、筒状部32の下端31bの面と天板64の下面64s2とを面一になるように配置することができる。
【0047】
なお、第一孔部31の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、筒状部32は、その上端から下端31bまで一定の開口幅D32を有する構成でなくともよい。例えば、筒状部32は、
図11に示される筒状部32の内周側の面が、すり鉢形状部33の内周側の面よりも緩やかな傾斜面であれば、傾斜していてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では第一孔部31において筒状部32よりも上側の部分がすり鉢形状を有するものとして説明したが、第一孔部31の上部の形状はこれに限定されない。第一孔部31の上部において、筒状部32側すなわち下端33bにおける開口幅が、光源50側すなわち上端における開口幅(すなわち第一孔部31の最小開口幅Di0)よりも大きい寸法とされていれば、第一孔部31の上部において光源50から出射された光を拡散させ、また、光の出射面積を大きくすることができる。
【0049】
図8に示されるように、枠部34は、すり鉢形状部33の下端33bから外周側へ延びるように設けられている。枠部34の縁部には、枠部34から上方すなわち基板20側へ延びるように複数の脚部35が設けられている。また、
図8及び
図9に示されるように、枠部34の縁部には、外周側へ突起した複数の蓋突起部34pが形成されている。
図9に示される例では、枠部34の四隅に上方へ延びる脚部35が設けられ、枠部34の前側の縁部に、前方へ突起した蓋突起部34pが設けられ、枠部34の後側の縁部に、後方へ突起した蓋突起部34pが設けられている。また、
図9及び
図10に示されるように、ケース蓋30において、ケース本体10(
図8参照)の内面と接触する側面には、蓋突起部34pよりも上方の位置に、外周側へ突起した爪部34xが設けられている。
【0050】
図8に示されるように、ケース蓋30は、複数の脚部35及び枠部34がケース本体10内に収容され、且つ、第一孔部31がケース本体10の開口部11から下方へ突出するようにして、ケース本体10に取り付けられる。ケース蓋30がケース本体10に取り付けられる際には、複数の脚部35がケース本体10の内面を滑るように、ケース蓋30が押し込まれる。そして、ケース蓋30が一定の深さ押し込まれると、枠部34の蓋突起部34pが、後述する
図12に示されるケース本体10の開口部11の縁に形成された第一切り欠き部15に配置されることでケース蓋30の移動が止まり、
図9に示される爪部34xが、後述する
図12に示されるケース本体10の爪穴14eに掛かることで係止する。
【0051】
上記のように、ケース蓋30は、爪部34xのような簡単な構成で、ケース本体10に固定することができる。
【0052】
なお、ケース蓋30をケース本体10に対して固定するための構造を設けなくともよい。この場合、ケース蓋30の枠部34がケース本体10に挟持されるようにケース蓋30をケース本体10に嵌め込む構成とすることで、構造を簡単なものとでき、また組立が容易となる。複数の脚部35は、ケース蓋30をケース本体10内に嵌め込むときのガイドとして機能する。
【0053】
脚部35の長さは、基板20又は基板20に実装された各種電子部品と接触しないように決定される。なお、脚部35の長さは、ケース蓋30がケース本体10に設置された状態において、脚部35の先端が、ケース本体10内に収容された基板20の下面21と接触するように設けられてもよい。この場合、脚部35の先端によって基板20を上方へ押さえることができ、ケース本体10内における基板20の移動が抑制される。
【0054】
図8に示されるように、枠部34の大きさはケース本体10の開口部11の大きさよりも小さく、ケース本体10にケース蓋30を設置した状態で、枠部34の両側には隙間が形成される。
図8に示される例では、枠部34の前後方向(矢印Y方向)の幅は開口部11の前後方向の開口幅とほぼ同じ幅となるように形成され、枠部34の左右方向(矢印X方向)の幅は開口部11の左右方向の開口幅よりも小さく、枠部34よりも右側及び左側に隙間が形成されている。熱感知器100の製造時には、ケース本体10に基板20を収容し、ケース蓋30を設置した後、隙間を介してケース本体10内に充填剤が注入される。充填剤については後述する。
