(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088561
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20220101AFI20230620BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230620BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
F24D3/00 J
F25B1/00 399Y
F24F5/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203369
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 泰平
【テーマコード(参考)】
3L054
3L070
【Fターム(参考)】
3L054BF02
3L054BF06
3L054BF07
3L054BF08
3L070AA02
3L070AA07
3L070AA09
3L070BB02
3L070BB14
3L070BB16
3L070DD07
3L070DE09
3L070DF01
3L070DG01
3L070DG06
(57)【要約】
【課題】第1熱源及び第2熱源の2つの熱源の一方又は両方によって、空調装置に流通させる熱媒の加熱や冷却を行うことができると共に、空調装置を通って熱媒を循環させる流路での放熱ロスや圧力損失を抑制できる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システム1は、第1熱源10及び第2熱源20の一方又は両方と空調装置2,3との間で熱媒を循環させ得るように空調装置2,3に対して第1熱源10及び第2熱源20を並列に接続する熱媒回路40と、熱媒回路40の流路の切換えを行う流路切換装置45とを備え、流路の切換えによって、第1熱源10により熱媒を冷却する冷房運転と、第1熱源10及び第2熱源20の一方又は両方により熱媒を加熱する暖房運転とを実行である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
該熱媒を加熱可能な第2熱源と、
該熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う空調装置と、
前記第1熱源及び前記第2熱源の一方又は両方と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させ得るように該空調装置に対して該第1熱源及び該第2熱源を並列に接続する熱媒回路と、
該熱媒回路に設けられた一つ以上の切換弁により構成され、前記熱媒を前記第1熱源と前記空調装置との間で前記第2熱源を経由させずに循環させる流路を形成する第1動作状態と、前記熱媒を前記第2熱源と前記空調装置との間で前記第1熱源を経由させずに循環させる流路を形成する第2動作状態と、前記熱媒を前記第1熱源及び前記第2熱源の両方と前記空調装置との間で循環させる流路を形成する第3動作状態とに選択的に動作可能な流路切換装置とを備えており、
前記流路切換装置を前記第1動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源で冷却する冷房運転と、前記流路切換装置を前記第1動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源で加熱する第1暖房運転と、前記流路切換装置を前記第2動作状態に動作させた状態で、前記第2熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第2熱源で加熱する第2暖房運転と、前記流路切換装置を前記第3動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源及び前記第2熱源の両方と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源及び該第2熱源で加熱する第3暖房運転とを実行可能に構成されていることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
請求項1記載の空調システムにおいて、
前記熱媒回路は、前記第1熱源から前記熱媒を送出するように該第1熱源に接続された第1往路と、前記第1熱源に前記熱媒を還流させるように該第1熱源に接続された第1復路と、前記第2熱源から前記熱媒を送出するように該第2熱源に接続された第2往路と、前記第2熱源に前記熱媒を還流させるように該第2熱源に接続された第2復路と、前記第1往路及び前記第2往路が合流するように該第1往路及び該第2往路に接続されると共に、前記熱媒を前記空調装置に供給するように該空調装置に接続された熱媒供給路と、前記空調装置から前記熱媒を排出させるように該空調装置に接続される共に、該前記第1復路及び前記第2復路に分岐された熱媒排出路とを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の空調システムにおいて、
前記熱媒回路は、該熱媒回路のうち、前記第1熱源及び前記第2熱源のうちの第1熱源だけを経由する流路に設けられた第1ポンプと、前記第1熱源及び前記第2熱源のうちの前記第2熱源だけを経由する流路に設けられた第2ポンプとを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項4】
請求項3記載の空調システムにおいて、
前記屋内空間の温度状態の要求に応じて前記空調装置の要求熱量を決定する要求熱量決定部と、前記第1熱源及び前記第2熱源のそれぞれの加熱量の制御と前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのそれぞれの作動制御とを行う制御部とを備えており、
前記制御部は、前記第1暖房運転の実行中に、前記空調装置の要求熱量の増加に伴い、該第1暖房運転から前記第3暖房運転への切換えを行うとき、前記第1熱源の加熱量と前記第1ポンプの回転数とを前記第1暖房運転時と同じ状態に維持したまま、前記空調装置の増加後の要求熱量を実現するように、前記第2熱源の加熱量と前記第2ポンプの回転数とを制御するように構成されていることを特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の空調システムにおいて、
前記第2熱源は、熱媒を加熱する加熱部として、高低2種類の温度のうち、低温側温度に熱媒を加熱する低温側加熱部と、高温側温度に熱媒を加熱する高温側加熱部とを備えており、
前記熱媒回路は、前記第2熱源を経由する流路として、前記低温側加熱部を経由する流路を含んでおり、
前記高温側加熱部は、前記高温側温度に加熱された熱媒から放熱させる放熱装置との間で熱媒を循環させるように該放熱装置に循環路を介して接続されており、
該循環路は、前記高温側加熱部から前記放熱装置に供給される熱媒を前記熱媒回路に流入させないように構成されていることを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒を利用する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1、2に見られるように、暖房端末等の空調装置に熱媒を循環させる流路で、熱媒がヒートポンプの熱交換器とバーナにより加熱される熱交換器とを直列に流通するように該流路を構成した空調システムが知られている。そして、特許文献1,2には、空調装置の暖房運転時に、空調装置に供給する熱媒を通常は、ヒートポンプのみにより加熱し、熱媒の加熱量が不足する場合等に、ヒートポンプとバーナとの両方により熱媒を加熱する技術が記載されている。また、特許文献1には、バーナのみにより熱媒を加熱することについても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-287530号公報
【特許文献2】特開2019-49383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に見られるように、ヒートポンプの熱交換器と、バーナにより加熱される熱交換器とに熱媒を直列に流通させる場合、空調装置から排出される熱媒が該空調装置に戻るまでの熱媒の経路長が長くなりやすいため、放熱ロスや圧力損失を生じやすいという不都合がある。
【0005】