【0055】
なお、枠部34の大きさは上記の場合に限定されない。例えば、枠部34の大きさを開口部11の大きさと同じになるようにし、枠部34に注入口を設けるようにしてもよい。また、枠部34の大きさを開口部11の大きさと同じになるようにした場合において、充填剤は第一孔部31を介して注入するようにしてもよい。
【0056】
図8に示されるように、ケース蓋30において、ケース本体10の内面と接触する側面には、プロテクタ60のフック65c及び65dが配置される溝34cが形成されている。具体的には、溝34cは、
図9に示されるように、枠部34及び脚部35に、上下方向(矢印Z方向)に延びるように形成されている。
【0057】
図8に示される例では、ケース蓋30の前側及び後側の側面に溝34cが形成されており、この溝34cを介して、
図4及び
図6に示される一対のフック65c及び65dがケース本体10に取り付けられる。また、
図8に示される例では、開口部11において枠部34よりも左側及び右側には隙間が形成されており、これらの隙間を介して、
図4及び
図7に示される一対のフック65a及び65bがケース本体10に取り付けられる。
【0058】
(基板20)
図2及び
図13に示されるように、基板20は、例えば、多角形状のプリント基板で構成される。
図2に示される例では、基板20は、左右方向(矢印X方向)に延びる長辺を有する長束形状とされ、基板20の両面が上方及び下方を向くようにケース本体10内に配置される。基板20には各種電子部品が実装されて制御回路が形成されている。
【0059】
なお、基板20の配置は上記の場合に限定されない。ケース本体10内に基板20が縦置きされてもよい。例えば、基板20は、上下方向(矢印Z方向)に延びる長辺を有する略長方形状とされ、基板20の両面が前方及び後方を向くようにケース本体10内に配置されてもよい。
【0060】
図2、
図8及び
図12に示されるように、基板20の下面21において予め決められた位置に、光源50及びセンサ40が半田付けにより取り付けられている。
【0061】
また、
図13に示されるように、基板20には配線接続部26が設けられ、配線接続部26には、
図14に示される配線27の一端が接続される。基板20に接続された配線27の他端は、ケース本体10の外へ引き出される。
【0062】
また、基板20の縁部には、切り欠き23が形成されている。
図12及び
図13に示されるように、この切り欠き23には、ケース本体10の内壁に設けられたガイド突起13が配置される。ガイド突起13の構成については、後述する。
図13に示されるように、切り欠き23は、基板20の長手側の中心から偏心した位置に設けられている。
図13に示される例では、切り欠き23は、基板20の長辺である前辺及び後辺のそれぞれにおいて、左右方向(矢印X方向)の中心よりも左側の位置に形成されている。
【0063】
基板20に形成された制御回路は、センサ40の出力値を受信し、出力値に基づいて周囲温度を判別する。そして、制御回路は、周囲温度が一定温度以上であると判別された場合に、不図示の受信機等へ火災信号を送信するとともに、光源50を点灯又は点滅するように制御する。
【0064】
(センサ40)
図11に示されるように、センサ40は、熱を検知する感熱部41を有し、流通空間SPに流入した気流の熱を検知する。感熱部41は、例えば気流から伝わる熱によって抵抗が変化するサーミスタ等で構成され、温度変化を電気信号に変換して出力する。
【0065】
センサ40は、例えば、感熱部41と、リード線から成る棒状のリード部42と、基板20に取り付けられる2つのピン(不図示)を有するセンサ基部44と、リード部42とセンサ基部44とを接続する接続部43とにより構成される。感熱部41は、リード部42の先端部に取り付けられており、感熱部41とリード部42とは一体的にコーティングされている。接続部43は、リード部42の基端部とセンサ基部44の2つのピンの先端部とを接続するものであって、樹脂等により被覆されている。そして、センサ基部44の2つのピンが基板20にそれぞれ半田付けにより固定されて、感熱部41が基板20の制御回路と電気的に接続されている。
【0066】
感熱部41は、垂直気流の熱を検知するために、流通空間SPにおいて、プロテクタ60の保護板開口部62oの中心の直上に配置されている。具体的には、センサ基部44と、センサ基部44に接続されたリード部42とにより、流通空間SPの予め設定された位置に感熱部41が配置される。
図11に示される例では、センサ40は、ケース本体10内に水平方向に配置された基板20と垂直な鉛直方向(矢印Z方向)に配置されている。
【0067】
(光源50)
光源50は、例えばLED(Light Emitting Diode)等で構成される。
図11に示されるように、光源50は、発光面51が下を向くように、光源50の上部において基板20の下面21に半田付けされている。光源50は、基板20の下面21において、ケース蓋30の第一孔部31の上方の位置に実装されているのが好ましい。光源50をこのように設けることで、光源50から放射された光が第一孔部31に到達するまでに、基板20に実装された光源50以外の電子部品等によって遮られることを抑制できる。
【0068】
図13に示される例では、基板20に2つの光源50が実装され、一方の光源50はセンサ40よりも前側に、他方の光源50はセンサ40よりも後側に配置されている。そして、
図13の下面視においては、前後方向(矢印Y方向)における2つの発光面51の中心と、センサ40の中心位置とが一致するように、2つの光源50が配置されている。
図13に示される2つの光源50間の距離Kは、
図5に示されるプロテクタ60の天板64の内径すなわち天板開口部64aの下側の開口幅Di2b以下であることが好ましい。この場合、天板開口部64aで各光源50の光が遮られにくく、視認し易くなる。また、この場合において、2つの光源50間の距離Kを、
図1に示される第一孔部31の最小開口幅Di0よりも長くすることが好ましい。この場合、光源50が放射した光のうち特に強度の強い下方へ向かう光が、第一孔部31とセンサ40との隙間から直接出射することが回避でき、また、強度の強い下方へ向かう光をケース蓋30の透光部材に入射させ拡散させることができるので、光の指向性を軽減できる。
【0069】
なお、光源50の個数及び光源50の配置は、上記の場合に限定されない。例えば、2つの光源50を左右方向(矢印X方向)に配置してもよい。
【0070】
また、
図13に示される前後方向(矢印Y方向)における2つの光源50間の距離Kをさらに大きくし、
図4に示される保護板開口部62oの開口幅Di1よりも大きい寸法としてもよい。これにより、
図1に示される第一孔部31において光源50(
図8参照)直下の局所的に明るい部分を、保護板62によって覆うことができるので、まぶしさを軽減できる。
【0071】
また、
図11に示されるように、基板20の下面21に設けられた光源50が放射する光を、ケース蓋30の第一孔部31の全体に入射させるためには、光源50の光の指向特性に基づき、基板20の下面とケース蓋30の枠部34との距離を調整すればよい。ケース蓋30の第一孔部31のできるだけ広い範囲に入射させるためには、基板20の下面とケース蓋30の枠部34との距離を大きくすればよい。
【0072】
(ケース本体10)
図12に示されるように、ケース本体10は、下面が開口した箱形状を有するケース外郭12を有する。
図11に示されるように熱感知器100が天井200に設置された状態では、ケース外郭12の外面と、天井200の凹部202の内面とが対向する。
【0073】
また、
図12に示されるように、ケース外郭12の内壁には、基板20の切り欠き23に配置されるガイド突起13が設けられている。ガイド突起13は、ケース本体10の内壁において、基板20に設けられた切り欠き23と対向する位置に設けられている。
図13に示される例では、ケース本体10の長手方向に延びる前辺及び後辺において左右方向(矢印X方向)の中心から左側にずれた位置に、ガイド突起13が形成されている。このように、基板20の切り欠き23と対応するガイド突起13をケース本体10の内壁に設けることで、組立時の基板20の向きの入れ違いを防止することができる。
【0074】