また、特に、特許文献2に見られるように、ヒートポンプの熱交換器と、バーナにより加熱される熱交換器とに常時、直列に熱媒を流通させる空調システムでは、ヒートポンプ及びバーナのいずれか一方のみにより熱媒を加熱する場合であっても、他方側の熱交換器に熱媒を流通させることになるために放熱ロスが大きくなりやすい。加えて、空調装置の冷房運転を行わせようとした場合には、ヒートポンプにより冷却される熱媒がバーナ側の熱交換器を通ることで、該熱交換器が結露などによって劣化を生じやすい。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、第1熱源及び第2熱源の2つの熱源の一方又は両方によって、空調装置に流通させる熱媒の加熱や冷却を行うことができると共に、空調装置を通って熱媒を循環させる流路での放熱ロスや圧力損失を抑制できる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空調システムは、上記の目的を達成するために、
熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
該熱媒を加熱可能な第2熱源と、
該熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う空調装置と、
前記第1熱源及び前記第2熱源の一方又は両方と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させ得るように該空調装置に対して該第1熱源及び該第2熱源を並列に接続する熱媒回路と、
該熱媒回路に設けられた一つ以上の切換弁により構成され、前記熱媒を前記第1熱源と前記空調装置との間で前記第2熱源を経由させずに循環させる流路を形成する第1動作状態と、前記熱媒を前記第2熱源と前記空調装置との間で前記第1熱源を経由させずに循環させる流路を形成する第2動作状態と、前記熱媒を前記第1熱源及び前記第2熱源の両方と前記空調装置との間で循環させる流路を形成する第3動作状態とに選択的に動作可能な流路切換装置とを備えており、
前記流路切換装置を前記第1動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源で冷却する冷房運転と、前記流路切換装置を前記第1動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源で加熱する第1暖房運転と、前記流路切換装置を前記第2動作状態に動作させた状態で、前記第2熱源と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第2熱源で加熱する第2暖房運転と、前記流路切換装置を前記第3動作状態に動作させた状態で、前記第1熱源及び前記第2熱源の両方と前記空調装置との間で前記熱媒を循環させながら該熱媒を該第1熱源及び該第2熱源で加熱する第3暖房運転とを実行可能に構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0008】
かかる第1発明によれば、流路切換装置の動作状態の切換えによって、熱媒回路における熱媒の流路を切換えることができるので、第1熱源により冷却した熱媒を空調装置に流通させる冷房運転と、第1熱源及び第2熱源のうちの第1熱源だけにより加熱した熱媒を空調装置に流通させる第1暖房運転と、第1熱源及び第2熱源のうちの第2熱源だけにより加熱した熱媒を空調装置に流通させる第2暖房運転と、第1熱源及び第2熱源の両方により加熱した熱媒を空調装置に流通させる第3暖房運転とを実行することが可能である。
【0009】
この場合、第1熱源と第2熱源とは、空調装置に対して並列に接続されているので、第1熱源と空調装置との間で熱媒を循環させる流路の経路長と、第2熱源と空調装置との間で熱媒を循環させる流路の経路長とをそれぞれ短い流路に構成することが可能である。ひいては、これらの流路における放熱ロスや圧力損失を抑制することが可能である。
よって、第1発明によれば、空調装置に流通させる熱媒の加熱や冷却を行うことができると共に、空調装置を通って熱媒を循環させる流路での放熱ロスや圧力損失を抑制できる。
【0010】
上記第1発明では、前記熱媒回路は、前記第1熱源から前記熱媒を送出するように該第1熱源に接続された第1往路と、前記第1熱源に前記熱媒を還流させるように該第1熱源に接続された第1復路と、前記第2熱源から前記熱媒を送出するように該第2熱源に接続された第2往路と、前記第2熱源に前記熱媒を還流させるように該第2熱源に接続された第2復路と、前記第1往路及び前記第2往路が合流するように該第1往路及び該第2往路に接続されると共に、前記熱媒を前記空調装置に供給するように該空調装置に接続された熱媒供給路と、前記空調装置から前記熱媒を排出させるように該空調装置に接続される共に、該前記第1復路及び前記第2復路に分岐された熱媒排出路とを備える回路として構成され得る(第2発明)。
これにより、第1熱源と第2熱源とを空調装置に対して並列に接続する熱媒回路を実現することができる。
【0011】
上記第1発明又は第2発明では、前記熱媒回路は、該熱媒回路のうち、前記第1熱源及び前記第2熱源のうちの第1熱源だけを経由する流路に設けられた第1ポンプと、前記第1熱源及び前記第2熱源のうちの前記第2熱源だけを経由する流路に設けられた第2ポンプとを備えることが好ましい(第3発明)。
【0012】
これによれば、特に第3暖房運転において、第1熱源を経由する熱媒の流量と、第2熱源を経由する熱媒の流量とを空調装置の運転状態等に応じて各別に増減させることが可能となる。また、第1ポンプ及び第2ポンプのいずれか一方のポンプが故障した場合でも、第1熱源及び第2熱源のうち、他方のポンプ(正常なポンプ)に対応する側の熱源によって加熱した熱媒を空調装置に供給し、該空調装置の運転(暖房運転)を行うことが可能となる。
【0013】
上記第3発明では、前記屋内空間の温度状態の要求に応じて前記空調装置の要求熱量を決定する要求熱量決定部と、前記第1熱源及び前記第2熱源のそれぞれの加熱量の制御と前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのそれぞれの作動制御とを行う制御部とを備えており、前記制御部は、前記第1暖房運転の実行中に、前記空調装置の要求熱量の増加に伴い、該第1暖房運転から前記第3暖房運転への切換えを行うとき、前記第1熱源の加熱量と前記第1ポンプの回転数とを前記第1暖房運転時と同じ状態に維持したまま、前記空調装置の増加後の要求熱量を実現するように、前記第2熱源の加熱量と前記第2ポンプの回転数とを制御するように構成されているという態様を採用し得る(第4発明)。
【0014】
これによれば、第1暖房運転の実行中に、空調装置の要求熱量の増加に伴い、該第1暖房運転から第3暖房運転への切換えを行うときには、第1熱源の加熱量と前記第1ポンプの回転数とを前記第1暖房運転時と同じ状態に維持したまま、空調装置の増加後の要求熱量を実現するように、第2熱源の加熱量と第2ポンプの回転数とを制御するので、第1熱源及び第2熱源と第1ポンプ及び第2ポンプの作動制御を簡易な態様で行うことが可能となる。また、第1熱源の加熱量と前記第1ポンプの回転数とを維持した状態で、第2熱源の加熱量と第2ポンプの回転数とを増加させることになる。このため、第2熱源の加熱量及び第2ポンプの回転数だけでなく、第1熱源の加熱量及び第1ポンプの回転数をも変化させる場合に比べて、空調装置に供給される熱媒の温度が過渡的に過剰に変動するのを抑制することができ、ひいては、要求熱量の増加に伴う空調装置の運転状態の変化を円滑に行わせることが可能となる。
【0015】
上記第1~第4発明では、前記第2熱源は、熱媒を加熱する加熱部として、高低2種類の温度のうち、低温側温度に熱媒を加熱する低温側加熱部と、高温側温度に熱媒を加熱する高温側加熱部とを備えており、前記熱媒回路は、前記第2熱源を経由する流路として、前記低温側加熱部を経由する流路を含んでおり、前記高温側加熱部は、前記高温側温度に加熱された熱媒から放熱させる放熱装置との間で熱媒を循環させるように該放熱装置に循環路を介して接続されているという態様を採用し得る。この場合、該循環路は、前記高温側加熱部から前記放熱装置に供給される熱媒を前記熱媒回路に流入させないように構成されていることが好ましい(第5発明)。
【0016】
これによれば、前記放熱装置の運転時に、高温側加熱部から該放熱装置に供給される高温側温度の熱媒が前記熱媒回路に流入してしまうのが阻止されるので、空調装置の冷房運転時や暖房運転時に前記低温側温度よりも高い温度の熱媒が空調装置に供給されてしまうことを防止できる。ひいては、空調装置の冷房運転や暖房運転を適正に実施しながら、放熱装置の運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態の空調システムの構成を示す図。
【
図2】実施形態の空調システムの作動制御に係る構成を示すブロック図。
【
図3】本発明の第2実施形態の空調システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を
図1及び
図2を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空調システム1は、空調装置として、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4を備えると共に、熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源としてのヒートポンプユニット10と、熱媒を加熱可能な第2熱源としての燃焼式熱源機20とを備えるシステムである。この空調システム1における熱媒としては、例えば、水や不凍液等が使用され得る。
【0019】
暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3及び浴室暖房装置4は、いずれも熱媒を流通させる流路(図示省略)を有し、該流路を流れる熱媒と、それぞれが配置される屋内空間との熱交換を行うことで、該屋内空間の暖房又は冷房を行う公知の空調装置である。暖房用空調装置2は、それが配置される屋内空間を暖房するための空調装置であり、例えば、ファンコンベクター、パネルヒータ、床暖房装置等により構成される。また、冷暖房用空調装置3は、それが配置される屋内空間を冷房又は暖房するための空調装置であり、例えば、ファンコイルユニットにより構成される。また、浴室暖房装置4は、それが配置される浴室の暖房、乾燥、換気等を行い得る空調装置である。
【0020】
なお、本実施形態では、本発明における空調装置に相当するものは、暖房用空調装置2及び冷暖房用空調装置3であり、浴室暖房装置4は、本発明における放熱装置に相当するものである。以降の説明では、暖房用空調装置2及び冷暖房用空調装置3を区別する必要が無いときは、これらを単に空調装置2,3という。
【0021】
ヒートポンプユニット10は、公知の構成のヒートポンプ11を備えている。該ヒートポンプ11は、熱媒側熱交換器12と、図示しない圧縮機、外気側熱交換器、及び膨張機構を含む冷媒回路13とを備える。この場合、冷媒回路13は、冷媒を、外気側熱交換器から圧縮機、熱媒側熱交換器12、膨張機構を順に経由させて循環させることが可能であり、この状態では、屋外の外気から外気側熱交換器を介して冷媒に吸収した熱を、後述する熱媒回路40を流れる熱媒に熱媒側熱交換器12を介して放熱することで該熱媒を加熱することが可能である。
【0022】
また、冷媒回路13は、冷媒を、熱媒側熱交換器12から、圧縮機、外気側熱交換器、膨張機構を順に経由させて循環させることも可能であり、この状態では、後述する熱媒回路40を流れる熱媒から熱媒側熱交換器12を介して冷媒に吸収した熱を、外気側熱交換器を介して外気に放熱することで該熱媒を冷却することが可能である。従って、ヒートポンプユニット10は、熱媒を加熱又は冷却可能な熱源としての機能を有するものである。
【0023】
燃焼式熱源機20は、熱媒を加熱する加熱部として、熱媒を低温側温度(例えば40~60℃の温度)に加熱する低温側加熱部21aと、該低温側温度よりも高い高温側温度(例えば70~80℃の温度)に加熱する高温側加熱部21bとを備える。
【0024】
低温側加熱部21aは、第1バーナ22aと、その燃焼熱により加熱される第1熱交換器23aとにより構成され、高温側加熱部21bは、第2バーナ22bと、その燃焼熱により加熱される第2熱交換器23bとにより構成される。第1バーナ22a及び第2バーナ22bは、例えばガスバーナである。そして、第1バーナ22a及び第2バーナ22bに燃料ガスを供給する燃料供給装置24は、図示しない燃料供給源から、主燃料供給路25と、第1バーナ22a及び第2バーナ22bのそれぞれ毎に各別の副燃料供給路26a,26bを介して第1バーナ22a及び第2バーナ22bのそれぞれに燃料ガスを供給するように構成されている。
【0025】
この場合、主燃料供給路25には、これを開閉可能な開閉弁27が組付けられている。また、第1バーナ22a側の副燃料供給路26aには、これを開閉可能な開閉弁28aと、第1バーナ22aへの燃料ガスの供給量を調整するための燃料調整弁29aとが組付けられている。同様に、第2バーナ22b側の副燃料供給路26bには、これを開閉可能な開閉弁28bと、第2バーナ22bへの燃料ガスの供給量を調整するための燃料調整弁29bとが組付けられている。上記開閉弁27,28a,28bは電磁弁等により構成され、燃料調整弁29a,29bは比例弁等により構成され得る。
【0026】
従って、第1バーナ22aは、開閉弁27,28aを開弁制御した状態で、図示しない点火装置により点火することで燃焼運転を開始する。そして、第1バーナ22aの燃焼運転中は、燃料調整弁29aを制御することで、該第1バーナ22aの燃焼量を制御することが可能である。さらに、開閉弁27又は28aを閉弁制御することで、該第1バーナ22aが消火される。
【0027】
同様に、第2バーナ22bは、開閉弁27,28bを開弁制御した状態で、図示しない点火装置により点火することで燃焼運転を開始する。そして、第2バーナ22bの燃焼運転中は、燃料調整弁29bを制御することで、該第2バーナ22bの燃焼量を制御することが可能である。さらに、開閉弁27又は28bを閉弁制御することで、該第2バーナ22bが消火される。なお、第1バーナ22a及び第2バーナ22bの燃料は、気体燃料に限らず、灯油等の液体燃料であってもよい。
【0028】
第1熱交換器23aは、後述する熱媒回路40を介して熱媒が流通するように該熱媒回路40に接続されており、第1バーナ22aの燃焼運転により与えられる燃焼熱を該熱媒に放熱することで、該熱媒を加熱し得るように構成されている。
【0029】
第2熱交換器23bは、浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させる循環路31を介して浴室暖房装置4に接続されている。そして、第2熱交換器23bは、浴室暖房装置4から循環路31を介して還流する熱媒に、第2バーナ22bの燃焼運転により与えられる燃焼熱を放熱することで該熱媒を加熱し、その加熱した熱媒を循環路31を介して浴室暖房装置4に送出するように構成されている。
【0030】
上記循環路31は、より詳しくは、浴室暖房装置4に供給する熱媒を、第2熱交換器23bから浴室暖房装置4に流すように該第2熱交換器23bの下流端(第2熱交換器23bにおける熱媒の流路の下流端)を浴室暖房装置4に接続する往路31aと、浴室暖房装置4から排出される熱媒を、該浴室暖房装置4から第2熱交換器23bに流すように該第2熱交換器23bの上流端(第2熱交換器23bにおける熱媒の流路の上流端)を浴室暖房装置4に接続する復路31bとを備える。
【0031】
そして、往路31a及び復路31bの一方、例えば、復路31bには、循環路31で熱媒を循環させる動力源としての電動式のポンプ32が組付けられている。また、往路31a及び復路31bの一方、例えば、往路31aには、これを開閉する(ひいては、循環路31を開閉する)電磁弁等の開閉弁33が組付けられている。さらに、往路31aには、第2熱交換器23bから浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度を検出する温度センサ34が組付けられている。
【0032】
なお、高温側加熱部21bは、循環路31の復路31bから往路31aに第2熱交換器23bをバイパスさせて熱媒を流すバイパス路や、該バイパス路の熱媒の流量と第2熱交換器23bの熱媒の流量との比率を調整するための制御弁を備えていてもよい。
【0033】
ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、燃焼式熱源機20の低温側加熱部21aの第1熱交換器23aとは、空調装置2,3のそれぞれに対して熱媒回路40を介して並列に接続されている。該熱媒回路40は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒を低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由させずに循環させ得る流路と、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aと空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒をヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由させずに循環させ得る流路とを有するように構成されている。