なお、基板20の切り欠き23及びケース本体10のガイド突起13の数および位置は、上記の場合に限定されない。例えば、基板20の切り欠き23及びケース本体10のガイド突起13は、1箇所にのみ設けられてもよい。この場合でも、組立時の基板20の向きの入れ違いを防止することができる。
【0075】
図12に示されるように、ケース本体10の内壁において、ガイド突起13は、上下方向(矢印Z方向)に延びるように設けられている。ガイド突起13を上下方向に延びた形状とすることで、組立時にケース本体10内に基板20が収容される際に、ガイド突起13が基板20のガイドとして機能する。
【0076】
また、
図12及び
図13に示されるように、ケース本体10の開口部11の縁には、第一切り欠き部15が形成されている。第一切り欠き部15には、ケース蓋30の枠部34に設けられた蓋突起部34pが配置される。
図12及び
図13に示される例では、ケース本体10の前側及び後側の側壁において枠部34(
図8参照)と対向する部分に、第一切り欠き部15が形成されている。
【0077】
また、
図12に示されるように、ケース本体10には、
図9に示される爪部34xが掛かる爪穴14eが形成されている。
図12に示される例では、ケース本体10の前側及び後側の側壁において爪部34x(
図9参照)と対向する部分に、すなわち第一切り欠き部15の上方の位置に、爪穴14eが形成されている。
【0078】
また、
図13及び
図14に示されるように、ケース本体10の開口部11の縁には、第二切り欠き部16が形成されている。第二切り欠き部16には、基板20に接続されて引き出される配線27の一部が配置される。
図13に示される例では、基板20の四隅のうち3つの隅にそれぞれ配線接続部26が設けられ、配線接続部26に接続された配線27のケース本体10内での経路が最短となるように、開口部11の縁に3つの第二切り欠き部16が形成されている。具体的には、ケース本体10の前側の側壁における左端部と、ケース本体10の後側の側壁における左右の端部とに、それぞれ第二切り欠き部16が形成されている。
【0079】
図14に示されるように、第二切り欠き部16を設けることで、配線27の引き出しが容易となる。また、第二切り欠き部16を設けることで、配線27が接続された基板20がケース本体10内に収容された後でも、配線27を第二切り欠き部16に配置することで配線27の動きが抑制されるので、その後の組み立て作業がし易くなる。
【0080】
また、
図8及び
図12に示されるように、ケース本体10の開口部11の縁には、下方へ突出した位置決め凸部17が形成されている。
図8に示される例では、位置決め凸部17は、ケース本体10の左側及び右側の側壁のそれぞれの下面に、前後に2箇所設けられている。
図8に示されるケース本体10の位置決め凸部17が、
図4に示される天板64の上面64s1の位置決め凹部66(
図4参照)に挿入されることで、ケース本体10とプロテクタ60との位置決めが行われ、結果、ケース本体10に取り付けられたケース蓋30とプロテクタ60との位置関係も決まる。
【0081】
また、
図12に示されるように、ケース本体10には、
図4、
図6及び
図7に示されるプロテクタ60の複数のフック65a~65dの折り返し部65a1、65b1、65c1及び65d1が挿入されるフック穴14a、14b、14c及び14dが形成されている。ケース本体10の左側及び右側の側壁に設けられたフック穴14a及び14bには、
図6に示されるフック65a及び65bの折り返し部65a1及び65b1が挿入され、ケース外郭12に引っ掛けられる。また、ケース本体10の前側及び後側の側壁に設けられたフック穴14c及び14dには、
図7に示されるフック65c及び65dの折り返し部65c1及び65d1が挿入される。
【0082】
図6及び
図7に示される複数のフック65a、65b、65c及び65dの先端部に設けられた外向きに折り返された折り返し部65a1、65b1、65c1及び65d1が、
図12に示されるケース本体10のフック穴14a、14b、14c及び14dの下側の内面に当接して支持されるので、プロテクタ60に自重がかかっても、プロテクタ60がケース本体10から抜け落ちることがない。特に、