【0034】
具体的には、熱媒回路40は、熱媒側熱交換器12から熱媒を送出する流路として該熱媒側熱交換器12の下流端(熱媒側熱交換器12における熱媒の流路の下流端)に接続された第1往路41aと、熱媒側熱交換器12に熱媒を還流させる流路として該熱媒側熱交換器12の上流端(熱媒側熱交換器12における熱媒の流路の上流端)に接続された第1復路41bと、第1熱交換器23aから熱媒を送出する流路として該第1熱交換器23aの下流端(第1熱交換器23aにおける熱媒の流路の下流端)に接続された第2往路42aと、第1熱交換器23aに熱媒を還流させる流路として該第1熱交換器23aの上流端(第1熱交換器23aにおける熱媒の流路の上流端)に接続された第2復路42bと、空調装置2,3のそれぞれに熱媒を供給する流路として空調装置2,3のそれぞれの上流端(空調装置2,3のそれぞれにおける熱媒の流路の上流端)に接続された熱媒供給路43aと、空調装置2,3のそれぞれから熱媒を排出させる流路として空調装置2,3のそれぞれの下流端(空調装置2,3のそれぞれにおける熱媒の流路の下流端)に接続された熱媒排出路43bとを備える。
【0035】
この場合、熱媒供給路43a及び熱媒排出路43bは、空調装置2,3のそれぞれに対して共用の流路であり、空調装置2,3のそれぞれは、熱媒供給路43aと熱媒排出路43bとの間に並列に接続されている。そして、第1往路41a及び第2往路42aは、熱媒供給路43aに合流するように該熱媒供給路43aに連接され、第1復路41b及び第2復路42bは、熱媒排出路43bから分岐するように該熱媒排出路43bに連接されている。なお、第2往路42aには、逆止弁49が組付けられている。
【0036】
熱媒回路40は、上記のように構成されているので、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3のそれぞれとの間で,熱媒を低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由させずに循環させ得る流路が、第1往路41a、熱媒供給路43a、熱媒排出路43b、第1復路41bにより構成される。また、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aと空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒をヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由させずに循環させ得る流路が、第2往路42a、熱媒供給路43a、熱媒排出路43b、第2復路42bにより構成される。
【0037】
補足すると、低温側加熱部21aは、第2復路42bから第2往路42aに第1熱交換器23aをバイパスさせて熱媒を流すバイパス路や、該バイパス路の熱媒の流量と第1熱交換器23aの熱媒の流量との比率を調整するための制御弁を備えていてもよい。
【0038】
また、
図1では、暖房用空調装置2及び冷暖房用空調装置3を一つずつ、記載しているが、空調システム1は、複数の暖房用空調装置や、複数の冷暖房用空調装置を備えていてもよい。その場合、複数の暖房用空調装置、あるいは、複数の冷暖房用空暖房用空調装置は、それぞれ、熱媒供給路43aと熱媒排出路43bとの間に並列に接続される。
【0039】
また、図示は省略するが、空調装置2,3のそれぞれは、それぞれにおける熱媒の流路を開閉する熱動弁等の開閉弁を備えており、該開閉弁を開弁制御した状態で熱媒供給路43a側から熱媒排出路43b側への熱媒の流通が可能であり、該開閉弁を閉弁制御した状態では、熱媒の流通が遮断されるようになっている。そして、各空調装置2又は3の開閉弁は、該空調装置2又は3の運転時に開弁制御される。
【0040】
熱媒回路40には、さらに、第1往路41aの途中部から分岐されて第1復路41bの途中部に合流するように第1往路41a及び第1復路41bの間に接続されたバイパス路44と、流路の切換えを行うための流路切換装置45と、熱媒を流す動力源としての2つの電動式のポンプ46,47とが備えられている。
【0041】
流路切換装置45は、本実施形態では、熱媒排出路43bから第1復路41b及び第2復路42bへの分岐部(熱媒排出路43bと第1復路41b及び第2復路42bとの接続部)に組付けられた第1切換弁45aと、第1復路41bとバイパス路44との接続部に組付けられた第2切換弁45bとを含む。なお、
図1では、第1切換弁45a及び第2切換弁45bをヒートポンプユニット10及び燃焼式熱源機20の外部の装置として記載しているが、これらは、ヒートポンプユニット10又は燃焼式熱源機20に搭載されていてもよい。
【0042】
第1切換弁45aは、例えば電動式の三方弁により構成され、その作動制御を行うことで、熱媒排出路43bを第1復路41bに開通させると共に第2復路42bに対して遮断する第1動作状態と、熱媒排出路43bを第2復路42bに開通させると共に第1復路41bに対して遮断する第2動作状態と、熱媒排出路43bを第1復路41b及び第2復路42bの両方に開通させる第3動作状態とに選択的に動作可能である。
【0043】
この場合、第1切換弁45aの第1動作状態は、換言すれば、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒を低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由させずに循環させ得る流路を形成する動作状態である。また、第1切換弁45aの第2動作状態は、換言すれば、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aと、空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒をヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由させずに循環させ得る流路を形成する動作状態である。また、第1切換弁45aの第3動作状態は、換言すれば、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12及び低温側加熱部21aの第1熱交換器23aの両方と、空調装置2,3のそれぞれとの間で、熱媒を循環させ得る流路を形成する動作状態である。
【0044】
第2切換弁45bは、例えば電動式の三方弁により構成され、その作動制御を行うことで、バイパス路44を第1復路41bに対して遮断すると共に、第2切換弁45bの上流側の第1復路41bを下流側の第1復路41bに開通させる第A動作状態と、バイパス路44を第2切換弁45bの下流側の第1復路41bに開通させると共に、第2切換弁45bの上流側の第1復路41bを下流側の第1復路41bに対して遮断する第B動作状態とに選択的に動作可能である。
【0045】
この場合、第2切換弁45bの第A動作状態は、換言すれば、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から送出される熱媒を、バイパス路44を経由させずに、空調装置2,3のそれぞれを経由させて該熱媒側熱交換器12に還流させ得る動作状態、第B動作状態は、換言すれば、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から送出される熱媒の全量を、バイパス路44を経由させて該熱媒側熱交換器12に還流させ得る動作状態である。
【0046】
補足すると、本実施形態では、熱媒排出路43bから第1復路41b及び第2復路42bへの分岐部に第1切換弁45aを備えたが、該第1切換弁45aの代わりに、例えば、熱媒供給路43aへの第1往路41a及び第2往路42aの合流部に三方弁等により構成される切換弁を備え、該切換弁の作動制御によって、上記第1動作状態、第2動作状態、及び第3動作状態のそれぞれと等価な動作状態を実現することも可能である。あるいは、例えば、第1往路41a及び第2往路42aのそれぞれに、あるいは、第1復路41b及び第2復路42bのそれぞれに開閉弁もしくは流量制御弁を組付けて、これらの開閉弁もしくは流量制御弁の開閉制御を行うことで、上記第1動作状態、第2動作状態、及び第3動作状態のそれぞれと等価な動作状態を実現することも可能である。
【0047】
また、前記第2切換弁45bの代わりに、例えば、第1往路41aとバイパス路44との接続部に三方弁等により構成される切換弁を備え、該切換弁の作動制御によって、上記第A動作状態及び第B動作状態のそれぞれと等価な動作状態を実現することも可能である。あるいは、例えば、バイパス路44と、第1往路41aのうちのバイパス路44との接続部よりも下流側の流路とのそれぞれに、あるいは、バイパス路44と、第1復路41bのうちのバイパス路44との接続部よりも上流側の流路とのそれぞれに開閉弁もしくは流量制御弁を組付けて、これらの開閉弁もしくは流量制御弁の開閉制御を行うことで、上記第A動作状態及び第B動作状態のそれぞれと等価な動作状態を実現することも可能である。
【0048】
ポンプ46(以降、第1ポンプ46ということがある)は、熱媒回路40のうち、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由する流路に熱媒を流す動力源としてヒートポンプユニット10に搭載されたポンプであり、第1往路41a及び第1復路41bの一方、例えば、第1往路41aに組付けられている。この第1ポンプ46の作動により、熱媒が、熱媒側熱交換器12から第1往路41a、熱媒供給路43a、空調装置2,3のそれぞれ、熱媒排出路43b、第1復路41bを順に経由して熱媒側熱交換器12に還流するように該熱媒を循環させることが可能である。
【0049】
ポンプ47(以降、第2ポンプ47ということがある)は、熱媒回路40のうち、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由する流路に熱媒を流す動力源として燃焼式熱源機20に搭載されたポンプであり、第2往路42a及び第2復路42bの一方、例えば、第2往路42aに組付けられている。この第2ポンプ47の作動により、熱媒が、第1熱交換器23aから第2往路42a、熱媒供給路43a、空調装置2,3のそれぞれ、熱媒排出路43b、第2復路42bを順に経由して第1熱交換器23aに還流するように該熱媒を循環させることが可能である。
【0050】
また、熱媒回路40には、熱媒の温度を検出する温度センサが組付けられている。本実施形態では、例えば、ヒートポンプユニット10から熱媒供給路43aに供給される熱媒の温度を検出する温度センサ48aと、燃焼式熱源機20の低温側加熱部21aから熱媒供給路43aに供給される熱媒の温度を検出する温度センサ48bと、空調装置2,3に供給される熱媒の温度を検出する温度センサ48cと、空調装置2,3から排出される熱媒の温度を検出する温度センサ48dとが、第1往路41a、第2往路42a、熱媒供給路43a、熱媒排出路43bに各々組付けられている。
【0051】
次に、
図2を参照して、空調システム1は、さらに、該空調システム1の運転制御を行う制御装置60と、空調システム1の運転操作をユーザが行うためのリモコン70とを備えている。該制御装置60は、例えば、図示しないマイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0052】
例えば、制御装置60は、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、浴室暖房装置4、ヒートポンプユニット10、燃焼式熱源機20、及び流路切換装置45に各々搭載され、且つ相互に通信を行いつつ協働して空調システム1の運転制御を実行可能な複数の電子回路ユニットの集合体として構成され得る。この場合、いずれかの電子回路ユニットが空調システム1の全体の作動を統括する上位の制御装置、他の電子回路ユニットが、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、ヒートポンプユニット10、燃焼式熱源機20、及び流路切換装置45のそれぞれの局所的な作動制御を行う制御装置として機能するように電子回路ユニットの集合体が構成されていてもよい。
【0053】
上記制御装置60には、空調システム1に備えられた前記温度センサ34、48a~48d等の複数のセンサのそれぞれのセンシング信号(検出信号)が入力される。また、制御装置60は、リモコン70と有線又は無線による通信を行うことが可能である。その通信により、制御装置60は、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4の運転等に関する指令情報をリモコン70から受信したり、該リモコン70に様々な報知情報を送信して出力させることが可能である。
【0054】
なお、空調システム1は、1つのリモコン70に限らず、複数のリモコンを備えていてもよい。例えば、空調システム1は、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4のそれぞれ毎に各別のリモコンを備えていてもよい。
【0055】
そして、制御装置60は、実装されたハードウェア構成とプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能として、空調装置2,3の運転に係る制御処理を実行する空調運転制御部61と、浴室暖房装置4の運転に係る制御処理を実行する浴室運転制御部62とを含む。
【0056】
この場合、空調運転制御部61の制御対象要素には、ヒートポンプユニット10の第1ポンプ46及び冷媒回路13の図示しない圧縮機と、燃焼式熱源機20の低温側加熱部21a及び第2ポンプ47と、流路切換装置45の第1切換弁45a及び第2切換弁45bと、空調装置2,3のそれぞれの熱媒の流路を開閉する図示しない開閉弁とが含まれる。なお、低温側加熱部21aの作動制御は、より詳しくは、燃料供給装置24の開閉弁27,28a及び燃料調整弁29a、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じて行われる。
【0057】
また、浴室運転制御部62の制御対象要素には、燃焼式熱源機20の高温側加熱部21b、ポンプ32及び開閉弁33と、浴室暖房装置4に搭載されている図示しない送風ファン及び風路切換装置とが含まれる。なお、高温側加熱部21bの作動制御は、より詳しくは、燃料供給装置24の開閉弁27,28b及び燃料調整弁29b、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じて行われる。
補足すると、空調運転制御部61は、本発明における制御部としての機能を有するものであると共に、本発明における要求熱量決定部としての機能も含む。
【0058】
次に、本実施形態の空調システム1の作動に関して説明する。まず、冷暖房用空調装置3の冷房運転について説明する。冷暖房用空調装置3の冷房運転の実行がリモコン70で指示された場合には、制御装置60は、空調運転制御部61により、流路切換装置45の第1切換弁45aを第1動作状態に制御すると共に、第2切換弁45bを第A動作状態に制御する。これにより、熱媒回路40の熱媒排出路43bが第1復路41bを介してヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12に開通した状態になると共に、第2復路42bとバイパス路44とにおける熱媒の流通が遮断された状態になる。
【0059】
この状態で、空調運転制御部61は、冷暖房用空調装置3の熱媒の流路の開閉弁(図示しない)を開弁制御し、さらに、第1ポンプ46を作動させる。併せて、空調運転制御部61は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から図示しない圧縮機、外気側熱交換器、及び膨張機構を順に経由させて熱媒側熱交換器12に冷媒を還流させるようにヒートポンプ11を作動させる。なお、第1ポンプ46の回転数や、ヒートポンプ11の図示しない圧縮機の回転数は、例えばリモコン70で設定される屋内空間の温度の高低状態等に応じて制御される。
【0060】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1往路41a及び熱媒供給路43aと、熱媒排出路43b及び第1復路41bとを通って熱媒が循環しつつ、該熱媒が熱媒側熱交換器12での冷媒との熱交換(熱媒から冷媒への放熱)によって冷やされる。また、該熱媒は、冷暖房用空調装置3での屋内空間の空気との熱交換によって、該屋内空間の空気から吸熱する。これにより、冷暖房用空調装置3が配置された屋内空間の冷房が行われる。