図7に示されるように前後方向(矢印Y方向)で対向する一対のフック65c、65dでは、それらの折り返し部65c1及び65d1が互いに外向き、且つ折り返し部65c1及び65d1の内角θ2が鋭角となるように構成されているので、
図12に示されるケース外郭12におけるフック穴14c、14dの下側の縁に嵌合する。よって、プロテクタ60がケース本体10から外れることが、より確実に抑制できる。
【0083】
図示していないが、ケース本体10内の空間には、熱感知器100の製造時に充填剤が充填されており、充填剤が固まることにより、各種電子部品が実装された基板20とケース本体10とケース蓋30とが固定される。また充填剤が固まることにより、基板20に防水が施される。充填剤には、例えばポリウレタンといった透明又は半透明の、光を透過する部材が用いられる。充填剤は、基板20に実装された光源50が充填剤により覆われるように設けられることが好ましい。これにより、光源50が放射した光を充填剤において拡散させることができ、ケース蓋30の第一孔部31における局所に光が集中して入射することを抑制できる。なお、充填剤は省略できる。
【0084】
次に、
図1及び
図11を参照しつつ、熱感知器100の動作について説明する。火災時に発生した熱気流が、
図11に示される流通空間SPの中央部を通過すると、熱気流から感熱部41に熱が伝わる。光源50が放射した光は、ケース蓋30の中央部に形成された円形状の第一孔部31を介してプロテクタ60内の流通空間SPに出射される。光源50からの光は、まず、第一孔部31におけるすり鉢形状部33に入射し、すり鉢形状部33において拡散する。光源50からの光は、すり鉢形状部33において拡散した後、すり鉢形状部33の下端33bから筒状部32に入射し、下方へガイドされる。第一孔部31において拡散し、下方へ導かれ、プロテクタ60内の流通空間SPに出射された光は、プロテクタ60において流通空間SPと面した部分を照明する。そして、流通空間SPに出射された光は、プロテクタ60の保護板62の中央に形成された円形状の保護板開口部62o、及びプロテクタ60の側面に放射状に配置された複数の支柱63間の隙間63gを介して、熱感知器100の外へ出射される。したがって、熱感知器100の中央部から光が出射するので、センサ40を中心として、熱感知器100の中央部が発光していることを利用者はどの方向から見た場合でも、熱感知器100の作動を示す発光を視認することができる。
【0085】
以上のように、実施の形態1において、熱感知器100は、熱を感知するセンサ40と光源50とが実装される基板20を収納する、開口部11を有するケース本体10と、ケース本体10の下方に設けられ、光源50の光を透光する透光部材で構成されるケース蓋30と、を備える。また、熱感知器100は、ケース蓋30の下方に位置する天板64と、天板64に設けられ、センサ40を保護する保護部61とを有するプロテクタ60を備える。ケース蓋30は、センサ40が挿通される孔部(第一孔部31)を有し、孔部は、下方に向かって延出した筒状部32を備える。天板64には、筒状部32が配置される天板開口部64aが設けられ、筒状部32は、天板64の下面64s2と面一になる高さHで形成されている。
【0086】
これにより、透光部材で構成されたケース蓋30の孔部(第一孔部31)における筒状部32が、天板64の天板開口部64aに配置されて天板64の下面64s2と面一になる。したがって、天板64の天板開口部64aで、ケース蓋30の孔部を構成している壁が光源50からの光を透過し、光が視認しやすくなる。
【0087】
また、孔部(第一孔部31)は、下方に向かって開口幅が次第に大きくなるすり鉢形状部33を有し、すり鉢形状部33の下端から下方に向かって延出するように上記の筒状部32を備える。また、ケース蓋30は、すり鉢形状部33の下端33bから外周側に向かって延びる枠部34を有する。これにより、光源50から出射した光を第一孔部31のすり鉢形状部33において拡散させ、第一孔部31において光が出射する側の表面積を大きくすることができるので、熱感知器100を側方(前方、後方、左又は右)から見た場合でも更に視認し易くなる。
【0088】