【0061】
次に、空調装置2,3(暖房用空調装置2及び冷暖房用空調装置3の一方又は両方)の暖房運転に関して説明する。本実施形態では、空調装置2,3の暖房運転のモードとして、ヒートポンプ11により熱媒を加熱する第1暖房運転のモードと、燃焼式熱源機20の低温側加熱部21aにより熱媒を加熱する第2暖房運転のモードと、ヒートポンプ11及び低温側加熱部21aの両方により熱媒を加熱する第3暖房運転のモードとがある。そして、制御装置60は、第1~第3暖房運転のいずれかのモードで空調装置2,3の暖房運転を行わせる。
【0062】
この場合、第1~第3暖房運転のいずれのモードで、空調装置2,3の暖房運転を行わせるかは、ヒートポンプ11のエネルギー源としての電力の利用コスト、低温側加熱部21aのエネルギー源としての燃料の利用コスト、ユーザの希望、空調装置2,3の負荷等の様々な条件を反映させて決定され得る。
【0063】
例えば、制御装置60は、燃料の利用コストよりも電力の利用コストが低い時間帯では、第1暖房運転のモードで空調装置2,3の暖房運転を行うことを優先し、空調装置2,3の負荷が大きくなった場合等に補助的に、第3暖房運転のモードでの暖房運転を行わせることが可能である。また、制御装置60は、例えば、燃料の利用コストよりも電力の利用コストが高い時間帯では、第2暖房運転のモードで空調装置2,3の暖房運転を行うことを優先し、空調装置2,3の負荷が大きくなった場合等に補助的に、第3暖房運転のモードでの空調装置2,3の暖房運転を行わせることが可能である。
【0064】
また、制御装置60は、例えば、第1~第3暖房運転のうち、ユーザがリモコン70で指定したモードで空調装置2,3の暖房運転を行わせることも可能である。このように、第1~第3暖房運転のいずれのモードで空調装置2,3の暖房運転を行わせるかは、様々な条件に応じて決定され得る。
【0065】
第1暖房運転のモードでは、制御装置60は、空調運転制御部61により、冷房運転の場合と同様に、流路切換装置45の第1切換弁45aを第1動作状態に制御すると共に、第2切換弁45bを第A動作状態に制御する。そして、この状態で、空調運転制御部61は、暖房運転対象の空調装置2,3のそれぞれの熱媒の流路の開閉弁(図示しない)を開弁制御し、さらに、第1ポンプ46を作動させる。併せて、空調運転制御部61は、ヒートポンプ11の冷媒を、熱媒側熱交換器12から図示しない膨張機構、外気側熱交換器、及び圧縮機を順に経由させて熱媒側熱交換器12に還流させるようにヒートポンプ11を作動させる。なお、第1ポンプ46の回転数や、ヒートポンプ11の図示しない圧縮機の回転数は、例えばリモコン70で設定される屋内空間の温度の高低状態等に応じて制御される。
【0066】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、暖房運転対象の空調装置2,3との間で第1往路41a及び熱媒供給路43aと、熱媒排出路43b及び第1復路41bとを通って熱媒が循環しつつ、該熱媒が熱媒側熱交換器12での冷媒との熱交換(冷媒から熱媒への放熱)によって加熱される。また、該熱媒は、暖房運転対象の空調装置2,3での屋内空間の空気との熱交換によって、該屋内空間の空気に放熱する。これにより、暖房運転対象の空調装置2,3が配置された屋内空間の暖房が行われる。
【0067】
また、第2暖房運転のモードでは、制御装置60は、空調運転制御部61により、流路切換装置45の第1切換弁45aを第2動作状態に制御すると共に、第2切換弁45bを第A動作状態に制御する。これにより、熱媒回路40の熱媒排出路43bが第2復路42bを介して低温側加熱部21aの第1熱交換器23aに開通した状態になると共に、第1復路41b及びバイパス路44における熱媒の流通が遮断された状態になる。
【0068】
この状態で、空調運転制御部61は、暖房運転対象の空調装置2,3のそれぞれの熱媒の流路の開閉弁(図示しない)を開弁制御し、さらに、第2ポンプ47を作動させる。併せて、空調運転制御部61は、低温側加熱部21aの第1バーナ22aの燃焼運転を開始させる。なお、第2ポンプ47の回転数や、第1バーナ22aの燃焼量は、例えばリモコン70で設定される屋内空間の温度の高低状態等に応じて制御される。
【0069】
これにより、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aと、暖房運転対象の空調装置2,3との間で第2往路42a及び熱媒供給路43aと、熱媒排出路43b及び第2復路42bとを通って熱媒が循環しつつ、該熱媒が第1熱交換器23aで第1バーナ22aの燃焼熱により加熱される。また、該熱媒は、暖房運転対象の空調装置2,3での屋内空間の空気との熱交換によって、該屋内空間の空気に放熱する。これにより、暖房運転対象の空調装置2,3が配置された屋内空間の暖房が行われる。
【0070】
また、第3暖房運転のモードでは、制御装置60は、空調運転制御部61により、流路切換装置45の第1切換弁45aを第3動作状態に制御すると共に、第2切換弁45bを第A動作状態に制御する。これにより、熱媒回路40の熱媒排出路43bが第1復路41bを介してヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12に開通した状態になると共に、第2復路42bを介して低温側加熱部21aの第1熱交換器23aに開通した状態になる。また、バイパス路44における熱媒の流通が遮断された状態になる。
【0071】
この状態で、空調運転制御部61は、暖房運転対象の空調装置2,3のそれぞれの熱媒の流路の開閉弁(図示しない)を開弁制御し、さらに、第1ポンプ46及び第2ポンプ47の両方を作動させる。併せて、空調運転制御部61は、ヒートポンプ11の冷媒を、熱媒側熱交換器12から図示しない膨張機構、外気側熱交換器、及び圧縮機を順に経由させて熱媒側熱交換器12に還流させるようにヒートポンプ11を作動させると共に、低温側加熱部21aの第1バーナ22aの燃焼運転を開始させる。なお、第1ポンプ46及び第2ポンプ47のそれぞれの回転数や、ヒートポンプ11の図示しない圧縮機の回転数、第1バーナ22aの燃焼量は、例えばリモコン70で設定される屋内空間の温度の高低状態等に応じて制御される。
【0072】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、暖房運転対象の空調装置2,3との間で第1往路41a及び熱媒供給路43aと、熱媒排出路43b及び第1復路41bとを通って熱媒が循環しつつ、該熱媒が熱媒側熱交換器12での冷媒との熱交換(冷媒から熱媒への放熱)によって加熱される。併せて、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aと、暖房運転対象の空調装置2,3との間で第2往路42a及び熱媒供給路43aと、熱媒排出路43b及び第2復路42bとを通って熱媒が循環しつつ、該熱媒が第1熱交換器23aで第1バーナ22aの燃焼熱により加熱される。そして、該熱媒は、暖房運転対象の空調装置2,3での屋内空間の空気との熱交換によって、該屋内空間の空気に放熱する。これにより、暖房運転対象の空調装置2,3が配置された屋内空間の暖房が行われる。
【0073】
この場合、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由する熱媒の流量と、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由する熱媒の流量とを、第1ポンプ46及び第2ポンプ47のそれぞれにより各別に調整することができる。このため、空調装置2,3にヒートポンプ11及び低温側加熱部21aのそれぞれから供給される熱媒の流量を、空調装置2,3の要求熱量の変化等に応じて適切に変化させることができる。
本実施形態では、第1~第3暖房運転のそれぞれのモードでの空調装置2,3の暖房運転は上記の如く実行される。
【0074】
この場合、第1暖房運転のモードでは、熱媒が低温側加熱部21aの第1熱交換器23aや、第2復路42b及び第2往路42aに流通しないので、放熱ロスや圧力損失を低減できる。同様に、第2暖房運転モードでは、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12や、第1復路41b及び第1往路41aに流通しないので、放熱ロスや圧力損失を低減できる。
【0075】