また、筒状部32の外周面32oには、上側すなわち枠部34側で外径が大きくなる第一の段部32pが設けられ、天板64の上面には、第一の段部32pと対向する第二の段部64rが設けられている。これにより、ケース蓋30とプロテクタ60との位置合わせが容易となる。また、ケース本体10の内部空間が利用者から見え難くなり、意匠性が向上する。
【0089】
また、ケース蓋30は、ケース本体10の内面に沿うように上方に延びた複数の脚部35を有する。これにより、ケース蓋30をケース本体10へ取り付ける際に複数の脚部35がガイドとして機能するので、取り付けが容易となる。
【0090】
また、基板20には、外部へ引き出される配線27の一端が接続され、ケース本体10の開口部11の縁には、配線27が配置される切り欠き部(第二切り欠き部16)が形成されている。また、基板20には、縁部に切り欠き23が形成され、ケース本体10の内壁には、基板20の切り欠き23に配置される突起(ガイド突起13)が上下方向に延びるように設けられている。これにより、ケース本体10に切り欠き部(第二切り欠き部16)を設けることで、配線27の動きを抑制できるとともに、ケース本体10内に基板20が収容される際にはケース本体10の突起(ガイド突起13)が基板20のガイドとなるので、ケース本体10と基板20との組立が容易となる。結果、組立性の向上に繋がる。
【0091】
また、プロテクタ60の天板64には、上方へ延び、先端部に互いに外向きとなる折り返し部65c1及び65d1が形成された一対のフック65c及び65dが設けられる。折り返し部65c1及び65d1の内角θ2は鋭角であり、また、ケース本体10には、一対のフック65c及び65dのそれぞれが嵌合するフック穴14c及び14dが形成されている。これにより、一対のフック65c及び65dがケース本体10のフック穴14c及び14dの縁に嵌合するので、プロテクタ60とケース本体10との組立後に外れることが抑制される。
【0092】
なお、本開示の実施の形態は上記実施の形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、ケース外郭12の形状は上記の場合に限定されず、例えば上面を有する円筒形状とすることもできる。また例えば、ケース蓋30全体が透光部材で構成されている場合について説明したが、ケース蓋30における第一孔部31のみを透光部材で構成し、ケース蓋30における第一孔部31以外の部分を不透光部材で構成してもよい。また、第二孔部69について、保護板開口部62oと隙間63gによる構成としたが、これに限定せず、保護板開口部62oのみによる構成としてもよいし、隙間63gのみによる構成としてもよい。また、上述した熱感知器100は部屋の側壁に設置することも可能である。この場合、第一孔部31の光の出射側すなわちプロテクタ60側が室内に露出するように、熱感知器100が側壁に設置される。
【符号の説明】
【0093】
10 ケース本体、11 開口部、12 ケース外郭、13 ガイド突起、14a、14b、14c、14d フック穴、14e 爪穴、15 第一切り欠き部、16 第二切り欠き部、17 位置決め凸部、20 基板、21 下面、23 切り欠き、26 配線接続部、27 配線、30 ケース蓋、31 第一孔部、31a 上端面、31b 下端、32 筒状部、32o 外周面、32p 第一の段部、33 鉢形状部、33b 下端、34 枠部、34c 溝、34p 蓋突起部、34x 爪部、35 脚部、40 センサ、41 感熱部、42 リード部、43 接続部、44 センサ基部、50 光源、51 発光面、60 プロテクタ、61 保護部、62 保護板、62o 保護板開口部、63 支柱、63g 隙間、64 天板、64a 天板開口部、64r 第二の段部、64s1 上面、64s2 下面、65a、65b、65c、65d フック、65a1、65b1、65c1、65d1 折り返し部、66 位置決め凹部、67 バネ、69 第二孔部、100 熱感知器、200 天井、201 天井面、202 凹部、D32a 外径、D32b 外径、Di32 開口幅、Di0 最小開口幅、Di1 開口幅、Di2a 開口幅、Di2b 開口幅、Do1 外径、Do2 外径、Do3 外径、Ds 深さ、H 高さ、K 距離、SP 流通空間、T 厚み、θ1 内角、θ2 内角。