次に、空調装置2,3の暖房運転を、第1暖房運転モードから第3暖房運転のモードに移行させる場合の作動を説明する。例えば、第1暖房運転のモードでの暖房運転中に、ユーザがリモコン70で、屋内空間の温度を高くするように操作した場合、暖房運転対象の空調装置2,3の要求熱量(暖房運転対象の空調装置2,3に単位時間当たりに供給する熱量の要求値)が増加するので、該要求熱量に対してヒートポンプ11の出力(熱媒の加熱量)が不足し、第1暖房運転のモードから第3暖房運転のモードへの移行が行われ得る。
【0076】
この場合、本実施形態では、制御装置60は、モードの移行直前における第1暖房運転のモードでのヒートポンプ11による熱媒の加熱量(ヒートポンプ11の出力)と、第1ポンプ46の回転数(ひいては、第1ポンプ46による熱媒の流量)とを維持したまま、第3暖房運転のモードへの移行を行うように、ヒートポンプ11及び第1ポンプ46と、低温側加熱部21aの第1バーナ22a及び第2ポンプ47との作動制御を行う。
【0077】
具体的には、制御装置60の空調運転制御部61は、モードの移行前と移行後とで、暖房運転対象の空調装置2,3の要求熱量を、リモコン70で設定された屋内空間の温度の要求値に高低状態に応じて設定する。該要求熱量は、屋内空間の温度の要求値が高いほと、大きくなるように設定される。
【0078】
そして、本実施形態では、第1暖房運転のモードにおいて、空調装置2,3の要求熱量がヒートポンプ11の所定の上限出力以下の熱量である場合には、ヒートポンプ11の出力Qhp1(単位時間当たりの熱媒の加熱量)と、第1ポンプ46による熱媒の流量Fhp1とを次式(1)に基づいて制御する。
Qhp1=Qr1=(Bti-Bto)・Fhp1 ……(1)
【0079】
ここで、Qr1は、第1暖房運転のモードでの空調装置2,3の要求熱量、Btiは、空調装置2,3に供給される熱媒の目標温度(例えば60℃)、Btoは空調装置2,3から排出される熱媒の温度(前記温度センサ48dで検出される温度)である。
【0080】
従って、ヒートポンプ11の出力Qhp1は、空調装置2,3の要求熱量Qr1に一致するように制御され、第1ポンプ46による熱媒の流量Fhp1は、要求熱量Qr1を、温度差(Bti-Bto)で除算した値に一致するように(換言すれば、空調装置2,3から排出される熱媒を、ヒートポンプ11によりBtoからBtiまで昇温させ得るように)制御される。なお、ヒートポンプ11の出力は、冷媒回路13の図示しない圧縮機の回転数の制御を通じて調整され、第1ポンプ46による熱媒の流量は、該第1ポンプ46の回転数の制御を通じて調整される。
【0081】
空調装置2,3の要求熱量が、ヒートポンプ11の所定の上限出力を越えた場合には、第1暖房運転では、該要求熱量をヒートポンプ11の出力で満たすことができないため、空調運転制御部61は、暖房運転のモードを第1暖房運転のモードから第3暖房運転のモードに移行させる。この場合、空調運転制御部61は、モードの移行後のヒートポンプ11の出力Qhp2と、第1ポンプ46による熱媒の流量Fhp2とを、次式(2a),(2b)で示すように、モードの移行前の出力Qhp1と流量Fhp1とに各々維持するように制御する。
Qhp2=Qhp1 ……(2a)
Fhp2=Fhp1 ……(2b)
【0082】
また、空調運転制御部61は、モードの移行後の第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2と、第2ポンプ47による熱媒の流量Fg2とをそれぞれ、次式(3)に基づき制御する。
Qg2=Qr2-Qhp2=(Bti-Bto)・Fg2 ……(3)
【0083】
ここで、Qr2は、モードの移行後の空調装置2,3の要求熱量である。従って、モードの移行後の第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2は、モードの移行後の空調装置2,3の要求熱量Qr2から、ヒートポンプ11の出力Qhp2(=モードの移行直前の要求熱量Qr1)を差し引いた値になるように制御される。また、第2ポンプ47による熱媒の流量Fg2は、第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2を、温度差(Bti-Bto)で除算した値に一致するように(換言すれば、空調装置2,3から排出される熱媒のうち、低温側加熱部21aに第2復路42bを介して流れる熱媒を、第1バーナ22aの燃焼運転によってBtoからBtiまで昇温させ得るように)制御される。なお、第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2は、第1バーナ22aへの燃料ガスの供給量の制御を通じて調整され、第2ポンプ47による熱媒の流量は、該第2ポンプ47の回転数の制御を通じて調整される。
【0084】
具体的な数値を例示すると、例えば、モードの移行前の空調装置2,3の要求熱量が例えば3kW、モードの移行後の空調装置2,3の要求熱量が例えば5kW、空調装置2,3に供給される熱媒の目標温度が例えば60℃、空調装置2,3から排出される熱媒の温度が例えば40℃である場合、モードの移行前のヒートポンプ11の出力Qhp1と第1ポンプ46による熱媒の流量Fhp1はそれぞれ、Qhp1=3kW=43kcal/min,Fhp1=2.15リットル/min=2150cm3/minとなる。また、モードの移行後のヒートポンプ11の出力Qhp2と、第1ポンプ46による熱媒の流量Fhp2と、第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2と、第2ポンプ47による熱媒の流量Fg2とは、はそれぞれ、Qhp2=3kW=43kcal/min,Fhp2=2.15リットル/min=2150cm3/min、Qg2=2kW=28.67kcal/min、Fg2=1.43リットル/min=1430cm3/minとなる。
【0085】
なお、上記の数値例では、モードの移行前と移行後とで空調装置2,3から排出される熱媒の温度を一定としているが、該温度がモードの移行前と移行後と変化した場合でも、モードの移行後の第1バーナ22aによる熱媒の加熱量Qg2と、第2ポンプ47による熱媒の流量Fg2とを上記式(3)に基づいて算出することができる。
【0086】
本実施形態では、暖房運転のモードが第1暖房運転のモードから第3暖房運転のモードに移行するときに、上記のようにヒートポンプ11、第1ポンプ46、低温側加熱部21a及び第2ポンプ47の作動制御を行うので、モードの移行の前後でヒートポンプ11、及び第1ポンプ46の作動状態を一定に保つことができる。このため、ヒートポンプ11による熱媒の加熱状態の安定性が高まり、ひいては、空調装置2,3に供給される温度の変動を極力抑制し得るように、暖房運転のモードを第1暖房運転のモードから第3暖房運転のモードに円滑に移行させることができる。
【0087】
次に、第2暖房運転のモードでの空調装置2,3の暖房運転の途中で、ヒートポンプユニット10の凍結防止運転を行う場合の作動を説明する。第2暖房運転のモードでは、ヒートポンプ11は運転しておらず、またヒートポンプユニット10は屋外に設置されていることから、屋外が低温になった場合にヒートポンプ11(熱媒側熱交換器12等)、第1往路41a、第1復路41bの各部が凍結する虞がある。このため、ヒートポンプユニット10は各部の凍結を防止する凍結防止運転を実行する。ヒートポンプユニット10の凍結防止運転を実行するときには、制御装置60の空調運転制御部61は、空調装置2,3の暖房運転を第2暖房運転のモードで維持する。併せて、空調運転制御部61は、第2切換弁45bを第A動作状態から第B動作状態に切換制御する。これにより、第1往路41aがバイパス路44を介して第1復路41bに開通した状態になる。
【0088】
この状態で、空調運転制御部61は、第1ポンプ46を作動させる。これにより、熱媒が熱媒側熱交換器12、第1往路41a、バイパス路44、第1復路41bを通って循環し、ヒートポンプユニット10の各所の凍結が防止される。なお、熱媒を循環させるだけでは凍結防止できない程外気温が低下した場合、ヒートポンプ11を動作させて冷媒回路13で冷媒を加熱し、熱媒側熱交換器12に加熱した冷媒を供給することで、熱媒側熱交換器12、第1往路41a、バイパス路44、第1復路41bを通って循環する熱媒を加熱する。
【0089】
この場合、熱媒側熱交換器12を流れる熱媒は、第1往路41a、バイパス路44及び第1復路41bを経由して熱媒側熱交換器12に還流するため、低温の熱媒が空調装置2,3に供給されることが阻止される。
【0090】
なお、この凍結防止運転は、空調装置2,3の暖房運転が行われていない状態でも実行可能である。この場合、空調運転制御部61は第1切換弁45aの状態を変更する必要は無く、第2切換弁45bを第A動作状態から第B動作状態に切換制御し、第1ポンプ46を作動させると共に、必要に応じてヒートポンプ11を動作させて冷媒回路13で冷媒を加熱し、熱媒側熱交換器12に加熱した冷媒を供給すればよい。
【0091】
次に、浴室暖房装置4の暖房運転(又は乾燥運転)に関して説明する。浴室暖房装置4の暖房運転(又は乾燥運転)の実行がリモコン70で指示された場合には、制御装置60は、浴室運転制御部62により、浴室暖房装置4の運転に係る制御を実行する。具体的には、浴室運転制御部62は、循環路31の開閉弁33を開弁制御すると共に、ポンプ32を作動させる。そして、この状態で、浴室運転制御部62は、高温側加熱部21bの第2バーナ22bの燃焼運転を開始させる。なお、第2バーナ22bの燃焼量は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ34で検出される温度)が所定の目標温度(例えば80℃)になるように制御される。
【0092】
これにより、高温側加熱部21bの第2熱交換器23bと浴室暖房装置4との間で熱媒が循環路31を介して循環しつつ、第2バーナ22bの燃焼運転により第2熱交換器23bで加熱され、その加熱された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。そして、浴室運転制御部62が、浴室暖房装置4の図示しない送風ファンを制御することで、浴室暖房装置4に供給された熱媒により加熱された温風が浴室に送風される。
【0093】
この場合、本実施形態では、浴室暖房装置4用の熱媒を流す循環路31が、前記熱媒回路40から独立(分離)した流路であるので、浴室暖房装置4に供給される高温の熱媒が、熱媒回路40に流入することはない。従って、暖房用空調装置2又は冷暖房用空調装置3の暖房運転が行われている場合、あるいは、冷暖房用空調装置3の冷房運転が行われている場合のいずれの場合であっても、空調装置2,3の運転状態に影響を及ぼすことなく、浴室暖房装置4の暖房運転(又は乾燥運転)を行うことができる。
【0094】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を
図3を参照して説明する。なお、本実施形態の空調システム1’は第1実施形態の空調システム1と一部の構成だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0095】
前記第1実施形態では、浴室暖房装置4用の熱媒の流路である循環路31を、空調装置2,3用の熱媒回路40から独立(分離)した流路として構成したが、本実施形態の空調システム1’では、例えば、
図3に示すように、浴室暖房装置4と高温側加熱部21bの第2熱交換器23bとの間で熱媒を循環させる循環路31’が構成されている。
【0096】
この空調システム1’では、循環路31’の復路31cの構成が第1実施形態と相違する。具体的には、復路31cは、浴室暖房装置4から第2ポンプ47の下流側で熱媒回路40の第2復路42bに合流し、さらに、第2ポンプ47の下流側で第2復路42bから分岐して、高温側加熱部21bの第2熱交換器23bに至るように構成されている。
【0097】
従って、熱媒回路40の第2復路42bのうち、浴室暖房装置4側の復路31cの合流部と分岐部との間の流路(第2ポンプ47を含む流路)が、空調装置2,3から低温側加熱部21aの第1熱交換器23aに熱媒を戻す流路としての機能と、浴室暖房装置4から高温側加熱部21bの第2熱交換器23bに熱媒を戻す流路としての機能を併せ持つ流路となっている。
【0098】
加えて本実施形態では、第2ポンプ47は、空調装置2,3と低温側加熱部21aの第1熱交換器23aとの間で熱媒を循環させるための動力源としての機能と、浴室暖房装置4と高温側加熱部21bの第2熱交換器23bとの間で熱媒を循環させるための動力源としての機能とを併せ持つ。従って、循環路31’には、専用のポンプは備えられていない。
【0099】
本実施形態の空調システム1’は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。この空調システム1’では、冷暖房用空調装置3の冷房運転と、空調装置2,3の暖房運転は、前記第1実施形態と同様に行われる。
【0100】
また、浴室暖房装置4の暖房運転時(又は乾燥運転時)には、循環路31’の開閉弁33を開弁制御すると共に第2ポンプ47を作動させた状態で、高温側加熱部21bの第2バーナ22bの燃焼運転が行われる。この場合、第1実施形態と同様に、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度が所定の目標温度(例えば80℃)になるように第2バーナ22bの燃焼量が制御される。
【0101】
かかる浴室暖房装置4の暖房運転時(又は乾燥運転時)には、浴室暖房装置4での放熱後の熱媒が熱媒回路40の第2復路42bに流入するものの、高温側加熱部21bの第2熱交換器23bから浴室暖房装置4に供給される高温の熱媒は、熱媒回路40には流入しない。このため、暖房用空調装置2又は冷暖房用空調装置3の暖房運転が行われている場合、あるいは、冷暖房用空調装置3の冷房運転が行われている場合のいずれの場合であっても、空調装置2,3の運転状態に影響を及ぼすことなく、浴室暖房装置4の暖房運転(又は乾燥運転)を行うことが可能である。
【0102】
なお、本発明は以上説明した第1実施形態又は第2実施形態に限らず、他の実施形態を採用することもできる。例えば前記空調システム1,1’は、第2熱源として、燃焼式熱源機20を備えたが、本発明の空調システムは、該燃焼式熱源機20の代わりに、例えば電熱式の熱源機を備えてもよい。また、本発明の空調システムは、浴室暖房装置4等の放熱装置を備えないシステムであってもよい。この場合、高温側加熱部21bや、循環路31,31’を省略し得る。
【0103】
また、前記各実施形態では、本発明における放熱装置として、浴室暖房装置4を例示したが、放熱装置は、例えば、加熱された熱媒から浴槽の湯水への放熱を行う熱交換器等であってもよい。また、ヒートポンプユニット10の凍結防止のために、例えばヒータをヒートポンプユニット10に搭載してもよい。その場合、第2切換弁45b及びバイパス路44を省略し得る。
【0104】
また、前記各実施形態では、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を経由する流路用の第1ポンプ46と、低温側加熱部21aの第1熱交換器23aを経由する流路用の第2ポンプ47とを備えたが、これらのポンプ46,47の代わりに、例えば、熱媒供給路43a又は熱媒排出路43bにポンプを備えるようにしてもよい。ただし、前記各実施形態尾の如く、第1ポンプ46及び第2ポンプ47を備えた場合には、一方のポンプ46又は47が故障した場合でも、ヒートポンプ11及び低温側加熱部21aのうち、他方のポンプ47又は46に対応するものにより加熱した熱媒を空調装置2,3に供給して暖房運転を行うことができる。
【0105】
また、前記各実施形態では、燃焼式熱源機20は、空調装置2,3に供給する熱媒を加熱するための第1バーナ22aと、浴室暖房装置4(放熱装置)に供給する熱媒を加熱するための第2バーナ22bとを各別に備えたが、例えば、それぞれに共通のバーナを備えると共に、該バーナの燃焼運転により発生する顕熱を熱媒に伝熱する顕熱型の熱交換器と、潜熱を熱媒に伝熱する潜熱型の熱交換器とを備えてもよい。そして、顕熱型の熱交換器で加熱した熱媒を浴室暖房装置4(放熱装置)に供給し得るようにすると共に、潜熱型の熱交換器で加熱した熱媒を空調装置2,3に供給し得るように熱媒の流路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1,1’…空調システム、2,3…空調装置、4…浴室暖房装置(放熱装置)、10…ヒートポンプユニット(第1熱源)、20…燃焼式熱源機(第2熱源)、21a…低温側加熱部、21b…高温側加熱部、31,31’…循環路、40…熱媒回路、41a…第1往路、41b…第1復路、42a…第2往路、42b…第2復路、43a…熱媒供給路、43b…熱媒排出路、45…流路切換装置、45a,45b…切換弁、46…第1ポンプ、47…第2ポンプ、61…空調運転制御部(要求熱量決定部、制御部)。